JP2004293656A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Kunihiro Iwatsuki
邦裕 岩月
Yasunori Nakawaki
康則 中脇
Kazumi Hoshiya
一美 星屋
Takahiro Oshiumi
恭弘 鴛海
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Abstract

【課題】滑り限界挟圧力を求めるために挟圧力を低下させた場合に滑りが検出されなくても挟圧力を適正化できる装置を提供する。
【解決手段】トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力を低下させることに伴う滑り状態を検出し、その検出結果に基づいて挟圧力を設定する無段変速機の制御装置であって、前記滑り状態を検出するために前記挟圧力を低下させる過程で滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことを検出する下限検出手段(ステップS5)と、滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことが検出された場合に、その後の走行時の前記挟圧力を前記下限値に基づいて設定する挟圧力設定手段(ステップS18)とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベルトやパワーローラなどのトルクの伝達を媒介する部材を挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量の変化する無段変速機を対象とする制御装置に関し、特にその挟圧力を制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の無段変速機における挟圧力は、入力されるトルクを伝達するのに過不足のない圧力に設定するのが通常である。しかしながら、無段変速機の入力側に連結されている動力源の出力トルクが加減速要求によって変化し、また路面の凹凸などに起因して出力側から入力されるトルクが変化し、その結果、無段変速機に掛かるトルクが大きく変化することがあるために、挟圧力は動力源側からの入力に応じた圧力より高く設定されている。
【0003】
一方、上記の無段変速機における挟圧力を高くするためには、例えばベルト式無段変速機では油圧によって挟圧力を設定しているので、高い油圧を発生させるために動力を消費し、これが無段変速機を搭載している車両の燃費の悪化要因となることがある。また、挟圧力が必要以上に高いと、耐久性が低下するだけでなく、動力の伝達効率が低下し、その結果、燃費が悪化することがある。
【0004】
そのために挟圧力は滑りが発生しない範囲で可及的に低く設定し、トルクの急変などによって滑りが生じた場合、あるいはその可能性が高い場合に挟圧力を高くすることが好ましい。このような制御をおこなうためには、滑りの生じない範囲で最も低い挟圧力を予め求める必要がある。そのために、例えば下記の特許文献1に記載された発明では、円錐円板対とこれに巻き掛けた巻き掛け伝動節とを備えた無段変速機を対象とし、円錐円板対の圧着力を低下させることに伴う円錐円板対と巻き掛け伝動節との間のスリップを、摩擦効率の上昇(すなわち油温の上昇)から判断するように構成している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−12593号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
無段変速機における挟圧力は、油圧装置やカムなどの機械的装置などによって設定するのが通常であるが、この構成に起因する不可避的な下限圧力あるいは装置の保全などのために人為的に設定した下限圧力がある。したがって上記の特許文献1に記載されているように挟圧力を低下させた場合、無段変速機に滑りが生じることなく、挟圧力がその下限値に達してしまうことがある。上記の特許文献1に記載された発明では、摩擦効率の上昇によって滑りを検出するように構成されているために、挟圧力が下限値に達しても滑りが生じない場合には、滑れが検出もしくは判断されないことにより、所期の制御をおこない得ない状態となり、結局は、適切な挟圧力制御をおこなえない可能性がある。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、滑りを生じさせるために低下させた挟圧力が、滑りを生じさせることなく下限値に達した場合であっても適切な挟圧力制御の可能な制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、下限値が要因となって、滑りの生じる挟圧力を求め得ない場合に、その下限値に基づいて挟圧力を設定するように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力を低下させることに伴う滑り状態を検出し、その検出結果に基づいて挟圧力を設定する無段変速機の制御装置において、前記滑り状態を検出するために前記挟圧力を低下させる過程で滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことを検出する下限検出手段と、滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことが検出された場合に、その後の走行時の前記挟圧力を前記下限値に基づいて設定する挟圧力設定手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0009】
