JP2004247070A - プロトン伝導性高分子電解質及びその製造方法 - Google Patents

プロトン伝導性高分子電解質及びその製造方法 Download PDF

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裕子 中野
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Abstract

【課題】安価で、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質を提供する。
【解決手段】1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物に、イオン解離基を導入して得られるプロトン伝導性高分子電解質。プロトン伝導性高分子電解質を有機溶媒に溶解して溶液とした後、前記溶液を塗布して、製膜し、溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン伝導性高分子電解質およびプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、燃料電池、二次電池、水電解等に用いられるプロトン伝導性高分子電解質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロトン伝導性固体高分子電解質膜としては、米デュポン社のNafionを始めとするスルホン酸基含有フッ素樹脂が、最も広く用いられている。しかし、これらのフッ素樹脂膜は、非常に高価であると同時に、含水状態でのみ、高いプロトン伝導率が達成されるため、高温においては水の蒸発、低温においては水の凍結によって、プロトン伝導率が低下するという欠点がある。
【0003】
そこで、非フッ素系のプロトン伝導性固体高分子電解質膜についても、既にいくつかの取り組みがなされており、スルホン化芳香族ポリエーテルエーテルケトンの合成、およびその特性に関する詳細な報告がなされている(例えば、非特許文献1参照。)。その中で、高度にスルホン化した芳香族ポリエーテルエーテルケトンは親水性が大きくなり、水溶性となったり、あるいは吸水時に強度低下を引き起こすことが記載されている。
【0004】
【非特許文献1】
Christian Bailly, David J. Williams, Frank E. Karasz, William J. MacKnight, ”Polymer”, 1987, vol.28, p.1009.
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術では、電解質が高価であったり、高含水率でのみ、高プロトン伝導度を示すために、強度が不十分である等の問題があった。
本発明の目的は、安価で、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、フェノール性水酸基を有する化合物にイオン解離基を導入して得られるプロトン伝導性高分子電解質が、低含水状態においても高プロトン伝導性を示すことを見出し、更に検討を進め、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1. フェノール性水酸基を有する化合物に、イオン解離基を導入して得られることを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質、
2. 前記フェノール性水酸基を有する化合物が、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と下記一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物および一般式(2)で表される化合物より選ばれる化合物である第1項に記載のプロトン伝導性高分子電解質、
【化3】
Figure 2004247070
(式中、Rはハロゲン原子からなる基、水酸基、または炭素数4以下の低級アルコキシ基を示し、Rは炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜14のアリール基を示す。)
【化4】
Figure 2004247070
(式(2)中、Rは炭素数1〜14のアルキル基、または炭素数6〜14のアリール基を示す。)
3. 前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物がフェノール樹脂である第2項記載のプロトン伝導性高分子電解質、
4. 前記1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物が芳香族ジビニル化合物である第2項または第3項に記載のプロトン伝導性高分子電解質、
5. 前記イオン解離基がスルホン酸基である第1項1〜第4項のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質、
6. 第1項〜第5項のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質を有機溶媒に溶解して溶液とした後、前記溶液を塗布して、製膜し、溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるフェノール性水酸基を有する化合物としては、1分子内に1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物やその誘導体が挙げられるが、それらの中でも、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と下記一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物および一般式(2)で表される化合物より選ばれる化合物が好ましい。
【0008】
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物としては、芳香環上の少なくとも1つの水素が水酸基に置換している芳香族炭化水素化合物であれば、特に限定されないが、例えば、フェノールやビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、およびフルオレンビスフェノール等のビスフェノール類、クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール等のアルキル置換フェノール類、ブロモフェノール等のハロゲン化フェノール類、ハイドロキノン、およびレゾルシン等のベンゼンジオール類、1−ナフトール、2−ナフトール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、および2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類や、更に、上記の1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物とケトンやアルデヒドを縮合して得られる各種フェノール樹脂類などが挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂が好ましく、更には、一般式(3)で表される構造を有するものが、特に好ましい。
