JP2004298172A - 人工魚礁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数のフレーム材によって略角柱状又は略角錐状に形成されたフレームと、フレームの各側面に配設固定された植物系フィラー混入セメント板とを有し、少なくとも対向するニ面に開口部を備えた構造体で形成されている。
【選択図】図1
Description
コンクリ−ト廃棄物を利用したものとしては、コンクリート構造物の解体に際して発生する廃棄物を所定寸法に切断し、或いは端部のみ切断してできるコンクリート廃棄部材を近海、沿海、港湾又は河川などの水域に沈下して魚礁とするものがある。
しかし、コンクリート廃棄部材を利用する人工魚礁は、整い過ぎた単調、或いは規則的な形状であり、表面も均整化、平滑化されているため、貝類や海藻類等がその表面に棲息或いは付着し難く、従って、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の集魚効果に欠けるという問題点を有していた。
また、コンクリート廃棄物又はその破砕物は経年によるコンクリート劣化やひび割れによる強度不足の為、再利用が限られ、その有効利用が求められている。 コンクリートを基礎に木材を組み込んで構成したものとしては、木材を垂直にコンクリートに埋め込んだり、あるいは木材を井桁に組んでアンカーボルトで固定し、井桁に組み立てた内部に石を収納するものがある。
しかし、コンクリートを基礎に木材を組み込んで構成したものは、時間の経過により木材部分が水棲生物などに食い荒らされ、耐久性がなく、木材のコンクリート基礎との接合部分が食害された場合は、木材が海水表面に浮上し、船舶などの航行の障害となるなどの問題があった。
さらに、漁場を人工的に作り出すために大型のコンクリートブロックや金属、石、各種ひも類、各種プラスチック類を藻類の植生基材とすべく海中等に投下し、人工の藻場を形成させて魚類を集めることなども行われているが、大型のコンクリートブロックや金属、プラスチック類などは表面が平滑であるため藻類の根が基材に付着できず、水中に流亡したり、これらの基材が長期に渡って分解することなく水中に残留し、かえって有用な海藻類を駆逐してしまうという問題や重量が重いため設置し直すなどの作業が困難で、環境への悪影響を及ぼすといった問題があった。
(特許文献1)には「コンクリート塊から成る躯体下部と、柱材で囲まれた空間を有する躯体上部とが、一体に構成された魚礁兼被覆・根固めブロック」が開示されている。
(特許文献2)には「海底での沈下使用中に腐蝕する長さ3cm以下の植物の茎などを、魚貝類棲息用小穴の成形チップとし、前記チップの群数を魚礁となるコンクリート塊の成形型枠内へ、その生コンクリート量の約30%〜50%だけ混入させて、前記コンクリート塊を成形固化し、その固化したコンクリート塊の表面をアトランダムに欠き取ることにより、角張った天然の岩石風に異形粗面化する人工魚礁の製法」が開示されている。
(特許文献3)には「コンクリート躯体部の成形型枠内へ、骨材の群数及び隣接する骨材間の間隙を充填し且つ接着凝固する接着剤を充填後固化してなる人工魚礁」が開示されている。
(特許文献4)には「木質材料をスライス片状に切削して得られる木毛を主材とし、これとセメントと水とを配合して混練し、これをプレス成型して、得られた木毛板自体あるいは木毛板を基礎とする構造物により上部構造体を形成するとともに、木毛土台を形成し、木毛土台に対して上部構造体を立設状に固定させて構成した自己消失型魚礁装置」が開示されている。
(1)(特許文献1)では、根固め用として使用すること目的とし、人工魚礁を目的として使用するには重量がありすぎ、かつ躯体下部がコンクリート塊なので人工魚礁としての魚貝類の棲息には不向きであるという課題を有していた。また、コンクリートであるため重量が重く、ヘドロなどの軟弱地盤では沈んで機能しないので砂地にしか設置できないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、植物の茎などのチップが嵩高で場所を取り、かつ比重差がありすぎ充填量も多いことから生コンクリートと植物チップの混合に時間を要し生産性に欠けるとともに、該チップの混入時に風等で散らばり清掃等の後作業を要し作業性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)では、コンクリート廃棄物や破砕物間に所定の粒径の粗骨材を含有した生コンクリートが程よく充填されて接合されているのでコンクリートの劣化やひび割れを防止し耐久性に優れ、表面にコンクリート廃棄物や破砕物が露出し、凹凸状となっているので海藻や貝類を容易に付着させることができるが、主材がコンクリートであるため重量が重く、ヘドロなどの軟弱地盤では沈んで機能しないので砂地にしか設置できないという課題を有していた。
(4)(特許文献4)では、木毛板自体あるいは木毛板を基礎とする構造物により上部構造体を形成するとともに、木毛土台を形成し、木毛土台に対して上部構造体を立設状に固定させるため軽量であるが、設置後の安定化を図るために土台や構造体の比重を上部から下部にかけて大きくしなければならず、製作工程が複雑になり、工数がかかるという課題を有していた。また、満ち潮や引き潮などの水流の影響を受けて倒れ易いという課題を有していた。