したがって請求項1の発明では、滑りの生じる挟圧力を求めるために、挟圧力が低下させられる。その過程で、滑りが検出されることなく挟圧力がその下限値に達すると、その後の走行のための挟圧力が、下限値に基づいて設定される。そのため、走行時の挟圧力を低下させることが可能となり、挟圧力が適正化される。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1における前記挟圧力設定手段が、前記無段変速機の出力側から入力されることが想定されるトルクに対応する路面入力対応圧力を前記下限値に加えた圧力を前記走行時の挟圧力として設定するように構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0011】
したがって請求項2の発明では、前記下限値に路面対応圧力を加えた圧力が挟圧力として設定される。そのため、無段変速機の出力側から入力されるトルクが想定された範囲で増大しても、滑りが生じず、その結果、滑りを生じさせない範囲で挟圧力が低下されて適正化される。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機を含む駆動機構の一例を説明すると、図3は、ベルト式無段変速機1を含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0013】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成されている。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0014】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0015】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図3に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0016】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0017】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0018】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、ロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0019】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー23、ベルト挟圧力を設定するための従動プーリ14側の油圧アクチュエータ16の圧力を検出する油圧センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0020】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0021】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数(入力回転速度)Ninの信号、無段変速機1の出力回転数(出力回転速度)No の信号が、それぞれに対応するセンサから入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0022】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0023】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。その制御は、挟圧力を低下させて無段変速機1に微少滑りを生じさせ、その際の挟圧力を滑り限界圧力とし、その滑り限界圧力に所定の安全率を見込んだ油圧もしくは路面からの入力に対応する圧力を加えた圧力に設定することにより実行される。
【0024】
この発明に係る制御装置は、その挟圧力の低下制御、滑りの検出、ならびにその後の挟圧力の設定をおこなうように構成されている。図1はその制御例を説明するためのフローチャートであって、所定時間毎に繰り返し実行される。また、図2は図1に示す制御を実行した場合の油圧や変速比などの変化を示すタイムチャートである。
【0025】
図1において、先ず、フラグFについて判断される(ステップS1)。このフラグFは、挟圧力を設定するための制御の進行状況に応じて“0”ないし“3”に設定されるフラグであり、当初は“0”に設定されている。したがって制御の開始直後であれば、ステップS2に進んで制御前提条件が成立しているか否かが判断される。
【0026】
ここで実行する制御は、その時点の入力トルクに対する滑り限界圧を求める制御であるから、無段変速機1に作用するトルクがほぼ一定であることが主な条件となる。したがってステップS2で判断される前提条件は、路面の凹凸などの路面の状態が要因となって無段変速機1の出力側から入力されるトルクがないこと、すなわち良路を走行していて路面入力判定が無いこと、平坦路を中高速巡航しているなどのことにより、例えば従動プーリ14側の軸トルクが所定範囲内でかつアクセル開度がほぼ一定であること、かつその時点の入力トルクに対応する挟圧力の補正が未だおこなわれていないことなどである。
【0027】
このステップS2で肯定的に判断された場合には、再度、フラグFについて判断される(ステップS3)。制御の開始当初は“0”に設定されているので、ステップS4に進んで挟圧力の漸減指令が出力される。これは、図2のA時点である。その後、所定の遅れをもって実油圧値(挟圧力を設定する実際の油圧)が低下し始める。これは、図2のB時点である。この場合の挟圧力の低下勾配は、油圧の低下がオーバーシュートしたり、それに伴ってベルト17の過剰な滑りが生じたりしないように設定されている。
【0028】
