JP4451012B2 - 一方向クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナーレースおよびアウターレース間にロック要素を配置し、ロック要素によりインナーレースおよびアウターレースの一方向の相対回転を規制して他方向の相対回転を許容する一方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、米国特許第5853073号明細書、米国特許第5954174号明細書に記載されているように、従来の一方向クラッチは、インナーレース、アウターレース、ポールおよびスプリングを備え、アウターレースの内周面に形成したポケットに収納したポールを、インナーレースの外周面に形成したノッチに向けてスプリングで付勢している。インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転しようとすると、スプリングで付勢されたポールがノッチに係合して前記相対回転が規制され、インナーレースおよびアウターレースが他方向に相対回転しようとすると、ポールがスプリングの弾発力に抗してノッチからポケット内に押し込まれて前記相対回転が許容される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のものは、インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転してポールがノッチに係合したときに衝撃音が発生して商品性が低下する問題があるだけでなく、前記衝撃に耐え得るようにポールの強度や数を増加させる必要があった。
【0004】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、一方向クラッチがロックする際の衝撃音を小さくするとともに、ロック要素に加わる荷重を減少させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、インナーレースおよびアウターレースの嵌合面間にロック要素を配置し、そのロック要素によりインナーレースおよびアウターレースの一方向の相対回転を規制して他方向の相対回転を許容する一方向クラッチにおいて、インナーレースを、相互に相対回転可能に嵌合されるインナーリングおよびアウターリングに分割すると共に、そのインナーリング内周面と、該インナーリングを支持する軸の外周面との間に、作動オイルが流通可能な隙間を有して油路に連通するスプライン嵌合部を設け、そのインナーレースのインナーリングおよびアウターリング間に、絞りを介して外部と連通する第1油室を画成し、その第1油室を前記スプライン嵌合部に連通させる油孔を、インナーレースのインナーリングに形成し、インナーレースおよびアウターレースの前記一方向への相対回転により、インナーレースのインナーリングおよびアウターリングを相対回転させて第1油室の容積を減少させると共にこの第1油室を油孔から遮断し、その容積減少に伴い該第1油室から排出された作動オイルが前記絞りを通過する際に前記一方向への相対回転に減衰力を与えることを特徴とする一方向クラッチ提案される。
【0006】
上記構成によれば、一方向クラッチがフリー状態からロック状態に移行するときには、インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転してロック要素によりロックした後に、インナーレースのインナーリングおよびアウターリングが更に相対回転して第1油室の容積が減少し、第1油室から排出された作動オイルが絞りを通過することで前記相対回転に減衰力が与えられる。その結果、ロック要素が作用した瞬間に一方向クラッチがロックすることなく、第1油室の容積の減少による減衰力を受けながらインナーレースおよびアウターレースが更に相対回転し、ロック要素が作用した際の衝撃音を緩和することができ、しかもロック要素に加わる荷重が減少するのでロック要素を小型化したり数を減少させたりすることができる。また、一方向クラッチがロック状態からフリー状態に移行するときには、インナーレースのインナーリングおよびアウターリングは、前述と逆方向に相対回転して元のフリー状態に復帰し、このとき、第1油室には油孔を介して作動オイルが供給される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明の前記特徴に加えて、アウターレースを、相互に相対回転可能に嵌合されるインナーリングおよびアウターリングに分割すると共に、その両リング間に、絞りを介して外部と連通する第2油室を画成し、インナーレースおよびアウターレースの前記一方向への相対回転により、アウターレースのインナーリングおよびアウターリングを相対回転させて第2油室の容積を減少させ、その容積減少に伴い該第2油室から排出された作動オイルが前記絞りを通過する際に、前記一方向への相対回転に減衰力を与えることを特徴とする一方向クラッチが提案される。
