JP2004293225A - 木材組合わせ構造材 - Google Patents
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Abstract
【課題】重ね合わせた角材をラグスクリューによる高い固縛力で一体化させ、構造材として断面欠損のない木材組合わせ構造材を提供する。
【解決手段】年輪を横切る方向に延びるねじで重ね合わせた芯持ち角角材2,2を締結するために、頭部側の角材2A,2Bを挿通した後に軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進するラグスクリュー4を用いる。その頭部は軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。頭部が着座する角材表面に形成された座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさとされる。ジベル1の間に粗織薄布を並べ、含浸させた接着材によって角材の一体化力の増強を図る。
【選択図】 図1
【解決手段】年輪を横切る方向に延びるねじで重ね合わせた芯持ち角角材2,2を締結するために、頭部側の角材2A,2Bを挿通した後に軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進するラグスクリュー4を用いる。その頭部は軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。頭部が着座する角材表面に形成された座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさとされる。ジベル1の間に粗織薄布を並べ、含浸させた接着材によって角材の一体化力の増強を図る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は木材組合わせ構造材に係り、詳しくは、間伐材等から得られた角材をねじ締結により一体化させ、柱・梁等の構造材として機能させることができるようにした角材組合わせ木造構造材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木材の有効利用を図る手段として、例えば実開平3−105622号公報にも開示されているように、繊維方向を合わせて板材を平行に組み合わせ、接着材により積層一体化させた組合わせ材が知られている。このようにして作られる集成材は任意の大きさを持った断面を与えることができることや、所望する長さとなるように順次重ね合わすことができ、所望した寸法を得るには極めて都合がよい木質建材となる。そして、ほぼ等質な部材としておくことも容易である利点がある。
【0003】
その各板材は、合成樹脂系の接着材を用いて一体化されることが通常である。そのため風雨に曝される屋外での使用には耐久性の面で難がある。それのみならず、接着材が木面全体に馴染んでいるかは外部から判別しがたいこと、通常節の少ない高品質の板を用いるために原木に対する歩留りが小さくなること、大きい断面を形成させるには多数枚の板が必要となって却って割高となることなどの点で問題を抱えると言える。
【0004】
例えば梁として使用した場合、重ね合わせ面に作用する剪断力は塗布されている接着材にも及ぶが、接着力を面内均一に発揮させることができるようにするのは容易でない。すなわち、強圧して面着させるとはいえ、重ね合わせ面における木目の粗密や表面粗度に違いがあり、接着材層が不均厚となりがちであるからである。従って、合わせ面での接着効果の均質性を得ようとすれば、素材選定にも配慮を払わなければならなくなる。
【0005】
ところで、高強度構造材を組合わせ品によって得ようとする場合、例えば実開平1−92412号公報にも記載されているように、長いボルトを使用して固縛することがある。この例は、上段と下段の角材にそれぞれねじ棒を縦通させ、端面に密着させた剛板から出たねじ端にナットを掛けて全段の角材を挟み、中段の角材は剛板側から差し込んだ小ねじで止めておくという構成をとっている。
【0006】
このように多段に重ね合わされた角材を長尺なねじ棒で一体化させる方法として、図7の(a)に示すような締結法が採られることもある。これは、積み重ねられた角材に対して上下方向からねじ棒を挿通させるものであるが、この場合、重ね合わせ面にジベル51(左端部に表した拡大図も参照)が設置され、これを挟むようにした角材52,52が長い貫通ボルト53で固縛されるようになっている。
【0007】
貫通ボルトの先端にナット54が掛けられ、重ね合わせた角材を上下方向の圧縮力で一体化し、合わせ面のジベル51で角材の長手方向ずれを阻止する。ジベルには爪51a,51aが上下に突設されており、貫通ボルト53による固縛前に重ね合わせた角材を図示しない油圧ジャッキ等で挟んで爪を木面に噛み込ませておき、このジベルと貫通ボルトによって角材がいずれの方向へもずれないようにされる。
【0008】
この重ね合わせ材を例えば梁として使用する場合、図8に示すように、角材52の長手方向に幾つものジベル51や貫通ボルト53が配置される。通常端部に近づくほど貫通ボルトやジベルのピッチは小さく、支持部近傍での剪断力に対する強化のため固縛の増強が図られる。この場合、貫通ボルトの頭部やナットがめり込むのを防止するために木造用ワッシャ55(図7の(a)も参照)が用いられる。これは金属材を対象とした場合よりも座面が広く与えられ、木面に作用する応力の軽減が図られている。
【0009】
このワッシャは角材の表面に設置されることが多く、従ってボルト頭部やナットが外部に現れる。これは美観や見栄えを損なうだけでなく、構造材の上下面の平面性や平滑性が失われ、また建てつけ上も収まりの悪いものとなる。もちろん爾後的な面出し作業もやり難く、これが重ね合わせ材の使用の途を致命的に狭めている。
【0010】
これを解消するために、図7の(b)に示すように、ワッシャが入る程度の大きさの孔56が上下面に座掘りされる。上方側では頭部53aとワッシャ55とを、下方側ではナット54やワッシャ55とねじ部先端53bを収納できるようにしておく。この例に類する構成が、特開2002−146918号公報にも開示されている。
【0011】
しかし、このような処置を採ると、梁すなわち曲げ材として使用した場合に最も大きな応力の作用する位置の上下端部に、重ね梁としての耐久性を低下させる断面欠損部が残されることになる。その影響を抑えようとして大断面化すれば、断面欠損のない部分では過大断面となって無駄が生じる。
【0012】
ところで、ジベルは例えば100mm□の角材に対しては6cm径、10mm厚み程度のリング状である。これは重ね合わせ材に曲げが作用して変形しようとしたときそれに追従して変形するものでないから、このジベルが却って梁の変形を阻害する。もしくは、ジベルの爪が曲げ変形を受ける角材との間で噛みこみ孔を拡げるように挙動する。これでは梁としての部材の一体性が損なわれたり、ジベルによるずれ止め作用が経時的に低下することになる。このようなことを考慮すると、設計上はその断面二次モーメントや断面係数の評価を、一本ものの角材に比較して精々60〜70%に留めざるを得なくなる。
【0013】
上記した貫通ボルトを使用しない例として、長いねじ部を持ったラグスクリューを使用する提案が、実用新案登録第3021618号公報においてなされている。そして、頭部を埋没させ、隠し釘として機能させることができることも開示されている。これは木材に噛みこんでいく主ねじと、これとは別にそのねじ部と頭部との間に別ピッチの副ねじを形成させたものとなっている。先端の主ねじ部による下側の角材に対する螺進を利用して、頭部に近い側の副ねじで上側の角材の締めあげを図ったり、逆回転操作時の抜け出しの円滑を促そうとの意図によるものである。
