JP2004299491A - 自動車の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Tetsuya Terada
哲也 寺田
Tsutomu Iname
力 稲目
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Abstract

【課題】制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置であり、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサ24と、操舵角を検出する操舵角センサ30と、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部18と、操舵角から目標操舵力(f(θ))を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部20と、これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部22と、を有し、第2制御部が、ドライバのハンドルに対する力の付与状態を判定する力付与状態判定手段40と、このドライバの力の付与状態に応じて第2制御部の制御ゲインK3を変更する制御ゲイン変更手段と、を有する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置に係わり、特に、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば、特開平8−332964号公報等に示されているような、電動機の動力をステアリング系に作用させて操作力の低減を図るようにした電動パワーステアリング装置が使用されるようになってきている。この電動パワーステアリング装置は、操舵力検出手段を備え、この操舵力検出手段により運転者の操舵力(操舵トルク)を検出すると共に、同時に車速に基づき所定補正トルクを発生させるように電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動パワーステアリング装置を設計する場合、良好な操舵フィーリングと高い操安性能を得るためには、操舵角に対する操舵力の特性(以下「操舵力特性」という)を所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定する必要がある。
従来は、電動パワーステアリングを構成するトーションバーやパワーアシストなどの構成部品の特性をチューニング(作り込み)することにより、所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定していた。しかし、これら特性のチューニング(作り込み)には、高価なシステムや多くの工数が必要であった。
また、構成部品の特性ばらつきが原因で精度良く目標操舵力特性を設定することも難しいという状況がある。
【0004】
そこで、本出願人は、この課題を解決するために、特願2002‐95970号(2002年3月29日出願)を出願し、操舵力を操舵角の関数モデルとして表現した操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させた自動車の電動パワーステアリング装置を提案した。
【0005】
一方、この電動パワーステアリング装置において、操舵力特性モデルから目標操舵力特性(目標操舵力)を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように制御(フィードバック制御)するとき、ドライバがハンドルをしっかりと保舵しているときは問題とならないが、ドライバがハンドルを軽く保舵しているときや手放し状態のときは、その状態にとっては実操舵力を目標操舵力と一致させるための制御量が大きくなりすぎるため、制御精度が悪化する。さらに、極端な例であるが、手離し時には、制御が発振する場合もある。
したがって、目標操舵力と実操舵力とが一致するように制御する場合には、このような制御精度の悪化及び制御の発振を防止しなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、目標操舵力と実操舵力とが一致するように制御する場合でも、制御精度を向上させると共に制御の発振を防止することが出来る自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、操舵角を検出する操舵角センサと、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、第2制御部が、ドライバのハンドルに対する力の付与状態を判定する力付与状態判定手段と、このドライバの力の付与状態に応じて第2制御部の制御量の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、第2制御部が、操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータを制御しているので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明においては、第2制御部が、操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータを制御するとき、力付与状態判定手段が、ドライバのハンドルに対する力の付与状態を判定し、制御ゲイン変更手段が、ドライバの力の付与状態に応じて第2制御部の制御量の制御ゲインを変更するようにしている。これにより、例えば、ドライバがハンドルに軽く手を触れている状態や、ハンドルから手を離した状態(手離し状態)の時は、第2制御部の制御量の制御ゲインを小さくできるので、実操舵力を目標操舵力と一致させるための制御量が大きくなりすぎることを防止でき、その結果、制御制度の悪化を防止すると共に制御の発振を防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、力付与状態判定手段が、ハンドルの操舵状態からドライバの等価ばねを推定し、このドライバの等価ばねの推定値からドライバの力の付与状態を判定している。
