JP2004298356A - 拡張用バルーンおよびこれを備えたバルーンカテーテル - Google Patents

拡張用バルーンおよびこれを備えたバルーンカテーテル Download PDF

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Abstract

【課題】低プロファイル性に優れ、かつ、リクロス性にも優れた拡張用バルーン、および当該拡張用バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】拡張機能部1と、当該拡張機能部の一端に連なった第1縮径部3と、当該第1縮径部に連なった基端部5と、前記拡張機能部の他端に連なった第2縮径部7と、当該第2縮径部に連なった先端部9とを有する拡張用バルーンを有機高分子材料によって製造するにあたり、第2縮径部における先端部側三等分点Aでの肉厚Taと拡張機能部の肉厚Tcとの比Ta/Tcを1.60以上とし、かつ、第2縮径部における拡張機能部側三等分点Bでの肉厚Tbと拡張機能部の肉厚Tcとの比Tb/Tcを1.20以下にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡張用バルーン、および、この拡張用バルーンを備えたバルーンカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、血管等の体内管腔に生じた狭窄や閉塞に対しては、経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)、経皮経管的動脈形成術(PTA)等、拡張用バルーンを備えたバルーンカテーテルを用いて体内管腔の内側から強制的に拡張して血流等の回復を図る、という治療方法が広く適用されている。この治療方法では、上記のバルーンカテーテルを体内管腔に挿入し、狭窄部内や閉塞部内で拡張用バルーンを膨らませることによって当該狭窄部や閉塞部を強制的に拡張する。その後、バルーンカテーテルは、拡張用バルーンを萎ませてから抜去される。
【0003】
上記の拡張用バルーンは、一般に、径を拡張させて円筒状に変形させることが可能な拡張機能部と、この拡張機能部の一端に連なった第1縮径部と、この第1縮径部に連なった直胴状の基端部と、前記拡張機能部の他端に連なった第2縮径部と、この第2縮径部に連なった直胴状の先端部とを有しており、例えば有機高分子材料よりなるチューブ状のパリソンをブロー成形することによって作製される。
【0004】
ブロー成形によって作製された拡張用バルーンでは、拡張機能部の外径はパリソンの外径よりも大きく、基端部および先端部それぞれの外径はパリソンの外径から殆ど変化していない。第1縮径部および第2縮径部では、それぞれ、拡張機能部から離れるに従って径が漸次減少しており、その肉厚は、拡張機能部から離れるに従って漸次増大している。
【0005】
このような拡張用バルーンは、例えば特許文献1に記載されているように、カテーテルチューブの遠位端部に取り付けられ、折り畳まれた状態で血管等の体内管腔に挿入される。このとき、第1縮径部および第2縮径部それぞれでの肉厚分布が上述のようになっていることから、当第1縮径部および第2縮径部では、折り重ねられた部分での外径が大きくなる。その結果として、狭窄部や閉塞部への拡張用バルーンの挿入が困難になることがある。このような問題を解決するために、上記の特許文献1では、第1縮径部および第2縮径部それぞれでの略中間部の肉厚を薄くすることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−176473号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
体内管腔に複数の狭窄部または閉塞部が生じている場合や、1つの狭窄部または閉塞部の全長が拡張用バルーンの全長よりも長い場合等においては、或る箇所で拡張用バルーンを膨らませ、その後に拡張用バルーンを萎ませて移動させ、他の箇所で再び拡張用バルーンを膨らませることが必要になるときがある。
【0008】
特許文献1に記載されている拡張用バルーンは、折り畳んだときの外径が小さくなるという点で好ましいものではあるが、体内管腔内で一旦膨らませた後に萎ませ、そのまま移動させて他の狭窄部もしくは閉塞部に挿入する際の挿入性、あるいは、体内管腔内で一旦膨らませた後に萎ませ、そのまま同一の狭窄部もしくは閉塞部での他の箇所に挿入する際の挿入性(以下、これらの挿入性を「リクロス性」という。)が比較的低いという傾向がある。
【0009】
そこで本発明は、折り畳んだときに外径が小さくなる性能(以下、「低プロファイル性」という。)に優れ、かつ、リクロス性にも優れた拡張用バルーン、および当該拡張用バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は、拡張用バルーンの第1縮径部および第2縮径部それぞれでの肉厚分布と低プロファイル性、リクロス性との関係について鋭意検討したところ、第2縮径部の肉厚分布を特定の分布にすることによって低プロファイル性とリクロス性との両立が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
かくして、本発明の第1の観点によれば、径を拡張させて円筒状に変形させることが可能な拡張機能部と、前記拡張機能部の一端に連なり、該拡張機能部から離れるに従って径が漸次減少している第1縮径部と、前記第1縮径部に連なった直胴状の基端部と、前記拡張機能部の他端に連なり、該拡張機能部から離れるに従って径が漸次減少している第2縮径部と、前記第2縮径部に連なった直胴状の先端部とを有し、前記拡張機能部、前記第1縮径部、前記基端部、前記第2縮径部、および前記先端部が有機高分子材料からなり、かつ、一体に成形されている拡張用バルーンであって、前記第2縮径部における先端部側三等分点での肉厚Taと前記拡張機能部の肉厚Tcとの比Ta/Tcが1.60以上であり、かつ、前記第2縮径部における拡張機能部側三等分点での肉厚Tbと前記拡張機能部の肉厚Tcとの比Tb/Tcが1.20以下である拡張用バルーンが提供される。
