JP2004294957A - 放射線画像読取方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価に高画質な放射線画像を得ることができる放射線画像読取方法及び装置を提供する。
【解決手段】放射線画像を記録した輝尽性蛍光体2に励起光を照射することに基づき輝尽性蛍光体2から発する輝尽発光を受光する照射受光に基づき読取画像を生成することで放射線画像を読み取る放射線画像読取方法及び装置1である。照射受光を複数回行い、該複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成する。励起光の波長を各回の照射毎に変更する。
【選択図】 図2
【解決手段】放射線画像を記録した輝尽性蛍光体2に励起光を照射することに基づき輝尽性蛍光体2から発する輝尽発光を受光する照射受光に基づき読取画像を生成することで放射線画像を読み取る放射線画像読取方法及び装置1である。照射受光を複数回行い、該複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成する。励起光の波長を各回の照射毎に変更する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像読取方法及び放射線画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば人体等の被記録体を介して輝尽性蛍光体に放射線(例えば、X線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線等)を照射することによって該輝尽性蛍光体(例えば、輝尽性蛍光体プレート)に被記録体の放射線画像を記録した後に、該輝尽性蛍光体に励起光(例えばレーザ光)を照射することにより該輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光して光電変換することでデータ(受光データ)に変換し、この受光データに基づき読取画像を生成することで放射線画像を読み取る放射線画像読取方法及び装置が知られている。ここで、輝尽性蛍光体からの輝尽発光は、記録されている放射線画像(記録画像)の濃淡に応じた強度となる。従って、該輝尽発光の受光データに基づき、記録画像に対応する画像データを生成することができ、この画像データに基づき読取画像を生成することで、記録画像を読み取ることができる。
【0003】
このような放射線画像読取方法及び装置には、受光データに含まれるノイズを低減して読取画像を高画質にするために、例えば、励起光が照射される輝尽性蛍光体の表側から発せられる輝尽発光の受光データと、裏側から発せられる輝尽発光の受光データとを対応する画素毎に加算して読取画像を得るといった手法のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−159910号公報(第4−5頁 図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合、輝尽性蛍光体の裏側からの輝尽発光を受光するためには、輝尽性蛍光体を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側にも受光装置等を設けたりしなくてはならず、装置がコスト高となる上、装置の形状に制約が加わり(輝尽性蛍光体の裏側に受光装置等を配設する必要があるため)、しかも、装置が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、安価に高画質な読取画像を得ることができる放射線画像読取方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る放射線画像読取方法であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る画像読取部を備える放射線画像読取装置であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更する波長変更手段を備えることを特徴としている。
【0009】
これら請求項1および請求項3に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体に励起光を照射して輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することにより、都合すると該複数の画像データを得、これら複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成することによって放射線画像を読み取るので、画像データにおいて画素に基づく信号(画素信号)は足し合わされて増幅するのに対し、ノイズは、画素信号に対する相対的な大きさが低減する。つまり、画像データにおけるS/N(SN比)を良好にすることができる結果、より高画質な読取画像を得ることができる。しかも、例えば、輝尽性蛍光体の表側と表側の双方から発せられる輝尽発光を受光することに基づき読取画像を得る訳ではないので、例えば、輝尽性蛍光体を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側に受光装置を設けたりする必要が無い。よって、放射線画像読取装置のコストを抑えることができる上、放射線画像読取装置装置を、形状に制約を受けることなく、小型に構成できる。従って、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
【0010】
ところで、輝尽性蛍光体は、読み取りのために励起光が照射されることによって輝尽発光を発すると、記録されている放射線画像(記録画像)には、該照射された励起光の波長に応じた劣化が生じる。
即ち、例えば1回目の励起光の照射を行って1回目の輝尽発光を発光させた後に、再び同程度の波長の(2回目の)励起光を照射すると、2回目の輝尽発光は、1回目よりも発光強度が弱くなってしまう。ただし、輝尽性蛍光体に照射する励起光の波長を1回目と2回目とで変更すると、2回目でも発光強度の強い輝尽発光を得ることが可能である。
【0011】
