JP2004294640A - タンデム型のレーザー走査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光路を折り曲げる平面ミラーを多用することなく光学配置の自由度を向上させて、安価・小型で高性能なタンデム型のレーザー走査装置を提供する。
【解決手段】レーザーダイオード(1a,1b)は互いに異なる波長のレーザー光(La,Lb)を発し、ポリゴンミラー(5)は各レーザー光(La,Lb)を主走査方向に偏向させる。走査光学系は、偏向後の2本のレーザー光(La,Lb)を対応する感光体(10a,10b)の被走査面(10s)に光路分離して導くとともに、ポリゴンミラー(5)からの光路長が互いに異なる各被走査面(10s)上で集光走査させる。走査光学系は主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有し、各被走査面(10s)が画像形成のためにレーザー光(La,Lb)で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、ポリゴンミラー(5)で偏向される角度の幅が各レーザー光(La,Lb)で互いに異なる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタンデム型のレーザー走査装置に関するものであり、例えばカラーレーザープリンタ,カラーデジタル複写機等の画像形成装置において、複数のレーザー光束を走査しながら複数の被走査面上に画像を露光記録するタンデム型のレーザー走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のタンデム型のレーザー走査装置の分野では、例えば特許文献1に示されているように、カラー画像形成用の4色に対応した光学系を光学的に同等(つまり光学的なパワーを有する光学素子に関して全く同一か又は鏡像の状態)に構成して、単一のポリゴンミラーを用いた偏向走査により、4色に対応した4つの感光体に対して描画を行う技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−121983号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に記載されているような従来のレーザー走査装置では、画像形成上都合が良いように4つの感光体を直線的又はほぼ直線的に配置したとき、ポリゴンミラーとの位置関係が各感光体で異なるにもかからず、同じ大きさの光路長をその位置関係に合わせる必要がある。このため、多数の平面ミラーを用いて光路を折り曲げなければならなくなる。これが部品点数の増大によるコストアップや装置の大型化を招き、また、平面ミラーの振動に起因する画像劣化を生じさせやすくする原因となっている。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、光路を折り曲げる平面ミラーを多用することなく光学配置の自由度を向上させて、安価・小型で高性能なタンデム型のレーザー走査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のレーザー走査装置は、互いに異なる波長のレーザー光を発する2以上の光源と、各光源から発せられたレーザー光を主走査方向に偏向させる偏向器と、偏向後の2以上のレーザー光を対応する被走査面に光路分離して導くとともに、前記偏向器からの光路長が互いに異なる各被走査面上で集光走査させる走査光学系と、を備えたタンデム型のレーザー走査装置であって、前記走査光学系が主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有し、各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器で偏向される角度の幅が各レーザー光で互いに異なることを特徴とする。
【0007】
第2の発明のレーザー走査装置は、上記第1の発明において、前記複数の回折面のうちの少なくとも1面が副走査方向に回折力を有することを特徴とする。
【0008】
第3の発明のレーザー走査装置は、上記第1又は第2の発明において、前記偏向器に入射する際の各レーザー光の光束状態が、主走査方向の収束度合い又は発散度合いに関して互いに異なることを特徴とする。
【0009】
第4の発明のレーザー走査装置は、上記第1,第2又は第3の発明において、前記偏向器に入射する際の各レーザー光の主光線を主走査平面内に射影した直線が互いに平行でないことを特徴とする。
【0010】
第5の発明のレーザー走査装置は、上記第4の発明において、各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器に入射する際の前記主光線に対応した直線が前記走査光学系に近いレーザー光ほど、前記偏向器で偏向される角度の幅が大きいことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施したレーザー走査装置を、図面を参照しつつ説明する。ここで挙げる各実施の形態は、カラーレーザープリンタ,カラーデジタル複写機等のカラー画像形成装置に使用されるものであり、例えばY(黄),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色に対応した4つの感光体に対して、レーザー光で同時に画像記録を行うタイプのタンデム型レーザー走査装置である。ただし、1つの光源が1本のレーザー光を射出し、1つの感光体に対する露光走査を1本のレーザー光で行う構成に限らず、例えば、2本以上のレーザー光を射出するマルチビームタイプの光源を用いて、1つの感光体に対する露光走査を2本以上のレーザー光で行う構成にしてもよい。
【0012】
