JP2004295110A - 静電潜像現像用トナーと画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 招待状や喪中はがきの様な厚手の紙やオフセット印刷用用紙、あるいはインクジェット用出力紙として併用される電子写真用紙に画像形成した時に、良好な定着強度やすべり性を有するトナー画像を形成することが可能なトナーを提供する。
【解決手段】 重付加・重縮合により得られた樹脂と着色剤からなる静電潜像現像用トナーであって、(1)トナーの円形度の平均値が0.95〜0.99、(2)円相当径の平均値が2.6〜7.4μm、(3)トナーの酸価が20mgKOH/g未満、かつ水酸基価が7〜57mgKOH/g、(4)トナーを30℃、80%RHの環境に2時間放置したときの水分量が0.1%以上0.70%未満、(5)樹脂のピークトップ分子量が3,000〜9,500、Mw/Mnが1.5〜2.8である静電潜像現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主にデジタル方式による画像形成に用いられる静電潜像現像用トナー(単にトナーということもある)と、画像形成方法に関するものである。
電子写真方式による画像形成は、いまやデジタル方式に主流が移行している。デジタル方式による画像形成では、特に最近要求度が高い1200dpi(2.54cmあたりのドット数)レベルの小さなドット画像を顕像化するためには、優れた細線再現性や高解像性が必要であり、電子写真方式でこれを達成するには、小径の静電潜像現像用トナーの使用が必須である。
下記特許文献1及び特許文献2には、この様な小径トナーの製造例として、ポリエステル樹脂をはじめとするトナー用原料を水系媒体中で乳化分散させ、該乳化分散液中の樹脂粒子をトナーサイズに凝集させるトナー製造方法が開示されている。
また、前述したデジタル画像形成の実施形態として、「必要な時に必要な部数だけ」プリントを行うプリントオンデマンド方式の画像形成方法がある。この方式による画像形成は、従来の印刷で行う版起しをする必要もなく、数百部程度の出版物を発行したり、宛名を変えながらダイレクトメールや案内状作成を行うことが可能であり、軽印刷に替わる有力な画像形成手段として注目されている。
ところが、電子写真方式での画像形成を採用すると、前述した宛名を変えての郵便物や案内状作成を行う上で問題を有していることが判明した。それは、結婚式の招待状や喪中はがき、葬儀礼状といった厚い紙に画像形成を行うと、十分な定着性が得られないことであった。特に、グレーの枠を設けた仕様の喪中はがきや葬儀礼状は、グレー枠部分における定着性が発現しにくく、しかも、未定着トナーによりユーザの手が汚れたり、紙面汚染の原因となることがわかった。
さらに製本した印刷物においては、通勤客がラッシュアワーにつり革につかまりながら片手で文庫本を読む光景をよく目にするが、この様な状況でもページを片手でめくれる「すべり性」を有するとともに、摩擦によりトナーがこすれて紙面や文字を汚さない「定着強度」を有することが要求される。しかしながら、電子写真方式によるトナー画像は、すべり性や定着強度が通常の印刷物に比べて見劣りする。
また、画像品質やその安定性という意味で、充分顧客の要求に応えられるとは限らず、従って、電子写真をプリントオンデマンド方式の画像形成手段として普及させるためには問題が残っている。しかし、上記した諸問題は特許文献1及び特許文献2に開示されたトナーを使用したからといって解消することはなく、従来、電子写真をプリントオンデマンド方式の画像形成に適用することは、印刷業界からなかなか受け入れてもらえなかった。
さらに、最近ではインクジェットプリンタの普及に伴い、オフィスでは電子写真用の用紙でインクジェット画像が出力するというニーズが出てきた。この様な情勢からにじみ防止剤の添加などの用紙の改質によるインクジェットプリント対応可能な電子写真用紙が登場してきたが、改質により本来発現できたトナー画像形成が困難になるという支障も新たに発生している。
特開2002−296839号公報 特開2002−351140号公報
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、例えば、招待状や喪中はがきの様な厚手の紙やオフセット印刷用用紙、あるいはインクジェット用出力紙として併用される電子写真用紙に画像形成した時に、良好な定着強度やすべり性を有するトナー画像を形成することが可能なトナーを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は喪中はがきや会葬礼状の様な厚手の紙にトナー画像を形成した時に未定着のトナーによりユーザの手が汚れたり、紙面汚染を発生させることのない良好な定着性を発現するトナーを提供することを目的とする。
また、本発明は、印刷用紙にトナー画像を形成した時に、ページを片手でめくることができるすべり性と、摩擦の作用でトナーがこすれずに紙面や文字を汚すことのない定着強度を有する画像形成が可能なトナーを提供することを目的とする。
また、本発明は、トナーブリスタの発生の様な画像形成時の温度湿度環境の影響を受けることなく良好な画像形成が行えるトナーを提供することを目的とする。
本発明者等は、トナー樹脂の特性、特にそれにより形成されるトナー粒子の表面状態への影響に着目し検討を行った結果、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成されることを見出した。
(請求項1)
重付加反応或いは重縮合反応により得られた樹脂と着色剤からなる静電潜像現像用トナーであって、
該トナーは、
(1)円形度の平均値が0.95〜0.99
(2)円相当径の平均値が2.6〜7.4μm
(3)酸価が20mgKOH/g未満で、かつ、水酸基価が7〜57mgKOH/g
(4)30℃、80%RHの環境に2時間放置後のカールフィッシャー水分計による水分量が0.10%以上0.70%未満
(5)ピークトップ分子量が3000〜9500、Mw/Mnが1.5〜2.8
であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
(請求項2)
前記樹脂が、ウレタン変性ポリエステル樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
(請求項3)
前記トナーは、重付加反応或いは重縮合反応により得られた樹脂粒子を含有する分散液を用い、該樹脂粒子を凝集させる工程を経て単一のトナー粒子として作製されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像用トナー。
(請求項4)
前記トナーの円相当径に対する円形度の傾きが、−0.050〜0.010であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
(請求項5)
前記トナーが、平均一次粒径が50〜200nmのシリカまたはチタン微粒子を外添してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用い、デジタル方式によるカラー画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
ポリエステル樹脂に代表される重付加或いは重縮合反応により作製される樹脂は、高い極性を有し、転写媒体である紙と強固な接着力を発現するので、定着性の優れたトナー画像が得られるものであった。ところが、近年インクジェットプリンターの普及に伴い、これまで「普通紙」と呼ばれていた電子写真用紙が「インクジェット・電子写真用紙」と表示される様に電子写真用紙がインクジェット用の出力紙としても使用できる様に仕様が変更されてきた。そして、最近ではこの様な用紙が圧倒的なシェアを占める様になっている。これらの紙は、従来の「普通紙」よりもアルキルケテンダイマーに代表されるにじみ防止剤の含有量を増やしているものが多い。
しかしながら、にじみ防止剤の含有量の増加は、これまで優れた定着性を発現していたポリエステル樹脂を用いたトナーで定着不良の問題を発生させる要因となった。
そこで、本発明者等はトナーの疎水性を高めることを想定した。すなわち、本発明者等は、トナーを構成する樹脂中のカルボキシル基や水酸基の数をはじめから少なくする様にトナー設計を行ったり、或いは疎水性のアミンや酸を加えて、トナーを構成する樹脂中の極性基をブロックすることで疎水性を向上させることを試みた。そして、これらの手段がトナーの疎水性を高めることに寄与することを見出し、トナーの疎水性を高めることによりインクジェットとの併用紙でも良好なトナー画像形成を行える様にした。