【0008】
上記構成によれば、一方向クラッチがフリー状態からロック状態に移行するときには、インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転してロック要素によりロックした後に、アウターレースのインナーリングおよびアウターリングが更に相対回転して第2油室の容積が減少し、第2油室から排出された作動オイルが絞りを通過することで前記相対回転に減衰力が与えられる。その結果、ロック要素が作用した瞬間に一方向クラッチがロックすることなく、油室の容積の減少による減衰力を受けながらインナーレースおよびアウターレースが更に相対回転し、ロック要素が作用した際の衝撃音を更に緩和することができる。
【0009】
尚、実施例のポール53は本発明のロック要素に対応し、実施例の第1、第2インナーリング55,59は本発明のインナーリングに対応し、実施例の第1、第2アウターリング56,60は本発明のアウターリングに対応する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、図1は一方向クラッチを備えたトルクコンバータの縦断面図、図2は一方向クラッチのロック状態を示す、図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4はインナーレースの第1インナーリングの単品図、図5はインナーレースの第1アウターリングの単品図、図6はアウターレースの第2インナーリングの単品図、図7はアウターレースの第2アウターリングの単品図、図8は一方向クラッチのフリー状態を示す、前記図2に対応する図である。
【0012】
図1に示すように、自動車の自動変速機用のトルクコンバータTは、ポンプインペラ11と、それと対置されるタービンランナー12と、それらの内周部間に配置されるステータ13とを備えており、これらポンプインペラ11、タービンランナー12およびステータ13間には作動オイルによる動力伝達のための循環回路14が形成される。
【0013】
ポンプインペラ11には、タービンランナー12の外側面を覆うサイドカバー15が溶接により固定される。サイドカバー15の外側面中心には支軸部15aが一体に形成されており、この支軸部15aはエンジンのクランク軸16の軸端中心部の軸孔16aに嵌合する。サイドカバー15の外周面に溶接された連結リング17は、クランク軸16にボルト18で固定した駆動板19にボルト20で結合される。
【0014】
トルクコンバータTの中心部にクランク軸16と同軸上に並ぶ出力軸21が配置されており、この出力軸21の外周にタービンランナー12のボス22がスプライン嵌合する。出力軸21は自動変速機の主軸となる。タービンランナー12のボス22とサイドカバー15との間にはスラストベアリング23が配置されており、出力軸21の先端外周面とサイドカバー15の支軸部15aの内周面との間に軸受ブッシュ24が配置される。出力軸21の外周には、ステータ13のボス13aを一方向クラッチ25を介して支承する円筒状のステータ軸26が配置されており、これら出力軸21およびステータ軸26間には軸受ブッシュ27が介裝される。ステータ軸26の外端部はミッションケース28に回転不能に支持される。
【0015】
ステータ軸26の外周には、ポンプインペラ11に溶接した補機駆動軸29が相対回転可能に配置されており、この補機駆動軸29によって、トルクコンバータTに作動オイルを供給するオイルポンプ30が駆動される。補機駆動軸29はトルクコンバータケース31にボールベアリング32を介して支持され、補機駆動軸29およびトルクコンバータケース31間はシール部材33,34でシールされる。
【0016】
タービンランナー12とサイドカバー15との間に配置されたロックアップクラッチ35は、内周面をタービンランナー12のボス22の外周面に摺動自在に支持された円板状のピストン36を備えており、タービンランナー12に溶接されたステー37と、ピストン36にリベット38で固定したばね座39とが、円周方向に配置されたダンパースプリング40で連結される。ピストン36の外周部に、サイドカバー15の内壁面に当接可能な摩擦ライニング41が固定される。
