JP2004293676A - 流体伝動装置 - Google Patents

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JP2004293676A
JP2004293676A JP2003087363A JP2003087363A JP2004293676A JP 2004293676 A JP2004293676 A JP 2004293676A JP 2003087363 A JP2003087363 A JP 2003087363A JP 2003087363 A JP2003087363 A JP 2003087363A JP 2004293676 A JP2004293676 A JP 2004293676A
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Yukisato Kaneda
幸悟 金田
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Yutaka Giken Co Ltd
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Yutaka Giken Co Ltd
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Abstract

【課題】流体伝動装置において,タービン羽根車及びサイドカバー間に介装されるスラストベアリングがサイドカバーの油圧による膨張時でも,組立時でも,分解したりベアリングハウジングから脱落したりしないようにする。
【解決手段】スラストベアリング36を,放射状に配列された多数のニードルローラ50と,リテーナ51と,このリテーナ51の外周に相対回転自在に嵌合する外側円筒部52aを有してニードルローラ50群の一側に配置される第1スラスト板52と,ニードルローラ50群の他側に配置される第2スラスト板53とで分解不能の組立体に構成し,第1スラスト板52に,外側円筒部52aの外周面より突出する係止爪56を形成し,タービン羽根車3及びサイドカバー5の対向面の一方には,外側円筒部52aが嵌合するベアリングハウジング57と,係止爪56が係合する係止溝58とを設けた。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,入力軸に連結されるポンプ羽根車,このポンプ羽根車との間に流体循環回路を画成するタービン羽根車,タービン羽根車の外側面を覆うようにポンプ羽根車に連設されると共に出力軸に連結されるタービン羽根車とを備えてなり,前記タービン羽根車及びサイドカバー間にスラストベアリングを介装した流体伝動装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる流体伝動装置は,例えば下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−312748号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のかゝる流体伝動装置では,タービン羽根車及びサイドカバー間にスラストベアリングを介装する場合,その保持のためには,タービン羽根車及びサイドカバーの両対向面の一方に設けたベアリングハウジングにスラストベアリングを単に嵌装するだけであり,しかも上記ベアリングハウジングは比較的浅いので,もし,サイドカバーが内部の油圧により軸方向膨らんで,タービン羽根車及びサイドカバーの間隔が広がれば,スラストベアリングが分解若しくはベアリングハウジングから離脱する虞があるので,従来ではサイドカバー等,流体伝動装置各部の剛性を充分に確保して,そのような虞に対応しているが,それによれば流体伝動装置の重量増は免れない。また流体伝動装置の組立時には,スラストベアリングがベアリングハウジングから離脱しないように配慮しなければならず,組立性が良好とは言い難い。