また、本発明では、トナーブリスタの問題や湿度による帯電性変動の問題を解消することも可能にした。すなわち、水系媒体中で小径トナーを製造すると、乾燥工程で十分な時間をかけても一定量の水分がどうしても残存した。これにより定着時に水蒸気がトナー画像上より噴出し白点状の画像不良(トナーブリスタ)を発生させたり、湿度により帯電性が変動して画質の劣化を発生させていたが、本発明はこれらの問題を解消した。
また、本発明者等は、トナー形状にも着目し、予め丸みを帯びた形状のトナーとすることで本発明の効果がより発現されることを見出している。これは、トナーは当初不定形の形状であっても、熱定着時に一旦表面張力の作用で球形化し、圧力の作用で変形することを利用しようと考えた結果見出されたものであった。
この様に、本発明ではトナーの疎水性を向上させることにより、インクジェットプリンタにも併用される電子写真用紙で良好なトナー画像形成が行える様になっている。すなわち、本発明に係るトナーは、画像形成時の温度湿度環境に左右されず、トナーブリスタの発生や帯電性変動による画質劣化のない良好な画像品質のトナー画像を形成した。
また、結婚式の招待状や喪中はがき、会葬礼状などの厚手の紙にトナー画像形成を行った時も十分な定着強度を有する画像が得られ、印刷用の用紙にトナー画像形成を行った時にも印刷物に劣ることのない良好なすべり性と定着強度を発現することを可能にした。
その結果、「必要な時に必要な部数だけ」プリントを行うプリントオンデマンド方式の画像形成を電子写真方式で行うことが可能になり、版起しの手間もなく、数百部程度の出版物の発行や、宛名を変えながらのダイレクトメール、案内状作成といった軽印刷を電子写真方式で行える様にした。
次に、本発明に係わるトナー作製に用いられる組成物、トナー・現像剤の作製方法及び画像形成方法等について説明する。
本発明に係るトナーは、円形度の平均値が0.95〜0.99、円相当径の平均値が2.6〜7.4μmである。ここでは、トナー粒子の断面を真円に相当しており、円形度とはトナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことをいうもので、円相当径とはトナー粒子投影増と同じ面積を有する円の直径のことをいう。
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することが可能である。円形度の平均値及び円相当径の平均値については後で詳細に説明する。
また、本発明に係るトナーは、以下の様な構成により疎水性を規定するものである。
すなわち、本発明に係るトナーは、酸価が20mgKOH/g未満で、かつ、水酸基価が7〜57mgKOH/gである。
ここで、酸価とは樹脂等の1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。具体的には、試料をベンゼン−エタノール混合溶媒等に溶かし、正確な力価が確認されている水酸化カリウム溶液で滴定して得られた中和量から算出されるものである。
また、水酸基価とは、樹脂等の1g中に含まれるアセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいうもので、酸価の時と同様に、試料をベンゼン−エタノール混合溶媒等に溶解させて、力価が正確に確認されている水酸化カリウム溶液で滴定して得られた中和量から算出されるものである。
酸価、及び水酸基価の具体的な測定方法は、例えば、JIS−0070−1992に示される方法が挙げられる。
なお、本発明に係るトナーの酸価は、1mgKOH/g以上20mgKOH/g未満であることが好ましい。
また、本発明に係るトナーは、30℃、80%RHの環境に2時間放置後のカールフィッシャー水分計による水分量が0.10%以上0.70%未満であることで、その疎水性を規定するものである。
カールフィッシャー法によるトナーの水分量の具体的な測定方法を説明する。
最初に、マイクロシリンジで純水を10μl精秤し、この水を除去するのに必要な試薬滴定量より、カールフィッシャー試薬1ml当たりの水分量(mg)を算出する。次にサンプルを100〜200mg精秤し、30℃、80%RHの環境下に2時間放置した後、測定フラスコ内で5分間マグネチックスターラーにより充分分散させる。その後、測定を開始し、滴定に要したカールフィッシャー試薬の滴定量(ml)を求め、下記式より水分量及び水分含有率を算出する。
水分量(mg)=試薬消費量(ml)×試薬力価(mgH2O/ml)
水分含有率(%)=(水分量(mg)/サンプル量(mg))×100
代表的なカールフィッシャー水分計としては、京都電子工業(株)製;MKA−3p、三菱化成(株)製;KF−06型等が挙げられる。
本発明に係るトナーの酸価、水酸基価、水分量は、後述する様にトナー用樹脂作製時のアミン添加量や、無水酢酸の添加量を制御することにより制御することが可能である。
また、本発明に係るトナーは、ピークトップ分子量が3000〜9500、Mw/Mnが1.5〜2.8となる様な樹脂を含有してなるものである。ここでピークトップ分子量とは、分子量分布における極大ピークを有する時の分子量をいうものである。
本発明に係るトナーあるいは樹脂のピークトップ分子量の測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。
次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
〔トナー製造に用いられる化合物〕
(結着樹脂)
本発明に用いられるトナーの構成材料である結着樹脂(バインダー樹脂)としては、重付加あるいは重縮合反応により得られた樹脂で、水系媒体中に樹脂粒子の分散液を形成し得る樹脂であればいかなるものでもよい。例えば、無定形のポリエステル樹脂、或いはポリオール樹脂が代表的なものとして挙げられるが、無定形のポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明に係るトナーを構成する樹脂は、重付加あるいは重縮合反応により得られるものである。ここで、重縮合反応とは複数の官能基を有する化合物が水やアルコールの様な低分子の化合物を放出しながら次々に縮合反応を繰り返して高分子を生成する反応のことをいう。通常、よく知られた重縮合反応の例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との反応により水を放出してポリアミド(66ナイロン)を生成するものや、エチレングリコールとテレフタル酸エステルからアルコールの脱離を伴ってポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を生成する反応が挙げられる。
一方、重付加反応とは官能基を有する化合物の官能基間で付加反応が行われることにより新しい結合を形成し、この反応を順次繰り返して高分子を生成する反応のことをいい、反応時に重縮合反応の様な低分子化合物の放出を伴わずに高分子を生成するものである。
また、重付加反応は前述の様に、官能基間の反応が逐次的に繰り返されるものであるので、ラジカル重合などの付加重合反応とは異なるものである。通常、よく知られた重付加反応の例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナートとテトラメチレングリコールからポリウレタンを生成するものが挙げられる。
無定形ポリエステル樹脂
ここで、無定形ポリエステルの無定形とは、X線回折により明瞭な結晶構造が認められないポリエステル分子が全構成分子の50モル%以上を占めるものをいう。さらに詳しくは、結晶化度が0.1未満である分子が50モル%以上占めるものを無定形ポリエステルという。
なお、ここでいう結晶化度は、密度、融解熱、X線回折、NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定され、結晶領域を質量比(百分率)で表す。
無定形のポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
無定形のポリエステル樹脂に用いられる多価アルコール類としては、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等を例示できる。脂肪族多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオールおよびテトラオール類等を例示できる。脂環族多価アルコール類としては1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を例示できる。
