JP2004299519A - 自動車の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Tetsuya Terada
哲也 寺田
Tsutomu Iname
力 稲目
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Abstract

【課題】良好な操舵フィールと高い車両安定性の両立を図ることが出来る自動車の電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、実操舵力が小さくなるように電動モータ14の制御量を設定する第1制御部18と、予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部20と、これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部22と、を有し、第2制御部は、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を設定する目標操舵力演算手段36と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手段40を有し、車両の挙動が操舵フィールが重視される状態であるときのみ、操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)を減少補正する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置に係わり、特に、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば、特開平8−332964号公報等に示されているような、電動機の動力をステアリング系に作用させて操作力の低減を図るようにした電動パワーステアリング装置が使用されるようになってきている。この電動パワーステアリング装置は、操舵力検出手段を備え、この操舵力検出手段により運転者の操舵力(操舵トルク)を検出すると共に、同時に車速に基づき所定補正トルクを発生させるように電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動パワーステアリング装置を設計する場合、良好な操舵フィーリングと高い操安性能を得るためには、操舵角に対する操舵力の特性(以下「操舵力特性」という)を所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定する必要がある。
従来は、電動パワーステアリングを構成するトーションバーやパワーアシストなどの構成部品の特性をチューニング(作り込み)することにより、所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定していた。しかし、これら特性のチューニング(作り込み)には、高価なシステムや多くの工数が必要であった。
また、構成部品の特性ばらつきが原因で精度良く目標操舵力特性を設定することも難しいという状況がある。
【0004】
そこで、本出願人は、この課題を解決するために、特願2002‐95970号(2002年3月29日出願)を出願し、操舵力を操舵角の関数モデルとして表現した操舵力特性モデルを設定し制御することにより、簡便かつ精度良く目標操舵力特性を設定可能とし、操舵フィールと操安性能を向上させた自動車の電動パワーステアリング装置を提案した。
【0005】
上述した操舵力特性モデルは、後述するように、操舵角依存成分であるばね成分の特性パラメータ(Kp,Tp)、操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)及び摩擦成分の特性パラメータ(Kf,Tf)を含んでいる。
一般に、操舵速度が変わっても操舵フィールが同じであることが望ましく、このような良好な操舵フィールを得るためには、上述した操舵力特性モデル(操舵力特性)の操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)は小さいほうが良い。粘性成分の特性パラメータ(Kd)を小さくすると、車両安定性が悪化する。換言すれば、操舵力特性の操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)は、車両を安定させるためには大きい方が良いが、良好な操舵フィールとするためには小さい方が良いという、両方の性能を満たすように成分を設定できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、さらに、良好な操舵フィールと高い車両安定性の両立を図ることが出来る自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の第1の発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、操舵角を検出する操舵角センサと、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、第2制御部は、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を設定する目標操舵力演算手段と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手段を有し、この操舵力特性モデルは特性パラメータをを含み、車両の挙動が操舵力フィールが重視される状態であるときのみ、操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)を減少補正することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明の第1発明においては、第2制御部において、目標操舵力演算手段が操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を設定し、車両挙動検出手段が車両の挙動を検出し、車両の挙動が操舵力フィールが重視される状態であるときのみ、操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)を減少補正するようにしているので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、さらに、良好な操舵フィールと高い車両安定性の両立を図ることが出来る。
