JP2004292578A - 粘着シート用基材および粘着シート - Google Patents

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政宏 飛鳥
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Abstract

【課題】均一拡張性に優れており、かつ、適度な引張強度、柔軟性、透明性等を兼備し、層間剥離を起こすこともない粘着シート用基材、および、この粘着シート用基材を用いた粘着シートを提供する。
【解決手段】少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体10〜60重量%、および、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂40〜90重量%を含有する樹脂組成物が製膜されてなることを特徴とする粘着シート用基材、および、上記粘着シート用基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなることを特徴とする粘着シート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着シート用基材およびそれを用いた粘着シートに関する。なお、本発明で言うシートにはフィルムも包含される。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シリコン等の半導体ウエハは、大面積の状態で製造された後、小片のチップ状にダイシングされて、マウント工程に移される。この際、半導体ウエハは、粘着シートに貼付され保持された状態でダイシング、洗浄、エキスパンド、ピックアップ、マウント等の各工程における作業が施される。上記粘着シートとしては、プラスチックシートからなる基材(シート基材)上に粘着剤層が形成されてなるもの、いわゆるダイシング用粘着シートが一般的に用いられている。
【0003】
上記ダイシング工程においては、回転する丸刃によって半導体ウエハの切断が行われるが、かかる半導体ウエハの切断方法としては、半導体ウエハを保持するダイシング用粘着シートの内部にまで切り込みを行なう切断方法が主流となってきている。
【0004】
このダイシング工程に用いられるダイシング用粘着シートを構成するシート基材には、均一な拡張性(エキスパンド性)を有しているとともに、その拡張性が優れていることが要求される。すなわち、上記シート基材の均一拡張性が優れていると、ダイシング用粘着シートを拡張させた場合に、各チップ間に均等な隙間を形成することができ、その結果、チップのピックアップ工程における作業性が極めて優れたものとなる。
【0005】
このような性能を有するシート基材として、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂シートが開発されている。しかし、軟質塩化ビニル系樹脂シートは、塩素を含有しているため、塩素イオンにより半導体ウエハを腐食させるという問題点がある。また、軟質塩化ビニル系樹脂シートは、柔軟性を付与するために多量の可塑剤が配合されているので、可塑剤が半導体ウエハに移行して半導体ウエハを汚染するという問題点や、可塑剤がダイシング用粘着シートを構成する粘着剤層に移行して粘着力を低下させ、ダイシング時にチップが飛散しやすくなるという問題点がある。
【0006】
そこで、軟質塩化ビニル系樹脂シートに代わる軟質のシート基材として、半導体ウエハを腐食したり、焼却時に有害ガスを発生する等の塩素含有に起因する問題点を生じないポリオレフィン系樹脂シートが開発されている。
【0007】
上記ポリオレフィン系樹脂シートとしては、例えば、ポリプロピレン系樹脂シートやポリエチレン系樹脂シート等が挙げられるが、これら従来のポリオレフィン系樹脂シートは、軟質塩化ビニル系樹脂シートに比較して、多くの点で劣っている。すなわち、ポリプロピレン系樹脂シートは、一般に結晶性が高いため、柔軟性や拡張性に劣るという問題点があり、また、ポリエチレン系樹脂シートは、一般に機械的強度が劣るという問題点がある。
【0008】
このような問題点を解消するために種々の試みがなされており、例えば、プロピレンおよび/またはブテン−1の含有率が50重量%以上の非晶性ポリオレフィンを20〜100重量%と結晶性ポリプロピレンを80重量%以下含有してなる樹脂組成物からなる層とエチレン系樹脂からなる層とを構成層とする積層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかし、上記積層フィルムは、繰り返し折り曲げられた場合や拡張された場合に、非晶性ポリオレフィンを含有する樹脂組成物からなる層とエチレン系樹脂からなる層とが界面で容易に剥離することがあるという問題点や、軟質塩化ビニル系樹脂シートに比較して、均一拡張性が不十分であるという問題点がある。
【0010】
また、特定のプロピレン系ブロック共重合体5〜99重量%およびポリプロピレン1〜95重量%を含有してなるポリオレフィン系フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
また、ポリプロピレンにスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体やエチレンプロピレンゴムなどの熱可塑性エラストマーを混合して、柔軟性を付与したポリオレフィン系フィルムの提案もある。
【0012】
しかし、これらのポリオレフィン系フィルムは、柔軟性は確かに改善されているものの、ポリプロピレンと混合される材料との相溶性の関係から透明性が不十分であるという問題点や、軟質塩化ビニル系樹脂シートに比較して、均一拡張性が不十分であるという問題点がある。
【0013】
さらに、少なくとも三層以上の多層フィルムであって、芯層がポリプロピレンを主体とし、ゴム弾性を有し、かつ、明確な融点を持つ樹脂からなり、該芯層に接する層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるダイシング用基材フィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