【0017】
ロックアップクラッチ35のピストン36とタービンランナー12との間に第1油室42が区画され、ピストン36とサイドカバー15との間に第2油室43が区画される。第1油室42はポンプインペラ11およびタービンランナー12間に連通し、更に補機駆動軸29およびステータ軸26間の第1油路44に連通する。第2油室43は出力軸21の油孔21aを介して該出力軸21の中心の第2油路45に連通する。第1油路44および第2油路45は、ロックアップ制御弁46により、オイルポンプ30の吐出側とオイル溜め47とに交互に接続される。
【0018】
次に、図2〜図7を併せて参照して一方向クラッチ25の構造を説明する。
【0019】
一方向クラッチ25はインナーレース51と、アウターレース52と、6個のポール53と、各ポール53を付勢するスプリング54とを備える。インナーレース51は、第1インナーリング55(図4参照)と、その外周に相対回転自在に嵌合する第1アウターリング56(図5参照)とから構成される。ステータ軸26の外周にスプライン嵌合部57で結合された第1インナーリング55は、その外周に120°間隔で3個の凸部55aが形成される。一方、第1アウターリング56の内周には120°間隔で3個の凹部56aが形成されており、これら凹部56aに前記凸部55aが嵌合することにより、円周方向に延びる3個の油室58が区画される。凹部56aの円周方向幅は凸部55aの円周方向幅よりも大きく設定されており、第1インナーリング55と第1アウターリング56とは、凸部55aが凹部56aの一端から他端に移動する範囲で相対回転可能である。第1インナーリング55には、油室58に作動オイルを供給すべく半径方向に貫通する3個の油孔55bが形成されており、スプライン嵌合部57には作動油が流通可能な隙間が形成されている。従って、前記3個の油室58は、油孔55bおよびスプライン嵌合部57の隙間を介して前記第1油路44に連通する。
【0020】
アウターレース52は、第2インナーリング59(図6参照)と、その外周に相対回転自在に嵌合する第2アウターリング60(図7参照)とから構成される。ステータ13のボス部13aの内周にスプライン嵌合部61で結合された第2アウターリング60は、その内周に60°間隔で6個の凸部60aが形成される。一方、第2インナーリング59の外周には60°間隔で6個の凹部59aが形成されており、これら凹部59aに前記凸部60aが嵌合することにより、円周方向に延びる6個の油室62が区画される。凹部59aの円周方向幅は凸部60aの円周方向幅よりも大きく設定されており、第2インナーリング59と第2アウターリング60とは、凸部59aが凹部60aの一端から他端に移動する範囲で相対回転可能である。第2インナーリング59には、油室62に作動オイルを供給すべく半径方向に貫通する6個の油孔59bが形成されており、これら油孔59bはインナーレース51の第1アウターリング56の外周面に連通する。
【0021】
アウターレース52の第2インナーリング59の内周面に形成された6個のポケット59cに各々ポール53が収納されており、これらのポール53はスプリング54でインナーレース51の第1アウターリング56の外周面に形成された多数のノッチ56bに係合する方向に付勢される。前記6個のポール53は、出力軸21を挟んで対向する2個のポール53を位相が120°ずれた状態で3対配置したものであり、何れか2個のポール53だけがノッチ56bに係合するようになっている。
【0022】
インナーレース51およびアウターレース52の一側面はステータ13のボス13aから半径方向内側に延びる側板13bに支持され、その側板13bと補機駆動軸29との間に配置されたスラストベアリング63がクリップ64でステータ13のボス13aに固定される。インナーレース51およびアウターレース52の他側面は側板65に支持され、その側板65とタービンランナー12のボス22との間に配置されたスラストベアリング66がクリップ67でステータ13のボス13aに固定される。
【0023】
インナーレース51の第1インナーリング55および第1アウターリング56間に形成された油室58と、アウターレース52の第2インナーリング59および第2アウターリング60間に形成された油室62とは、第1インナーリング55、第1アウターリング56、第2インナーリング59、第2アウターリング60、側板13b、側板65およびボス13a間のクリアランスを介して、第1油路44、第2油路45および循環回路14に連通している。前記クリアランスは本発明の絞りを構成する。