【0009】
本発明の第1発明において、好ましくは、操舵力フィールが重視される状態は、ドライバがハンドルを直進保舵した状態から操舵した操舵過渡初期である。
【0010】
本発明の第2の発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、操舵角を検出する操舵角センサと、ヨーレートを検出するヨーレートセンサと、実操舵力が小さくなるように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、第2制御部は、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を設定する目標操舵力演算手段と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手段を有し、この操舵力特性モデルは特性パラメータをを含み、車両の挙動がハンドル安定性が重視される状態であるときのみ、操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)及び摩擦成分の特性パラメータ(Kf)を増加補正することを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明の第2発明においては、第2制御部においては、目標操舵力演算手段が操舵角を入力とした操舵力特性モデルから目標操舵力を設定し、車両挙動検出手段が車両の挙動を検出し、車両の挙動がハンドル安定性が重視される状態であるときのみ、操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)及び摩擦成分の特性パラメータ(Kf)を増加補正するようにしているので、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、良好な操舵フィールと高い車両安定性の両立を図ることが出来る。
ステアリング装置。
【0012】
本発明の第2発明において、好ましくは、ハンドル安定性が重視される状態は、ヨーレートが操舵角に対して位相進みしている路面外乱入力時である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される自動車の電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。この図1に示すように、自動車の電動パワーステアリング装置1は、ハンドル(ステアリングホィール)2を備え、このハンドル2は、ステアリングシャフト4の上端に連結されており、ハンドル2を操作する操舵力がスタアリングシャフト4に伝達されるようになっている。このステアリングシャフト4の下端部には自在継手を介して中間シャフト6の上端が連結され、この中間シャフト6の下端には、ステアリングギヤボックス8が設けられている。このステアリングギヤボックス8の両側にはタイロッド10が連結されており、これらの各タイロッド10にはタイヤ(車輪)12が取り付けられている。
【0014】
ここで、ステアリングギヤボックス8の内部には、ラック・ピニオン機構(図示せず)が設けられており、このピニオンには、中間シャフト6の下端が連結されている。一方、ラックの両端部には上述したようにタイロッド10を介してタイヤ12が連結されている。
ステアリングギヤボックス8には、減速ギヤ(図示せず)を介してピニオン側に力を付与する電動モータ14が設けられ、さらに、減速ギヤと中間シャフト6の間にはトルクセンサ(図示せず)が配置されている。このトルクセンサは、中間シャフト6に作用している操舵トルク(実操舵力)を検出するためのものである。
これらの電動モータ14及びトルクセンサは、それぞれ制御ユニット16に接続されている。
この制御ユニット16は、後述する第1制御部(通常のアシスト制御部)、第2制御部(センターフィール補償制御部)、及び、モータ電流制御部から構成されており、トルクセンサの検出値(実操舵力)及び車速等に基づき、トルクセンサの検出値が小さくなるようにすると共に目標操舵力特性を実現するように、電動モータ14が制御されるようになっている。
【0015】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の電動パワーステアリング装置に適用される操舵力特性モデルを説明する。
先ず、操舵力特性モデルは、高車速且つほぼ直進状態の走行時に適用可能である。ここで、高車速とは、約80km/h〜約130km/h程度の速度であり、ほぼ直進状態とは、ハンドルをゆっくりと操作する状態、具体的には、0.2Hzの正弦波でハンドルを操作し横向加速度(横G)が0.2G以下となるような操舵状態を想定している。
【0016】
このような高速直進時の操舵力特性を、ばね成分(操舵角を含む非線形の関数で表される)、粘性成分(操舵角速度に比例する)、摩擦成分(操舵角速度を含む非線形関数で表される)とに分解することにより、実際の操舵力特性を精度良く表現できる操舵力特性モデル(操舵力を操舵角の関数モデルとして表現したもの)を設定した。
【0017】