【0009】
【化5】
Figure 2004247070
【0010】
一般式(3)における、Rは単結合、置換もしくは無置換の脂肪族基または置換もしくは無置換の芳香族基であり、置換もしくは無置換の脂肪族基としては、アルキレン基が好ましく、中でも、炭素数が3以上のアルキレン基が好ましい。また、置換もしくは無置換の芳香族基としては、パラキシリレン基が好ましい。
【0011】
また、本発明に用いる1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物としては、その分子内に、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と反応しうる炭素−炭素二重結合を、少なくとも2個有する化合物であればよく、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、またはポリ(1,2−ブタジエン)などが挙げられる。中でも、特に一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0012】
【化6】
Figure 2004247070
(式中、Rは1〜8のアルキル基を示し、また、Rは炭素数1〜14のアルキル基、または炭素数6〜14のアリール基を示す。)
【0013】
このような好ましい事例としては、例えば、グリセロールジビニルエーテルやトリメチルプロパントリアクリレートおよび1,2−ポリブタジエン等の脂肪族ポリビニル化合物等の多官能ビニル化合物、ジビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニルおよびジアリルフタレート等の芳香族ジビニル化合物、ブタジエンやヘキサジエンなどの脂肪族ジビニル化合物などが挙げられる。中でも、反応性や作業性に優れる点で、芳香族ジビニル化合物が、より好ましく、特にジビニルベンゼンが好ましい。
【0014】
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ジクロロp−キシレンなどのp−キシリレンハライド類、p−キシリレンジメトキシドなどのp−キシリレンアルコール誘導体、4,4−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニルおよび4,4−ビス(クロロメチル)ビフェニルなどのビフェニル化合物などが挙げられる。中でも、生成物の強度が優れているという点で、ビフェニル化合物が好ましく、特に4,4−ビス(メトキシメチル)ビフェニルが好ましい。
【0015】
本発明における1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物は、前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と、前記1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを、付加反応させて得ることができる。前記付加反応における反応条件としては、反応温度等は、特に限定するものではないが、例えば、合理的に短時間で反応させるためには、反応温度を110℃以上とし、触媒を使用することが好ましい。この際に用いられる触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化第一錫のような金属塩化物や、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のような有機スルホン酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸のようなカルボン酸などが使用できる。これらの触媒は2種以上混合して使用することも可能である。
また、上記の付加反応は無溶媒下で行なっても良いが、有機溶媒の存在下で行なう場合の有機溶媒としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、例えば、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0016】
本発明における1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物は、前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と、前記一般式(1)で表される化合物とを、公知の方法によって反応させることによって得られる。前記公知の方法としては、特開平7−48426号公報に記載された方法などが挙げられる。
【0017】
すなわち、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と一般式(1)で表される化合物とを、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、アルカンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸等の酸性触媒の存在下において反応させて、過剰のフェノール類を留去して得られる。なお一般式(1)におけるRとして、ハロゲン原子からなる基を有する化合物を得る場合には、酸性触媒は必ずしも必要ない。
【0018】
本発明に用いる一般式(2)で表される化合物としては、例えば、フェノールフェニルアラルキル樹脂、フェノールビフェニルアラルキル樹脂などが挙げられる。中でも、生成物の強度が優れているという点で、フェノールビフェニルアラルキル樹脂が好ましい。
【0019】
本発明のプロトン伝導性高分子電解質は、フェノール性水酸基を有する化合物に、好ましくは、前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物、前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物および前記一般式(2)で表される化合物から選ばれる化合物に、イオン解離基を導入して得られるものである。
【0020】
本発明におけるイオン解離基とは、イオン解離定数pKが11以下のプロトンを有する官能基を意味し、具体的にはアンモニウム基(pK=約10.6)、アリールアルコール基(pK=約9.9)、カルボン酸基(pK=約5.0)、リン酸基(pK=約3.0)、スルホン酸基(pK=約−7.0)などが挙げられる。これらのうち、もっとも好ましいものは酸性度の高いスルホン酸基である。
【0021】
本発明におけるイオン解離基の導入方法としては特に制限はなく、前記フェノール性水酸基を有する化合物と、イオン解離基を有する化合物、例えば、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウム、オキシ塩化リン等とを反応させることにより導入することができる。
【0022】