【0012】
また、本発明の第2の観点によれば、カテーテルチューブの遠位端部に拡張用バルーンが取り付けられたバルーンカテーテルであって、前記拡張用バルーンが上述した拡張用バルーンであるバルーンカテーテルが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳述する。
【0014】
<本発明の拡張用バルーンに係る実施形態>
図1(A)は、本発明の拡張用バルーンに係る一実施形態を概略的に示す側面図であり、図1(B)は、図1(A)に示した拡張用バルーン10の断面構造を示す概略図である。
【0015】
これらの図に示す拡張用バルーン10は、例えばPTCA(経皮経血管的冠動脈形成術)用バルーンカテーテル、PTA(経皮経管的動脈形成術)用バルーンカテーテル等のバルーンカテーテルにおける遠位端近傍に配置されて、血管等の体内管腔に生じた狭窄部や閉塞部等を体内管腔の内部から強制的に拡張するために使用される。
【0016】
拡張用バルーン10は、有機高分子材料製のパリソンを用いて作製されたものである。当該拡張用バルーン10は、狭窄部や閉塞部を内部から強制的に拡張するために、径を拡張させて外径が略一定の円筒状に変形させることが可能な拡張機能部1を有している。この拡張機能部1の一端側には第1縮径部3と直胴状の基端部5とがこの順番で連なり、他端側には第2縮径部7と直胴状の先端部9とがこの順番で連なっている。第1縮径部3および第2縮径部7では、それぞれ、拡張機能部1から離れるに従って径が漸次減少しており、その肉厚は、拡張機能部1から離れるに従って漸次増大している。
【0017】
拡張用バルーン10の使用時においては、例えば、いわゆる同軸カテーテルチューブ構造を有するディスタールシャフトにおける外チューブの遠位端に基端部5が接合され、上記ディスタールシャフトにおける内チューブの遠位端近傍に先端部9が接合される。このとき、拡張用バルーン10の先端部9側は、内チューブとの接合によって閉塞される。この状態で、ディスタールシャフトの外チューブと内チューブとの間の空隙を介して拡張用バルーン10内に所定量の流体(気体または液体)を供給すると、当該拡張用バルーン10の内圧が高まって、拡張機能部1が図1(A)および図1(B)に示したように円筒状に変形する。
【0018】
このような拡張用バルーン10は、種々の有機高分子材料、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を用いて作製することが可能である。上記の材料によってパリソンを作製し、このパリソンを用いて耐圧性と柔軟性とに優れた拡張用バルーン10を得るという観点からは、パリソンの材料としてポリアミド系エラストマーを用いることが特に好ましい。
【0019】
そして、拡張用バルーン10の材料としてポリアミド系エラストマーを用いる場合、その硬度は拡張用バルーン10の用途等に応じて適宜選択可能であるが、JIS K 7215に基づくショアD硬度が55〜85のものが好ましく、60〜75のものがより好ましい。このようなポリアミド系エラストマーは、例えば、商品名PEBAX7233SA01(アトフィナケミカルズ社製)として入手可能である。
【0020】
パリソンを用いて作製することができる拡張用バルーン10では、拡張機能部1の外径はパリソンの外径よりも大きい。例えばPTCA用バルーンカテーテルに用いられる拡張用バルーン10では、その内圧を高めて拡張機能部1を円筒状に変形させたときの当該拡張機能部1の外径が概ね1〜6mmの範囲内となるように設計される。また、拡張機能部1の長手方向の長さは概ね5〜30mmの範囲内で適宜選定され、その肉厚Tcは概ね2〜50μmの範囲内で適宜選定される。
【0021】
一方、基端部5および先端部9それぞれの外径はパリソンの外径から殆ど変化していない。第1縮径部3および第2縮径部7では、上述のように、拡張機能部1から離れるに従って径が漸次減少しており、その肉厚は拡張機能部1から離れるに従って漸次増大している。
【0022】
拡張用バルーン10の最大の特徴は、第2縮径部7を縮径形状に沿って仮想的に三等分して先端部9側の三等分点Aを「先端部側三等分点A」とし、拡張機能部1側の三等分点Bを「拡張機能部側三等分点B」としたときに、先端部側三等分点Aでの肉厚Taと拡張機能部1の肉厚Tcとの比Ta/Tcが1.60以上であり、かつ、拡張機能部側三等分点Bにおける肉厚Tbと拡張機能部1の肉厚Tcとの比Tb/Tcが1.20以下である点にある。上記の比Ta/Tcは1.70以上であることが好ましく、上記の比Tb/Tcは1.15以下であることが更に好ましい。また、上記の比Ta/Tcは、通常、2.00以下であり、上記の比Tb/Tcは、通常、1.01以上である。
【0023】
ここで、本明細書でいう拡張用バルーンの各部の肉厚は、レーザー共焦点式変位計により測定した値である。拡張機能部1の肉厚は、第2縮径部7側の端から第1縮径部3側の端へ向かって1.0mmの距離にある点で測定するものとした。また、先端部側三等分点Aおよび拡張機能部側三等分点Bを特定するにあたっては、実体顕微鏡で変曲点を判定することによって第2縮径部7での先端部9側の端および拡張機能部1側の端を決定し、縮径形状に沿った第2縮径部7の長さL(図1(A)および図1(B)参照)は測定顕微鏡により測定した。先端部側三等分点Aは、第2縮径部7での先端部9側の端から当該第2縮径部7に沿ってL/3の距離にある点とし、拡張機能部側三等分点Bは、第2縮径部7での拡張機能部1側の端から当該第2縮径部7に沿ってL/3の距離にある点とした。
【0024】