【0024】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用を説明する。
【0025】
エンジンのアイドリングないし低速運転域では、図1に示すように、ロックアップ制御弁46により、第2油路45をオイルポンプ30の吐出側に接続する一方、第1油路44をオイル溜め47に接続しておく。そこで、エンジンのクランク軸16の回転トルクが、駆動板19、連結リング17、サイドカバー15およびポンプインペラ11を介して補機駆動軸29に伝達すると、オイルポンプ30が駆動され、それから吐出された作動オイルが、ロックアップ制御弁46から第2油路45および油孔21aを通って第2油室43に流入する。その結果、ピストン36が第1油室42側に移動して摩擦ライニング41がサイドカバー15から離反し、ロックアップクラッチ35は非係合状態になってポンプインペラ11およびタービンランナー12の相対回転を許容する。
【0026】
第2油室43から第1油室42に流入した作動オイルは、ポンプインペラ11およびタービンランナ12間から循環回路14に流入し、該循環回路14を満たした後、第1油路44を経てオイル溜め47に還流する。
【0027】
而して、クランク軸16の回転がポンプインペラ11に伝達されると、循環回路14を満たしている作動オイルは、ポンプインペラ11の回転により、ポンプインペラ11→タービンランナー12→ステータ13→ポンプインペラ11と循環しながらポンプインペラ11の回転トルクをタービンランナー12に伝達し、出力軸21を駆動する。このとき、ポンプインペラ11およびタービンランナー12間でトルクの増幅作用が生じていれば、それに伴う反力がステータ13に負担され、ステータ13は一方向クラッチ25により固定される。
【0028】
即ち、図2に示すように、ステータ13に矢印方向の荷重が加わると、ステータ13と一体のアウターレース52の第2インナーリング59に設けたポール53が、インナーレース51の第1アウターリング56に設けたノッチ56bにスプリング54の弾発力で係合し、アウターレース52がインナーレース51に一体化される。これにより、ステータ13が一方向クラッチ25およびステータ軸26を介してミッションケース28に回転不能に固定される。
【0029】
エンジン回転数に増加に伴ってトルクコンバータTの速度比が1に近づき、ステータ13によるトルク増幅作用が発揮されなくなると、ステータ13に図8の矢印方向の荷重が作用して一方向クラッチ25はフリー状態になり、ステータ13は一方向クラッチ25を空転させながらポンプインペラ11およびタービンランナー12と同一方向へ回転するようになる。即ち、ステータ13に矢印方向の荷重が加わると、ステータ13と一体のアウターレース52の第2インナーリング59に設けたポール53が、スプリング54の弾発力に抗してインナーレース51の第1アウターリング56に設けたノッチ56bから押し出されるため、ステータ13と一体のアウターレース52はミッションケース28と一体のインナーレース51に対して自由に相対回転することができる。
【0030】
トルクコンバータTがこのようなカップリング状態となったところで、ロックアップ制御弁46を切換えて、第1油路44をオイルポンプ30の吐出側に接続するとともに、第2油路45をオイル溜め47に接続する。その結果、オイルポンプ30から吐出された作動オイルは、先刻とは反対に、第1油路44から循環回路14を経て第1油室42に供給される一方、第2油室43は第2油路45を経てオイル溜め47に開放されるので、ピストン36が第1油室42側から第2油室43側に押圧されて摩擦ライニング41がサイドカバー15に当接し、タービンランナー12がサイドカバー15に一体化される。このようにしてロックアップクラッチ35が係合すると、クランク軸16のトルクはサイドカバー15からピストン36およびボス22を経て出力軸21に伝達されるようになり、ポンプインペラ11およびタービンランナー12間の滑りを無くして伝達効率を高めることができる。ロックアップクラッチ35の係合中におけるエンジントルクの変動はダンパースプリング40により緩衝される。
【0031】
