JP2004296460A - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ処理反応室のチャンバの一部、つまり真空容器の一部を構成する下容器や蓋枠といった金属製部材をプラズマから保護し、汚染の少ない処理被処理基板を得るプラズマ処理装置を提供することにある。
【解決手段】少なくとも一部に金属製のチャンバ壁(下容器1、蓋枠7等)を有するチャンバ(真空容器10)内で、被処理基板6へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁(下容器1、蓋枠7等)と他のチャンバ壁(絶縁材の上容器2等)との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材8を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも一部に金属製のチャンバ壁(下容器1、蓋枠7等)を有するチャンバ(真空容器10)内で、被処理基板6へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁(下容器1、蓋枠7等)と他のチャンバ壁(絶縁材の上容器2等)との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材8を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して各種処理を行う装置、例えば被処理基板の表面に形成された膜をプラズマによってドライエッチングするプラズマエッチング装置や、プラズマによる気相反応を利用して被処理基板の表面に薄膜を作成するプラズマCVD(化学蒸着)装置に用いられるプラズマ処理装置に係り、特にその反応室を形成するチャンバ(真空容器)の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種半導体デバイスや液晶ディスプレイ、太陽電池等の製造工程においてプラズマを利用した処理が盛んに行われている。例えば、シリコン半導体上に形成した酸化シリコン膜のエッチングでは、ドライエッチングの手法の一つとして、プラズマ中で生成される活性種やイオンの作用を利用してエッチングをすることが行われている。また、半導体デバイスの高集積化に伴って配線も多層配線になり、配線と配線の間に絶縁膜(層間絶縁膜)を設けなければならない。プロセスを行う反応室の中に反応性ガスを導入し、熱を加えてガスを反応させ、基板表面に成膜する方法もあるが、この方法は、比較的に高い温度を必要とするのでデバイスに不具合も多く、最近は反応の活性化に必要なエネルギーはグロー放電を通じて生ずるプラズマによって与えられるプラズマCVD法が広く使われている。さらに、太陽電池などの成膜にもプラズマCVD法が使われている。
【0003】
従来のプラズマ処理装置としては、反応室のチャンバを形成する真空容器の外に筒状の電極を配置した変形マグネトロン高周波放電型のプラズマ処理装置が注目されている。
【0004】
図7はこの従来のプラズマ装置の断面を示す。反応室のチャンバを形成する真空容器10は、金属製の下容器1と、絶縁材(ここではアルミナ)から成るドーム状の上容器2とから構成され、内部の部品交換や洗浄のため開閉できる構造となっている。通常、この開閉される上容器2の下部と下容器1との間には、シール部材としてOリングが介設され、これにより真空容器10が密閉されて内部が真空に保持可能とされ、真空容器10の内部にプラズマ処理領域(反応室)20が形成される。
【0005】
図7の場合には、上容器2がアルミナ製であり開閉時に損傷を受け易いことを考慮し、上容器2の下面に金属製の蓋枠7が設けられている。すなわち、反応室内部の部品交換などの際、上容器2はその下面の金属製の蓋枠7と共に開閉される。そして真空容器10の内部を真空保持可能とするため、上容器2と蓋枠7の間、蓋枠7と下容器1との間には、いずれもOリング9a、9bが設けられている。
【0006】
上容器2は上部に反応ガスをシャワー状に供給するシャワー板11を備えており、この上容器2の上にOリング9cを介して、金属製の上蓋4が設置される。この上蓋4は電極としても使用でき、高周波が供給できるようになっている。2種類以上のガスを使用する場合は、上容器2のシャワー板11と上蓋4の間に形成されるガス分散室12でガスが混合できる。
【0007】
真空容器10の外側壁には、マグネトロン放電用の高周波電界を形成して、真空容器10内に給気されるガスを放電させる、例えば円筒状の放電用電極3が設けられる。この放電用電極3は高周波電源に接続されており、電極に高周波が供給されるようになっている。
【0008】
同じく真空容器10の外側壁にはリング状に形成された上下一対の永久磁石13が設けられる。この永久磁石13は、円筒状放電用電極3を囲むようにリング状に配設される。一対の永久磁石13は、その径方向に着磁され、互いに逆向きに着磁されている。これにより、円筒状の放電用電極3の軸方向にほぼ平行な成分の磁界を有するような磁力線を、円筒状放電用電極3内面に沿って円筒軸方向に形成するようになっている。
【0009】
上記構成の装置により、チャンバ内真空状態で所定のガスを導入し円筒状の電極3に高周波を印加することで、ドーム状の上容器2内部にプラズマができる。下容器1内にはサセプタ5が配置され、この上にシリコンウェハなどの被処理基板6が設置されている。上容器2内部に生成されたプラズマは拡散され、被処理基板6上においてほぼ均一なプラズマ密度となり、均一な処理が可能となる。
【0010】
次に基板処理の流れについて説明する。
図示しない基板搬送手段によって、反応室内のサセプタ5上に被処理基板6を搬送し、図示しない排気手段を用い反応室内を真空にする。
次に被処理基板6をその処理に適した温度に加熱する。被処理基板6の加熱は、ここではサセプタ内に埋め込んだ抵抗加熱ヒータによるが、ランプを使用し赤外線で被処理基板を加熱したり、不活性ガスを使用してプラズマをたてそのエネルギーを利用して被処理基板を加熱する方法などもある。
【0011】