このように構成された本発明においては、ハンドルの操舵状態からドライバの等価ばねを推定し、このドライバの等価ばねからドライバの力の付与状態を判定するようにしているので、ドライバの力の付与状態を判定する際、既存のトルクセンサや操舵角センサを用いることができるので、新たなセンサ等を設ける必要がなく、さらに、精度良く力の付与状態を判定することが出来る。
【0011】
本発明において、好ましくは、力付与状態判定手段が、ドライバがハンドルから手を放しているか否かを推定し、この推定結果からドライバの力の付与状態を判定している。
このように構成された本発明においては、ドライバがハンドルから手を離しているか否かを推定し、ドライバの力の付与状態を判定するようにしているので、簡易に力の付与状態を判定することが出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される自動車の電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。この図1に示すように、自動車の電動パワーステアリング装置1は、ハンドル(ステアリングホィール)2を備え、このハンドル2は、ステアリングシャフト4の上端に連結されており、ハンドル2を操作する操舵力がスタアリングシャフト4に伝達されるようになっている。このステアリングシャフト4の下端部には自在継手を介して中間シャフト6の上端が連結され、この中間シャフト6の下端には、ステアリングギヤボックス8が設けられている。このステアリングギヤボックス8の両側にはタイロッド10が連結されており、これらの各タイロッド10にはタイヤ(車輪)12が取り付けられている。
【0013】
ここで、ステアリングギヤボックス8の内部には、ラック・ピニオン機構(図示せず)が設けられており、このピニオンには、中間シャフト6の下端が連結されている。一方、ラックの両端部には上述したようにタイロッド10を介してタイヤ12が連結されている。
ステアリングギヤボックス8には、減速ギヤ(図示せず)を介してピニオン側に力を付与する電動モータ14が設けられ、さらに、減速ギヤと中間シャフト6の間にはトルクセンサ(図示せず)が配置されている。このトルクセンサは、中間シャフト6に作用している操舵トルク(実操舵力)を検出するためのものである。
これらの電動モータ14及びトルクセンサは、それぞれ制御ユニット16に接続されている。
この制御ユニット16は、後述する第1制御部(通常のアシスト制御部)、第2制御部(センターフィール補償制御部)、及び、モータ電流制御部から構成されており、トルクセンサの検出値(実操舵力)及び車速等に基づき、トルクセンサの検出値が小さくなるようにすると共に目標操舵力特性を実現するように、電動モータ14が制御されるようになっている。
【0014】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の電動パワーステアリング装置に適用される操舵力特性モデルを説明する。
先ず、操舵力特性モデルは、高車速且つほぼ直進状態の走行時に適用可能である。ここで、高車速とは、約80km/h〜約130km/h程度の速度であり、ほぼ直進状態とは、ハンドルをゆっくりと操作する状態、具体的には、0.2Hzの正弦波でハンドルを操作し横向加速度(横G)が0.2G以下となるような操舵状態を想定している。
【0015】
このような高速直進時の操舵力特性を、ばね成分(操舵角を含む非線形の関数で表される)、粘性成分(操舵角速度に比例する)、摩擦成分(操舵角速度を含む非線形関数で表される)とに分解することにより、実際の操舵力特性を精度良く表現できる操舵力特性モデル(操舵力を操舵角の関数モデルとして表現したもの)を設定した。
【0016】
次に、図2及び図3により、操舵力特性モデルの内容を詳細に説明する。図2は、操舵力特性モデルを示す図であり、図3は、この操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
操舵力特性モデルは、図2に示すように、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分からなるモデルである。なお、本発明は、高速直進走行時の操舵力特性を対象したものであるため、ハンドルは、上述したようにゆっくりと操舵される(0.2Hzの正弦波)ため、慣性成分は含まないモデルとなっている。
【0017】
ばね成分は、以下の式(数1)に示す指数関数として設定する。この式(数1)において、θは操舵角であり、Kp及びTpは、ばね成分の特性パラメータである。ばね成分は、基本的には、操舵角にほぼ比例するが、所定の操舵角以上となると飽和状態となるため、特性パラメータKpはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTpは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数1)は、非線形関数となっている。
このように、ばね成分は、操舵角を含む非線形の関数で表されるものと定義される。
【数1】
Figure 2004299491
【0018】
粘性成分は、操舵角速度に比例した力であり、以下の式(数2)により示されている。この式(数2)において、Kdは、粘性成分の特性パタメータである。このように粘性成分は、操舵角速度に比例するものとして定義される。
【数2】
Figure 2004299491
【0019】
摩擦成分は、操舵角速度が小さいときは操舵角速度にほぼ比例した力であり、操舵角速度が大きくなると一定の大きさの摩擦力(飽和状態)となる。この摩擦成分は、以下の式(数3)に示す指数関数として設定する。この式(数3)において、Kf及びTfが摩擦成分の特性パラメータである。特性パラメータKfはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTfは、指数関数の時定数を示している。このように、摩擦成分を示す式(数3)は、非線形関数となっている。