本発明において、イオン解離基の内、スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、側鎖型パラフェニレン誘導体やポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族環を有するポリマーを、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルホン化剤を用いてスルホン化する場合に用いられるような公知の方法により行なう。例えば、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p730 (1993)、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p736 (1993)、Polymer preprints, Japan Vol. 42, No. 7, p2490 (1993)などに記載の方法を用いることができる。
【0023】
本発明におけるスルホン酸基導入反応の具体例として、前記フェノール性水酸基を有する化合物の内の一例を挙げると、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物を、溶剤存在下、あるいは溶媒を用いずに、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。反応温度は、特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0024】
なお、他のスルホン酸基導入の方法として、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物を、フィルム状に成型したのち、前記フィルムを、そのままスルホン化する方法が挙げられる。
【0025】
フィルムを、そのままスルホン化する方法としては、硫酸およびクロロスルホン酸等の酸性溶液、あるいは有機溶媒との混合溶液中に、前記フィルムを浸漬し、次いで、浸漬したフィルムを取り出し、乾燥して調整する方法が挙げられる。
【0026】
なお、前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物および前記一般式(2)で表される化合物などの他のフェノール性水酸基を有する化合物についても、上記同様にして、スルホン化することができる。
【0027】
このようにしてイオン解離基を導入して得られる本発明のプロトン伝導性高分子電解質におけるイオン解離基量は、イオン交換容量として表される。ここで、イオン交換容量とは、ポリマー1g当たりのイオン解離基の数(mmol)であり、数値が大きいほど多くのイオン解離基が導入されたことを示す。
【0028】
イオン交換容量(イオン解離基導入量)の測定は、サンプル(高分子電解質)を、0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液に12時間以上浸漬させ、その溶液を、一定量採取して、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液で、中和滴定を行うことによって、測定する。この測定値より、イオン交換容量は次の式によって求められる。
イオン交換容量(meq/g)=0.05×FNaOH×(Qsample−Qblank)×Dwhole/Dpart ×W
[式中、Qblank:ブランクに対する滴定量(ml)、Qsample:試料に対する滴定量(ml)、FNaOH:0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液のファクター、Dwhole:サンプルを浸しておいた0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液の量(ml)、Dpart:採取したサンプルの量(ml)、W:膜重量(g)を示す。]
【0029】
本発明において、イオン交換容量は好ましくは0.1〜2.0(meq/g)であり、より好ましくは0.2〜1.5(meq/g)であり、さらに好ましくは0.5〜1.2(meq/g)である。イオン交換容量が前記下限値を下回ると、充分なプロトン伝導度が得られず、前記上限値を超えると成膜性が悪くなったり、機械的強度が落ちる、あるいは水に溶解する場合がある。
【0030】
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法としては、本発明のプロトン伝導性高分子電解質を、適切な有機溶媒に溶解させ、その溶液を、ガラス板等の基材上に、好ましくは、得られる電解質膜の厚みが50〜200μmとなるように、スピンコート法やダイコート法などにより流延塗布し、加熱、あるいは真空乾燥により、前記有機溶媒を除去して膜とする方法が挙げられる。溶解させる有機溶媒としては、除去することが可能であれば、特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。本発明のプロトン伝導性高分子電解質を、有機溶媒に溶解させる際に、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
【0031】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
フェノール49.35g(0.525mol)、4,4−ビス(メトキシメチル)ビフェニル121.0g(0.50mol)を用い、48%硫酸0.11mlを滴下して、反応温度を150℃に保ちながら、3時間反応して、158gの樹脂を得た。得られた樹脂50gを、膜厚150μm〜200μmのフィルムに成形し、硫酸/メタノール(重量比=1:4)混合液に、24時間浸漬後、多量のメタノールで洗浄し、洗浄したフィルムを、真空乾燥で乾燥した。得られた樹脂のイオン交換容量は1.76(meq/g)であった。このフィルムを、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0033】
[実施例2]
ビスフェノールA684g(3mol)、メチルイソブチルケトン570g、及び触媒として塩化アルミニウム5.7gを加え、115℃まで昇温した。113〜117℃に温度を保ちながら約2時間かけて、ジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を滴下させた後、5時間反応させて樹脂を得た。得られた樹脂50gを、10%発煙硫酸100gに、60℃で完全に溶解させ、1時間反応させた。冷却後、水200gを加えて、不溶のスルホンをろ過し、塩化ナトリウム650gを加え、加温して、均一に溶解させ、徐々に冷却させることによって、目的の樹脂を析出させた。得られた樹脂のイオン交換容量は0.98(meq/g)であった。この樹脂を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解(10重量%)し、ガラス基板上に流延塗布した後、この薄膜(100μm)を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0034】