被処理基板6を所定の温度に加熱した後、処理ガス供給ラインからシャワー板11を備えた上容器2に処理ガスを投入し、下容器1内に供給する。同時に、高周波電源から高周波を円筒状の放電用電極3に印加し、上容器2内にプラズマを発生させ、処理を行う。ガスの供給から停止、高周波の供給から停止までの一連の処理の間、排気手段によって真空容器10内は所定の圧力に保たれている。
処理が終わった被処理基板6は搬送手段を用いて反応室外へ搬送される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のプラズマ処理装置に見られるように、一般にプラズマ処理装置の反応室としてのチャンバを形成する真空容器は、その全てが絶縁性ではなく、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバとして構成される。
【0013】
従って、従来のプラズマ処理装置の場合、上記の基板処理時において、プラズマ化したガスの一部は被処理基板に向かうが、その他は金属製の蓋枠7や下容器1、上蓋4などに向かう。そして、プラズマ化したガスが金属製の蓋枠7や下容器1に向かうことによって、金属製の蓋枠7や下容器1が粒子からダメージを受けることになる。ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板6に付着して金属汚染をもたらすことがある。
【0014】
例えば、寸法精度上の問題から部材と部材の間に微少な隙間ができるが、その隙間からプラズマ化した粒子が金属製の下容器等にダメージを与えてしまう。さらに悪いことに粒子は電気的にみて抵抗の少ない部分を通ろうとするので、金属のエッジ部分は粒子が集中しやすく、ダメージも受けやすい。
【0015】
また、上容器2の下に、金属製の蓋枠7との間のOリング9a、9bがあるが、Oリング9a、9bも粒子からダメージを受けてしまうという問題もある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、プラズマ処理反応室のチャンバの一部、つまり真空容器の一部を構成する下容器や蓋枠といった金属製部材をプラズマから保護し、汚染の少ない処理被処理基板を得るプラズマ処理装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバ内で、被処理基板へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁(金属製、誘電体、絶縁体のいずれでも良い)との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明のプラズマ処理装置において問題とするのは、チャンバが金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁(金属製、誘電体、絶縁体のいずれでも良い)とで構成される場合における、その両者間で行われるシール部分であり、本発明は、少なくとも、当該シール部分のチャンバ内面の側方、つまり真空シール面側方に、絶縁性保護部材を設けるものである。
【0018】
このように構成すると、金属製の下容器の内面やエッジ部分、更には金属製の蓋枠の内面やエッジ部分へ向かうプラズマの流れが絶縁性保護部材で阻止され、これらの金属製部分が粒子からダメージを受けなくなる。従って、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を避けることができる。
【0019】
また、絶縁性保護部材によって同時にシール部分のOリングも保護されるため、Oリングも粒子からダメージを受けなくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のプラズマ処理装置の実施の形態を説明する。
【0021】
[実施形態1]
本発明の実施形態1の構成を、図1に示す。
図1はプラズマ装置の概略断面を示す。反応室のチャンバを形成する真空容器10は、金属製の下容器1と、絶縁材(ここではアルミナ)から成るドーム状の上容器2とから構成され、内部の部品交換や洗浄のため開閉できる構造となっている。このアルミナ製の上容器2が開閉時に損傷を受けないように、上容器2の下面には、金属製の蓋枠7が設けられている。従って、反応室内部の部品交換などの際、上容器2はその下面の金属製の蓋枠7と共に開閉される。
【0022】
このように、チャンバ壁は、その一部を構成するドーム状の上容器2が絶縁材から構成され、他の一部が蓋枠7と下容器1が金属材料から構成される。なおドーム状の上容器2の材質は、ここでは誘電体であるアルミナであるが、石英や、セラミックなどの誘電体から構成することもできる。
【0023】
チャンバの内部を真空保持可能とするため、上容器2と蓋枠7の間にはOリング9aが、また蓋枠7と下容器1との間にはOリング9bが設けられている。これにより真空容器10が密閉されてチャンバ内部が真空に保持可能とされ、チャンバ(真空容器10)の内部にプラズマ処理領域(反応室)20が形成される。
【0024】
チャンバ(真空容器10)の下容器1内には、抵抗加熱ヒータを内蔵したサセプタ5が設けてあり、これに被処理基板6を載置するようになっている。この実施形態の場合、サセプタ5は静止タイプのものであり、下容器1との間がOリング9dによりシールされる。しかし、本発明は回転式のサセプタを持つプラズマ処理装置に適用することもできる。また被処理基板6の加熱手段として、ここではサセプタ内に埋め込んだ抵抗加熱ヒータによるが、ランプを使用し赤外線で被処理基板を加熱したり、不活性ガスを使用してプラズマをたてそのエネルギーを利用して被処理基板を加熱する方法などでもよい。
【0025】
上容器2は、その上部に、反応ガスをシャワー状に供給し、被処理基板6へのプラズマ処理均一性を向上するシャワー板11を備えている。この上容器2の上には、Oリング9cを介して、ガス給気手段としてのガス給気口14を中央に有する金属製の上蓋4が設置される。この上蓋4は電極としても使用でき、高周波が供給できるようになっている。上容器2のシャワー板11と上蓋4の間に形成されるガス分散室12は、2種類以上のガスを使用する場合に、ガスを混合する役目も兼ねている。
【0026】