本発明の請求項1に記載の人工魚礁は、複数のフレーム材によって略角柱状又は略角錐状に形成されたフレームと、前記フレームの各側面に配設固定された植物系フィラー混入セメント板とを有し、少なくとも対向するニ面に開口部を備えた構造体で形成されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)植物系フィラー混入セメント板は、セメント板内に木チップ、鉋屑、萱や葦などの草、植物の茎などの植物系フィラーを含んでいるので、それらが表面に露出して目が粗く、貝類や海藻類等が棲息或いは付着し易く、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の集魚効果を高めることができる。
(2)植物系フィラー混入セメント板の比重が一般のコンクリートに比べ小さいので、ヘドロなどの軟弱地盤でも埋没することなく設置でき、吸水性が高い植物系フィラー混入セメント板に海藻などが付着することにより、貧酸素層の環境を改善して集魚効果を高めることができる。
(3)植物系フィラー混入セメント板は軽量で施工性に優れるため、構造体を容易に形成することができ、ヘドロ上でも埋没することなく設置できるので、有機ヘドロに含まれる窒素やリンを栄養分として海藻類に供給して繁殖させることができ、集魚効果を高めることができる。
(4)植物系フィラー混入セメント板に含まれている植物が腐蝕することにより、表面の凹凸や空隙に付着した海藻類が根を張って繁殖し易く、集魚効果を高めることができると共に、植物系フィラー混入セメント板が経年変化により消失した場合でも、フレームに新しい植物系フィラー混入セメント板を配設することにより、容易に人工魚礁を再構築することができる。
(5)開口部を有することにより、波などによる外力を受け難く、構造体の軽量化を図ると共に、構造体に内部空間が形成されるので、内部に新鮮な海水を通すことができ、空間部を魚の棲息空間や通り道として集魚効果を高めることができる。
(6)構造体に開口部を有することにより、陰影を作り出し、集魚効果を高めることができる。
(7)植物系フィラー混入セメント板には間伐材、萱や葦などの草、植物の茎などを切削した植物系フィラーを使用するので、資源を有効利用することができる。
植物系フィラー混入セメント板の厚さは、3cm〜15cm程度が好ましい。植物系フィラー混入セメント板の厚さが3cmよりも薄いと強度が不足し、15cmよりも厚いと強度は増すが重量が重くなり、搬送性、加工性などが低下するので好ましくない。
なお、植物系フィラーの空隙に予め昆布や若布の菌を打ち込んだり、海藻の栄養分となる窒素やリンを混入させてもよい。これにより、海藻の繁殖を促進し、これらを餌料とする魚貝類の集魚効果を高めることができる。
フレーム材は鋳鉄、鉄骨、ステンレス鋼などの金属製のものを用いた場合は、溶接またはボルト締めにより接合固定され所望のフレーム形状が形成される。フレーム材断面の形状はL字型やV字型のものを用いることが望ましい。これにより、フレーム側面への植物系フィラー混入セメント板の接合を容易に行うことができる。
フレームと植物系フィラー混入セメント板との固定にはボルトを使用することが好ましく、これにより、容易に組み立て、分解作業を行うことができる。なお、フレーム材には作業性、軽量化の点から木材を使用してもよい。これによりフレームも経年変化によって自己消失するので、環境に配慮できる。また、フレーム材にはFRP等の合成樹脂を用いてもよい。これにより、加工が簡単で施工性に優れるフレームを作製することができる。更に、コンクリート製のフレームを使用してもよい。これにより、フレームが錘となって構造体の移動や浮きを防止することができる。
また、植物系フィラー混入セメント板は切削、加工性が極めて良好なので、容易に所望の形状に形成したり、必要に応じて孔を開けたりできる。これにより、略角柱状又は略角錐状などのフレームに合わせて植物系フィラー混入セメント板を容易に配設することができる。また、予め植物系フィラー混入セメント板に開口部を形成する場合、円形、楕円径、多角形或いはそれらを組み合わせた異形状など様々な形状や大きさの開口部を任意の数だけ設けることができる。これにより、魚貝類や海藻類等の水棲生物にとって好適な開口部を形成し、集魚効果を高めることができる。
植物系フィラー混入セメント板は、セメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、植物系フィラーは1〜40重量部が配合される。植物系フィラーはその充填量がセメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、1重量部より少なくなるにつれ植物系フィラーが表面に露出し難くなって、海藻類が根を張り難くなる傾向があり、40重量部より大きくなるにつれ練り混ぜることが困難となり、脆く耐久性が低くなる傾向があるので好ましくない。尚、植物系フィラーを混入することにより、資源の有効利用を図ることができる。
セメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、石炭灰の配合量は0〜70重量部、好ましくは10〜70重量部が望ましい。尚、石炭灰としてはフライアッシュが好適に用いられる。石炭灰(フライアッシュ)は資源の有効活用を目的として利用するが、石炭灰を入れることにより、セメント量を減らすことができる。また、石炭灰のアルカリ性により、植物系フィラーの腐蝕を早めることができる。
なお、出来上がった構造体を結合するのではなく、フレーム同士を予め溶接又はボルト締めで固定し、その後に必要箇所に植物系フィラー混入セメント板を配設固定するようにしてもよい。これにより、植物系フィラー混入セメント板が無い状態でフレーム同士を容易に結合することができ、複雑な形状に組み合わせることもできる。