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,サイドカバーの油圧による膨張時でも,また組立時でもスラストベアリングの分解やベアリングハウジングからの離脱を防ぐことができるようにして,サイドカバー等の薄肉化,延いては全体の軽量化を可能にすると共に,組立性の向上を図ることができる前記流体伝動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,入力軸に連結されるポンプ羽根車,このポンプ羽根車との間に流体循環回路を画成するタービン羽根車,タービン羽根車の外側面を覆うようにポンプ羽根車に連設されると共に出力軸に連結されるタービン羽根車とを備えてなり,前記タービン羽根車及びサイドカバー間にスラストベアリングを介装した流体伝動装置において,前記スラストベアリングを,放射状に配列された多数のニードルローラと,これらニードルローラを保持する多数の窓を持った環状のリテーナと,このリテーナの外周に相対回転自在に嵌合する外側円筒部を有して前記ニードルローラ群の一側に配置される第1スラスト板と,前記ニードルローラ群の他側に配置される第2スラスト板とで分解不能の組立体に構成し,前記第1スラスト板に,外側外側円筒部の外周面より突出する係止爪を形成する一方,前記タービン羽根車及びサイドカバーの対向面の一方には,前記外側円筒部が嵌合するベアリングハウジングと,このベアリングハウジングの内周面にあって前記係止爪が係合する係止溝とを設けたことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,サイドカバーが,内部の油圧上昇により軸方向に膨らんで,ステータ羽根車及びサイドカバー間の間隔が広がった場合でも,組立体となったスラストベアリングは分解せず,また外側円筒部の係止爪とベアリングハウジングの係止溝との係合により,スラストベアリングのベアリングハウジングからの離脱を確実に防ぐことができ,常にスラストベアリングをサイドカバー及びタービン羽根車間の定位置に保持することができ,したがって,サイドカバー等の薄肉化,延いては流体伝動装置全体の軽量化を図ることができる。また流体伝動装置の組立中,サイドカバー又はタービン羽根車のベアリングハウジングにスラストベアリングを装着した後,サイドカバー又はタービン羽根車をどのような姿勢に置いても,スラストベアリングの分解と,スラストベアリングのベアリングハウジングからの離脱とを確実に防ぎ,組立性の向上に寄与することができる。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記外側円筒部の一部を切り起こして,先端を該外側円筒部のベアリングハウジングへの嵌合方向後方へ向けた前記係止爪を形成したことを第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,万一,スラストベアリングを逆向きにしてベアリングハウジングに装着しようとする誤組立時には,係止爪の先端がベアリングハウジングの開口部に干渉して,その装着を阻止することになり,そのような誤組立を防ぐことができる。
【0010】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記係止爪を,その先端に向かって前記外側円筒部の外周面から遠退くように傾斜させたことを第3の特徴とする。
【0011】
この第3の特徴によれば,第1スラスト板の外側円筒部をベアリングハウジングに押し込むだけで,係止爪の弾性を利用して,これを係止溝に簡単に係合させることができ,組立性が極めて良好である。
【0012】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記係止爪の第1スラスト板からの長さを,前記円筒部の軸方向長さより短く設定し,この係止爪が係合する前記係止溝を環状に形成したことを第4の特徴とする。
【0013】
この第4の特徴によれば,ベアリングハウジングの内周面で外側円筒部を安定良く支持し得ると共に,外側円筒部とベアリングハウジングとの如何なる相対回転位置においても係止爪を係合溝に係合させることが可能であり,組立性の一層の向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例に係るトルクコンバータの縦断側面図,図2は図1の2部の拡大図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図2の4−4線断面図である。
【0016】
先ず,図1において,流体伝動装置としてのトルクコンバータTは,ポンプ羽根車2と,それと対置されるタービン羽根車3と,それらの内周部間に配置されるステータ羽根車4とを備え,これら三羽根車2,3,4間に作動オイルによる動力伝達のための循環回路6が画成される。
【0017】
ポンプ羽根車2には,タービン羽根車3の外側面を覆うサイドカバー5が溶接により一体的に連設される。サイドカバー5の外周面には連結ボス7が溶接されており,クランク軸1に結合した駆動板8がこのボス7にボルト9で固着される。タービン羽根車3のハブ3hとサイドカバー5との間にスラストベアリング36が介裝される。このスラストベアリング36と,その保持構造に本発明が適用されるもので,それについては後に詳述する。