上記ダイシング用基材フィルムは、均一拡張性に優れ、適度な引張弾性率を有し、層間剥離を起こさないものであるとされている。しかし、上記ダイシング用基材フィルムは、フィルム厚を薄くした場合には、表層を構成する直鎖状低密度ポリエチレン層が積層する段階でロールの方に捲き付いてしまうという問題点がある。
【0015】
【特許文献1】
特開平6−927号公報
【特許文献2】
特開平7−300548号公報
【特許文献3】
特開2000−173951号公報
【特許文献4】
特公昭40−23798号公報
【特許文献5】
特公昭42−8704号公報
【特許文献6】
特公昭43−6636号公報
【特許文献7】
特開昭60−220147号公報
【特許文献8】
特開昭61−33132号公報
【特許文献9】
特開昭62−207303号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、均一拡張性に優れており、かつ、適度な引張強度、柔軟性、透明性等を兼備し、層間剥離を起こすこともない粘着シート用基材、および、この粘着シート用基材を用いた粘着シートを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による粘着シート用基材は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体10〜60重量%、および、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂40〜90重量%を含有する樹脂組成物が製膜されてなることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明による粘着シート用基材は、上記請求項1に記載の粘着シート用基材において、水添ブロック共重合体が、水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造を有し、かつ、結合スチレン量が8〜40重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が20〜50重量%であり、上記ポリブタジエンの二重結合の80%以上が水素添加されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明による粘着シート用基材は、上記請求項1または請求項2に記載の粘着シート用基材において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が2〜9であり、かつ、密度が0.89〜0.95であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明(本発明)による粘着シートは、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着シート用基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明の粘着シート用基材を構成する樹脂組成物には、水添ブロック共重合体が含有される。
【0022】
上記水添ブロック共重合体は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体であって、特に限定されるものではないが、例えば、A−B−A、B−A−B−A、B−A−B−A−B、(A−B)−Si、(B−A−B)−Si、(A−B)−Sn、(B−A−B)−Sn等の構造を有している。上記水添ブロック共重合体の分子構造は、特に限定されるものではなく、例えば、直鎖状、分岐状、放射状、あるいは、これらの任意の組み合わせ等のいずれの分子構造であっても良い。なお、本発明で言う「主体とする」とは、該当モノマー単位が重合体ブロックの50重量%以上、好ましくは70重量%以上を占めることを意味する。
【0023】
上記水添ブロック共重合体のなかでも、柔軟性や加工性に優れ、異方性の少ない粘着シート用基材を得られることから、少なくとも一つの共重合体末端に水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)を有している構造の水添ブロック共重合体、すなわち、特に限定されるものではないが、例えば、B−A−B−A、B−A−B−A−B、(B−A−B)−Si、(B−A−B)(A−B)−Si、(B−A−B)(A−B)−Si、(B−A−B)(A−B)−Si、(B−A−B)−Si−R、(B−A−B)−Si−R,R’、(B−A−B)Sn、(B−A−B)−Sn−R,R’等の構造を有している水添ブロック共重合体が好適に用いられ、とりわけ、B−A−B−Aの構造を有している水添ブロック共重合体がより好適に用いられる。これらの水添ブロック共重合体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、上記構造中、RおよびR’は、炭素数が1〜8の同種または異種のアルキル基を示す。
【0024】
上記水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)および水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)は、それぞれの重合体ブロックにおけるビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物の分布がランダムであっても良いし、分子鎖に沿ってモノマー成分が増加もしくは減少する、いわゆるテーパードであっても良いし、一部ブロック状であっても良いし、これらの任意の組み合わせであっても良い。また、水添ブロック共重合体中に重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)がそれぞれ2個以上存在する場合、各重合体ブロックは、それぞれ同一の構造であっても良いし、異なる構造であっても良い。
【0025】
重合体ブロック(A)の主体として用いられるビニル芳香族化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三ブチルスチレン等が挙げられ、なかでも、スチレンが好適に用いられる。これらのビニル芳香族化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