【0014】
【特許文献1】
実開平3−105622号公報
【特許文献2】
実開平1−92412号公報
【特許文献3】
特開2002−146918号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3021618号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、長いねじを持ったラグスクリューとはいっても、ピッチや径の異なる副ねじを備えるために、主ねじが木側に形成させた螺旋孔を副ねじで耕してしまうことになる。これでは、二種のねじが通過した箇所でのねじ締結力は減殺される傾向にあって、構造材としたい角材の重ね合わせ締結には相応しいものとは言い難い。
【0016】
また、頭部を埋没させて側面からはラグスクリューが見えなくする配慮も払われるが、頭下は正三角形に近いテーパの逆円錐形であって、螺進力が大きくなると木面下にめり込み、却って頭部によるねじ込み反力の受け持ちを低下させてしまう。その頭部の径が小さいために、ドライバーを噛ませる程度の小さな回し溝しか形成させることができず、加えることができる締結トルクもかなり制約されたものとなる。
【0017】
次に、木材を重ね合わせて接着する場合の問題を考える。接着性能を左右するのは接着面の木肌の性状である。木面には縞状の木目があり、これが僅かといえども表面に凹凸を与える。また、硬軟質が混成した状態をも生じさせる。従って接着材塗布面を密着させるためには大きな加圧力が必要となり、作業が容易でない。
【0018】
もちろん薄い塗膜が連続して存在していればよいが、木目の縞が対面する箇所では硬質部同士の交差や線接触によって塗着層が分断されることになり、塗膜にすじ状の空膜部を生じさせる。塗膜の不連続は、面着力の均質性低下、すなわち一塗膜内での引張耐力や剪断耐力のばらつき発生を余儀なくする。さらには、木材の呼吸により侵入する空気の遮断ができなくなり、流通する外気との接触で接着材の劣化も惹起され、長期にわたり均一かつ安定した面着性能を期待し難くなる。
【0019】
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的は、重ね合わせた角材をねじ締結するにあたり、ラグスクリューによる固縛力を高く発揮させるべく押圧面を広く確保できること、大きなトルクを与えやすくして締結力の増大が図られるようにすること、構造材を断面欠損のないかたちのねじ式固縛で形成できるようにすること、重ね合わせ面を接着させる場合には塗膜の顕在化を実現して超希薄層や空膜部の発生を回避することなどの実現を図る木材組合わせ構造材を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジベルを挟んで重ね合わされた角材をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、各角材2,2は芯持ち材とする。その年輪を横切る方向に延びるねじで締結するために、頭部側の角材2A,2Bを挿通した後に軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進することができるラグスクリュー4が使用される。そのラグスクリュー4の頭部4hは軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。頭部4hが着座する角材表面に形成された座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさとされる。そして図2に示すように、重ね合わせ面には粗織薄布5が配置され、含浸された接着材によって一体化力を増強させるようにしていることである。
【0021】
ジベル1は、ラグスクリュー4の挿通位置に設置しておくことが好ましい。図6のように、ラグスクリュー4の頭部4h,4hを覆って、角材2の長手方向に延びる金属板7を貼着しておくようにしてもよい。
【0022】
図1に戻って、角材2,2のねじ締結のために、軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進するラグスクリュー4を使用する。そのラグスクリュー4の頭部4hは軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形とする。その中心にレンチ用六角孔4dを形成しておき、頭部4hが着座する角材表面に形成される座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさに与える。
【0023】
角材2の重ね合わせ面に粗織薄布5(図2を参照)を配置し、これに含浸させた接着材によりねじ締結される角材の一体性を増強させるようにしておく。この場合、粗織薄布5を実質的に連続して配置し、その粗織薄布の上にジベル1を設置するようにすればよい。
【0024】
なお、ジベルは、その平面形が角材の長手方向に沿って長くなっている長円形または菱形に形成されていることが好ましい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ジベルを挟んで重ね合わされた角材を頭部の広いラグスクリューで締結し、角材表面に頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさの座掘部を形成しておくようにしている。これによって、重ね合わせ品には強力なねじ締結力を発生させることができ、また、構造材の上下面に断面欠損を残すこともなくなり、最小サイズの角材によって所望する強度を発揮する高強度構造材を得ることが容易となる。角材として芯持ち材が使用されるが、森林蘇生のために大量に切り出される間伐材の使用の途を拡大することにも大いに寄与する。
【0026】
ジベルの間に並べられた粗織薄布に接着材を含浸させるようにしているので、接着材の最小層厚を常に粗織薄布によって確保しておくことができる。繊維が細くても接着材塗布面では常に粗織薄布により接着材が捕捉された状態に置かれ、接着むらの発生を可及的に抑える。木材の呼吸による空気の侵入があっても塗布領域では空膜部を持つことなく広がる塗膜で遮断され、重ね合わせ面での角材同士の剥がれを生じさせにくくする。
【0027】
ジベルをラグスクリューが挿通する位置に設置するようにしておくと、ラグスクリューのねじ締結作用による大きな押圧力をジベル自体に対して直接的に及ぼすことができる。構造材が曲げ変形を受けようとする場合でも、ジベルの定位置化が図られ、木面への噛み込み状態の安定が保たれやすくなる。
【0028】
ラグスクリューの頭部を覆うようにして角材の長手方向に金属板を貼着しておけば、それが角材に比べて薄いものであっても、例えば鋼材であるとそのヤング係数は木材のそれの20倍程度あるため、鋼材断面積の20数倍の断面積を有する木質部材を、組合わせ構造材のその部分に付加させたのと同等の効果を発揮させることができる。これによって、構造材は上下のみに重ねられた縦長な組合せ体であっても、力学的には実質T形断面を有した木質構造材と見なすことができるようになり、断面性能の大幅な改善が図られる。
【0029】
角材の重ね合わせ面に粗織薄布を配置しこれに低粘度接着材を含浸させれば、粗織薄布の各繊維間への接着材の含浸のみならず、繊維自体への浸透も加わり、重ね合わされた角材をねじ締結力によって上下から押圧しても、重ね合わせ面における接着層の顕在化が図られ、接着作用を安定的に強く発揮させることができる。
【0030】
接着材を塗布含浸させた粗織薄布とジベルとを重ね合わせ面に併存させた木材組合わせ構造材とすれば、接着材一辺倒による重ね合わせ面の接合力を機械的に補うこともできる。引張力・圧縮力さらには曲げが作用する構造材の耐力向上が促される。
【0031】