次に、図2及び図3により、操舵力特性モデルの内容を詳細に説明する。図2は、操舵力特性モデルを示す図であり、図3は、この操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
操舵力特性モデルは、図2に示すように、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分からなるモデルである。なお、本発明は、高速直進走行時の操舵力特性を対象したものであるため、ハンドルは、上述したようにゆっくりと操舵される(0.2Hzの正弦波)ため、慣性成分は含まないモデルとなっている。
【0018】
ばね成分は、以下の式(数1)に示す指数関数として設定する。この式(数1)において、θは操舵角であり、Kp及びTpは、ばね成分の特性パラメータである。ばね成分は、基本的には、操舵角にほぼ比例するが、所定の操舵角以上となると飽和状態となるため、特性パラメータKpはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTpは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数1)は、非線形関数となっている。
このように、ばね成分は、操舵角を含む非線形の関数で表されるものと定義される。
【数1】
Figure 2004299519
【0019】
粘性成分は、操舵角速度に比例した力であり、以下の式(数2)により示されている。この式(数2)において、Kdは、粘性成分の特性パラメータである。
このように粘性成分は、操舵角速度に比例するものとして定義される。
【数2】
Figure 2004299519
【0020】
摩擦成分は、操舵角速度が小さいときは操舵角速度にほぼ比例した力であり、操舵角速度が大きくなると一定の大きさの摩擦力(飽和状態)となる。この摩擦成分は、以下の式(数3)に示す指数関数として設定する。この式(数3)において、Kf及びTfが摩擦成分の特性パラメータである。特性パラメータKfはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTfは、指数関数の時定数を示している。このように、摩擦成分を示す式(数3)は、非線形関数となっている。
このように、摩擦成分は、操舵角速度を含む非線形関数として定義される。
【数3】
Figure 2004299519
【0021】
このようにして、操舵力特性モデルにおいて、ばね成分、粘性成分、摩擦成分が設定され、操舵力(操舵トルク)はこれらの各成分の合計値として設定される。即ち、操舵力特性モデルは、以下の式となる。
【数4】
Figure 2004299519
【0022】
次に、図4乃至図7を参照して、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第1の実施形態を説明する。図4は第1実施形態の制御ユニットを示すブロック図であり、図5は操舵に対する操舵過渡初期判定値δの変化を示す線図であり、図6は第1実施形態(及び第2実施形態)の制御ユニットの第1制御部及び第2制御部の制御ゲインK1,K3の補正マップであり、図7は第1実施形態による制御内容を示すフローチャートである。
【0023】
先ず、図4により、制御ユニットの構成を説明する。制御ユニット16は、第1制御部18、第2制御部20、及び、モータ電流制御部22から構成されている。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト又は中間シャフトに作用している実操舵力(操舵トルク)を検出するためのトルクセンサ24、横方向加速度(横G)を検出する横Gセンサ26、車速を検出する車速センサ28、操舵角を検出する操舵角センサ30を備えており、これらの各センサの出力値が制御ユニット16に入力されるようになっている。
【0024】
第1制御部18は、通常のアシスト制御を行なう制御部であり、トルクセンサ24の出力値を小さくするように、即ち、操舵反力を減らす方向のアシスト力を発生させるように、電動モータ14を制御するための制御部である。この第1制御部18には、トルクセンサ24からのトルクセンサ値が入力され、フィルタ34によりノイズがカットされて(Ts1)となり、制御ゲインK1により基準目標電流I が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK1は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0025】
第2制御部20は、センターフィール補償制御部であり、高車速(80km/h以上)且つほぼ直進状態(例えば、0.2Hzの正弦波で横Gが0.2G以下)の走行時(以下、「センターフィール感応域」と呼ぶ)に、予め設定した目標操舵力となるように電動モータ14を制御するための制御部である。
第2制御部20は、目標操舵力演算部36を有し、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30から操舵角の値が入力される。目標操舵力演算部36は、この操舵角の値及び上述した式(数4)により表現された操舵力特性モデルを用いて、目標操舵力を算出するようになっている。
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ38を有し、このフィルタ38により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24のトルクセンサ値(Ts2)のみを入手できるようになっている。
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ38を有し、このフィルタ38により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24のトルクセンサ値のみを入手できるようになっている。
【0026】
