JP2004294827A - 光変調器のバイアス電圧制御方法および光変調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変調信号の振幅が小さいときでも光変調器の動作点を最適化できるようにする。
【解決手段】データ信号Dに低周波信号Aが重畳された変調信号Mとバイアス電圧Bとを光変調器12に与え、変調信号Mによって強度変調された光Pmを出射させ、その出射光Pmの受光信号Eから抽出された信号A′と変調信号Mに重畳されている信号Aとの位相差に基づいてバイアス電圧Bを制御する光変調装置において、光変調器12の出射光Pmの消光比が最大となるときまたは誤り率が最小となるときの信号A、A′の位相差の検出値を基準値Rとして予めメモリ36に記憶しておき、以後に検出される位相差の検出値Qが基準値Rに一致するように光変調器12のバイアス電圧Bを制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】データ信号Dに低周波信号Aが重畳された変調信号Mとバイアス電圧Bとを光変調器12に与え、変調信号Mによって強度変調された光Pmを出射させ、その出射光Pmの受光信号Eから抽出された信号A′と変調信号Mに重畳されている信号Aとの位相差に基づいてバイアス電圧Bを制御する光変調装置において、光変調器12の出射光Pmの消光比が最大となるときまたは誤り率が最小となるときの信号A、A′の位相差の検出値を基準値Rとして予めメモリ36に記憶しておき、以後に検出される位相差の検出値Qが基準値Rに一致するように光変調器12のバイアス電圧Bを制御する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器の動作点のずれをバイアス電圧の制御によって小さくするものにおいて、特に、変調信号の振幅が小さいときでも光変調器の動作点のずれを小さくできるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の強度を高速なデータ信号等の入力信号によって強度変調する光変調装置では、電界の光への作用(電気光学効果)や磁界の光への作用(磁気光学効果)によって光を変調する光変調器が用いられている。
【0003】
これらの光変調器の動作点は直流のバイアス電圧によって決定されるが、光変調器に一定のバイアス電圧を印加して動作点を設定しても、温度や経時変化の影響によって光変調器自体の変調特性が変化して、動作点ずれが発生する。
【0004】
このため、この種の光変調器を用いた光変調装置では、光変調器の出射光に基づいて動作点のずれを検出し、そのずれが減少する方向にそのバイアス電圧を可変して、常に設定した動作点で光変調器が動作するようにフィードバック制御している。
【0005】
図9は、このようなフィードバック制御によって動作点を安定化する従来の光変調装置10の構成を示している。
【0006】
図9において、レーザダイオード11から出射された光Pは、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)が有する電気光学効果を利用した光変調器12に入射される。
【0007】
ドライブアンプ13は、入力されるデータ信号Dに低周波発振器16の出力信号A(例えば1kHzの正弦波)が重畳された変調信号Mを生成して光変調器12に入力する。
【0008】
光変調器12は、入射光Pを変調信号Mによって強度変調し、その強度変調された光Pmを光カプラ17に出射する。
【0009】
光カプラ17は入射光Pmを2分岐し、その一方Pm1を光変調装置の出射光として外部へ出力し、他方Pm2を例えばピン(PIN)フォトダイオードからなる受光素子18に入射する。
【0010】
受光素子18は、入射光Pm2をその強度変化に応じて電圧が変化する電気信号Eに変換してBPF(バンドパスフィルタ)19に出力する。
【0011】
BPF19は、受光素子18の出力信号Eから、低周波発振器16の出力信号Aと同一周波数成分の信号A′を抽出して、位相検出器20に出力する。
【0012】
位相検出器20は、低周波発振器16の出力信号AとBPF17の出力信号A′との位相差に応じて電圧が変化する信号Qを、動作点のずれに対応した信号として直流アンプ21に出力する。
【0013】
直流アンプ21は、位相検出器20の出力信号Qを受け、低周波発振器16の出力信号AとBPF17の出力信号A′の位相差がゼロとなる方向に変化するバイアス電圧を光変調器12に供給する。
【0014】
一方、光変調器12は、図10に示すように、入力電圧の単調変化に対して、出射光の強度が正弦状に周期変化する変調特性Fを有しているが、この変調特性は、温度変化や経時変化等によって、特性F′、F″のように変動する。
【0015】
光変調器の動作点として好ましいのは、入力信号に対するダイナミックレンジが最も広くなる点であり、この点は正弦波状の変調特性Fの最大と最小の中間の点(以下安定点と記す)S1〜Snである。
【0016】
前記したバイアス電圧の制御は、信号Aに対して信号A′の位相を一致させるように制御することで、これらの安定点の一つSkに動作点を設定しており、動作点が安定点Skからずれると、そのずれの量と方向に応じて信号Aに対する信号A′の位相が変化し、その動作点のずれをなくす方向にバイアス電圧Bを変化させ、動作点が安定点Skに一致した状態を維持する。
【0017】
このように、データ信号Dに重畳した低周波信号Aと光変調器12の出射光から抽出された信号A′との位相を一致させるようにバイアス電圧を制御することで、光変調器12の動作点のずれを抑制する技術は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【0018】
【特許文献1】特開平8−136871号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明の発明者らが各種実験を行なった結果、上記のようにデータ信号に重畳した信号Aと光変調器12の出射光から抽出した信号A′との位相を一致させるようにバイアス電圧を制御しても、光変調器の動作点が必ずしも最適とはならない場合があることが判明した。
【0020】
特に、変調度が小さい場合、即ち、変調信号Mの振幅が小さい場合にこの問題が顕著化することがわかった。
【0021】