真空容器10の外側壁には、マグネトロン放電用の高周波電界を形成して、真空容器10内に給気されるガスを放電させる、例えば円筒状の放電用電極3が設けられる。この放電用電極3は高周波電源に接続されており、電極に高周波が供給されるようになっている。
【0027】
同じく真空容器10の外側壁にはリング状に形成された上下一対の永久磁石13が設けられる。この永久磁石13は、円筒状放電用電極3を囲むようにリング状に配設される。一対の永久磁石13は、その径方向に着磁され、互いに逆向きに着磁されている。これにより、円筒状の放電用電極3の軸方向にほぼ平行な成分の磁界を有するような磁力線を、円筒状放電用電極3内面に沿って円筒軸方向に形成するようになっている。
【0028】
上記構成の装置により、チャンバ内真空状態で所定のガスを導入し円筒状の電極3に高周波を印加することで、ドーム状の上容器2内部にプラズマができる。下容器1内にはサセプタ5が配置され、この上にシリコンウェハなどの被処理基板6が設置されている。上容器2内部に生成されたプラズマは拡散され、被処理基板6上においてほぼ均一なプラズマ密度となり、均一な処理が可能となる。
【0029】
上記チャンバ(真空容器10)の内壁には、下容器1から蓋枠7の内壁にかけて、金属製の蓋枠7及び下容器1の表面をプラズマから保護するための絶縁性保護部材8が設けられている。この絶縁性保護部材8は絶縁材である石英やセラミック等から成り、チャンバの内面に保護層の形で設けられる。この保護層の形をした絶縁性保護部材8は、正確には、金属製の下容器1の底面からその内周面全面を覆い、さらに金属製のチャンバ壁である蓋枠7の内周面を覆うように、チャンバの内面に接着により張設され、しかも張設された後の絶縁性保護部材8の内側面が上容器2の内側面と同じ面一になるように設けられる。
【0030】
この絶縁性保護部材8から成る保護層を、その内側面が上容器2と同じ面一になるように設ける目的で、金属製のチャンバ壁である蓋枠7及び下容器1と、他の絶縁材のチャンバ壁である上容器2との間には、図2に示すように、チャンバの半径方向に段差Δが形成されている。すなわち、金属製のチャンバ壁である蓋枠7及び下容器1の内径の方が、上容器2の内径よりも大きくなっており、その段差Δによって形成される段差凹部15内に、絶縁性保護部材8の肉厚が丁度収まる関係になっている。
【0031】
上記のように、下容器1及び蓋枠7の内側に、チャンバ表面をプラズマから保護するための絶縁性保護部材8を設けることにより、それら金属製の部材及びOリング9a、9bが絶縁性保護部材8で覆われて、プラズマ粒子に晒されることから保護される。
【0032】
[実施形態2]
上記実施形態1では、絶縁性保護部材8をチャンバの真空シール面側方に位置させる形態の一つとして、金属製の蓋枠7の上面と上容器2とのシール面の側方と、蓋枠7の下面と下容器1とのシール面の側方とに存在するように絶縁性保護部材8を設けた。
【0033】
しかし、上記構成の場合、絶縁性保護部材8は絶縁材である石英やセラミックからなどから製作されるので、寸法精度上の問題から部材と部材の間に微少な隙間ができる。従って、その隙間からプラズマ化した粒子が下容器等にダメージを与えてしまう。さらに悪いことに、粒子は電気的にみて抵抗の少ない部分を通ろうとするので、金属のエッジ部分は粒子が集中しやすく、ダメージも受けやすい。また、上容器2の下に金属製の蓋枠7との間のOリング9aがあるが、このOリング9aが粒子からダメージを受けてしまうという問題もある。
【0034】
図3は、上記問題点を解消した実施形態の一つ(実施形態2)を示す。
この実施形態2は、上記実施形態1におけるアルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の蓋枠7のエッジ部分16を保護するようにしたものである。
【0035】
また、この下に伸ばした垂下部2aの長さに対応して、保護部材8の高さ寸法を図2の場合よりも低くしている。すなわち、この実施形態の絶縁性保護部材8は、金属製の下容器1の底面からその内周面全面を覆い、さらに金属製のチャンバ壁である蓋枠7の内周面の途中までを覆うように、チャンバの内面に接着により張設され、残りの蓋枠7の上位部分は、アルミナ製の上容器2の垂下部2aにより覆われている。張設された後の絶縁性保護部材8の内側面は、上容器2の内側面及び垂下部2aと同じ面一になるように設けられる。
【0036】
上記のように構成することにより、金属製の蓋枠7のエッジ部分16は垂下部2aにより覆われると共に、このエッジ部分16を、垂下部2aと絶縁性保護部材8の間の隙間17から遠ざけることができる。この結果、図3は、上容器2と絶縁性保護部材8の隙間近くには金属のエッジがない構成となる。
【0037】
つまり、この実施形態2では、上容器2と絶縁性保護部材8との隙間17が、金属製の蓋枠7のエッジ部16に遠いため、粒子の集中を防ぐことができ、金属部材からの汚染が少なくなる。またプラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することになって粒子が通過しにくくなるので、Oリング9a、9bの劣化も少なくなる。
【0038】
[実施形態3]
図4に、金属のエッジ部分を隙間から遠ざけた別の実施の形態(実施形態3)を示す。
この実施形態3では、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、金属製の蓋枠7のエッジ部分16を保護するようにOリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、また、この垂下部2aに対応して、保護部材8の寸法を下容器1の内面領域だけを保護するような高さ寸法としている。
【0039】
さらに、上容器2と保護部材8との隙間17の外側には、粒子が直線的に金属製の蓋枠7や下容器1に向かわないように、絶縁性保護部材8と同じ材質の第二の絶縁性保護部材18がリング状に設けられている。この第二の絶縁性保護部材18も、その表面を下容器1及び蓋枠7の内周面と同じ面一にするため、下容器1及び蓋枠7の内周面に設けた環状溝から成る凹部19内に設けられている。
【0040】