重合体ブロック(B)の主体として用いられる水素添加された共役ジエン化合物の前身である共役ジエン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、なかでも、ブタジエンやイソプレンが好適に用いられ、とりわけ、ブタジエンがより好適に用いられる。これらの共役ジエン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0027】
本発明で用いられる水添ブロック共重合体は、上記重合体ブロック(A)と上記重合体ブロック(B)とからなるものであれば如何なる水添ブロック共重合体であっても良く、特に限定されるものではないが、なかでも、水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造(B−A−B−Aの構造)を有している水添ブロック共重合体であることが好ましい。
【0028】
上記水添ブロック共重合体は、特に限定されるものではないが、結合スチレン量が8〜40重量%であることが好ましい。
【0029】
また、上記水添ブロック共重合体においては、水素添加される前の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは、その重合体ブロックにおける共役ジエン部のミクロ構造を任意に選択することができる。例えば、上記重合体ブロックがポリブタジエンブロックである場合、特に限定されるものではないが、ポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が20〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜45重量%であり、また、上記重合体ブロックがポリイソプレンブロックである場合、特に限定されるものではないが、ポリイソプレン部の1,4−ビニル結合が80重量%以上であることが好ましく、より好ましくは90重量%以上である。
【0030】
さらに、上記水添ブロック共重合体は、特に限定されるものではないが、水素添加される前の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中の二重結合の80%以上が水素添加されていること、すなわち、水素添加率が80%以上であることが好ましい。なお、上記水素添加率は、例えば、赤外線分光分析や核磁気共鳴分析等により測定することができる。
【0031】
すなわち、本発明で好適に用いられる水添ブロック共重合体は、水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造(B−A−B−Aの構造)を有し、かつ、結合スチレン量が好ましくは8〜40重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が好ましくは20〜50重量%(より好ましくは25〜45重量%)であり、上記ポリブタジエンの二重結合の80%以上が水素添加されている、すなわち、水素添加率が80%以上である水添ブロック共重合体である。
【0032】本発明で用いられる水添ブロック共重合体は、特に限定されるものではないが、数平均分子量が5000〜1000000であることが好ましく、より好ましくは10000〜800000であり、さらに好ましくは30000〜300000であり、また、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量との比)が10以下であることが好ましい。
【0033】
水添ブロック共重合体の数平均分子量が5000未満であると、樹脂組成物ひいては粘着シート用基材の強度や耐熱性が低下したり、樹脂組成物の溶融粘度が低くなりすぎて製膜(成形)時にドローダウンが起こることがあり、逆に水添ブロック共重合体の数平均分子量が1000000を超えると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて製膜が困難となることがある。
【0034】
上記水添ブロック共重合体やその前身であるブロック共重合体は、既に開示されている公知の方法で製造される(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照。)。
【0035】
本発明の粘着シート用基材を構成する樹脂組成物には、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE」と記す)が含有される。
【0036】
上記LLDPEとしては、特に限定されるものではないが、例えば、溶液重合や気相重合による中圧法で製造されたLLDPE、メタロセン触媒を用いて製造されたLLDPE等が挙げられる。これらのLLDPEは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0037】
上記中圧法で製造されたLLDPEとしては、一般的に、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体)が挙げられる。
【0038】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘプレン共重合体等が挙げられ、なかでも、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等が好適に用いられる。これらのエチレン−α−オレフィン共重合体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、特に限定されるものではないが、エチレン含有量が90〜99重量%であることが好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体のエチレン含有量が90重量%未満であると、得られる樹脂組成物ひいては粘着シート用基材の強度が不十分となることがあり、逆にエチレン−α−オレフィン共重合体のエチレン含有量が99重量%を超えると、エチレン−α−オレフィン共重合体自体の加工性が低下したり、得られる粘着シート用基材がブロッキングを起こしやすくなることがある。
【0040】