本発明は、この問題を解決し、変調信号の振幅が小さいときでも光変調器の動作点を最適化できる光変調器のバイアス電圧制御方法および光変調装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の光変調器のバイアス電圧制御方法は、
データ信号に低周波信号が重畳された変調信号と動作点設定用のバイアス電圧とを光変調器に与えて該光変調器から前記変調信号によって強度変調された光を出射させ、該出射光から前記低周波信号と同一周波数の信号を抽出し、該抽出した信号と前記低周波信号との位相差を検出し、該位相差の検出値に基づいて前記光変調器に与えるバイアス電圧を制御する光変調器のバイアス電圧制御方法において、
前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定しながら前記バイアス電圧を可変して、前記消光比が最大またはビット誤り率が最小となるときの前記位相差の検出値を基準値として予め求めておき、
以後に検出される位相差の検出値が前記基準値に一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の請求項2の光変調器のバイアス電圧制御方法は、請求項1の光変調器のバイアス電圧制御方法において、
前記基準値が、異なる振幅の変調信号についてそれぞれ得られた複数の値であり、
前記複数の基準値に基づいて、以後に入力される変調信号の振幅に対応した基準値を求め、
以後に検出される位相差の検出値が前記求めた基準値と一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴としている。
【0024】
また、本発明の請求項3の光変調装置は、
バイアス電圧により動作点が設定される光変調器(12)と、
低周波信号を出力する低周波信号発生手段(16)と、
データ信号に前記低周波信号を重畳して生成した変調信号を前記光変調器に与える変調信号供給手段(13)と、
前記光変調器の出射光を電気信号に変換する受光素子(18)と、
前記受光素子の出力信号から、前記低周波信号と同一周波数の信号成分を抽出するフィルタ(19)と、
前記フィルタの出力信号と前記低周波信号との位相差を検出する位相差検出手段(20)と、
前記光変調器の出射光の消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を基準値として予め記憶しているメモリ(36)と、
前記位相差検出手段の検出値と前記メモリに記憶されている基準値とを比較する比較手段(37)と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記光変調器のバイアス電圧を、前記位相差検出手段の検出値が前記基準値に一致する方向に可変制御するバイアス電圧制御手段(38)とを備えている。
【0025】
また、本発明の請求項4の光変調装置は、請求項3の光変調装置において、
前記メモリには、振幅が異なる変調信号についての基準値が予め記憶されており、
前記メモリに記憶されている各振幅毎の基準値に基づいて、前記光変調器に供給される変調信号の振幅に対応する基準値を求めて前記比較手段に設定する基準値設定手段(39)を有している。
【0026】
また、本発明の請求項5の光変調装置は、請求項3または請求項4の光変調装置において、
前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定する測定手段(34)と、
前記測定手段の測定結果を監視しながらバイアス電圧を可変して、前記消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を前記基準値として前記メモリに記憶する基準値取得手段(40)とを有している。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明の基になる実験およびその結果について説明する。
【0028】
この実験は、図1に示しているように、前記した光変調装置10の直流アンプ21の出力の代わりに、電圧可変電源1からバイアス電圧Bを光変調器12に供給するとともに、出射光Pm1を光波形観測装置2に入力しその波形から消光比(ハイレベルとローレベルの電力比)を測定し、低周波信号A、A′を波形観測装置3に入力してその位相差Δφを測定して行なったものである。なお、両信号A、A′を波形観測する代わりに、位相検出器20の出力信号Qを観測してもよい。
【0029】
この実験システムで、光変調器12に供給するバイアス電圧Bを変化させたときの出射光Pm1の消光比ERの変化と、信号A、A′の位相差Δφの変化を求めると、図2の結果が得られた。
【0030】
図2の測定結果から、信号A、A′の位相差Δφがゼロとなるときのバイアス電圧Baと、消光比ERが最大となるときのバイアス電圧Bbとが一致していないことがわかる。
【0031】
したがって、両信号A、A′の位相が一致するように制御した場合、出射光の消光比ERは最大とはならず、動作点として不適切になってしまう。
【0032】
また、光波形観測装置2の代わりに光信号誤り測定装置を用いて消光比ERの代わりに出射光Pm1のデータ信号成分の誤り率を測定した場合も、その誤り率が最小となるときのバイアス電圧と信号A、A′の位相差Δφがゼロとなるときのバイアス電圧とが一致しない場合があることを確認している。
【0033】
本発明は、上記実験結果に着目したものであり、光変調器12の出射光の消光比ERが最大となるとき(またはビット誤り率が最小となるとき)の両信号A、A′の位相差の検出値を基準値として予め求めておき、以後の両信号A、A′の位相差の検出値が基準値に一致するように制御することで、光変調器に対してより適切な動作点を与えるようにしたものである。
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明を適用した光変調装置30の構成を示している。
【0035】
図3において、レーザダイオード11、光変調器12、ドライブアンプ13、低周波発振器16、光カプラ17、受光素子18、BPF19、位相検出器20は、前記した図9の光変調装置10に示したものと同一である。
【0036】
なお、光変調器12として、その内部にモニタ用の受光素子が内蔵されている場合には、光カプラ17および受光素子18を省略し、図3の点線で示すように光変調器12の内部受光素子の出力信号E′をBPF19に直接入力することもできる。