この実施形態3では、実施形態2と同様に、上容器2と絶縁性保護部材8の隙間17が金属製の蓋枠7のエッジ部分16に遠くなりことから、粒子の集中を防ぐことができる。また、プラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することとなって、粒子が通過しにくくなるので、金属部材からの汚染が少なくなる。またプラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することとなって、粒子が通過しにくくなるので、Oリング9a、9bの劣化も少なくなる。
【0041】
[実施形態4、5]
上記実施形態では、上容器2の下面に金属製の蓋枠7を具備する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上容器2の下面に金属製の蓋枠7を具備しない形態についても適用することができる。
図5及び図6に、この場合の実施形態を示す。このうち図5は、上記図3の実施形態に対応した態様(実施形態4)を示すもので、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の下容器1のエッジ部分21及びOリング9aを保護するようにしたものである。
【0042】
図6は、上記図4の実施形態に対応した態様(実施形態5)を示すもので、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の下容器1のエッジ部分21及びOリング9aを保護する。
【0043】
さらに、上容器2と保護部材8との隙間17の外側には、粒子が直線的に金属製の下容器1に向かわないように、絶縁性保護部材8と同じ材質の第二の絶縁性保護部材18がリング状に設けられる。そして、この第二の絶縁性保護部材18も、その表面を下容器1の内周面と同じ面一にするため、下容器1の内周面に設けた環状溝から成る凹部22内に設けられる。
【0044】
【実施例】
次に、上記実施形態1〜3(図2〜図4)の実施例について述べる。
金属製の下容器1、蓋枠7及び上蓋4は、全てアルミ合金製とした。またOリング9a〜9dの材質には、〔JIS B 2401 4種Dフッ素ゴム〕(Viton:ヴィトン(登録商標))、〔パーフロロエラストマー〕(Kalrez:カーレッツ(登録商標))などを用いた。
【0045】
そして、絶縁性保護部材8は石英又はセラミック製とし、次のようにして取り付けた。すなわち、絶縁性保護部材8は、リング形状として形成し、かつ、絶縁性保護部材8の外側でチャンバ壁の内側に丁度位置するような寸法のものとして作製した。そして、これをチャンバ(真空容器10)に設けてある段差凹部15に収まるように載せることにより、チャンバ内面に絶縁性保護部材8を取り付けた。
【0046】
上記構成のプラズマ処理装置を用い、次のような条件でプラズマ処理を行った。
<プラズマ処理条件1>
膜種:基板表面窒化(Nitridation)Si3N4
処理ガス:N2 500sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF250W、13.56MHz
反応室内圧力:10〜50Pa
基板温度:400℃
【0047】
<プラズマ処理条件2>
膜種:基板表面酸化
処理ガス:O2 200sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF100W、13.56MHz
反応室内圧力:10Pa
基板温度:400℃
【0048】
<プラズマ処理条件3>
膜種:基板表面酸化
処理ガス:Kr 375sccm、O2 15sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF100W、13.56MHz
反応室内圧力:95Pa
基板温度:400℃
【0049】
この結果、いずれのプラズマ処理の場合でも、金属製の蓋枠や下容器が粒子からダメージを受けなくなり、従来における、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を防止することができた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバ内で、被処理基板へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材を設けた構成としたので、例えば金属製の下容器の内面やエッジ部分、更には金属製の蓋枠の内面やエッジ部分などの金属製部分へ向かうプラズマの流れが絶縁性保護部材で阻止され、これらの金属製部分が粒子からダメージを受けなくなる。従って、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を避けることができる。
【0051】
また、絶縁性保護部材によって同時にシール部分のOリングも保護されるため、Oリングも粒子からダメージを受けなくなる。
【0052】
すなわち、本発明によれば、プラズマ処理装置における反応室のチャンバ壁を構成する金属部材又はOリングをプラズマから保護し、汚染の少ない処理被処理基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るプラズマ処理装置の断面図である。
【図2】図1のチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図5】本発明の第四の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図6】本発明の第五の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図7】従来のプラズマ処理装置の断面図である。
【符号の説明】
1 下容器(金属製)
2 上容器(絶縁材)
2a 垂下部
3 放電用電極
4 上蓋(金属製)
5 サセプタ
6 被処理基板
7 蓋枠(金属製)
8 絶縁性保護部材
9a〜9d Oリング
10 真空容器(チャンバ)
13 永久磁石
15 段差凹部
16、21 エッジ部分
17 隙間
18 第二の絶縁性保護部材