図1に、タンデム型レーザー走査装置の一実施の形態を示す。図1中、1a,1bはレーザーダイオード(光源)、2は集光レンズ、3はアパーチャ(光束規制素子)、4はシリンダレンズ、5はポリゴンミラー(偏向器)、5sは偏向反射面、6は第1レンズ、7は第2レンズ、8はダイクロイックミラー、9は平面ミラー、10sは被走査面、10a,10bは被走査面(10s)を構成する感光体、Laは波長780nmのレーザー光、Lbは波長650nmのレーザー光である。このレーザー走査装置の光学構成は単一のポリゴンミラー(5)を中心として面対称になっており、面対称に配置された各走査光学系において互いに波長の異なる2本のレーザー光(La,Lb)を各々光路分離する方式を採用している。具体的には、波長780nmのレーザー光(La)を1本発するレーザーダイオード(1a)と、波長650nmのレーザー光(Lb)を1本発するレーザーダイオード(1b)と、を2つずつ有しており、集光レンズ(2),アパーチャ(3)及びシリンダレンズ(4)から成る光源光学系を4セット、第1レンズ(6),第2レンズ(7),ダイクロイックミラー(8)及び平面ミラー(9)から成る走査光学系を2セット有している。なお、上記面対称の対称面は、走査光学系の光路展開状態において、ポリゴンミラー(5)の回転軸を含むとともに被走査面(10s)に平行な平面である。
【0013】
2つのレーザーダイオード(1a)から発せられた波長780nmのレーザー光(La)は、それぞれ集光レンズ(2)によって発散光から緩い収束光に変換され、アパーチャ(3)によって光束規制される。その後、シリンダレンズ(4)によって副走査方向にのみ集光して、ポリゴンミラー(5)の両側の異なる位置にある偏向反射面(5s)上で線状の光源像を形成する。一方、2つのレーザーダイオード(1b)から発せられた波長650nmのレーザー光(Lb)は、それぞれ集光レンズ(2)によって発散光から平行光に変換され、アパーチャ(3)によって光束規制される。その後、シリンダレンズ(4)によって副走査方向にのみ集光して、ポリゴンミラー(5)の両側の異なる位置にある偏向反射面(5s)上で線状の光源像を形成する。ポリゴンミラー(5)に入射した4本のレーザー光(La,Lb)は、2本ずつポリゴンミラー(5)の同一偏向反射面(5s)での同時反射により主走査方向に偏向して、各走査光学系に入射する。
【0014】
ポリゴンミラー(5)を中心として面対称に配置されている各走査光学系には、ポリゴンミラー(5)で偏向反射された2本のレーザー光(La,Lb)が入射する。走査光学系において光学的なパワーを有する光学素子は、第1レンズ(6)と第2レンズ(7)から成る走査レンズである。第1レンズ(6)の光入射側面(第1面)は、軸対称非球面上に軸対称な回折構造を有する回折面であり、第1レンズ(6)の光射出側面(第2面)は自由曲面から成る屈折レンズ面である。第2レンズ(7)の光入射側面(第3面)は、平面上に自由形状の回折構造を有する回折面であり、第2レンズ(7)の光射出側面(第4面)は自由曲面から成る屈折レンズ面である。2本のレーザー光(La,Lb)は、第1レンズ(6)と第2レンズ(7)で順に屈折及び回折された後、ダイクロイックミラー(8)で光路分離される。ダイクロイックミラー(8)は、波長780nmの光を反射させ、かつ、波長650nmの光を透過させる分光特性を有している。したがって、その光路分離においては、一方のレーザー光(La)がダイクロイックミラー(8)で反射され、他方のレーザー光(Lb)がダイクロイックミラー(8)を透過する。
【0015】
ダイクロイックミラー(8)で反射されたレーザー光(La)は感光体(10a)上でスポット状に集光し、一方、ダイクロイックミラー(8)を透過したレーザー光(Lb)は平面ミラー(9)で反射された後、感光体(10b)上でスポット状に集光する。したがって、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)は、主走査方向及び副走査方向に集光したレーザー光(La,Lb)で、主走査方向に露光走査されることになる。この露光走査により、YMCKの4色に対応した画像が4つの感光体(10a,10b)にそれぞれ形成され、4つの感光体(10a,10b)に形成された画像が同じ紙に転写されることによってカラー画像が形成される。なお、各感光体(10a,10b)に対するレーザー光(La,Lb)の偏向走査の方向が主走査方向に対応し、その主走査方向と被走査面(10s)の法線とに対して垂直な方向が副走査方向に対応する。
【0016】
上記のようにして各走査光学系は、偏向後の2本のレーザー光(La,Lb)を対応する2つの感光体(10a,10b)に1本ずつ光路分離して導くとともに、各レーザー光(La,Lb)をスポット状に集光させて各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)上で露光走査させる。したがって、ポリゴンミラー(5)の片側にある1セットの走査光学系は、2本のレーザー光(La,Lb)に対して作用する2つの走査光学系、つまり、波長780nmのレーザー光(La)に対して作用する第1走査光学系と、波長650nmのレーザー光(Lb)に対して作用する第2走査光学系と、から成るものと考えることができる。
【0017】
そこで、図1のレーザー走査装置を構成している走査光学系の一例(実施例1)として、図2(A)に第1走査光学系の主走査断面を示し、図2(B)に第2走査光学系の主走査断面を示し、図2(C)に第1,第2走査光学系から成る1セットの走査光学系の副走査断面を示す。ただし図2(A)(B)において、平面反射面については記載を省略して、光路展開状態(つまり平面反射面による光路の折り曲げがない状態)での光学構成を示す。図2(A)に示す第1走査光学系の走査幅は210mmであり、そのときの偏向角の幅は83.9度である。図2(B)に示す第2走査光学系の走査幅は210mmであり、そのときの偏向角の幅は66.0度である。図2(C)に示す2本のレーザー光(La,Lb)の感光体(10a,10b)入射位置は、高さが同じで距離が50mm(光路展開状態では51.67mm)離れている。
