JP2004294832A - 電子ピアノのペダル効果生成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンパペダル操作時に打弦の振動に先立って発生する他弦の衝撃振動による音を含む楽音を発生させる。
【解決手段】ペダルオン時にキーオンされると、まず、打弦以外の他弦の衝撃音波形データが方向制御部31に入力され、次いで、打弦音波形データが音像制御部32に入力される。音像制御部32で直接音および反射音毎に対応して音像効果が付加された波形データは、さらに弦共鳴および音像変調効果が付加されて加算部38に入力される。方向制御部31では、他弦の衝撃音波形データに方向定位が付加されて加算部38に入力される。加算部38では、各制御部で効果が付加された衝撃音波形データおよび打弦音波形データが加算される。加算された波形データはDA変換器10でアナログ信号に変換されてサウンドシステム14から出力される。
【選択図】 図1
【解決手段】ペダルオン時にキーオンされると、まず、打弦以外の他弦の衝撃音波形データが方向制御部31に入力され、次いで、打弦音波形データが音像制御部32に入力される。音像制御部32で直接音および反射音毎に対応して音像効果が付加された波形データは、さらに弦共鳴および音像変調効果が付加されて加算部38に入力される。方向制御部31では、他弦の衝撃音波形データに方向定位が付加されて加算部38に入力される。加算部38では、各制御部で効果が付加された衝撃音波形データおよび打弦音波形データが加算される。加算された波形データはDA変換器10でアナログ信号に変換されてサウンドシステム14から出力される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノのペダル効果生成装置に関し、特に、アコースティックピアノにおいて、ダンパペダルやソステヌートペダルを使用して打弦したときに生ずる音を再現するのに好適な電子ピアノのペダル効果生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アコースティックピアノでは、打弦音を持続させるとともに、打弦音以外の弦(以下、「他弦」という)を振動させて弦共鳴効果を与えるために、ダンパペダルが設けられる。ダンパペダルを踏むことによって、すべての弦からダンパが一斉に離され、離鍵後もその状態は維持されているので、振動は長く続き、発音が持続される。電子ピアノにおいても、ダンパペダルを踏んだときの発音を再現することは知られている。電子ピアノにおいては、波形メモリから読み出した打弦音の楽音データに対して、ペダル装置の操作に応答して制御信号を供給し、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)でペダル効果用の信号処理を行っている。ペダル効果を付与することができる電子ピアノは、例えば、特開平7−219530号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ダンパペダルは打鍵に先だって踏み込まれる。打鍵に応答してアクションが動作し、それによって打弦されるので、ダンパペダルが踏み込まれてから打鍵に対応する弦が振動して発音に至るまでに間がある。本発明者の実験によると、ダンパペダルを踏んだ場合、打弦が弦振動を開始するより前に、多数の他弦が振動を開始していることが観測された。アクションが動作してハンマが弦に衝突するより先に、打鍵の衝撃やアクションの動作による振動が、ダンパが外れている他弦に伝播して、この振動が生じるものと考えられる。以下、本明細書では、打鍵の衝撃によって生ずる振動なので衝撃振動と呼ぶ。ソステヌートペダルを使用した演奏でも、打鍵前にダンパが外れるのでこの衝撃振動は存在する。
【0004】
図7(a)は、ダンパペダルを使用したときの打弦の振動波形、図7(b)は他弦の振動波形を示す図である。打弦はE4弦であり、他弦はC4弦である。両図において、ポイントP0がE4弦の振動開始位置である。図示のように、E4弦の打弦開始位置P0からE4弦の振動に共鳴してC4弦も振動をしている。さらに、打弦振動開始位置P0より前の時点、つまりE4弦が振動していないうちから他弦であるC4弦は振動を開始している。
【0005】
上記衝撃振動は、ほぼ同時にすべての弦によって、各弦が張られている位置で発生するので広い方向角を有する。また、衝撃振動に続き、打弦の振動が他の弦に伝わって生ずる弦共鳴による振動は個々の弦の位置を中心とした「聴こえ」を生じさせる。この弦共鳴による振動は、駒、フレーム、筐体を通じて段々に増幅され、響板によって最も共鳴する。そして、前記各弦を中心とした「聴こえ」に対応する音像を含めて、複数の音像が一個の響板による音像を形成させる。複数の音像が合成されていく過程において、音像が、変調感を伴う「聴こえ」を生じさせる。複数の音像は1つにまとまりながら減衰し、「聴こえ」は消滅していく。
【0006】
図8は、グランドピアノにおけるダンパペダルを踏んでから打鍵したときの「聴こえ」および音像のイメージを示す図である。同図(a)は、ダンパペダル踏み込み後打弦前のイメージである。この時点で衝撃振動による広い範囲A1で、明瞭性が低い「聴こえ」を生じる。図8(b)は打弦時のイメージである。打弦位置P1(ここでは高音域)を中心とする範囲A2で明瞭な「聴こえ」が得られる。図8(c)は打弦後の第1段階のイメージである。音像Aiが低音域に移動し、「聴こえ」の範囲A3も中心位置が低音域に移動する。しかし、「聴こえ」の中心は打弦時のように明瞭ではない。図8(d)は打弦後第2段階のイメージである。音像Aiの変調感(分離合成現象)があり、打弦位置と音像感が得られる位置の相関性は低い。図8(e)は打弦後第3段階のイメージである。音像感、「聴こえ」はその範囲A4がともにピアノ形状全体を満たすようになるが、明瞭さはない。
【0007】
このように、ペダルを使用したときには、打弦振動開始以前に衝撃振動を生じるし、打弦後は弦共鳴効果や変調感を生じるが、従来の電子ピアノには、上記衝撃振動や弦共鳴等による「聴こえ」が再現できていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、打鍵前の衝撃振動や打弦後の弦共鳴等を配慮した楽音を発生させることができる電子ピアノのペダル効果生成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、前記音像制御手段の出力波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、前記弦共鳴制御手段の出力波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段とを具備し、ペダルが踏み込まれずに打鍵されたときに、前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力するとともに、該音像制御手段の出力波形データを前記弦共鳴制御手段および変調制御手段を回避して通過させる一方、ペダルが踏み込まれて打鍵されたときには前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成した点に第1の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、前記打弦音波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、前記打弦音波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段とを具備し、