第2縮径部7での肉厚分布を上述のようにすることにより、低プロファイル性に優れ、かつ、リクロス性にも優れた拡張用バルーン10を得ることができる。
【0025】
このような拡張用バルーン10は、ブロー成形法やディップ成形法等によって拡張用バルーンの一次成形品を作製し、この一次成形品を再延伸した後に必要に応じて所望長にカットすることにより得られる。一次成形品は、パリソンをブロー成形することによって作製することが好ましい。
【0026】
以下、ブロー成形法を利用して本発明の拡張用バルーンを製造する方法について、図1(A)および図1(B)で用いた参照符号を適宜引用しつつ、パリソンを用意する第1工程と、当該パリソンをブロー成形して一次成形品を得る第2工程と、一次成形品を再延伸する第3工程とに分けて工程毎に詳述する。
【0027】
(第1工程)
用意するパリソンは、拡張用バルーン10の材料として既に説明した有機高分子材料をチューブ状に成形したものである。その成形方法は特に限定されるものではないが、押出し成形法であることが好ましい。パリソンの内径と外径は、ブロー成形を利用して所定の大きさの拡張用バルーン10を得るときに、所望のバルーン肉厚と所望の径方向延伸倍率が得られるように調整される。一般に、その内径は概ね0.1〜1.0mmの範囲内であり、その外径は概ね0.2〜2.0mmの範囲内である。
【0028】
耐圧性に優れ、仮に破裂したときでも拡張機能部1の周方向へ破断しにくい拡張用バルーンを得るうえからは、パリソンの水分含有率を0.6質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以下とすることが更に好ましい。この水分含有率の下限は、生産性や生産コスト等を勘案して、例えば0.1質量%程度等、適宜選定可能である。有機高分子材料としてポリアミド系エラストマー等を用いる場合、当該有機高分子材料は比較的多くの水分を含有しているので、その水分含有率が上記の範囲内となるように予め真空乾燥等の処理を施すことが好ましい。また、乾燥処理後に吸湿しないように、保存は例えばデシケータ中で行うことが好ましい。
【0029】
(第2工程)
第2工程では上記のパリソンをブロー成形して拡張用バルーン10の一次成形品を得る。このとき使用するブロー成形機は、拡張用バルーン10の外形に対応した内部空間を有する金型を有し、この金型内でパリソン内にブロー圧力をかけながら当該パリソンを長手軸方向に延伸することができる機構を有するものである。
【0030】
上記のブロー成形機を用いて行う、拡張用バルーン10の一次成形品の作製は、例えば下記(i)〜(iii) のサブ工程を順次行うことによって実施することができる。
【0031】
(i)所定長にカットしたパリソンをブロー成形機にセットする。パリソンの長さは、概ね10〜40cmの範囲内で適宜選定可能である。
【0032】
(ii)パリソンに後述するブロー圧力をかけながら、ブロー成形を行う後述の温度にまで金型を加熱する。
【0033】
(iii) 金型温度が目標温度に達したら、金型温度とブロー圧力とを所定の値に調整しつつ、パリソンの長手軸方向の両端を固定しているチャックをそのまま前記長手軸方向に沿って外側に移動させて、パリソンをブロー成形する。このとき、パリソンは、先ず長手軸方向に延伸され、その途中で径方向にも延伸される。ブロー成形時のブロー圧力は、概ね1.0〜5.0MPaの範囲内で適宜選定可能であり、金型温度は、パリソンの材料として用いた有機高分子材料の0.46MPa加重時における熱変形温度(ASTM D 648による。)を基準にして当該熱変形温度から概ね−20℃〜+30℃の範囲内で適宜選定可能である。パリソンの材料が前述したPEBAX7233SA01である場合、ブロー圧力は例えば2.6MPaとすることができ、金型温度は例えば100℃とすることができる。また、延伸速度は、概ね10〜200mm/秒の範囲内で適宜選定され、その移動距離は片側当たり概ね0.5〜50mm(全体で1〜100mm)の範囲内で適宜選定可能である。
【0034】
上述した(i)〜(iii) のサブ工程を順次行うことにより、拡張用バルーン10の一次成形品が得られる。この一次成形品は拡張用バルーン10と同様の形状を有しているが、第2縮径部での肉厚分布が拡張用バルーン10での肉厚分布と異なる。
【0035】
耐圧性に優れ、仮に破裂したときでも拡張機能部1の周方向に破断しにくい拡張用バルーンを最終的に得るうえからは、長手軸方向へのパリソンの延伸長が目標延伸長(延伸後の長さと延伸前の長さとの差)の30〜50%に達した時点で径方向への膨張(延伸)が開始されるように制御することが好ましい。この制御は、金型温度を上記の熱変形温度とした場合には、パリソンの材料、内径、外径、肉厚等に応じてブロー圧力を概ね2.2〜2.4MPaの範囲内で適宜選定することによって行うことができる。また、金型温度を上記熱変形温度に対して−10℃〜+10℃の範囲内とし、かつ、ブロー圧力を1.5〜3.5MPaの範囲内とした場合には、パリソンの材料、内径、外径、肉厚等に応じて金型温度を適宜上げ、ブロー圧力を適宜下げるか、金型温度を適宜下げ、ブロー圧力を適宜上げることで、上記の制御を行うことができる。
【0036】
(第3工程)
第3工程では、第2縮径部7での肉厚分布が前述のようになっている拡張用バルーン10を得るために、上記の一次成形品をブロー成形機から取り出すことなく、このブロー成形機を用いて一次成形品を再延伸する。再延伸は、内圧を上記(iii) のサブ工程でのブロー圧力の概ね70〜95%にし、金型温度を上記(iii) のサブ工程での温度から概ね5〜30℃高い温度にして、一次成形品を上記長手軸方向に延伸することによって行う。
【0037】
当該再延伸時における延伸長は、基端部5側および先端部9側それぞれにおいて概ね3〜20mm(全体で6〜40mm)の範囲内で適宜選定可能であり、このときの延伸速度は概ね50〜160mm/秒の範囲内で適宜選定可能である。パリソンの材料が前述したPEBAX7233SA01である場合、再延伸時の内圧は例えば2.2MPaとすることができ、金型温度は例えば120℃とすることができる。