ジベルの平面形が角材の長手方向に沿って長くなっている長円形または菱形に形成されていると、上下の角材間に長手方向の剪断力が作用しても、ジベルに設けられた爪が変形する数は最小限に留められ、剪断耐力の高い組合わせ構造材を形成させるにおいて極めて都合がよくなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る木材組合わせ構造材を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。図1の(a)は、ジベル1を挟んで重ね合わされた角材2,2をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材3の断面を示す。これは角材2,2が三段重ねされた例となっている。
【0033】
その角材2は例えば100ミリメートル□程度のものであればよいので、廃材扱いされることの多い間伐材を利用することができる。本発明においては、角材組合わせ体を柱・梁などの構造材として使用できるようにすることを目的としているので、図のような芯持ち材が使用される。なお、間伐材は細くて長いものが比較的多く、このような角材を得るには却って都合がよいとも言える。
【0034】
この木材組合わせ構造材3を得るためのねじ締結に、(b)に示したような軸長の大きいラグスクリュー4が使用される。これは軸端側にねじ部4sが形成され、頭部4hとねじ部4sとの間は円形断面の軸部4aとなっている。従って、(c)に示すように、重ねられるうちの頭部側の角材2A,2Bには軸部の円滑な挿通を図る馬鹿孔2aが形成され、先端側の角材2Cにはねじ部の谷径以下の直径を持ったねじ用下孔2bが設けられる。このようにしておけば、ラグスクリュー4は年輪を横切る方向に簡単に挿通され、ひび割れを起こさせることなく下端の角材2Cに至り、そこで回転が加えられるとねじ用下孔2bを螺進する。
【0035】
ラグスクリュー4による角材2A〜2Cに対する固縛力を増強させるため、ラグスクリューの頭部4hは、通常の木ねじの場合のような2倍程度ではなく、鍔状に広がり座面の直径が軸部4aの径の3〜5倍を超える広さの平面視円形とされている。この頭部4hは円板状でもよいし、(b)中の右に表した二つのように頭下を逆円錐形にしたものであってもよい。いずれにしてもワッシャとして機能しまたラグスクリュー4の回転も阻害しない形状の頭部4hを持っていればよい。
【0036】
この頭部4hには、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。一方、その頭部4hが着座する角材表面に形成される座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさに形成される。すなわち座掘部2cの径は頭部4hと同じかそれよりやや小さく与えられ、その凹みの深さも頭部4hの厚みと同じか僅かに浅くされる。座掘部2cの径が頭部4hより少し小さければ、ラグスクリューの螺進につれて頭部が木地に対してギリギリのめり込みで座掘部に着座する。これによって、固縛用機能部品の存在に基因する断面欠損を角材表面から排除しておくことができる。
【0037】
このような考えから頭部の上面を広くすれば軸部との間に形成される首部も、上で述べた円錐状にするなど太くしておくことができる。ひいては、頭部に刻設される六角孔4dも大きくすることが可能となり、結局ラグスクリューの回転操作が容易で、また大きな締付けトルクも楽に与えることができる。このように円形頭部4hの大径化はワッシャの排除、ねじ込み力の増強、回転操作の円滑化、断面欠損の回避といったように、木材を集成固縛するうえで極めて好都合なものとなる。
【0038】
図2は固縛前の状態を示す斜視図であり、これから分かるように、爪付きのジベル1が角材表面のラグスクリュー孔の位置に設置される。このジベルの噛み込みによるずれ抑止作用は従来技術のところで述べたとおりであるが、ラグスクリューとジベルとの配置関係をこのようにしておけば、ラグスクリューのねじ締結作用による大きな押圧力をジベルに対して直接的に及ぼすことができて都合がよい。構造材が例えば梁として使用され曲げ変形しようとする場合でも、ジベルに作用する剪断力を軽減させることができ、ジベルの木地噛み込み状態の安定が図られる。
【0039】
ラグスクリューは上記した構成とされるが、それに加えて接着操作も行われ、固縛の増強が企図される。それは単に接着材を塗布するというだけでなく、重ね合わせ面に粗織薄布5を連続して配置し、接着材を含浸させるという手法が導入される。粗織薄布としては植物繊維質のものが最も好ましい。合繊との混紡品であってもよいが、薄布に接着材を含浸させるといっても単に繊維間の隙間に充填するというだけでなく、繊維自体にも浸透させることによって、接着材層の確実な形成を図ろうとするものである。ちなみに、接着材としては、現存するものの中でエポキシ樹脂系のものが最もよく、その粘度は2,000cP(センチポアズ)前後としておけばよい。
【0040】
シート状をなすものとして例えば不織布がある。これはたとえ薄く製作したとしても幾つもの繊維が任意に重なり合っていることを常態とするので、薄くするには限界がある。グラスファイバー、グラスウール、ロックウールなどの無機質繊維、高分子合成繊維、最近ではPET品からの再生ウールや再生不織布も存在するが、極細といっても繊維自体への接着材の浸透は不可能に近い。
【0041】
ちなみに、純粋な動物性繊維はたんぱく質を含み変質のおそれがあるから好ましくなく、結局、粗織薄布として木綿の医療用ガーゼや肌当て用のガーゼ(以下ガーゼという)が最適であると言える。もちろん、これに類した植物繊維布もないことはなくまた今後開発されることも期待されるが、接着材層を確保する意味で、繊維が重なりあう部分があるにしても、それが多重にならないものであることが望ましい。
【0042】
もう少し詳しく述べると、ガーゼ5に接着材を含浸させるようにすれば、接着材層の最小厚みは常にガーゼの一または二繊維分の厚みによって保持されることになる。年輪による縞目を形成している硬質部2d,2d(図2を参照)同士が線接触的に重合するところからの接着材の完全排除、すなわち塗膜の部分的な分断はこれによって可及的に回避される。角材の重ね合わせ面にガーゼの繃帯を並べてステープル(図示せず)で止め、接着材を刷毛で塗るなどして含浸させるようにすれば、重ね合わされた角材をねじ締結力によって上下から押圧するだけでも、重ね合わせ面における接合性を著しく高めておくことができる。
【0043】
接着材層の最小厚みが常にガーゼによって或る一定厚み以上に確保されることになり、接着材層の厚みにむらが生じるにしても一層内で層厚零となる箇所はなくなる。木材の呼吸によって空気が侵入してきても接着材塗膜で遮断され、角材同士の剥離を助長する空気溜まりの発生は可及的に防止される。ねじ締結される角材の一体性は増強され、接着材による接合の信頼性も高められる。
【0044】
なお、ガーゼの繃帯を使用すれば一定幅の含浸域を簡単に形成させることができる。ラグスクリュー孔を覆ってしまうことになるが、必要に応じてカッタによりガーゼを四角にくり抜けば、ラグスクリューを回転させたときねじ部が繊維をひきつるというようなことの懸念はなくなる。
【0045】
ジベルは通常平面形が円であることが多い。しかし、本発明においては、図2の上部に示した二種の形状をしたジベルのごとく、角材の長手方向に沿って長くなっている長円形材1Aまたは菱形材1Bとなるように形成される。このようにしておけば、角材間に長手方向の剪断力が作用した場合、角材の僅かなずれがあったとしても、ジベルに設けられた爪の変形は最小限に留められる。すなわち、例えば円形のジベルの場合に比べれば、爪の大部分はほぼ長手方向に並べられた配列となるので、長手方向に対して交差角度が大きくなる爪の数は少なく、従って剪断力を受けて曲がる爪は少なくなるからである。