さて、作動オイルからステータ13に加わる荷重の方向が反転して一方向クラッチがフリー状態(図8参照)からロック状態(図2参照)に移行するとき、ノッチ56bに対する位相がずれた3対のポール53が配置されていることから、インナーレース51およびアウターレース52の相対回転により、何れか1対のポール53が即座にノッチ56bに係合することができる。このようにしてポール53がノッチ56bに係合した後も、インナーレース51の第1インナーリング55および第1アウターリング56が更に相対回転し、両リング55,56間に区画された油室58の容積が減少するため、前記相対回転により油孔55bが即座に閉塞し、油室58内の作動オイルが各部のクリアランスを通して排出されることで前記相対回転を抑制する減衰力が発生する。同様に、ポール53がノッチ56bに係合した後も、アウターレース52の第2インナーリング59および第2アウターリング60が更に相対回転し、両リング59,60間に区画された油室62の容積が減少する。前記相対回転により油孔59bが即座に閉塞するため、油室62内の作動オイルが各部のクリアランスを通して排出されることで前記相対回転を抑制する減衰力が発生する。
【0032】
上述のように、ポール53がノッチ56bに係合した瞬間に一方向クラッチ25がロックすることなく、油室58,62の容積を減少させながらインナーレース51およびアウターレース52が更に相対回転するので、ポール53がノッチ56bに係合した瞬間の衝撃音を緩和することができ、しかもポール53が受ける衝撃荷重を減少させてポール53の数を減らすことができる。そしてインナーレース51およびアウターレース52の相対回転は、凸部55a,60aが凹部56a,59aの端部に当接したときに停止する。油室58に連通する油孔55bは第1インナーリング55および第1アウターリング56が相対回転を開始すると即座に閉塞し、また油室62に連通する油孔59bは第2インナーリング59および第2アウターリング60が相対回転を開始すると即座に閉塞するため、油室58,60から作動オイルがリークし難くして緩衝効果を高めることができる。
【0033】
尚、一方向クラッチ25がロック状態からフリー状態に移行するときには、インナーレース51の第1インナーリング55および第1アウターリング56、ならびにアウターレース52の第2インナーリング59および第2アウターリング60は、前述と逆方向に相対回転して図8の状態に復帰する。このとき、油室58,62には油孔55b,59bを介して作動油が供給される。
【0034】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うこと可能である。
【0035】
例えば、実施例ではインナーレース51およびアウターレース52がそれぞれ油室58,62を備えているが、その一方、特にインナーレース51だけに油室を設けても良い。また油室58,62にスプリングのような弾性体を収納して減衰力を高めることも可能である。またポール53を付勢するスプリング54に代えて蛇腹状スプリング等の他種のスプリングを用いれば、スプリングの位置決めピンを省略することが可能である。また実施例ではロック要素としてポール53を採用しているが、ポール53に代えてローラやスプラグを採用することができる。また実施例では各部材間のクリアランスを絞りとして利用しているが、油孔のような特別の絞りを設けることもできる。また実施例ではアウターレース52の第2アウターリング60をステータ13と別部材で構成しているが、前記第2アウターリング60をステータ13と一部材で構成することができる。また実施例ではトルクコンバータT用の一方向クラッチ25を例示したが、本発明の一方向クラッチ25は他の任意の用途に用いることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば、一方向クラッチがフリー状態からロック状態に移行するときには、インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転してロック要素によりロックした後に、インナーレースのインナーリングおよびアウターリングが更に相対回転して第1油室の容積が減少し、第1油室から排出された作動オイルが絞りを通過することで前記相対回転に減衰力が与えられるので、ロック要素が作用した瞬間に一方向クラッチがロックすることなく、第1油室の容積の減少による減衰力を受けながらインナーレースおよびアウターレースが更に相対回転し、ロック要素が作用した際の衝撃音を緩和することができ、しかもロック要素に加わる荷重が減少するのでロック要素を小型化したり数を減少させたりすることができる。また、一方向クラッチがロック状態からフリー状態に移行するときには、インナーレースのインナーリングおよびアウターリングは、前述と逆方向に相対回転して元のフリー状態に復帰し、このとき、第1油室には油孔を介して作動オイルが供給される。