【0038】
上述した第1〜第3工程を順次行い、その後、再延伸した一次成形品を必要に応じて所望長にカットすることにより、目的とする拡張用バルーン10を得ることができる。ただし、再延伸後には、金型を再延伸時の温度から概ね5〜20℃高い温度にまで昇温し、この温度で10〜60秒程度保持した後に概ね1〜5℃/秒の降温速度で15〜40℃程度にまで急冷することが好ましい。パリソンの材料が前述したPEBAX7233SA01である場合、上記の昇温は例えば金型温度が135℃となるまで行い、上記急冷の到達温度は例えば33℃とすることができる。また、急冷後には、アニール処理を施すことが好ましい。このアニール処理は、大気雰囲気中、概ね30〜80℃、概ね1〜48時間の熱処理によって行うことができる。
【0039】
耐圧性に優れ、仮に破裂したときでも拡張機能部1の周方向に破断しにくい拡張用バルーンを得るうえからは、パリソンの長手軸方向への延伸倍率に対し、パリソンの径方向への延伸倍率を160%以下にすることが好ましい。パリソンの材料がポリアミド系エラストマーである場合には、径方向への延伸倍率を概ね3.5〜5.0倍とし、長手軸方向への延伸倍率を概ね3.0〜4.0倍とすることが好ましい。
【0040】
なお、本発明でいう「パリソンの径方向の延伸倍率」は、パリソンと当該パリソンから得られた拡張用バルーンでの拡張機能それぞれの断面について、当該断面の面積(ただし、中空領域の断面積を除く。)を互いに面積が等しい内側領域と外側領域とに等分することができる円周の径を求め、これらの径に基づいて求めた値である。また、「パリソンの長手軸方向の延伸倍率」は、得られた拡張用バルーンでの拡張機能部の全長と当該拡張機能部を構成したパリソンの全長とに基づいて求めた値である。
【0041】
<本発明のバルーンカテーテルに係る実施形態>
図2(A)および図2(B)は、本発明のバルーンカテーテルに係る一実施形態を概略的に示す。図2(A)は、本実施形態のバルーンカテーテルを真っ直ぐにしたときの状態を概略的に示し、図2(B)は、図2(A)に示したバルーンカテーテル70の部分断面を概略的に示す。これらの図に示したバルーンカテーテル70は、図1(A)および図1(B)に示した拡張用バルーン10を用いた血管拡張用バルーンカテーテル(以下、「血管拡張用バルーンカテーテル70」という。)である。
【0042】
図示の血管拡張用バルーンカテーテル70では、拡張用バルーン10の基端部5がカテーテルチューブ40の遠位端側に接合されている。カテーテルチューブ40は、ディスタールシャフト20とプロキシマルシャフト30とを有しており、ディスタールシャフト20の遠位端部に拡張用バルーン10が接合され、このディスタールシャフト20の近位端がプロキシマルシャフト30の遠位端に接合されている。プロキシマルシャフト30の近位端は、コネクタ50に接合されている。
【0043】
拡張用バルーン10の構造については既に説明したので、ここでは省略する。
ディスタールシャフト20は、外チューブ22内に内チューブ25が配置された2重構造(いわゆる同軸カテーテルチューブ構造)の管状物である。当該ディスタールシャフト20を構成している外チューブ22の遠位端に、拡張用バルーン10の近位端(基端部5)が熱融着、接着等の方法によって接合され、当該外チューブ22の近位端が、プロキシマルシャフト30の遠位端に接着等の方法によって接合されている。
【0044】
外チューブ22の長さは、血管拡張用バルーンカテーテル70の用途に応じて適宜選定可能であり、概ね100〜400mmの範囲内、好ましくは概ね200〜300mmの範囲内で選定される。また、外チューブ22の外径は、概ね0.5〜5.0mmの範囲内で選定することが好ましく、概ね0.5〜1.0mmの範囲内で選定することが更に好ましい。外チューブ22の肉厚も適宜選定可能であるが、概ね0.05〜0.5mmの範囲内で選定することが好ましく、概ね0.1〜0.2mmの範囲内で選定することが更に好ましい。
【0045】
このような外チューブ22は、可撓性を有する有機高分子材料で形成されていることが好ましく、その具体例としては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド等、ショアA硬度が50〜90程度のものを用いることが好ましい。なお、ここでいう「ショアA硬度」とは、JIS K−7215での規定に基づいて計測される物性値を意味する。
【0046】
一方、ディスタールシャフト20を構成している内チューブ25は、外チューブ22における近位端側の外周面から当該外チューブ22内および拡張用バルーン10内を経て、拡張用バルーン10の外部にまで達しており、その近位端は熱融着、接着等の方法によって外チューブ22の外周壁に接合されて、外チューブ22の外周面に開口している。また、内チューブ25の遠位端近傍には、拡張用バルーン10の遠位端(先端部9)が熱融着、接着等の方法によって接合されており、当該内チューブ25の遠位端が血管拡張用バルーンカテーテル70の遠位端となっている。内チューブ25には、血管拡張用バルーンカテーテル70を血管内に挿入する際に利用されるガイドワイヤ60が通される。
【0047】
上記の内チューブ25は、外チューブ22と同様の材料によって形成することができるが、外チューブ22よりも硬質の合成樹脂によって形成することもできる。当該内チューブ25の外径は、外チューブ22の内周面との間に隙間が形成されるように、例えば概ね0.3〜3.0mmの範囲内で選定することが好ましく、概ね0.3〜0.8mmの範囲内で選定することが更に好ましい。また、内チューブ25の内径は、ガイドワイヤ60を挿入することができる大きさであればよく、例えば概ね0.1〜1.0mmの範囲内で、好ましくは概ね0.25〜0.6mmの範囲内で選定可能である。