【0018】
トルクコンバータTの中心部にクランク軸1と同軸上に並ぶ出力軸10が配置され,この出力軸10は,タービン羽根車3のハブ3hにスプライン嵌合されると共に,サイドカバー5中心部の支持筒5aに軸受ブッシュ18を介して回転自在に支承される。出力軸10は図示しない多段変速機の主軸となる。
【0019】
出力軸10の外周には,ステータ羽根車4のハブ4hをフリーホイール11を介して支承する円筒状のステータ軸12が配置され,これら出力軸10及びステータ軸12間には,それらの相対回転を許容する軸受ブッシュ13が介裝される。ステータ軸12の外端部はミッションケース14に回転不能に支持される。
【0020】
ステータ羽根車4のハブ4hと,これに対向するポンプ羽根車2及びタービン羽根車3の各ハブ2h,3hとの間にはスラストベアリング37,37′が介裝される。
【0021】
またステータ軸12の外周には,ポンプ羽根車2に結合した補機駆動軸20が相対回転可能に配置され,この補機駆動軸20によって,トルクコンバータTに作動オイルを供給するオイルポンプ21が駆動される。
【0022】
タービン羽根車3及びサイドカバー5は,それらの間にクラッチ室22を画成し,このクラッチ室22に,タービン羽根車3及びサイドカバー5間を直結し得るロックアップクラッチLが収容される。ロックアップクラッチLの主体をなすクラッチピストン25は,クラッチ室22をタービン羽根車3側の内側室22aとサイドカバー5側の外側室22bとに区画するようにクラッチ室22に配置される。
【0023】
このクラッチピストン25は,サイドカバー5側に膨出成形された環状のウェブ25aと,このウェブ25aの外周縁からタービン羽根車3側に屈曲成形された円筒状のリム25bとを備えており,ウェブ25aには,サイドカバー5の内側面に対向する摩擦ライニング28が付設される。クラッチピストン25は,その内周端部に溶接により固設されたハブ25cをタービン羽根車3のハブ3hの外周面に摺動可能に支承させており,摩擦ライニング28をサイドカバー5の内側面に圧接させる接続位置と,その内壁から離間する非接続位置との間を軸方向に移動し得るようになっている。クラッチピストン25のハブ25cには,窒化等の表面硬化処理が施されている。
【0024】
クラッチピストン25のウェブ25a及びリム25bの内側に画成されるダンパ収容室31には,クラッチピストン25及びタービン羽根車3間を緩衝的に連結するトルクダンパDが配設される。
【0025】
出力軸10の中心部には,横孔39及びスラストベアリング36を介してクラッチ室22の外側室22bに連通する第1油路40が設けられる。また補機駆動軸20とステータ軸12との間には,スラストベアリング37,37′及びフリーホイール11を介して循環回路6の内周部に連通する第2油路41が画成され,これら第1油路40及び第2油路41は,ロックアップ制御弁42により,オイルポンプ21の吐出側とオイル溜め43とに交互に接続されるようになっている。
【0026】
而して,エンジンのアイドリングないし極低速運転域では,ロックアップ制御弁42は,図1に示すように,第1油路40をオイルポンプ21の吐出側に接続する一方,第2油路41をオイル溜め43に接続するように,図示しない電子制御ユニットにより制御される。したがって,エンジンのクランク軸1の出力トルクが駆動板8,サイドカバー5,ポンプ羽根車2へと伝達して,それを回転駆動し,更にオイルポンプ21をも駆動すると,オイルポンプ21の吐出作動オイルがロックアップ制御弁42から第1油路40,横孔39及びスラストベアリング36,クラッチ室22の外側室22b,内側室22aを順次経て循環回路6に流入し,該回路6を満たした後,スラストベアリング37,37′及びフリーホイール11を順次経て第2油路41に移り,ロックアップ制御弁42からオイル溜め43に還流する。
【0027】
クラッチ室22では,上記のような作動オイルの流れにより外側室22bの方が内側室22aよりも高圧となり,その圧力差によりクラッチピストン25がサイドカバー5の内壁から引き離される方向へ押圧されるので,ロックアップクラッチLは非接続状態となっており,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3の相対回転を許容している。したがって,クランク軸1からポンプ羽根車2が回転駆動されると,循環回路6を満たしている作動オイルが矢印のように循環回路6を循環することにより,ポンプ羽根車2の回転トルクをタービン羽根車3に伝達し,出力軸10を駆動する。
【0028】