19、22 環状溝から成る凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して各種処理を行う装置、例えば被処理基板の表面に形成された膜をプラズマによってドライエッチングするプラズマエッチング装置や、プラズマによる気相反応を利用して被処理基板の表面に薄膜を作成するプラズマCVD(化学蒸着)装置に用いられるプラズマ処理装置に係り、特にその反応室を形成するチャンバ(真空容器)の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種半導体デバイスや液晶ディスプレイ、太陽電池等の製造工程においてプラズマを利用した処理が盛んに行われている。例えば、シリコン半導体上に形成した酸化シリコン膜のエッチングでは、ドライエッチングの手法の一つとして、プラズマ中で生成される活性種やイオンの作用を利用してエッチングをすることが行われている。また、半導体デバイスの高集積化に伴って配線も多層配線になり、配線と配線の間に絶縁膜(層間絶縁膜)を設けなければならない。プロセスを行う反応室の中に反応性ガスを導入し、熱を加えてガスを反応させ、基板表面に成膜する方法もあるが、この方法は、比較的に高い温度を必要とするのでデバイスに不具合も多く、最近は反応の活性化に必要なエネルギーはグロー放電を通じて生ずるプラズマによって与えられるプラズマCVD法が広く使われている。さらに、太陽電池などの成膜にもプラズマCVD法が使われている。
【0003】
従来のプラズマ処理装置としては、反応室のチャンバを形成する真空容器の外に筒状の電極を配置した変形マグネトロン高周波放電型のプラズマ処理装置が注目されている。
【0004】
図7はこの従来のプラズマ装置の断面を示す。反応室のチャンバを形成する真空容器10は、金属製の下容器1と、絶縁材(ここではアルミナ)から成るドーム状の上容器2とから構成され、内部の部品交換や洗浄のため開閉できる構造となっている。通常、この開閉される上容器2の下部と下容器1との間には、シール部材としてOリングが介設され、これにより真空容器10が密閉されて内部が真空に保持可能とされ、真空容器10の内部にプラズマ処理領域(反応室)20が形成される。
【0005】
図7の場合には、上容器2がアルミナ製であり開閉時に損傷を受け易いことを考慮し、上容器2の下面に金属製の蓋枠7が設けられている。すなわち、反応室内部の部品交換などの際、上容器2はその下面の金属製の蓋枠7と共に開閉される。そして真空容器10の内部を真空保持可能とするため、上容器2と蓋枠7の間、蓋枠7と下容器1との間には、いずれもOリング9a、9bが設けられている。
【0006】
上容器2は上部に反応ガスをシャワー状に供給するシャワー板11を備えており、この上容器2の上にOリング9cを介して、金属製の上蓋4が設置される。この上蓋4は電極としても使用でき、高周波が供給できるようになっている。2種類以上のガスを使用する場合は、上容器2のシャワー板11と上蓋4の間に形成されるガス分散室12でガスが混合できる。
【0007】
真空容器10の外側壁には、マグネトロン放電用の高周波電界を形成して、真空容器10内に給気されるガスを放電させる、例えば円筒状の放電用電極3が設けられる。この放電用電極3は高周波電源に接続されており、電極に高周波が供給されるようになっている。
【0008】
同じく真空容器10の外側壁にはリング状に形成された上下一対の永久磁石13が設けられる。この永久磁石13は、円筒状放電用電極3を囲むようにリング状に配設される。一対の永久磁石13は、その径方向に着磁され、互いに逆向きに着磁されている。これにより、円筒状の放電用電極3の軸方向にほぼ平行な成分の磁界を有するような磁力線を、円筒状放電用電極3内面に沿って円筒軸方向に形成するようになっている。
【0009】
上記構成の装置により、チャンバ内真空状態で所定のガスを導入し円筒状の電極3に高周波を印加することで、ドーム状の上容器2内部にプラズマができる。下容器1内にはサセプタ5が配置され、この上にシリコンウェハなどの被処理基板6が設置されている。上容器2内部に生成されたプラズマは拡散され、被処理基板6上においてほぼ均一なプラズマ密度となり、均一な処理が可能となる。
【0010】
次に基板処理の流れについて説明する。
図示しない基板搬送手段によって、反応室内のサセプタ5上に被処理基板6を搬送し、図示しない排気手段を用い反応室内を真空にする。
次に被処理基板6をその処理に適した温度に加熱する。被処理基板6の加熱は、ここではサセプタ内に埋め込んだ抵抗加熱ヒータによるが、ランプを使用し赤外線で被処理基板を加熱したり、不活性ガスを使用してプラズマをたてそのエネルギーを利用して被処理基板を加熱する方法などもある。
【0011】
被処理基板6を所定の温度に加熱した後、処理ガス供給ラインからシャワー板11を備えた上容器2に処理ガスを投入し、下容器1内に供給する。同時に、高周波電源から高周波を円筒状の放電用電極3に印加し、上容器2内にプラズマを発生させ、処理を行う。ガスの供給から停止、高周波の供給から停止までの一連の処理の間、排気手段によって真空容器10内は所定の圧力に保たれている。
処理が終わった被処理基板6は搬送手段を用いて反応室外へ搬送される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のプラズマ処理装置に見られるように、一般にプラズマ処理装置の反応室としてのチャンバを形成する真空容器は、その全てが絶縁性ではなく、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバとして構成される。
【0013】
従って、従来のプラズマ処理装置の場合、上記の基板処理時において、プラズマ化したガスの一部は被処理基板に向かうが、その他は金属製の蓋枠7や下容器1、上蓋4などに向かう。そして、プラズマ化したガスが金属製の蓋枠7や下容器1に向かうことによって、金属製の蓋枠7や下容器1が粒子からダメージを受けることになる。ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板6に付着して金属汚染をもたらすことがある。
【0014】
例えば、寸法精度上の問題から部材と部材の間に微少な隙間ができるが、その隙間からプラズマ化した粒子が金属製の下容器等にダメージを与えてしまう。さらに悪いことに粒子は電気的にみて抵抗の少ない部分を通ろうとするので、金属のエッジ部分は粒子が集中しやすく、ダメージも受けやすい。
