JPH10314297A - バルーンカテーテル及びそれに用いるバルーンの製造方法 - Google Patents

バルーンカテーテル及びそれに用いるバルーンの製造方法

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JPH10314297A
JPH10314297A JP9125672A JP12567297A JPH10314297A JP H10314297 A JPH10314297 A JP H10314297A JP 9125672 A JP9125672 A JP 9125672A JP 12567297 A JP12567297 A JP 12567297A JP H10314297 A JPH10314297 A JP H10314297A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルーンの破壊圧のバラツキ(標準偏差)を
小さく抑えることにより、肉薄バルーンであっても、F
DAガイドラインに定義された定格破壊圧を高くし、バ
ルーンの伸び性に関して、医療現場で最も要求されるノ
ンコンプライアント(Non-Compliant )からセミコンプ
ライアント(Semi-Compliant)の範囲の特性を持つバル
ーンを精度よく容易に実現し、及びバルーンが柔軟性を
維持し、ピンホールや再折り畳み時のウィンギングが発
生しないバルーンカテーテル及びそれに用いるバルーン
の製造方法を提供する。 【解決手段】 カテーテルシャフトの遠位端にバルーン
を設けたバルーンカテーテルであって、前記バルーン
が、引張強さが300kg/cm2 以上、伸びが600
%以下、ショア硬度が50D以上の範囲の物性をもつ熱
可塑性エラストマーでそのソフトセグメントがポリエス
テルから構成される材質で作製した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バルーンカテーテ
ル及びそれに用いるバルーンの製造方法に係わり、更に
詳しくは末梢血管成形、冠状動脈血管成形及び弁膜成形
を含む経皮的内腔手術において血管内狭窄部を拡張治療
し、末梢側血流を改善するために使用するバルーンカテ
ーテル及びそれに用いるバルーンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血管などの脈管において狭窄あるいは閉
塞が生じた場合、脈管の狭窄部位あるいは閉塞部位を拡
張して、血管末梢側の血流を改善するために行う脈管成
形術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplast
y PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Ang
ioplasty等)は、多くの医療機関において多数の術例が
あり、この種の症例における手術としては一般的になっ
ている。
【0003】バルーンカテーテルは、主に冠状動脈の狭
窄部位を拡張するために、ガイドカテーテルとガイドワ
イヤーとのセットで使用される。このバルーンカテーテ
ルを用いた脈管成形術は、まずガイドカテーテルを大腿
動脈から挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口に先端を
位置させた後、バルーンカテーテルを貫通させたガイド
ワイヤーを冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させ、それ
からバルーンカテーテルをガイドワイヤーに沿って前進
させ、バルーンを狭窄部位に位置させた状態で膨張させ
て狭窄部位を拡張する手順で行い、そしてバルーンを収
縮させて体外に除去するのである。しかし、バルーンカ
テーテルは、動脈狭窄の治療だけに限定されず、血管の
中への挿入、並びに種々の体腔への挿入を含む多くの医
療的用途に有用である。
【0004】従来からバルーンカテーテルに用いるバル
ーンの特性とその製造方法は各種提案されている。例え
ば、特公平3−63908号公報(高分子量の二軸配向
された可撓性重合体のカテーテルバルーンの製造法)に
は、ポリエチレンテレフタレートホモポリエテルからな
る材料を二軸延伸して、バルーン壁の引張強度を向上さ
せたバルーンが開示されいるが、このポリエチレンテレ
フタレートホモポリエステルは結晶性が非常に高い材料
であるため、それによりできたバルーンは硬く、その
為、ピンホール、再折り畳み時のウィンギング(半径方
向外方に鳥の翼のように折畳み部分が拡がる現象)が大
きな問題であった。
【0005】また、特開平3−57462号公報(医療
器具用バルーン及びその成形)には、ナイロン材料又は
ポリアミド材料のチューブに二軸配向を加え、その径方
向の配向(延伸率)によってその伸び性(膨張プロファ
イル)をコンプライアント(Compliant )からノンコン
プライアント(Non-Compliant )までの希望する特性に
制御することが可能で、その可能にし得る材料としてナ
イロン、ポリアミド材料を挙げている。しかし、ナイロ
ン自体も結晶性の高い樹脂であるため、これより作った
バルーンの肉厚が20μmを越えると再折り畳み時のウ
ィンギングが問題となっていた。また、ナイロン、ポリ
アミド材料からバルーンを成形する場合、その破壊圧の
バラツキが大きい、即ち標準偏差が大きいため、直径
3.0mmφのバルーンで肉厚を20μm以下にした場