【0046】
ジベルはその上下縁に鋸歯状の爪が形成される図2中の左上部に描かれた形状を与えておけば十分であるが、このジベル1によるずれ防止、ガーゼ5を接着基体とした強靱な面状接合、ラグスクリュー4による大押圧力による固縛という作用が相乗し、柱・梁に使用することができる強力な構造材3が得られるようになる。本発明は廃材利用の面からも有益であるが、もちろん間伐材であることに限定されるものでないことは述べるまでもない。しかし、間伐材を対象にして言えば、森林荒廃の解決、洪水治水対策への貢献、地域産業の振興、木質建材の高騰抑制等の社会問題の解決に大きく寄与するものとなる。
【0047】
すなわち、地元の山から出る未利用材を地元の建築物構築のために消費できる点で都合がよい。しかも、集成材のように設備の整った工場での生産でなければならないというのではなく、工事現場に組合わせ角材の押圧用油圧ジャッキ等を持ち込むだけで長尺物を製作することができる。切り出された間伐材を製材所で角材にひいて直接工事現場に搬入すればよいわけで、輸送時の荷姿(長尺すぎては運搬不可)や道路事情によって制約を受けることがある工場生産品よりは格安に入手でき、安価に加工できる点は見逃せない。
【0048】
ところで、角材の一体化がなされると、はみ出た接着材の拭き取り、木肌の手直し、断面寸法の修正や変更といった手直し処置が適宜施される。なお、ラグスクリューの頭部が位置する側の木面に何らかの処置を爾後的に加える予定がある場合、図3の(a)のように座掘部2cを少し深くし、埋木6を施すなどしておけば、ラグスクリュー4の頭部4hは手直しなどの邪魔にならなく、また断面欠損を生じさせることもない。
【0049】
構造材3の形状としては図1の(a)のような上下に長い矩形に限らず、図4の(a)ないし(d)に示したような正方形、T形、溝形、I(H)形や、図示しないL形、等辺L形といったように縦横に組み込むことにより、構造材としての断面形状を任意に与えることができる。ラグスクリューは縦横に配置されることになるが、挿通位置は角材の長手方向でずらせておけばよい。
【0050】
(a)の場合には二段重ねを2つ準備し、それを左右に配置して水平に描かれているラグスクリューで一体化させる。(b)はすでに固縛された中央の3段重ねに対して左右から各1つの角材を添えて、水平な姿勢のラグスクリューにより固定する。(c)や(d)では4段重ねに対して側方から1つの角材を上端と下端に与え、これもラグスクリューにより形を固定すればよい。重ね合わせ面にはジベルと接着材含浸粗織薄布が介在される。
【0051】
図5の(a)は、構造材の長尺物を得ようとした場合の一例を示したものである。ラグスクリュー4による重ね固縛する前に(b)に示すごとく個々の角材の木口にフィンガージョイント12を形成しておき、その部分にガーゼ5Aを設置して接着材を含浸させ、材軸方向に加圧して接合する。このような長尺材は上記した要領によって(a)のように重ねれば、長尺な組合わせ構造材とすることができる。
【0052】
いずれにしても、接着材塗布後にラグスクリューでの固縛がなされ、その固縛による保形力は十分発揮されるので、表面清掃等をすれば特に養生することなく移動しまた横持ちすることができる。従って、現場で構造材を製作し直ちに構築することができるから、工期の短縮や資材搬入量や時期に柔軟性を持たせて、施工管理のうえでも極めて都合のよいものとなる。
【0053】
上で述べた構成から分かるように、ジベルを挟んで重ね合わされた角材を頭部の広いラグスクリューで締結し、角材表面に頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさの座掘部を形成しておくようにしただけでも、重ね合わせ体に対して強力なねじ締結力を及ぼし、上下面に断面欠損を残すこともなく、最小サイズの角材によって所望する強度の柱・梁等を得ることが容易となる。
【0054】
図6は、ラグスクリュー4の頭部4hを覆って角材2の長手方向に延びる金属板7が貼着された構造としたものである。このメタルパネルは図のように浅い溝に嵌め込むようにしてもまた全面に被せるようにしてもよいが、接着よりも小ねじ8,8によって止める方が固定は確実となる。もちろん、接着材と小ねじの併用を排除するものではない。
【0055】
そのパネルがスチールである場合、角材に比べて格段に薄くてもヤング係数は約20倍も大きいので、図3の(b)には控え目に表したが、その20倍を超える大きさの断面積を持った木質部材を、組合わせ構造材のその部分に付加させたのと同等の効果を発揮させることができる。これによって、組合わせ構造材が単に上下のみに重ね合わされた縦長であっても、力学的には仮想線で形成した実質T形断面を有する木質構造材9と見なすことができ、断面性能の大幅な改善が簡単な手段で図られるようになる。
【0056】
以上の説明からも分かるように、六角孔を持った頭部を備え、頭部周囲に残隙が生じないようにしたラグスクリューで固縛するだけでも、ジベルを挟んで重ね合わせた角材を強固な構造材に仕立てあげることができる。また、ラグスクリューの使用の如何によらず、木材を接着接合して角材組合わせ木造構造材を製作するにおいて、ガーゼなどの粗織薄布に接着材を塗布・含浸させることによる一体化も極めて有用な手だてであることが分かる。もちろんジベルとの併用は可能であり、接着材塗布面を重ね合わせ面の全部に施したり部分的もしくは断続的にするといった工夫も適宜とることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る角材組合わせ木造構造材の一例を示し、(a)は三段重ねの角材からなる場合の断面図、(b)はそれに使用されるラグスクリューの単体図、(c)は組み合わせ前の角材の各断面図。
【図2】ジベルと粗織薄布とが配置された様子を表した重ね合わせ前の斜視図。
【図3】(a)は埋木した場合の断面図、(b)はメタルプレートを当てた状態を表すと共にその力学上の断面積増大説明図。
【図4】(a)から(d)は角材を組み合わせて得た各種形状をなす構造材の断面図。
【図5】(a)は構造材の長尺化を図る製作要領の斜視図、(b)は個々の角材を接合する要領を示した斜視図。
【図6】メタルプレートをラグスクリューの頭部上に配置した角材単体の斜視図。
【図7】従来技術である重ね梁を示し、(a)は構造材からボルト頭部等を突出させた状態にある場合の断面図。(b)は座掘部を設けて納めた場合の断面図。
【図8】重ね梁の長手方向を表した側方から見た断面図。
【符号の説明】1,1A,1B…ジベル、2,2A,2B,2C…角材、2b…ねじ用下孔、2c…座掘部、3…木材組合わせ構造材、4…ラグスクリュー、4a…軸部、4d…レンチ用六角孔、4h…頭部、4s…ねじ部、5,5A…粗織薄布(ガーゼ)、7…金属板(メタルプレート)。
【発明の属する技術分野】
本発明は木材組合わせ構造材に係り、詳しくは、間伐材等から得られた角材をねじ締結により一体化させ、柱・梁等の構造材として機能させることができるようにした角材組合わせ木造構造材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木材の有効利用を図る手段として、例えば実開平3−105622号公報にも開示されているように、繊維方向を合わせて板材を平行に組み合わせ、接着材により積層一体化させた組合わせ材が知られている。このようにして作られる集成材は任意の大きさを持った断面を与えることができることや、所望する長さとなるように順次重ね合わすことができ、所望した寸法を得るには極めて都合がよい木質建材となる。そして、ほぼ等質な部材としておくことも容易である利点がある。
【0003】