芳香族多価アルコール類としては、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。さらに、ポリエステルポリオールとして、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクトン系ポリエステルポリオール類等を例示することができる。
本発明で使用される低酸価の樹脂を得る方法としては、例えば、以下の方法がある。すなわち、ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖し、単官能単量体をポリエステルに導入する方法が挙げられる。
単官能単量体としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコール、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類を用いることができる。
また、本発明では、ポリエステル樹脂の作製時に、N−メチルプロピルアミンに代表されるアミン類や無水酢酸に代表される酸化合物を反応系に投入して、形成された樹脂表面に残存するカルボン酸残基や水酸基と反応させることが好ましい。これらの化合物を投入することにより樹脂表面の残存カルボン酸残基や水酸基が封鎖されてトナーの疎水化を促進するものと推測される。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、そのピークトップ分子量が3000〜9500であり、Mw/Mnが1.5〜2.8の範囲となるものである。この範囲にピークトップ分子量とMw/Mnの値を有するポリエステル樹脂を用いたトナーを用いて画像形成を行うと、とりわけ、厚手の紙や印刷用紙、あるいはにじみ防止剤の含有された用紙で良好な画像形成性能が発現される。すなわち、これらの用紙に形成したトナー画像は良好な定着性能を発現し、印刷用紙上に出力したトナー画像は優れたすべり性を発現するので、電子写真方式によるプリント・オン・デマンド方式の画像形成が可能になる。
さらに、本発明に使用されるポリエステル樹脂は、ウレタン変性ポリエステルと呼ばれる分子構造中にウレタン結合を有する様に変性された樹脂を含有するものが好ましい。
ポリオール樹脂
ポリオール樹脂は、各種のタイプのものが使用できるが、本発明に用いられるものとして、以下のものが好ましい。
ポリオール樹脂として、エポキシ樹脂と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオールを用いることが好ましい。さらにまた、エポキシ樹脂は、数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。このポリオール樹脂は、良好な光沢、透明性を付与し、耐オフセット性に効果がある。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。エポキシ樹脂は、安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜1000であり、高分子量成分の数平均分子量が1500〜2000であることが好ましい。この範囲の数平均分子量を有するエポキシ樹脂を使用することで、ピークトップ分子量が3000〜9500となるポリオール樹脂が得られ、該樹脂を用いたトナーは、厚手の紙や印刷用紙、あるいはにじみ防止剤の含有された用紙に画像形成を行った時に良好な定着性能を発現する。
本発明で用いられる化合物として、即ち、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(VI)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
Figure 2004295110
(また、n、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40質量%含まれていることが好ましい。
ここで、量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。
1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジオプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
本発明の主鎖にエポキシ樹脂部とアルキレンオキサイド部を有するポリオール樹脂を得るためには、種々の原材料組み合わせが可能である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやジイソシアネート、ジアミン、ジチオール、多価フェノール、ジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。このうち、2価のフェノールを反応させるのが反応安定性の点で最も好ましい。また、ゲル化しない範囲で多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用するのも好ましい。ここで、多価フェノール類、多価カルボン酸類の量は、全量に対し15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメット酸が例示される。また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなり、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分5%以下)とすることが好ましい。
〔水系媒体中に樹脂粒子を分散させる方法〕
本発明で行われる樹脂粒子を水系媒体中に分散させてなる分散液を作製する方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
(1)ポリエステル樹脂やポリオール樹脂等の重付加あるいは縮合重合樹脂の場合は、以下の方法が好ましく用いられる。
(a)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその重合体の溶剤溶液を乳化剤分散剤存在下で水系媒体中に分散させ、その後、加熱あるいは減圧乾燥により、樹脂溶液の液滴から、溶剤を一部あるいは完全に除去し、樹脂粒子の分散液を製造する方法、
(b)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその重合体溶剤溶液(液体であることが好ましいが、加熱により液状化しても良い)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、
(2)ビニル系樹脂の場合、モノマーを出発原料として、乳化重合法、シード重合法またはミニエマルジョン重合法等の重合反応により樹脂粒子を生成し、得られた樹脂粒子の水性分散液を直接製造する方法。
(3)予め重合反応(重付加、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作製した樹脂を以下の方法で水系媒体中に分散させる方法。
(a)作製した樹脂を、機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することにより樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(b)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(c)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、または予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却して樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(d)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法、
(e)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、
上記の方法で併用される乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として溶剤、可塑剤等を併用することができる。具体例としては、特開2002−284881号公報の段落0036〜0062に開示されたものが挙げられる。
分散工程の前に各材料を機械的に均一に混合することが好ましい。すなわち、少なくとも結着剤樹脂、着色剤、必要であれば荷電制御剤、および離型剤を含むトナー組成成分を機械的に混合する。