合、FDAガイドラインに定義された定格破壊圧は、1
2atmを実現するのが限界であった。
【0006】また、特開平6−304920号公報(弾
性応力レスポンスを持つ拡張性の膨張バルーンとその製
造法)には、ポリマ−鎖の個々の部分が巻きほぐれる能
力の有る領域によって分離された分子鎖間の相互作用の
領域を有するブロックコポリマーを使用して、バルーン
を作る技術が記載されているが、この発明の目的は弾性
応力レスポンス、引張強さを向上させること(平均破壊
圧を高めること)であって、特に50〜60℃の加熱で
滅菌する場合にもバルーンの熱収縮に起因する再折り畳
み時のウィンギングが発生しなようにすることを主たる
目的としたものである。尚、この公報に例示さているブ
ロックコポリマー材料の全てのソフトセグメントはポリ
エーテルである。
【0007】更に、WO 95/23619の公報に
は、ポリアミド若しくはポリエステル系熱可塑性エラス
トマーからバルーンを作ることが開示されている。これ
らの熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントがポリ
アミド若しくはポリエステル、ソフトセグメントがポリ
エーテルであることを特徴とするものである。この発明
の目的は、これらの熱可塑性エラストマーを用いること
により、高い壁引張強度、薄い肉厚、コンプライアント
からセミコンプライアント(Semi-Compliant)の特性を
有するバルーンを作ることである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が前述
の状況に鑑み、解決しようとするところは、従来のバル
ーンの材料及び製造方法に対する比較検討を行い、バル
ーンカテーテル用のバルーンとしては新規な材料を見出
し、従来の諸問題点を解決しつつ医療現場の要求に適応
できるバルーンカテーテル及びそれに用いるバルーンの
製造方法を提供することを目的とする。具体的には、本
発明の第1の目的は、バルーンの破壊圧のバラツキ(標
準偏差)を小さく抑えることにより、肉薄バルーンであ
っても、FDAガイドラインに定義された定格破壊圧つ
まり保証耐圧を高くすることである。また、本発明の第
2の目的は、バルーンの伸び性に関して、医療現場で最
も要求されるノンコンプライアント(Non-Compliant )
からセミコンプライアント(Semi-Compliant)の範囲の
特性を持つバルーンを精度よく容易に実現することであ
る。また、本発明の第3の目的は、バルーンが柔軟性を
維持し、ピンホールや再折り畳み時のウィンギングが発
生しないことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題解決
のために、カテーテルシャフトの遠位端にバルーンを設
けたバルーンカテーテルであって、前記バルーンが、引
張強さが300kg/cm2 以上(ASTM D638
法による)、伸びが600%以下(ASTMD638法
による)、ショア硬度(Dスケール)が50D以上の範
囲の物性をもつ熱可塑性エラストマーでそのソフトセグ
メントがポリエステルから構成される材質で作られたこ
とを特徴とするバルーンカテーテルを構成した。
【0010】そして、本発明は、カテーテルシャフトの
遠位端に設けるバルーンの製造方法であって、引張強さ
が300kg/cm2 以上(ASTM D638法によ
る)、伸びが600%以下(ASTM D638法によ
る)、ショア硬度(Dスケール)が50D以上の範囲の
物性をもつ熱可塑性エラストマーでそのソフトセグメン
トがポリエステルから構成される材質を用い、バルーン
パリソンを、室温から該熱可塑性エラストマーの熱変形
温度の80%の温度の範囲内の温度で、軸方向に2倍以
上延伸する工程と、加圧気体若しくは液体により径方向
に複数段階、延伸する工程とを含み、該径方向の延伸
は、1段階あたりの延伸率(延伸後の外径/延伸前の外
径)が1.2〜2.5の範囲にあることを特徴とするバ
ルーンの製造方法を提供するものである。
【0011】ここで、前記バルーンは、拡張時の外径が
3.5mmφ以下、肉厚が20μm以下の場合、定格破
壊圧が12atm以上、18atm以下であることが好
ましい。また、前記熱可塑性エラストマーのハードセグ
メントが、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンの
内から選ばれた1種であることが好ましい。
【0012】ここで、バルーンの拡張時の伸び性におい
て、拡張圧力を約6atmから約12atmに増加させ
た場合に、バルーンの直径が2〜7%増加する場合をノ
ンコンプライアント(Non-Compliant )、7〜16%増
加する場合をセミコンプライアント(Semi-Complian
t)、16〜40%増加する場合をコンプライアント(C
ompliant )と定義するのが一般的である。
【0013】また、FDAガイドラインに定義された定
格破壊圧とは、統計的に少なくとも95%の信頼度で9
9.9%のバルーンが最低破壊圧において又はそれ以下
で破裂しないことを保証するものであり、以下の式によ
って定める。 最低破壊圧=X−K×SD ここで、Kは係数で、確率P、信頼度C、テストするバ
ルーンの数nによって異なり表にされており、本発明に
おいてはP=0.999(99.9%)、C=0.95
(95%)、n=50としているので、表からK=3.