【0015】
また、上容器2の下に、金属製の蓋枠7との間のOリング9a、9bがあるが、Oリング9a、9bも粒子からダメージを受けてしまうという問題もある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、プラズマ処理反応室のチャンバの一部、つまり真空容器の一部を構成する下容器や蓋枠といった金属製部材をプラズマから保護し、汚染の少ない処理被処理基板を得るプラズマ処理装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバ内で、被処理基板へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁(金属製、誘電体、絶縁体のいずれでも良い)との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明のプラズマ処理装置において問題とするのは、チャンバが金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁(金属製、誘電体、絶縁体のいずれでも良い)とで構成される場合における、その両者間で行われるシール部分であり、本発明は、少なくとも、当該シール部分のチャンバ内面の側方、つまり真空シール面側方に、絶縁性保護部材を設けるものである。
【0018】
このように構成すると、金属製の下容器の内面やエッジ部分、更には金属製の蓋枠の内面やエッジ部分へ向かうプラズマの流れが絶縁性保護部材で阻止され、これらの金属製部分が粒子からダメージを受けなくなる。従って、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を避けることができる。
【0019】
また、絶縁性保護部材によって同時にシール部分のOリングも保護されるため、Oリングも粒子からダメージを受けなくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のプラズマ処理装置の実施の形態を説明する。
【0021】
[実施形態1]
本発明の実施形態1の構成を、図1に示す。
図1はプラズマ装置の概略断面を示す。反応室のチャンバを形成する真空容器10は、金属製の下容器1と、絶縁材(ここではアルミナ)から成るドーム状の上容器2とから構成され、内部の部品交換や洗浄のため開閉できる構造となっている。このアルミナ製の上容器2が開閉時に損傷を受けないように、上容器2の下面には、金属製の蓋枠7が設けられている。従って、反応室内部の部品交換などの際、上容器2はその下面の金属製の蓋枠7と共に開閉される。
【0022】
このように、チャンバ壁は、その一部を構成するドーム状の上容器2が絶縁材から構成され、他の一部が蓋枠7と下容器1が金属材料から構成される。なおドーム状の上容器2の材質は、ここでは誘電体であるアルミナであるが、石英や、セラミックなどの誘電体から構成することもできる。
【0023】
チャンバの内部を真空保持可能とするため、上容器2と蓋枠7の間にはOリング9aが、また蓋枠7と下容器1との間にはOリング9bが設けられている。これにより真空容器10が密閉されてチャンバ内部が真空に保持可能とされ、チャンバ(真空容器10)の内部にプラズマ処理領域(反応室)20が形成される。
【0024】
チャンバ(真空容器10)の下容器1内には、抵抗加熱ヒータを内蔵したサセプタ5が設けてあり、これに被処理基板6を載置するようになっている。この実施形態の場合、サセプタ5は静止タイプのものであり、下容器1との間がOリング9dによりシールされる。しかし、本発明は回転式のサセプタを持つプラズマ処理装置に適用することもできる。また被処理基板6の加熱手段として、ここではサセプタ内に埋め込んだ抵抗加熱ヒータによるが、ランプを使用し赤外線で被処理基板を加熱したり、不活性ガスを使用してプラズマをたてそのエネルギーを利用して被処理基板を加熱する方法などでもよい。
【0025】
上容器2は、その上部に、反応ガスをシャワー状に供給し、被処理基板6へのプラズマ処理均一性を向上するシャワー板11を備えている。この上容器2の上には、Oリング9cを介して、ガス給気手段としてのガス給気口14を中央に有する金属製の上蓋4が設置される。この上蓋4は電極としても使用でき、高周波が供給できるようになっている。上容器2のシャワー板11と上蓋4の間に形成されるガス分散室12は、2種類以上のガスを使用する場合に、ガスを混合する役目も兼ねている。
【0026】
真空容器10の外側壁には、マグネトロン放電用の高周波電界を形成して、真空容器10内に給気されるガスを放電させる、例えば円筒状の放電用電極3が設けられる。この放電用電極3は高周波電源に接続されており、電極に高周波が供給されるようになっている。
【0027】
同じく真空容器10の外側壁にはリング状に形成された上下一対の永久磁石13が設けられる。この永久磁石13は、円筒状放電用電極3を囲むようにリング状に配設される。一対の永久磁石13は、その径方向に着磁され、互いに逆向きに着磁されている。これにより、円筒状の放電用電極3の軸方向にほぼ平行な成分の磁界を有するような磁力線を、円筒状放電用電極3内面に沿って円筒軸方向に形成するようになっている。
【0028】
上記構成の装置により、チャンバ内真空状態で所定のガスを導入し円筒状の電極3に高周波を印加することで、ドーム状の上容器2内部にプラズマができる。下容器1内にはサセプタ5が配置され、この上にシリコンウェハなどの被処理基板6が設置されている。上容器2内部に生成されたプラズマは拡散され、被処理基板6上においてほぼ均一なプラズマ密度となり、均一な処理が可能となる。
【0029】
上記チャンバ(真空容器10)の内壁には、下容器1から蓋枠7の内壁にかけて、金属製の蓋枠7及び下容器1の表面をプラズマから保護するための絶縁性保護部材8が設けられている。この絶縁性保護部材8は絶縁材である石英やセラミック等から成り、チャンバの内面に保護層の形で設けられる。この保護層の形をした絶縁性保護部材8は、正確には、金属製の下容器1の底面からその内周面全面を覆い、さらに金属製のチャンバ壁である蓋枠7の内周面を覆うように、チャンバの内面に接着により張設され、しかも張設された後の絶縁性保護部材8の内側面が上容器2の内側面と同じ面一になるように設けられる。