その各板材は、合成樹脂系の接着材を用いて一体化されることが通常である。そのため風雨に曝される屋外での使用には耐久性の面で難がある。それのみならず、接着材が木面全体に馴染んでいるかは外部から判別しがたいこと、通常節の少ない高品質の板を用いるために原木に対する歩留りが小さくなること、大きい断面を形成させるには多数枚の板が必要となって却って割高となることなどの点で問題を抱えると言える。
【0004】
例えば梁として使用した場合、重ね合わせ面に作用する剪断力は塗布されている接着材にも及ぶが、接着力を面内均一に発揮させることができるようにするのは容易でない。すなわち、強圧して面着させるとはいえ、重ね合わせ面における木目の粗密や表面粗度に違いがあり、接着材層が不均厚となりがちであるからである。従って、合わせ面での接着効果の均質性を得ようとすれば、素材選定にも配慮を払わなければならなくなる。
【0005】
ところで、高強度構造材を組合わせ品によって得ようとする場合、例えば実開平1−92412号公報にも記載されているように、長いボルトを使用して固縛することがある。この例は、上段と下段の角材にそれぞれねじ棒を縦通させ、端面に密着させた剛板から出たねじ端にナットを掛けて全段の角材を挟み、中段の角材は剛板側から差し込んだ小ねじで止めておくという構成をとっている。
【0006】
このように多段に重ね合わされた角材を長尺なねじ棒で一体化させる方法として、図7の(a)に示すような締結法が採られることもある。これは、積み重ねられた角材に対して上下方向からねじ棒を挿通させるものであるが、この場合、重ね合わせ面にジベル51(左端部に表した拡大図も参照)が設置され、これを挟むようにした角材52,52が長い貫通ボルト53で固縛されるようになっている。
【0007】
貫通ボルトの先端にナット54が掛けられ、重ね合わせた角材を上下方向の圧縮力で一体化し、合わせ面のジベル51で角材の長手方向ずれを阻止する。ジベルには爪51a,51aが上下に突設されており、貫通ボルト53による固縛前に重ね合わせた角材を図示しない油圧ジャッキ等で挟んで爪を木面に噛み込ませておき、このジベルと貫通ボルトによって角材がいずれの方向へもずれないようにされる。
【0008】
この重ね合わせ材を例えば梁として使用する場合、図8に示すように、角材52の長手方向に幾つものジベル51や貫通ボルト53が配置される。通常端部に近づくほど貫通ボルトやジベルのピッチは小さく、支持部近傍での剪断力に対する強化のため固縛の増強が図られる。この場合、貫通ボルトの頭部やナットがめり込むのを防止するために木造用ワッシャ55(図7の(a)も参照)が用いられる。これは金属材を対象とした場合よりも座面が広く与えられ、木面に作用する応力の軽減が図られている。
【0009】
このワッシャは角材の表面に設置されることが多く、従ってボルト頭部やナットが外部に現れる。これは美観や見栄えを損なうだけでなく、構造材の上下面の平面性や平滑性が失われ、また建てつけ上も収まりの悪いものとなる。もちろん爾後的な面出し作業もやり難く、これが重ね合わせ材の使用の途を致命的に狭めている。
【0010】
これを解消するために、図7の(b)に示すように、ワッシャが入る程度の大きさの孔56が上下面に座掘りされる。上方側では頭部53aとワッシャ55とを、下方側ではナット54やワッシャ55とねじ部先端53bを収納できるようにしておく。この例に類する構成が、特開2002−146918号公報にも開示されている。
【0011】
しかし、このような処置を採ると、梁すなわち曲げ材として使用した場合に最も大きな応力の作用する位置の上下端部に、重ね梁としての耐久性を低下させる断面欠損部が残されることになる。その影響を抑えようとして大断面化すれば、断面欠損のない部分では過大断面となって無駄が生じる。
【0012】
ところで、ジベルは例えば100mm□の角材に対しては6cm径、10mm厚み程度のリング状である。これは重ね合わせ材に曲げが作用して変形しようとしたときそれに追従して変形するものでないから、このジベルが却って梁の変形を阻害する。もしくは、ジベルの爪が曲げ変形を受ける角材との間で噛みこみ孔を拡げるように挙動する。これでは梁としての部材の一体性が損なわれたり、ジベルによるずれ止め作用が経時的に低下することになる。このようなことを考慮すると、設計上はその断面二次モーメントや断面係数の評価を、一本ものの角材に比較して精々60〜70%に留めざるを得なくなる。
【0013】
上記した貫通ボルトを使用しない例として、長いねじ部を持ったラグスクリューを使用する提案が、実用新案登録第3021618号公報においてなされている。そして、頭部を埋没させ、隠し釘として機能させることができることも開示されている。これは木材に噛みこんでいく主ねじと、これとは別にそのねじ部と頭部との間に別ピッチの副ねじを形成させたものとなっている。先端の主ねじ部による下側の角材に対する螺進を利用して、頭部に近い側の副ねじで上側の角材の締めあげを図ったり、逆回転操作時の抜け出しの円滑を促そうとの意図によるものである。
【0014】
【特許文献1】
実開平3−105622号公報
【特許文献2】
実開平1−92412号公報
【特許文献3】
特開2002−146918号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3021618号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、長いねじを持ったラグスクリューとはいっても、ピッチや径の異なる副ねじを備えるために、主ねじが木側に形成させた螺旋孔を副ねじで耕してしまうことになる。これでは、二種のねじが通過した箇所でのねじ締結力は減殺される傾向にあって、構造材としたい角材の重ね合わせ締結には相応しいものとは言い難い。
【0016】
また、頭部を埋没させて側面からはラグスクリューが見えなくする配慮も払われるが、頭下は正三角形に近いテーパの逆円錐形であって、螺進力が大きくなると木面下にめり込み、却って頭部によるねじ込み反力の受け持ちを低下させてしまう。その頭部の径が小さいために、ドライバーを噛ませる程度の小さな回し溝しか形成させることができず、加えることができる締結トルクもかなり制約されたものとなる。
【0017】
次に、木材を重ね合わせて接着する場合の問題を考える。接着性能を左右するのは接着面の木肌の性状である。木面には縞状の木目があり、これが僅かといえども表面に凹凸を与える。また、硬軟質が混成した状態をも生じさせる。従って接着材塗布面を密着させるためには大きな加圧力が必要となり、作業が容易でない。
【0018】
もちろん薄い塗膜が連続して存在していればよいが、木目の縞が対面する箇所では硬質部同士の交差や線接触によって塗着層が分断されることになり、塗膜にすじ状の空膜部を生じさせる。塗膜の不連続は、面着力の均質性低下、すなわち一塗膜内での引張耐力や剪断耐力のばらつき発生を余儀なくする。さらには、木材の呼吸により侵入する空気の遮断ができなくなり、流通する外気との接触で接着材の劣化も惹起され、長期にわたり均一かつ安定した面着性能を期待し難くなる。
【0019】