ペダルが踏み込まれずに打鍵されたときに前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力する一方、ペダルが踏み込まれて打鍵されたときに前記打弦音波形データを前記音像制御手段、前記弦共鳴制御手段、および前記変調制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成した点に第2の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記打弦音波形データおよび衝撃音波形データを発生する手段で、打鍵に応答してまず衝撃音波形データを発生し、その後、打弦音波形データを発生する点に第3の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、第2の特徴に加え、前記弦共鳴制御手段に入力される打弦音波形データが、アタック部に含まれる衝撃音が除去された波形データである点に第4の特徴がある。
【0013】
さらに、本発明は、前記変調制御手段が、予め設定された複数の位置に音像を定位させるため、前記複数位置に対応して入力波形データを変調させるように構成されている点に第5の特徴がある。
【0014】
上記特徴によれば、ペダルが使用されたときには、打弦音波形データに基づいて、打弦振動音に音像効果、弦共鳴効果、および音像変調効果が付加され、かつ打弦以外の他弦の衝撃振動音には方向定位効果が付加される。
【0015】
第3の特徴によれば、打鍵によって打弦が振動開始する前に開始する他弦の衝撃振動による音を再現することができる。
【0016】
第4の特徴によれば、弦共鳴効果が付加された楽音の立ち上がりを緩くすることができる。
【0017】
第5の特徴によれば、複数位置に楽音が定位されるので、音像の分離と合成とが入り交じった明瞭さの低い音像の変調感が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る電子ピアノのハード構成を示すブロック図である。同図において、バスライン40には、CPU1、RAM2、ROM3、プログラムメモリ4、楽音波形メモリ5、音源装置61、信号処理装置62、鍵盤インタフェース7、ペダルインタフェース8、パネルインタフェース9およびDAC(デジタル/アナログ変換器)10が接続される。信号処理装置62は、DSPによって構成することができる。
【0019】
鍵盤インタフェース7には鍵盤装置11が、ペダルインタフェース8にはペダル装置11が、パネルインタフェース9には操作パネル13がそれぞれ接続される。鍵盤装置11は、複数(例えば88鍵)の鍵(キー)と、各鍵のオン・オフやオン操作の速度を検出するためのキーセンサとを備える。鍵盤インタフェース7は、キーセンサの出力信号に基づいてキーイベント情報やタッチ情報を生成し、これらの情報はキーナンバに対応づけられてRAM2に記憶される。
【0020】
ペダル装置12は、ダンパペダルやソステヌートペダル、およびこれらペダルの踏み込み量に対応した出力を生ずるボリュームを有するペダルセンサからなる。ペダル装置12は、アコースティックピアノにおけるペダル踏み込みによる効果を該電子ピアノで再現させるために設けられる。DAC10にはアンプやスピーカを含むサウンドシステム14が接続される。スピーカは左右用にそれぞれ設けられる。
【0021】
CPU1は、プログラムメモリ4に格納されている制御プログラムに従って、前記各構成要素を制御する。楽音波形メモリ5には、複数の音色に対応した波形データが記憶され、ROM3には、楽音波形データを処理して楽音を発生させるためのパラメータが記憶される。RAM2はCPU1がプログラムを実行する際の各種データを一時記憶するワークエリアとして使用される。操作パネル13はLCDスクリーンや各種スイッチおよびボリューム、ならびにLED等の表示灯からなり、例えば、鍵盤装置11に隣接して設けられるコントロールパネル上に配置される。
【0022】
演奏時、音源装置61は打鍵に応答して楽音波形メモリ5から楽音波形データを信号処理装置62に読み出す。信号処理装置62は、読み出された楽音波形データに対して、方向定位効果、音像生成効果、弦共鳴効果、および音像変調効果等を付加する。効果が付加された波形データはDAC10でアナログ楽音信号に変換された後、サウンドシステム14に供給される。サウンドシステム14では、アナログ楽音信号をアンプで増幅した後、スピーカで発音する。
【0023】
図3は、電子ピアノの鍵盤装置の構造を示す断面側面図である。鍵盤装置11の各鍵15は、支点となるバランスピン16で支持されていて、バランスピン16の右側つまり鍵15の奥方向の端部近くに上方に突出したキャプスタンねじ17が設けられる。フレーム18には、ほぼ水平に延びて、該フレーム18近くに設けられた軸19の周りで上下に揺動自在なハンマ20が設けられる。ハンマ20の先端寄りにはアクションウェイト21が設けられる。一方、鍵15の、バランスピン16から左寄りの位置つまり鍵15の手前方向端部近くには、カウンタウェイト22が吊り下げ状態で設けられる。さらに、フレーム18には、前記アクションウェイト21が上方に跳ね上がりすぎるのを抑止するストッパ23が設けられる。鍵15は、押鍵されていないときは、カウンタウェイト22が設けられた側が持ち上がった位置にある。
【0024】
演奏時に鍵15が押されると、鍵15の前端部は、バランスピン16を中心に下がり、逆に鍵15の奥側端部は持ち上げられる。そのとき、キャプスタンねじ17はアクションウェイト21が設けられたハンマ20を押し上げるので、演奏者はこの押し上げ力の反力をタッチとして感じる。
【0025】
フレーム18の底板181には、鍵15の上下方向における変位量を検出するためのキーセンサとしての位置検出センサ24が設けられる。鍵15の下面に設けられた前記カウンタウェイト22を鉄等の磁性体で構成し、磁性体を感知して出力を生ずる磁気センサを位置検出センサ24として使用するのがよい。磁気センサは感知部と磁性体との距離に応じて出力が変化するので、この出力に基づいてカウンタウェイト22と位置検出センサ24との距離、つまり底板181、ないしは底板181の前端にあって、その上面が鍵15の前端下面と対向する棚板182と鍵15との間隔を検出することができる。
【0026】
なお、位置検出センサ24は磁気センサに限らず、光センサや振動センサ等、各種位置検出センサであってもよい。そして、選択するセンサによってカウンタウェイト22の、少なくとも位置検出センサ24との対向面の形状や材質を変形するのはもちろんである。
【0027】
図1は、楽音発生処理の要部機能を示すブロック図である。同図において、波形データ発生手段としての楽音波形メモリ5には、第1波形データ記憶部51と第2波形データ記憶部52とを設ける。第1波形データ記憶部51には打弦振動音の楽音波形データ(以下、「打弦波形データ」という)が格納され、第2波形データ記憶部52には衝撃振動音の波形データ(以下、「衝撃音波形データ」という)が格納される。打弦波形データは、打弦により生じる振動の波形データであり、衝撃音波形データは、打弦前に他弦の振動によって生じる音の波形データである。
【0028】
信号処理装置62は、方向制御部31、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34を備える。また、信号処理装置62の各制御部31〜34で使用される係数を格納する係数テーブル35と係数テーブル35から読み出して各制御部31〜34に入力する係数設定部36とが設けられる。係数テーブル35はROM3上に設定でき、係数設定部36はCPU1の機能として実現できる。
