JP2004292430A - フッ素含有アセトフェノン誘導体、前記誘導体を光開始剤として含む表面層用材料、複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法 - Google Patents

フッ素含有アセトフェノン誘導体、前記誘導体を光開始剤として含む表面層用材料、複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法 Download PDF

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【課題】 光開始剤として有用な新規なフッ素含有アセトフェノン誘導体を提供する。防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とに優れたハードコートが付与された物体を安価に提供し、ハードコートの形成方法を提供する。
【解決手段】 一般式(I):
【化1】
Figure 2004292430

(式(I)において、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1 、R2 及びR3 の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1 、R2 及びR3 のいずれか2つが互いに連結されて環を形成してもよい。R4 は、フッ素含有有機基を表す。)で示されるフッ素含有アセトフェノン誘導体。光開始剤として前記誘導体を含む表面層用材料。対象物体1表面に接するハードコート層2とハードコート層2表面に接する前記誘導体を用いた含フッ素表面層3とを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光開始剤として有用な新規なフッ素含有アセトフェノン誘導体に関する。本発明は、前記フッ素含有アセトフェノン誘導体を光開始剤として含む表面層用材料に関する。
本発明は、前記フッ素含有アセトフェノン誘導体を光開始剤として含む表面層用材料を用いた複合ハードコート層付き物体、及び前記フッ素含有アセトフェノン誘導体を光開始剤として含む表面層用材料を用いた複合ハードコート層の形成方法に関する。本発明において、複合ハードコート層とは、物体表面に設けられた耐擦傷性及び耐摩耗性を担うハードコート層と、ハードコート層表面に設けられた防汚性及び潤滑性を担う防汚表面層とを含む。本発明は、より詳しくは、防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とを必要とする各種物体の分野において、これら諸性能を具備した複合ハードコート層が表面に設けられた物体、及び複合ハードコート層の形成方法に関する。
本発明は、特に、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子などの表面に、それらの光学性能や記録特性を損なうことなく防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とを有する複合ハードコートを形成する方法、及び前記ハードコートが形成された製品に関する。
さらに、本発明は、前記フッ素含有アセトフェノン誘導体を光開始剤として含む表面層用材料を用いた含フッ素表面層が付与された物体にも関する。含フッ素表面層によって、物体表面に防汚性及び潤滑性が与えられる。
耐擦傷性や耐摩耗性が必要とされる各種の物体、例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子の表面には、通常保護層(ハードコート層)が付与されている。
これらの各種物体においては、ユーザーの使用によって、その表面に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着する場合が多い。このような汚れは、一度付着すると除去することは容易でなく、特に、光記録媒体や、この記録再生に用いられる光学レンズにおいては、付着した汚れによって情報信号の記録及び再生に著しい支障が生じるために、大きな問題となる。
また、光磁気記録媒体においては、記録層の上に設けられた有機保護層上を磁界ヘッドが走行するため、保護層の耐摩耗性を高めると同時に、低摩擦係数化することが求められる。
前者の問題を解決する手段として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい性質、すなわち防汚性を有する層を光学レンズ等の表面に形成する方法が種々提案されている。具体的には、フッ素系又はシリコーン系の化合物からなる層を表面に設け、表面に撥水性や撥油性を賦与し、防汚性を向上させる方法を採ることが多い。
一方、後者の問題、すなわち、保護層(ハードコート層)表面の摩擦係数を低減する方法についても、これまでに多くの対策が提案されている。具体的には、例えば、フッ素系ポリマー(例えば、パーフルオロポリエーテル)やシリコーン系ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン)などの液体潤滑剤からなる膜を保護層表面に設け、潤滑性を向上させる手法を用いることが多い。
前者の防汚性と、後者の潤滑性とは本来まったく別の特性であるが、それらの性能を賦与する手段として、フッ素系化合物又はシリコーン系化合物を用いることが多いという点では共通している。このため、フッ素系の化合物やシリコーン系の化合物を用いてハードコート表面に防汚性又は潤滑性を賦与するに際して、両者に共通して生じる問題点も多い。
フッ素系やシリコーン系の化合物には柔らかいものが多く、これらの化合物を用いた場合、充分な耐摩耗性を得ることが極めて困難である。このような問題点を改善するため、フッ素系ポリマー又はシリコーン系ポリマーマトリックス中に、SiO2 微粒子などの無機フィラーを添加し耐摩耗性を高める方法も考えられている。しかしながら、このような方法では、多少の改善はあっても、無機フィラーを分散するマトリックスとしてフッ素系又はシリコーン系のポリマーを用いている限り、満足な耐摩耗性を得ることはできない。