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的は、重ね合わせた角材をねじ締結するにあたり、ラグスクリューによる固縛力を高く発揮させるべく押圧面を広く確保できること、大きなトルクを与えやすくして締結力の増大が図られるようにすること、構造材を断面欠損のないかたちのねじ式固縛で形成できるようにすること、重ね合わせ面を接着させる場合には塗膜の顕在化を実現して超希薄層や空膜部の発生を回避することなどの実現を図る木材組合わせ構造材を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジベルを挟んで重ね合わされた角材をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、各角材2,2は芯持ち材とする。その年輪を横切る方向に延びるねじで締結するために、頭部側の角材2A,2Bを挿通した後に軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進することができるラグスクリュー4が使用される。そのラグスクリュー4の頭部4hは軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。頭部4hが着座する角材表面に形成された座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさとされる。そして図2に示すように、重ね合わせ面には粗織薄布5が配置され、含浸された接着材によって一体化力を増強させるようにしていることである。
【0021】
ジベル1は、ラグスクリュー4の挿通位置に設置しておくことが好ましい。図6のように、ラグスクリュー4の頭部4h,4hを覆って、角材2の長手方向に延びる金属板7を貼着しておくようにしてもよい。
【0022】
図1に戻って、角材2,2のねじ締結のために、軸端側の角材2Cに設けたねじ用下孔2bを螺進するラグスクリュー4を使用する。そのラグスクリュー4の頭部4hは軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形とする。その中心にレンチ用六角孔4dを形成しておき、頭部4hが着座する角材表面に形成される座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさに与える。
【0023】
角材2の重ね合わせ面に粗織薄布5(図2を参照)を配置し、これに含浸させた接着材によりねじ締結される角材の一体性を増強させるようにしておく。この場合、粗織薄布5を実質的に連続して配置し、その粗織薄布の上にジベル1を設置するようにすればよい。
【0024】
なお、ジベルは、その平面形が角材の長手方向に沿って長くなっている長円形または菱形に形成されていることが好ましい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ジベルを挟んで重ね合わされた角材を頭部の広いラグスクリューで締結し、角材表面に頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさの座掘部を形成しておくようにしている。これによって、重ね合わせ品には強力なねじ締結力を発生させることができ、また、構造材の上下面に断面欠損を残すこともなくなり、最小サイズの角材によって所望する強度を発揮する高強度構造材を得ることが容易となる。角材として芯持ち材が使用されるが、森林蘇生のために大量に切り出される間伐材の使用の途を拡大することにも大いに寄与する。
【0026】
ジベルの間に並べられた粗織薄布に接着材を含浸させるようにしているので、接着材の最小層厚を常に粗織薄布によって確保しておくことができる。繊維が細くても接着材塗布面では常に粗織薄布により接着材が捕捉された状態に置かれ、接着むらの発生を可及的に抑える。木材の呼吸による空気の侵入があっても塗布領域では空膜部を持つことなく広がる塗膜で遮断され、重ね合わせ面での角材同士の剥がれを生じさせにくくする。
【0027】
ジベルをラグスクリューが挿通する位置に設置するようにしておくと、ラグスクリューのねじ締結作用による大きな押圧力をジベル自体に対して直接的に及ぼすことができる。構造材が曲げ変形を受けようとする場合でも、ジベルの定位置化が図られ、木面への噛み込み状態の安定が保たれやすくなる。
【0028】
ラグスクリューの頭部を覆うようにして角材の長手方向に金属板を貼着しておけば、それが角材に比べて薄いものであっても、例えば鋼材であるとそのヤング係数は木材のそれの20倍程度あるため、鋼材断面積の20数倍の断面積を有する木質部材を、組合わせ構造材のその部分に付加させたのと同等の効果を発揮させることができる。これによって、構造材は上下のみに重ねられた縦長な組合せ体であっても、力学的には実質T形断面を有した木質構造材と見なすことができるようになり、断面性能の大幅な改善が図られる。
【0029】
角材の重ね合わせ面に粗織薄布を配置しこれに低粘度接着材を含浸させれば、粗織薄布の各繊維間への接着材の含浸のみならず、繊維自体への浸透も加わり、重ね合わされた角材をねじ締結力によって上下から押圧しても、重ね合わせ面における接着層の顕在化が図られ、接着作用を安定的に強く発揮させることができる。
【0030】
接着材を塗布含浸させた粗織薄布とジベルとを重ね合わせ面に併存させた木材組合わせ構造材とすれば、接着材一辺倒による重ね合わせ面の接合力を機械的に補うこともできる。引張力・圧縮力さらには曲げが作用する構造材の耐力向上が促される。
【0031】
ジベルの平面形が角材の長手方向に沿って長くなっている長円形または菱形に形成されていると、上下の角材間に長手方向の剪断力が作用しても、ジベルに設けられた爪が変形する数は最小限に留められ、剪断耐力の高い組合わせ構造材を形成させるにおいて極めて都合がよくなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る木材組合わせ構造材を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。図1の(a)は、ジベル1を挟んで重ね合わされた角材2,2をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材3の断面を示す。これは角材2,2が三段重ねされた例となっている。
【0033】
その角材2は例えば100ミリメートル□程度のものであればよいので、廃材扱いされることの多い間伐材を利用することができる。本発明においては、角材組合わせ体を柱・梁などの構造材として使用できるようにすることを目的としているので、図のような芯持ち材が使用される。なお、間伐材は細くて長いものが比較的多く、このような角材を得るには却って都合がよいとも言える。
【0034】
この木材組合わせ構造材3を得るためのねじ締結に、(b)に示したような軸長の大きいラグスクリュー4が使用される。これは軸端側にねじ部4sが形成され、頭部4hとねじ部4sとの間は円形断面の軸部4aとなっている。従って、(c)に示すように、重ねられるうちの頭部側の角材2A,2Bには軸部の円滑な挿通を図る馬鹿孔2aが形成され、先端側の角材2Cにはねじ部の谷径以下の直径を持ったねじ用下孔2bが設けられる。このようにしておけば、ラグスクリュー4は年輪を横切る方向に簡単に挿通され、ひび割れを起こさせることなく下端の角材2Cに至り、そこで回転が加えられるとねじ用下孔2bを螺進する。
【0035】
ラグスクリュー4による角材2A〜2Cに対する固縛力を増強させるため、ラグスクリューの頭部4hは、通常の木ねじの場合のような2倍程度ではなく、鍔状に広がり座面の直径が軸部4aの径の3〜5倍を超える広さの平面視円形とされている。この頭部4hは円板状でもよいし、(b)中の右に表した二つのように頭下を逆円錐形にしたものであってもよい。いずれにしてもワッシャとして機能しまたラグスクリュー4の回転も阻害しない形状の頭部4hを持っていればよい。
【0036】
この頭部4hには、その中心にレンチ用六角孔4dが形成される。一方、その頭部4hが着座する角材表面に形成される座掘部2cの直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさに形成される。すなわち座掘部2cの径は頭部4hと同じかそれよりやや小さく与えられ、その凹みの深さも頭部4hの厚みと同じか僅かに浅くされる。座掘部2cの径が頭部4hより少し小さければ、ラグスクリューの螺進につれて頭部が木地に対してギリギリのめり込みで座掘部に着座する。これによって、固縛用機能部品の存在に基因する断面欠損を角材表面から排除しておくことができる。