このとき,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3間でトルクの増幅作用が生じていれば,それに伴う反力がステータ羽根車4に負担され,ステータ羽根車4は,フリーホイール11のロック作用により固定される。
【0029】
トルク増幅作用を終えると,ステータ羽根車4は,これが受けるトルク方向の反転により,フリーホイール11を空転させながらポンプ羽根車2及びタービン羽根車3と共に同一方向へ回転するようになる。
【0030】
トルクコンバータTがこのようなカップリング状態となったところで,電子制御ユニットによりロックアップ制御弁42を切換える。その結果,オイルポンプ21の吐出作動オイルは,先刻とは反対に,ロックアップ制御弁42から第2油路41を経て循環回路6に流入して,該回路6を満たした後,クラッチ室22の内側室22aに移って,該内側室22aをも満たす。一方,クラッチ室22の外側室22bは,第1油路40及びロックアップ制御弁42を介してオイル溜め43に開放されるので,クラッチ室22では,内側室22aの方が外側室22bよりも高圧となり,クラッチピストン25は,その圧力差によりサイドカバー5側に押圧され,摩擦ライニング28をサイドカバー5の内側壁に圧接させ,ロックアップクラッチLは接続状態となる。したがってポンプ羽根車2及びタービン羽根車3は直結の状態となり,クランク軸1の出力トルクを出力軸10に効率良く伝達することができ,燃費の低減を図ることができる。
【0031】
さて,図2〜図4により,前記スラストベアリング36と,その保持構造について説明する。
【0032】
スラストベアリング36は,放射状に配列された多数のニードルローラ50,50…と,これらニードルローラ50,50…を保持する多数の窓51a,51a…を持った環状のリテーナ51と,ニードルローラ50,50…群を挟んで対向する一対の第1及び第2スラスト板52,53とからなっており,第1及び第2スラスト板52,53は焼き入れ鋼板製である。
【0033】
第1スラスト板52には,リテーナ51の外周面に相対回転自在に嵌合する外側円筒部52aが,また第2スラスト板53には,リテーナ51の内周面に相対回転自在に嵌合する内側円筒部53aがそれぞれ一体に形成される。外側円筒部52aに開口端には,半径方向内方に突出してリテーナ51の外側円筒部52aからの離脱を阻止する複数のかしめ突起54が周方向等間隔に形成され,また内側円筒部53aの開口端には,半径方向外方へ突出してリテーナ51の内側円筒部53aからの離脱を阻止する複数のかしめ突起55が周方向等間隔に形成される。したがって,第1及び第2スラスト板52,53は,リテーナ51を介して軸方向に連結されることになる。こうして,スラストベアリング36は,ニードルローラ50,50…群,リテーナ51及び第1,第2スラスト板52,53により,分解不能な一個の組立体に構成される。
【0034】
また第1スラスト板52には,外側円筒部52aの切り起こしにより,外側円筒部52aの外周面より突出する複数の係止爪56が周方向等間隔に設けられる。これら係止爪56は第1スラスト板52の半径方向に撓み得る弾性を有する。
【0035】
各係止爪56は,先端を外側円筒部52aの開口端側に向けると共に,その先端に向かって外側円筒部52a外周面からの突出量が増加するように傾斜している。また係止爪56の第1スラスト板52からの軸方向突出長さhは,外側円筒部52aの軸方向長さHより短く設定される。
【0036】
一方,サイドカバー5の内側面には,前記第1スラスト板52を外側円筒部52aと共に嵌合し得るベアリングハウジング57が形成され,このベアリングハウジング57の内周面に,前記係止爪56が係合し得る環状の係止溝58が形成される。
【0037】
而して,第1スラスト板52を先頭にして,スラストベアリング36をサイドカバー5のベアリングハウジング57に押し込めば,第1スラスト板52の外側円筒部52aがベアリングハウジング57の内周面に嵌合するに伴い,各係止爪56は,その傾斜した外側面をベアリングハウジング57の開口部により徐々に押圧されることで半径方向内方へ撓まされるが,該係止爪56の先端部が係止溝58に達すると,該係止爪56は,自己の反発力で本来の外方突出状態に復帰して,先端を係止溝58に係合させ,スラストベアリング36のベアリングハウジング57からの離脱を阻止する。第2スラスト板53には,タービン羽根車3のハブ3hの,オイル溝60を有する端面が当接するように対置される。こうして,スラストベアリング36は,サイドカバー5及びタービン羽根車3間に介装される。
【0038】