このため、保護層を2層以上の異なる層からなる積層構成とし、下層を高硬度の材料からなる層とし、その表面に、フッ素系やシリコーン系の化合物からなる上層を設け、防汚性や潤滑性を賦与する方法が考えられている。この場合、積層保護層の最表面となる上層が下層の硬度を反映するように、フッ素系やシリコーン系の化合物からなる上層はできるだけ薄くすることが好ましい。しかしながらこの方法においては、下層と、フッ素系化合物やシリコーン系化合物からなる上層との間の密着性を得ることが極めて難しい。
上記の密着性の問題を解決する方法として、例えば以下のような手法が知られている。すなわち、SiO2 などの無機物からなる下層をスパッタリングやゾル−ゲル法などの方法によって形成し、この下層の表面に、フルオロアルキル基を有するアルコキシシランからなる上層を、蒸着や溶液塗布などの方法によって形成する。その後、微量の水分の存在下で加熱処理を施すことにより、前記アルコキシシランの加水分解により生じたシラノール基同士の間で、及び/又はSiO2 などからなる下層表面に存在する水酸基と前記シラノール基との間で脱水縮合反応が起こり、上層が化学結合及び/又は水素結合を介して下層表面に固定される。
上記の方法では、下層表面が水酸基などの活性基を高い密度で有していることが望ましい。このため、下層に用いることができる材料は、無機化合物、特に、SiO2 、Al2 3 、TiO2 、ZnSなどの金属酸化物や金属カルコゲナイドに限定される。しかも、下層がSiO2 などの金属酸化物からなっている場合であっても、上層の前記アルコキシシランとの密着性を充分なものとするためには、上層の形成に先立って予め、下層表面にアルカリ処理、プラズマ処理、コロナ放電処理などの活性化処理を施し、表面の活性基の密度を増やしておく必要がある。
下層として、ポリエチレン、ポリカーボネート又はポリメタクリル酸メチルなどの有機物を用いて、下層表面をプラズマ処理やコロナ放電処理などの方法によって親水化し、この下層表面上に前記アルコキシシランからなる上層を設ける試みもなされている。しかし、この場合には、下層として上記無機物を用いた場合に比べ、密着性に大きく劣り、充分な耐久性は得られていない。
また、ハードコート処理されるべき基材が樹脂製である場合、下層としてSiO2 などの無機物を用いる上記の方法では、ハードコートとしての耐摩耗性を得ることが極めて難しい。SiO2 などの無機物からなる層を樹脂製基材表面に設ける場合、形成可能な膜厚は高々数100nm程度である。これ以上の膜厚にすることは製法上も困難であるし、仮に形成できたとしても、基材との弾性率差や熱膨張係数差が著しく大きいために、無機膜の自己破壊が容易に生じる。しかしながら、数100nmの厚さの無機膜によって充分な耐摩耗性を得ることは困難である。また、樹脂製基材と無機膜との間での充分な密着性を得ることも難しい。従って、無機膜が剥離しやすく、この点からも充分な耐摩耗性を得ることは困難である。
このため、ハードコート処理されるべき基材が樹脂製である場合、樹脂製基材上に高弾性率のプライマー層を設け、プライマー層上に前記無機膜からなる下層を設けて樹脂製基材と無機膜との密着性や無機膜の強度を確保して、さらに下層表面の活性化処理を施し、その下層表面上に前記フッ素系アルコキシシランからなる上層を設ける必要がある。このように、3つの層を順次形成する必要があり、極めて生産性が悪い。
特開平9−137117号公報には、樹脂製基材表面に、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物とシリカ微粒子等の無機化合物微粒子とを含有する組成物を塗布し、活性エネルギー線照射により光重合させて硬化させ、この硬化被膜表面にコロナ処理又はプラズマ処理を行い、次いでその処理表面に、加水分解によりシラノール基を生成する基を分子中に少なくとも1個有するシラン化合物を塗布し、硬化被膜との密着性を高めたシラン化合物被膜を形成する方法が開示されている。この場合にも、上層のシラン化合物被膜と下層の硬化被膜との密着性を確保するために、硬化被膜表面にコロナ処理又はプラズマ処理を行うことが必要である。
一方、上述の光磁気記録媒体の保護層において、有機保護層表面にパーフルオロポリエーテルやポリジメチルシロキサンなどの液体潤滑剤を塗布し潤滑剤膜を形成する場合は、潤滑剤が粘稠な液体であるため、有機保護層と液体潤滑剤膜との間の密着性はさほど考慮しなくてもよい。しかしながら、長期的には、磁界変調ヘッドが繰り返し摺動することによって潤滑剤が減少したり、長期の保存において潤滑剤が僅かずつながら揮発したりする恐れがある。このため、この方法においても、前記潤滑剤は、有機保護層表面に強固に固定されていることが望ましい。
ところで、先述のように、防汚性を得るためには、保護層表面に撥水性や撥油性を賦与することが必要であるが、これだけで必ずしも充分というわけではない。付着した汚れの拭き取り操作は一般的にユーザーの手によって行われるから、ユーザーが汚れの拭き取り作業を行った際に、拭き取りが容易であると感じられるためには、保護層表面の摩擦係数の低減を図る必要がある。防汚性と摩擦係数との関係についてはこれまで指摘されることがほとんどなかったが、実際には、防汚性を賦与するにあたって、低摩擦係数化は、撥水・撥油性と共に必須の特性といってよい。
また、表面を低摩擦係数化しておくことによって、硬い突起物が接触した際の衝撃を滑らせて逃がすことができるため、擦過傷の発生を抑制することができる。従って、ハードコートの傷つき防止性をより向上させるという見地からも、表面の低摩擦係数化が要求される。