【0037】
このような考えから頭部の上面を広くすれば軸部との間に形成される首部も、上で述べた円錐状にするなど太くしておくことができる。ひいては、頭部に刻設される六角孔4dも大きくすることが可能となり、結局ラグスクリューの回転操作が容易で、また大きな締付けトルクも楽に与えることができる。このように円形頭部4hの大径化はワッシャの排除、ねじ込み力の増強、回転操作の円滑化、断面欠損の回避といったように、木材を集成固縛するうえで極めて好都合なものとなる。
【0038】
図2は固縛前の状態を示す斜視図であり、これから分かるように、爪付きのジベル1が角材表面のラグスクリュー孔の位置に設置される。このジベルの噛み込みによるずれ抑止作用は従来技術のところで述べたとおりであるが、ラグスクリューとジベルとの配置関係をこのようにしておけば、ラグスクリューのねじ締結作用による大きな押圧力をジベルに対して直接的に及ぼすことができて都合がよい。構造材が例えば梁として使用され曲げ変形しようとする場合でも、ジベルに作用する剪断力を軽減させることができ、ジベルの木地噛み込み状態の安定が図られる。
【0039】
ラグスクリューは上記した構成とされるが、それに加えて接着操作も行われ、固縛の増強が企図される。それは単に接着材を塗布するというだけでなく、重ね合わせ面に粗織薄布5を連続して配置し、接着材を含浸させるという手法が導入される。粗織薄布としては植物繊維質のものが最も好ましい。合繊との混紡品であってもよいが、薄布に接着材を含浸させるといっても単に繊維間の隙間に充填するというだけでなく、繊維自体にも浸透させることによって、接着材層の確実な形成を図ろうとするものである。ちなみに、接着材としては、現存するものの中でエポキシ樹脂系のものが最もよく、その粘度は2,000cP(センチポアズ)前後としておけばよい。
【0040】
シート状をなすものとして例えば不織布がある。これはたとえ薄く製作したとしても幾つもの繊維が任意に重なり合っていることを常態とするので、薄くするには限界がある。グラスファイバー、グラスウール、ロックウールなどの無機質繊維、高分子合成繊維、最近ではPET品からの再生ウールや再生不織布も存在するが、極細といっても繊維自体への接着材の浸透は不可能に近い。
【0041】
ちなみに、純粋な動物性繊維はたんぱく質を含み変質のおそれがあるから好ましくなく、結局、粗織薄布として木綿の医療用ガーゼや肌当て用のガーゼ(以下ガーゼという)が最適であると言える。もちろん、これに類した植物繊維布もないことはなくまた今後開発されることも期待されるが、接着材層を確保する意味で、繊維が重なりあう部分があるにしても、それが多重にならないものであることが望ましい。
【0042】
もう少し詳しく述べると、ガーゼ5に接着材を含浸させるようにすれば、接着材層の最小厚みは常にガーゼの一または二繊維分の厚みによって保持されることになる。年輪による縞目を形成している硬質部2d,2d(図2を参照)同士が線接触的に重合するところからの接着材の完全排除、すなわち塗膜の部分的な分断はこれによって可及的に回避される。角材の重ね合わせ面にガーゼの繃帯を並べてステープル(図示せず)で止め、接着材を刷毛で塗るなどして含浸させるようにすれば、重ね合わされた角材をねじ締結力によって上下から押圧するだけでも、重ね合わせ面における接合性を著しく高めておくことができる。
【0043】
接着材層の最小厚みが常にガーゼによって或る一定厚み以上に確保されることになり、接着材層の厚みにむらが生じるにしても一層内で層厚零となる箇所はなくなる。木材の呼吸によって空気が侵入してきても接着材塗膜で遮断され、角材同士の剥離を助長する空気溜まりの発生は可及的に防止される。ねじ締結される角材の一体性は増強され、接着材による接合の信頼性も高められる。
【0044】
なお、ガーゼの繃帯を使用すれば一定幅の含浸域を簡単に形成させることができる。ラグスクリュー孔を覆ってしまうことになるが、必要に応じてカッタによりガーゼを四角にくり抜けば、ラグスクリューを回転させたときねじ部が繊維をひきつるというようなことの懸念はなくなる。
【0045】
ジベルは通常平面形が円であることが多い。しかし、本発明においては、図2の上部に示した二種の形状をしたジベルのごとく、角材の長手方向に沿って長くなっている長円形材1Aまたは菱形材1Bとなるように形成される。このようにしておけば、角材間に長手方向の剪断力が作用した場合、角材の僅かなずれがあったとしても、ジベルに設けられた爪の変形は最小限に留められる。すなわち、例えば円形のジベルの場合に比べれば、爪の大部分はほぼ長手方向に並べられた配列となるので、長手方向に対して交差角度が大きくなる爪の数は少なく、従って剪断力を受けて曲がる爪は少なくなるからである。
【0046】
ジベルはその上下縁に鋸歯状の爪が形成される図2中の左上部に描かれた形状を与えておけば十分であるが、このジベル1によるずれ防止、ガーゼ5を接着基体とした強靱な面状接合、ラグスクリュー4による大押圧力による固縛という作用が相乗し、柱・梁に使用することができる強力な構造材3が得られるようになる。本発明は廃材利用の面からも有益であるが、もちろん間伐材であることに限定されるものでないことは述べるまでもない。しかし、間伐材を対象にして言えば、森林荒廃の解決、洪水治水対策への貢献、地域産業の振興、木質建材の高騰抑制等の社会問題の解決に大きく寄与するものとなる。
【0047】
すなわち、地元の山から出る未利用材を地元の建築物構築のために消費できる点で都合がよい。しかも、集成材のように設備の整った工場での生産でなければならないというのではなく、工事現場に組合わせ角材の押圧用油圧ジャッキ等を持ち込むだけで長尺物を製作することができる。切り出された間伐材を製材所で角材にひいて直接工事現場に搬入すればよいわけで、輸送時の荷姿(長尺すぎては運搬不可)や道路事情によって制約を受けることがある工場生産品よりは格安に入手でき、安価に加工できる点は見逃せない。
【0048】
ところで、角材の一体化がなされると、はみ出た接着材の拭き取り、木肌の手直し、断面寸法の修正や変更といった手直し処置が適宜施される。なお、ラグスクリューの頭部が位置する側の木面に何らかの処置を爾後的に加える予定がある場合、図3の(a)のように座掘部2cを少し深くし、埋木6を施すなどしておけば、ラグスクリュー4の頭部4hは手直しなどの邪魔にならなく、また断面欠損を生じさせることもない。
【0049】
構造材3の形状としては図1の(a)のような上下に長い矩形に限らず、図4の(a)ないし(d)に示したような正方形、T形、溝形、I(H)形や、図示しないL形、等辺L形といったように縦横に組み込むことにより、構造材としての断面形状を任意に与えることができる。ラグスクリューは縦横に配置されることになるが、挿通位置は角材の長手方向でずらせておけばよい。
【0050】
(a)の場合には二段重ねを2つ準備し、それを左右に配置して水平に描かれているラグスクリューで一体化させる。(b)はすでに固縛された中央の3段重ねに対して左右から各1つの角材を添えて、水平な姿勢のラグスクリューにより固定する。(c)や(d)では4段重ねに対して側方から1つの角材を上端と下端に与え、これもラグスクリューにより形を固定すればよい。重ね合わせ面にはジベルと接着材含浸粗織薄布が介在される。
【0051】
図5の(a)は、構造材の長尺物を得ようとした場合の一例を示したものである。ラグスクリュー4による重ね固縛する前に(b)に示すごとく個々の角材の木口にフィンガージョイント12を形成しておき、その部分にガーゼ5Aを設置して接着材を含浸させ、材軸方向に加圧して接合する。このような長尺材は上記した要領によって(a)のように重ねれば、長尺な組合わせ構造材とすることができる。