【0018】
表1〜表6に、このレーザー走査装置に用いられている走査光学系(実施例1)のコンストラクションデータを示す(ただし片側の1セットのみを示す。)。表1は第1走査光学系のコンストラクションデータを光学面の座標データで示しており、表2は第2走査光学系のコンストラクションデータを光学面の座標データで示している。これらの座標データは、グローバルな直交座標系(X,Y,Z)におけるローカルな直交座標系(x,y,z)の原点及びベクトルで各光学面(面頂点基準)の配置を表しており、その評価面が各感光体(10a,10b)の表面{すなわち被走査面(10s)}に相当する。第1,第2レンズ(6,7)は樹脂から成っており、その屈折率は波長(λ):780nmに対して1.537、波長(λ):650nmに対して1.541である。また、ダイクロイックミラー(8)はガラスから成っており、その屈折率は波長650nmに対して1.515である。
【0019】
表3〜表6は、実施例1の第1,第2走査光学系を構成している光学面の面構成(面形状,回折構造)を示している(ただし、E−n=×10−nであり、表記の無い係数は0であり、平面から成る光学面と評価面については記載を省略する。)。自由曲面の面形状は以下の式($1)によって表現され(aij:自由曲面係数)、軸対称非球面の面形状は以下の式($2)によって表現される(a:非球面係数)。回折構造が平面に構成された回折面の位相関数は以下の式(#1)によって表現され(bij:位相係数)、回折構造が軸対称非球面に構成された回折面の位相関数は以下の式(#2)によって表現される(b:位相係数)。回折構造を示す式(#1,#2)は、回折による位相のズレ量を多項式の形で表現したものであり、pが整数値をとるようなyとzの位置に段差が形成されることによって回折構造が構成される。
【0020】
【数1】
Figure 2004294640
【0021】
【表1】
Figure 2004294640
【0022】
【表2】
Figure 2004294640
【0023】
【表3】
Figure 2004294640
【0024】
【表4】
Figure 2004294640
【0025】
【表5】
Figure 2004294640
【0026】
【表6】
Figure 2004294640
【0027】
図3に、実施例1に用いられている回折構造の概略構成を、光軸方向(すなわちx軸方向)から回折面を見たときの溝形状として示す(図示の長手方向が主走査方向に対応する。)。実際の溝の間隔は大変狭く描画が困難であるため、ここでは見やすくするために溝を100本に1本の割合で表示している。図3(A)は第1レンズ(6)の光入射側面(第1面)の回折構造を示しており、図3(B)は第2レンズ(7)の光入射側面(第3面)の回折構造を示している。前述したように、第1面は軸対称非球面上に軸対称な回折構造が形成されており、第3面は平面上に自由形状の回折構造が形成されている。仮に回折構造が直線的であれば、その直線に平行な方向では回折力を持たないことになるが、図3(A)(B)から分かるように、2つの回折面は主走査方向・副走査方向ともに回折力を持っている。
【0028】
上記のように走査光学系が主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有しているため、互いに異なる波長のレーザー光(La,Lb)がその回折面に入射すると、各レーザー光(La,Lb)について主走査方向に光学的なパワーの差が大きく発生することになる。その結果、各レーザー光(La,Lb)に対して生じた焦点距離の差により、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長も互いに異なったものとなり、光学配置の自由度が向上することになる。したがって図1に示すように、画像形成上都合が良いように4つの感光体(10a,10b)を直線的(又はほぼ直線的)に配置した場合でも、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長に差{前述の50mm,図2(C)参照。}があるため、ポリゴンミラー(5)と各感光体(10a,10b)との位置関係に光路長を容易に合わせることが可能となる。その結果、光路を折り曲げるための平面ミラーを多用する必要がなくなるので、部品点数の削減によるコストダウンや装置の小型化が可能となる。また、平面ミラーが削減される結果、その振動に起因する画像劣化が生じにくくなるため、光学性能を向上させることも可能となる。回折面を1面用いただけでも、上記光路長の差を発生させることは可能である。しかし、回折面1面で各レーザー光(La,Lb)に対する焦点距離に差をつけただけでは、歪曲収差,像面湾曲等が生じてしまう。そこで、上記走査光学系では回折面を複数用いることにより、収差補正の自由度を向上させている。したがって、走査光学系に用いる回折面は2面以上であることが収差補正上好ましい。
【0029】
先に述べたように、カラー画像は4つの感光体(10a,10b)に形成された画像が同じ紙に転写されることによって形成される。したがって、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)上で画像を形成するために走査される幅を、同じ大きさに揃える必要がある。しかし、上述したように各レーザー光(La,Lb)に対する焦点距離には差があるため、fθ特性を考慮すると焦点距離fの差に応じた偏向角θの差が必要になる。そこで上記走査光学系では、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、ポリゴンミラー(5)で偏向される角度の幅が各レーザー光(La,Lb)で互いに異なる構成としている。具体的には、第1,第2走査光学系の走査幅を210mmとし、そのときの偏向角の幅を第1走査光学系では83.9度、第2走査光学系では66.0度としている。