特開平6−211945号公報、特開2000−301053号公報には、フルオロアルキルアクリレートと、これと相溶性がないアクリルモノマーを、両者を共に溶解する溶剤に所定の比率で溶かした組成物を基材上に塗布し、塗布後直ちに電子線を照射して硬化させることによってハードコート層を形成することが開示されている。これらの公報によれば、前記組成物を1〜15μmの厚さに塗布し、その後直ちに電子線を照射することにより、瞬時に溶剤が蒸発し、且つ、フルオロアルキルアクリレート成分とアクリルモノマー成分とが局在化し、塗膜表面にフルオロアルキルアクリレートが偏在した状態で硬化する。
しかしながら、同両号公報によれば、相溶性のない成分を含む組成物を用いるため、組成物を塗布した後、溶剤揮発による局在化が起こる前に電子線を照射し瞬時に硬化させる必要がある。そのため、塗布から電子線照射のタイミングも難しく、塗工方法も極めて限定される。例えば、スピンコート法などの、溶剤の蒸発速度が速い塗工方法を用いることはできない。
さらに、最も大きな問題として、同両公報記載の方法では、電子線照射と同時に溶剤を蒸発させるので、硬化被膜中の溶剤を完全に除去できない恐れが高い。同公報では、硬化被膜から溶剤が完全に除去されたかどうかは何ら検証されていない。内部に微量の溶剤が残留している場合、ハードコート形成直後は問題がなくても、長期の使用において、膜にクラックや剥離が生じる恐れがある。また、硬度も不十分なものとなるうえ、ハードコートが形成された基材の反りが徐々に増大しやすい。
また、電子線照射と同時に溶剤を蒸発させる方法では、硬化被膜がポーラスな構造になりやすいため、硬度が不足するばかりか、光学特性が劣化する恐れがある。従って、汎用製品への適用には問題がなくても、光学レンズや光記録媒体などの、非常に高い光学特性を要求される用途に対して適用することは困難である。
すなわち、防汚性、潤滑性及び耐摩耗性を高いレベルで同時に実現したハードコートはこれまで存在していない。
また、フルオロアルキルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレートを重合硬化させるに際し、電子線照射又は紫外線照射を用いることができる。しかし、電子線照射装置は、高価であり、装置周辺とのX線遮蔽も必要であり、また、ランニングコストも高くつく。この観点から、電子線照射よりも紫外線照射が好ましい。
紫外線照射により、フッ素含有(メタ)アクリレートを重合硬化させるには、光ラジカル開始剤を添加して十分な反応性を得る必要がある。フッ素含有(メタ)アクリレートは、パーフルオロカーボン等のフッ素系の溶剤に良く溶解するが、通常の光重合開始剤はフッ素系の溶剤には溶解しない。
特表平8−508733号公報には、フッ素化光開始剤が開示されている。しかしながら、同号公報開示のフッ素化光開始剤は、開裂によってベンジルラジカルを生じ、得られた硬化被膜に黄変が起こる。これは、生成したラジカル同士の再結合によるものと考えられる。黄変は、光学レンズや光記録媒体などの、非常に高い光学特性を要求される用途に対して著しく不利であり、黄変を起こす光開始剤をこれらの用途に適用することは困難である。
特開平9−137117号公報 特開平6−211945号公報 特開2000−301053号公報 特表平8−508733号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、パーフルオロカーボン等のフッ素系の溶剤に可溶であり、且つフッ素含有(メタ)アクリレート化合物との相溶性が良好な光ラジカル開始剤を提供することにある。本発明の目的は、黄変を生じない表面層用材料を提供することにある。
また、本発明の目的は、防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とに優れたハードコートが付与された物体を安価に提供することにある。さらに、本発明の目的は、防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とに優れたハードコートを安価に且つ容易に形成する方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、防汚性及び潤滑性に優れた含フッ素表面層が付与された物体を安価に提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、光ラジカル開始剤として有用な新規なフッ素含有アセトフェノン誘導体を見いだした。さらに、本発明者らは、含フッ素表面層用にフッ素含有(メタ)アクリレート化合物と光開始剤として前記フッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料を用いて、耐擦傷性及び耐摩耗性を担うハードコート層を対象物体表面に、そして、防汚性及び潤滑性を担う含フッ素表面層を前記ハードコート層表面に、紫外線照射によって同時に硬化させて設けることにより、これら含フッ素表面層とハードコート層とが強固に密着された透明な複合ハードコート層が形成されることを見いだし、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(I):
Figure 2004292430
(一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1 、R2 及びR3 の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1 、R2 及びR3 のいずれか2つが互いに連結されて環を形成してもよい。R4 は、フッ素含有有機基を表す。)
で示されるフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 が表すアリール基以外の有機基は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、又はアミノ基である、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、
(a) -[C(X)F]k - 、
(b) -[C(X)F-O]l - 、
(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び