【0037】
この光変調装置30は、前記したドライブアンプ13、低周波発振器16、光カプラ17、受光素子18、BPF19、位相検出器20の他に、A/D変換器31、D/A変換器32およびコントローラ35を有している。
【0038】
ドライブアンプ13は、入力されるデータ信号Dに低周波信号Aが重畳された変調信号Mを生成して光変調器12に与え、光変調器12から変調信号Mによって強度変調された光Pmを出射させる変調信号供給手段を構成する。
【0039】
ここで、データ信号Dに重畳される低周波信号Aの振幅はデータ信号Dの振幅に対して十分小さいものとし、変調信号Mの振幅は、光変調器12の変調特性Fの正の傾き部分の電圧範囲より狭いものとする。
【0040】
光変調器12の出射光Pmのうち、光カプラ17で分岐された一方の光Pm2は、受光素子18に入射して電気信号Eに変換され、その電気信号EからBPF19によって低周波信号Aと等しい周波数成分の信号A′が抽出され、その抽出された信号A′と低周波信号Aとが位相差検出手段としての位相検出器20に入力される。
【0041】
位相検出器20は両信号A、A′の位相差を検出し、その位相差に応じて電圧が変化する信号QをA/D変換器31に出力する。A/D変換器31は、位相検出器20の出力信号Qをサンプリングしてデジタル値に変換し、コンピュータ構成のコントローラ35に入力する。
【0042】
ここで、両信号A、A′の位相差に対する位相検出器20の検出値は、その位相差に比例した直流電圧とするが、この検出値は、両信号A、A′の立ち上がり(または立ち下がり)やゼロクロスの時間差を表すデータ、その時間差を低周波信号Aの周期で除算して得られる時間比のデータあるいはその時間比に2πを乗じた角度等であってもよい。
【0043】
コントローラ35は、入力された信号Qに基づいて光変調器12に与えるバイアス電圧Bを決定し、そのデータをD/A変換器32に出力して決定されたバイアス電圧Bを光変調器12に与える。
【0044】
このコントローラ35は、メモリ36、比較手段37、バイアス電圧制御手段38を有している。
【0045】
メモリ36には、光変調器12の出射光の消光比ERが最大となるとき(または誤り率が最小となるとき)の位相検出器20の検出値が基準値Rとして予め記憶されている。
【0046】
この基準値Rは、前記した図1の実験システムで出射光の消光比ERが最大となるとき(または誤り率が最小となるとき)の両信号A、A′の位相差に対応しており、その位相差に位相検出器20の感度を乗じて得られる値である。
【0047】
比較手段37は、位相検出器20の出力信号Qの電圧値Vq(位相差の検出値)とメモリ36に記憶されている基準値Rとの大小比較を行なう。
【0048】
バイアス電圧制御手段38は、バイアス電圧BのデータをD/A変換器32に出力して光変調器12にバイアス電圧Bを供給するとともに、比較手段37の比較結果に基づいて、そのバイアス電圧Bを、位相検出器20の検出値Vqが基準値Rに一致するように可変制御する。
【0049】
図4は、このコントローラ35の処理手順を示すフローチャートである。
以下、このフローチャートにしたがって、コントローラ35の動作を説明する。
【0050】
動作初期時にコントローラ35のバイアス電圧制御手段38は、バイアス電圧Bを初期値Bsに設定する(S1)。
【0051】
この初期値Bsは、図5に示しているように、光変調器12の動作点が光変調器12の変調特性Fの正の傾き領域の中央近傍となるように設定されている。
【0052】
光変調器12は、図5に示しているように初期バイアス電圧Bsによって決まる動作点で変調信号M(データ信号D+低周波信号A)による変調動作を行い、その変調信号Mで強度変調された光Pmを出射する。
【0053】
この出射光Pmのうち、光カプラ17で分岐された光Pm2が受光素子18で受光され、その受光信号がBPF19に入力されて、低周波信号Aと同一周波数成分の信号A′が抽出され、両信号A、A′の位相差に比例して電圧が変化する信号Qが位相検出器20から出力され、A/D変換器31によってデジタル値に変換されてコントローラ35に入力する。
【0054】
コントローラ35は、位相検出器20の検出値Vqとメモリ36に記憶されている基準値Rとの大小比較を比較手段37によって行ない、位相差の検出値Vqが所定誤差内で基準値Rに一致する場合には、バイアス電圧を変化させずに、一定時間待って前記比較処理に戻る(S2、S3)。
【0055】
また、検出値Vqが基準値Rより大きい場合、バイアス電圧制御手段により、検出値Vqが小さくなる方向にバイアス電圧Bを所定ステップΔBだけ可変(図4では増加)させてから、一定時間待って比較処理に戻る(S4)。
【0056】
また、検出値Vqが基準値Rより小さい場合、バイアス電圧制御手段38により、検出値Vqが大きくなる方向にバイアス電圧Bを所定ステップΔBだけ可変(図4では減少)させてから、一定時間待って比較処理に戻る(S5)。
【0057】
以後、処理S2〜S5が繰り返されて、常に位相検出器20の検出値Vqが所定誤差内で基準値Rに一致するように制御される。
【0058】
このため、光変調器12の動作点は、ドリフトがあっても、その出射光の消光比ERが最大となる状態(または誤り率が最小となる状態)、即ち、適正な動作点が維持され、動作点ずれはおこらない。
【0059】
このように実施形態の光変調装置30およびバイアス電圧制御方法は、光変調器12の出射光の消光比が最大となるとき、または誤り率が最小となるときの位相差の検出値を基準値として予め求めておき、以後に検出される位相差の検出値がその基準値に一致するようにバイアス電圧を制御している。
【0060】
このため、光変調器12の動作点を常にその出射光の消光比が最大となる、または誤り率が最小となる最適な状態に維持することができる。
【0061】
また、別の実験により、この基準値Rは、変調信号Mの振幅に対する依存性を示すことが確認されている。
【0062】
したがって、変調信号Mの振幅を変更する可能性がある場合やドリフト等によって変動してしまう場合には、変調信号Mの振幅に応じて基準値Rを変更する必要がある。
【0063】