【0037】
また本発明の第2の特徴によれば、前記第1の特徴による効果に加えて、一方向クラッチがフリー状態からロック状態に移行するときには、インナーレースおよびアウターレースが一方向に相対回転してロック要素によりロックした後に、アウターレースのインナーリングおよびアウターリングが更に相対回転して第2油室の容積が減少し、第2油室から排出された作動オイルが絞りを通過することで前記相対回転に減衰力が与えられるので、ロック要素が作用した瞬間に一方向クラッチがロックすることなく、油室の容積の減少による減衰力を受けながらインナーレースおよびアウターレースが更に相対回転し、ロック要素が作用した際の衝撃音を更に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一方向クラッチを備えたトルクコンバータの縦断面図
【図2】 一方向クラッチのロック状態を示す、図1の2−2線拡大断面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 インナーレースの第1インナーリングの単品図
【図5】 インナーレースの第1アウターリングの単品図
【図6】 アウターレースの第2インナーリングの単品図
【図7】 アウターレースの第2アウターリングの単品図
【図8】 一方向クラッチのフリー状態を示す、前記図2に対応する図
【符号の説明】
51 インナーレース
52 アウターレース
53 ポール(ロック要素)
55 第1インナーリング(インナーレースのインナーリング)
55b 油孔
56 第1アウターリング(インナーレースのアウターリング)
58 第1油室
59 第2インナーリング(アウターレースのインナーリング)
60 第2アウターリング(アウターレースのアウターリング)
62 第2油室

Claims (2)

  1. インナーレース(51)およびアウターレース(52)の嵌合面間にロック要素(53)を配置し、そのロック要素(53)によりインナーレース(51)およびアウターレース(52)の一方向の相対回転を規制して他方向の相対回転を許容する一方向クラッチにおいて、
    インナーレース(51)を、相互に相対回転可能に嵌合されるインナーリング(55)およびアウターリング(56)に分割すると共に、そのインナーリング(55)内周面と、該インナーリング(55)を支持する軸(26)の外周面との間に、作動オイルが流通可能な隙間を有して油路(44)に連通するスプライン嵌合部(57)を設け、
    そのインナーレース(51)のインナーリング(55)およびアウターリング(56)間に、絞りを介して外部と連通する第1油室(58)を画成し、
    その第1油室(58)を前記スプライン嵌合部(57)に連通させる油孔(55b)を、インナーレース(51)のインナーリング(55)に形成し、
    インナーレース(51)およびアウターレース(52)の前記一方向への相対回転により、インナーレース(51)のインナーリング(55)およびアウターリング(56)を相対回転させて第1油室(58)の容積を減少させると共にこの第1油室(58)を油孔(55b)から遮断し、その容積減少に伴い該第1油室(62)から排出された作動オイルが前記絞りを通過する際に前記一方向への相対回転に減衰力を与えることを特徴とする一方向クラッチ。
  2. アウターレース(52)を、相互に相対回転可能に嵌合されるインナーリング(59)およびアウターリング(60)に分割すると共に、その両リング(59,60)間に、絞りを介して外部と連通する第2油室(62)を画成し、
    インナーレース(51)およびアウターレース(52)の前記一方向への相対回転により、アウターレース(52)のインナーリング(59)およびアウターリング(60)を相対回転させて第2油室(62)の容積を減少させ、その容積減少に伴い該第2油室(62)から排出された作動オイルが前記絞りを通過する際に、前記一方向への相対回転に減衰力を与えることを特徴とする、請求項1に記載の一方向クラッチ。
JP2001120244A 2001-04-18 2001-04-18 一方向クラッチ Expired - Fee Related JP4451012B2 (ja)

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