JP2004292505A - プロトン伝導性高分子電解質及びプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents

プロトン伝導性高分子電解質及びプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法 Download PDF

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裕子 中野
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Abstract

【課題】安価で、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質を提供する。
【解決手段】アリールシクロブテン構造を少なくとも分子内に1個以上含む化合物の重合により生成し、イオン解離基を該重合体の分子内に少なくとも1個有するプロトン伝導性高分子電解質。プロトン伝導性高分子電解質を有機溶媒に溶解して溶液とした後、前記溶液を塗布して、製膜し、溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン伝導性高分子電解質およびプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、燃料電池、二次電池、水電解等に用いられるプロトン伝導性高分子電解質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロトン伝導性固体高分子電解質膜としては、米デュポン社のNafionを始めとするスルホン酸基含有フッ素樹脂が、最も広く用いられている。しかし、これらのフッ素樹脂膜は、非常に高価であると同時に、含水状態でのみ、高いプロトン伝導率が達成されるため、高温においては水の蒸発、低温においては水の凍結によって、プロトン伝導率が低下するという欠点がある。
【0003】
そこで、非フッ素系のプロトン伝導性固体高分子電解質膜についても、既にいくつかの取り組みがなされており、スルホン化芳香族ポリエーテルエーテルケトンの合成、およびその特性に関する詳細な報告がなされている(例えば、非特許文献1参照。)。その中で、高度にスルホン化した芳香族ポリエーテルエーテルケトンは親水性が大きくなり、水溶性となったり、あるいは吸水時に強度低下を引き起こすことが記載されている。
【0004】
【非特許文献1】
Christian Bailly, David J. Williams, Frank E. Karasz, William J. MacKnight, ”Polymer”, 1987, vol.28, p.1009.
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術では、電解質が高価であったり、高含水率でのみ、高プロトン伝導度を示すために、強度が不十分である等の問題があった。
本発明の目的は、安価で、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
1. 下記一般式(1)
【化2】
Figure 2004292505
(式中、Arは、Rと結合する炭素に延びる結合が、同一の芳香環上の隣り合う炭素原子から延びているアリール基を示し、Rは、各々独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン基、またはシアノ基からなる置換基を示す。)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物を重合して得ることができる重合体からなるものであって、前記重合体が、イオン解離基を有してなるプロトン伝導性高分子電解質、
2. 前記一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物が、不飽和結合を有するものである第1項記載のプロトン伝導性高分子電解質、
3. イオン解離基がスルホン酸基である第1項または第2項に記載のプロトン伝導性高分子電解質、
4. 第1項〜第3項のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質を、有機溶媒に溶解してワニスを形成し、前記ワニスを塗布して、塗膜を形成し、前記有機溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法、
5. 一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物を重合して得ることができる重合体のワニスを塗布して、塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥して、フィルムを形成し、前記フィルムを、イオン解離基を有する化合物からなる酸性溶液に浸漬することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物とは、
【化3】
Figure 2004292505
(式中、Arは、Rと結合する炭素に延びる結合が、同一の芳香環上の隣り合う炭素原子から延びているアリール部分を示し、Rは、各々独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲンまたはシアノ基からなる置換基を示す。)で表される構造を少なくとも分子内に1個含む化合物である。
【0008】
本発明における一般式(1)で表される、アリールシクロブテン基は、芳香環に縮合したシクロブテン環を含有する構造を有するものであれば、何ら限定はないが、一般式(1)におけるRが結合し、シクロブテン環を構成する炭素が結合している芳香環上の炭素原子の隣接位は、開環条件下において付加重合部分が提供されるという観点から、無置換であることが好ましい。さらに好ましくは、置換基はシクロブテン環を構成する炭素が結合している芳香環上の炭素原子の少なくとも1つからメタ位にある。
また、シクロブテン環が結合しているアリール基は、シクロブテン環が芳香族性を有する環と直接結合していればよく、その条件を満たせば、前述芳香族性を有する環は、置換または無置換のベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の縮合多環式芳香環や4n+2電子系を構成する置換または無置換の非ベンゼン系芳香環でも構わない。
