JP2004293724A - ボールバルブにおけるシート - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、このスプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせることにより、シール作用を強化したボールバルブを提供する。
【解決手段】ボールをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シート3の外周側から内方へ向けた溝5を設け、この溝5に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリング4を装着し、このスプリング4による弾発力の分力により前記シート3の背面へ面圧を発生させると共にボール2とシート3との接触部に面圧を与えるようにしたボールバルブにおけるスプリング入りシート。
【選択図】 図1
【解決手段】ボールをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シート3の外周側から内方へ向けた溝5を設け、この溝5に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリング4を装着し、このスプリング4による弾発力の分力により前記シート3の背面へ面圧を発生させると共にボール2とシート3との接触部に面圧を与えるようにしたボールバルブにおけるスプリング入りシート。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はボールバルブにおいて、シート自身がスプリング効果を持つたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールバルブ本体とボールとの間をシールする作用は、ボール側に圧接されるシートの押圧力による影響が大きく、特にトラニオン構造のバルブは、ボールが固定されていることから、シ−トに対し、スプリング等により強制的に荷重を与え、シートをボールに圧着するよう押し付けないとシールできない。
【0003】
このため、従来はシートをシートボックス等に入れ、その背面にスプリングを装着する構造が用いられ、通常図10、図11に示すような構成をしている。
【0004】
図10では、シートボックス12にシート3を挿入し、シートボックス12の背面をスプリング13で押して、ボールとシートとの間に面圧を発生させている。シートボックス12は金属製のため、外周にOリング14(ゴム)を装着している。
【0005】
また、図11では、構造は図10と同じであるが、溶剤等の流体の場合、シートボックス14の外周に装着されているOリングが腐食することを防止するため、内側にスプリング15を入れたPTFE(四弗化エチレン樹脂)製のパッキン16を使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来例では、シートの背面に設けられるシートボックス12が金属製であり、ボールバルブ本体1との間をシールするためにOリング13を必要とし、このシートボックス12を押圧するために背面からスプリング15を装着する等複雑な構成である。
【0007】
またボールバルブ本体にシートボックスを入れるためのスペースが必要となるため、バルブ本体が大きくなり、重量及び価格アップの要因となる。
【0008】
本発明の目的は、上記のような構成に対して合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、このスプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせようとするものである。シート自身に弾力性を持たせることにより、ボールとシートとの間及びシート背面又は外周とボールバルブ本体との間をシールし、組立時にはボールとシートとの接触部で、初期締付け面圧が発生するよう締代を与え、シートとボールとの摺動によりボールとの接触部が磨耗しても、シート内部に装着したスプリングにより、面圧が保持できるため長期間安定したシール作用が可能であるボールバルブにおけるスプリング入りシート及びシート自身がスプリング効果を持ったシートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、このスプリングによる弾発力の分力により前記シートの背面へ面圧を発生させると共にボールとシートとの接触部に面圧を与えるボールバルブにおけるシートとした。
【0010】
第2発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着したボールバルブにおけるシートとした。
【0011】
第3発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、シート背面に流体流路と前記溝とを連通する複数の連通孔を設けたボールバルブにおけるシートとした。
【0012】
第4発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの内周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記溝の開口部を閉塞するインナーリング部を設けたボールバルブにおけるシートとした。
【0013】
第5発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向け且つボールの円周に沿う方向へ傾斜した溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記スプリングにより前記シートの背面への面圧方向とボールとシートとの接触部に与える面圧方向とがほぼ同軸になるよう設定したボールバルブにおけるシートとした。
【0014】
第6発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートを背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ向けた溝及びシートの内周側から内方へ向けた溝とを設け、これらの溝がスプリング効果を持つようにしたボールバルブにおけるシートとした。
【0015】
【作用】
第1発明では、合成樹脂製環状シートの外周側から内方へ設けた溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、このスプリングの弾発力により前記シートの背面へ分力に応じた面圧を発生させると共にボールとシートとの接触部に面圧を与えるようになり、シールが確実であり、且つ安定して作用するようになった。