(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n -
(ここで、X、Y及びZは、それぞれ独立して、F原子又はCF3 基を表し、k、l、m及びnは、各フッ素含有単位の数を表す。)
からなる群から選ばれる少なくとも1つのフッ素含有単位を、選ばれたフッ素含有単位中に含まれるフッ化炭素原子数の合計が5以上となるように有する、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含むパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)である、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含むパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)又はRfa-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)である、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)である、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)又はRfe-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)である、前記のフッ素含有アセトフェノン誘導体である。
本発明は、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記いずれかのフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料である。この表面層用材料を用いて、物体表面上のハードコート層とハードコート層表面上の含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層を物体表面に形成することができる。また、この表面層用材料を用いて、含フッ素表面層、すなわち含フッ素表面皮膜を物体表面に形成することができる。
また、本発明は、物体表面に設けられたハードコート層とハードコート層表面に設けられた含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層が付与された物体であって、
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物の硬化物からなり、含フッ素表面層は、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記いずれかのフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料の硬化物からなる、複合ハードコート層が付与された物体である。前記含フッ素表面層は前記ハードコート層に固着されている。ここで、固着とは、例えば実施例で示されるように、複合ハードコート層の撥水性として、ハードコート表面の水の接触角が初期及びウェスでの摺動後のいずれにおいても85度以上であることを意味する。固着していなければ、特に摺動後において、85度以上の接触角は達成できない。
本発明は、含フッ素表面層は、厚さ1nm以上100nm以下である、前記の複合ハードコート層が付与された物体である。
本発明は、ハードコート剤組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びメルカプト基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである、前記の複合ハードコート層が付与された物体である。
本発明は、ハードコート剤組成物には、光開始剤、及び必要に応じて無機フィラーが含まれている、前記の複合ハードコート層が付与された物体である。
本発明において、物体としては、例えば、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、又は各種表示素子が挙げられる。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等が挙げられる。
さらに、本発明は、ハードコート処理すべき対象物体表面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成し、
ハードコート剤組成物層表面上に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記いずれかのフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料を塗布して表面材料層を形成し、
形成されたハードコート剤組成物層及び表面材料層に紫外線を照射して、前記両層を同時に硬化させ、対象物体表面に接するハードコート層とハードコート層表面に接する含フッ素表面層とを形成することを含む、対象物体表面にハードコート層と含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層を形成する方法である。
本発明は、含フッ素表面層を、厚さ1nm以上100nm以下に形成する、前記の複合ハードコート層の形成方法である。
本発明は、対象物体表面にハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成した後、ハードコート剤組成物層を乾燥して、ハードコート剤組成物中に含まれていた溶剤をハードコート剤組成物層から除去し、その後、ハードコート剤組成物層表面上に表面層用材料を塗布して表面材料層を形成する、前記の複合ハードコート層の形成方法である。
本発明は、表面層用材料を塗布するに際して、溶剤として、すでに形成されているハードコート剤組成物層中の活性エネルギー線硬化性化合物を実質的に溶解しない溶剤を用いる、前記の複合ハードコート層の形成方法である。