【0030】
ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長に差を生じさせると、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)と各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)との副走査方向の共役関係にズレが生じる。そこで、上記走査光学系では副走査方向にも回折力を有する回折面を用いることにより、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)と各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)との副走査方向の共役関係を合わせている。副走査方向の光学的なパワーの差を回折力で生じさせることは、例えば図3(A)に示すように加工容易な軸対称回折面を用いることにより簡単に達成することができる。したがって、各走査光学系に有する複数の回折面のうちの少なくとも1面は、副走査方向に回折力を有することが望ましい。
【0031】
ポリゴンミラー(5)によって偏向されるレーザー光(La,Lb)は、各レーザーダイオード(1a,1b)と集光レンズ(2)との間隔差及び波長差により主走査方向についての収束度合いが異なっている。つまり、レーザー光(La)はポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から740mmの位置で収束するような緩い収束光になっており、一方、レーザー光(Lb)は平行光になっている。このようにポリゴンミラー(5)に入射する際の各レーザー光(La,Lb)の光束状態は、主走査方向の収束度合い又は発散度合いに関して互いに異なることが望ましい。収差補正に関しては、前述した複数の回折面により各レーザー光(La,Lb)に対応した個別の自由度が得られるが、偏向反射させる入射光の主走査方向の収束・発散度合いを変えれば、個別の自由度が増えるため、諸収差の補正が更に容易になる。図1のレーザー走査装置では、各レーザーダイオード(1a,1b)と集光レンズ(2)との間隔差及び波長差を自由度にして、収差補正上都合が良いように収束・発散度合いを最適化しているが、各レーザー光(La,Lb)に対して屈折力,回折力等のレンズ特性が個別に最適化された集光レンズ(2)を用いてもよい。
【0032】
また、各レーザー光(La,Lb)で波長や焦点距離が異なっていても、感光体(10a,10b)上でのビーム径は同じ大きさに揃っている必要があるので、アパーチャ(3)のサイズは各レーザー光(La,Lb)に対して個別に設定されている。具体的には、第1走査光学系に入射させるレーザー光(La)が通るアパーチャ(3)の開口を、長径2.8mm,短径0.9mmの楕円に設定しており、第2走査光学系に入射させるレーザー光(Lb)が通るアパーチャ(3)の開口を、長径2.7mm,短径1.0mmの楕円に設定している。
【0033】
図4に、主走査断面におけるポリゴンミラー(5)付近の光学配置とその光路を拡大して示す。図4(A)はレーザー光(La)の光路を示しており、図4(B)はレーザー光(Lb)の光路を示している。図4(A)(B)から分かるように、2本のレーザー光(La,Lb)は各々異なった角度からポリゴンミラー(5)に入射する。その際、ポリゴンミラー(5)の角で光束にケラレが生じないように、2本のレーザー光(La,Lb)の入射位置は最適化されている。また、ポリゴンミラー(5)の面倒れによるピッチむらを防ぐために、副走査方向の集光位置が各レーザー光(La,Lb)について最適化されている。上記光束のケラレに関しては、ポリゴンミラー(5)に対する入射光束を走査光学系からより遠い側に配置した方が、反射の際に入射光束と偏向反射面(5s)の法線とが成す角度が大きくなるため不利になる。図2(A)及び図4(A)に示す第1走査光学系の光路よりも、図2(B)及び図4(B)に示す第2走査光学系の光路の方が偏向角の幅が狭いため、入射光路の配置に余裕がある。したがって、第2走査光学系に入射させるレーザー光(Lb)の光路を走査光学系から遠い側に配置している。つまり、ポリゴンミラー(5)に入射する際の各レーザー光(La,Lb)の主光線を主走査平面内に射影した直線は互いに平行でないことが好ましく、さらに、各被走査面(10s)が画像形成のためにレーザー光(La,Lb)で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、ポリゴンミラー(5)に入射する際の前記主光線に対応した直線が走査光学系に近いレーザー光ほど、ポリゴンミラー(5)で偏向される角度の幅が大きいことが好ましい。
【0034】
図5に、図1のレーザー走査装置(実施例1)の光学性能を示す{横軸:主走査方向の像高(mm)}。図5(A)は第1走査光学系を通って結像するレーザー光(La)の像面湾曲を主走査方向(□)と副走査方向(◆)の各像面(mm)で示しており、図5(B)は第1走査光学系を通って結像するレーザー光(La)の歪曲(◆,%)を示している。また、図5(C)は第2走査光学系を通って結像するレーザー光(Lb)の像面湾曲を主走査方向(□)と副走査方向(◆)の各像面(mm)で示しており、図5(D)は第2走査光学系を通って結像するレーザー光(Lb)の歪曲(◆,%)を示している。
【0035】