【0016】
第2発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側であるシートの背面部から内方へ設けた溝に、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着したので、シート背面から外周への流体の流れを防止しシールするようになっている。
【0017】
第3発明は、シートとボールとの接触部とは反対側であるシートの背面部から内方へ設けた溝に、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、流体流路と前記溝とを連通する複数の連通孔を設けたので、シートによる弾発力はスプリングだけでなく、流体圧による液圧も加えられてより確実となる。
【0018】
第4発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートの内周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、スプリングの位置がボールに接近しているだけ、第3発明よりスプリングの分力が強力となり、シール効果を上げている。
【0019】
第5発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ且つボールの円周に沿う方向へ傾斜して設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記スプリングにより前記シートの背面への面圧方向とボールとシートの接触部に与える面圧方向とがほぼ同軸になるよう設定したことにより、シートの弾力性と相俟ってスプリングの荷重がボールとシートとの接触部へ伝わり易くなった。
【0020】
第6発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートを背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ設けた溝及びシートの内周側から内方へ設けた溝とを設け、これらの溝により合成樹脂製シート自身がスプリング効果を発揮するようにした。この場合スプリングの材質による耐食性を気にすることなく使用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明では、合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、スプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせることにより、ボールとシートとの間及びシート背面又はシート外周とボールバルブ本体との間を確実にシールするようにしたものである。
以下実施例を図面と共に説明する。
【0022】
【実施例】
図1は本願発明のシートを取付けたボールバルブの1例として、トラニオン構造を示す要部断面図である。1はボールバルブ本体、2はボールで、弁軸により回動可能に支持されている。3はシートを示す。シート3には溝5を設けることによりスプリング4が装着されている。
【0023】
本発明のシール構成は、トラニオン構造のボールバルブ本体に限定されるものではなく、また図1ではシングルシートタンク弁を示したが、これに限らずトラニオン型の2方弁や多方弁にも適用できる。
【0024】
図2以下に示した図は、シート3に生じる面圧のベクトル図を示す。
【0025】
図2では、シート外周側から内方へ向けて溝5を形成し、この溝5にスプリング4を装着した。これによりシート背面への荷重を発生させ、ボール2とシート3との接触部への荷重も与えられる。
【0026】
スプリング4は、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを用いている。
【0027】
図2において、スプリング4の荷重をSpとし、スプリングの荷重方向とボールセンター(図1のO)との角度をθ1とすると、ボールとシートの接触部で発生する荷重F1は、
【0028】
F1=Sp x cosθ1 −−−−−−1 となる。
【0029】
図3では、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝6を設け、この溝6に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリング4を装着しているので、シート背面から外周への流体の流れをシート外周でシールする作用がある。
【0030】
この場合、スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ2とすると、
θ1≧θ2であり、ボールとシートとの接触部で発生する荷重F2は、
【0031】
F2=Sp x cosθ2 −−−−−−−2
となり、F1≦F2 となって、同じスプリング力であれば、図2よりシール面圧が得やすい構造となっている。
【0032】
図4及び図5に示した断面図のように、シート3の背面に数カ所の連通孔7を設けて流体流路と溝とを連通させると、スプリング部に流体圧がかかるようになり、スプリング4によるスプリング力だけでなく流体圧でもボールとシートとの間に面圧を発生させることができる。
【0033】
スプリングの形状として、数ミリ程度の帯鋼をらせん状に巻いたもののほか、図6のようにコ字型のスプリング8も使用できる。
【0034】
図7は、シート内径側にスプリング4を装着することにより、図2と同様の効果を期待しているが、この構造では装着点がシートとボールとの接触部に近接しているので、図2の場合よりスプリング荷重が前記接触部へ伝わり易い構造になっている。
【0035】
スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ3とすると、 θ1又はθ2≧θ3 であり、ボールとシートとの接触部で発生する荷重F3は、
【0036】
F3=Sp x cosθ3 −−−−−−−3
であり、F1,F2≦F32 となり、同じスプリング力であれば、図2、図3の場合よりシール面圧が得やすい構造である。
【0037】
図8では、スプリング溝9をボールの円周方向に傾斜して設けることにより、シート背面への荷重とボールとシートとの接触部への荷重方向をほぼ同軸とし、スプリング力が伝わりやすい構造となっている。
【0038】
スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ4とすると、θ1又はθ2又はθ3≧θ4 であり、ボールとシートの接触部で発生する荷重F4は、
【0039】
F4=Sp x cosθ4 −−−−−4
となり、F1,F2又はF3≦F4 となって、同じスプリング力であれば、図2、図3、図7の場合よりシール面圧が得やすい構造となっている。
【0040】
図9では、スプリング部に金属を使用せず、シートの構造を背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ向けた溝10及びシートの内周側から内方へ向けた溝11とを設け、シート自身にスプリング特性を持たせた。
【0041】
この構造では、スプリング材質の耐蝕性に依存することなく使用できる。なお、シートの溝部にスプリングを装着して、よりシール性を高める事もできる。
【0042】
シートの材質は、PTFE(四弗化エチレン樹脂)の他、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)等に代表されるエンジニアリングプラスチック系の合成樹脂も適用できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明では、合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、このスプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせることにより、シール効果を確実にし、従来例のようにOリングを使用する必要がないので、Oリング材質の耐蝕性に依存されることがない。また従来例に比し部品数が少なく、コンパクト化が図れ低コストが実現できる。
【0044】
また合成樹脂の種類によれば、金属製のスプリングを使用しないシールも可能である。
【0045】
またボールバルブを組立てる時、ボールとシートとの接触部で、初期締付け面圧が発生するよう締代を与えることができ、シートの摺動によりボールとの接触部が磨耗しても、シート内部に装着したスプリングにより、面圧が保持できるため安定したシールが可能である等優れたボールバルブにおけるスプリング入りシートを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートを取付けたボールバルブの断面図。
【図2】シートによる面圧を示す1実施例のベクトル図。
【図3】シートによる面圧を示す他実施例のベクトル図。
【図4】シール部の他の実施例を示す拡大説明図。
【図5】同シール部の要部を示す拡大説明図。
【図6】スプリングの他実施例をしめす拡大説明図。
【図7】シートによる面圧を示す他実施例のベクトル図。
【図8】シートの形態の他実施例を示すベクトル図。
【図9】シートの形態の他実施例を示す説明図。
【図10】従来のシール状態を示す説明図。
【図11】従来の他のシール状態を示す説明図。
【符号の説明】
1: ボールバルブ本体
2: ボール
3: シート
4: スプリング
5,6: 溝
7: 連通孔
8: スプリング
9、10、11: 溝
【発明の属する技術分野】
本発明はボールバルブにおいて、シート自身がスプリング効果を持つたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールバルブ本体とボールとの間をシールする作用は、ボール側に圧接されるシートの押圧力による影響が大きく、特にトラニオン構造のバルブは、ボールが固定されていることから、シ−トに対し、スプリング等により強制的に荷重を与え、シートをボールに圧着するよう押し付けないとシールできない。
【0003】
このため、従来はシートをシートボックス等に入れ、その背面にスプリングを装着する構造が用いられ、通常図10、図11に示すような構成をしている。
【0004】
図10では、シートボックス12にシート3を挿入し、シートボックス12の背面をスプリング13で押して、ボールとシートとの間に面圧を発生させている。シートボックス12は金属製のため、外周にOリング14(ゴム)を装着している。
【0005】
また、図11では、構造は図10と同じであるが、溶剤等の流体の場合、シートボックス14の外周に装着されているOリングが腐食することを防止するため、内側にスプリング15を入れたPTFE(四弗化エチレン樹脂)製のパッキン16を使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来例では、シートの背面に設けられるシートボックス12が金属製であり、ボールバルブ本体1との間をシールするためにOリング13を必要とし、このシートボックス12を押圧するために背面からスプリング15を装着する等複雑な構成である。
【0007】
またボールバルブ本体にシートボックスを入れるためのスペースが必要となるため、バルブ本体が大きくなり、重量及び価格アップの要因となる。
【0008】
本発明の目的は、上記のような構成に対して合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、このスプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせようとするものである。シート自身に弾力性を持たせることにより、ボールとシートとの間及びシート背面又は外周とボールバルブ本体との間をシールし、組立時にはボールとシートとの接触部で、初期締付け面圧が発生するよう締代を与え、シートとボールとの摺動によりボールとの接触部が磨耗しても、シート内部に装着したスプリングにより、面圧が保持できるため長期間安定したシール作用が可能であるボールバルブにおけるスプリング入りシート及びシート自身がスプリング効果を持ったシートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、このスプリングによる弾発力の分力により前記シートの背面へ面圧を発生させると共にボールとシートとの接触部に面圧を与えるボールバルブにおけるシートとした。
【0010】
第2発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着したボールバルブにおけるシートとした。
【0011】
第3発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、シート背面に流体流路と前記溝とを連通する複数の連通孔を設けたボールバルブにおけるシートとした。
【0012】