このような事情に対し、請求項1および請求項3に記載の発明によれば、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目、或いは、それ以降の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像読取方法において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線画像読取装置において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うようにしたことを特徴としている。
【0014】
請求項2および請求項4に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、引き続き復路搬送する際に、それぞれ前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うので、複数回の前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うために必要な輝尽性蛍光体の搬送距離を短くすることができるため、放射線画像の読み取りのための時間も短縮することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施の形態について説明する。
【0016】
先ず、装置構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態の放射線画像読取装置1は、励起光としてのレーザ光を、輝尽性蛍光体プレート2(輝尽性蛍光体)の被照射面21に照射させるとともに該被照射面21において主走査方向(図1の矢印A方向)に走査させる励起光走査装置3を備えている。
この励起光走査装置3は、例えば、励起光としてのレーザ光を出力する励起光出力部31と、この励起光出力部31より出力されるレーザ光を輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射させて主走査方向(矢印A方向)に走査させるための、例えば、回転多面鏡33、fθレンズ34および反射ミラー35からなる走査光路系32とを備えて構成されている。
ここで、励起光出力部31は、第1の波長のレーザ光を出力する第1レーザ光源311と、第1の波長とは異なる第2の波長のレーザ光を出力する第2レーザ光源312とを備えている。さらに、励起光走査装置3は、第1レーザ光源311からのレーザ光を回転多面鏡33に向け透過させる一方、第2レーザ光源312からのレーザ光を回転多面鏡33に向け反射させるハーフミラー36を備えている。
また、放射線画像読取装置1は、輝尽性蛍光体プレート2を該プレート面において前記主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向、或いは、その逆の矢印C方向)に走査させる副走査駆動装置(図示略)と、励起光の照射に基づき輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21から発する輝尽発光を集光する集光ガイド4と、該集光ガイド4により集光された輝尽発光を受光して光電変換し電気信号化することにより受光データを生成する受光装置5(例えば、フォトマルチプライヤ)と、この受光装置5により生成された受光データに基づき読取画像を生成する(輝尽性蛍光体プレート2に記録されている放射線画像を読み取る)画像生成装置6とを備えて概略構成されている。
ここで、画像生成装置6は、受光装置5により生成された受光データをアナログ/デジタル変換して画素毎の画像データを生成するA/D変換器61と、該A/D変換器61により生成された複数の画像データを対応する画素毎に加算して1つの読取画像を生成する読取画像生成手段62と、を備えて構成されている。なお、以上において、励起光走査装置3、集光ガイド4、受光装置5および画像生成装置6により画像読取部を構成している。
また、輝尽性蛍光体プレート2は、例えば、BaFBr:Eu、BaFI:Euのような輝尽性蛍光体の微結晶が塗布されたプラスチックフィルムを備えて平面状に形成される。また、輝尽性蛍光体としては、上述のように塗布により作製されたものに限らず、例えば、CsBr:Euを支持体上に蒸着させて作製したものを適用しても良い。
【0017】
次に、以上のような構成の放射線画像読取装置1を用いて行う放射線画像の読み取りの態様について説明する。
本実施の形態では、輝尽性蛍光体プレート2に励起光を照射することにより該輝尽性蛍光体プレート2から発する輝尽発光を受光する照射受光を、例えば2回行い、各回の照射受光(励起光の照射と輝尽発光の受光)の各々に基づき生成される(都合2つの)画像データを、互いに対応する画素毎に加算することで、1つの読取画像を生成する。
しかも、この際に、励起光としてのレーザ光の波長を、各回の照射毎に変更する。
なお、輝尽性蛍光体プレート2には、例えば人体等の被記録体を介して放射線を入射することによって、予め放射線画像を記録している。
【0018】
1回目の照射受光は、例えば以下のように行う。
先ず、回転多面鏡33を駆動モータ37により軸周りに回転させつつ第1レーザ光源311より第1の波長のレーザ光を出力することにより、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21において第1の波長のレーザ光を主走査方向に繰り返し走査する。
即ち、第1レーザ光源311より出力されるレーザ光は、ハーフミラー36を透過して回転多面鏡33に達し、該回転多面鏡33により反射され、fθレンズ34を介して反射ミラー35に達し、該反射ミラー35により反射されて輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射される。なお、回転多面鏡33の1つの面にレーザ光が照射される期間に、被照射面21におけるレーザ光の1主走査動作(レーザ光の矢印A方向(主走査方向)への1回の走査)が行われ、次の面にレーザ光が達する期間に次回の主走査動作が行われるといったように、回転多面鏡33の各面にレーザ光が達する期間毎に1主走査動作が行われることになる。また、例えば、被照射面21におけるレーザ光の1主走査動作が行われる毎に、輝尽性蛍光体プレート2を、例えば矢印B方向(副走査方向)に所定ピッチずつ間欠的に移動させる(1副走査動作を行う)ことを所要回数繰り返すことによって、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21の所要領域の全域にレーザ光を照射することができる。