第2制御部20は、さらに、車両挙動検出部40を備えている。この車両挙動検出部40は、以下のような操舵過渡初期を検出する機能及び粘性成分の特性パラメータを補正する機能を有する。
図5に示すように、ドライバがハンドルを操舵する場合、直進保舵から操舵した状態(直進保舵→操舵)である操舵過渡初期、その後ハンドル操舵し続ける操舵状態(連続操舵))、旋回中に保舵する状態(旋回保舵)する状態が存在する。この操舵過渡初期は、操舵力フィールが重視される状態である。この操舵過渡初期を判定するために、操舵過渡初期判定値δを使用し、この操舵過渡初期判定値δは、操舵角情報(操舵角θ、操舵角速度θ’、操舵角加速度θ”)を入力とした関数f(θ,θ’,θ”)から算出される。このように、車両挙動検出部40は、操舵過渡初期判定値δを判定し、操舵過渡初期を検出するようになっている。
【0027】
次に、車両挙動検出部40は、操舵過渡初期を検出した場合、目標操舵力演算部36で用いる操舵力特性モデルの操舵角依存成分である粘性成分の特性パラメータKdを減少補正する。
即ち、図5に示すように、操舵過渡初期(δ>0)の場合には、粘性成分の特性パラメータKdの値が小さくなるように減少補正し、連続操舵(δ<0)及び旋回保舵(δ=0)の場合には、粘性成分の特性パラメータKdは補正しない。
【0028】
この第2制御部20では、目標操舵力演算部36から出力された目標操舵力とフィルタ38から出力されたトルクセンサ値(実操舵力)との偏差が求められ、この偏差から、制御ゲインK3により補償電流I が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK3は、後述するように、横Gセンサ26及び車速センサ28の値に基づいて設定される(図5参照)。
【0029】
次に、第1制御部20から出力された基準目標電流I と補償電流I とが加算され、目標電流Iが算出される。具体的には、符号を、操舵力を減少させるためにアシスト力を増大する場合には(+)、操舵力を増大させるためにアシスト力を減少させる場合には(−)としているため、基準目標電流I に対して補償目標電流I を減算する演算が行なわれる。
【0030】
モータ電流制御部22は、電動モータ14に供給される電流が目標電流Iとなるようにするためのフィードバック制御を行なうための制御部である。このため、モータ電流制御部22は、制御ゲインK2、比例積分制御を行なうPI制御部42、モータ特性補償部44を有している。
このようにして演算されて電動モータ14に供給される目標電流Iは、以下の式(数5)により表される。
【数5】
Figure 2004299519
ここで、式(数5)において、(I)は目標電流、(Ts1)はフィルタ34によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲイン、(f(θ))は式(数4)により表現された操舵力特性モデル出力、(Ts2)はフィルタ38によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K3)は第2制御部の制御ゲインである。
【0031】
次に図6により、第1制御部及び第2制御部の比例ゲインの補正マップである。図6に示された補正マップは、センターフィール感応域、遷移領域I、遷移領域II、非センターフィール感応域の4つの領域を有し、それぞれの領域において、制御ゲインK1(K1=K1*β),K3(K3=K3*α)の値が補正されるようになっている。ここで、α及びβは補正係数であり、0〜1の範囲で変化する。
先ず、センタフィール感応域においては、補正係数は、α=1、β=0と設定される。このため、第1制御部の制御ゲインK1は0となり、第1制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第2制御部の制御ゲインK3はそのまま使用されるので、第2制御部20により、上述した操舵力特性モデルに基づいて予め設定された目標操舵力が発生するように、補償電流I が設定される。この結果、センターフィール感応域においては、所望の操舵力特性が得られ、操安性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0032】
次に、非センターフィール感応域においては、補正係数は、α=0、β=1と設定される。このため、第2制御部の制御ゲインK3は0となり、第2制御部による電動モータの電流制御は禁止される。一方、第1制御部の制御ゲインK1はそのまま使用されるので、第1制御部18により、トルクセンサ値が小さくなるように基準目標電流I が設定される。この結果、非センターフィール感応域においては、通常のアシスト制御が行なわれ、ステアリングの取り回し性能が向上する。また、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0033】
次に、遷移領域Iは、自動車の走行状態が非センターフィール領域からセンターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域Iにおいて、補正係数αは、0→1に変化し、補正係数βは、1→0に変化する。
また、遷移領域IIは、自動車の走行状態がセンターフィール領域から非センターフィール感応域に変化する際に適用される領域である。この遷移領域IIにおいて、補正係数αは、1→0に変化し、補正係数βは、0→1に変化する。
これらの遷移領域I,II においては、第1制御部において補正された制御ゲインK1に基づき基準目標電流I が設定され、第2制御部において補正された制御ゲインK3に基づき補償電流I が設定され、これらの電流が加算され、目標電流Iが算出される。この結果、これらの遷移領域I,II においては、通常のアシスト制御を行なうと共に併せて目標操舵力を得ることができ、これにより、操安性能が向上する。また、自動車の走行状態が、非センターフィール領域とセンターフィール感応域との間を移行する場合には、その移行方向により、異なる遷移領域を適用するようにしているので、第1制御部18と第2制御部20が同時に作動することにより発生する制御ハンチング(制御干渉)も防止できる。