水系媒体としては、水、乳化剤、水と一部混合可能、無限希釈可能なメタノール、エタノールなどのアルコールも水と併用して用いることができる。
トナー成分を溶解分散するための有機溶剤としては、水に対して不溶性あるいは難溶性、部分溶解性で、樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および酢酸エステルが好ましい。
トナー成分が分散された油性相を水が含まれる液体に所望の粒径まで乳化、分散するための乳化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤を用いることができる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。その際、減圧下で行なうことが加熱温度を下げることができ好ましい。ワックスやその他トナー構成成分が有機溶剤に溶解するのを防止したり、乳化分散体の加熱による異常な凝集、会合、合一を防止するためである。この有機溶剤の除去工程は凝集工程の前に行なっても、凝集工程後に行なっても構わない。凝集工程の前に有機溶媒を除去すれば、凝集後の微粒子同士の融着、合一を促すことができる。
〔樹脂粒子の凝集方法〕
なお、本発明では樹脂粒子を凝集させる工程を有するものであるが、本発明でいう凝集に供される樹脂粒子には有機溶媒を含有した状態にあるものも含まれ、例えば、樹脂溶液の液滴もこの範疇に含まれるものである。
凝集方法としては、水中で微粒子が荷電を有して分散している場合は、電解質などを投じて電気二重層を圧縮することにより、粒子同士を凝集させたり、高分子量の水溶性ポリマーを粒子同士に吸着させ凝集させたり、用いている界面活性剤や分散剤と逆荷電の物質を投入することにより、微粒子の表面の電荷を中和させ凝集させたり、吸着している界面活性剤や分散剤の対イオンを変化させたり、水系媒体に他の物質を投入することにより水系媒体への界面活性剤や分散剤の溶解性を変化させて分散安定性を弱めて凝集させる方法などが採用される。
その際、先に述べたワックスのエマルジョンや、極性基を有する樹脂微粒子とともに凝集させ、製造されるトナーに定着時の離型性を持たせたり、摩擦帯電性を強化したり、ガラス転移点の高い樹脂微粒子を比較的トナーの外側に配置することにより、高温保存時のトナー同士のブロッキングを防止することができる。
用いられる凝集剤は、例えば、電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、りん酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化ストロンチウム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化ルビジウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム等に代表される一般的な無機あるいは有機の水溶性塩を用いることができる。これら電解質の濃度は、1価の電解質を用いる場合0.01〜2.0mol/l、さらには0.1〜1.0mol/l、またさらには0.2〜0.8mol/lの範囲が好ましい。さらに、多価の電解質を用いる場合、その添加量はより少ない量でよい。界面活性剤であれば先に例示したもの、高分子系の凝集剤であれば、先に挙げた高分子保護コロイドを形成させるもののうち、特に超高分子量体のものが適当である。また、水系媒体に共存させて分散安定性を弱めて凝集させる物質としては、水溶性有機化合物であるエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、キシレン等を使用することができる。
さらに、凝集後に分散液を加熱することにより、微粒子同士を融着させ、生成するトナーの形状を調節することができる。界面張力によって球状化するが、そのときの加熱温度、トナーの粘性、有機溶剤の存在などにより球形から不定形まで任意に粒子形状を整えることができる。
得られた凝集粒子の分散体は、乾燥雰囲気中に噴霧して、凝集粒子中に残存している非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。凝集粒子の分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。乾燥前に固液分離して洗浄水を加え、再分散(リスラリー)する操作を繰り返し行なえば、用いた分散剤、乳化剤をほとんど除去することができる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
一般に、凝集操作後の粒度分布は狭く、そのままトナーとして用いることができるが、粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行なわれた場合、所望の粒度分布に気流中で分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くこともできる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行なっても良いが、液体中で行なうことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は、再び混練工程に戻して粒子の形成(再混練工程や再凝集工程)に用いることができる。その際、微粒子、または粗粒子は、ウェットの状態でも構わない。このときの分級操作で用いた分散剤は、得られた分散液から不必要な微粒子と同時に取り除くことができる。
〔着色剤〕
次に、本発明に係るトナーに使用される着色剤について説明する。
黒トナーの調製に用いられる黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが挙げられ、磁性粉としては、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択し併用することが可能である。また、トナー中の無機顔料の含有量は2〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%である。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合、所定の磁気特性を発現させる観点から、トナー中の含有量は20〜120質量%が好ましい。
本発明に係るトナーに使用される有機顔料及び染料は、従来公知のものを用いることが可能で、具体的な有機顔料と染料を以下に例示する。
マゼンタトナーに使用されるマゼンタまたはレッドの有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロートナーに使用されるオレンジまたはイエローの有機顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
シアントナーに使用されるグリーンまたはシアンの有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよく、また複数の染料の混合物として使用してもよい。
使用量は、一般に結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部である。
〔ワックス(離型剤)〕
本発明では、現像剤に適度な離型性を付与させるために、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。ワックスは、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。
上記範囲内に融点を有することにより、定着温度を低温に設定しても良好な定着性が得られるとともに、良好な耐オフセット性や耐久性が得られることが確認されている。
なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
本発明に用いることができる離型剤(ワックス)としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどが挙げられる。
また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには、当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
さらに、下記一般式(2)で表されるエステル化合物が挙げられる。
一般式(2):R1−(OCO−R2n