このようにレーザ光(励起光)を照射することにより、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21からは輝尽発光が発する。
この輝尽発光は、輝尽性蛍光体プレート2に対し被照射面21側に配置した集光ガイド4によって集光されて、受光装置5により受光される。
このようにして、1回目の照射受光を行うことができる。
なお、受光装置5は、受光した輝尽発光を光電変換して電気信号化し、受光データを生成する。さらに、この受光データは、画像生成装置6のA/D変換器61によりデジタル化されて画像データとなる。従って、以上において1回目の照射受光に基づく画像データが生成される。
【0019】
次に、2回目の照射受光を、1回目と同様に主走査動作を行いながら行う。
ただし、この2回目の照射受光は、例えば、1回目の照射受光により往路搬送(矢印B方向に所定ピッチずつ間欠的に搬送)された輝尽性蛍光体プレート2を引き続き復路搬送(矢印C方向に所定ピッチずつ間欠的に搬送)する際に行う。
【0020】
さらに、2回目の照射受光の際には、第1レーザ光源311ではなく第2レーザ光源312より第2の波長のレーザ光を出力して、第2の波長のレーザ光を輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射し、該被照射面21より再び輝尽発光を発光させる。
即ち、1回目と2回目の照射で励起光の波長を変更する。ここで、励起光出力部31は、第1レーザ光源311からの第1の波長のレーザ光と、第2レーザ光源312からの第2の波長のレーザ光とを各回の照射毎に切り換えて(変更して)出力する波長変更手段として機能する。
なお、第2レーザ光源312より出力されるレーザ光は、ハーフミラー36により反射されて回転多面鏡33に達する他は、第1レーザ光源311からのレーザ光と同様の経路となる。
また、2回目の照射受光においても、1回目と同様に、照射受光に基づく画像データ(2回目の画像データ)が生成される。
【0021】
ここで、輝尽性蛍光体プレート2は、画像の読み取りのために励起光が照射されることによって輝尽発光を発すると、記録されている放射線画像(記録画像)には、該照射された励起光の波長に応じた劣化が生じる。
即ち、例えば1回目の照射受光を行って1回目の輝尽発光を発光させた後に、再び同程度の波長の励起光を用いた(2回目の)照射受光を行うと、2回目の輝尽発光は、1回目よりも発光強度が弱くなってしまい、明瞭な読取画像を得ることが困難となる。ただし、輝尽性蛍光体プレート2に照射する励起光の波長を1回目と2回目とで変更すると、2回目でも発光強度の強い輝尽発光を得ることが可能である。
また、輝尽性蛍光体プレート2からの輝尽発光の発光強度(輝尽発光強度)は、輝尽性蛍光体プレート2に照射される励起光の波長によって変化し(輝尽発光強度は波長依存性を有し)、特定の波長の励起光を照射した場合に最も強くなる。
これらのことについて、図2を参照して説明する。
図2には、発光中心の2価のユーロピウムイオンを含む輝尽性蛍光体プレートの場合における励起光の波長(単位:nm)と、励起光の照射により輝尽性蛍光体より発する輝尽発光の強度との関係を示し、このうち、(a)は1回目の励起光の照射前の状態を、(b)は1回目の励起光(例えば、波長675nm程度)の照射後の状態を、それぞれ示す。
このうち、図2(b)に示すように、1回目に、例えば波長675nm程度の励起光を輝尽性蛍光体プレートに照射した後は、再び同程度の波長の励起光を照射しても、強い輝尽発光が得られないことが分かる。
これに対し、波長675nm程度以外の励起光を照射した場合には、経時変化による記録画像の劣化を無視すれば1回目の励起光の照射前と変わらない発光強度の輝尽発光が得られることが分かる。
従って、本実施形態のように、励起光の波長を1回目と2回目の照射毎に変更することにより、2回目の輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【0022】
なお、発光中心の2価のユーロピウムイオンを含む輝尽性蛍光体プレートの場合、波長が650nm程度の励起光を照射した場合に、最も強い輝尽発光強度を呈する(図2(a))。従って、この場合には、例えば、1回目には波長が675nm程度の励起光を照射し、2回目には波長が625nm程度の励起光を照射する(図2(b))といったように、1回目と2回目の照射では、何れも650nm付近であるが、互いに異なる波長の励起光を照射すると良い。
即ち、各回の照射受光の何れにおいても、照射に基づく輝尽発光が比較的強くなる特定波長に近い波長の励起光を照射すると良い。
【0023】
さらに、このようにして生成された1回目および2回目の画像データを、読取画像生成手段62が対応する画素毎に加算することにより、1つの加算画像データを生成することができる。この加算画像データにおいては、1回目および2回目の画像データにおける画素信号は足し合わされて増幅しているのに対し、ノイズは、画素信号に対する相対的な大きさが低減しているため、S/N(SN比)を良好にすることができ、結果、高画質にすることができる。
この加算画像データに基づく読取画像は、上記の理由によりノイズが少ないため、高画質となる。
なお、この読取画像は、例えば図示しない表示装置にて表示することが可能となっている。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、輝尽性蛍光体プレート2に励起光を照射して輝尽発光を受光する照射受光を複数回行い、該複数回の照射受光の各々に基づき画像データを生成することにより、都合すると該複数の画像データを生成し、この生成した複数の画像データを対応する画素毎に加算して加算画像データを生成し、該加算画像データに基づき読取画像を生成することによって放射線画像を読み取るので、加算画像データにおけるS/Nを良好にすることができる結果、より高画質な読取画像を得ることができる。