【0034】
次に、図7により、本実施形態による制御フローを説明する。ここで、図7においては、センターフィール感応域は、図6に示された「センターフィール感応域」、「遷移領域I」及び「遷移領域II」の3つの領域を含む広義の意味で用いられている。なお、図7における「S」は、各ステップを示している。
この制御フローにおいては、先ず、S1において、各センサ値を入力する。具体的には、トルクセンサ24、横Gセンサ26、車速センサ28、操舵角センサ30からの各出力値である。次に、S2において、図5に示された操舵過渡初期判定値に基づき、操舵過渡初期判定値δを算出する。
【0035】
次に、S3において、自動車の走行状態が、図6に示された車速及び横Gの値に基づき、センターフィール感応域か否かを判定する。センターフィール感応域でなければ、図6に示す非センターフィール感応域であるため、この場合には、S4に進み、補償電流をI =0と設定し、これにより第2制御部による電動モータの電流制御を禁止する。
センターフィール感応域の場合には、S5に進み、操舵過渡初期判定値δがδ>0か否かを判定する。δ>0でなければ、操舵過渡初期時ではないため、この場合には、S7に進む。
δ>0の場合は、操舵過渡初期であり操舵フィールが重視される状態であるため、S6に進み、操舵過渡初期判定値δの値に応じて粘性成分の特性パラメータKdの値を減少補正する。
次に、S7に進み、目標操舵力演算部36において、目標操舵力F(θ)を算出する。次に、S8に進み、第2制御部における補償電流If(=((f(θ)−Ts2)*K3)を設定する。
ここで、f(θ)は式(数4)により表現された操舵力特性モデル出力、Ts2はフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、K3は第2制御部の制御ゲインである。
【0036】
次に、S9に進み、第1制御部の制御ゲインK1を図6の補正マップ(図6の遷移領域I、遷移領域II、センターフィール感応域の3つの領域が適用される)に基づいて減少補正する。さらに、S10に進み、第1制御部における基準目標電流がI =Ts1*K1と設定する。ここで、(Ts1)はフィルタ34によりフィルタ処理された実操舵力であるトルクセンサ値、(K1)は第1制御部の制御ゲインである。
次に、S11に進み、目標電流をI=I −I と設定する。さらに、S12に進み、この目標電流Iを電動モータに提供し、電動モータの電流制御を実行する。
【0037】
以上説明したように、第1実施形態によれば、操舵過渡初期時(直進保舵→操舵)に粘性成分の特性パラメータKdを減少補正し、それ以外は、この特性パラメータKdを補正しないようにしているため、本来的に良好な操舵フィールが重視される操舵過渡初期に良好な操舵フィールを得ることができ、それ以外はハンドル安定性が高いので、良好な操舵フィールと高いハンドル安定性の両立を図ることができる。
【0038】
次に、図8及び図9により、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置の第2の実施形態を説明する。図8は本発明の第2の実施形態による制御ユニットを示すブロックであり、図9は操舵角とヨーレートを示した線図である。
この第2の実施形態の制御ユニットの第2制御部20は、図4に示す第1実施形態の第2制御部と以下の構成が異なっている。
即ち、第2の実施形態の第2制御部20は、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ29を備えており、このヨーレートセンサ29により検出されたヨーレート(実ヨーレート)が車両挙動検出部40に入力される。
【0039】
車両挙動検出部40は、ヨーレート値により、路面外乱判定値λを算出する。ここで、車両挙動検出部40における路面外乱判定値λの算出方法を図9により説明する。図9に示すように、通常、操舵角に対するヨーレートの位相は、位相遅れとなるため、路面外乱判定値λは、操舵角に対するヨーレートの位相が進む場合を+(プラス)とする。
車両挙動検出部40が外乱判定値λがプラスである(λ>0)ことを検出した場合は、ハンドル安定性が重要視される状態であるため、車両安定性を高めるために、粘性成分の特性パラメータKd及び摩擦成分の特性パラメータKfの値が大きくなるように増加補正する。なお、この場合、特性パラメータKdのみを増加補正しても良い。
また、第2実施形態では、路面外乱入力時以外は、粘性成分の特性パラメータKd及び摩擦成分の特性パラメータKfの値が大きくなるように補正しない。
【0040】
この第2の実施形態による制御フローは、図7に示す第1実施形態の制御フローと基本的には同じであるが、以下のステップが異なっている。
即ち、図7において、第2の実施形態では、S5で、路面外乱判定値λがλ>0か否かを判定し、λ>0でなければ、路面外乱入力時ではないため、S7に進む。λ>0の場合には、S6に進み、路面外乱入力判定値λの値に応じて粘性成分の特性パラメータKd及び摩擦成分の特性パラメータKfの値を増加補正する。他のステップは、第1実施形態と同様である。
【0041】
第2の実施形態では、路面外乱判定値λにより路面外乱入力時を判定しているが、変形例として、トルクセンサ24のトルクの値の向き(増加しているか、又は、減少しているか)と操舵速度の向き(増加しているか、又は、減少しているか)から、路面からの外乱入力により中間シャフト6及びステアリングシャフト4を回転させる力が加わることによる操舵角変化が生じているか否か、即ち、路面外乱入力時か否かを判定するようにしても良い。