上記メタロセン触媒を用いて製造されたLLDPEは公知の製造方法により得ることができる。例えば、エチレンやα−オレフィンを原料モノマーとして、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物および/またはイオン性化合物との組合せからなる触媒系を用い、不活性ガス中での流動床式気相重合や攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合等を行うことにより、所望のLLDPEを製造することができる。
【0041】
上記メタロセン触媒としては、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物および/またはイオン性化合物との組合せが用いられる。
【0042】
上記メタロセン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロセン化合物、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロライド、エチレンビスインデニルハフニウムジクロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化合物等が挙げられる。これらのメタロセン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0043】上記有機アルミニウム化合物は、一般式{−Al(R)O−}で表される直鎖状重合体または環状重合体である。式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子および/またはRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。
【0044】上記有機アルミニウム化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサン、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
上記イオン性化合物は、一般式C・Aで表される。式中、Cは有機化合物、有機金属化合物、無機化合物の酸化性のカチオン、または、ルイス塩基とプロトンとからなるブレンステッド酸であり、メタロセン配位子のアニオンと反応してメタロセンのカチオンを生成することができる。
【0046】
上記イオン性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとトリフェニルカルボニウムカチオンまたはジアルキルアニリニウムカチオンとのイオン化合物等が挙げられる。これらのイオン性化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
メタロセン触媒を用いて製造されたLLDPEは、エチレン単独重合体であっても良いし、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であっても良い。
【0048】
上記炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセンー1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0049】
上記エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体であっても良いし、ブロック共重合体であっても良い。また、上記共重合体は、必要に応じて、例えば、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル等の重合性モノマーが共重合されていても良い。
【0050】
上記共重合体は、特に限定されるものではないが、エチレン含有量が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは93〜99.9モル%である。上記共重合体のエチレン含有量が90モル%未満であると、機械的強度が不十分となることがある。
【0051】
上記LLDPEは、特に限定されるものではないが、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が2〜9であることが好ましい。また、上記LLDPEは、特に限定されるものではないが、密度が0.89〜0.95であることが好ましく、より好ましくは0.895〜0.93である。
【0052】
LLDPEの上記MFRや密度が上記範囲を逸脱すると、均一拡張性に優れる粘着シート用基材を得ることが困難となることがある。
【0053】
本発明の粘着シート用基材を構成する樹脂組成物は、前記重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体10〜60重量%、および、上記LLDPE40〜90重量%を含有していることが必要である。
【0054】
水添ブロック共重合体の含有量が10重量%未満であるか、LLDPEの含有量が90重量%を超えると、得られる粘着シート用基材の均一拡張性や柔軟性が不十分となり、逆に水添ブロック共重合体の含有量が60重量%を超えるか、LLDPEの含有量が40重量%未満であると、樹脂組成物の製膜性(成形性)が悪くなって、均一な粘着シート用基材を得ることが困難となる。
【0055】
本発明の粘着シート用基材を構成する樹脂組成物には、必須成分である水添ブロック共重合体およびLLDPEに加えるに、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、防曇剤、離型剤、着色剤、有機充填剤、無機充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性剤、汚染防止剤、抗菌剤、水添ブロック共重合体およびLLDPE以外の樹脂や熱可塑性エラストマー等の公知の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0056】
本発明の粘着シート用基材は、上記樹脂組成物が製膜されてなる。上記粘着シート用基材の製膜方法は、特に限定されるものではなく、例えば、押出法、カレンダー法、インフレーション法、キャスティング法(流延法)等の公知のいずれの製膜法を採っても良いが、製造工程が簡略であることから、押出法を採ることが好ましい。