[実施例3]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)とポリ(1,2−ブタジエン)189g(3.5molunit)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は1.32(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0035】
[実施例4]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)と1,5−ヘキサジエン236.2g(2.88mol)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は1.11(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0036】
[実施例5]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)と1,7−オクタジエン316.8g(2.88mol)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は0.86(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0037】
[実施例6]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)と1,9−デカジエン397.4g(2.88mol)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は0.57(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0038】
[実施例7]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)と1,13−テトラデカジエン558.7g(2.88mol)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は0.38(meq/g)であった。この薄膜を100℃の水中で5時間水和させて含水処理を行なった。
【0039】
[実施例8]
実施例2において、ビスフェノールA684g(3mol)とジビニルベンゼン374.4g(2.88mol)を、フェノール282g(3mol)と1,15−ヘキサデカジエン639.4g(2.88mol)に換えた以外は実施例2と同様の操作で薄膜を得た。得られた樹脂のイオン交換容量は0.15(meq/g)であった。この薄膜を、100℃の水中で5時間水和させて、含水処理を行なった。
【0040】
[比較例1]
デュポン社製Nafion117を、100℃の3wt%の過酸化水素水中で、1時間加熱後、100℃の超純水中で、1時間加熱し、次いで、100℃の1mol/L硫酸中で加熱後、100℃に超純水中で、1時間加熱を行なった後に、100℃の水中で5時間水和させて含水処理を行なった。イオン交換容量は0.89(meq/g)であった。
【0041】
[特性評価方法]
(1)イオン交換容量測定
上記で得られた樹脂を、0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液40mlに12時間以上浸漬させ、その溶液を一定量(20ml)採取して、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液で、中和滴定を行うことによって、測定した。)
【0042】
(2)プロトン伝導度測定
実施例1〜7、及び比較例1で得た薄膜をカーボン電極に挟み、圧着セルを作成した。セルごと恒温恒湿層に入れて、30℃、任意の湿度におけるプロトン伝導度を、交流インピーダンス法(測定周波数1〜100kHz)によって測定した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
(3)溶解性テスト
実施例1〜7、及び比較例1で得た薄膜0.1gを100mlの水に浸し、60℃のウォーターバス中で8時間加熱した。加熱後、形が残っているものに関しては回収して真空乾燥し、重量変化を記録した。完全に溶解してしまったものを×、重量減少したものを△、全く重量変化の無かったものを○とした。得られた結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004247070
【0045】
本発明のプロトン伝導性高分子固体電解質は、相対湿度が比較的低い状態でも高プロトン伝導度を示すことが分かる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な強度を保ちうる低含水状態においても、高プロトン伝導度を示すプロトン伝導性高分子電解質膜を提供することができる。

Claims (6)

  1. フェノール性水酸基を有する化合物に、イオン解離基を導入して得られることを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質。
  2. 前記フェノール性水酸基を有する化合物が、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物とを反応させることによって得られる化合物、1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物と下記一般式(1)で表される化合物とを反応させることによって得られる化合物および一般式(2)で表される化合物より選ばれる化合物である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質。
    Figure 2004247070
    (式中、Rはハロゲン原子からなる基、水酸基、または炭素数4以下の低級アルコキシ基を示し、Rは炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜14のアリール基を示す。)
    Figure 2004247070
    (式(2)中、Rは炭素数1〜14のアルキル基、または炭素数6〜14のアリール基を示す。)
  3. 前記1分子内にフェノール性水酸基を1個以上含む化合物がフェノール樹脂である請求項2記載のプロトン伝導性高分子電解質。
  4. 前記1分子内に二重結合を少なくとも2個有する化合物が芳香族ジビニル化合物である請求項2または3に記載のプロトン伝導性高分子電解質。
  5. 前記イオン解離基がスルホン酸基である請求項1〜4のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプロトン伝導性高分子電解質を有機溶媒に溶解して溶液とした後、前記溶液を塗布して、製膜し、溶媒を除去して成膜することを特徴とするプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。
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