この場合には、前記実験システムにおいて、変調信号Mの振幅を変え、異なる振幅V1〜Vn毎の基準値R1〜Rnを予め求めて、図6のようにメモリ36に記憶しておくとともに、変調信号Mの振幅Vxを検出する振幅検出器33と、その検出された振幅Vxに対応する基準値Rxあるいは振幅Vxに最も近い振幅に対応する基準値Rxをメモリ36から選択して比較手段37に設定する基準値設定手段39を設けて対応することができる。
【0064】
また、基準値設定手段39が、メモリ36に記憶されている各振幅毎の基準値から、その振幅と基準値とを関係付ける関係式を求め、検出された変調信号Mの振幅Vxと関係式とから、最適な基準値を算出して比較手段37に設定してもよい。
【0065】
また、基準値設定手段39は、上記のように振幅検出手段33によって検出される変調信号Mの振幅Vxに応じて自動的に選択あるいは算出するもののほかに、メモリ36に記憶されている基準値のなかから図示しない操作部の操作で選択された基準値を比較手段37に設定するように構成してもよい。
【0066】
このように変調信号Mの異なる振幅毎の基準値が予めメモリ36に記憶されている光変調装置では、変調信号Mの振幅に対して最適な基準値を設定することができ、変調信号Mの振幅切り換えや振幅変動がある場合でも、動作点を最適な状態に維持することができる。
【0067】
また、前記実施形態では、基準値Rがメモリ36に予め記憶されている場合について説明したが、光変調装置自身に基準値を求めて記憶する機能を設けることもできる。
【0068】
例えば、図7に示す光変調装置30のように、受光素子18の出力信号Eに基づいて出射光の消光比ERを測定する消光比測定手段34と、測定された消光比ERを監視しながらバイアス電圧Bを可変して、消光比ERが最大となるときの位相検出器20の検出値を基準値Rとしてメモリ36に書き込む基準値取得手段40とを設けて、装置の初期動作時等に基準値を求める構成としてもよい。
【0069】
また、図8に示す光変調装置のように、前記した図6の振幅検出器33、基準値設定手段39および図7の消光比測定手段34、基準値取得手段40を設け、初期動作時に振幅の異なる変調信号Mを与え、各振幅V1〜Vn毎に消光比ERが最大となるときの位相検出器20の検出値を基準値R1〜Rnとしてそれぞれ求めて各振幅V1〜Vnとともにメモリ36に記憶し、その記憶された基準値と振幅に基づいて、以後に供給される変調信号Mの振幅に対応する基準値を求めて比較手段37に設定してもよい。
【0070】
なお、一般的には、光信号の消光比ERが最大となるときに誤り率が最小となるので、上記したように、消光比ERを最大にする動作点を維持することで、誤り率を最小にすることができる。ただし、条件によっては消光比ERが最大のときに誤り率が最小とならない場合もあり、その場合には、光信号の利用目的に応じて消光比が最大となる動作点と誤り率が最小となる動作点のいずれかを優先すればよい。
【0071】
また、誤り率が最小となる動作点を維持する場合には、図7、図8の光変調装置30の消光比測定手段34の代わりに、受光素子18の出力信号Eのビット誤り率を測定する誤り測定手段を用い、その誤り率が最小となるときの位相検出器20の検出値を基準値Rとしてメモリ36に書き込む構成にすることも可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光変調器のバイアス電圧制御方法および光変調装置は、光変調器の出射光の消光比が最大となるときまたは誤り率が最小となるときの低周波信号と光変調器の出射光から抽出された信号との位相差の検出値を基準値として予め記憶しておき、以後に検出される位相差の検出値が基準値に一致するように光変調器のバイアス電圧を制御している。
【0073】
このため、光変調器の動作点を常にその出射光の消光比が最大となるまたは誤り率が最小となる最適な状態に維持することができる。
【0074】
また、異なる振幅の変調信号についての基準値を記憶しておき、その記憶されている基準値に基づいて、光変調器に供給される変調信号の振幅に対応した基準値を求めて位相差の検出値と比較するものでは、変調信号の振幅の切り換えや変動があっても、その振幅に適した基準値に対してバイアス電圧を制御することができ、光変調器の動作点を最適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基になる実験システムの構成図
【図2】実験の測定結果例を示す図
【図3】本発明の実施形態の構成を示す図
【図4】本発明の実施形態の要部の処理手順を示す図
【図5】本発明の実施形態の動作を説明するための図
【図6】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図7】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図8】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図9】従来装置の構成図
【図10】光変調器の変調特性図
【符号の説明】
1……電圧可変電源、2……光波形観測装置、3……波形観測装置、11……レーザダイオード、12……光変調器、13……ドライブアンプ、16……低周波発振器、17……光カプラ、18……受光素子、19……BPF、20……位相検出器、30……光変調装置、31……A/D変換器、32……D/A変換器、33……振幅検出器、34……消光比測定器、35……コントローラ、36……メモリ、37……比較手段、38……バイアス電圧制御手段、39……基準値設定手段、40……基準値取得手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器の動作点のずれをバイアス電圧の制御によって小さくするものにおいて、特に、変調信号の振幅が小さいときでも光変調器の動作点のずれを小さくできるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の強度を高速なデータ信号等の入力信号によって強度変調する光変調装置では、電界の光への作用(電気光学効果)や磁界の光への作用(磁気光学効果)によって光を変調する光変調器が用いられている。
【0003】
これらの光変調器の動作点は直流のバイアス電圧によって決定されるが、光変調器に一定のバイアス電圧を印加して動作点を設定しても、温度や経時変化の影響によって光変調器自体の変調特性が変化して、動作点ずれが発生する。