挟圧力をこのようにして低下させることによって、その挟圧力の低下量が飽和したか否か(ステップS5)、およびマクロスリップ直前の状態か否か(ステップS6)が判断される。前者のステップS5は、挟圧力が下限値に達したか否かの判断であり、その下限値は、遠心油圧やアクチュエータに内蔵されたスプリングの弾性力などの機構上、定まる圧力や、フェールセーフなどの観点から人為的に(制御プログラムもしくは制御ソフトとして)設定された圧力である。また、後者のステップS6で判断するマクロスリップとは、無段変速機1でのトルクの伝達に伴うベルト17の伸びなどが原因となる不可避的な微少な滑りを超える滑りである。このようなマクロスリップは、変速比が指令値から大きくずれたり、変速速度が大きくなるなどの挙動として現れるので、無段変速機1の入出力回転数Nin,Nout を検出し、その検出値に基づいて演算することによりマクロスリップ直前の状態を判定することができる。なお、ステップS5およびステップS6の判断は、いずれを先に判断してもよい。
【0029】
挟圧力が低下し始めた直後のために挟圧力が充分には低下していない場合には、これらステップS5,S6の両方で否定的に判断される。その場合は、挟圧力の低下開始からの時間が所定時間t1 を経過したか否かが判断される(ステップS7)。この所定時間t1 は、予め設定された長さの時間であり、例えば挟圧力の低下幅が所定圧力ΔP1 に達するのに要する時間である。したがってこのステップS7で否定的に判断された場合には、時間の経過を待つために、一旦このルーチンを抜ける。
【0030】
挟圧力の低下開始から所定時間t1 が経過すると、ステップS7で肯定的に判断され、その場合は挟圧力の復帰指令が出力される(ステップS8)。これは、図2のC時点である。このように挟圧力を一旦昇圧するのは、低下制御がオーバーシュートして意図しないマクロスリップが生じてしまうことを回避するためである。また、その場合の復帰指令値は、低下制御開始時の圧力P1 より高い圧力P2 を設定する値である。昇圧の遅れを少なくするためである。
【0031】
実油圧がその指令した圧力に達するのに充分な所定時間t2 が経過したか否かが判断される(ステップS9)。復帰指令からの経過時間が所定時間t2 に到らないことによりステップS9で否定的に判断された場合には、時間の経過を待つために、フラグFを“1”にセット(ステップS10)した後、一旦このルーチンを抜ける。したがって次のサイクルでのステップS1およびステップS3で“F=1”の判断が成立するので、直ちにステップS9に進み、所定時間t2 が経過したか否かが判断される。
【0032】
時間が経過することによりステップS9で肯定的に判断されると、フラグFが“2”にセット(ステップS11)され、かつ挟圧力を所定圧ΔP2 、低下させる指令が出力される(ステップS12)。これは、図2のD時点である。この所定圧ΔP2 の低下制御は、挟圧力の漸減制御を前回よりも低い圧力から始めるために、挟圧力を事前に低下させるためのものである。したがって滑りの未判定領域が生じることを避けるために、所定圧ΔP2 は、その低下制御の結果設定される挟圧力が(P1 −ΔP1 )以上になる値である。言い換えれば、前記所定時間t1 の間に低下させられる圧力ΔP1 より小さい低下幅の圧力である。
【0033】
上記のステップS12の後に、一旦このルーチンを抜けるので、次のサイクルの際にステップS3で“F=2”の判断が成立する。その場合には、D時点から所定時間t3 が経過したか否かが判断される(ステップS13)。この所定時間t3 は、挟圧力が前記ステップS12での指令値に安定するのに充分な時間として予め設定した時間である。したがってステップS13で否定的に判断された場合には、時間の経過を待つために、一旦このルーチンを抜ける。
【0034】
これに対して所定時間t3 が経過してステップS13で肯定的に判断された場合には、フラグFが“1”にセットされ(ステップS14)、その後、ステップS4に進む。これは、(P2 −ΔP2 )に低下させた挟圧力を開始時の圧力として、再度、滑り検出のための挟圧力の漸減制御を実行するためである。したがって前述したステップS4ないしステップS13の制御を、それぞれの過程での判断結果に応じて順に実行することになる。その再度の漸減指令の出力時点が図2のE時点である。
【0035】
その再度の挟圧力漸減制御の過程で、挟圧力の低下量の飽和もしくはマクロスリップ直前の状態のいずれもが成立しなければ、ステップS5およびステップS6で否定的に判断されるので、挟圧力の低下を所定時間t1 、継続した後、低下開始前の圧力以上の挟圧力に復帰させ、さらに所定圧ΔP2 低下させてから漸減制御が繰り返される。
【0036】
このような挟圧力漸減制御の過程で、挟圧力の低下量が飽和し、あるいはマクロスリップ直前の状態になると、ステップS5もしくはステップS6で肯定的に判断される。図2には、挟圧力の低下量が飽和した時点すなわち挟圧力が下限値に達した時点をF時点として示し、滑り直前の状態が検出された時点をG時点として示してあり、さらに滑り直前の状態が検出された場合の制御例を実線で示してある。
【0037】
すなわち、ステップS5もしくはステップS6で肯定的に判断されると、挟圧力を所定量ΔP3 、増大させる指令が出力される(ステップS15)。この所定量ΔP3 は、挟圧力を低下させ始めるE時点での挟圧力P4 より高い圧力P5 まで昇圧する圧力に設定されている。これは、油圧の復帰(昇圧)の応答性を良くするためである。なお、昇圧指令の直後に実油圧が増大し始める。図2にはこれをH時点として示してある。
【0038】
その後、所定時間t4 が経過したか否かが判断される(ステップS16)。この所定時間t4 は、油圧の応答遅れを考慮しても挟圧力が所定量ΔP3 だけ上昇するのに充分な時間として予め設定されている時間である。したがってこのステップS16で否定的に判断された場合には、時間の経過を待つためにフラグFを“3”にセット(ステップS17)した後、一旦このルーチンを抜ける。したがってこの場合は、次のサイクルにおけるステップS1で“F=3”の判断が成立し、直ちにステップS16に進む。
【0039】
所定時間t4 が経過することによりステップS16で肯定的に判断されると、飽和挟圧力(すなわち挟圧力の下限値)もしくはマクロスリップ直前判定時の挟圧力(すなわちF時点の挟圧力)に、路面入力対応分の圧力を加えた挟圧力P6 が決定され、また挟圧力マップが更新され、さらに前述したフラグFや制御の過程でストアされた値がクリアーされる(ステップS18)。これは、図2におけるI時点である。