図6に、タンデム型レーザー走査装置の他の実施の形態を示す。図6中、1a,1bはレーザーダイオード(光源)、2は集光レンズ、3はアパーチャ(光束規制素子)、4はシリンダレンズ、5はポリゴンミラー(偏向器)、5sは偏向反射面、6は第1レンズ、7は第2レンズ、9a,9bは平面ミラー、10sは被走査面、10a,10bは被走査面(10s)を構成する感光体、Laは波長780nmのレーザー光、Lbは波長630nmのレーザー光である。このレーザー走査装置の光学構成も、図1のレーザー走査装置と同様、単一のポリゴンミラー(5)を中心として面対称になっており、面対称に配置された各走査光学系において互いに波長の異なる2本のレーザー光(La,Lb)を各々光路分離する方式を採用している。具体的には、波長780nmのレーザー光(La)を1本発するレーザーダイオード(1a)と、波長630nmのレーザー光(Lb)を1本発するレーザーダイオード(1b)と、を2つずつ有しており、集光レンズ(2),アパーチャ(3)及びシリンダレンズ(4)から成る光源光学系を4セット、第1レンズ(6),第2レンズ(7)及び平面ミラー(9a,9b)から成る走査光学系を2セット有している。なお、上記面対称の対称面は、走査光学系の光路展開状態において、ポリゴンミラー(5)の回転軸を含むとともに被走査面(10s)に平行な平面である。
【0036】
2つのレーザーダイオード(1a)から発せられた波長780nmのレーザー光(La)は、それぞれ集光レンズ(2)によって発散光から緩い収束光に変換され、アパーチャ(3)によって光束規制される。その後、シリンダレンズ(4)によって副走査方向にのみ集光して、ポリゴンミラー(5)の両側の異なる位置にある偏向反射面(5s)上で線状の光源像を形成する。一方、2つのレーザーダイオード(1b)から発せられた波長630nmのレーザー光(Lb)は、それぞれ集光レンズ(2)によって発散光から平行光に変換され、アパーチャ(3)によって光束規制される。その後、シリンダレンズ(4)によって副走査方向にのみ集光して、ポリゴンミラー(5)の両側の異なる位置にある偏向反射面(5s)上で線状の光源像を形成する。ポリゴンミラー(5)に入射した4本のレーザー光(La,Lb)は、2本ずつポリゴンミラー(5)の同一偏向反射面(5s)での同時反射により主走査方向に偏向して、各走査光学系に入射する。
【0037】
ポリゴンミラー(5)を中心として面対称に配置されている各走査光学系には、ポリゴンミラー(5)で偏向反射された2本のレーザー光(La,Lb)が入射する。走査光学系において光学的なパワーを有する光学素子は、第1レンズ(6)と第2レンズ(7)から成る走査レンズである。第1レンズ(6)の光入射側面(第1面)は、軸対称非球面上に軸対称な回折構造を有する回折面であり、第1レンズ(6)の光射出側面(第2面)は自由曲面から成る屈折レンズ面である。第2レンズ(7)の光入射側面(第3面)は、平面上に自由形状の回折構造を有する回折面であり、第2レンズ(7)の光射出側面(第4面)は自由曲面から成る屈折レンズ面である。2本のレーザー光(La,Lb)は、第1レンズ(6)と第2レンズ(7)で順に屈折及び回折された後、1枚目の平面ミラー(9a)で空間的に光路分離される。つまり、一方のレーザー光(La)は1枚目の平面ミラー(9a)で反射され、他方のレーザー光(Lb)は平面ミラー(9a)で反射されることなく2枚目の平面ミラー(9b)で反射される。
【0038】
1枚目の平面ミラー(9a)で反射されたレーザー光(La)は感光体(10a)上でスポット状に集光し、一方、2枚目の平面ミラー(9b)で反射されたレーザー光(Lb)は感光体(10b)上でスポット状に集光する。したがって、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)は、主走査方向及び副走査方向に集光したレーザー光(La,Lb)で、主走査方向に露光走査されることになる。この露光走査により、YMCKの4色に対応した画像が4つの感光体(10a,10b)にそれぞれ形成され、4つの感光体(10a,10b)に形成された画像が同じ紙に転写されることによってカラー画像が形成される。なお、各感光体(10a,10b)に対するレーザー光(La,Lb)の偏向走査の方向が主走査方向に対応し、その主走査方向と被走査面(10s)の法線とに対して垂直な方向が副走査方向に対応する。
【0039】
上記のようにして各走査光学系は、偏向後の2本のレーザー光(La,Lb)を対応する2つの感光体(10a,10b)に1本ずつ光路分離して導くとともに、各レーザー光(La,Lb)をスポット状に集光させて各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)上で露光走査させる。したがって、図1のレーザー走査装置と同様、ポリゴンミラー(5)の片側にある1セットの走査光学系は、2本のレーザー光(La,Lb)に対して作用する2つの走査光学系、つまり、波長780nmのレーザー光(La)に対して作用する第1走査光学系と、波長630nmのレーザー光(Lb)に対して作用する第2走査光学系と、から成るものと考えることができる。
【0040】
そこで、図6のレーザー走査装置を構成している走査光学系の一例(実施例2)として、図7(A)に第1走査光学系の主走査断面を示し、図7(B)に第2走査光学系の主走査断面を示し、図7(C)に第1,第2走査光学系から成る1セットの走査光学系の副走査断面を示す。ただし図7(A)(B)において、平面反射面については記載を省略して、光路展開状態(つまり平面反射面による光路の折り曲げがない状態)での光学構成を示す。図7(A)に示す第1走査光学系の走査幅は210mmであり、そのときの偏向角の幅は83.9度である。図7(B)に示す第2走査光学系の走査幅は210mmであり、そのときの偏向角の幅は66.0度である。図7(C)に示す2本のレーザー光(La,Lb)の感光体(10a,10b)入射位置は、高さが同じで距離が50mm(光路展開状態では51.67mm)離れている。図7(C)から分かるように、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)上では2本のレーザー光(La,Lb)が同じ高さにあるが、副走査方向に角度差を持っているために、第1,第2レンズ(6,7)及び平面ミラー(9a)上では副走査方向に高さの差が生じている。したがって、1枚目の平面ミラー(9a)で片方のレーザー光(La)のみを反射させることが可能になる。