また、植物系フィラー混入セメント板を用いることにより軽量なので、クレーンなどによる設置作業も容易に行うことができる。なお、構造体にはチェーンを巻きつけたり、その先に碇をつなげたりすることが好ましい。これにより、波などの外力による構造体の移動を防止できる。更に、構造体をアンカーでコンクリートブロックに締結して移動防止するようにしてもよい。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)土台にコンクリート板を設け、設置面積を広げることにより、軟弱地盤でも埋没しないようにでき、複数個の構造体を1個にまとめ、複数の魚道を形成して集魚効果を高めることができる。
(2)コンクリート板の製作が容易で、重心が底部にあるので海底への設置作業を容易に行うことができる。
アンカーボルトを予め埋め込むことにより、現場での固定作業を容易に行うことができる。また、アンカーボルトを後から打ち込む場合には、位置決めなどの微調整が行い易い。
また、コンクリート板は設置する軟弱地盤の状況により、見掛け比重を変えることもできる。例えば、内部を空洞にしたり、発泡体を詰めたり、もしくは下面を開口にし天井壁と周囲壁のみで形成することにより、浮力を調整することができる。これにより、軟弱地盤で沈むのを防止できる。
尚、フレーム材には固定用の孔部を形成しておくことが好ましい。これにより、フレーム材をボルトで固定してフレームを形成する時や、フレームに植物系フィラー混入セメント板を固定する時、或いは構造体をコンクリート板に固定する時に容易に作業を行うことができる。この孔は円形でもよいが、楕円や長孔にすることにより、位置決めの微調整が行い易く、施工性に優れる。
さらに、コンクリート板の側面などにアンカーボルトを配設することにより、移動を防止するようにすることが望ましい。
なお、コンクリート板には再生骨材を配合してもよい。これにより、コンクリート廃棄物やその破砕物である建設副産物や端材を資源として有効利用することができると共に、コンクリート板の表面を粗面化してコンクリート板自体にも凹凸部に海藻類等が繁殖し易くし、集魚効果を高めることができる。また、再生骨材の配合量は成形時の型枠容積に対して充填率20〜70%とすることが好ましい。これにより、再生骨材の有効利用が図れる。
また、植物系フィラー混入セメント板が消失した場合でも、鋳鉄などで作製したフレームは残っているので、植物系フィラー混入セメント板を配設固定するだけで、容易に人工魚礁を再構築及び設置することができる。更に、構造体に多量の貝が付着して集魚効果が低下した場合には、植物系フィラー混入セメント板やフレームを撤去して、新たに構造体を作るようにしてもよい。これにより、コンクリート板を有効に再利用して、容易に人工魚礁を再構築及び設置することができる。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)コンクリート板の上面にフレーム材で山形状、略コの字状、略角柱状、略角錐状の内いずれか1のフレームを形成し、その後、構造体の屋根部に相当するフレームの側面及び上面に植物系フィラー混入セメント板を渡設固定できるので、不要なフレーム材を減らすことができると共に、コンクリート板へのフレームの固定並びにフレームへの植物系フィラー混入セメント板の配設固定が容易で施工性を向上させることができる。
ここで、複数の山形状又は略コの字状のフレームの間を結合するフレーム材を追加してもよい。これにより、フレームを補強して植物系フィラー混入セメント板をより強固に固定して構造体の強度を上げることができる。
この構成により、請求項2又は3の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)コンクリート板の底面に足部を設けることにより、足部がヘドロ内に埋設されるので、波浪等による外力に対して移動を防止することができる。
(2)足部を設けることにより、周辺の洗掘防止を図ることができ、沈降をより有効的に防止できる。
ここで、足部はコンクリート板と一体に形設してもよいし、コンクリート又は鉄などの金属で作製したものをアンカーボルトなどによって配設固定してもよい。足部の形状は、丸型や角型の棒状でもよいが、コンクリート板の外周で面状に形成してもよい。これにより、効果的に洗掘を防止できる。
この構成により、請求項4の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)コンクリート板の足部に中空状の案内用筒体を埋設し、案内用筒体の内部に支持杭を挿通固定することにより、ヘドロ等の軟弱地盤下の支持層まで容易に支持杭を到達させることができ、人工魚礁の埋没や波浪等の外力による移動等を防止することができる。
(2)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、設置場所の軟弱地盤の深さに合わせて容易に支持杭の長さを調整し、確実に支持層まで到達させて人工魚礁を安定に支持することができる。
(3)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、支持杭の長さを調整することにより海藻類や魚貝類の棲息環境に合わせて人工魚礁の設置深さを容易に変更したり、複数の人工魚礁を階層上に設置して設置密度を向上させたりして、集魚効果を高めることができる。
(4)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、コンクリート板を所望の深さに設置し、コンクリート板の底部とヘドロ層の表面との間に空間部を形成して、新鮮な海水を通すことができ、空間部を魚の棲息空間や通り道として集魚効果を高めることができる。