(式中、R1およびR2は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
また、本発明では、ワックスを界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱撹拌してなる分散液を用いてトナー粒子の形成を行うものであってもよい。この場合、例えばワックスを乳化して作製されるワックスエマルジョンを作製し、樹脂粒子を凝集させる時に着色剤分散液とともに凝集させて添加することが可能である。
〔荷電制御剤〕
本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えば、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはアゾ系金属錯塩化合物のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。この中でも、アゾ系金属錯塩化合物が好ましく、例えば特開2002−351150号公報の段落0009〜0012に開示されるものが好ましく用いられる。
本発明において、荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。20質量部を越える場合には、トナーの帯電性が大きすぎ、主荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
本発明では、荷電制御剤をトナー粒子表面近傍に添加させることが好ましい。すなわち、トナー粒子表面近傍に添加することによりトナー粒子に帯電性を効果的に付与するとともに、トナー粒子表面に荷電制御剤を露出させない様に添加してトナーの流動性を確保することが可能である。
具体的な含有方法としては、例えばトナー粒子を構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。すなわち、トナー粒子の表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー粒子表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法が挙げられる。
樹脂粒子内への添加方法としては、結着樹脂とともに混練し、その分散径を調節するのが好ましいが、水系媒体中に乳化したときに、油相の分散相から水相側へ溶出したり、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでも構わない。
〔外添剤〕
本発明で得られたトナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5〜2000nmであることが好ましく、特に、50〜200nmであることが好ましい。
また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。特に好ましくはシリカ又はチタン系微粒子がよい。
この他、高分子系微粒子、たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は、表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
〔トナーの形状〕
本発明のトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.94〜0.99、より好ましくは0.94〜0.98である。
円形度=(相当円の周囲長)/(トナー粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(トナー粒子投影像の周囲長)
ここで、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することができる。この時、円相当径は下式で定義される。
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2
又、本発明のトナーの形状は、円相当径の平均値が、2.6〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする。より好ましくは、円相当径の平均値が3.4〜6.6μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.040〜−0.020であるのがよい。
円相当径の傾きの測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000でトナー粒子の円相当径を測定し、それに対応する円形度との関係を、横軸:円相当径(μm)−縦軸:円形度として描き、その一次の相関(y=αx+b)をみれば、αが円相当径の傾きとなる。
この時、帯電の均一性、ハーフトーンの均一性を高める観点からR2(Rの2乗)は0.35〜0.95が好ましい。ここにおいてRは下記式(I)で表される。
式(I) R=A/B
式中、A、Bは各々下記式を表す。
A=nΣXY−(ΣXΣY)
B=(nΣX2−(ΣX)2)×((nΣY2)−(ΣY)2
Xは円相当径(μm)、Yは円形度を表す。
また、円相当径の傾きを有するトナーを造るには、小粒径の球形トナー粒子にやや粒径の大きい異形のトナー粒子を混合しても良い。或いは、樹脂粒子を会合してトナー粒子を造るとき、会合工程で凝集剤を添加した後、撹拌羽根形状を適宜選択し、撹拌強度を制御し、大きめの粒子に剪断力がかかり易い条件として、濾過、乾燥工程に移行する方法でもよい。好ましくは、トナー製造装置と前述のフロー式粒子像分析装置をインライン接続し、傾きαをモニタリングしつつ、反応時間により所望のαになったところで、系を冷却するなどで製造する。
好ましくは塩析/融着を停止させる停止剤を投入した後、例えば塩析剤の再添加や界面活性剤の追加により、トナー粒子をさらに0.2〜1.0μm成長させると、上記の範囲内に入るよう制御することが出来る。
又、本発明において、トナーの帯電量分布を好適にする観点から、トナー粒子の小粒径側から累積で10個数%における円相当径d10と累積で90個数%における円相当径d90との比、d90/d10が1.2〜2.0であることが好ましい。特に好ましくは1.3〜1.8である。この範囲にあれば、ドットのチリを制御することが出来、ハーフトーンの均一性が高く、高品位な画像を得ることが出来る。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは二成分現像剤として用いることができるが、形状や耐電特性から一成分現像に好適である。会合型トナーとしては、十分な粒子強度を持っているため、一成分現像時の押圧規制部材に衝突あるいは押圧されても、トナー粒子が破砕されにくいためである。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μmの磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも用いることができる。
本発明では、トナー粒子が高い強度を有することと、強い負帯電性を発現することが確認されており、この様な特性から本発明に係るトナーは、特に非磁性一成分系の現像剤として好適である。
本発明に係るトナーがこの様な特性を発現する理由は明らかではないが、以下の理由によるものと推測される。
先ず、トナー粒子が高い強度を発現するのは、トナー粒子製造時に樹脂粒子(あるいは樹脂溶液液滴)が分子レベルで融合しながら凝集されるので、個々の粒子が強固に凝集してこの様な高い強度が発現できる様になったものと推測される。
また、トナー粒子が球に近い丸みを帯びた形状を有することにより、トナー粒子に応力が加えられてもこの応力を適度に逃がしていることでトナー粒子が破壊されないことも推測される。
次に、強い負帯電性が得られる理由としては、樹脂がポリエステルやポリオール、あるいはポリウレタンといった帯電性の強い樹脂よりなることと、トナー粒子が丸みを帯びていることによりトナー粒子が自転し易く摩擦帯電が効率よく行えることによるものと推測される。
さらに、本発明に係るトナー粒子を構成する樹脂は、水系媒体中での弾性率が低いことから凝集後に異形化し易く、クリーニング性能にも優れた効果を発現することが確認されている。
又、本発明のトナーは、磁性粒子であるキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属等、公知の材料を用いることが出来る。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス」(シンパティック社製)により測定することができる。