【0057】
本発明の粘着シート用基材の厚みは、粘着シート用基材や粘着シートの用途によっても異なり、特に限定されるものではないが、一般的には50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは80〜300μmである。
【0058】
粘着シート用基材の厚みが50μm未満であると、引張強度が小さくなりすぎて、粘着シート用基材ひいては粘着シートが破断しやすくなることがあり、逆に粘着シート用基材の厚みが500μmを超えると、引張強度が大きくなりすぎて、粘着シート用基材ひいては粘着シートの拡張性が損なわれることがある。
【0059】
本発明の粘着シート用基材は、一方の表面(後述する粘着シートにおいて、粘着剤層が形成されない方の表面)に例えば梨地模様などのエンボス加工が施されていても良い。
【0060】
特に、本発明の粘着シート用基材をダイシング用粘着シートのシート基材として用いる場合、一方の表面に上記エンボス加工を施すことが好ましい。ダイシング用粘着シートは、半導体ウエハがチップ状にダイシングされた後にエキスパンダーリングに押し当てられて拡張される。その際、ダイシング用粘着シートの背面(非粘着剤層側の表面)とエキスパンダーリングとの不均一な滑りにより、ダイシング用粘着シートが局部的に拡張されるという不具合が発生することがある。しかし、本発明の粘着シート用基材の一方の表面に上記エンボス加工を施しておくことにより、ダイシング用粘着シートの背面とエキスパンダーリングとの滑りを均一にさせることが可能となり、上記不具合の発生を効果的に防止することができる。
【0061】
次に、本発明の粘着シートは、上述した本発明の粘着シート用基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなる。
【0062】
上記粘着剤層を形成するために用いられる粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、粘着性(タック)、粘着力、耐候性、透明性等に優れることから、アクリル系粘着剤がより好適に用いられる。
【0063】
上記アクリル系粘着剤のベースポリマー(主成分)として用いられるアクリル系ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル同士の共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、本発明で言う例えば(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0064】
上記アクリル系ポリマーの主モノマーは、特に限定されるものではないが、その単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
【0065】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等があげられる。これらのアルキルエステルは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な重合性モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
本発明に粘着シートに用いられる粘着剤は、例えば、紫外線や電子線等により硬化する放射線硬化型粘着剤であっても良いし、加熱発泡型粘着剤であっても良い。
【0068】
特に、本発明の粘着シートをダイシング用粘着シートとして用いる場合には、放射線硬化型粘着剤、なかでも紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましく、該粘着剤はダイシング・ダイボンド兼用可能な粘着剤であっても良い。なお、粘着剤として放射線硬化型粘着剤を用いる場合には、ダイシング工程前またはダイシング工程後において粘着剤層に放射線が照射されるため、前記本発明の粘着シート用基材は十分な放射線透過性を有しているものであることが好ましい。
【0069】
上記放射線硬化型粘着剤は、例えば、前記アクリル系ポリマー(ベースポリマー)と放射線硬化成分とを含有してなる。
【0070】
上記放射線硬化成分としては、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマーまたはポリマーであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、2−プロペニルジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチルビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物、エステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらの放射線硬化成分は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、アクリル系ポリマーとして、ポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を有する放射線硬化型アクリル系ポリマーを用いることも可能であり、この場合には、放射線硬化型粘着剤中に必ずしも上記放射線硬化成分を含有させる必要はない。
【0071】
上記放射線硬化型粘着剤を例えば紫外線により硬化させる場合には、放射線硬化型粘着剤中に光重合開始剤や架橋剤を含有させることが好ましい。また、上記放射線硬化型粘着剤には、必要に応じて、例えば、粘着性付与剤、充填剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、着色剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0072】
上記光重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール類、ポリビニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン類等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0073】