このようなアリールシクロブテン基を有する化合物としては、ベンゾシクロブテンやナフトシクロブテンなどが例示されるが、重合体の熱安定性の観点から、ベンゾシクロブテンが好ましい。
【0009】
本発明において有効なアリールシクロブテン構造は、SchiesらのTetrahedron Letter, 46 pp4569〜4572 (1978) に記載されている方法によって得ることができる。例えば、α−クロロ−オルソ−キシレンのフラッシュ真空熱分解によって、ベンゾシクロブテンを得ることができる。
【0010】
本発明に用いるアリールシクロブテン基を有する化合物は、適当に置換されたアリールシクロブテンと反応性の部分を含有する化合物と反応させることにより製造することができる。各種合成方式が適当であり、その具体例は開示されている。例えば、米国特許4,540,763号、米国特許4,562,280号、米国特許4,570,011号である。
【0011】
本発明に用いるアリールシクロブテン基を有する化合物の代表的な製造方法としては、臭素化アリールシクロブテン化合物を、反応性の部分を有する化合物と反応させることにより製造する方法が挙げられる。前記臭素化アリールシクロブテン化合物は、アリールシクロブテンを酢酸に溶解し、ピリジニウムパーブロマイドハイドロブロマイドの臭素化剤を、水銀塩、例えば、酢酸水銀の存在下において、20℃〜50℃の温度において、接触させることにより臭素化して得ることができる。臭素化生成物は抽出及び蒸留により回収することができる。
【0012】
臭素化されたアリールシクロブテン化合物は、末端不飽和アルキル部分、即ち、アルケニルあるいはアルキニル部分を含有する化合物と接触させて、アリール部分上に置換したアルケニルあるいはアルキニル分子部分を有するアリールシクロブテン単量体を調整することができる。
【0013】
さらに、本発明に用いる一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基と不飽和結合を有する化合物としては、前記一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基、及び二重結合や三重結合などの不飽和結合を、各々少なくとも1個ずつ有する化合物であり、このような化合物としては、下記式(2)ないし(7)で表される化合物などが例示される。
【0014】
【化4】
Figure 2004292505
【0015】
【化5】
Figure 2004292505
【0016】
【化6】
Figure 2004292505
【0017】
【化7】
Figure 2004292505
【0018】
【化8】
Figure 2004292505
【0019】
【化9】
Figure 2004292505
【0020】
これらのうち、高分子電解質における溶媒溶解性などの電解質膜の加工上の利点を付与するという観点から、式(2)、式(3)および式(4)で表される化合物が好ましく、中でも特に、式(2)および式(3)で表される化合物が好ましい。
【0021】
本発明におけるアリールシクロブテン基を有する化合物から得られる重合体は、該重合体の単量体を十分な重合条件に付することにより製造することができる。適当な重合条件には、単量体を十分な重合温度に付して適当な光開始剤触媒の存在下において重合を光開始することなどが含まれる。好ましくは、重合体は単量体を十分な温度に付することにより製造される。典型的には、その様な温度の範囲は150℃〜300℃である。
【0022】
本発明におけるイオン解離基は、重合体生成前に導入しても、重合体生成後に導入してもよい。本発明におけるイオン解離基の導入方法としては、特に制限はなく、前記アリールシクロブテン基を有する化合物、あるいは該化合物の重合により生成する重合体と、イオン解離基を有する化合物、例えば、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウム、オキシ塩化リン等とを反応させることにより導入することができる。
【0023】
本発明におけるイオン解離基としては、イオン解離定数pKが11以下のプロトンを有する官能基が挙げられ、具体的には、アンモニウム基(pK=約10.6)、アリールアルコール基(pK=約9.9)、カルボン酸基(pK=約5.0)、リン酸基(pK=約3.0)、スルホン酸基(pK=約−7.0)などが挙げられる。これらのうち、もっとも好ましいものは、酸性度の高いスルホン酸基である。
【0024】
本発明において、イオン解離基の内、スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、側鎖型パラフェニレン誘導体やポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族環を有するポリマーを、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルホン化剤を用いて、スルホン化する場合に用いられるような公知の方法により、行なうことができる。例えば、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p730 (1993)、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p736 (1993)、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 7, p2490 (1993)などに記載の方法を用いることができる。この方法は重合体生成前の化合物でも同様に反応させることができる。
【0025】
本発明におけるスルホン酸基導入反応の具体例として、前記アリールシクロブテン基を有する化合物の重合により生成する重合体を、溶剤存在下、あるいは溶媒を用いずに、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。反応温度は、特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0026】
なお、他のスルホン酸基導入の方法として、前記アリールシクロブテン基を有する化合物の重合により生成する重合体を、フィルム状に成型したのち、前記フィルムを、そのままスルホン化する方法が挙げられる。