【0041】
表7〜表12に、このレーザー走査装置に用いられている走査光学系(実施例2)のコンストラクションデータを示す(ただし片側の1セットのみを示す。)。表7は第1走査光学系のコンストラクションデータを光学面の座標データで示しており、表8は第2走査光学系のコンストラクションデータを光学面の座標データで示している。これらの座標データは、グローバルな直交座標系(X,Y,Z)におけるローカルな直交座標系(x,y,z)の原点及びベクトルで各光学面(面頂点基準)の配置を表しており、その評価面が各感光体(10a,10b)の表面{すなわち被走査面(10s)}に相当する。第1,第2レンズ(6,7)は樹脂から成っており、その屈折率は波長(λ):780nmに対して1.537、波長(λ):630nmに対して1.542である。
【0042】
表9〜表12は、実施例2の第1,第2走査光学系を構成している光学面の面構成(面形状,回折構造)を示している(ただし、E−n=×10−nであり、表記の無い係数は0であり、平面から成る光学面と評価面については記載を省略する。)。自由曲面の面形状は前記式($1)によって表現され(aij:自由曲面係数)、軸対称非球面の面形状は前記式($2)によって表現される(a:非球面係数)。回折構造が平面に構成された回折面の位相関数は前記式(#1)によって表現され(bij:位相係数)、回折構造が軸対称非球面に構成された回折面の位相関数は前記式(#2)によって表現される(b:位相係数)。前述したように回折構造を示す式(#1,#2)は、回折による位相のズレ量を多項式の形で表現したものであり、pが整数値をとるようなyとzの位置に段差が形成されることによって回折構造が構成される。
【0043】
【表7】
Figure 2004294640
【0044】
【表8】
Figure 2004294640
【0045】
【表9】
Figure 2004294640
【0046】
【表10】
Figure 2004294640
【0047】
【表11】
Figure 2004294640
【0048】
【表12】
Figure 2004294640
【0049】
実施例2に用いられている回折構造も前記実施例1(図3)とほぼ同じであり、第1面は軸対称非球面上に軸対称な回折構造が形成されており、第3面は平面上に自由形状の回折構造が形成されている。そして、2つの回折面は主走査方向・副走査方向ともに回折力を持っている。図1のレーザー走査装置と同様、走査光学系が主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有しているため、互いに異なる波長のレーザー光(La,Lb)がその回折面に入射すると、各レーザー光(La,Lb)について主走査方向に光学的なパワーの差が大きく発生することになる。その結果、各レーザー光(La,Lb)に対する焦点距離に差が生じて、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長も互いに異なったものとなり、光学配置の自由度が向上することになる。
【0050】
したがって図6に示すように、画像形成上都合が良いように4つの感光体(10a,10b)を直線的(又はほぼ直線的)に配置した場合でも、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長に差{前述の50mm,図7(C)参照。}があるため、ポリゴンミラー(5)と各感光体(10a,10b)との位置関係に光路長を容易に合わせることが可能となる。その結果、光路を折り曲げるための平面ミラーを多用する必要がなくなるので、部品点数の削減によるコストダウンや装置の小型化が可能となる。また、平面ミラーが削減される結果、その振動に起因する画像劣化が生じにくくなるため、光学性能を向上させることも可能となる。回折面を1面用いただけでも、上記光路長の差を発生させることは可能である。しかし、回折面1面で各レーザー光(La,Lb)に対する焦点距離に差をつけただけでは、歪曲収差,像面湾曲等が生じてしまう。そこで、上記走査光学系では回折面を複数用いることにより、収差補正の自由度を向上させている。したがって、走査光学系に用いる回折面は2面以上であることが収差補正上好ましい。
【0051】
先に述べたように、カラー画像は4つの感光体(10a,10b)に形成された画像が同じ紙に転写されることによって形成される。したがって、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)上で画像を形成するために走査される幅を、同じ大きさに揃える必要がある。しかし、上述したように各レーザー光(La,Lb)に対する焦点距離には差があるため、fθ特性を考慮すると焦点距離fの差に応じた偏向角θの差が必要になる。そこで上記走査光学系では、各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、ポリゴンミラー(5)で偏向される角度の幅が各レーザー光(La,Lb)で互いに異なる構成としている。具体的には、第1,第2走査光学系の走査幅を210mmとし、そのときの偏向角の幅を第1走査光学系では83.9度、第2走査光学系では66.0度としている。
【0052】
ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)までの光路長に差を生じさせると、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)と各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)との副走査方向の共役関係にズレが生じる。そこで、上記走査光学系では副走査方向にも回折力を有する回折面を用いることにより、ポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)と各感光体(10a,10b)の被走査面(10s)との副走査方向の共役関係を合わせている。副走査方向の光学的なパワーの差を回折力で生じさせることは、例えば図3(A)に示すように加工容易な軸対称回折面を用いることにより簡単に達成することができる。したがって、各走査光学系に有する複数の回折面のうちの少なくとも1面は、副走査方向に回折力を有することが望ましい。
【0053】
ポリゴンミラー(5)によって偏向されるレーザー光(La,Lb)は、各レーザーダイオード(1a,1b)と集光レンズ(2)との間隔差及び波長差により主走査方向についての収束度合いが異なっている。つまり、レーザー光(La)はポリゴンミラー(5)の偏向反射面(5s)から426mmの位置で収束するような緩い収束光になっており、一方、レーザー光(Lb)は平行光になっている。このようにポリゴンミラー(5)に入射する際の各レーザー光(La,Lb)の光束状態は、主走査方向の収束度合い又は発散度合いに関して互いに異なることが望ましい。収差補正に関しては、前述した複数の回折面により各レーザー光(La,Lb)に対応した個別の自由度が得られるが、偏向反射させる入射光の主走査方向の収束・発散度合いを変えれば、個別の自由度が増えるため、諸収差の補正が更に容易になる。図6のレーザー走査装置では、各レーザーダイオード(1a,1b)と集光レンズ(2)との間隔差及び波長差を自由度にして、収差補正上都合が良いように収束・発散度合いを最適化しているが、各レーザー光(La,Lb)に対して屈折力,回折力等のレンズ特性が個別に最適化された集光レンズ(2)を用いてもよい。
【0054】
また、各レーザー光(La,Lb)で波長や焦点距離が異なっていても、感光体(10a,10b)上でのビーム径は同じ大きさに揃っている必要があるので、アパーチャ(3)のサイズは各レーザー光(La,Lb)に対して個別に設定されている。具体的には、第1走査光学系に入射させるレーザー光(La)が通るアパーチャ(3)の開口を、長径2.9mm,短径1.3mmの楕円に設定しており、第2走査光学系に入射させるレーザー光(Lb)が通るアパーチャ(3)の開口を、長径2.7mm,短径1.4mmの楕円に設定している。
【0055】
図6のレーザー走査装置においても、図1のレーザー走査装置と同様、2本のレーザー光(La,Lb)は各々異なった角度からポリゴンミラー(5)に入射する。その際、ポリゴンミラー(5)の角で光束にケラレが生じないように、2本のレーザー光(La,Lb)の入射位置は最適化されている。また、ポリゴンミラー(5)の面倒れによるピッチむらを防ぐために、副走査方向の集光位置が各レーザー光(La,Lb)について最適化されている。上記光束のケラレに関しては、ポリゴンミラー(5)に対する入射光束を走査光学系からより遠い側に配置した方が、反射の際に入射光束と偏向反射面(5s)の法線とが成す角度が大きくなるため不利になる。図7(A)に示す第1走査光学系の光路よりも、図7(B)に示す第2走査光学系の光路の方が偏向角の幅が狭いため、入射光路の配置に余裕がある。したがって、第2走査光学系に入射させるレーザー光(Lb)の光路を走査光学系から遠い側に配置している。つまり、ポリゴンミラー(5)に入射する際の各レーザー光(La,Lb)の主光線を主走査平面内に射影した直線は互いに平行でないことが好ましく、さらに、各被走査面(10s)が画像形成のためにレーザー光(La,Lb)で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、ポリゴンミラー(5)に入射する際の前記主光線に対応した直線が走査光学系に近いレーザー光ほど、ポリゴンミラー(5)で偏向される角度の幅が大きいことが好ましい。
【0056】
図8に、図6のレーザー走査装置(実施例2)の光学性能を示す{横軸:主走査方向の像高(mm)}。図8(A)は第1走査光学系を通って結像するレーザー光(La)の像面湾曲を主走査方向(□)と副走査方向(◆)の各像面(mm)で示しており、図8(B)は第1走査光学系を通って結像するレーザー光(La)の歪曲(◆,%)を示している。また、図8(C)は第2走査光学系を通って結像するレーザー光(Lb)の像面湾曲を主走査方向(□)と副走査方向(◆)の各像面(mm)で示しており、図8(D)は第2走査光学系を通って結像するレーザー光(Lb)の歪曲(◆,%)を示している。
【0057】
なお、前述した各実施の形態には、以下の構成(i)〜(ix)を有する発明が含まれており、その構成により、光学配置の自由度が高く、安価・小型で高性能なカラー画像形成装置を実現することができる。
(i) 互いに異なる波長のレーザー光を発する2以上の光源と、各光源から発せられたレーザー光を主走査方向に偏向させる偏向器と、偏向後の2以上のレーザー光を対応する被走査面に光路分離して導くとともに、前記偏向器からの光路長が互いに異なる各被走査面上で集光走査させる走査光学系と、前記被走査面を構成する感光体と、を備えたタンデム型のカラー画像形成装置であって、前記走査光学系が主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有し、各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器で偏向される角度の幅が各レーザー光で互いに異なることを特徴とするカラー画像形成装置。