【0029】
CPU1の機能としてのセンサ処理部37は、位置検出センサ24の出力が予定の基準値(後述する)になったときにキーオン信号を出力するとともに、ペダルセンサ121の出力が予定の基準値になったときにペダル信号を出力(オンに)する。キーオン信号とペダル信号は音源装置61に入力され、音源装置61はキーオン信号およびペダル信号に従って、打弦波形データおよび衝撃音波形データを信号処理装置62へ読み出す。
【0030】
キーオン信号はどの鍵が押されたかを示すキーオンナンバつまり音高情報を含んでおり、各波形データの読み出しピッチはキーオンナンバに応じて決定される。キーオンナンバは、各鍵15毎に設けられる位置検出センサ24のうちのどれが出力しているかを、各センサからCPU1への入力ポートをスキャンして判別される。
【0031】
ペダル信号がオンかオフかによって、上記二つの波形データの処理系統が異なる。打弦波形データは、ペダル信号のいかんにかかわらず、キーオン信号に応答して音像制御部32に読み出される。一方、衝撃音波形データは、ペダル信号がオンのときに限り、キーオン信号に応答して方向制御部31に読み出される。
【0032】
方向制御部31は、音の方向感を形成する波形データの処理部であり、衝撃音波形データに対して方向定位効果を付加する。一般的に、音に関しては、発音時から時間の経過に従って、まずその方向が認識され、続いて音像が認識される。衝撃振動音は発音から短時間のみ認識される音であるため、衝撃音波形データには方向制御が施される。一方、打弦音は、長く続く打弦の振動や他の弦並びに響板等の共鳴振動等を含むため、打弦波形データの処理には、音像制御、弦共鳴制御、および変調制御が加わえられる。
【0033】
音像制御部32は、入力された打弦波形データに音像効果つまり音の方向と距離とを付加する。ペダル信号がオフの場合は、音像制御部32で処理された打弦波形データは弦共鳴制御部33および変調制御部34を通らず、図中点線で示す経路Rで直接加算部38に入力され、DAC10でアナログ楽音信号に変換されてサウンドシステム14に供給される。なお、ペダル信号がオフの場合、衝撃音波形データは出力されないので、音像制御部32の出力は加算部38を通さず、DAC10に入力してもよい。
【0034】
ペダル信号がオンの場合、音像制御部32で処理された波形データは、弦共鳴制御部33および変調制御部34で処理される。さらに、ペダル信号がオンの場合は、方向制御部31で処理された衝撃音波形データと変調制御部34で処理された打撃音波形データとが加算部38で加算されてDAC10に入力される。
【0035】
弦共鳴制御部33は、打弦の振動が伝播して生じる他弦の振動音を形成する。振動音の音像が、時間経過に従って打弦からしだいに遠くなるように定位制御される。
【0036】
変調制御部34は、弦共鳴制御部34で共鳴効果が付加された波形データによって形成される音像を、予定の複数位置に定位させるため、入力された波形データを該予定位置に対応して変調させる。すなわち、各定位毎に決定された、楽音の方向、遅延時間、および音量で波形データを変調させる。変調制御によって、弦共鳴とは別の変調感を楽音に付加することができる。
【0037】
図4は、センサ処理部37の機能を示すブロック図である。ROM2上に設定される基準値記憶部25に、位置検出センサ24の出力と比較される基準値が記憶される。基準値は、鍵15の押し下げ位置を判断するための第1基準値α1、第2基準値α2、および第3基準値α3(α3>α2>α1)である。第2基準値α2はダンパペダル用およびソステヌートペダル用に共通の値であってもよいし、それぞれに個別の値であってもよい。
【0038】
ペダル信号がオフのときはスイッチSW1が図示とは反対側に切り替えられて基準値記憶部25は第1基準値α1および第3基準値α3を出力し、ペダル信号がオンのときはスイッチSW1が図示の位置に切り替えられて基準値記憶部25は、第3基準値α3に代えて第2基準値α3を出力する。キーオン信号発生部27は、第2基準値α2および第3基準値α3と位置検出センサ24の出力とを比較し、位置検出センサ24の出力が第2基準値α2に達した時および第3基準値α3に達した時にそれぞれキーオン信号(キーオンナンバを含む)を出力する。
【0039】
センサ処理部37はキーオンベロシティの算出部を有することができる。ベロシティ算出部29は、位置検出センサ24の出力が第1基準値α1から第2基準値α2もしくは第3基準値α3に変化するまでの時間によってベロシティを算出する。なお、ベロシティは、ペダルの押し下げ量に応じて大きくすることができる。ペダルの踏み込み量によって、弦に対するダンパの押し付け量が小さくなり、それに伴ってキータッチが軽くなり、実質的にベロシティが大きくなるからである。例えば、ペダルの踏み込み量に対応して、エンベロープ算出部29で算出されたベロシティを大きする演算(補正値を加算もしくは補正係数を乗算)することで実現できる。
【0040】
衝撃音波形データおよび打弦波形データは、先に衝撃音波形データを方向制御部31に読み出し、所定の遅延時間後に、打弦波形データを音像制御部32に読み出すのがよい。
【0041】
衝撃振動音を発生させる時期や打弦音を発生させる指示のためのトリガ信号は、位置検出センサ24の出力によって得ることができる。
【0042】
ペダル使用時に打鍵音波形データより衝撃音波形データを早く読み出して両波形データに基づく発音時期を変えるために、キーオン信号を2種類出力させる。まず、位置検出センサ24の出力が第2基準値α2に達した時に第1のキーオン信号を出力して衝撃音波形データを読み出し、位置検出センサ24の出力が第3基準値α3に達した時に第2のキーオン信号を出力して打弦波形データを読み出す。
【0043】
なお、第2基準値α2は固定された値でなく、ペダルの踏み込み量に応じて第1基準値α1に近づくように変化させてもよい。アコースティックピアノでは、ペダル使用時にダンパが弦から離れてキータッチが軽くなるので、同じ打鍵強さで演奏してもベロシティが大きくなりがちだからである。
【0044】
図5は、方向感を得るための方向制御部31の要部を示すブロック図である。同図において、方向制御部31は、頭部音響伝達関数(H.R.T.F)をシミュレートし、左耳および右耳で認識される音の伝達時間差と音量差とをたたみ込むことで擬似的に音の到来方向を制御する。方向定位はキーオンナンバにかかわらず固定とし、方向角は演奏者を基準にした最低弦および最高弦の開き角の範囲とする。この開き角を複数に分割した方向を設定し、該方向から音が到来するように制御する。
【0045】
遅延器39は、入力された衝撃音波形データに基づき、サウンドシステム14の左側スピーカおよび右側スピーカ用の楽音信号を形成する。左右の各楽音信号は演奏者が音の到来方向を認識できるように、音源方向つまり想定されるピアノの弦の方向によって決定される両耳時間差に相当する遅延時間を有して出力される。また、レベル設定器40は、入力される衝撃音波形データのレベル(音量)を、想定されるピアノの弦の位置に応じて設定する。遅延器39は高次のフィルタで構成でき、レベル設定器40は乗算器で構成できる。遅延器39やレベル設定器40で演算に使用される係数は前記係数テーブル35に設定される。なお、頭部音響伝達関数をシミュレートして音像を定位させる制御装置は、例えば、特許第3090416号公報や特許第3255348号公報等に開示されている。