【0004】
このため、この種の光変調器を用いた光変調装置では、光変調器の出射光に基づいて動作点のずれを検出し、そのずれが減少する方向にそのバイアス電圧を可変して、常に設定した動作点で光変調器が動作するようにフィードバック制御している。
【0005】
図9は、このようなフィードバック制御によって動作点を安定化する従来の光変調装置10の構成を示している。
【0006】
図9において、レーザダイオード11から出射された光Pは、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)が有する電気光学効果を利用した光変調器12に入射される。
【0007】
ドライブアンプ13は、入力されるデータ信号Dに低周波発振器16の出力信号A(例えば1kHzの正弦波)が重畳された変調信号Mを生成して光変調器12に入力する。
【0008】
光変調器12は、入射光Pを変調信号Mによって強度変調し、その強度変調された光Pmを光カプラ17に出射する。
【0009】
光カプラ17は入射光Pmを2分岐し、その一方Pm1を光変調装置の出射光として外部へ出力し、他方Pm2を例えばピン(PIN)フォトダイオードからなる受光素子18に入射する。
【0010】
受光素子18は、入射光Pm2をその強度変化に応じて電圧が変化する電気信号Eに変換してBPF(バンドパスフィルタ)19に出力する。
【0011】
BPF19は、受光素子18の出力信号Eから、低周波発振器16の出力信号Aと同一周波数成分の信号A′を抽出して、位相検出器20に出力する。
【0012】
位相検出器20は、低周波発振器16の出力信号AとBPF17の出力信号A′との位相差に応じて電圧が変化する信号Qを、動作点のずれに対応した信号として直流アンプ21に出力する。
【0013】
直流アンプ21は、位相検出器20の出力信号Qを受け、低周波発振器16の出力信号AとBPF17の出力信号A′の位相差がゼロとなる方向に変化するバイアス電圧を光変調器12に供給する。
【0014】
一方、光変調器12は、図10に示すように、入力電圧の単調変化に対して、出射光の強度が正弦状に周期変化する変調特性Fを有しているが、この変調特性は、温度変化や経時変化等によって、特性F′、F″のように変動する。
【0015】
光変調器の動作点として好ましいのは、入力信号に対するダイナミックレンジが最も広くなる点であり、この点は正弦波状の変調特性Fの最大と最小の中間の点(以下安定点と記す)S1〜Snである。
【0016】
前記したバイアス電圧の制御は、信号Aに対して信号A′の位相を一致させるように制御することで、これらの安定点の一つSkに動作点を設定しており、動作点が安定点Skからずれると、そのずれの量と方向に応じて信号Aに対する信号A′の位相が変化し、その動作点のずれをなくす方向にバイアス電圧Bを変化させ、動作点が安定点Skに一致した状態を維持する。
【0017】
このように、データ信号Dに重畳した低周波信号Aと光変調器12の出射光から抽出された信号A′との位相を一致させるようにバイアス電圧を制御することで、光変調器12の動作点のずれを抑制する技術は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【0018】
【特許文献1】特開平8−136871号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明の発明者らが各種実験を行なった結果、上記のようにデータ信号に重畳した信号Aと光変調器12の出射光から抽出した信号A′との位相を一致させるようにバイアス電圧を制御しても、光変調器の動作点が必ずしも最適とはならない場合があることが判明した。
【0020】
特に、変調度が小さい場合、即ち、変調信号Mの振幅が小さい場合にこの問題が顕著化することがわかった。
【0021】
本発明は、この問題を解決し、変調信号の振幅が小さいときでも光変調器の動作点を最適化できる光変調器のバイアス電圧制御方法および光変調装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の光変調器のバイアス電圧制御方法は、
データ信号に低周波信号が重畳された変調信号と動作点設定用のバイアス電圧とを光変調器に与えて該光変調器から前記変調信号によって強度変調された光を出射させ、該出射光から前記低周波信号と同一周波数の信号を抽出し、該抽出した信号と前記低周波信号との位相差を検出し、該位相差の検出値に基づいて前記光変調器に与えるバイアス電圧を制御する光変調器のバイアス電圧制御方法において、
前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定しながら前記バイアス電圧を可変して、前記消光比が最大またはビット誤り率が最小となるときの前記位相差の検出値を基準値として予め求めておき、
以後に検出される位相差の検出値が前記基準値に一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の請求項2の光変調器のバイアス電圧制御方法は、請求項1の光変調器のバイアス電圧制御方法において、
前記基準値が、異なる振幅の変調信号についてそれぞれ得られた複数の値であり、
前記複数の基準値に基づいて、以後に入力される変調信号の振幅に対応した基準値を求め、
以後に検出される位相差の検出値が前記求めた基準値と一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴としている。
【0024】
また、本発明の請求項3の光変調装置は、
バイアス電圧により動作点が設定される光変調器(12)と、
低周波信号を出力する低周波信号発生手段(16)と、
データ信号に前記低周波信号を重畳して生成した変調信号を前記光変調器に与える変調信号供給手段(13)と、
前記光変調器の出射光を電気信号に変換する受光素子(18)と、
前記受光素子の出力信号から、前記低周波信号と同一周波数の信号成分を抽出するフィルタ(19)と、
前記フィルタの出力信号と前記低周波信号との位相差を検出する位相差検出手段(20)と、
前記光変調器の出射光の消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を基準値として予め記憶しているメモリ(36)と、