案内用筒体に支持杭を固定する固定部は、コンクリート板の上面より突出させた案内用筒体上端部に配設することが望ましい。これにより、支持杭を案内用筒体上端部から挿入して容易に固定でき作業性に優れるとともに、支持杭の海底での設置中にコンクリート板の傾きや足部等の破損等が発生しても作業者の安全性を確保することができる。固定部は案内用筒体の外周に穿設された複数のボルト挿通孔の位置に合わせて固定用ナットを溶接固定しておき、支持杭の挿入後に固定用ボルトを固定用ナットに螺着し、固定用ボルトの先端を支持杭に当接させて固定するものである。尚、支持杭の外周に固定用ボルトの先端が嵌合する凹部を形成してもよい。これにより、確実かつ容易に案内用筒体に支持杭を固定することができる。また、案内用筒体と支持杭との固定がねじ止めによって行われるので、移設や回収も容易に行うことができる。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表面に再生骨材や植物系フィラーが露出し凹凸部が形成されたコンクリートブロックを使用することにより、表面に貝類や海藻などが容易に付着し易く、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の棲息を促すことができる。
(2)コンクリートブロックを乱積みすることにより、魚道を形成し、構造体に付着した貝類や海藻類等を餌料とする魚類などの集魚効果を高めることができる。
(3)コンクリート廃棄物やその破砕物である再生骨材や間伐材、萱や葦などの草、植物の茎などを切削した植物系フィラーを使用しているので、建設副産物や端材を資源として有効利用することができる。
(4)植物系フィラーの配合量を変えることにより、密度の調整を容易に行うことができ、植物系フィラー同士が繊維状に絡み合っているので、海底での沈下使用中に経年変化により植物系フィラーが腐蝕して消失することで海藻などが根を張って繁殖し易く、また、魚貝類棲息用の小孔となって集魚効果を高めることができる。
(5)石炭灰が入っていることにより表面が粗面化し、再生骨材や植物系フィラーが露出し易くなると共に、強度が増して耐久性を高くすることができる。
セメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、300重量部より少なくなるにつれ表面の粗面化が低下し、大きな空隙が得られず、海藻類の付着性が低下する傾向があり、400重量部より大きくなるにつれ強度が弱くなり,設置作業が困難になる傾向があるので好ましくない。また、再生骨材はその粒径が5〜50mmでは人工魚礁の表面の凹凸部が大きく海藻が根を張り易く、かつ小魚の棲息場としても好適である。
セメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、石炭灰の配合量が10重量部より少なくなるにつれて表面の粗面化が低下し、海藻類の付着性が低下する傾向があり、70重量部より大きくなるにつれ脆く耐久性が低くなって寿命が短くなる傾向があるので好ましくない。尚、石炭灰としてはフライアッシュが好適に用いられる。石炭灰(フライアッシュ)は資源の有効活用を目的として利用し、石炭灰を入れることにより、セメントを減らすことができ、表面が粗面化すると共に強度が増す。ただし、混入量が増えると水分を吸収し、施工性、生産性が悪くなる。
植物系フィラーはその充填量がセメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、1重量部より少なくなるにつれ植物系フィラーが表面に露出し難くなって、海藻類が根を張り難くなる傾向があり、40重量部より大きくなるにつれ練り混ぜることが困難となり、脆く耐久性が低くなる傾向があるので好ましくない。尚、植物系フィラーを混入することにより、資源の有効利用を図ることができる。
なお、構造体は、クレーンなどによって海底へ吊り降ろされて設置される。
この構成により、請求項6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)コンクリートブロックに貫通孔を形成することにより、軽量化を図ることができるだけでなく、内部への通水性をよくし、波浪等から受ける抵抗を減らすと共に、魚貝類などの水棲生物に好適な空間を形成することができる。
ここで、貫通孔に間伐材などの木材を挿入するようにしてもよい。これにより、コンクリートブロックを乱積みした際に、木材同士がかみ合って動かないので波浪にも強く、コンクリートブロックの間に魚道となる空間を形成することができる。また、木材は腐蝕して消失するので、木材の表面や貫通孔に海藻類や魚貝類が繁殖して集魚効果に優れる。
また、貫通孔の孔径は100mm〜300mmで形成することが好ましい。孔径が100mmより小さくなるにつれて通水性が低下して新鮮な海水と置換し難くなる傾向があり、孔径が300mmより大きくなるにつれ強度が低下するのでいずれも好ましくない。尚、貫通孔の孔径はコンクリートブロックの一辺の長さの1/10〜1/3で形成することが好ましい。孔径がコンクリートブロックの一辺の長さの1/10より小さくなるにつれて孔を貫通させるのが困難になって作業性が低下する傾向があり、孔径がコンクリートブロックの一辺の長さの1/3より大きくなるにつれコンクリートブロックの強度が低下し脆くなって破損し易くなる傾向があるのでいずれも好ましくない。また、貫通孔は一つの面に対して複数個を設けてもよい。