【0046】
遅延処理とレベル設定処理がなされた衝撃音波形データは、それぞれ、左側スピーカ用および右側スピーカ用の楽音信号として出力され、加算部38に入力される。
【0047】
図6は、音像感を得るための音像制御部32の要部を示すブロック図である。同図において、音像制御部32は、室内空間を想定し、想定された室内空間における発音源つまりハンマで叩かれた弦からの直接音および反射音の方向制御をそれぞれ行って音像感を形成する。第1遅延器41は、入力される打弦波形データを、直接音および反射音に分けて遅延させる。直接音か反射音かによって演奏者との距離が異なり、音が聞こえるまでの時間が該距離に対応して異なるからである。第1レベル設定器42は入力される打弦波形データのレベルを、直接音および反射音に分けて設定する。直接音か反射音かによって演奏者との距離が異なり、聞こえる音量が該距離に対応して異なるからである。反射音の数nは想定する反射面の数に対応する。第1遅延器41および第1レベル設定器42の出力信号はそれぞれ第1,第2,第3,…,第n方向制御部43−1,43−2,43−3,…,43−nに入力される。
【0048】
第1〜第n方向制御部43−1〜43−nは、図5に関して説明した方向制御部31と同様に構成される。例えば、第1方向制御部43−1において、第2遅延器44および第2レベル設定器45を備え、2チャネル分の楽音信号を出力する。第1〜第n方向制御部43−1〜43−nからそれぞれ出力される2チャネル分の楽音信号は加算されて、それぞれ右側用楽音信号および左側楽音信号を形成する。両楽音信号は弦共鳴制御部33に入力される。
【0049】
前記係数テーブル35に設定される音像制御用の係数は、キーナンバに対応させた方向、遅延時間および音量の組からなり、打鍵毎にキーオンナンバに応じた組を読み出して係数設定部36に設定する。
【0050】
弦共鳴制御部33は、前記音像制御部32と同様に構成されるが、係数テーブル35に設定される係数が音像制御部用とは異なる。弦共鳴は打弦に隣接している他弦に打弦の振動音が伝播して起きる。したがって、反射音に代えて、打弦に隣接する他弦から順に遠くの他弦へ順次移行する振動音(共鳴音)を再現する。すなわち、打弦の振動開始から他弦の振動開始までの遅延時間と、他弦の音量、方向を組にしてキーナンバに対応させたテーブルを設定する。そして、打鍵毎にキーオンナンバに応じた組を読み出して係数設定部36に設定する。
【0051】
変調制御部34も、前記音像制御部32と同様に構成できる。変調制御部34では、複数の位置を設定し、この設定位置に音像を定位させて楽音に変調感を付加する。打弦位置から設定音像位置までの距離に対応した遅延時間、方向、および音量を変調信号の組としてキーナンバ毎に係数テーブル35に設定する。そして、打鍵毎にキーオンナンバに応じた変調信号の組を読み出して係数設定部36に設定する。変調信号は予め定めた時間の経過で減衰させる。
【0052】
上記各制御部31〜34で使用される係数としての遅延時間と音量は、室内空間におけるシミュレーションによって予め設定することができる。すなわち、音の反射面を有する空間にスピーカを設置し、該スピーカからダミーヘッドの両耳に到達する直接音と、反射面(壁)を経由してダミーヘッドの両耳に到達する反射音とを測定する。そして、スピーカの位置を種々変更して遅延時間や音量を採取する。
【0053】
なお、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34で使用される係数は、上述のようにテーブルとして記憶させてあってもよいが、予め計算式に従って計算により決定してもよい。
【0054】
また、弦共鳴制御部33に対する入力は音像制御部32の出力に限らず、楽音波形メモリ5から入力される打弦音波形データであってもよいし、変調制御部34に対する入力は、音像制御部32および弦共鳴制御部33で処理された楽音信号に限らず、楽音波形メモリ5から入力される打弦音波形データであってもよい。すなわち、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34は直列的に配置されるものに限らず、並列に配列されるものであってもよい。
【0055】
さらに、例えば、弦共鳴制御部33には、打弦波形データとして、立ち上がりエンベロープを遅らせたり、フィルタによる帯域制限をしたりしたもの、あるいは初期アタック部分を除いた全く別の打弦波形データを入力してもよい。
【0056】
また、変調制御部34では、同時打鍵数やベロシティに応じて変調開始時期を遅延させたり、変調開始エンベロープを変化させたりするようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜5の発明によれば、ペダルを踏んで打鍵したときと、ペダルを踏まないで打鍵したときとで、他弦の衝撃振動音を付加するか付加しないかの変化をつけることができる。また、打弦音は、ペダルを踏んで打鍵したときは、打弦音に音像効果、弦共鳴効果および変調効果を付加することができる。
【0058】
また、請求項3の発明によれば、ペダルを踏んで打鍵したときに、打弦前に生じる他弦の衝撃振動音をよりよく擬似するすることができる。
【0059】
また、請求項4の発明によれば、アタック部立ち上がりが緩やかな弦共鳴を制限することができる。
【0060】
さらに、請求項5の発明によれば、音像が分離・合成して音像感の明瞭度が低い変調感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子ピアノの要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子ピアノの要部構成を示すブロック図である。
【図3】鍵盤装置の断面図である。
【図4】センサ処理部の機能を示すブロック図である。
【図5】方向制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】音像制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】ダンパペダルを使用したときの打弦および他弦の振動波形を示す図である。
【図8】グランドピアノにおいてペダルを使用して打鍵したときの聴こえのイメージ図である。
【符号の説明】
1…CPU、 5…楽音波形メモリ、 11…鍵盤装置、 12…ペダル装置、15…鍵、 24…位置検出センサ、 31…方向制御部、 32…音像制御部、 33…弦共鳴制御部、 34…変調制御部、 37…センサ処理部、 62…信号処理部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノのペダル効果生成装置に関し、特に、アコースティックピアノにおいて、ダンパペダルやソステヌートペダルを使用して打弦したときに生ずる音を再現するのに好適な電子ピアノのペダル効果生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アコースティックピアノでは、打弦音を持続させるとともに、打弦音以外の弦(以下、「他弦」という)を振動させて弦共鳴効果を与えるために、ダンパペダルが設けられる。ダンパペダルを踏むことによって、すべての弦からダンパが一斉に離され、離鍵後もその状態は維持されているので、振動は長く続き、発音が持続される。電子ピアノにおいても、ダンパペダルを踏んだときの発音を再現することは知られている。