このように、摩擦成分は、操舵角速度を含む非線形関数として定義される。
【数3】
Figure 2004299491
【0020】
このようにして、操舵力特性モデルにおいて、ばね成分、粘性成分、摩擦成分が設定され、操舵力(操舵トルク)はこれらの各成分の合計値として設定される。即ち、操舵力特性モデルは、以下の式となる。
【数4】
Figure 2004299491
【0021】
次に、図4乃至図7を参照して、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の実施形態を説明する。図4は本実施形態の制御ユニットを示すブロック図であり、図5は 本実施形態によるドライバの等価ばね推定値(Kdr)による補正ゲインK3の補正マップであり、図6は本実施形態の制御ユニットの第1制御部及び第2制御部の制御ゲインK1,K3の補正マップであり、図7は本実施形態による制御内容を示すフローチャートである。
【0022】
先ず、図4により、制御ユニットの構成を説明する。制御ユニット16は、第1制御部18、第2制御部20、及び、モータ電流制御部22から構成されている。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト又は中間シャフトに作用している実操舵力(操舵トルク)を検出するためのトルクセンサ24、横方向加速度(横G)を検出する横Gセンサ26、車速を検出する車速センサ28、操舵角を検出する操舵角センサ30を備えており、これらの各センサの出力値が制御ユニット16に入力されるようになっている。
【0023】
第1制御部18は、通常のアシスト制御を行なう制御部であり、トルクセンサ24の出力値を小さくするように、即ち、操舵力を減らす方向のアシスト力を発生させるように、電動モータ14を制御するための制御部である。この第1制御部18には、トルクセンサ24からのトルクセンサ値が入力され、フィルタ34によりノイズがカットされて(Ts1)となり、制御ゲインK1により基準目標電流I が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK1は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図6参照)。
【0024】
第2制御部20は、センターフィール補償制御部であり、高車速(80km/h以上)且つほぼ直進状態(例えば、0.2Hzの正弦波で横Gが0.2G以下)の走行時(以下、「センターフィール感応域」と呼ぶ)に、予め設定した目標操舵力となるように電動モータ14を制御するための制御部である。
第2制御部20は、目標操舵力演算部36を有し、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30から操舵角の値が入力される。目標操舵力演算部36は、この操舵角の値及び上述した式(数4)により表現された操舵力特性モデルを用いて、目標操舵力(f(θ))を算出するようになっている。
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ38を有し、このフィルタ38により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24のトルクセンサ値(Ts2)のみを入手できるようになっている。
【0025】
第2制御部20は、さらに、ドライバの等価ばね推定部40を備えており、このドライバの等価ばね推定部40に、トルクセンサ24及び操舵角センサ30から実操舵力及び操舵角が入力されるようになっている。このドライバの等価ばね推定部40は、ドライバがハンドルを保舵しているときの力の付与状態として、ドライバの等価ばねとして推定している。
このドライバの等価ばね推定値(Kdr)は、θを操舵角、θ’を操舵速度、Tをトルクセンサ値(実操舵力)とした場合、操舵角θが所定範囲内(ハンドルセンター近傍の狭い範囲)において、例えば、Kdr=T/θ’として定義される。
ラック方向からの入力に対する操舵速度(θ’)とトルクセンサ値(T)の変化を同符号とした場合、ドライバがハンドルをしっかりと保舵している場合は、操舵速度(θ’)に対してトルクセンサ値(T)は大きくなる(Kdrは大きくなる)。逆に、ドライバがハンドルを軽く保舵している又は手放ししている時は、操舵速度(θ’)に対してトルクセンサ値(T)は小さくなる(Kdrは小さくなる)。なお、ドライバの操作力による操舵速度(θ’)については、ドライバの等価ばね推定値(Kdr)の値は(‐)となる。
【0026】
次に、第2制御部20では、目標操舵力演算部36から出力された目標操舵力(f(θ))とフィルタ38によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値(Ts2)との偏差(=目標操舵力−実操舵力)を求め、この偏差が、制御ゲインK3により、変換補正され、補償電流I が演算されるようになっている。
【0027】
ここで、図5に示すように、本実施形態では、ドライバの等価ばねの推定値Kdrが、所定値(Kdr0)よりも小さく且つ(+)の場合には、制御ゲインK3の補正値(γ)を「1.0」よりも小さな値とし、それにより、上述した制御ゲインK3の値が小さくなるように、「K3=K3*γ」と補正している。ここで、所定値(Kdr0)は、ドライバが、ハンドルをしっかり保舵した状態から軽く保舵した状態に変化したときの等価ばねの推定値である。この制御ゲインK3の減少補正により、第2制御部の制御量が減少する。
なお、制御ゲインK3は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図6参照)。
【0028】