さらに、例えば、輝尽性蛍光体プレート2を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側に受光装置を設けたりする必要が無く、波長変更手段としての励起光出力部31を備えるだけで良いため、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
また、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
しかも、輝尽性蛍光体プレート2を往路搬送する際と、引き続き復路搬送する際に、それぞれ照射受光を行うので、例えば2回の照射受光を行うために必要な輝尽性蛍光体プレート2の搬送距離を短くすることができるため、放射線画像の読み取りのための時間も短縮することができる。
【0025】
なお、上記の実施の形態では、照射受光を2回のみ行う例について説明したが、これに限らず、3回以上行うようにしても良い。この場合にも、各回の照射毎に、励起光の波長を、複数回の照射で重複することがないように変更する。
【0026】
また、上記の実施の形態では、励起光(としてのレーザ光)の光径(輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体)2の被照射面における光径)について言及していないが、励起光の光径(レーザ光のビーム径)を、複数回の照射に際し少なくとも1回は変更するようにしても良い。
このようにすると、鮮鋭度やノイズの量の異なる複数の画像データを得ることができ、こうして得られた複数の画像データを、適宜重み付けを施して加算することで、必要に応じた特性(鮮鋭度、S/N等)の画質を得ることができる。
なお、レーザ光のビーム径を小さくして照射受光を行なう場合、生成される画像データは、S/Nが小さい代わりに鮮鋭度が高い。他方、レーザ光のビーム径を大きくして照射受光を行う場合、生成される画像データは、鮮鋭度は低い代わりにS/Nが大きくなる。
また、1回目の照射の際の励起光の光径が2回目以降の照射の際の光径よりも小さくなるように励起光を照射することが好ましい。即ち、照射に基づく輝尽発光強度が最も強い1回目の照射受光における励起光の光径を2回目以降の照射受光における場合よりも小さくし、輝尽発光強度が弱くなる2回目以降の照射受光では励起光の光径を大きくすることで、受光装置による受光量を、各回の照射受光において何れも適切な範囲内に調節することができる。
また、1回目と2回目の画像データを加算する際の重み付けは、放射線画像撮影の目的、撮影条件等を考慮して決定すると良い。
例えば、微細な構造を有するために放射線画像において高い空間周波数で像が写るような部位について画像診断を行なう場合、鮮鋭度の高い放射線画像を得る必要がある。この場合には、1回目の画像データ(励起光の光径が小さい方)の方の加算比率を大きくするような重み付けを行うと良い。
他方、放射線画像において低い空間周波数で像が写るような部位について画像診断を行なう場合や、ノイズが多く、放射線画像に高鮮鋭度よりも高S/Nを優先して付与したい場合には、2回目の画像データ(励起光の光径が大きい方)の方の加算比率を高くすると良い。
なお、励起光の光径を変更するためには、例えば、各回の照射毎に径の異なるレンズに変更するレンズ変更手段を備えることとしたり、或いは、各回の照射毎にレンズの位置を変更するレンズ位置変更手段を備えることとすればよい。
【0027】
また、上記の実施の形態で説明したのは、放射線画像読取装置1が、輝尽性蛍光体に放射線画像を記録する放射線画像記録装置とは別体型で、放射線画像記録機能を備えない例(読取画像の生成専用(読取専用)である例)である。ただし、本発明はこれに限らず、放射線画像読取装置1は、放射線画像記録機能も兼ね備えた放射線画像記録/読取装置(放射線画像記録装置と一体型)であっても良い。なお、別体型の場合は、上記の実施の形態で説明したように、輝尽性蛍光体が副走査方向移動するのに対し、主走査照射装置3、光ガイド4、および、受光装置5等は位置が固定で移動しない。他方、一体型の場合、輝尽性蛍光体は位置が固定され、主走査照射装置3、光ガイド4、および、受光装置5等が副走査方向に移動する。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、輝尽性蛍光体に励起光を照射して輝尽発光を受光する照射受光を複数回行い、該複数回の照射受光に基づく該複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成することで放射線画像を読み取るので、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
しかも、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目、或いは、それ以降の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線画像読取装置の構成を示す模式図である。
【図2】励起光の波長と、励起光の照射により輝尽性蛍光体より発する輝尽発光の強度との関係を示す図であり、このうち、(a)は1回目の励起光の照射前の状態を、(b)は1回目の励起光の照射後の状態を示す。
【符号の説明】
1 放射線画像読取装置
2 輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体)
3 励起光走査装置(画像読取部)
4 集光ガイド(画像読取部)
5 受光装置(画像読取部)
6 画像生成装置(画像読取部)
31 励起光出力部(波長変更手段)
311 第1レーザ光源(波長変更手段)