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)植物系フィラー混入セメント板は、植物系フィラーを含んでいるので、それらが表面に露出して目が粗く、貝類や海藻類等が棲息或いは付着し易く、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(2)植物系フィラー混入セメント板の比重が一般のコンクリートに比べ小さいので、軟弱地盤でも埋没することなく設置でき、吸水性が高い植物系フィラー混入セメント板に海藻などが付着し易く、貧酸素層の環境を改善して集魚可能な長寿命で、集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(3)軽量で施工性に優れるため、構造体を容易に形成することができるとともに、有機ヘドロに含まれる窒素やリンを栄養分として海藻類に供給して繁殖させることができ、集魚効果を高めることができる搬送性、施工性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(4)植物系フィラー混入セメント板の表面の凹凸や空隙に付着した海藻類が根を張って繁殖し易く、集魚効果を高めることができると共に、植物系フィラー混入セメント板が経年変化により消失した場合でも、フレームに新しい植物系フィラー混入セメント板を配設することにより、容易に再構築することが可能な機能性、経済性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(5)開口部を有することにより、波などによる外力を受け難く、構造体の軽量化を図ると共に、構造体内部に新鮮な海水を通して置換することができ、空間部を魚の棲息空間や通り道とすることができる集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(6)構造体に開口部を有することにより、陰影を作り出すことができる集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(7)間伐材、萱や葦などの草、植物の茎などの植物系フィラーを資源として有効利用することができる省資源性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)コンクリート板の土台を有することにより、設置面積を広げることができ、軟弱地盤でも埋没せず、複数個の構造体を1つにまとめ、複数の魚道を形成して集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(2)コンクリート板の製作が容易で、重心が底部にあるので設置作業が容易な作業性、施工性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)コンクリート板の上面に構造体の骨組となるフレームを形成し、側面及び上面に構造体の屋根部に相当する植物系フィラー混入セメント板を容易に渡設固定することができる施工性、搬送性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)コンクリート板の底面に設けた足部が軟弱地盤内に埋設されることにより、波浪等による外力に対して移動を防止することができる安全性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(2)コンクリート板の底面に足部を設けることにより、周辺の洗掘を防止し、沈降をより効果的に防止できる安全性、信頼性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)コンクリート板の足部に埋設された中空状の案内用筒体の内部に支持杭を挿通固定することにより、軟弱地盤下の支持層まで容易に支持杭を到達させて、人工魚礁の埋没や波浪等の外力による移動等を防止することができる安全性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(2)設置場所の軟弱地盤の深さに合わせて挿通する支持杭の長さを調整することができ、確実に支持層まで到達させて人工魚礁を安定に支持することができる作業性、安全性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(3)支持杭を長めに形成することにより、海藻類や魚貝類の棲息環境に合わせて人工魚礁の設置深さを容易に変更したり、複数の人工魚礁を階層上に設置して設置密度を向上させたりして、施行性、汎用性に優れ省スペースで集魚効果を高めることができる人工魚礁を提供することができる。
(4)支持杭の所望の高さにコンクリート板を設置することができ、コンクリート板の底部に空間部を形成して、波などによる外力を受け難く、新鮮な海水を通して置換することができ、空間部を魚の棲息空間や通り道として集魚効果を高めることが可能で施行性、信頼性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)表面に形成された凹凸部に貝類や海藻などが容易に付着し易く、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の棲息を促すことができる集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(2)コンクリートブロックを乱積みすることにより、魚道を形成し、構造体に付着した貝類や海藻類等を餌料とする魚類などの集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(3)植物系フィラーや建設副産物、端材等を資源として有効利用することができ、環境に優しく、経済性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(4)植物系フィラーの配合量を変えることにより、密度の調整を容易に行うことができるとともに、海底での沈下使用中に経年変化により植物系フィラーが腐蝕して消失することで海藻などが根を張って繁殖し易く、また、魚貝類棲息用の小孔を形成できる集魚効果に優れた人工魚礁を提供することができる。