766となる。また、Xはバルーンの平均破壊圧、SD
は標準偏差である。そして、定格破壊圧は上式によって
求められた最低破壊圧を用いて、次式で表される。 定格破壊圧=最低破壊圧−SD
【0014】
【発明の実施の形態】本発明では、ASTM D638
法による引張強さが300kg/cm2 以上、伸びが6
00%以下、ショア硬度(Dスケール)が50D以上の
範囲の物性をもつ熱可塑性エラストマーを用いてバルー
ンを成形する。一般的に、熱可塑性エラストマーは結晶
性の高いハードセグメントと結晶性の低いソフトセグメ
ントよりなり、これを用いてブロー成形を行い、バルー
ンカテーテルのバルーンを作った場合、ハードセグメン
トの結晶性、若しくは周りの分子のハードセグメントと
の結合力が壁引張強度に大きく寄与する。また、ソフト
セグメント内の構造、例えば極性基や、脂肪族の長さ等
もコンプライアンス性やその他の物性に大きく影響を与
える。従ってソフトセグメント内の構造、物性もハード
セグメントと同様に重要である。
【0015】コンプライアンス性は、特開平3−574
62号公報に開示されている通り、ナイロンの様な結晶
性の高い部分のみからなるバルーンの場合、ブロー成形
時の径方向の延伸率によって大きく影響を受ける。特に
ナイロンの様な材料からバルーンを作った場合、コンプ
ライアントからノンコンプライアントまでの広範囲を径
方向の延伸率で調整可能であるが、広範囲調整可能とい
うことはある1つの伸び性に調整する時、正確な微調整
が難しいことを意味する。特に、再狭窄を防止するため
に血管内に残置するステントが紹介されてからは、バル
ーンの伸び性は主にセミコンプライアントからノンコン
プライアントな範囲が重要となってきている。
【0016】WO 90/01302の公報では、引張
強さ向上と、PTCA用バルーンに望まれる伸び率を持
たせることを目的にポリウレタン系エラストマーを用い
たバルーンに関することが開示されている。また、特開
平6−304920号公報では弾性応力レスポンス、引
張強さを向上させる為、ブロックコポリマー材料を使用
してバルーンを作ることが開示されて、どちらもその実
施例としてダウケミカル社のポリウレタン系エラストマ
ーとして「Pellethane」(ショア硬度が75D以上のも
の)が挙げられている。
【0017】このポリウレタン系エラストマ−「Pellet
hane」は、ソフトセグメントがポリエーテルで構成され
る材料であり、これにより成形されたバルーンにおいて
は、硬度が硬めの「Pellethane」を使用したものであっ
ても、12atm以上の高圧を加えた場合、伸び特性が
コンプライアントであり、しかも軸方向への伸びも発生
する。また、この「Pellethane」の場合はバルーン成形
後に60℃以上の温度を加えると、今度は収縮しやすい
という大きな問題を有する。
【0018】WO 95/23619の公報の明細書の
中には、高い壁引張強度、薄い肉厚、コンプライアント
からセミコンプライアントなバルーンを作るために、ソ
フトセグメントがポリエーテル、ハードセグメントがポ
リアミド若しくはポリエステルから成る熱可塑性エラス
トマーから成形されるバルーンが開示されている。その
記載によると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの構
造式は以下のとおりである。
【0019】
【化1】
【0020】ここでポリエーテルのソフトセグメント
は、C2 〜C10ジオールから成るポリエーテルで、より
詳しくはエーテル結合間に2〜10個の直鎖飽和脂肪族
炭素原子を有するポリエーテルで、望ましくはエーテル
結合間に4〜6個の炭素を有するエーテルセグメント、
最も望ましくはポリ(テトラメチレンエーテル)セグメ
ントと記載されている。これらのエーテルセグメントが
コンプライアントからセミコンプライアントな伸び特性
を与えるものであり、バルーンにノンコンプライアント
に近い伸び特性を待たせるように成形する場合、非常に
難しく、一貫性のある性能、つまりノンコンプライアン
トに近い伸び特性を正確に、再現性良く作り出すことが
困難である。
【0021】これらのWO 90/01302、特開平
6−304920号、WO 95/23619で開示さ
れているブロックコポリマー若しくは熱可塑性エラスト
マーは全てソフトセグメントがポリエーテルで構成され