【0027】
フィルムを、そのままスルホン化する方法としては、硫酸およびクロロスルホン酸等のイオン解離基を有するからなる酸性溶液、あるいは前記酸性溶液と有機溶媒との混合溶液中に、前記フィルムを浸漬し、次いで、浸漬したフィルムを取り出し、乾燥して調整する方法が挙げられる。
【0028】
このようにしてイオン解離基を導入して得られる本発明のプロトン伝導性高分子電解質におけるイオン解離基の導入量は、イオン交換容量として表され、イオン交換容量は、好ましくは0.1〜2.0(meq/g)であり、より好ましくは0.2〜1.5(meq/g)であり、さらに好ましくは0.5〜1.2(meq/g)である。イオン交換容量が、前記下限値を下回ると、充分なプロトン伝導度が得られず、前記上限値を超えると成膜性が悪くなったり、機械的強度が落ちる、あるいは水に溶解する場合がある。
【0029】
ここで、イオン交換容量とは、ポリマー1g当たりのイオン解離基の数(mmol)であり、数値が大きいほど多くのイオン解離基が導入されたことを示す。
【0030】
本発明において、イオン交換容量(イオン解離基導入量)の測定は、サンプル(高分子電解質)を、0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液に12時間以上浸漬させ、その溶液を一定量採取して、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液で、中和滴定を行うことによって測定される。この測定値より、イオン交換容量は次の式によって求められる。
イオン交換容量(meq/g)=0.05×FNaOH×(Qsample−Qblank)×Dwhole/Dpart ×W
[式中、Qblank:ブランクに対する滴定量(ml)、Qsample:試料に対する滴定量(ml)、FNaOH:0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液のファクター、Dwhole:サンプルを浸しておいた0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液の量(ml)、Dpart:採取したサンプルの量(ml)、W:膜重量(g)を示す。]
【0031】
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法としては、本発明のプロトン伝導性高分子電解質を、適切な有機溶媒に溶解させ、その溶液を、ガラス板等の基材上に、好ましくは、得られる電解質膜の厚みが50〜200μmとなるように、スピンコート法やダイコート法などにより流延塗布し、加熱、あるいは真空乾燥により、前記有機溶媒を除去して膜とする方法や溶融押し出しにより成形する方法などが挙げられるが、好ましくは前者の流延塗布による方法である。溶解させる有機溶媒としては、除去することが可能であれば、特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。溶解させる濃度としては、できるだけ濃いことが好ましいが、好ましくは2〜20重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。本発明のプロトン伝導性高分子電解質を、有機溶媒に溶解させる際に、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
【0032】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
還流冷却器及び窒素入り口を付した100mlフラスコに7.5g(40mmol)の4−ブロモベンゾシクロブテン及び2.5g(20mmol)のメタ−ジビニルベンゼン、9gのトリ−n−ブチルアミン、310mgのトリ−o−トリホスフェン90mgの酢酸パラジウム(II)及び25mlのアセトニトリルを充填した。反応液を窒素下に4時間加熱還流した。混合物を室温に冷却し、300mlの10%濃度HClaq中に撹拌しながら入れた。沈殿をろ過によって集め、水洗し、風乾した。乾燥沈殿を次いで100mlの沸騰トルエン中に溶解し、熱ろ過し、冷却して4.2gのメタ−ジビニルベンゼン結合ベンゾシクロブテンを得た。さらに、50mlフラスコに、このベンゾシクロブテン化合物3.3g(10mmol)、及びクロロホルム15mlを充填し、クロロスルホン酸1.2g(10mmol)を室温で滴下して、3時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、析出物をろ過によって集め、クロロホルムで洗浄し、一晩真空乾燥させることによって3.3gの単量体を得た。
上記で得た単量体3.3gと、ベンゾシクロブテン1gを、窒素入り口を付した試験管に入れ、170℃でWoodの金属浴に浸漬した。単量体が溶融した時点で、温度を200℃に上昇し、1時間維持し、次いで、温度を220℃に上昇させて、1時間保持した。この温度を、次いで、250℃に上昇させて3時間保持した。反応終了後、試験管を金属浴から取出し、室温に冷却し、共重合体試料を取出した。この共重合体3gを、溶融押し出し法によって、膜厚100μm〜200μmのフィルムに成形した。得られたフィルムのイオン交換容量は2.32(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0034】
[実施例2]
実施例1の共重合体の製造において、単量体3.3gを、前記同様にして得たメタ−ジビニルベンゼン結合シクロブテン3.3gに換えた以外は、実施例1と同様の操作で共重合体試料を取出した。50mlフラスコに、この共重合体3g、及びクロロホルム15mlを充填し、クロロスルホン酸1.2gを、室温で滴下して、3時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、析出物をろ過によって集め、クロロホルムで洗浄し、一晩真空乾燥させることによって、3.2gのスルホン化共重合体を得た。この共重合体3gを、溶融押し出し法によって、膜厚100μm〜200μmのフィルムに成形した。得られたフィルムのイオン交換容量は0.49(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0035】