また、上記架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、無水化合物、ポリアミン、カルボキシルキ含有オリゴマーもしくはポリマー等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0074】
前記本発明の粘着シート用基材の粘着剤層形成面には、上記粘着剤からなる粘着剤層との密着性をより向上させるために、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理やプライマー(下塗り剤)塗工等の前処理(下地処理)が施されていても良い。
【0075】
本発明の粘着シートを構成する粘着剤層の厚みは、粘着剤の種類によっても異なり、特に限定されるものではないが、通常、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは3〜50μmである。
【0076】
前記本発明の粘着シート用基材の少なくとも片面に上記粘着剤を塗工して粘着剤層を形成する際には、粘着剤層を平滑にしたり、ラベル加工を可能とするために、必要に応じて、セパレーターを用いても良い。
【0077】
上記セパレーターの構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムや紙等が挙げられる。これらのセパレータの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるために、必要に応じて、例えば、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていても良い。また、セパレータの厚みは、粘着剤の種類や作業性等を考慮して適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、通常、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは25〜100μmである。
【0078】
本発明の粘着シートは、特に半導体ウエハのダイシング用粘着シートとして好適に用いられるが、上記用途に限定されるものではなく、例えば、表面保護シート、マスキングシート、テーブルクロス用シート、建築資材用シート、ストレッチシート、医療用シート等の各種工業用もしくは一般用(家庭用)粘着シートとしても好適に用いられる。また、本発明の粘着シートは、用途に応じて、片面粘着シートであっても良いし、両面粘着シートであっても良い。
【0079】
【作用】
本発明の粘着シート用基材は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体10〜60重量%、および、LLDPE40〜90重量%を含有する樹脂組成物が製膜されてなるので、均一拡張性に優れており、かつ、適度な引張強度、柔軟性、透明性等を兼備し、層間剥離を起こすこともないものである。
【0080】
また、上記水添ブロック共重合体として、水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造を有し、かつ、結合スチレン量が8〜40重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2ミクロ結合が20〜50重量%であり、上記ポリブタジエンの二重結合の80%以上が水素添加されている水添ブロック共重合体を用いるか、および/または、上記LLDPEとして、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が2〜9であり、かつ、密度が0.89〜0.95であるLLDPEを用いることにより、上記効果はより確実なものとなる。
【0081】
本発明の粘着シートは、上記本発明の粘着シート用基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなるので、均一拡張性に優れており、かつ、適度な粘着性(タック)、粘着力、引張強度、柔軟性、透明性等を兼備するものである。
【0082】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0083】
(実施例1)
水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造を有し、結合スチレン量が30重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が43%重量%であり、水素添加率が98%である水添ブロック共重合体(a)20重量部、および、190℃におけるMFRが3であり、密度が0.923であるLLDPE(I)80重量部からなる樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物をTダイ押出機で押出して製膜した後、得られたシートの片面にコロナ放電処理を施して、厚み100μmの粘着シート用基材を作製した。
【0084】
また、アクリル酸ブチル95重量部およびアクリル酸5重量部を酢酸エチル中で常法により共重合させて、重量平均分子量が800000のアクリル系共重合体を含有するアクリル系共重合体溶液を作製した後、このアクリル系共重合体溶液に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPHA」、日本化薬社製)60重量部、ラジカル重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバスペシャルティケミカルズ社製)3重量部およびポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン社製)5重量部を添加し、均一に混合して、紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0085】