本発明は、紫外線の照射を、酸素濃度500容積ppm以下の雰囲気中で行う、前記の複合ハードコート層の形成方法である。
本発明は、対象物体表面にハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成した後、必要に応じてハードコート剤組成物層を乾燥して、活性エネルギー線を照射してハードコート剤組成物層を半硬化の状態として、その後、ハードコート剤組成物層表面上に表面材料層を形成する、前記の複合ハードコート層の形成方法である。
本発明は、ハードコート処理すべき対象物体表面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成し、
ハードコート剤組成物層表面上に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記いずれかのフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料を塗布して表面材料層を形成し、
形成されたハードコート剤組成物層及び表面材料層に紫外線を照射して、前記両層を同時に硬化させ、対象物体表面に接するハードコート層とハードコート層表面に接する含フッ素表面層とを形成することにより得られた、対象物体表面にハードコート層と含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層が付与された物体である。
本発明において、含フッ素表面層によって、防汚性及び潤滑性が付与される。また、含フッ素表面層によって、通常の樹脂層に比べると、反射防止性が付与される。
この明細書において、「ハードコート剤組成物層」とは、未硬化又は半硬化(一部硬化)状態のハードコート層を意味する。「表面材料層」とは、未硬化状態の含フッ素表面層を意味する。活性エネルギー線硬化性化合物とは、紫外線、電子線、可視光などの活性エネルギー線の照射により硬化し得る化合物である。
さらに、本発明は、物体表面に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記いずれかのフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料の硬化物からなる含フッ素表面層が付与された物体である。この場合においても、物体としては、前述したのと同様のものが挙げられるが、含フッ素表面層によって、防汚性及び潤滑性のみが付与される。
本発明によれば、新規なフッ素含有アセトフェノン誘導体が提供され、この化合物は、パーフルオロカーボン等のフッ素系の溶剤に可溶であり、且つフッ素含有(メタ)アクリレート化合物との相溶性が良好であり、光ラジカル開始剤として非常に有用である。
本発明によれば、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記フッ素含有アセトフェノン誘導体とを含み、黄変を生じない表面層用材料が提供される。
本発明によれば、前記表面層用材料を用いて、高い耐擦傷性及び耐摩耗性を有するとともに、防汚性及び潤滑性にも優れ、且つ、その耐久性も極めて良好なハードコートが付与された物体が安価に且つ容易に提供される。
さらに、本発明によれば、前記表面層用材料を用いて、防汚性及び潤滑性に優れる含フッ素表面層を物体表面に形成することができる。
まず、前記一般式(I)で示されるフッ素含有アセトフェノン誘導体について説明する。
一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、すなわち、互いに同一でも異なっていてもよく、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を表す。ただし、α開裂によって生成するラジカルの安定性の観点から、R1 、R2 及びR3 の全てが同時に水素原子となることはない。また、分子内において、R1 、R2 及びR3 のいずれか2つが互いに連結されて環を形成してもよい。R4 は、フッ素含有有機基を表す。
1 、R2 及びR3 が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1 、R2 及びR3 が表すアリール基以外の有機基としては、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、アミノ基等が挙げられる。R1 、R2 及びR3 のいずれかが直接的にアリール基となると、光開始剤として用いた場合に、開裂によってベンジルラジカルを生じ、得られた硬化被膜に強い黄変が起こるので、R1 、R2 及びR3 のいずれも、直接的にアリール基となることはない。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基等が挙げられ、これらのアルキル基は、フッ素原子等のハロゲン原子を有していてもよく、アルコキシ基、アリール基等の置換基を有していてもよい。また、R1 、R2 及びR3 のいずれか2つが互いに連結されて、例えば、シクロヘキシル環を形成してもよい。
アルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、これらのアルコキシ基は、フッ素原子等のハロゲン原子を有していてもよく、アルコキシ基、アリール基等の置換基を有していてもよい。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられ、これらのアルキルカルボニルオキシ基は、フッ素原子等のハロゲン原子を有していてもよく、アルコキシ基、アリール基等の置換基を有していてもよい。好ましいものとして、フッ化炭素原子数の合計が5以上50以下のパーフルオロアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。この場合に、パーフルオロカーボン等のフッ素系溶剤への良好な溶解性を得る観点から、フッ化炭素原子数の合計が5以上50以下であることが好ましい。フッ化炭素原子数を50を超えて増やしても、溶解性向上は見込めないだけでなく、原料の入手や、目的化合物の合成や精製が困難になる可能性がある。