312 第2レーザ光源(波長変更手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像読取方法及び放射線画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば人体等の被記録体を介して輝尽性蛍光体に放射線(例えば、X線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線等)を照射することによって該輝尽性蛍光体(例えば、輝尽性蛍光体プレート)に被記録体の放射線画像を記録した後に、該輝尽性蛍光体に励起光(例えばレーザ光)を照射することにより該輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光して光電変換することでデータ(受光データ)に変換し、この受光データに基づき読取画像を生成することで放射線画像を読み取る放射線画像読取方法及び装置が知られている。ここで、輝尽性蛍光体からの輝尽発光は、記録されている放射線画像(記録画像)の濃淡に応じた強度となる。従って、該輝尽発光の受光データに基づき、記録画像に対応する画像データを生成することができ、この画像データに基づき読取画像を生成することで、記録画像を読み取ることができる。
【0003】
このような放射線画像読取方法及び装置には、受光データに含まれるノイズを低減して読取画像を高画質にするために、例えば、励起光が照射される輝尽性蛍光体の表側から発せられる輝尽発光の受光データと、裏側から発せられる輝尽発光の受光データとを対応する画素毎に加算して読取画像を得るといった手法のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−159910号公報(第4−5頁 図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合、輝尽性蛍光体の裏側からの輝尽発光を受光するためには、輝尽性蛍光体を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側にも受光装置等を設けたりしなくてはならず、装置がコスト高となる上、装置の形状に制約が加わり(輝尽性蛍光体の裏側に受光装置等を配設する必要があるため)、しかも、装置が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、安価に高画質な読取画像を得ることができる放射線画像読取方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る放射線画像読取方法であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る画像読取部を備える放射線画像読取装置であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更する波長変更手段を備えることを特徴としている。
【0009】
これら請求項1および請求項3に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体に励起光を照射して輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することにより、都合すると該複数の画像データを得、これら複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成することによって放射線画像を読み取るので、画像データにおいて画素に基づく信号(画素信号)は足し合わされて増幅するのに対し、ノイズは、画素信号に対する相対的な大きさが低減する。つまり、画像データにおけるS/N(SN比)を良好にすることができる結果、より高画質な読取画像を得ることができる。しかも、例えば、輝尽性蛍光体の表側と表側の双方から発せられる輝尽発光を受光することに基づき読取画像を得る訳ではないので、例えば、輝尽性蛍光体を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側に受光装置を設けたりする必要が無い。よって、放射線画像読取装置のコストを抑えることができる上、放射線画像読取装置装置を、形状に制約を受けることなく、小型に構成できる。従って、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
【0010】
ところで、輝尽性蛍光体は、読み取りのために励起光が照射されることによって輝尽発光を発すると、記録されている放射線画像(記録画像)には、該照射された励起光の波長に応じた劣化が生じる。
即ち、例えば1回目の励起光の照射を行って1回目の輝尽発光を発光させた後に、再び同程度の波長の(2回目の)励起光を照射すると、2回目の輝尽発光は、1回目よりも発光強度が弱くなってしまう。ただし、輝尽性蛍光体に照射する励起光の波長を1回目と2回目とで変更すると、2回目でも発光強度の強い輝尽発光を得ることが可能である。
【0011】
このような事情に対し、請求項1および請求項3に記載の発明によれば、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目、或いは、それ以降の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像読取方法において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線画像読取装置において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うようにしたことを特徴としている。
【0014】
請求項2および請求項4に記載の発明によれば、輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、引き続き復路搬送する際に、それぞれ前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うので、複数回の前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うために必要な輝尽性蛍光体の搬送距離を短くすることができるため、放射線画像の読み取りのための時間も短縮することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施の形態について説明する。