【0030】
この絶縁性保護部材8から成る保護層を、その内側面が上容器2と同じ面一になるように設ける目的で、金属製のチャンバ壁である蓋枠7及び下容器1と、他の絶縁材のチャンバ壁である上容器2との間には、図2に示すように、チャンバの半径方向に段差Δが形成されている。すなわち、金属製のチャンバ壁である蓋枠7及び下容器1の内径の方が、上容器2の内径よりも大きくなっており、その段差Δによって形成される段差凹部15内に、絶縁性保護部材8の肉厚が丁度収まる関係になっている。
【0031】
上記のように、下容器1及び蓋枠7の内側に、チャンバ表面をプラズマから保護するための絶縁性保護部材8を設けることにより、それら金属製の部材及びOリング9a、9bが絶縁性保護部材8で覆われて、プラズマ粒子に晒されることから保護される。
【0032】
[実施形態2]
上記実施形態1では、絶縁性保護部材8をチャンバの真空シール面側方に位置させる形態の一つとして、金属製の蓋枠7の上面と上容器2とのシール面の側方と、蓋枠7の下面と下容器1とのシール面の側方とに存在するように絶縁性保護部材8を設けた。
【0033】
しかし、上記構成の場合、絶縁性保護部材8は絶縁材である石英やセラミックからなどから製作されるので、寸法精度上の問題から部材と部材の間に微少な隙間ができる。従って、その隙間からプラズマ化した粒子が下容器等にダメージを与えてしまう。さらに悪いことに、粒子は電気的にみて抵抗の少ない部分を通ろうとするので、金属のエッジ部分は粒子が集中しやすく、ダメージも受けやすい。また、上容器2の下に金属製の蓋枠7との間のOリング9aがあるが、このOリング9aが粒子からダメージを受けてしまうという問題もある。
【0034】
図3は、上記問題点を解消した実施形態の一つ(実施形態2)を示す。
この実施形態2は、上記実施形態1におけるアルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の蓋枠7のエッジ部分16を保護するようにしたものである。
【0035】
また、この下に伸ばした垂下部2aの長さに対応して、保護部材8の高さ寸法を図2の場合よりも低くしている。すなわち、この実施形態の絶縁性保護部材8は、金属製の下容器1の底面からその内周面全面を覆い、さらに金属製のチャンバ壁である蓋枠7の内周面の途中までを覆うように、チャンバの内面に接着により張設され、残りの蓋枠7の上位部分は、アルミナ製の上容器2の垂下部2aにより覆われている。張設された後の絶縁性保護部材8の内側面は、上容器2の内側面及び垂下部2aと同じ面一になるように設けられる。
【0036】
上記のように構成することにより、金属製の蓋枠7のエッジ部分16は垂下部2aにより覆われると共に、このエッジ部分16を、垂下部2aと絶縁性保護部材8の間の隙間17から遠ざけることができる。この結果、図3は、上容器2と絶縁性保護部材8の隙間近くには金属のエッジがない構成となる。
【0037】
つまり、この実施形態2では、上容器2と絶縁性保護部材8との隙間17が、金属製の蓋枠7のエッジ部16に遠いため、粒子の集中を防ぐことができ、金属部材からの汚染が少なくなる。またプラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することになって粒子が通過しにくくなるので、Oリング9a、9bの劣化も少なくなる。
【0038】
[実施形態3]
図4に、金属のエッジ部分を隙間から遠ざけた別の実施の形態(実施形態3)を示す。
この実施形態3では、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、金属製の蓋枠7のエッジ部分16を保護するようにOリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、また、この垂下部2aに対応して、保護部材8の寸法を下容器1の内面領域だけを保護するような高さ寸法としている。
【0039】
さらに、上容器2と保護部材8との隙間17の外側には、粒子が直線的に金属製の蓋枠7や下容器1に向かわないように、絶縁性保護部材8と同じ材質の第二の絶縁性保護部材18がリング状に設けられている。この第二の絶縁性保護部材18も、その表面を下容器1及び蓋枠7の内周面と同じ面一にするため、下容器1及び蓋枠7の内周面に設けた環状溝から成る凹部19内に設けられている。
【0040】
この実施形態3では、実施形態2と同様に、上容器2と絶縁性保護部材8の隙間17が金属製の蓋枠7のエッジ部分16に遠くなりことから、粒子の集中を防ぐことができる。また、プラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することとなって、粒子が通過しにくくなるので、金属部材からの汚染が少なくなる。またプラズマ発生源であるドーム内部からOリング9a、9bが直線的に見えないので、つまり粒子が迷路状になった隙間通路を通過することとなって、粒子が通過しにくくなるので、Oリング9a、9bの劣化も少なくなる。
【0041】
[実施形態4、5]
上記実施形態では、上容器2の下面に金属製の蓋枠7を具備する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上容器2の下面に金属製の蓋枠7を具備しない形態についても適用することができる。
図5及び図6に、この場合の実施形態を示す。このうち図5は、上記図3の実施形態に対応した態様(実施形態4)を示すもので、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の下容器1のエッジ部分21及びOリング9aを保護するようにしたものである。
【0042】
図6は、上記図4の実施形態に対応した態様(実施形態5)を示すもので、アルミナ製の上容器2の下面における段差凹部15に面した下部を、Oリング9aのシール面より下に伸ばした形の垂下部2a(円筒垂下部分)として形成し、この垂下部2aにより、金属製の下容器1のエッジ部分21及びOリング9aを保護する。
【0043】