ているものである。
【0022】それに対して、本発明では、熱可塑性エラ
ストマーの中でもソフトセグメントがポリエステルであ
る熱可塑性エラストマーを使うと先行技術に比べ色々な
優位性が見られることを発見したたのである。
【0023】本発明の第1の優位性は、ソフトセグメン
トがポリエステルからなる熱可塑性エラストマーを用い
てバルーンを成形した場合、そのバルーンの破壊圧のバ
ラツキを非常に小さくできることである。破壊圧のバラ
ツキを小さくすると、標準偏差(SD)が小さくなり、
同じ平均破壊圧であっても定格破壊圧を高くすることが
可能となるのである。
【0024】表1は、帝人ヌーベラン「P4165」で
作製した外径/内径=0.96mm/0.43mmのチ
ューブをブロー成形し、外径3.0mmφ、肉厚19μ
mのバルーンを作り、95℃近くでアニールした後のバ
ルーンの破壊圧(n=30)のデータである。これによ
ると標準偏差は5.65psi(0.41atm)であ
る。
【0025】また、我々は数ロットに関して同様の実験
を行ったが、やはり標準偏差は5.48〜5.69ps
i(0.398〜0.412atm)の範囲に入り、同
じ径のバルーンについてポリエチレン製バルーン(標準
偏差1.4atm)、ポリエチレンテレフタート製バル
ーン(標準偏差1.1atm)、ナイロン製バルーン
(ナイロン12、標準偏差1.0atm)に比べて著し
く小さかった。また、ソフトセグメントがポリエーテル
であるポリアミド系熱可塑性エラストマーであるPeBax
(アトケミ社商標)では、標準偏差が0.9atm、同
じくポリエステル系エラストマーであるHytrel(デュポ
ン社商標)に関しては標準偏差が1.02atm、ポリ
ウレタン系エラストマーであるPellethane(ダウケミカ
ル社商標)では標準偏差が0.98atmに比べても、
本発明は大きく改善が認められた。
【0026】
【表1】
【0027】我々はこのソフトセグメントがポリエステ
ルで構成される熱可塑性エラストマー製バルーンの破壊
圧の標準偏差を、次の成形方法を採用することで、更に
減少させることを発見した。
【0028】この成形方法は、元のチューブ外径を、そ
れと最終バルーン径の間範囲に入る径になるように、径
方向にまず延伸し、その後、再度径方向延伸を行い、最
終径になるようにするのである。この延伸工程は2段階
に限らず、3回、4回と複数回行っても良い。特に、径
の大きいバルーンを成形する場合にこの回数は重要であ
る。尚、この過程において当然軸方向延伸も必要である
が、それは径方向延伸と同時、若しくは前後で行えば良
い。
【0029】表2は、帝人ヌーベラン「F4165」で
作製した外径/内径=0.96mm/0.43mmのチ
ューブから、外径1.8mmのバルーンを成形し、その
後、二段階の延伸によって最終径3.0mmφ、肉厚1
9μmのバルーンに成形し、その後95℃近くでアニー
ルした後の破壊圧(n=30)のデータを示している。
これによると、標準偏差は3.53psi(0.24a
tm)であり、さらなる標準偏差の減少が可能であるこ
とが判る。
【0030】
【表2】
【0031】帝人ヌーベランシリーズは、ハードセグメ
ントに芳香族系ポリエステル、ソフトセグメントに脂肪
族系ポリエステルで構成されるものである。似た構造を
しているものとして、東洋紡ペルプレンSシリーズがあ
る。これを使用して同様の実験(表2と同様の実験)を
したが破壊圧の標準偏差は0.23atmでほぼヌーベ
ランP4165と同様の結果が得られた。尚、ペルプレ
ンSシリーズの構造は下記の通りである。
【0032】
【化2】
【0033】本発明の第2の優位性は、ソフトセグメン
トがポリエステルから成る熱可塑性エラストマーからバ
ルーンを成形した場合、その伸び特性を特にノンコンプ
ライアントとセミコンプライアントの範囲内で、径方向
の延伸率により、調整しやすいことである。図1は、ポ
リエチレンとPET、それに帝人ヌーベランP4165
の伸び特性の測定結果を示している。図1のグラフ中に
径方向の延伸率を材料の後ろに括弧書きして示してい
る。
【0034】帝人ヌーベランP4165より作ったバル
ーンを折り畳み、70〜80℃の熱を5〜10分間加え
ヒートセットをした。作製したバルーンについて12a
tmを加え、拡張と収縮を繰り返したが、ポリエチレン
テレフタートに見られるような再折り畳み時のウインギ