【0016】
先ず、装置構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態の放射線画像読取装置1は、励起光としてのレーザ光を、輝尽性蛍光体プレート2(輝尽性蛍光体)の被照射面21に照射させるとともに該被照射面21において主走査方向(図1の矢印A方向)に走査させる励起光走査装置3を備えている。
この励起光走査装置3は、例えば、励起光としてのレーザ光を出力する励起光出力部31と、この励起光出力部31より出力されるレーザ光を輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射させて主走査方向(矢印A方向)に走査させるための、例えば、回転多面鏡33、fθレンズ34および反射ミラー35からなる走査光路系32とを備えて構成されている。
ここで、励起光出力部31は、第1の波長のレーザ光を出力する第1レーザ光源311と、第1の波長とは異なる第2の波長のレーザ光を出力する第2レーザ光源312とを備えている。さらに、励起光走査装置3は、第1レーザ光源311からのレーザ光を回転多面鏡33に向け透過させる一方、第2レーザ光源312からのレーザ光を回転多面鏡33に向け反射させるハーフミラー36を備えている。
また、放射線画像読取装置1は、輝尽性蛍光体プレート2を該プレート面において前記主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向、或いは、その逆の矢印C方向)に走査させる副走査駆動装置(図示略)と、励起光の照射に基づき輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21から発する輝尽発光を集光する集光ガイド4と、該集光ガイド4により集光された輝尽発光を受光して光電変換し電気信号化することにより受光データを生成する受光装置5(例えば、フォトマルチプライヤ)と、この受光装置5により生成された受光データに基づき読取画像を生成する(輝尽性蛍光体プレート2に記録されている放射線画像を読み取る)画像生成装置6とを備えて概略構成されている。
ここで、画像生成装置6は、受光装置5により生成された受光データをアナログ/デジタル変換して画素毎の画像データを生成するA/D変換器61と、該A/D変換器61により生成された複数の画像データを対応する画素毎に加算して1つの読取画像を生成する読取画像生成手段62と、を備えて構成されている。なお、以上において、励起光走査装置3、集光ガイド4、受光装置5および画像生成装置6により画像読取部を構成している。
また、輝尽性蛍光体プレート2は、例えば、BaFBr:Eu、BaFI:Euのような輝尽性蛍光体の微結晶が塗布されたプラスチックフィルムを備えて平面状に形成される。また、輝尽性蛍光体としては、上述のように塗布により作製されたものに限らず、例えば、CsBr:Euを支持体上に蒸着させて作製したものを適用しても良い。
【0017】
次に、以上のような構成の放射線画像読取装置1を用いて行う放射線画像の読み取りの態様について説明する。
本実施の形態では、輝尽性蛍光体プレート2に励起光を照射することにより該輝尽性蛍光体プレート2から発する輝尽発光を受光する照射受光を、例えば2回行い、各回の照射受光(励起光の照射と輝尽発光の受光)の各々に基づき生成される(都合2つの)画像データを、互いに対応する画素毎に加算することで、1つの読取画像を生成する。
しかも、この際に、励起光としてのレーザ光の波長を、各回の照射毎に変更する。
なお、輝尽性蛍光体プレート2には、例えば人体等の被記録体を介して放射線を入射することによって、予め放射線画像を記録している。
【0018】
1回目の照射受光は、例えば以下のように行う。
先ず、回転多面鏡33を駆動モータ37により軸周りに回転させつつ第1レーザ光源311より第1の波長のレーザ光を出力することにより、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21において第1の波長のレーザ光を主走査方向に繰り返し走査する。
即ち、第1レーザ光源311より出力されるレーザ光は、ハーフミラー36を透過して回転多面鏡33に達し、該回転多面鏡33により反射され、fθレンズ34を介して反射ミラー35に達し、該反射ミラー35により反射されて輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射される。なお、回転多面鏡33の1つの面にレーザ光が照射される期間に、被照射面21におけるレーザ光の1主走査動作(レーザ光の矢印A方向(主走査方向)への1回の走査)が行われ、次の面にレーザ光が達する期間に次回の主走査動作が行われるといったように、回転多面鏡33の各面にレーザ光が達する期間毎に1主走査動作が行われることになる。また、例えば、被照射面21におけるレーザ光の1主走査動作が行われる毎に、輝尽性蛍光体プレート2を、例えば矢印B方向(副走査方向)に所定ピッチずつ間欠的に移動させる(1副走査動作を行う)ことを所要回数繰り返すことによって、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21の所要領域の全域にレーザ光を照射することができる。
このようにレーザ光(励起光)を照射することにより、輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21からは輝尽発光が発する。
この輝尽発光は、輝尽性蛍光体プレート2に対し被照射面21側に配置した集光ガイド4によって集光されて、受光装置5により受光される。
このようにして、1回目の照射受光を行うことができる。
なお、受光装置5は、受光した輝尽発光を光電変換して電気信号化し、受光データを生成する。さらに、この受光データは、画像生成装置6のA/D変換器61によりデジタル化されて画像データとなる。従って、以上において1回目の照射受光に基づく画像データが生成される。
【0019】
次に、2回目の照射受光を、1回目と同様に主走査動作を行いながら行う。