次に、第1制御部20から出力された基準目標電流I と補償目標電流I とが加算され、目標電流Iが算出される。具体的には、符号を、操舵力を減少させるためにアシスト力を増大する場合には(+)、操舵力を増大させるためにアシスト力を減少させる場合には(−)としているため、基準目標電流I に対して補償目標電流I を減算する演算が行なわれる。
【0029】
モータ電流制御部22は、電動モータ14に供給される電流が目標電流Iとなるようにするためのフィードバック制御を行なうための制御部である。このため、モータ電流制御部22は、制御ゲインK2、比例積分制御を行なうPI制御部42、モータ特性補償部44を有している。
このようにして演算されて電動モータ14に供給される目標電流Iは、以下の式(数5)により表される。
【数5】
Figure 2004299491
ここで、式(数5)において、(I)は目標電流、(Ts1)はフィルタ34によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲイン、(f(θ))は式(数4)により演算された目標操舵力の値、(Ts2)はフィルタ38によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K3)は第2制御部の制御ゲインである。
【0030】
次に図6は、第1制御部及び第2制御部の制御ゲインの補正マップである。図6に示された補正マップは、センターフィール感応域、遷移領域I、遷移領域II、非センターフィール感応域の4つの領域を有し、それぞれの領域において、制御ゲインK1(K1=K1*β),K3(K3=K3*α)の値が補正されるようになっている。ここで、α及びβは補正係数であり、0〜1の範囲で変化する。
先ず、センタフィール感応域においては、補正係数は、α=1、β=0と設定される。このため、第1制御部の制御ゲインK1は0となり、第1制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第2制御部の制御ゲインK3はそのまま使用されるので、第2制御部20により、上述した操舵力特性モデルに基づいて予め設定された目標操舵力が発生するように、補償電流I が設定される。この結果、センターフィール感応域においては、所望の操舵力特性が得られ、操安性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0031】
次に、非センターフィール感応域においては、補正係数は、α=0、β=1と設定される。このため、第2制御部の制御ゲインK3は0となり、第2制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第1制御部の制御ゲインK1はそのまま使用されるので、第1制御部18により、トルクセンサ値が小さくなるように基準目標電流I が設定される。この結果、非センターフィール感応域においては、通常のアシスト制御が行なわれ、ステアリングの取り回し性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0032】
次に、遷移領域Iは、自動車の走行状態が非センターフィール領域からセンターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域Iにおいて、補正係数αは、0→1に変化し、補正係数βは、1→0に変化する。
また、遷移領域IIは、自動車の走行状態がセンターフィール領域から非センターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域IIにおいて、補正係数αは、1→0に変化し、補正係数βは、0→1に変化する。
これらの遷移領域I,II においては、第1制御部において補正された制御ゲインK1に基づき基準目標電流I が設定され、第2制御部において補正された制御ゲインK3に基づき補償電流I が設定され、これらの電流が加算され、目標電流Iが算出される。この結果、これらの遷移領域I,II においては、通常のアシスト制御を行なうと共に併せて目標操舵力を得ることができ、これにより、操安性能が向上する。また、自動車の走行状態が、非センターフィール領域とセンターフィール感応域との間を移行する場合には、その移行方向により、異なる遷移領域を適用するようにしているので、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0033】
次に、図7により、本実施形態による制御フローを説明する。ここで、図7においては、センターフィール感応域は、図6に示された「センターフィール感応域」、「遷移領域I」及び「遷移領域II」の3つの領域を含む広義の意味で用いられている。なお、図7における「S」は、各ステップを示している。
この制御フローにおいては、先ず、S1において、各センサ値を入力する。具体的には、トルクセンサ24、横Gセンサ26、車速センサ28、操舵角センサ30からの各出力値である。次に、S2において、ドライバの等価ばね推定値Kdrを算出する。次に、S3において、自動車の走行状態が、図6に示された車速及び横Gの値に基づき、センターフィール感応域か否かを判定する。
【0034】
センターフィール感応域でなければ、図6に示す非センターフィール感応域であるため、この場合には、S4に進み、補償電流をI =0と設定し、これにより第2制御部による電動モータの電流制御を禁止する。
センターフィール感応域の場合には、S5に進み、ドライバの等価ばね推定値Kdrが所定値kdr0より小さく且つ(+)であるか否かを判定し、小さい且つ(+)の場合には、S6に進み、K3=K3*γとして、K3を減少補正する。
次に、S5でNOの場合、及び、S6でK3を減少補正した後、S7に進み、第2制御部における補償電流IfをI =(f(θ)−Ts2)*K3と設定する。
ここで、(f(θ))は式(数4)により演算された目標操舵力の値、(Ts2)はフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K3)は第2制御部の制御ゲインである。
【0035】