(5)石炭灰が入っていることにより表面が粗面化し易く、再生骨材や植物系フィラーが露出して海藻などが付着し易くなると共に、強度が増して信頼性、耐久性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(1)コンクリートブロックに貫通孔を形成することにより、軽量で内部への通水性に優れ、波浪等から受ける抵抗を低減し、魚貝類などの水棲生物に好適な空間を形成することができる信頼性、機能性に優れた人工魚礁を提供することができる。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における人工魚礁の全体斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA部拡大図であり、図2は本発明の実施の形態1における人工魚礁の設置状態を示す全体斜視図ある。
図1(a)中、1は本発明の実施の形態1における人工魚礁、2は複数のフレーム材を接合して略立方体に形成された金属製や合成樹脂製、コンクリート製のフレーム、3はフレーム2に配設固定された植物系フィラー混入セメント板、4は各面の植物系フィラー混入セメント板3に形成され海水の流れを通して海水を更新するための略矩形状の開口部、5はフレーム2に植物系フィラー混入セメント板3を固定するボルトである。
図1(a)において、人工魚礁1は、まず溶接又はボルト締めによって略立方体状のフレーム2を形成し、その後、開口部4を形成された植物系フィラー混入セメント板3をフレーム2の各面に対してボルト5で固定することにより作製される。
なお、植物系フィラー混入セメント板3は厚さ40mm、かさ比重0.6〜0.8、曲げ破壊荷重1500N〜2500N、たわみ1mm〜3mmの硬質のものを使用した。
図1(b)において、植物系フィラー混入セメント板3の表面に植物系フィラー8が露出していることにより、空隙部が形成され、貝類や海藻類等が棲息或いは付着し易く、また、経年変化によって植物系フィラー8が腐蝕消失して海藻類等が根を張って繁殖し易い。
図2において、10は図1に示した人工魚礁1を組み合わせた組み合わせ魚礁、1aは魚道であり、ヘドロなどの軟弱地盤にクレーンなどにより設置される。 人工魚礁1には図示しないチェーンを巻きつけたり、その先端に碇などの錘をつけたり、或いはアンカーでコンクリートブロックを締結したりすることが好ましい。これにより、波などの外力などによって人工魚礁1が移動したり、浮いたりするのを防止できる。
尚、本実施の形態1の人工魚礁1は一辺の長さが約900mmの略立方体、開口部4は一辺の長さが約600mmの略正方形、植物系フィラー混入セメント板3の板厚は約30mmであり、5個を一組として組み合わせた。
人工魚礁1は略立方体状に形成され、全面中央部に対して略正方形の開口部4が形成されている。これにより、人工魚礁1の内部に魚貝類や海藻類などの水棲生物の棲息空間が形成されることになる。また、魚道1aを形成することにより、集魚効果を高めている。
(1)植物系フィラー混入セメント板は、セメント板内に木チップ、鉋屑、萱や葦などの草、植物の茎などの植物系フィラーを含んでいるので、それらが表面に露出して目が粗く、貝類や海藻類等が棲息或いは付着し易く、これら貝類や海藻類等を餌料とする魚類の集魚効果を高めることができる。
(2)植物系フィラー混入セメント板の比重が一般のコンクリートに比べ小さいので、ヘドロなどの軟弱地盤でも埋没することなく設置でき、吸水性が高い植物系フィラー混入セメント板に海藻などが付着することにより、貧酸素層の環境を改善して集魚効果を高めることができる。
(3)植物系フィラー混入セメント板に含まれている植物が腐蝕することにより、表面の凹凸や空隙に付着した海藻類が根を張って繁殖し易く、集魚効果を高めることができると共に、植物系フィラー混入セメント板が経年変化により消失した場合でも、フレームに新しい植物系フィラー混入セメント板を配設することにより、容易に人工魚礁を再構築することができる。
(4)形状が略立方体状に形成されているので、方向性を気にする必要がなく、設置作業を容易に行い、所定間隔で配置することにより、魚道を確保することができる。
(5)略矩形状の開口部を有する略立方体状の内部空間が形成されるので、内部に新鮮な海水を通すことができ、空間部を魚の棲息空間とすることができる。
(6)植物系フィラー混入セメント板は軽量なので、ヘドロ上でも埋没することなく設置することができ、有機ヘドロに含まれる窒素やリンを栄養分として海藻類に供給して繁殖させることができ、集魚効果を高めることができる。
(7)構造体に開口部を有することにより、陰影を作り出し、集魚効果を高めることができる。
(8)植物系フィラー混入セメント板には間伐材、萱や葦などの草、植物の茎などを切削した植物系フィラーを使用するので、資源を有効利用することができる。
次に、本発明の実施の形態2における人工魚礁について説明する。図3(a)は本発明の実施の形態2における人工魚礁の全体斜視図であり、図3(b)乃至(d)は構造体の変形例を示す斜視図であり、図4(a)は足部の変形例を示す要部側面図であり、図4(b)は図4(a)における足部の平面図である。