ただし、この2回目の照射受光は、例えば、1回目の照射受光により往路搬送(矢印B方向に所定ピッチずつ間欠的に搬送)された輝尽性蛍光体プレート2を引き続き復路搬送(矢印C方向に所定ピッチずつ間欠的に搬送)する際に行う。
【0020】
さらに、2回目の照射受光の際には、第1レーザ光源311ではなく第2レーザ光源312より第2の波長のレーザ光を出力して、第2の波長のレーザ光を輝尽性蛍光体プレート2の被照射面21に照射し、該被照射面21より再び輝尽発光を発光させる。
即ち、1回目と2回目の照射で励起光の波長を変更する。ここで、励起光出力部31は、第1レーザ光源311からの第1の波長のレーザ光と、第2レーザ光源312からの第2の波長のレーザ光とを各回の照射毎に切り換えて(変更して)出力する波長変更手段として機能する。
なお、第2レーザ光源312より出力されるレーザ光は、ハーフミラー36により反射されて回転多面鏡33に達する他は、第1レーザ光源311からのレーザ光と同様の経路となる。
また、2回目の照射受光においても、1回目と同様に、照射受光に基づく画像データ(2回目の画像データ)が生成される。
【0021】
ここで、輝尽性蛍光体プレート2は、画像の読み取りのために励起光が照射されることによって輝尽発光を発すると、記録されている放射線画像(記録画像)には、該照射された励起光の波長に応じた劣化が生じる。
即ち、例えば1回目の照射受光を行って1回目の輝尽発光を発光させた後に、再び同程度の波長の励起光を用いた(2回目の)照射受光を行うと、2回目の輝尽発光は、1回目よりも発光強度が弱くなってしまい、明瞭な読取画像を得ることが困難となる。ただし、輝尽性蛍光体プレート2に照射する励起光の波長を1回目と2回目とで変更すると、2回目でも発光強度の強い輝尽発光を得ることが可能である。
また、輝尽性蛍光体プレート2からの輝尽発光の発光強度(輝尽発光強度)は、輝尽性蛍光体プレート2に照射される励起光の波長によって変化し(輝尽発光強度は波長依存性を有し)、特定の波長の励起光を照射した場合に最も強くなる。
これらのことについて、図2を参照して説明する。
図2には、発光中心の2価のユーロピウムイオンを含む輝尽性蛍光体プレートの場合における励起光の波長(単位:nm)と、励起光の照射により輝尽性蛍光体より発する輝尽発光の強度との関係を示し、このうち、(a)は1回目の励起光の照射前の状態を、(b)は1回目の励起光(例えば、波長675nm程度)の照射後の状態を、それぞれ示す。
このうち、図2(b)に示すように、1回目に、例えば波長675nm程度の励起光を輝尽性蛍光体プレートに照射した後は、再び同程度の波長の励起光を照射しても、強い輝尽発光が得られないことが分かる。
これに対し、波長675nm程度以外の励起光を照射した場合には、経時変化による記録画像の劣化を無視すれば1回目の励起光の照射前と変わらない発光強度の輝尽発光が得られることが分かる。
従って、本実施形態のように、励起光の波長を1回目と2回目の照射毎に変更することにより、2回目の輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【0022】
なお、発光中心の2価のユーロピウムイオンを含む輝尽性蛍光体プレートの場合、波長が650nm程度の励起光を照射した場合に、最も強い輝尽発光強度を呈する(図2(a))。従って、この場合には、例えば、1回目には波長が675nm程度の励起光を照射し、2回目には波長が625nm程度の励起光を照射する(図2(b))といったように、1回目と2回目の照射では、何れも650nm付近であるが、互いに異なる波長の励起光を照射すると良い。
即ち、各回の照射受光の何れにおいても、照射に基づく輝尽発光が比較的強くなる特定波長に近い波長の励起光を照射すると良い。
【0023】
さらに、このようにして生成された1回目および2回目の画像データを、読取画像生成手段62が対応する画素毎に加算することにより、1つの加算画像データを生成することができる。この加算画像データにおいては、1回目および2回目の画像データにおける画素信号は足し合わされて増幅しているのに対し、ノイズは、画素信号に対する相対的な大きさが低減しているため、S/N(SN比)を良好にすることができ、結果、高画質にすることができる。
この加算画像データに基づく読取画像は、上記の理由によりノイズが少ないため、高画質となる。
なお、この読取画像は、例えば図示しない表示装置にて表示することが可能となっている。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、輝尽性蛍光体プレート2に励起光を照射して輝尽発光を受光する照射受光を複数回行い、該複数回の照射受光の各々に基づき画像データを生成することにより、都合すると該複数の画像データを生成し、この生成した複数の画像データを対応する画素毎に加算して加算画像データを生成し、該加算画像データに基づき読取画像を生成することによって放射線画像を読み取るので、加算画像データにおけるS/Nを良好にすることができる結果、より高画質な読取画像を得ることができる。
さらに、例えば、輝尽性蛍光体プレート2を裏側から支持する支持基板を透明にしたり、輝尽性蛍光体の裏側に受光装置を設けたりする必要が無く、波長変更手段としての励起光出力部31を備えるだけで良いため、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
また、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
しかも、輝尽性蛍光体プレート2を往路搬送する際と、引き続き復路搬送する際に、それぞれ照射受光を行うので、例えば2回の照射受光を行うために必要な輝尽性蛍光体プレート2の搬送距離を短くすることができるため、放射線画像の読み取りのための時間も短縮することができる。
【0025】
なお、上記の実施の形態では、照射受光を2回のみ行う例について説明したが、これに限らず、3回以上行うようにしても良い。この場合にも、各回の照射毎に、励起光の波長を、複数回の照射で重複することがないように変更する。
【0026】