【0048】
プロキシマルシャフト30は、継ぎ目のない管状のシャフトであり、例えばオーステナイト系ステンレス鋼やニッケル−チタン合金等の金属材料によって形成される。必要に応じて、外周面上にフッ素樹脂等の固体潤滑剤層(図示せず。)が形成される。
【0049】
図2(B)に示すように、プロキシマルシャフト30の遠位端側には、他の部分よりも曲げ剛性の低い低剛性領域32を形成することが好ましい。図示の例では、プロキシマルシャフト30の長手方向の一端を、当該一端での端面がプロキシマルシャフト30の長手軸方向から傾いた面となるように成形することにより、低剛性領域32が形成されている。プロキシマルシャフト30の遠位端側に低剛性領域32を設けることにより、プロキシマルシャフト30とディスタールシャフト20との境界部での曲げ剛性の急激な変化が抑制されるので、血管拡張用バルーンカテーテル70を患者の体内管腔(血管)に挿入する際にディスタールシャフト20に潰れやキンクが生じることが抑制される。
【0050】
低剛性領域32を機械的に保護してその破損を防ぐと共に、ディスタールシャフト20の内面が低剛性領域32によって傷つけられるのを防止するために、必要に応じて、低剛性領域32の周囲に補強チューブ(図示せず。)を被覆させることもできる。この補強チューブは、プロキシマルシャフト30における低剛性領域32側の開口を閉塞しないようにして被覆される。このとき、低剛性領域32に対する補強チューブの被覆率は、できるだけ高くすることが好ましい。
【0051】
このような補強チューブは、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂によって形成され、プロキシマルシャフトの外周面の所定領域上に被覆される。補強チューブの内径は、プロキシマルシャフト30の外周面の所定領域上に被覆させることができるように、プロキシマルシャフト30の外径に応じて適宜選定される。また、補強チューブの肉厚は、概ね10〜200μmの範囲内で選定することが好ましく、概ね30〜100μmの範囲内で選定することが更に好ましい。補強チューブの引張り強度は27MPa以上であることが好ましく、90MPa以上であることが更に好ましい。また、その曲げ強度は34MPa以上であることが好ましく、130MPa以上であることが更に好ましい。
【0052】
上述した拡張用バルーン10の内部空間、ディスタールシャフト20(内チューブ25を除く。)の内部空間、および、プロキシマルシャフト30の内部空間は互いに連なって1つの空間を形成しており、この空間を利用して、プロキシマルシャフト30の近位端側から拡張用バルーン10への流体の供給、および拡張用バルーン10からの流体の排出を行うことができる。
【0053】
なお、拡張用バルーン10内における内チューブ25の外周面には、例えば金、白金、タングステン等の金属材料によって形成された造影リング(図示せず。)を装着することができる。この造影リングを装着することによって、血管拡張用バルーンカテーテル70を患者の体内に挿入する際に、患者の体内での拡張用バルーン10の位置をX線撮影等により正確に把握することが可能になる。
【0054】
上述した構成を有する血管拡張用バルーンカテーテル70の使用前の段階では、拡張用バルーン10はその外径が極力小さくなるように、例えば3つの羽根をもつ形状に折られた後にこれらの羽根で内チューブ25を巻き込むようにして折り畳まれている。このとき、第1縮径部3および第2縮径部7においては、拡張機能部1に近い領域で上記の羽根同士が重なり合う。そのため、拡張用バルーン10を低プロファイル性に優れたものにするためには、第1および第2縮径部3、7における拡張機能部1に近い領域の肉厚を薄くすることが必要である。第1および第2縮径部3、7における拡張機能部1から遠い領域は、上記の羽根同士の重なり合いが起こらないので、その肉厚が多少厚くても、拡張機能部1が折り畳まれた部分よりも外径が大きくならない。
【0055】
血管拡張用バルーンカテーテル70を使用するにあたっては、まずガイドワイヤ60が患者の血管内に挿入され、その後、このガイドワイヤ60の一端側が内チューブ25の遠位端から当該内チューブ25内に通される。血管内への血管拡張用バルーンカテーテル70の挿入は、折り畳まれた拡張用バルーン10が血管の狭窄部または閉塞部に達するまで、ガイドワイヤ60に沿って拡張用バルーン10側から血管内に押し込むことによって行われる。このとき、拡張用バルーン10が低プロファイル性に優れたものであるほど、血管の狭窄部または閉塞部への挿入が容易になる。
【0056】
拡張用バルーン10が血管の狭窄部または閉塞部にまで達したら、拡張用バルーン10内にプロキシマルシャフト30の近位端側から流体を注入して当該拡張用バルーン10を膨らませ、これによって狭窄部または閉塞部を内側から強制的に拡張させる。この後、注入した流体を排出して拡張用バルーン10を萎ませ、血管拡張用バルーンカテーテル70を血管から抜去する。血管内に複数の狭窄部または閉塞部が生じている場合や、1つの狭窄部または閉塞部の全長が拡張用バルーンの全長よりも長い場合等においては、必要に応じて、或る箇所で拡張用バルーン10を膨らませた後に当該拡張用バルーン10を萎ませて移動させ、他の箇所で再び拡張用バルーン10を膨らませる。
【0057】
膨らませた拡張用バルーン10を萎ませると、その形状は、内チューブ25を境にして当該内チューブ25の両側にそれぞれ1枚の羽根を有する形状になる。上述のように、一旦膨らませた拡張用バルーン10を萎ませて血管内の他の箇所に当該拡張用バルーン10を移動させた後に再び拡張用バルーン10を膨らませることが必要な場合には、上記2枚の羽根を有する形状のまま拡張用バルーン10を狭窄部または閉塞部に挿入することになる。このとき、第2縮径部7での内チューブ25近傍部分(すなわち、先端部9近傍部分)が狭窄部または閉塞部に突き当たる。