又、キャリアとしては、磁性粒子を樹脂でコーティングしたもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることもできる。コーティング用の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等を挙げることができる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
〔定着画像の形成方法〕
次に本発明のトナーを用いる画像形成方法に用いる画像形成装置について説明する。
図1は本発明の画像形成方法に用いる装置の一例を示す構成図である。34は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
図1において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源31から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー32により、図1の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ33を介して、感光体面上に照射され静電潜像を形成する。感光体ドラム34は、予め帯電器35により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器36により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた記録媒体(転写材、転写紙、記録紙ともいう)Pに転写器37の作用により転写される。更に感光体ドラム34と転写材38は分離器(分離極)39により分離されるが、現像像は転写材38に転写担持されて、定着器40へと導かれ定着される。
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器41にて清掃され、帯電前露光(PCL)42にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器35により、一様帯電される。
なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。
本発明では、トナー粒子が高い強度を有することと、強い負帯電性を発現することが確認されており、この様な特性から本発明に係るトナーは、特に非磁性一成分系の現像剤として好適である。
本発明に係るトナーがこの様な特性を発現する理由は明らかではないが、以下の理由によるものと推測される。
先ず、トナー粒子が高い強度を発現するのは、トナー粒子製造時に樹脂粒子(あるいは樹脂溶液液滴)が分子レベルで融合しながら凝集されるので、個々の粒子が強固に凝集してこの様な高い強度が発現できる様になったものと推測される。
また、トナー粒子が球に近い丸みを帯びた形状を有することにより、トナー粒子に応力が加えられてもこの応力を適度に逃がしていることでトナー粒子が破壊されないことも推測される。
次に、強い負帯電性が得られる理由としては、樹脂がポリエステルやポリオール、あるいはポリウレタンといった帯電性の強い樹脂よりなることと、トナー粒子が丸みを帯びていることによりトナー粒子が自転し易く摩擦帯電が効率よく行えることによるものと推測される。
さらに、本発明に係るトナー粒子を構成する樹脂は、水系媒体中での弾性率が低いことから凝集後に異形化し易く、クリーニング性能にも優れた効果を発現することが確認されている。
本発明に係るトナーは、前述した様に高いトナー粒子強度を有するとともに、強い負帯電性を得られるものであるので、特に、非磁性一成分系トナーを用いた画像形成に好適である。
図2は、非磁性一成分系現像剤に用いられる現像器36の一例を示す断面構成図で、34は感光体ドラム、102は現像ローラ、103は金属弾性ブレード、104は非磁性一成分トナー、105は撹拌羽根、106はリカバリープレート、107はシリコン樹脂を示す。なお、現像ローラ102はその表面がシリコン樹脂107で被覆されたものを用いるものである。
図3は、本発明のトナーに適用されるデジタル画像形成装置を示す構成断面図である。
図3において、画像形成装置101は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての感光体ドラム34上に書き込みを行う書き込みユニット112を含む書き込み部Dと、感光体ドラム34及びその周囲に帯電器35、磁気ブラシ型現像装置からなる現像器36、転写器37、分離器39、クリーニング器41等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ122、124のための収納部Fを有している。
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台126と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部128とを主要素とする。
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット130、131、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)133、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)135等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源31、ポリゴンミラー(偏光器)32等からなる。
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写器37の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離器39の下流側に40で示してあるのは定着器である。
定着器40は、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
また、Zは定着器40のためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
原稿載置台126上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部128によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット130、131およびレンズ133を経てCCD135上に結像され、読み取られる。
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源31が駆動され、感光体ドラム34上に露光が行われる。
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
本発明では、モノクロ画像だけではなく、カラー画像を得るための画像形成にも適用されるもので、例えば複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットにてそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成してトナー画像を形成する画像形成方法である。
本発明のトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
図4は、本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図であり、図4に示す定着器40は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを備えている。なお、図4において、Tは記録媒体P上に形成されたトナー像である。
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
芯金81の肉厚は0.1〜15mmであり、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層82を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは10〜500μmであり、好ましくは20〜400μmである。
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができ、被覆層84を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満であり、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満である。