また、上記の実施の形態では、励起光(としてのレーザ光)の光径(輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体)2の被照射面における光径)について言及していないが、励起光の光径(レーザ光のビーム径)を、複数回の照射に際し少なくとも1回は変更するようにしても良い。
このようにすると、鮮鋭度やノイズの量の異なる複数の画像データを得ることができ、こうして得られた複数の画像データを、適宜重み付けを施して加算することで、必要に応じた特性(鮮鋭度、S/N等)の画質を得ることができる。
なお、レーザ光のビーム径を小さくして照射受光を行なう場合、生成される画像データは、S/Nが小さい代わりに鮮鋭度が高い。他方、レーザ光のビーム径を大きくして照射受光を行う場合、生成される画像データは、鮮鋭度は低い代わりにS/Nが大きくなる。
また、1回目の照射の際の励起光の光径が2回目以降の照射の際の光径よりも小さくなるように励起光を照射することが好ましい。即ち、照射に基づく輝尽発光強度が最も強い1回目の照射受光における励起光の光径を2回目以降の照射受光における場合よりも小さくし、輝尽発光強度が弱くなる2回目以降の照射受光では励起光の光径を大きくすることで、受光装置による受光量を、各回の照射受光において何れも適切な範囲内に調節することができる。
また、1回目と2回目の画像データを加算する際の重み付けは、放射線画像撮影の目的、撮影条件等を考慮して決定すると良い。
例えば、微細な構造を有するために放射線画像において高い空間周波数で像が写るような部位について画像診断を行なう場合、鮮鋭度の高い放射線画像を得る必要がある。この場合には、1回目の画像データ(励起光の光径が小さい方)の方の加算比率を大きくするような重み付けを行うと良い。
他方、放射線画像において低い空間周波数で像が写るような部位について画像診断を行なう場合や、ノイズが多く、放射線画像に高鮮鋭度よりも高S/Nを優先して付与したい場合には、2回目の画像データ(励起光の光径が大きい方)の方の加算比率を高くすると良い。
なお、励起光の光径を変更するためには、例えば、各回の照射毎に径の異なるレンズに変更するレンズ変更手段を備えることとしたり、或いは、各回の照射毎にレンズの位置を変更するレンズ位置変更手段を備えることとすればよい。
【0027】
また、上記の実施の形態で説明したのは、放射線画像読取装置1が、輝尽性蛍光体に放射線画像を記録する放射線画像記録装置とは別体型で、放射線画像記録機能を備えない例(読取画像の生成専用(読取専用)である例)である。ただし、本発明はこれに限らず、放射線画像読取装置1は、放射線画像記録機能も兼ね備えた放射線画像記録/読取装置(放射線画像記録装置と一体型)であっても良い。なお、別体型の場合は、上記の実施の形態で説明したように、輝尽性蛍光体が副走査方向移動するのに対し、主走査照射装置3、光ガイド4、および、受光装置5等は位置が固定で移動しない。他方、一体型の場合、輝尽性蛍光体は位置が固定され、主走査照射装置3、光ガイド4、および、受光装置5等が副走査方向に移動する。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、輝尽性蛍光体に励起光を照射して輝尽発光を受光する照射受光を複数回行い、該複数回の照射受光に基づく該複数の画像データを対応する画素毎に加算して読取画像を生成することで放射線画像を読み取るので、安価に高画質な読取画像を得ることができる。
しかも、励起光の波長を各回の照射毎に変更するので、2回目、或いは、それ以降の励起光の照射による輝尽発光の強度が弱くなってしまうことを防止でき、確実に、明瞭な読取画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線画像読取装置の構成を示す模式図である。
【図2】励起光の波長と、励起光の照射により輝尽性蛍光体より発する輝尽発光の強度との関係を示す図であり、このうち、(a)は1回目の励起光の照射前の状態を、(b)は1回目の励起光の照射後の状態を示す。
【符号の説明】
1 放射線画像読取装置
2 輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体)
3 励起光走査装置(画像読取部)
4 集光ガイド(画像読取部)
5 受光装置(画像読取部)
6 画像生成装置(画像読取部)
31 励起光出力部(波長変更手段)
311 第1レーザ光源(波長変更手段)
312 第2レーザ光源(波長変更手段)
Claims (4)
- 放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る放射線画像読取方法であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更することを特徴とする放射線画像読取方法。
- 請求項1に記載の放射線画像読取方法において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うことを特徴とする放射線画像読取方法。
- 放射線画像を記録した輝尽性蛍光体に励起光を照射することにより前記輝尽性蛍光体から発せられる輝尽発光を受光することを複数回行い、該複数回の輝尽発光の受光の各々に基づき画像データを生成することで該複数の画像データを得、該複数の画像データを対応する画素毎に加算することに基づき読取画像を生成することで、前記放射線画像を読み取る画像読取部を備える放射線画像読取装置であって、複数回照射される前記励起光の波長を励起光の照射毎に変更する波長変更手段を備えることを特徴とする放射線画像読取装置。
- 請求項3に記載の放射線画像読取装置において、前記輝尽性蛍光体を往路搬送する際と、該往路搬送に引き続き復路搬送する際に、それぞれ、前記励起光の照射と輝尽発光の受光とを行うようにしたことを特徴とする放射線画像読取装置。
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JP2015505046A (ja) * | 2011-12-16 | 2015-02-16 | リ−コール インコーポレーティッド | ルミネッセンス撮像スキャナ |
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