(ii) 前記走査光学系が、前記複数の回折面を有する走査レンズと、前記光路分離を行うミラーと、を有することを特徴とする上記(i)記載のカラー画像形成装置。
(iii) 前記光路分離を行うミラーがダイクロイックミラーであり、その分光特性により前記光路分離を行うことを特徴とする上記(ii)記載のカラー画像形成装置。
(iv) 前記光路分離を行うミラーが平面ミラーであり、偏向後の2以上のレーザー光が副走査方向に角度差を持っており、その角度差を利用して前記平面ミラーが空間的に光路分離を行うことを特徴とする上記(ii)記載のカラー画像形成装置。
(v) 各光源から発せられたレーザー光が前記偏向器の同一面での同時反射により偏向することを特徴とする上記(i)〜(iv)のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
【0058】
(vi) 前記複数の回折面のうちの少なくとも1面が副走査方向に回折力を有することを特徴とする上記(i)〜(v)のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。 (vii) 前記偏向器に入射する際の各レーザー光の光束状態が、主走査方向の収束度合い又は発散度合いに関して互いに異なることを特徴とする上記(i)〜(vi)のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
(viii) 前記偏向器に入射する際の各レーザー光の主光線を主走査平面内に射影した直線が互いに平行でないことを特徴とする上記(i)〜(vii)のいずれか1項に記載のカラー画像形成装置。
(ix) 各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器に入射する際の前記主光線に対応した直線が前記走査光学系に近いレーザー光ほど、前記偏向器で偏向される角度の幅が大きいことを特徴とする上記(viii)記載のカラー画像形成装置。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、互いに異なる波長のレーザー光に対し主走査方向に回折力を有する複数の回折面が用いられており、各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、偏向器で偏向される角度の幅が各レーザー光で互いに異なる構成になっているため、偏向器との位置関係が各被走査面で異なっていても、その位置関係に光路長を合わせることができる。光学配置に高い自由度を持っているため、光路を折り曲げる平面ミラーを多用する必要がなく、したがって、安価・小型で高性能なタンデム型のレーザー走査装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー走査装置の一実施の形態を示す概略斜視図。
【図2】図1のレーザー走査装置を構成している第1,第2走査光学系とその光路を主走査断面と副走査断面で示す光学構成図。
【図3】図1のレーザー走査装置の第1,第2走査光学系に用いられている回折構造の概略イメージを示す平面図。
【図4】図1のレーザー走査装置におけるポリゴンミラー付近の光学配置とその光路を主走査断面で示す拡大図。
【図5】図1のレーザー走査装置(実施例1)の光学性能を示すグラフ。
【図6】レーザー走査装置の他の実施の形態を示す概略斜視図。
【図7】図6のレーザー走査装置を構成している第1,第2走査光学系とその光路を主走査断面と副走査断面で示す光学構成図。
【図8】図6のレーザー走査装置(実施例2)の光学性能を示すグラフ。
【符号の説明】
1a,1b …レーザーダイオード(光源)
5 …ポリゴンミラー(偏向器)
5s …偏向反射面
6 …第1レンズ(走査光学系の一部)
7 …第2レンズ(走査光学系の一部)
8 …ダイクロイックミラー(走査光学系の一部)
9 …平面ミラー(走査光学系の一部)
9a,9b …平面ミラー(走査光学系の一部)
10a,10b …感光体
10s …被走査面
La,Lb …レーザー光

Claims (5)

  1. 互いに異なる波長のレーザー光を発する2以上の光源と、各光源から発せられたレーザー光を主走査方向に偏向させる偏向器と、偏向後の2以上のレーザー光を対応する被走査面に光路分離して導くとともに、前記偏向器からの光路長が互いに異なる各被走査面上で集光走査させる走査光学系と、を備えたタンデム型のレーザー走査装置であって、
    前記走査光学系が主走査方向に回折力を有する複数の回折面を光路分離前に有し、各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器で偏向される角度の幅が各レーザー光で互いに異なることを特徴とするレーザー走査装置。
  2. 前記複数の回折面のうちの少なくとも1面が副走査方向に回折力を有することを特徴とする請求項1記載のレーザー走査装置。
  3. 前記偏向器に入射する際の各レーザー光の光束状態が、主走査方向の収束度合い又は発散度合いに関して互いに異なることを特徴とする請求項1又は2記載のレーザー走査装置。
  4. 前記偏向器に入射する際の各レーザー光の主光線を主走査平面内に射影した直線が互いに平行でないことを特徴とする請求項1,2又は3記載のレーザー走査装置。
  5. 各被走査面が画像形成のためにレーザー光で走査される幅を同じ大きさに揃えたときに、前記偏向器に入射する際の前記主光線に対応した直線が前記走査光学系に近いレーザー光ほど、前記偏向器で偏向される角度の幅が大きいことを特徴とする請求項4記載のレーザー走査装置。
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