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜20mmである。
芯金83を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nであり、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105Pa〜1.5×105Paであることが好ましい。
図4に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150〜210℃であり、定着線速が230〜900mm/secである。
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
尚、以上は本発明に用いられる代表的な定着方法である定着ローラ(加熱ローラ)を用いる方式により説明した。しかし、本発明は接触加熱により転写紙を加熱する方法であれば、無論、定着ベルト(加熱ベルト)を用いる方式等いずれの方式にも適用出来る。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
(ポリエステル樹脂の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHg(1.33〜1.99Pa)の減圧下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17部を入れて110℃で4時間反応させ、さらに、無水酢酸5部とN−メチルプロピルアミン10部を加えて反応を継続させた。次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量9500の[ウレタン変性ポリエステル(1)]を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570部、テレフタル酸217部を常圧下、230℃で2時間重縮合し、無水酢酸5部を加え、1時間反応させた後、N−メチルプロピルアミン10部を加えて、さらに1時間反応させた。ピークトップ分子量3,400、水酸基価51、酸価5の変性されていない[ポリエステル(2)]を得た。[ウレタン変性ポリエステル(1)]200部と[ポリエステル(2)]800部を酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、樹脂溶液(1)を得た。なお、樹脂溶液1中の樹脂成分のTgは64℃であった。
樹脂溶液(1)の作製と同様の手順で、無水酢酸とN−メチルプロピルアミンの添加量を変化させることにより、樹脂溶液(2)〜(7)及び(11)〜(14)を作製した。
なお、樹脂溶液(2)を作製する際に、ウレタン変性ポリエステル(1)の反応条件を上記常圧で230℃で8時間反応させる工程を、常圧で200℃5.5時間反応させる工程に変更してピークトップ分子量が3000のポリエステル樹脂を作製した。また、樹脂溶液(3)を作製する際にウレタン変性ポリエステル(1)の反応条件を常圧で220℃6.5時間反応させる工程に変更してピークトップ分子量が6500のポリエステル樹脂を作製した。
(トナーの製造例)
樹脂溶液1(樹脂成分のTg64℃) 100部
Pigment Blue 15:3(含水ケーキ) 12部
(含水ケーキ中の固形分50%)
帯電制御剤(スピロンブラックTRH 保土ケ谷化学社製) 1部
カルナウバワックス 10部
上記材料をトルエン200部中でジルコニアビーズの充填されたボールミルを転動させることによって溶解分散し、分散相となる油相を調製した。
別途に、
イオン交換水 700部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
を撹拌分散し連続相となる水相を調製した。水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で撹拌しながら油相を投入し、撹拌回転数を調整することにより体積平均粒径約1μmの油滴を作製した。その後、50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、青灰色の乳濁液を得た。
インぺラーの備わった撹拌タンクに得られた分散液を移し、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で撹拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させた。その後液温を70℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。
その後95℃で8時間撹拌し、着色粒子の円形度が0.96になったところで、40℃まで冷却し、撹拌を停止した。なお、円形度等の特性は、着色粒子に下記の外添剤等を添加してトナーとした後においても、その測定値に変化はない。
その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥してシアンの着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにヘキサメチルジシラザン処理を行い、乾燥、粉砕処理を施した、粒子径137nm)1.8質量部、さらに気相法で製造しオクチルメトキシシラン処理したシリカ粒子(粒子径14nm)0.3質量部を、ヘンシェルミキサーにより混合し、目開き50μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除き、静電潜像形成用トナーC−1を得た。
その他のトナーの作製
Pigment Blue 15:3(含水ケーキ)を及びカーボンブラックの含水ケーキと置換した以外は上記と同様にして、シアントナー(C−1)、ブラックトナー(B−1)を作製した。
樹脂溶液(1)を樹脂溶液(2)〜(7)、(11)〜(14)に変えて、酸価および水酸基価の異なる下記トナーを作製した。
シアントナー :C−1、2、3、4、5、6及び7
ブラックトナー:B−1、2、3、4、5、6及び7
各色トナーの内容は、下記表1および2に示す。
更に、下記に示す手順でトナーB−8とB−9を作製した。これらの特性も下記表1及び表2に示した。
B−8の作製
(ポリエステル樹脂の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物450部、イソフタル酸107部、テレフタル酸108部を常圧下、200℃で3時間重縮合させて、酸価3、水酸基価25、ピークトップ分子量46000、Mw/Mn4.0、Tg60℃の変性されていないポリエステル樹脂を作製した。該ポリエステル樹脂1000部を酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、樹脂溶液を得た。
(トナーの作製)
上記ポリエステル樹脂溶液 100部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 4.5部
Pigment Blue 15:3 0.5部
帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロンE−84) 2部
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後、トルエン200部に得られた混練物を撹拌機のついたタンク中で溶解分散し、分散相となる油相を調製した。
別途、
イオン交換水 700部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
を撹拌分散し連続相となる水相を調製した。水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で撹拌しながら油相を投入し、撹拌回転数を調整することにより、体積平均粒径約1μmの油滴を作製した。その後50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、黒灰色の乳濁液を得た。インぺラーの備わった撹拌タンクに得られた分散液を移し、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で撹拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を70℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と疎水性シリカR972(一次粒子径16nm、日本アエロジル社製)0.5部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き50μmの篩を通過させることにより、粗大粒子や凝集物を取り除くことにより電子写真用トナー「B−8」を得た。