さらに、上容器2と保護部材8との隙間17の外側には、粒子が直線的に金属製の下容器1に向かわないように、絶縁性保護部材8と同じ材質の第二の絶縁性保護部材18がリング状に設けられる。そして、この第二の絶縁性保護部材18も、その表面を下容器1の内周面と同じ面一にするため、下容器1の内周面に設けた環状溝から成る凹部22内に設けられる。
【0044】
【実施例】
次に、上記実施形態1〜3(図2〜図4)の実施例について述べる。
金属製の下容器1、蓋枠7及び上蓋4は、全てアルミ合金製とした。またOリング9a〜9dの材質には、〔JIS B 2401 4種Dフッ素ゴム〕(Viton:ヴィトン(登録商標))、〔パーフロロエラストマー〕(Kalrez:カーレッツ(登録商標))などを用いた。
【0045】
そして、絶縁性保護部材8は石英又はセラミック製とし、次のようにして取り付けた。すなわち、絶縁性保護部材8は、リング形状として形成し、かつ、絶縁性保護部材8の外側でチャンバ壁の内側に丁度位置するような寸法のものとして作製した。そして、これをチャンバ(真空容器10)に設けてある段差凹部15に収まるように載せることにより、チャンバ内面に絶縁性保護部材8を取り付けた。
【0046】
上記構成のプラズマ処理装置を用い、次のような条件でプラズマ処理を行った。
<プラズマ処理条件1>
膜種:基板表面窒化(Nitridation)Si3N4
処理ガス:N2 500sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF250W、13.56MHz
反応室内圧力:10〜50Pa
基板温度:400℃
【0047】
<プラズマ処理条件2>
膜種:基板表面酸化
処理ガス:O2 200sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF100W、13.56MHz
反応室内圧力:10Pa
基板温度:400℃
【0048】
<プラズマ処理条件3>
膜種:基板表面酸化
処理ガス:Kr 375sccm、O2 15sccm
円筒電極印加用高周波電源:RF100W、13.56MHz
反応室内圧力:95Pa
基板温度:400℃
【0049】
この結果、いずれのプラズマ処理の場合でも、金属製の蓋枠や下容器が粒子からダメージを受けなくなり、従来における、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を防止することができた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバ内で、被処理基板へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、前記金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材を設けた構成としたので、例えば金属製の下容器の内面やエッジ部分、更には金属製の蓋枠の内面やエッジ部分などの金属製部分へ向かうプラズマの流れが絶縁性保護部材で阻止され、これらの金属製部分が粒子からダメージを受けなくなる。従って、ダメージを受けた金属が反応室内で被処理基板に付着して金属汚染をもたらす、という不都合を避けることができる。
【0051】
また、絶縁性保護部材によって同時にシール部分のOリングも保護されるため、Oリングも粒子からダメージを受けなくなる。
【0052】
すなわち、本発明によれば、プラズマ処理装置における反応室のチャンバ壁を構成する金属部材又はOリングをプラズマから保護し、汚染の少ない処理被処理基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るプラズマ処理装置の断面図である。
【図2】図1のチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図5】本発明の第四の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図6】本発明の第五の実施形態に係るチャンバの上容器及び下容器のシール部の構造を示す拡大図である。
【図7】従来のプラズマ処理装置の断面図である。
【符号の説明】
1 下容器(金属製)
2 上容器(絶縁材)
2a 垂下部
3 放電用電極
4 上蓋(金属製)
5 サセプタ
6 被処理基板
7 蓋枠(金属製)
8 絶縁性保護部材
9a〜9d Oリング
10 真空容器(チャンバ)
13 永久磁石
15 段差凹部
16、21 エッジ部分
17 隙間
18 第二の絶縁性保護部材
19、22 環状溝から成る凹部
Claims (1)
- 少なくとも一部に金属製のチャンバ壁を有するチャンバ内で、被処理基板へプラズマ処理をするプラズマ処理装置において、
前記金属製のチャンバ壁と他のチャンバ壁との真空シール面側方に、少なくとも絶縁性保護部材を設けたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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Cited By (3)
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JP2006332087A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 |
JP2010505265A (ja) * | 2006-09-28 | 2010-02-18 | ラム リサーチ コーポレーション | フォトレジスト剥離および金属エッチング後パッシベーション用の高チャンバ温度プロセスおよびチャンバ設計 |
EP2226832A1 (en) | 2009-03-06 | 2010-09-08 | FUJIFILM Manufacturing Europe B.V. | Substrate plasma treatment using side tabs |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003082596A patent/JP2004296460A/ja active Pending
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