[実施例3]
実施例1の共重合体の製造において、単量体3.3gを、前記同様にして得たメタ−ジビニルベンゼン結合シクロブテン3.3gに換えた以外は、実施例1と同様の操作でフィルムを得た。得られたフィルムを、硫酸/メタノール(重量比=1:4)混合液に、24時間浸漬後、多量のメタノールで洗浄し、洗浄したフィルムを、真空乾燥で乾燥して薄膜を得た。得られたフィルムのイオン交換容量は1.80(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0036】
[実施例4]
実施例3において、フィルムを、硫酸/メタノール(重量比=1:4)混合液に6時間浸漬させた以外は、実施例3と同様の操作で薄膜を得た。得られたフィルムのイオン交換容量は1.12(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0037】
[実施例5]
実施例1の共重合体の製造において、単量体3.3gを、1−フェニル−2−(4−ベンゾシクロブテン)−エテン6gに換えた以外は、実施例1と同様の操作でフィルムを得た。得られたフィルムを、実施例4と同様の操作で薄膜を得た。得られた薄膜のイオン交換容量は0.99(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0038】
[実施例6]
実施例1の共重合体の製造において、単量体3.3gを、1−フェニル−2−(4−ベンゾシクロブテン)−エテン8gに換えた以外は、実施例1と同様の操作で共重合体を得、これを用いて、実施例2と同様の操作でフィルムを得た。得られたフィルムのイオン交換容量は0.84(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0039】
[実施例7]
実施例1の共重合体の製造において、単量体3.3gを、1−フェニル−2−(4−ベンゾシクロブテン)−エテン25gと、ベンゾシクロブテン1gに換えた以外は、実施例1と同様の操作で共重合体を得、これを用いて、実施例2と同様の操作でフィルムを得た。得られたフィルムのイオン交換容量は0.18(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0040】
[比較例1]
デュポン社製Nafion117を、100℃の3wt%の過酸化水素水中で、1時間加熱後、100℃の超純水中で、1時間加熱し、次いで、100℃の1mol/L硫酸中で加熱後、100℃に超純水中で、1時間加熱を行なった後に、100℃の水中で5時間水和させて含水処理を行なった。イオン交換容量は0.89(meq/g)であった。
【0041】
[特性評価方法]
(1)イオン交換容量測定
上記で得られた樹脂を、0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液40mlに12時間以上浸漬させ、その溶液を一定量(20ml)採取して、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液で、中和滴定を行うことによって、測定した。)
【0042】
(2)プロトン伝導度測定
実施例1〜7、及び比較例1で得た薄膜をカーボン電極に挟み、圧着セルを作成した。セルごと恒温恒湿層に入れて、30℃、表1に示す相対湿度におけるプロトン伝導度を、交流インピーダンス法(測定周波数1〜100kHz)によって測定した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
(3)溶解性テスト
実施例1〜7、及び比較例1で得た薄膜0.1gを100mlの水に浸し、60℃のウォーターバス中で8時間加熱した。加熱後、形が残っているものに関しては回収して真空乾燥し、重量変化を記録した。完全に溶解してしまったものを×、重量減少したものを△、全く重量変化の無かったものを○とした。得られた結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004292505
【0045】
本発明のプロトン伝導性高分子固体電解質は、相対湿度が比較的低い状態でも高プロトン伝導度を示すことが分かる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質膜を提供することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2004292505
    (式中、Arは、Rと結合する炭素に延びる結合が、同一の芳香環上の隣り合う炭素原子から延びているアリール基を示し、Rは、各々独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン基、またはシアノ基からなる置換基を示す。)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物を重合して得ることができる重合体からなるものであって、前記重合体が、イオン解離基を有してなるプロトン伝導性高分子電解質。
  2. 前記一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物が、不飽和結合を有するものである請求項1記載のプロトン伝導性高分子電解質。
  3. イオン解離基がスルホン酸基である請求項1または2に記載のプロトン伝導性高分子電解質。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質を、有機溶媒に溶解してワニスを形成し、前記ワニスを塗布して、塗膜を形成し、前記有機溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
  5. 一般式(1)で表されるアリールシクロブテン基を有する化合物を重合して得ることができる重合体のワニスを塗布して、塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥して、フィルムを形成し、前記フィルムを、イオン解離基を有する化合物からなる酸性溶液に浸漬することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
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