【0058】
この場合において、上述した拡張用バルーン10では第2縮径部7における先端部9側の肉厚が比較的厚いので、当該第2縮径部7にかかる力が拡張用バルーン10全体に伝えられる。その一方で、第2縮径部7における拡張機能部1側の肉厚が比較的薄いことから、狭窄部または閉塞部を突き進むに従って2枚の羽根が内チューブ25を巻き込むように変形する。これらの結果として、血管拡張用バルーンカテーテル70(拡張用バルーン10)では高いリクロス性が得られる。
【0059】
第2縮径部7の先端部9側の肉厚が薄いと、萎ませた拡張用バルーン10を狭窄部または閉塞部に再度挿入する際に第2縮径部7が潰れるよう変形してしまうので、当該第2縮径部7にかかる力が拡張用バルーン10の他の部位に伝わらず、2枚の羽根が内チューブ25を巻き込むような変形が起こらない。そのため、狭窄部または閉塞部を突き進むに従って拡張用バルーン10がだぶつくようになり、リクロス性が低下する。
【0060】
なお、ディスタールシャフト20の外周は、血管拡張用バルーンカテーテル70を血管内に挿入する際の摩擦を低減させるという観点から、潤滑性を有する親水性高分子物質で被覆することが好ましい。拡張用バルーン10の外周を前記親水性高分子物質で被覆することも可能であるが、血管の狭窄部を拡張する際に当該狭窄部に対して拡張用バルーン10が滑ることは必ずしも好ましくはない。
【0061】
上記の親水性高分子物質には、天然高分子系のものと、合成高分子系のものとがある。天然高分子系のものとしては、デンプン系、セルロース系、タンニン・リグニン系、多糖類系、タンパク質系等が例示される。合成高分子系のものとしては、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキサイド系、アクリル酸系、無水マレイン酸系、フタル酸系、水溶性ポリエステル、ケトンアルデヒド樹脂、(メタ)アクリルアミド系、ポリアミン系、水溶性ナイロン系等が例示される。
【0062】
これらのなかでも、セルロース系高分子物質(例えばヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(例えばポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えばメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えばポリジメチルアクリルアミド)は、低摩擦係数の被膜が安定して得られるので、上記の親水性高分子物質として特に好ましい。
【0063】
【実施例】
<実施例1>
まず、ポリアミド系エラストマー(商品名PEBAX7233SA01(アトフィナケミカルズ社製))を押出し成形して、内径0.51mm、外径0.90mmのチューブを得た。上記のポリアミド系エラストマーは、0.46MPa加重時における熱変形温度(ASTM D 648による。)が106℃の有機高分子材料である。
【0064】
次に、上記のチューブを長さ30cmに切断し、80℃、1時間の条件の下に真空乾燥を行い、その後、デシケータ中に1時間放置して、水分含有率が0.5質量%のパリソンを得た。
【0065】
このパリソンをブロー成形機にセットし、金型温度100℃、ブロー圧力2.6MPa、長手軸方向の延伸速度160mm/秒、長手軸方向の延伸長70mm(片側35mmずつ)の条件の下にブロー成形を行って、目的とする拡張用バルーンの一次成形品を得た。
【0066】
次いで、金型温度を115℃にまで昇温させ、内圧を2.2MPaにまで下げてから上記の一次成形品を長手軸方向へ更に10mm(片側5mmずつ)延伸することによって再延伸を行い、目的とする拡張用バルーンの二次成形品を得た。この後、金型温度を130℃にまで上げ、この温度で20秒間保持した後に2℃/秒の降温速度で33℃にまで急冷した。また、急冷後の二次成形品をオーブンに入れ、55℃、1時間の条件の下にアニール処理を施した。そして、アニール処理した二次成形品を所定長に切断して、目的とする拡張用バルーンを得た。
【0067】
この拡張用バルーンは、図1(A)および図1(B)に示した拡張用バルーン10と同様の形状を有しており、その拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は3.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは22μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は3.00mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは39μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは25μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは1.77であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは1.14である。
【0068】
<比較例1>
再延伸時の内圧を2.6MPaとした以外は実施例1と同様にして、実施例1で得た拡張用バルーンと同様の形状を有する拡張用バルーンを得た。