【0052】
いずれにしても、接着材塗布後にラグスクリューでの固縛がなされ、その固縛による保形力は十分発揮されるので、表面清掃等をすれば特に養生することなく移動しまた横持ちすることができる。従って、現場で構造材を製作し直ちに構築することができるから、工期の短縮や資材搬入量や時期に柔軟性を持たせて、施工管理のうえでも極めて都合のよいものとなる。
【0053】
上で述べた構成から分かるように、ジベルを挟んで重ね合わされた角材を頭部の広いラグスクリューで締結し、角材表面に頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさの座掘部を形成しておくようにしただけでも、重ね合わせ体に対して強力なねじ締結力を及ぼし、上下面に断面欠損を残すこともなく、最小サイズの角材によって所望する強度の柱・梁等を得ることが容易となる。
【0054】
図6は、ラグスクリュー4の頭部4hを覆って角材2の長手方向に延びる金属板7が貼着された構造としたものである。このメタルパネルは図のように浅い溝に嵌め込むようにしてもまた全面に被せるようにしてもよいが、接着よりも小ねじ8,8によって止める方が固定は確実となる。もちろん、接着材と小ねじの併用を排除するものではない。
【0055】
そのパネルがスチールである場合、角材に比べて格段に薄くてもヤング係数は約20倍も大きいので、図3の(b)には控え目に表したが、その20倍を超える大きさの断面積を持った木質部材を、組合わせ構造材のその部分に付加させたのと同等の効果を発揮させることができる。これによって、組合わせ構造材が単に上下のみに重ね合わされた縦長であっても、力学的には仮想線で形成した実質T形断面を有する木質構造材9と見なすことができ、断面性能の大幅な改善が簡単な手段で図られるようになる。
【0056】
以上の説明からも分かるように、六角孔を持った頭部を備え、頭部周囲に残隙が生じないようにしたラグスクリューで固縛するだけでも、ジベルを挟んで重ね合わせた角材を強固な構造材に仕立てあげることができる。また、ラグスクリューの使用の如何によらず、木材を接着接合して角材組合わせ木造構造材を製作するにおいて、ガーゼなどの粗織薄布に接着材を塗布・含浸させることによる一体化も極めて有用な手だてであることが分かる。もちろんジベルとの併用は可能であり、接着材塗布面を重ね合わせ面の全部に施したり部分的もしくは断続的にするといった工夫も適宜とることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る角材組合わせ木造構造材の一例を示し、(a)は三段重ねの角材からなる場合の断面図、(b)はそれに使用されるラグスクリューの単体図、(c)は組み合わせ前の角材の各断面図。
【図2】ジベルと粗織薄布とが配置された様子を表した重ね合わせ前の斜視図。
【図3】(a)は埋木した場合の断面図、(b)はメタルプレートを当てた状態を表すと共にその力学上の断面積増大説明図。
【図4】(a)から(d)は角材を組み合わせて得た各種形状をなす構造材の断面図。
【図5】(a)は構造材の長尺化を図る製作要領の斜視図、(b)は個々の角材を接合する要領を示した斜視図。
【図6】メタルプレートをラグスクリューの頭部上に配置した角材単体の斜視図。
【図7】従来技術である重ね梁を示し、(a)は構造材からボルト頭部等を突出させた状態にある場合の断面図。(b)は座掘部を設けて納めた場合の断面図。
【図8】重ね梁の長手方向を表した側方から見た断面図。
【符号の説明】1,1A,1B…ジベル、2,2A,2B,2C…角材、2b…ねじ用下孔、2c…座掘部、3…木材組合わせ構造材、4…ラグスクリュー、4a…軸部、4d…レンチ用六角孔、4h…頭部、4s…ねじ部、5,5A…粗織薄布(ガーゼ)、7…金属板(メタルプレート)。
Claims (7)
- ジベルを挟んで重ね合わされた角材をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材において、
前記各角材は芯持ち材であり、その年輪を横切る方向に延びるねじで締結するために、頭部側の角材を挿通した後に軸端側の角材に設けたねじ用下孔を螺進するラグスクリューが用いられ、
該ラグスクリューの頭部は軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔が形成され、
前記頭部が着座する角材表面に形成された座掘部の直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさであり、
重ね合わせ面には粗織薄布が配置され、含浸された接着材によって一体化力を増強させたことを特徴とする木材組合わせ構造材。 - 前記ジベルは前記ラグスクリューが挿通する位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載された木材組合わせ構造材。
- 前記ラグスクリューの頭部を覆って角材の長手方向に延びる金属板が貼着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された木材組合わせ構造材。
- ジベルを挟んで重ね合わされた角材をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材において、
前記角材のねじ締結のために、軸端側の角材に設けたねじ用下孔を螺進するラグスクリューが用いられ、
該ラグスクリューの頭部は軸径の3ないし5倍を超える直径の平面視円形であり、その中心にレンチ用六角孔が形成され、
前記頭部が着座する角材表面に形成された座掘部の直径は、頭部周囲との間に残隙を生じさせない大きさが与えられていることを特徴とする木材組合わせ構造材。 - 角材をねじ締結することにより、組合せ角材を一体化させた木材組合わせ構造材において、角材の重ね合わせ面には粗織薄布が配置され、これに含浸させた接着材によりねじ締結される角材の一体性を増強させたことを特徴とする木材組合わせ構造材。
- 前記粗織薄布は連続して配置され、その上にジベルが設置されていることを特徴とする請求項5に記載された木材組合わせ構造材。
- 前記ジベルは、その平面形が角材の長手方向に沿って長くなっている長円形または菱形に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4および請求項6のいずれか一項に記載された木材組合わせ構造材。
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Cited By (3)
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WO2007049329A1 (ja) * | 2005-10-24 | 2007-05-03 | Michiru Imase | ログ材 |
JP2007168407A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Kazuhiro Ishide | 木材乾燥方法および柱材 |
JP2008144455A (ja) * | 2006-12-08 | 2008-06-26 | Kenchiku Kenkyusho Archivision:Kk | 等断面集積木材構造 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003089664A patent/JP2004293225A/ja active Pending
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