電子ピアノにおいては、波形メモリから読み出した打弦音の楽音データに対して、ペダル装置の操作に応答して制御信号を供給し、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)でペダル効果用の信号処理を行っている。ペダル効果を付与することができる電子ピアノは、例えば、特開平7−219530号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ダンパペダルは打鍵に先だって踏み込まれる。打鍵に応答してアクションが動作し、それによって打弦されるので、ダンパペダルが踏み込まれてから打鍵に対応する弦が振動して発音に至るまでに間がある。本発明者の実験によると、ダンパペダルを踏んだ場合、打弦が弦振動を開始するより前に、多数の他弦が振動を開始していることが観測された。アクションが動作してハンマが弦に衝突するより先に、打鍵の衝撃やアクションの動作による振動が、ダンパが外れている他弦に伝播して、この振動が生じるものと考えられる。以下、本明細書では、打鍵の衝撃によって生ずる振動なので衝撃振動と呼ぶ。ソステヌートペダルを使用した演奏でも、打鍵前にダンパが外れるのでこの衝撃振動は存在する。
【0004】
図7(a)は、ダンパペダルを使用したときの打弦の振動波形、図7(b)は他弦の振動波形を示す図である。打弦はE4弦であり、他弦はC4弦である。両図において、ポイントP0がE4弦の振動開始位置である。図示のように、E4弦の打弦開始位置P0からE4弦の振動に共鳴してC4弦も振動をしている。さらに、打弦振動開始位置P0より前の時点、つまりE4弦が振動していないうちから他弦であるC4弦は振動を開始している。
【0005】
上記衝撃振動は、ほぼ同時にすべての弦によって、各弦が張られている位置で発生するので広い方向角を有する。また、衝撃振動に続き、打弦の振動が他の弦に伝わって生ずる弦共鳴による振動は個々の弦の位置を中心とした「聴こえ」を生じさせる。この弦共鳴による振動は、駒、フレーム、筐体を通じて段々に増幅され、響板によって最も共鳴する。そして、前記各弦を中心とした「聴こえ」に対応する音像を含めて、複数の音像が一個の響板による音像を形成させる。複数の音像が合成されていく過程において、音像が、変調感を伴う「聴こえ」を生じさせる。複数の音像は1つにまとまりながら減衰し、「聴こえ」は消滅していく。
【0006】
図8は、グランドピアノにおけるダンパペダルを踏んでから打鍵したときの「聴こえ」および音像のイメージを示す図である。同図(a)は、ダンパペダル踏み込み後打弦前のイメージである。この時点で衝撃振動による広い範囲A1で、明瞭性が低い「聴こえ」を生じる。図8(b)は打弦時のイメージである。打弦位置P1(ここでは高音域)を中心とする範囲A2で明瞭な「聴こえ」が得られる。図8(c)は打弦後の第1段階のイメージである。音像Aiが低音域に移動し、「聴こえ」の範囲A3も中心位置が低音域に移動する。しかし、「聴こえ」の中心は打弦時のように明瞭ではない。図8(d)は打弦後第2段階のイメージである。音像Aiの変調感(分離合成現象)があり、打弦位置と音像感が得られる位置の相関性は低い。図8(e)は打弦後第3段階のイメージである。音像感、「聴こえ」はその範囲A4がともにピアノ形状全体を満たすようになるが、明瞭さはない。
【0007】
このように、ペダルを使用したときには、打弦振動開始以前に衝撃振動を生じるし、打弦後は弦共鳴効果や変調感を生じるが、従来の電子ピアノには、上記衝撃振動や弦共鳴等による「聴こえ」が再現できていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、打鍵前の衝撃振動や打弦後の弦共鳴等を配慮した楽音を発生させることができる電子ピアノのペダル効果生成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、前記音像制御手段の出力波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、前記弦共鳴制御手段の出力波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段とを具備し、ペダルが踏み込まれずに打鍵されたときに、前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力するとともに、該音像制御手段の出力波形データを前記弦共鳴制御手段および変調制御手段を回避して通過させる一方、ペダルが踏み込まれて打鍵されたときには前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成した点に第1の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、前記打弦音波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、前記打弦音波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段とを具備し、
ペダルが踏み込まれずに打鍵されたときに前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力する一方、ペダルが踏み込まれて打鍵されたときに前記打弦音波形データを前記音像制御手段、前記弦共鳴制御手段、および前記変調制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成した点に第2の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記打弦音波形データおよび衝撃音波形データを発生する手段で、打鍵に応答してまず衝撃音波形データを発生し、その後、打弦音波形データを発生する点に第3の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、第2の特徴に加え、前記弦共鳴制御手段に入力される打弦音波形データが、アタック部に含まれる衝撃音が除去された波形データである点に第4の特徴がある。
【0013】
さらに、本発明は、前記変調制御手段が、予め設定された複数の位置に音像を定位させるため、前記複数位置に対応して入力波形データを変調させるように構成されている点に第5の特徴がある。
【0014】
上記特徴によれば、ペダルが使用されたときには、打弦音波形データに基づいて、打弦振動音に音像効果、弦共鳴効果、および音像変調効果が付加され、かつ打弦以外の他弦の衝撃振動音には方向定位効果が付加される。
【0015】
第3の特徴によれば、打鍵によって打弦が振動開始する前に開始する他弦の衝撃振動による音を再現することができる。
【0016】
第4の特徴によれば、弦共鳴効果が付加された楽音の立ち上がりを緩くすることができる。
【0017】
第5の特徴によれば、複数位置に楽音が定位されるので、音像の分離と合成とが入り交じった明瞭さの低い音像の変調感が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る電子ピアノのハード構成を示すブロック図である。同図において、バスライン40には、CPU1、RAM2、ROM3、プログラムメモリ4、楽音波形メモリ5、音源装置61、信号処理装置62、鍵盤インタフェース7、ペダルインタフェース8、パネルインタフェース9およびDAC(デジタル/アナログ変換器)10が接続される。信号処理装置62は、DSPによって構成することができる。
【0019】