この拡張用バルーンにおける拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は3.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは22μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は3.00mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは34μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは24μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは本発明の限定範囲外の1.54であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは1.09である。
【0069】
<比較例2>
再延伸を行わなかった以外は実施例1と同様にして、実施例1で得た拡張用バルーンと同様の形状を有する拡張用バルーンを得た。
この拡張用バルーンにおける拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部1を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は3.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは23μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は3.00mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは42μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは30μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは1.83であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは本発明の限定範囲外の1.30である。
【0070】
<実施例2>
パリソンの内径を0.71mm、外径を1.23mmにすると共に、ブロー成形機の金型を交換し、更に、ブロー成形時の長手軸方向への延伸長を90mm(片側45mmずつ)にし、他は実施例1と同様にして、拡張用バルーンを得た。この拡張用バルーンにおける拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は4.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは26μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は5.10mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは47μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは29μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは1.81であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは1.12である。
【0071】
<比較例3>
再延伸時の内圧を2.6MPaとした以外は実施例2と同様にして、実施例2で得た拡張用バルーンと同様の形状を有する拡張用バルーンを得た。
この拡張用バルーンにおける拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は4.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは26μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は5.10mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは39μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは28μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは本発明の限定範囲外の1.50であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは1.08である。
【0072】
<比較例4>
再延伸を行わなかった以外は実施例2と同様にして、実施例2で得た拡張用バルーンと同様の形状を有する拡張用バルーンを得た。
この拡張用バルーンにおける拡張機能部の長さは15mm、拡張機能部を拡張させて円筒状に変形させたときの外径は4.0mm、拡張機能部の肉厚Tcは26μmである。また、第2縮径部の長さ(縮径形状に沿った長さ)は5.10mmであり、第2縮径部での先端部側三等分点での肉厚Taは50μm、拡張機能部側三等分点での肉厚Tbは35μmである。したがって、肉厚Taと肉厚Tcとの比Ta/Tcは1.92であり、肉厚Tbと肉厚Tcとの比Tb/Tcは本発明の限定範囲外の1.35である。
【0073】
<評価>
(1)低プロファイル性
まず、実施例1〜2および比較例1〜4で得られた各拡張用バルーンを用いて、それぞれ、図2(A)および図2(B)に示す構造の血管拡張用バルーンカテーテルを組立て、拡張用バルーンを3枚の羽根を有する形状に折ってから、これら3枚の羽根で内チューブを巻き込むようにして当該拡張用バルーンを折り畳んだ。
【0074】
次に、折り畳んだ拡張用バルーンにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の熱収縮チューブを被せて50℃で4時間放置することにより、折り畳んだ拡張用バルーンの形状を固定した。
【0075】
この後、室温にまで冷却して熱収縮チューブを取り除き、折り畳まれた拡張用バルーンが通過可能な径(以下、「プロファイル径」という。)を、ホールゲージを用いて0.01mm間隔で測定して、各拡張用バルーンの低プロファイル性を相対的に評価した。評価結果を、各拡張用バルーンでの肉厚比Ta/Tc、Tb/Tcと共に表1に示す。