第4発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの内周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記溝の開口部を閉塞するインナーリング部を設けたボールバルブにおけるシートとした。
【0013】
第5発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向け且つボールの円周に沿う方向へ傾斜した溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記スプリングにより前記シートの背面への面圧方向とボールとシートとの接触部に与える面圧方向とがほぼ同軸になるよう設定したボールバルブにおけるシートとした。
【0014】
第6発明ではボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートを背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ向けた溝及びシートの内周側から内方へ向けた溝とを設け、これらの溝がスプリング効果を持つようにしたボールバルブにおけるシートとした。
【0015】
【作用】
第1発明では、合成樹脂製環状シートの外周側から内方へ設けた溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、このスプリングの弾発力により前記シートの背面へ分力に応じた面圧を発生させると共にボールとシートとの接触部に面圧を与えるようになり、シールが確実であり、且つ安定して作用するようになった。
【0016】
第2発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側であるシートの背面部から内方へ設けた溝に、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着したので、シート背面から外周への流体の流れを防止しシールするようになっている。
【0017】
第3発明は、シートとボールとの接触部とは反対側であるシートの背面部から内方へ設けた溝に、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、流体流路と前記溝とを連通する複数の連通孔を設けたので、シートによる弾発力はスプリングだけでなく、流体圧による液圧も加えられてより確実となる。
【0018】
第4発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートの内周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、スプリングの位置がボールに接近しているだけ、第3発明よりスプリングの分力が強力となり、シール効果を上げている。
【0019】
第5発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ且つボールの円周に沿う方向へ傾斜して設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記スプリングにより前記シートの背面への面圧方向とボールとシートの接触部に与える面圧方向とがほぼ同軸になるよう設定したことにより、シートの弾力性と相俟ってスプリングの荷重がボールとシートとの接触部へ伝わり易くなった。
【0020】
第6発明では、合成樹脂製環状シートにおいて、シートを背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ設けた溝及びシートの内周側から内方へ設けた溝とを設け、これらの溝により合成樹脂製シート自身がスプリング効果を発揮するようにした。この場合スプリングの材質による耐食性を気にすることなく使用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明では、合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、スプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせることにより、ボールとシートとの間及びシート背面又はシート外周とボールバルブ本体との間を確実にシールするようにしたものである。
以下実施例を図面と共に説明する。
【0022】
【実施例】
図1は本願発明のシートを取付けたボールバルブの1例として、トラニオン構造を示す要部断面図である。1はボールバルブ本体、2はボールで、弁軸により回動可能に支持されている。3はシートを示す。シート3には溝5を設けることによりスプリング4が装着されている。
【0023】
本発明のシール構成は、トラニオン構造のボールバルブ本体に限定されるものではなく、また図1ではシングルシートタンク弁を示したが、これに限らずトラニオン型の2方弁や多方弁にも適用できる。
【0024】
図2以下に示した図は、シート3に生じる面圧のベクトル図を示す。
【0025】
図2では、シート外周側から内方へ向けて溝5を形成し、この溝5にスプリング4を装着した。これによりシート背面への荷重を発生させ、ボール2とシート3との接触部への荷重も与えられる。
【0026】
スプリング4は、金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを用いている。
【0027】
図2において、スプリング4の荷重をSpとし、スプリングの荷重方向とボールセンター(図1のO)との角度をθ1とすると、ボールとシートの接触部で発生する荷重F1は、
【0028】
F1=Sp x cosθ1 −−−−−−1 となる。
【0029】
図3では、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝6を設け、この溝6に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリング4を装着しているので、シート背面から外周への流体の流れをシート外周でシールする作用がある。
【0030】
この場合、スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ2とすると、
θ1≧θ2であり、ボールとシートとの接触部で発生する荷重F2は、
【0031】
F2=Sp x cosθ2 −−−−−−−2
となり、F1≦F2 となって、同じスプリング力であれば、図2よりシール面圧が得やすい構造となっている。
【0032】