鍵盤インタフェース7には鍵盤装置11が、ペダルインタフェース8にはペダル装置11が、パネルインタフェース9には操作パネル13がそれぞれ接続される。鍵盤装置11は、複数(例えば88鍵)の鍵(キー)と、各鍵のオン・オフやオン操作の速度を検出するためのキーセンサとを備える。鍵盤インタフェース7は、キーセンサの出力信号に基づいてキーイベント情報やタッチ情報を生成し、これらの情報はキーナンバに対応づけられてRAM2に記憶される。
【0020】
ペダル装置12は、ダンパペダルやソステヌートペダル、およびこれらペダルの踏み込み量に対応した出力を生ずるボリュームを有するペダルセンサからなる。ペダル装置12は、アコースティックピアノにおけるペダル踏み込みによる効果を該電子ピアノで再現させるために設けられる。DAC10にはアンプやスピーカを含むサウンドシステム14が接続される。スピーカは左右用にそれぞれ設けられる。
【0021】
CPU1は、プログラムメモリ4に格納されている制御プログラムに従って、前記各構成要素を制御する。楽音波形メモリ5には、複数の音色に対応した波形データが記憶され、ROM3には、楽音波形データを処理して楽音を発生させるためのパラメータが記憶される。RAM2はCPU1がプログラムを実行する際の各種データを一時記憶するワークエリアとして使用される。操作パネル13はLCDスクリーンや各種スイッチおよびボリューム、ならびにLED等の表示灯からなり、例えば、鍵盤装置11に隣接して設けられるコントロールパネル上に配置される。
【0022】
演奏時、音源装置61は打鍵に応答して楽音波形メモリ5から楽音波形データを信号処理装置62に読み出す。信号処理装置62は、読み出された楽音波形データに対して、方向定位効果、音像生成効果、弦共鳴効果、および音像変調効果等を付加する。効果が付加された波形データはDAC10でアナログ楽音信号に変換された後、サウンドシステム14に供給される。サウンドシステム14では、アナログ楽音信号をアンプで増幅した後、スピーカで発音する。
【0023】
図3は、電子ピアノの鍵盤装置の構造を示す断面側面図である。鍵盤装置11の各鍵15は、支点となるバランスピン16で支持されていて、バランスピン16の右側つまり鍵15の奥方向の端部近くに上方に突出したキャプスタンねじ17が設けられる。フレーム18には、ほぼ水平に延びて、該フレーム18近くに設けられた軸19の周りで上下に揺動自在なハンマ20が設けられる。ハンマ20の先端寄りにはアクションウェイト21が設けられる。一方、鍵15の、バランスピン16から左寄りの位置つまり鍵15の手前方向端部近くには、カウンタウェイト22が吊り下げ状態で設けられる。さらに、フレーム18には、前記アクションウェイト21が上方に跳ね上がりすぎるのを抑止するストッパ23が設けられる。鍵15は、押鍵されていないときは、カウンタウェイト22が設けられた側が持ち上がった位置にある。
【0024】
演奏時に鍵15が押されると、鍵15の前端部は、バランスピン16を中心に下がり、逆に鍵15の奥側端部は持ち上げられる。そのとき、キャプスタンねじ17はアクションウェイト21が設けられたハンマ20を押し上げるので、演奏者はこの押し上げ力の反力をタッチとして感じる。
【0025】
フレーム18の底板181には、鍵15の上下方向における変位量を検出するためのキーセンサとしての位置検出センサ24が設けられる。鍵15の下面に設けられた前記カウンタウェイト22を鉄等の磁性体で構成し、磁性体を感知して出力を生ずる磁気センサを位置検出センサ24として使用するのがよい。磁気センサは感知部と磁性体との距離に応じて出力が変化するので、この出力に基づいてカウンタウェイト22と位置検出センサ24との距離、つまり底板181、ないしは底板181の前端にあって、その上面が鍵15の前端下面と対向する棚板182と鍵15との間隔を検出することができる。
【0026】
なお、位置検出センサ24は磁気センサに限らず、光センサや振動センサ等、各種位置検出センサであってもよい。そして、選択するセンサによってカウンタウェイト22の、少なくとも位置検出センサ24との対向面の形状や材質を変形するのはもちろんである。
【0027】
図1は、楽音発生処理の要部機能を示すブロック図である。同図において、波形データ発生手段としての楽音波形メモリ5には、第1波形データ記憶部51と第2波形データ記憶部52とを設ける。第1波形データ記憶部51には打弦振動音の楽音波形データ(以下、「打弦波形データ」という)が格納され、第2波形データ記憶部52には衝撃振動音の波形データ(以下、「衝撃音波形データ」という)が格納される。打弦波形データは、打弦により生じる振動の波形データであり、衝撃音波形データは、打弦前に他弦の振動によって生じる音の波形データである。
【0028】
信号処理装置62は、方向制御部31、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34を備える。また、信号処理装置62の各制御部31〜34で使用される係数を格納する係数テーブル35と係数テーブル35から読み出して各制御部31〜34に入力する係数設定部36とが設けられる。係数テーブル35はROM3上に設定でき、係数設定部36はCPU1の機能として実現できる。
【0029】
CPU1の機能としてのセンサ処理部37は、位置検出センサ24の出力が予定の基準値(後述する)になったときにキーオン信号を出力するとともに、ペダルセンサ121の出力が予定の基準値になったときにペダル信号を出力(オンに)する。キーオン信号とペダル信号は音源装置61に入力され、音源装置61はキーオン信号およびペダル信号に従って、打弦波形データおよび衝撃音波形データを信号処理装置62へ読み出す。
【0030】
キーオン信号はどの鍵が押されたかを示すキーオンナンバつまり音高情報を含んでおり、各波形データの読み出しピッチはキーオンナンバに応じて決定される。キーオンナンバは、各鍵15毎に設けられる位置検出センサ24のうちのどれが出力しているかを、各センサからCPU1への入力ポートをスキャンして判別される。
【0031】
ペダル信号がオンかオフかによって、上記二つの波形データの処理系統が異なる。打弦波形データは、ペダル信号のいかんにかかわらず、キーオン信号に応答して音像制御部32に読み出される。一方、衝撃音波形データは、ペダル信号がオンのときに限り、キーオン信号に応答して方向制御部31に読み出される。
【0032】
方向制御部31は、音の方向感を形成する波形データの処理部であり、衝撃音波形データに対して方向定位効果を付加する。一般的に、音に関しては、発音時から時間の経過に従って、まずその方向が認識され、続いて音像が認識される。衝撃振動音は発音から短時間のみ認識される音であるため、衝撃音波形データには方向制御が施される。一方、打弦音は、長く続く打弦の振動や他の弦並びに響板等の共鳴振動等を含むため、打弦波形データの処理には、音像制御、弦共鳴制御、および変調制御が加わえられる。
【0033】
音像制御部32は、入力された打弦波形データに音像効果つまり音の方向と距離とを付加する。ペダル信号がオフの場合は、音像制御部32で処理された打弦波形データは弦共鳴制御部33および変調制御部34を通らず、図中点線で示す経路Rで直接加算部38に入力され、DAC10でアナログ楽音信号に変換されてサウンドシステム14に供給される。なお、ペダル信号がオフの場合、衝撃音波形データは出力されないので、音像制御部32の出力は加算部38を通さず、DAC10に入力してもよい。
【0034】