而して,クラッチ室22内の油圧上昇によりサイドカバー5が軸方向に膨らんで,タービン羽根車3及びサイドカバー5間の間隔が広がった場合でも,組立体を構成するスラストベアリング36は分解しないことは勿論,外側円筒部52aの係止爪56と,ベアリングハウジング57の係止溝58との係合により,スラストベアリング36のベアリングハウジング57からの離脱を確実に防ぐことができ,常にスラストベアリング36をサイドカバー5及びタービン羽根車3間の定位置に保持することができる。したがって,サイドカバー5等の薄肉化,延いてはトルクコンバータTの軽量化を図ることができる。
【0039】
またトルクコンバータTの組立中,サイドカバー5のベアリングハウジング57にスラストベアリング36を上記にように装着した後,サイドカバー5をどのような姿勢に置いても,上記と同様にスラストベアリング36の分解とスラストベアリング36のベアリングハウジング57からの離脱とを確実に防ぎ,組立性の向上に寄与する。
【0040】
ところで,各係止爪56は,先端を第1外側円筒部52aの開口端側へ,即ち第1外側円筒部52aのベアリングハウジング57への嵌合方向後方へ向けると共に,その先端に向かって外側円筒部52a外周面からの突出量が増加するように傾斜しているので,上記にように,単に外側円筒部52aをベアリングハウジング57に押し込むだけで,各係止爪56の弾性を利用して,これを係止溝58に簡単に係合させることができ,組立性が極めて良好である。のみならず,万一,第2スラスト板53を先頭にして,スラストベアリング36をベアリングハウジング57に装着しようとする誤組立が行われる場合には,各係止爪56の先端がベアリングハウジング57の開口部に干渉して,その装着を阻止することになるから,そのような誤組立を防ぐことができる。
【0041】
また各係止爪56の第1スラスト板52からの軸方向突出長さは,外側円筒部52aの軸方向長さHより短く設定されると共に,ベアリングハウジング57内周面の係止溝58は環状に係合されるので,ベアリングハウジング57の内周面で外側円筒部52aを安定良く支持し得ると共に,外側円筒部52aとベアリングハウジング57との如何なる相対回転位置においても各係止爪56を係止溝58に係合させることが可能であり,組立性の一層の向上を図ることができる。
【0042】
尚,図1中,符号15は,ポンプ羽根車2の外周面に溶接された始動用リングギヤである。
【0043】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,ベアリングハウジング57は,タービン羽根車3のハブ3h側に設けることもできる。また本発明は,ステータ羽根車を持たない流体継手にも適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,入力軸に連結されるポンプ羽根車,このポンプ羽根車との間に流体循環回路を画成するタービン羽根車,タービン羽根車の外側面を覆うようにポンプ羽根車に連設されると共に出力軸に連結されるタービン羽根車とを備えてなり,前記タービン羽根車及びサイドカバー間にスラストベアリングを介装した流体伝動装置において,前記スラストベアリングを,放射状に配列された多数のニードルローラと,これらニードルローラを保持する多数の窓を持った環状のリテーナと,このリテーナの外周に相対回転自在に嵌合する外側円筒部を有して前記ニードルローラ群の一側に配置される第1スラスト板と,前記ニードルローラ群の他側に配置される第2スラスト板とで分解不能の組立体に構成し,前記第1スラスト板に,外側外側円筒部の外周面より突出する係止爪を形成する一方,前記タービン羽根車及びサイドカバーの対向面の一方には,前記外側円筒部が嵌合するベアリングハウジングと,このベアリングハウジングの内周面にあって前記係止爪が係合する係止溝とを設けたので,サイドカバーが,内部の油圧上昇により軸方向に膨らんで,ステータ羽根車及びサイドカバー間の間隔が広がった場合でも,組立体となったスラストベアリングは分解せず,また外側円筒部の係止爪とベアリングハウジングの係止溝との係合により,スラストベアリングのベアリングハウジングからの離脱を確実に防ぐことができ,常にスラストベアリングをサイドカバー及びタービン羽根車間の定位置に保持することができ,したがって,サイドカバー等の薄肉化,延いては流体伝動装置全体の軽量化を図ることができる。また流体伝動装置の組立中,サイドカバー又はタービン羽根車のベアリングハウジングにスラストベアリングを装着した後,サイドカバー又はタービン羽根車をどのような姿勢に置いても,スラストベアリングの分解と,スラストベアリングのベアリングハウジングからの離脱とを確実に防ぎ,組立性の向上に寄与することができる。