図3(a)中、11a、11bは略三角柱状に形設された構造体、12aは略三角柱状に形成されたフレーム、12bは山形状に形成されたフレーム、13は植物系フィラー混入セメント板、14a、14bはフレーム12a、12bによって形成された海水の流れを通し海水を入れ替えるための開口部、15はコンクリート板、16はコンクリート板15の底面に配設され波浪等による外力に対して移動を防止する足部である。構造体11a、11bは実施の形態1と同様にフレーム12a、12bに植物系フィラー混入セメント板13をボルト(図示せず)で固定したものであり、コンクリート板15に対してボルト(図示せず)で固定される。
コンクリート板15は一辺の長さが約5000mm、板厚が約250mmの正方形板、略三角柱状の構造体11aの長さと高さは、それぞれ約1800mm、約750mm、略三角柱状の構造体11bの長さと高さは、それぞれ約900mm、約1700mmであり、足部16は一辺が約200mm〜350mm、長さが1000mmの直方体で約1000mm〜2500mm間隔に形設されている。足部16の間隔が1000mmより狭くなるにつれ不必要に足部16の本数が増えて重量が増加し、運搬及び設置の作業性や生産性が低下し易く、2500mmより広くなるにつれて足部16の本数が減ってコンクリート板15を支持することが困難になり、外力に対して移動を防止する効果が低下することがわかった。
構造体11aや11bがコンクリート板15上に配設固定されているので、クレーンなどによる設置作業が容易であるだけでなく、設置面積を広くして底面にかかる力を分散することができるので、軟弱地盤にも設置できる。さらに、コンクリート板15の底面に足部16を形設しているので、そのアンカー効果により外力に対して移動を防止する。
更に、図3(d)の構造体25は、略直方体状に形成されたフレーム26に植物系フィラー混入セメント板27及び矩形状の開口部28を形成された植物系フィラー混入セメント板29を対向させて両端に2枚配設固定したものである。これにより、構造体25はトンネル状になり、魚貝類や小魚などの隠れ場所、或いは光を嫌う水棲生物などに好適な空間とすることができる。
このように、様々な形状の構造体に様々な形状や数の開口部を設けることにより、種々の水棲生物に好適な空間を形成し、魚礁として設置することができる。
案内用筒体17の外径は100mm、支持杭18の外径は65mmであり、支持杭18の下端は軟弱地盤下の支持層まで到達してコンクリート板15を支持している。
案内用筒体上端部17’がコンクリート板15の上面に突出するように案内用筒体17が埋設されているので、案内用筒体17への支持杭18の挿入及び固定用ボルト19による固定が容易で作業性に優れるとともに、海底での支持杭18の設置作業中にコンクリート板15の傾きや足部16の破損等が生じた場合でも作業者の安全性を確保することができる。
本実施の形態では案内用筒体17及び支持杭18の断面形状は円形で形成したが、楕円径や方形、多角形等に形成してもよい。また、支持杭18の外周には固定用ボルト19のボルト先端部19aが嵌合する凹部を形成してもよい。これにより、確実かつ容易に案内用筒体17に支持杭18を固定することができる。
尚、コンクリート板15及び足部16には必要に応じて鉄骨や鉄筋等を配筋して補強してもよい。また、コンクリート板15の側部にはアンカー固定部を配設してもよい。これにより波浪等による移動を防止することができる。
(1)土台にコンクリート板を設け、設置面積を広げることにより、軟弱地盤でも埋没しないようにでき、複数個の構造体を1個にまとめ、複数の魚道を形成して集魚効果を高めることができる。
(2)コンクリート板の製作が容易で、重心が底部にあるので海底への設置作業を容易に行うことができる。
(3)コンクリート板の底面に設けた足部がヘドロ内に埋設するので、波浪等による外力に対して移動を防止することができる。
(4)足部を設けることにより、周辺の洗掘防止を図ることができ、沈降をより有効的に防止できる。
(5)コンクリート板の足部に中空状の案内用筒体を埋設し、案内用筒体の内部に支持杭を挿通固定することにより、ヘドロ等の軟弱地盤下の支持層まで容易に支持杭を到達させて、人工魚礁の埋没や波浪等の外力による移動等を防止することができる。
(6)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、設置場所の軟弱地盤の深さに合わせて容易に支持杭の長さを調整し、確実に支持層まで到達させて人工魚礁を安定に支持することができる。
(7)案内用筒体と支持杭との固定が接合用ナットと接合用ボルトによるねじ止めで行われるので、人工魚礁の移設や回収も容易に行うことができる。
(8)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、支持杭を長めに形成して支持杭の上端が案内用筒体の上部から突出するようにしておけば、海藻類や魚貝類の棲息環境に合わせて人工魚礁の設置深さを容易に変更したり、複数の人工魚礁を階層上に設置して設置密度を向上させたりして、集魚効果を高めることができる。
(9)案内用筒体の内部に別部材で形成された支持杭を後から挿通して固定するので、コンクリート板の足部がヘドロ内に埋没しないように人工魚礁を設置し、コンクリート板の底部に空間部を形成して、波などによる外力を受け難く、新鮮な海水を通すことができ、空間部を魚の棲息空間や通り道として集魚効果を高めることができる。
次に、本発明の実施の形態3における人工魚礁について説明する。図5(a)は本発明の実施の形態3における人工魚礁の全体斜視図であり、図5(b)は図5(a)のB部拡大図であり、図6(a)は本発明の実施の形態3における人工魚礁の設置状態を示す全体斜視図であり、図6(b)は本発明の実施の形態3における人工魚礁の設置状態の変形例を示す全体斜視図である。