ペダル信号がオンの場合、音像制御部32で処理された波形データは、弦共鳴制御部33および変調制御部34で処理される。さらに、ペダル信号がオンの場合は、方向制御部31で処理された衝撃音波形データと変調制御部34で処理された打撃音波形データとが加算部38で加算されてDAC10に入力される。
【0035】
弦共鳴制御部33は、打弦の振動が伝播して生じる他弦の振動音を形成する。振動音の音像が、時間経過に従って打弦からしだいに遠くなるように定位制御される。
【0036】
変調制御部34は、弦共鳴制御部34で共鳴効果が付加された波形データによって形成される音像を、予定の複数位置に定位させるため、入力された波形データを該予定位置に対応して変調させる。すなわち、各定位毎に決定された、楽音の方向、遅延時間、および音量で波形データを変調させる。変調制御によって、弦共鳴とは別の変調感を楽音に付加することができる。
【0037】
図4は、センサ処理部37の機能を示すブロック図である。ROM2上に設定される基準値記憶部25に、位置検出センサ24の出力と比較される基準値が記憶される。基準値は、鍵15の押し下げ位置を判断するための第1基準値α1、第2基準値α2、および第3基準値α3(α3>α2>α1)である。第2基準値α2はダンパペダル用およびソステヌートペダル用に共通の値であってもよいし、それぞれに個別の値であってもよい。
【0038】
ペダル信号がオフのときはスイッチSW1が図示とは反対側に切り替えられて基準値記憶部25は第1基準値α1および第3基準値α3を出力し、ペダル信号がオンのときはスイッチSW1が図示の位置に切り替えられて基準値記憶部25は、第3基準値α3に代えて第2基準値α3を出力する。キーオン信号発生部27は、第2基準値α2および第3基準値α3と位置検出センサ24の出力とを比較し、位置検出センサ24の出力が第2基準値α2に達した時および第3基準値α3に達した時にそれぞれキーオン信号(キーオンナンバを含む)を出力する。
【0039】
センサ処理部37はキーオンベロシティの算出部を有することができる。ベロシティ算出部29は、位置検出センサ24の出力が第1基準値α1から第2基準値α2もしくは第3基準値α3に変化するまでの時間によってベロシティを算出する。なお、ベロシティは、ペダルの押し下げ量に応じて大きくすることができる。ペダルの踏み込み量によって、弦に対するダンパの押し付け量が小さくなり、それに伴ってキータッチが軽くなり、実質的にベロシティが大きくなるからである。例えば、ペダルの踏み込み量に対応して、エンベロープ算出部29で算出されたベロシティを大きする演算(補正値を加算もしくは補正係数を乗算)することで実現できる。
【0040】
衝撃音波形データおよび打弦波形データは、先に衝撃音波形データを方向制御部31に読み出し、所定の遅延時間後に、打弦波形データを音像制御部32に読み出すのがよい。
【0041】
衝撃振動音を発生させる時期や打弦音を発生させる指示のためのトリガ信号は、位置検出センサ24の出力によって得ることができる。
【0042】
ペダル使用時に打鍵音波形データより衝撃音波形データを早く読み出して両波形データに基づく発音時期を変えるために、キーオン信号を2種類出力させる。まず、位置検出センサ24の出力が第2基準値α2に達した時に第1のキーオン信号を出力して衝撃音波形データを読み出し、位置検出センサ24の出力が第3基準値α3に達した時に第2のキーオン信号を出力して打弦波形データを読み出す。
【0043】
なお、第2基準値α2は固定された値でなく、ペダルの踏み込み量に応じて第1基準値α1に近づくように変化させてもよい。アコースティックピアノでは、ペダル使用時にダンパが弦から離れてキータッチが軽くなるので、同じ打鍵強さで演奏してもベロシティが大きくなりがちだからである。
【0044】
図5は、方向感を得るための方向制御部31の要部を示すブロック図である。同図において、方向制御部31は、頭部音響伝達関数(H.R.T.F)をシミュレートし、左耳および右耳で認識される音の伝達時間差と音量差とをたたみ込むことで擬似的に音の到来方向を制御する。方向定位はキーオンナンバにかかわらず固定とし、方向角は演奏者を基準にした最低弦および最高弦の開き角の範囲とする。この開き角を複数に分割した方向を設定し、該方向から音が到来するように制御する。
【0045】
遅延器39は、入力された衝撃音波形データに基づき、サウンドシステム14の左側スピーカおよび右側スピーカ用の楽音信号を形成する。左右の各楽音信号は演奏者が音の到来方向を認識できるように、音源方向つまり想定されるピアノの弦の方向によって決定される両耳時間差に相当する遅延時間を有して出力される。また、レベル設定器40は、入力される衝撃音波形データのレベル(音量)を、想定されるピアノの弦の位置に応じて設定する。遅延器39は高次のフィルタで構成でき、レベル設定器40は乗算器で構成できる。遅延器39やレベル設定器40で演算に使用される係数は前記係数テーブル35に設定される。なお、頭部音響伝達関数をシミュレートして音像を定位させる制御装置は、例えば、特許第3090416号公報や特許第3255348号公報等に開示されている。
【0046】
遅延処理とレベル設定処理がなされた衝撃音波形データは、それぞれ、左側スピーカ用および右側スピーカ用の楽音信号として出力され、加算部38に入力される。
【0047】
図6は、音像感を得るための音像制御部32の要部を示すブロック図である。同図において、音像制御部32は、室内空間を想定し、想定された室内空間における発音源つまりハンマで叩かれた弦からの直接音および反射音の方向制御をそれぞれ行って音像感を形成する。第1遅延器41は、入力される打弦波形データを、直接音および反射音に分けて遅延させる。直接音か反射音かによって演奏者との距離が異なり、音が聞こえるまでの時間が該距離に対応して異なるからである。第1レベル設定器42は入力される打弦波形データのレベルを、直接音および反射音に分けて設定する。直接音か反射音かによって演奏者との距離が異なり、聞こえる音量が該距離に対応して異なるからである。反射音の数nは想定する反射面の数に対応する。第1遅延器41および第1レベル設定器42の出力信号はそれぞれ第1,第2,第3,…,第n方向制御部43−1,43−2,43−3,…,43−nに入力される。
【0048】
第1〜第n方向制御部43−1〜43−nは、図5に関して説明した方向制御部31と同様に構成される。例えば、第1方向制御部43−1において、第2遅延器44および第2レベル設定器45を備え、2チャネル分の楽音信号を出力する。第1〜第n方向制御部43−1〜43−nからそれぞれ出力される2チャネル分の楽音信号は加算されて、それぞれ右側用楽音信号および左側楽音信号を形成する。両楽音信号は弦共鳴制御部33に入力される。
【0049】
前記係数テーブル35に設定される音像制御用の係数は、キーナンバに対応させた方向、遅延時間および音量の組からなり、打鍵毎にキーオンナンバに応じた組を読み出して係数設定部36に設定する。
【0050】
弦共鳴制御部33は、前記音像制御部32と同様に構成されるが、係数テーブル35に設定される係数が音像制御部用とは異なる。弦共鳴は打弦に隣接している他弦に打弦の振動音が伝播して起きる。したがって、反射音に代えて、打弦に隣接する他弦から順に遠くの他弦へ順次移行する振動音(共鳴音)を再現する。すなわち、打弦の振動開始から他弦の振動開始までの遅延時間と、他弦の音量、方向を組にしてキーナンバに対応させたテーブルを設定する。そして、打鍵毎にキーオンナンバに応じた組を読み出して係数設定部36に設定する。
【0051】