【0045】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記外側円筒部の一部を切り起こして,先端を該外側円筒部のベアリングハウジングへの嵌合方向後方へ向けた前記係止爪を形成したので,万一,スラストベアリングを逆向きにしてベアリングハウジングに装着しようとする誤組立時には,係止爪の先端がベアリングハウジングの開口部に干渉して,その装着を阻止することになり,そのような誤組立を防ぐことができる。
【0046】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第2の特徴に加えて,前記係止爪を,その先端に向かって前記外側円筒部の外周面から遠退くように傾斜させたので,スラスト板の外側円筒部をベアリングハウジングに押し込むだけで,係止爪の弾性を利用して,これを係止溝に簡単に係合させることができ,組立性が極めて良好である。
【0047】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記係止爪のスラスト板からの長さを,前記円筒部の軸方向長さより短く設定し,この係止爪が係合する前記係止溝を環状に形成したので,ベアリングハウジングの内周面で外側円筒部を安定良く支持し得ると共に,外側円筒部とベアリングハウジングとの如何なる相対回転位置においても係止爪を係合溝に係合させることが可能であり,組立性の一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るトルクコンバータの縦断側面図
【図2】図1の2部の拡大図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【符号の説明】
T・・・・・・流体伝動装置(トルクコンバータ)
1・・・・・・入力軸(クランク軸)
2・・・・・・ポンプ羽根車
3・・・・・・タービン羽根車
5・・・・・・サイドカバー
6・・・・・・流体循環回路
10・・・・・出力軸
36・・・・・スラストベアリング
50・・・・・ニードルローラ
51・・・・・リテーナ
51a・・・・窓
52・・・・・第1スラスト板
52a・・・・外側円筒部
53・・・・・第2スラスト板
53a・・・・内側円筒部
56・・・・・係止爪
57・・・・・ベアリングハウジング
58・・・・・係止溝

Claims (4)

  1. 入力軸(1)に連結されるポンプ羽根車(2),このポンプ羽根車(2)との間に流体循環回路(6)を画成するタービン羽根車(3),タービン羽根車(3)の外側面を覆うようにポンプ羽根車(2)に連設されると共に出力軸(10)に連結されるタービン羽根車(3)とを備えてなり,前記タービン羽根車(3)及びサイドカバー(5)間にスラストベアリング(36)を介装した流体伝動装置において,
    前記スラストベアリング(36)を,放射状に配列された多数のニードルローラ(50)と,これらニードルローラ(50)を保持する多数の窓(51a)を持った環状のリテーナ(51)と,このリテーナ(51)の外周に相対回転自在に嵌合する外側円筒部(52a)を有して前記ニードルローラ(50)群の一側に配置される第1スラスト板(52)と,前記ニードルローラ(50)群の他側に配置される第2スラスト板(53)とで分解不能の組立体に構成し,前記第1スラスト板(52)に,外側円筒部(52a)の外周面より突出する係止爪(56)を形成する一方,前記タービン羽根車(3)及びサイドカバー(5)の対向面の一方には,前記外側円筒部(52a)が嵌合するベアリングハウジング(57)と,このベアリングハウジング(57)の内周面にあって前記係止爪(56)が係合する係止溝(58)とを設けたことを特徴とする流体伝動装置。
  2. 請求項1記載の流体伝動装置において,
    前記外側円筒部(52a)の一部を切り起こして,先端を該外側円筒部(52a)のベアリングハウジング(57)への嵌合方向後方へ向けた前記係止爪(56)を形成したことを特徴とする流体伝動装置。
  3. 請求項2記載の流体伝動装置において,
    前記係止爪(56)を,その先端に向かって前記外側円筒部(52a)の外周面から遠退くように傾斜させたことを特徴とする流体伝動装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の流体伝動装置において,
    前記係止爪(56)の第1スラスト板(52)からの長さ(h)を,前記外側円筒部(52a)の軸方向長さ(H)より短く設定し,この係止爪(56)が係合する前記係止溝(58)を環状に形成したことを特徴とする流体伝動装置。
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