【0042】
以上説明したように、第2実施形態では、ハンドル安定性が重視される状態は、ヨーレートが操舵角に対して位相進みしている路面外乱入力時には、粘性成分の特性パラメータKd及び摩擦成分の特性パラメータkfを増加補正し、路面外乱入力時以外は、粘性成分の特性パラメータKd及び摩擦成分の特性パラメータKfの値が大きくなるように補正しないようにしているので、本来的にハンドル安定性が重視される路面外乱入力時に車両安定性が高まり、それ以外は良好な操舵フィールを得ることができるので、良好な操舵フィールと高いハンドル安定性の両立を図ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の自動車の電動パワーステアリング装置によれば、高価なシステムを用いて構成部品の作り込みを行わなくても、制御系により、目標操舵力を安定して精度良く再現することができ、さらに、良好な操舵フィールと高い車両安定性の両立を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。
【図2】操舵力特性モデルを示す図である。
【図3】操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態による制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】操舵に対する操舵過渡初期判定値の変化を示す線図である。
【図6】第1及び第2実施形態の制御ユニットにおける第1制御部及び第2制御部の制御ゲインの補正マップである。
【図7】第1実施形態による制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態による制御ユニットを示すブロック図である。
【図9】操舵角とヨーレートを示した線図である。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
4 ステアリングシャフト
6 中間シャフト
12 タイヤ
14 電動モータ
16 制御ユニット
18 第1制御部
20 第2制御部
22 モータ電流制御部
24 トルクセンサ
26 横Gセンサ
28 車速センサ
29 ヨーレートセンサ
30 操舵角センサ
34,38 フィルタ
40 車両挙動検出部
42 PI制御部
44 モータ特性補償部

Claims (4)

  1. 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、
    操舵角を検出する操舵角センサと、
    実操舵力が小さくなるように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
    予め設定した目標操舵力となるように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
    これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、
    上記第2制御部は、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから上記目標操舵力を設定する目標操舵力演算手段と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手段を有し、この操舵力特性モデルは特性パラメータをを含み、車両の挙動が操舵フィールが重視される状態であるときのみ、上記操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)を減少補正することを特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  2. 上記操舵力フィールが重視される状態は、ドライバがハンドルを直進保舵した状態から操舵した操舵過渡初期である請求項1記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
  3. 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出して実操舵力を得るトルクセンサと、
    操舵角を検出する操舵角センサと、
    ヨーレートを検出するヨーレートセンサと、
    実操舵力が小さくなるように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
    予め設定した目標操舵力となるように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
    これらの第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、
    上記第2制御部は、操舵角を入力とした操舵力特性モデルから上記目標操舵力を設定する目標操舵力演算手段と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手段を有し、この操舵力特性モデルは特性パラメータをを含み、車両の挙動がハンドル安定性が重視される状態であるときのみ、上記操舵力特性モデルの操舵角速度依存成分である粘性成分の特性パラメータ(Kd)及び摩擦成分の特性パラメータ(Kf)を増加補正することを特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  4. 上記ハンドル安定性が重視される状態は、ヨーレートが操舵角に対して位相進みしている路面外乱入力時である請求項3記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
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