次に、S8に進み、第1制御部の制御ゲインK1を図6(図6の遷移領域I、遷移領域II、センターフィール感応域の3つの領域が適用される)に基づいて減少補正する。
次に、S9に進み、第1制御部における基準目標電流がI =Ts1*K1と設定する。ここで、(Ts1)はフィルタ34によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲインである。
次に、S10に進み、目標電流をI=I −I と設定する。さらに、S11に進み、この目標電流Iを電動モータに提供し、電動モータの電流制御を実行する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2制御部20において、目標操舵力演算部36が操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータが制御されるので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる。
【0037】
さらに、本実施形態においては、第2制御部20において、目標操舵力演算部36が操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように電動モータが制御されるとき、ドライバの等価ばね推定部40が、トルクセンサ24及び操舵角センサ30からのセンサ入力値(操舵角、操舵速度、トルクセンサ値)からドライバの等価ばね推定値を求め、このドライバの等価ばね推定値により、ドライバのハンドルに対する力の付与状態を判定し、補正値(γ)により、制御ゲインK3を減少補正し、それにより、第2制御部の制御量が減少する。この結果、ドライバがハンドルに軽く保舵しているとき、又は、ハンドルを手放ししているときであっても、実操舵力を目標操舵力と一致させるための制御量が大きくなりすぎることを防止でき、その結果、制御制度の悪化の防止すると共に制御の発振を防止することができる。
【0038】
上述した実施形態では、ドライバのハンドルに対する力の付与状態をドライバのハンドルの操舵状態から判定するようにしているが、本発明は、これに限らず、例えば、ドライバがハンドルから手を放しているか否かを、ハンドル等に設けたセンサ(図示せず)により検出し、ドライバがハンドルから手を放しているときは、図5に示す補正値(γ<1)により、制御ゲインK3をK3=K3*γと設定して減少補正し、第2制御部の制御量を減少させるようにしても良い。
この実施形態では、ドライバがハンドルから手を放しているか否かを直接検出できるので、上述した実施形態よりも精度良くドライバの力の付与状態を判定することが出来る。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の自動車の電動パワーステアリング装置によれば、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、操舵フィールや操安性を向上させることができる。さらに、本発明によれば、目標操舵力と実操舵力とが一致するように制御する場合でも、制御精度を向上させると共に制御の発振を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。
【図2】操舵力特性モデルを示す図である。
【図3】操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】本実施形態によるドライバの等価ばね推定値(Kdr)による補正ゲインK3の補正マップである。
【図6】本実施形態の制御ユニットにおける第1制御部及び第2制御部の制御ゲインの補正マップである。
【図7】本実施形態による制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
4 ステアリングシャフト
6 中間シャフト
12 タイヤ
14 電動モータ
16 制御ユニット
18 第1制御部
20 第2制御部
22 モータ電流制御部
24 トルクセンサ
26 横Gセンサ
28 車速センサ
30 操舵角センサ
34,38 フィルタ
40 ドライバ等価ばね推定部
42 PI制御部
44 モータ特性補償部

Claims (3)

  1. 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、
    操舵角を検出する操舵角センサと、
    実操舵力が小さくなるように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
    操舵角から目標操舵力を設定し、実操舵力がこの目標操舵力となるように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
    これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、
    上記第2制御部が、ドライバのハンドルに対する力の付与状態を判定する力付与状態判定手段と、このドライバの力の付与状態に応じて第2制御部の上記制御量の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段と、を有することを特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  2. 上記力付与状態判定手段は、ハンドルの操舵状態からドライバの等価ばねを推定し、このドライバの等価ばねの推定値からドライバの力の付与状態を判定する請求項1記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
  3. 上記力付与状態判定手段は、ドライバがハンドルから手を放しているか否かを推定し、この推定結果からドライバの力の付与状態を判定する請求項1記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
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