前記位相差検出手段の検出値と前記メモリに記憶されている基準値とを比較する比較手段(37)と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記光変調器のバイアス電圧を、前記位相差検出手段の検出値が前記基準値に一致する方向に可変制御するバイアス電圧制御手段(38)とを備えている。
【0025】
また、本発明の請求項4の光変調装置は、請求項3の光変調装置において、
前記メモリには、振幅が異なる変調信号についての基準値が予め記憶されており、
前記メモリに記憶されている各振幅毎の基準値に基づいて、前記光変調器に供給される変調信号の振幅に対応する基準値を求めて前記比較手段に設定する基準値設定手段(39)を有している。
【0026】
また、本発明の請求項5の光変調装置は、請求項3または請求項4の光変調装置において、
前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定する測定手段(34)と、
前記測定手段の測定結果を監視しながらバイアス電圧を可変して、前記消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を前記基準値として前記メモリに記憶する基準値取得手段(40)とを有している。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明の基になる実験およびその結果について説明する。
【0028】
この実験は、図1に示しているように、前記した光変調装置10の直流アンプ21の出力の代わりに、電圧可変電源1からバイアス電圧Bを光変調器12に供給するとともに、出射光Pm1を光波形観測装置2に入力しその波形から消光比(ハイレベルとローレベルの電力比)を測定し、低周波信号A、A′を波形観測装置3に入力してその位相差Δφを測定して行なったものである。なお、両信号A、A′を波形観測する代わりに、位相検出器20の出力信号Qを観測してもよい。
【0029】
この実験システムで、光変調器12に供給するバイアス電圧Bを変化させたときの出射光Pm1の消光比ERの変化と、信号A、A′の位相差Δφの変化を求めると、図2の結果が得られた。
【0030】
図2の測定結果から、信号A、A′の位相差Δφがゼロとなるときのバイアス電圧Baと、消光比ERが最大となるときのバイアス電圧Bbとが一致していないことがわかる。
【0031】
したがって、両信号A、A′の位相が一致するように制御した場合、出射光の消光比ERは最大とはならず、動作点として不適切になってしまう。
【0032】
また、光波形観測装置2の代わりに光信号誤り測定装置を用いて消光比ERの代わりに出射光Pm1のデータ信号成分の誤り率を測定した場合も、その誤り率が最小となるときのバイアス電圧と信号A、A′の位相差Δφがゼロとなるときのバイアス電圧とが一致しない場合があることを確認している。
【0033】
本発明は、上記実験結果に着目したものであり、光変調器12の出射光の消光比ERが最大となるとき(またはビット誤り率が最小となるとき)の両信号A、A′の位相差の検出値を基準値として予め求めておき、以後の両信号A、A′の位相差の検出値が基準値に一致するように制御することで、光変調器に対してより適切な動作点を与えるようにしたものである。
【0034】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明を適用した光変調装置30の構成を示している。
【0035】
図3において、レーザダイオード11、光変調器12、ドライブアンプ13、低周波発振器16、光カプラ17、受光素子18、BPF19、位相検出器20は、前記した図9の光変調装置10に示したものと同一である。
【0036】
なお、光変調器12として、その内部にモニタ用の受光素子が内蔵されている場合には、光カプラ17および受光素子18を省略し、図3の点線で示すように光変調器12の内部受光素子の出力信号E′をBPF19に直接入力することもできる。
【0037】
この光変調装置30は、前記したドライブアンプ13、低周波発振器16、光カプラ17、受光素子18、BPF19、位相検出器20の他に、A/D変換器31、D/A変換器32およびコントローラ35を有している。
【0038】
ドライブアンプ13は、入力されるデータ信号Dに低周波信号Aが重畳された変調信号Mを生成して光変調器12に与え、光変調器12から変調信号Mによって強度変調された光Pmを出射させる変調信号供給手段を構成する。
【0039】
ここで、データ信号Dに重畳される低周波信号Aの振幅はデータ信号Dの振幅に対して十分小さいものとし、変調信号Mの振幅は、光変調器12の変調特性Fの正の傾き部分の電圧範囲より狭いものとする。
【0040】
光変調器12の出射光Pmのうち、光カプラ17で分岐された一方の光Pm2は、受光素子18に入射して電気信号Eに変換され、その電気信号EからBPF19によって低周波信号Aと等しい周波数成分の信号A′が抽出され、その抽出された信号A′と低周波信号Aとが位相差検出手段としての位相検出器20に入力される。
【0041】
位相検出器20は両信号A、A′の位相差を検出し、その位相差に応じて電圧が変化する信号QをA/D変換器31に出力する。A/D変換器31は、位相検出器20の出力信号Qをサンプリングしてデジタル値に変換し、コンピュータ構成のコントローラ35に入力する。
【0042】
ここで、両信号A、A′の位相差に対する位相検出器20の検出値は、その位相差に比例した直流電圧とするが、この検出値は、両信号A、A′の立ち上がり(または立ち下がり)やゼロクロスの時間差を表すデータ、その時間差を低周波信号Aの周期で除算して得られる時間比のデータあるいはその時間比に2πを乗じた角度等であってもよい。
【0043】
コントローラ35は、入力された信号Qに基づいて光変調器12に与えるバイアス電圧Bを決定し、そのデータをD/A変換器32に出力して決定されたバイアス電圧Bを光変調器12に与える。
【0044】
このコントローラ35は、メモリ36、比較手段37、バイアス電圧制御手段38を有している。
【0045】
メモリ36には、光変調器12の出射光の消光比ERが最大となるとき(または誤り率が最小となるとき)の位相検出器20の検出値が基準値Rとして予め記憶されている。
【0046】