図5(a)及び図5(b)において、実施の形態3における人工魚礁30はセメント31と、再生骨材32と、石炭灰33と、植物系フィラー34と、の質量配合比が1:4:0.4:0.1で形成された略立方体状のコンクリートブロックであり、各面を貫通する貫通孔35が穿設されている。
コンクリートブロックの一辺は約1000mmであり、貫通孔35の孔径は100mm〜300mmで形成した。孔径が100mmより小さくなるにつれて孔を貫通させるのが困難になると共に、通水性が低下して新鮮な海水と置換し難くなり、孔径が300mmより大きくなるにつれ作業工数がかかると共に、コンクリートブロックの強度が低下して脆く破損し易くなることがわかった。
この人工魚礁30を図6(a)に示すように積み上げることにより、隙間が形成され、魚道30aとなる。尚、図6(a)に示すように規則正しく配置する必要はなく、地形などに合わせて乱積みし、不規則な隙間を形成することにより、より自然に近くして集魚効果を高めることができる。
また、図6(b)に示すように貫通孔35に間伐材などの木材36を挿入するようにしてもよい。これにより、コンクリートブロックを乱積みした際に、木材同士がかみ合って動かないので波浪にも強く、コンクリートブロックの間に魚道となる空間を形成することができる。また、木材は腐蝕して消失するので、木材の表面や貫通孔に海藻類や魚貝類が繁殖して集魚効果に優れる。尚、木材を挿入する場合には、孔は貫通している必要はない。
(1)コンクリート廃棄物やその破砕物である再生骨材や間伐材、萱や葦などの草、植物の茎などを切削した植物系フィラーを使用しているので、建設副産物や端材を資源として有効利用することができる。
(2)植物系フィラーの配合量を変えることにより、密度の調整を容易に行うことができ、植物系フィラー同士が繊維状に絡み合っているので、経年変化により植物系フィラーが腐蝕して消失することで海藻などが根を張って繁殖し易く、集魚効果を高めることができる。
(3)石炭灰が入っていることにより表面が粗面化し、再生骨材や植物系フィラーが露出し易くなると共に強度が増して耐久性を高くすることができる。
(4)貫通孔を形成することにより、軽量化を図ることができるだけでなく、内部への通水性をよくし、波浪等から受ける抵抗を減らすと共に、魚貝類などの水棲生物に好適な空間を形成することができる。
(5)貫通孔に間伐材などの木材を挿入した場合、コンクリートブロックを乱積みした際に、木材同士がかみ合って動かないので波浪にも強く、コンクリートブロックの間に魚道となる空間を形成することができると共に、木材が腐蝕して消失するので、木材の表面や貫通孔に海藻類や魚貝類が繁殖して集魚効果に優れる。
1a 魚道
2 フレーム
3 植物系フィラー混入セメント板
4 開口部
5 ボルト
6 セメント
7 石炭灰
8 植物系フィラー
10 組み合わせ魚礁
11a、11b、11c 構造体
12a、12b フレーム
13 植物系フィラー混入セメント板
14a、14b、14c 開口部
15 コンクリート板
16 足部
17 案内用筒体
17’ 案内用筒体上端部
17a 固定用ナット
18 支持杭
19 固定用ボルト
19a ボルト先端部
20 構造体
21 フレーム
22 開口部
23 植物系フィラー混入セメント板
25 構造体
26 フレーム
27 植物系フィラー混入セメント板
28 開口部
29 植物系フィラー混入セメント板
30 人工魚礁
30a 魚道
31 セメント
32 再生骨材
33 石炭灰
34 植物系フィラー
35 貫通孔
36 木材
α 屋根部の角度
Claims (7)
- 複数のフレーム材によって略角柱状又は略角錐状に形成されたフレームと、前記フレームの各側面に配設固定された植物系フィラー混入セメント板とを有し、少なくとも対向するニ面に開口部を備えた構造体で形成されていることを特徴とする人工魚礁。
- 1以上の前記構造体が基礎となるコンクリート板の上面部に立設して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の人工魚礁。
- 前記コンクリート板の上面に前記複数のフレーム材で形成した山形状、略コの字状、略角柱状、略角錐状の内いずれか1のフレームと、前記複数のフレームの側面及び上面に渡設固定された植物系フィラー混入セメント板とを有し、少なくとも対向するニ面に開口部を備えた構造体で形成されていることを特徴とする人工魚礁。
- 前記コンクリート板の底面部に配設又は形設された足部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の人工魚礁。
- 前記足部の長手方向と平行に埋設された中空状の案内用筒体と、前記案内用筒体の内部に挿通される支持杭と、前記案内用筒体に前記支持杭を固定する固定部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の人工魚礁。
- セメントと石炭灰の混合物100重量部に対して、骨材又は再生骨材若しくはこれらの混合物50〜550重量部、好ましくは300〜400重量部と、植物系フィラー1〜40重量部と、で構成され、表面に前記再生骨材や植物系フィラーが露出し凹凸部が形成されたコンクリートブロックであることを特徴とする人工魚礁。
- 前記コンクリートブロックに形成された1以上の貫通孔を備えていることを特徴とする請求項6に記載の人工魚礁。
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