図4及び図5に示した断面図のように、シート3の背面に数カ所の連通孔7を設けて流体流路と溝とを連通させると、スプリング部に流体圧がかかるようになり、スプリング4によるスプリング力だけでなく流体圧でもボールとシートとの間に面圧を発生させることができる。
【0033】
スプリングの形状として、数ミリ程度の帯鋼をらせん状に巻いたもののほか、図6のようにコ字型のスプリング8も使用できる。
【0034】
図7は、シート内径側にスプリング4を装着することにより、図2と同様の効果を期待しているが、この構造では装着点がシートとボールとの接触部に近接しているので、図2の場合よりスプリング荷重が前記接触部へ伝わり易い構造になっている。
【0035】
スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ3とすると、 θ1又はθ2≧θ3 であり、ボールとシートとの接触部で発生する荷重F3は、
【0036】
F3=Sp x cosθ3 −−−−−−−3
であり、F1,F2≦F32 となり、同じスプリング力であれば、図2、図3の場合よりシール面圧が得やすい構造である。
【0037】
図8では、スプリング溝9をボールの円周方向に傾斜して設けることにより、シート背面への荷重とボールとシートとの接触部への荷重方向をほぼ同軸とし、スプリング力が伝わりやすい構造となっている。
【0038】
スプリングの荷重方向とボールセンターとの角度をθ4とすると、θ1又はθ2又はθ3≧θ4 であり、ボールとシートの接触部で発生する荷重F4は、
【0039】
F4=Sp x cosθ4 −−−−−4
となり、F1,F2又はF3≦F4 となって、同じスプリング力であれば、図2、図3、図7の場合よりシール面圧が得やすい構造となっている。
【0040】
図9では、スプリング部に金属を使用せず、シートの構造を背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ向けた溝10及びシートの内周側から内方へ向けた溝11とを設け、シート自身にスプリング特性を持たせた。
【0041】
この構造では、スプリング材質の耐蝕性に依存することなく使用できる。なお、シートの溝部にスプリングを装着して、よりシール性を高める事もできる。
【0042】
シートの材質は、PTFE(四弗化エチレン樹脂)の他、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)等に代表されるエンジニアリングプラスチック系の合成樹脂も適用できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明では、合成樹脂製シートの内部にスプリングを装着し、このスプリングと共にシート自身にも弾力性を持たせることにより、シール効果を確実にし、従来例のようにOリングを使用する必要がないので、Oリング材質の耐蝕性に依存されることがない。また従来例に比し部品数が少なく、コンパクト化が図れ低コストが実現できる。
【0044】
また合成樹脂の種類によれば、金属製のスプリングを使用しないシールも可能である。
【0045】
またボールバルブを組立てる時、ボールとシートとの接触部で、初期締付け面圧が発生するよう締代を与えることができ、シートの摺動によりボールとの接触部が磨耗しても、シート内部に装着したスプリングにより、面圧が保持できるため安定したシールが可能である等優れたボールバルブにおけるスプリング入りシートを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートを取付けたボールバルブの断面図。
【図2】シートによる面圧を示す1実施例のベクトル図。
【図3】シートによる面圧を示す他実施例のベクトル図。
【図4】シール部の他の実施例を示す拡大説明図。
【図5】同シール部の要部を示す拡大説明図。
【図6】スプリングの他実施例をしめす拡大説明図。
【図7】シートによる面圧を示す他実施例のベクトル図。
【図8】シートの形態の他実施例を示すベクトル図。
【図9】シートの形態の他実施例を示す説明図。
【図10】従来のシール状態を示す説明図。
【図11】従来の他のシール状態を示す説明図。
【符号の説明】
1: ボールバルブ本体
2: ボール
3: シート
4: スプリング
5,6: 溝
7: 連通孔
8: スプリング
9、10、11: 溝
Claims (6)
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、このスプリングによる弾発力の分力により前記シートの背面へ面圧を発生させると共にボールとシートとの接触部に面圧を与えるようにしたことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着したことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートとボールとの接触部とは反対側のシート背面側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、シート背面に流体流路と前記溝とを連通する複数の連通孔を設けたことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの内周側から内方へ向けた溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記溝の開口部を閉塞するインナーリング部を設けたことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートの外周側から内方へ向け且つボールの円周に沿う方向へ傾斜した溝を設け、この溝に金属製又はゴム等の弾性体を含むスプリングを装着し、前記スプリングにより前記シートの背面への面圧方向とボールとシートとの接触部に与える面圧方向とがほぼ同軸になるよう設定したことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
- ボールに押し付けられ、バルブをシールする合成樹脂製環状シートにおいて、シートを背面側に延長した形態とし、シートの外周側から内方へ向けた溝及びシートの内周側から内方へ向けた溝とを設け、これらの溝がスプリング効果を持つようにしたことを特徴とするボールバルブにおけるシート。
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2003
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