この基準値Rは、前記した図1の実験システムで出射光の消光比ERが最大となるとき(または誤り率が最小となるとき)の両信号A、A′の位相差に対応しており、その位相差に位相検出器20の感度を乗じて得られる値である。
【0047】
比較手段37は、位相検出器20の出力信号Qの電圧値Vq(位相差の検出値)とメモリ36に記憶されている基準値Rとの大小比較を行なう。
【0048】
バイアス電圧制御手段38は、バイアス電圧BのデータをD/A変換器32に出力して光変調器12にバイアス電圧Bを供給するとともに、比較手段37の比較結果に基づいて、そのバイアス電圧Bを、位相検出器20の検出値Vqが基準値Rに一致するように可変制御する。
【0049】
図4は、このコントローラ35の処理手順を示すフローチャートである。
以下、このフローチャートにしたがって、コントローラ35の動作を説明する。
【0050】
動作初期時にコントローラ35のバイアス電圧制御手段38は、バイアス電圧Bを初期値Bsに設定する(S1)。
【0051】
この初期値Bsは、図5に示しているように、光変調器12の動作点が光変調器12の変調特性Fの正の傾き領域の中央近傍となるように設定されている。
【0052】
光変調器12は、図5に示しているように初期バイアス電圧Bsによって決まる動作点で変調信号M(データ信号D+低周波信号A)による変調動作を行い、その変調信号Mで強度変調された光Pmを出射する。
【0053】
この出射光Pmのうち、光カプラ17で分岐された光Pm2が受光素子18で受光され、その受光信号がBPF19に入力されて、低周波信号Aと同一周波数成分の信号A′が抽出され、両信号A、A′の位相差に比例して電圧が変化する信号Qが位相検出器20から出力され、A/D変換器31によってデジタル値に変換されてコントローラ35に入力する。
【0054】
コントローラ35は、位相検出器20の検出値Vqとメモリ36に記憶されている基準値Rとの大小比較を比較手段37によって行ない、位相差の検出値Vqが所定誤差内で基準値Rに一致する場合には、バイアス電圧を変化させずに、一定時間待って前記比較処理に戻る(S2、S3)。
【0055】
また、検出値Vqが基準値Rより大きい場合、バイアス電圧制御手段により、検出値Vqが小さくなる方向にバイアス電圧Bを所定ステップΔBだけ可変(図4では増加)させてから、一定時間待って比較処理に戻る(S4)。
【0056】
また、検出値Vqが基準値Rより小さい場合、バイアス電圧制御手段38により、検出値Vqが大きくなる方向にバイアス電圧Bを所定ステップΔBだけ可変(図4では減少)させてから、一定時間待って比較処理に戻る(S5)。
【0057】
以後、処理S2〜S5が繰り返されて、常に位相検出器20の検出値Vqが所定誤差内で基準値Rに一致するように制御される。
【0058】
このため、光変調器12の動作点は、ドリフトがあっても、その出射光の消光比ERが最大となる状態(または誤り率が最小となる状態)、即ち、適正な動作点が維持され、動作点ずれはおこらない。
【0059】
このように実施形態の光変調装置30およびバイアス電圧制御方法は、光変調器12の出射光の消光比が最大となるとき、または誤り率が最小となるときの位相差の検出値を基準値として予め求めておき、以後に検出される位相差の検出値がその基準値に一致するようにバイアス電圧を制御している。
【0060】
このため、光変調器12の動作点を常にその出射光の消光比が最大となる、または誤り率が最小となる最適な状態に維持することができる。
【0061】
また、別の実験により、この基準値Rは、変調信号Mの振幅に対する依存性を示すことが確認されている。
【0062】
したがって、変調信号Mの振幅を変更する可能性がある場合やドリフト等によって変動してしまう場合には、変調信号Mの振幅に応じて基準値Rを変更する必要がある。
【0063】
この場合には、前記実験システムにおいて、変調信号Mの振幅を変え、異なる振幅V1〜Vn毎の基準値R1〜Rnを予め求めて、図6のようにメモリ36に記憶しておくとともに、変調信号Mの振幅Vxを検出する振幅検出器33と、その検出された振幅Vxに対応する基準値Rxあるいは振幅Vxに最も近い振幅に対応する基準値Rxをメモリ36から選択して比較手段37に設定する基準値設定手段39を設けて対応することができる。
【0064】
また、基準値設定手段39が、メモリ36に記憶されている各振幅毎の基準値から、その振幅と基準値とを関係付ける関係式を求め、検出された変調信号Mの振幅Vxと関係式とから、最適な基準値を算出して比較手段37に設定してもよい。
【0065】
また、基準値設定手段39は、上記のように振幅検出手段33によって検出される変調信号Mの振幅Vxに応じて自動的に選択あるいは算出するもののほかに、メモリ36に記憶されている基準値のなかから図示しない操作部の操作で選択された基準値を比較手段37に設定するように構成してもよい。
【0066】
このように変調信号Mの異なる振幅毎の基準値が予めメモリ36に記憶されている光変調装置では、変調信号Mの振幅に対して最適な基準値を設定することができ、変調信号Mの振幅切り換えや振幅変動がある場合でも、動作点を最適な状態に維持することができる。
【0067】
また、前記実施形態では、基準値Rがメモリ36に予め記憶されている場合について説明したが、光変調装置自身に基準値を求めて記憶する機能を設けることもできる。
【0068】
例えば、図7に示す光変調装置30のように、受光素子18の出力信号Eに基づいて出射光の消光比ERを測定する消光比測定手段34と、測定された消光比ERを監視しながらバイアス電圧Bを可変して、消光比ERが最大となるときの位相検出器20の検出値を基準値Rとしてメモリ36に書き込む基準値取得手段40とを設けて、装置の初期動作時等に基準値を求める構成としてもよい。
【0069】
また、図8に示す光変調装置のように、前記した図6の振幅検出器33、基準値設定手段39および図7の消光比測定手段34、基準値取得手段40を設け、初期動作時に振幅の異なる変調信号Mを与え、各振幅V1〜Vn毎に消光比ERが最大となるときの位相検出器20の検出値を基準値R1〜Rnとしてそれぞれ求めて各振幅V1〜Vnとともにメモリ36に記憶し、その記憶された基準値と振幅に基づいて、以後に供給される変調信号Mの振幅に対応する基準値を求めて比較手段37に設定してもよい。
【0070】