変調制御部34も、前記音像制御部32と同様に構成できる。変調制御部34では、複数の位置を設定し、この設定位置に音像を定位させて楽音に変調感を付加する。打弦位置から設定音像位置までの距離に対応した遅延時間、方向、および音量を変調信号の組としてキーナンバ毎に係数テーブル35に設定する。そして、打鍵毎にキーオンナンバに応じた変調信号の組を読み出して係数設定部36に設定する。変調信号は予め定めた時間の経過で減衰させる。
【0052】
上記各制御部31〜34で使用される係数としての遅延時間と音量は、室内空間におけるシミュレーションによって予め設定することができる。すなわち、音の反射面を有する空間にスピーカを設置し、該スピーカからダミーヘッドの両耳に到達する直接音と、反射面(壁)を経由してダミーヘッドの両耳に到達する反射音とを測定する。そして、スピーカの位置を種々変更して遅延時間や音量を採取する。
【0053】
なお、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34で使用される係数は、上述のようにテーブルとして記憶させてあってもよいが、予め計算式に従って計算により決定してもよい。
【0054】
また、弦共鳴制御部33に対する入力は音像制御部32の出力に限らず、楽音波形メモリ5から入力される打弦音波形データであってもよいし、変調制御部34に対する入力は、音像制御部32および弦共鳴制御部33で処理された楽音信号に限らず、楽音波形メモリ5から入力される打弦音波形データであってもよい。すなわち、音像制御部32、弦共鳴制御部33、および変調制御部34は直列的に配置されるものに限らず、並列に配列されるものであってもよい。
【0055】
さらに、例えば、弦共鳴制御部33には、打弦波形データとして、立ち上がりエンベロープを遅らせたり、フィルタによる帯域制限をしたりしたもの、あるいは初期アタック部分を除いた全く別の打弦波形データを入力してもよい。
【0056】
また、変調制御部34では、同時打鍵数やベロシティに応じて変調開始時期を遅延させたり、変調開始エンベロープを変化させたりするようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜5の発明によれば、ペダルを踏んで打鍵したときと、ペダルを踏まないで打鍵したときとで、他弦の衝撃振動音を付加するか付加しないかの変化をつけることができる。また、打弦音は、ペダルを踏んで打鍵したときは、打弦音に音像効果、弦共鳴効果および変調効果を付加することができる。
【0058】
また、請求項3の発明によれば、ペダルを踏んで打鍵したときに、打弦前に生じる他弦の衝撃振動音をよりよく擬似するすることができる。
【0059】
また、請求項4の発明によれば、アタック部立ち上がりが緩やかな弦共鳴を制限することができる。
【0060】
さらに、請求項5の発明によれば、音像が分離・合成して音像感の明瞭度が低い変調感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子ピアノの要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子ピアノの要部構成を示すブロック図である。
【図3】鍵盤装置の断面図である。
【図4】センサ処理部の機能を示すブロック図である。
【図5】方向制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】音像制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】ダンパペダルを使用したときの打弦および他弦の振動波形を示す図である。
【図8】グランドピアノにおいてペダルを使用して打鍵したときの聴こえのイメージ図である。
【符号の説明】
1…CPU、 5…楽音波形メモリ、 11…鍵盤装置、 12…ペダル装置、15…鍵、 24…位置検出センサ、 31…方向制御部、 32…音像制御部、 33…弦共鳴制御部、 34…変調制御部、 37…センサ処理部、 62…信号処理部
Claims (5)
- ペダルを有する電子ピアノのペダル効果生成装置において、
打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、
前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、
前記音像制御手段の出力波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、
前記弦共鳴制御手段の出力波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、
前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、
前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段と、
前記ペダルの踏み込みを検出してペダル信号をオンにするペダルセンサと、
打鍵に応答してキーオン信号を出力するキーセンサとを具備し、
前記ペダル信号がオフのとき、キーオン信号に応答して前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力するとともに、該音像制御手段の出力波形データを前記弦共鳴制御手段および変調制御手段を通過させる一方、
前記ペダル信号がオンのとき、キーオン信号に応答して前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成したことを特徴とする電子ピアノのペダル効果生成装置。 - ペダルを有する電子ピアノのペダル効果生成装置において、
打弦音波形データおよび他弦の衝撃音波形データを発生する波形データ発生手段と、
前記打弦音波形データに音像効果を付加する音像制御手段と、
前記打弦音波形データに弦共鳴効果を付加する弦共鳴制御手段と、
前記打弦音波形データに音像変調効果を付加する変調制御手段と、
前記衝撃音波形データに方向定位効果を付加する方向制御手段と、
前記変調制御手段および前記方向制御手段からそれぞれ出力される波形データを合成する加算手段と、
前記ペダルの踏み込みを検出してペダル信号をオンにするペダルセンサと、
打鍵に応答してキーオン信号を出力するキーセンサとを具備し、
前記ペダル信号がオフのとき、キーオン信号に応答して前記打弦音波形データを前記音像制御手段に入力する一方、
前記ペダル信号がオンのとき、キーオン信号に応答して前記打弦音波形データを前記音像制御手段、前記弦共鳴制御手段、および前記変調制御手段に入力し、前記衝撃音波形データを前記方向制御手段に入力するように構成したことを特徴とする電子ピアノのペダル効果生成装置。 - 波形データ発生手段が、キーオン信号によってまず衝撃音波形データを発生し、その後、打弦音波形データを発生するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の電子ピアノのペダル効果生成装置。
- 前記弦共鳴制御手段に入力される打弦音波形データが、アタック部に含まれる衝撃音が除去された波形データであることを特徴とする請求項2記載の電子ピアノのペダル効果生成装置。
- 前記変調制御手段が、予め設定された複数の位置に音像を定位させるため、前記複数位置に対応して入力波形データを変調させるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子ピアノのペダル効果生成装置。
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