【0040】
なお、制御前提条件が成立していない場合、あるいは制御途中で成立しなくなった場合には、ステップS3で否定的に判断される。その場合は、ステップS19に進んで、フラグFやストアー値がクリアーされ、また制御の進捗状態に応じた挟圧力が決定され、かつ挟圧力のマップ値が更新される。
【0041】
ここで挟圧力について更に説明すると、入力トルクに対応した挟圧力(いわゆる理論挟圧力)は、ベルト式無段変速機の場合、入力トルクと、プーリによるベルト17の挟み角度とに比例し、摩擦係数と、プーリに対する巻き掛け半径とに反比例する。そして、実際に設定される挟圧力はその理論挟圧力に所定の安全率に相当する係数を掛けた圧力とされる。その安全率に相当する係数は、無段変速機1の出力側からの入力すなわち路面入力対応分のトルクなどを考慮したものであり、想定される路面入力があっても滑りの生じない圧力に設定するためのものである。
【0042】
入力トルクはエンジン5の出力トルクに基づいて定まるが、エンジントルクには不可避的なバラツキがあるので、挟圧力制御ではそのバラツキの範囲で高い方向のトルクを採用するのが一般的である。そのため、最も頻度が高いと考えられる入力トルクの中央値に対しては、挟圧力が相対的に高くなる。そこで、挟圧力のマップ値は、エンジントルク(もしくはエンジン負荷)とエンジン回転数とに関連して(もしくはエンジントルクあるいはエンジン負荷とエンジン回転数とをパラメータとして)定め、あるいは補正した値とすることが好ましい。
【0043】
また一方、路面入力は、駆動輪20が空転した後に再グリップした場合におけるような回転数変化およびそれに伴う慣性トルクが要因なって生じることが多い。その場合、空転時の回転数は、無段変速機1の出力軸トルクが大きいほど高回転数となり、その結果、再グリップ時の回転数との差すなわち慣性トルクが大きくなる。そして、その出力軸トルクは、エンジントルク(もしくは入力トルク)と無段変速機1で設定されている変速比との積にほぼ等しい。したがって路面入力対応分に相当する前記安全率は、エンジントルク(もしくは入力トルク)と変速比とに依存して設定した値とすることが好ましい。なお、入力トルクとして推定値を採用する場合、エンジンなどの動力源から無段変速機1までの間の慣性トルクをエンジントルクなどの動力源の出力トルクから減じた値を採用することが好ましい。
【0044】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS5の機能的手段が、この発明の下限値検出手段に相当し、またステップS18の機能的手段が、この発明の挟圧力設定手段に相当する。
【0045】
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。この発明における無段変速機はベルト式無段変速機以外にトラクション式(トロイダル型)無段変速機であってもよい。また、この発明における挟圧力の下限値は、少なくとも車速に応じて設定してもよい。さらに、上記の具体例では、マクロスリップ直前の状態を検出することとしたが、これに替えてスリップの発生を検出することとしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、滑りの生じる挟圧力を求めるために、挟圧力を低下させる過程で、滑りが検出されることなく挟圧力がその下限値に達すると、その後の走行のための挟圧力を、下限値に基づいて設定するので、走行時の挟圧力を低下させることが可能となり、挟圧力を適正化することができる。
【0047】
また、請求項2の発明によれば、前記下限値に路面対応圧力を加えた圧力が挟圧力として設定されるため、無段変速機の出力側から入力されるトルクが想定された範囲で増大しても、滑りが生じず、その結果、滑りを生じさせない範囲で挟圧力を低下させて適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】図1の制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図3】この発明で対象とする無段変速機を含む駆動機構の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 5…エンジン(動力源)、 13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 21…モータ・ジェネレータ、 22…ブレーキ、 27…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)、 28…エンジン用電子制御装置(E/G−ECU)。

Claims (2)

  1. トルク伝達部材を挟み付ける挟圧力を低下させることに伴う滑り状態を検出し、その検出結果に基づいて挟圧力を設定する無段変速機の制御装置において、
    前記滑り状態を検出するために前記挟圧力を低下させる過程で滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことを検出する下限検出手段と、
    滑りが検出されずに前記挟圧力が所定の下限値に達したことが検出された場合に、その後の走行時の前記挟圧力を前記下限値に基づいて設定する挟圧力設定手段と
    を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 前記挟圧力設定手段は、前記無段変速機の出力側から入力されることが想定されるトルクに対応する路面入力対応圧力を前記下限値に加えた圧力を前記走行時の挟圧力として設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
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