次に、上記で得られた粘着シート用基材のコロナ放電処理面に上記で得られた紫外線硬化型アクリル系粘着剤溶液を塗布し、80℃で10分間加熱乾燥および加熱架橋を行って、厚み10μmの粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層面にセパレータを貼り合わせて、粘着シートを作製した。
【0086】
(実施例2)
水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造を有し、結合スチレン量が25重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が29%重量%であり、水素添加率が96%である水添ブロック共重合体(b)30重量部、および、190℃におけるMFRが3であり、密度が0.905であるLLDPE(II)70重量部からなる樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物をTダイ押出機で押出して製膜した後、得られたシートの片面にコロナ放電処理を施して、厚み100μmの粘着シート用基材を作製した。
【0087】
上記で得られた粘着シート用基材を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粘着シートを作製した。
【0088】
(比較例1)
粘着シート用基材の作製において、水添ブロック共重合体(a)80重量部およびLLDPE(I)20重量部からなる樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粘着シート用基材および粘着シートを作製した。
【0089】
(比較例2)
粘着シート用基材の作製において、水添ブロック共重合体(a)1重量部およびLLDPE(I)99重量部からなる樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粘着シート用基材および粘着シートを作製した。
【0090】
実施例1および実施例2、ならびに、比較例1および比較例2で得られた粘着シートの拡張性(エキスパンド性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0091】
[拡張性(エキスパンド性)の評価方法]
セパレータを剥離して粘着剤層を露出させた粘着シートに半導体ウエハを貼り付け、ダイシング工程においてダイシングを行った。次いで、エキスパンディング工程においてエキスパンドを行って、縦方向の半導体チップ間隔(X)および横方向の半導体チップ間隔(Y)を求め、X/Yを算出して、下記判定基準により拡張性(エキスパンド性)を評価した。上記X/Yが1.0に近いほど均一拡張性に優れていることになる。
〈判定基準〉
○‥‥X/Yが0.8〜1.2の範囲内にあった。
×‥‥X/Yが0.8〜1.2の範囲を逸脱していた。
【0092】
【表1】
Figure 2004292578
【0093】
表1から明らかなように、本発明による実施例1および実施例2の粘着シート用基材を用いて作製した粘着シートは、いずれもX/Yが0.9〜1.0の範囲内にあり、極めて優れた均一拡張性(均一エキスパンド性)を発現した。
【0094】
これに対し、粘着シート用基材を構成する樹脂組成物中における水添ブロック共重合体の含有量が60重量%を超えており、かつ、LLDPEの含有量が40重量%未満であった比較例1の粘着シート用基材を用いて作製した粘着シートは、エキスパンド工程において破断したので、実用性がなかった。また、粘着シート用基材を構成する樹脂組成物中における水添ブロック共重合体の含有量が10重量%未満であり、かつ、LLDPEの含有量が90重量%を超えていた比較例2の粘着シート用基材を用いて作製した粘着シートは、X/Yが0.8未満であり、均一拡張性(均一エキスパンド性)が悪かった。
【0095】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の粘着シート用基材は、均一拡張性に優れており、かつ、適度な引張強度、柔軟性、透明性等を兼備し、層間剥離を起こすこともないので、特に半導体ウエハのダイシング用粘着シートを始め、各種用途むけの粘着シートのシート基材として好適に用いられる。
【0096】
また、本発明の粘着シートは、上記本発明の粘着シート用基材を用いて作製されているので、均一拡張性に優れており、かつ、適度な粘着性(タック)、粘着力、引張強度、柔軟性、透明性等を兼備するものであり、特に半導体ウエハのダイシング用粘着シートを始め、各種工業用もしくは一般用(家庭用)粘着シートとして好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなる水添ブロック共重合体10〜60重量%、および、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂40〜90重量%を含有する樹脂組成物が製膜されてなることを特徴とする粘着シート用基材。
  2. 水添ブロック共重合体が、水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンからなる構造を有し、かつ、結合スチレン量が8〜40重量%であり、水素添加前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合が20〜50重量%であり、上記ポリブタジエンの二重結合の80%以上が水素添加されていることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート用基材。
  3. 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が2〜9であり、かつ、密度が0.89〜0.95であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粘着シート用基材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着シート用基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなることを特徴とする粘着シート。
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