なお、一般的には、光信号の消光比ERが最大となるときに誤り率が最小となるので、上記したように、消光比ERを最大にする動作点を維持することで、誤り率を最小にすることができる。ただし、条件によっては消光比ERが最大のときに誤り率が最小とならない場合もあり、その場合には、光信号の利用目的に応じて消光比が最大となる動作点と誤り率が最小となる動作点のいずれかを優先すればよい。
【0071】
また、誤り率が最小となる動作点を維持する場合には、図7、図8の光変調装置30の消光比測定手段34の代わりに、受光素子18の出力信号Eのビット誤り率を測定する誤り測定手段を用い、その誤り率が最小となるときの位相検出器20の検出値を基準値Rとしてメモリ36に書き込む構成にすることも可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光変調器のバイアス電圧制御方法および光変調装置は、光変調器の出射光の消光比が最大となるときまたは誤り率が最小となるときの低周波信号と光変調器の出射光から抽出された信号との位相差の検出値を基準値として予め記憶しておき、以後に検出される位相差の検出値が基準値に一致するように光変調器のバイアス電圧を制御している。
【0073】
このため、光変調器の動作点を常にその出射光の消光比が最大となるまたは誤り率が最小となる最適な状態に維持することができる。
【0074】
また、異なる振幅の変調信号についての基準値を記憶しておき、その記憶されている基準値に基づいて、光変調器に供給される変調信号の振幅に対応した基準値を求めて位相差の検出値と比較するものでは、変調信号の振幅の切り換えや変動があっても、その振幅に適した基準値に対してバイアス電圧を制御することができ、光変調器の動作点を最適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基になる実験システムの構成図
【図2】実験の測定結果例を示す図
【図3】本発明の実施形態の構成を示す図
【図4】本発明の実施形態の要部の処理手順を示す図
【図5】本発明の実施形態の動作を説明するための図
【図6】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図7】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図8】本発明の実施形態の変形例を示す図
【図9】従来装置の構成図
【図10】光変調器の変調特性図
【符号の説明】
1……電圧可変電源、2……光波形観測装置、3……波形観測装置、11……レーザダイオード、12……光変調器、13……ドライブアンプ、16……低周波発振器、17……光カプラ、18……受光素子、19……BPF、20……位相検出器、30……光変調装置、31……A/D変換器、32……D/A変換器、33……振幅検出器、34……消光比測定器、35……コントローラ、36……メモリ、37……比較手段、38……バイアス電圧制御手段、39……基準値設定手段、40……基準値取得手段
Claims (5)
- データ信号に低周波信号が重畳された変調信号と動作点設定用のバイアス電圧とを光変調器に与えて該光変調器から前記変調信号によって強度変調された光を出射させ、該出射光から前記低周波信号と同一周波数の信号を抽出し、該抽出した信号と前記低周波信号との位相差を検出し、該位相差の検出値に基づいて前記光変調器に与えるバイアス電圧を制御する光変調器のバイアス電圧制御方法において、
前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定しながら前記バイアス電圧を可変して、前記消光比が最大またはビット誤り率が最小となるときの前記位相差の検出値を基準値として予め求めておき、
以後に検出される位相差の検出値が前記基準値に一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴とする光変調器のバイアス電圧制御方法。 - 前記基準値が、異なる振幅の変調信号についてそれぞれ得られた複数の値であり、
前記複数の基準値に基づいて、以後に入力される変調信号の振幅に対応した基準値を求め、
以後に検出される位相差の検出値が前記求めた基準値と一致するように前記バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1記載の光変調器のバイアス電圧制御方法。 - バイアス電圧により動作点が設定される光変調器(12)と、
低周波信号を出力する低周波信号発生手段(16)と、
データ信号に前記低周波信号を重畳して生成した変調信号を前記光変調器に与える変調信号供給手段(13)と、
前記光変調器の出射光を電気信号に変換する受光素子(18)と、
前記受光素子の出力信号から、前記低周波信号と同一周波数の信号成分を抽出するフィルタ(19)と、
前記フィルタの出力信号と前記低周波信号との位相差を検出する位相差検出手段(20)と、
前記光変調器の出射光の消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を基準値として予め記憶しているメモリ(36)と、
前記位相差検出手段の検出値と前記メモリに記憶されている基準値とを比較する比較手段(37)と、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記光変調器のバイアス電圧を、前記位相差検出手段の検出値が前記基準値に一致する方向に可変制御するバイアス電圧制御手段(38)とを備えた光変調装置。 - 前記メモリには、振幅が異なる変調信号についての基準値が予め記憶されており、
前記メモリに記憶されている各振幅毎の基準値に基づいて、前記光変調器に供給される変調信号の振幅に対応する基準値を求めて前記比較手段に設定する基準値設定手段(39)を有していることを特徴とする請求項3記載の光変調装置。 - 前記光変調器の出射光の消光比またはビット誤り率を測定する測定手段(34)と、
前記測定手段の測定結果を監視しながらバイアス電圧を可変して、前記消光比が最大となるまたはビット誤り率が最小となるときの前記位相差検出手段の検出値を前記基準値として前記メモリに記憶する基準値取得手段(40)とを有していることを特徴とする請求項3または請求項4記載の光変調装置。
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