【0076】
(2)リクロス性
まず、リクロス性を評価するために、図3に示す器具100を用意した。この器具100は、合成樹脂製の平板101の片面に、曲率半径25mmで90°湾曲した湾曲部105aを有する溝105を形成したものである。溝105の断面形状は半円形であり、上端での幅は4.5mmである。
【0077】
リクロス性を評価するにあたっては、先ず、評価対象の拡張用バルーン毎に、当該拡張用バルーンでの拡張機能部の外径(円筒状に変形させたときの外径)と等しい内径を有する第1のPTFE製チューブ110を上記の湾曲部105aに配置した。当該第1のPTFE製チューブ110の全長は25mmである。また、外径0.36mmのガイドワイヤ115を上記のPTFE製チューブ110に通し、当該ガイドワイヤ115を溝105の全長に亘って延在させた。
【0078】
次に、上記(1)の低プロファイル性の評価の際に用いた血管拡張用バルーンカテーテル120の内チューブにガイドワイヤ115の一端側の領域を通し、ガイドワイヤ115に沿って血管拡張用バルーンカテーテル120を溝105内に挿入し、拡張用バルーンを第1のPTFE製チューブ110内に位置させた。この状態で、血管拡張用バルーンカテーテル120のコネクタにインデフレータ(図示せず。)を接続し、拡張用バルーンに内圧が2.0MPaとなるように生理食塩水を注入して当該拡張用バルーンを膨らませて30秒間保持した後、生理食塩水を排出して拡張用バルーンを萎ませた。これにより、拡張用バルーンは2枚の羽根を有する形状に変形した。
【0079】
次に、第1のPTFE製チューブ110から拡張用バルーンを抜き、第1のPTFE製チューブ110をより細径の第2のPTFE製チューブ(図示せず。)、すなわち、上記(1)の低プロファイル性の評価の際に実施例1〜2および比較例1〜4の各拡張用バルーンについて求めたプロファイル径と等しい内径を有するPTFE製チューブに交換した。
【0080】
この後、血管拡張用バルーンカテーテル120の遠位端から200mmの距離にある箇所を把持しながら、第1のPTFE製チューブ110に拡張用バルーンを挿入する際と同じ手順で第2のPTFE製チューブへの拡張用バルーンの再挿入を試みた。このとき、血管拡張用バルーンカテーテル120のディスタールシャフトが湾曲したものについては、「再挿入不能」と判断した。
【0081】
再挿入することができなかった場合には、第2のPTFE製チューブの内径を0.1mmずつ大きなものに交換しながら同様の操作を繰り返して、拡張用バルーンを再挿入することができたときの第2のPTFE製チューブの内径を記録した。また、再挿入時に拡張用バルーンの2枚の羽根が折り畳まれたか否かを確認した。
【0082】
リクロス性の評価は、拡張用バルーンを挿入することができたときの第2のPTFE製チューブの内径の値と、再挿入時の拡張用バルーンの形状(2枚の羽根が折り畳まれたか否か)とに基づいて行い、第2のPTFE製チューブの内径の値が小さいものほど、また、再挿入時に拡張用バルーンの2枚の羽根が折り畳まれたものほど、リクロス性に優れていると判断した。結果を表1に併記する。
【0083】
【表1】
Figure 2004298356
【0084】
表1から明らかなように、拡張機能部の外径が等しいもの同士の比較では、実施例1〜2で得られた各拡張用バルーンは低プロファイル性およびリクロス性のいずれにも優れており、比較例1〜4で得られた拡張用バルーンは、低プロファイル性またはリクロス性が相対的に劣る。
【0085】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、低プロファイル性に優れ、かつ、リクロス性にも優れた拡張用バルーン、および当該拡張用バルーンを備えたバルーンカテーテルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の拡張用バルーンに係る一実施形態を概略的に示す側面図であり、図1(B)は、図1(A)に示した拡張用バルーンの断面構造を示す概略図である。
【図2】図2(A)は、本発明に係る一実施形態のバルーンカテーテルを真っ直ぐにしたときの状態を概略的に示し、図2(B)は、図2(A)に示したバルーンカテーテルの部分断面を概略的に示す。
【図3】拡張用バルーンのリクロス性を評価するにあたって用いた器具の概略図である。
【符号の説明】
1 拡張機能部
3 第1縮径部
5 基端部
7 第2縮径部
9 先端部
10 拡張用バルーン
20 カテーテルチューブ
70 血管拡張用バルーンカテーテル
A 先端部側三等分点
B 拡張機能部側三等分点

Claims (2)

  1. 径を拡張させて円筒状に変形させることが可能な拡張機能部と、前記拡張機能部の一端に連なり、該拡張機能部から離れるに従って径が漸次減少している第1縮径部と、前記第1縮径部に連なった直胴状の基端部と、前記拡張機能部の他端に連なり、該拡張機能部から離れるに従って径が漸次減少している第2縮径部と、前記第2縮径部に連なった直胴状の先端部とを有し、前記拡張機能部、前記第1縮径部、前記基端部、前記第2縮径部、および前記先端部が有機高分子材料からなり、かつ、一体に成形されている拡張用バルーンであって、
    前記第2縮径部における先端部側三等分点での肉厚Taと前記拡張機能部の肉厚Tcとの比Ta/Tcが1.60以上であり、かつ、前記第2縮径部における拡張機能部側三等分点での肉厚Tbと前記拡張機能部の肉厚Tcとの比Tb/Tcが1.20以下である拡張用バルーン。
  2. カテーテルチューブの遠位端部に拡張用バルーンが取り付けられたバルーンカテーテルであって、前記拡張用バルーンが請求項1に記載の拡張用バルーンであるバルーンカテーテル。
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