ングは見られなかった。これは本発明のソフトセグメン
トがポリエステルから構成される熱可塑性エラストマー
の結晶性が、ポリエチレンテレフタレート程は高くはな
く、従ってバルーン自体柔らかくなることに起因するも
のである。また、壁引張強度がポリエチレンテレフタレ
ート程は強くはなく、必然的に肉厚として10μm以上
必要になるので、ピンホールも観察されなかった。
【0035】本発明により、拡張時の外径が3.5mm
φ以下、肉厚が10〜20μmであっても、定格破壊圧
が12〜18atmであるバルーンを、ノンコンプライ
アントとセミコンプライアントの範囲内で再現性良く製
造できるのである。
【0036】
【発明の効果】以上にしてなる本発明のバルーンカテー
テル及びそれに用いるバルーンの製造方法によれば、バ
ルーン破壊圧のバラツキ(標準偏差)を小さく抑えるこ
とが可能になったことにより、肉薄バルーンでもFDA
ガイドラインに定義された定格破壊圧を高くすることが
できる。また、ステント拡張時に重要となるバルーンの
伸び性に関して、医療現場で最も要求されるノンコンプ
ライアントからセミコンプライアントの範囲の特性を有
するバルーンを容易に製造できる。更に、成形されたバ
ルーンは柔らかく、ピンホールや再折り畳み時のウィン
ギングが発生しないので、信頼性が高く、操作性に優れ
たものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱可塑性エラストマー製バルーン
と、従来のPET製バルーン及びポリエンレン製バルー
ンの圧力とバルーン径伸び率との関係を示したグラフで
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カテーテルシャフトの遠位端にバルーン
    を設けたバルーンカテーテルであって、前記バルーン
    が、引張強さが300kg/cm2 以上、伸びが600
    %以下、ショア硬度が50D以上の範囲の物性をもつ熱
    可塑性エラストマーでそのソフトセグメントがポリエス
    テルから構成される材質で作られたことを特徴とするバ
    ルーンカテーテル。
  2. 【請求項2】 前記バルーンは、拡張時の外径が3.5
    mmφ以下、肉厚が20μm以下のとき、定格破壊圧が
    12atm以上、18atm以下である請求項1記載の
    バルーンカテーテル。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性エラストマーのハードセグ
    メントが、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンの
    内から選ばれた1種である請求項1又は2記載のバルー
    ンカテーテル。
  4. 【請求項4】 カテーテルシャフトの遠位端に設けるバ
    ルーンの製造方法であって、引張強さが300kg/c
    2 以上、伸びが600%以下、ショア硬度が50D以
    上の範囲の物性をもつ熱可塑性エラストマーでそのソフ
    トセグメントがポリエステルから構成される材質を用
    い、バルーンパリソンを、室温から該熱可塑性エラスト
    マーの熱変形温度の80%の温度の範囲内の温度で、軸
    方向に2倍以上延伸する工程と、加圧気体若しくは液体
    により径方向に複数段階、延伸する工程とを含み、該径
    方向の延伸は、1段階あたりの延伸率が1.2〜2.5
    の範囲にあることを特徴とするバルーンの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記バルーンは、拡張時の外径が3.5
    mmφ以下、肉厚が20μm以下のとき、定格破壊圧が
    12atm以上、18atm以下である請求項4記載の
    バルーンの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性エラストマーのハードセグ
    メントが、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンの
    内から選ばれた1種である請求項4又は5記載のバルー
    ンの製造方法。
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