B−9の作製
(ポリエステル樹脂の作製)
多価カルボン酸として無水トリメリット酸52部、2価カルボン酸としてテレフタル酸156部、イソフタル酸58部、芳香族ジオールとしてポリオキシエチレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン120部、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール140部、重合触媒としてテトラブチルチタネートを全モノマー量に対し0.3質量%でセパラブルフレスコに仕込み、該フラスコ上部に温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて220℃で7時間反応させた後、順次減圧し、1.33×103Paで2時間反応を続行し、酸価8.9、水酸基価29、ピークトップ分子量8700、Mw/Mn4.0、Tg65℃の変性されていないポリエステル樹脂を作製した。該ポリエステル樹脂1000部を酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、樹脂溶液を得た。
作製した樹脂溶液を用いて、トナーB−1と同様にして電子写真用トナー「B−9」を得た。
Figure 2004295110
Figure 2004295110
〔評価方法〕
下記のキャリアと混合し、各トナーに対応するC−1〜B−9の各現像剤を作製した。
(キャリアの作製)
シリコーン樹脂(20%) 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1.0部
カーボンブラック 0.1部
トルエン 60部
これらの処方をホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。これをリチウムフェライト1000部(体積平均粒径55μm、飽和磁化9.0×10-5Wb・m/kg)の表面に、流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成した後、電気炉にて200℃、6時間の条件で焼成してキャリアを作製した。
(現像剤の作製)
さらに、キャリア100部に対し各色トナー5部を容器が転動して撹拌される形式のV型混合機を用い、15rpm、15分間均一混合し帯電させ、現像剤を作製した。
これを図1に示す画像形成装置と同様な機構を有する画像形成装置を用いて画像形成し、評価を行った。
〔評価項目〕
1.定着性
厚紙定着性
事務用の大判封筒に用いられている厚い紙に画像形成を行った時の定着性(ベタ画像)の定着率を評価するため、下記のテストを行った。なお、この厚紙は電子写真・インクジェット両用紙として市販されているものである。
得られた定着画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法で定着率を測定して評価した。
具体的には、トナー付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のベタ定着画像を作製した後、スコッチメンディングテープ(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。画像濃度の測定にはマクベス反射濃度計RD−918を使用し、定着率が95%以上を合格とし、「○」、「×」にて表示した。
ハーフトーン画像の定着率
トナー付着量が0.3mg/cm2である2.54cm角のハーフトーン定着画像を作製した他は、上記ベタ画像の定着率評価と同様の方法で評価を行った。
これにより、グレーのハーフトーン画像を確実に定着させられるか否かを評価した。
2.環境によるトナー帯電性と画質の安定性
1枚目の形成画像および20,000枚目のトナー帯電性と画質の安定性を評価するため、高温高湿環境(HH、30℃、80%RH)と低温低湿環境(LL、10℃、20%RH)下でのトナー帯電変化による画質の差異を評価した。
評価はトナー帯電電位はその値を画質については連続階調画像と無階調細密画像のチャートを実写した結果を下記により評価した。
◎:いずれの特性も良好
○:細線の切れ・歪みや、階調画像の中間濃度部の濃度むらが多少あるが、実用上は許容できるもの
×:細線の切れ・歪みや、階調画像の中間濃度部の濃度むらが多少あり、実用上問題となるもの
3.10%網点の濃度
20mm×20mmの10%網点画像部について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて白地部に対する各々相対画像濃度を測定した。10%網点濃度の評価は、ドットの再現性およびハーフトーンの再現性を評価するために行ったもので、濃度変化が0.10以内であれば画質変化は少なく問題ないといえる。これを「○」、それより大きいものを「×」とした。
4.ライン幅
2ドットラインの画像信号に対応するライン画像のライン幅を印字評価システム「RT2000」(ヤーマン社製)によって測定した。1枚目の形成画像のライン幅および20000枚目の形成画像のライン幅の何れもが200μm以下であり、かつ、ライン幅の変化が10μm未満であれば、細線再現性に問題がないと判断し「○」、それ以外を「×」とした。
5.トナーブリスタ
高温高湿環境(HH、30℃、80%RH)で作製した、高濃度均一画像と、ワンドットの細線を並べた画像を用いて、トナーブリスタの発生状況を調べた。
肉眼とルーペにて観察し結果、ほとんど検知できないモノを「◎」、微かに発生があるが、注視しなければ気づかない程度を「○」、検知できるものを「×」とした。
〔評価結果〕
下記、表3に示す。
Figure 2004295110
本発明内のトナーを用いたものはいずれの特性も良いが、本発明外のトナーを用いたものは、少なくともいずれかの特性に問題が出ることがわかる。
画像形成装置の一例を示す構成図である。 非磁性一成分系現像剤に使用される現像器の一例を示す断面構成図である。 デジタル画像形成装置の一例を示す構成断面図である。 定着装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
34 感光体ドラム
36 現像器
37 転写器
39 分離器
40 定着器
41 クリーニング器
122、124 給紙トレイ
130、131 ミラーユニット
135 CCD
A 自動原稿搬送装置(通称ADF)
B 原稿画像読取部
E 画像形成部

Claims (6)

  1. 重付加反応或いは重縮合反応により得られた樹脂と着色剤からなる静電潜像現像用トナーであって、
    該トナーは、
    (1)円形度の平均値が0.95〜0.99
    (2)円相当径の平均値が2.6〜7.4μm
    (3)酸価が20mgKOH/g未満で、かつ、水酸基価が7〜57mgKOH/g
    (4)30℃、80%RHの環境に2時間放置後のカールフィッシャー水分計による水分量が0.10%以上0.70%未満
    (5)ピークトップ分子量が3000〜9500、Mw/Mnが1.5〜2.8
    であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記樹脂が、ウレタン変性ポリエステル樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記トナーは、重付加反応或いは重縮合反応により得られた樹脂粒子を含有する分散液を用い、該樹脂粒子を凝集させる工程を経て単一のトナー粒子として作製されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記トナーの円相当径に対する円形度の傾きが、−0.050〜0.010であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記トナーが、平均一次粒径が50〜200nmのシリカまたはチタン微粒子を外添してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用い、デジタル方式によるカラー画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
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