アリールカルボニルオキシ基としては、フェニルカルボニルオキシ基等が挙げられ、前記フェニル基に種々の置換基を有していてもよい。また、アミノ基としては、モルホリノ基等が挙げられる。
1 、R2 及びR3 の好ましい組み合わせとしては、特に限定されないが、
1 =R2 =R3 =Cl
1 =R2 =Cl,R3 =H
1 =H,R2 =R3 =OC2 5
1 =OH,R2 =R3 =CH3
1 =OH,R2 及びR3 の両者でシクロヘキシル環を形成
1 =R2 =CH3 ,R3 =モルホリノ基
1 =R2 =CH3 ,R3 =OCO−パーフルオロアルキル基
等が例示される。
一般式(I)において、R4 はフッ素含有有機基である。R4 がフッ素を含有することにより、パーフルオロカーボン等のフッ素系の溶剤への溶解性が向上し、且つフッ素含有(メタ)アクリレート化合物との相溶性が良好となる。
一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基としては、
(a) -[C(X)F]k - 、
(b) -[C(X)F-O]l - 、
(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び
(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n -
(ここで、X、Y及びZは、それぞれ独立して、F原子又はCF3 基を表し、k、l、m及びnは、各フッ素含有単位の数を表す。)
からなる群から選ばれる少なくとも1つのフッ素含有単位を、選ばれたフッ素含有単位中に含まれるフッ化炭素原子数の合計が5以上好ましくは50以下となるように有する有機基が挙げられる。フッ化炭素原子数の合計を5以上50以下とすることにより、パーフルオロカーボン等のフッ素系溶剤への良好な溶解性が得られる。フッ化炭素原子数を50を超えて増やしても、溶解性向上は見込めないだけでなく、原料の入手や、目的化合物の合成や精製が困難になる可能性がある。
また、一般式(I)において、R4 が表す好ましいフッ素含有有機基としては、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含むパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)が挙げられる。
2価の連結基Lは、パーフルオロアルキル基Rfaと一般式(I)におけるベンゼン環とを連結し得るものであればよく、種々の連結基が考えられる。例えば、
(f) -COO-
(g) -COO-(CH2)j-O-
(h) -CH2CH(OH)CH2O-
(i) -CH2CH(OH)CH2O-(CH2)j-O-
(j) -CH2O-
(k) -CH2O-(CH2)j-O-
(l) -(CH2)j-
(m) -NHCOO-(CH2)j-O-
等が例示される。これらの内でも、(f) -COO- 、(g) -COO-(CH2)j-O-、(m) -NHCOO-(CH2)j-O-が好ましい。上記各式中の-(CH2)j-は低級アルキレン基であることが好ましく、すなわち、jは2〜6の整数であることが好ましい。
一般式(I)において、R4 が表す好ましいフッ素含有有機基としては、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含み、その末端がFであるパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)、及びRfa-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)が挙げられる。パーフルオロアルキル基Rfaとしては、例えば、5≦k≦50の F(CF2)k−基が挙げられ、-(CH2)j-が表す低級アルキレン基としては、j=2〜6のエチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン基等が挙げられる。
また、一般式(I)において、R4 が表す好ましいフッ素含有有機基としては、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - の少なくとも1つを含み、且つ場合によっては前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - を含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)が挙げられる。2価の連結基Lについては、上述したものと同様である。
一般式(I)において、R4 が表す好ましいフッ素含有有機基としては、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - の少なくとも1つを含み、且つ場合によっては前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - を含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)、及びRfe-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)が挙げられる。-(CH2)j-が表す低級アルキレン基としては、j=2〜6のエチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン基等が挙げられる。
好ましいパーフルオロエーテル含有基Rfeとしては、例えば、
CF3O(CF2O)l-基、
CF3CF2(CF2CF2O)m- 基、
CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF2O]m- 基、
CF3CF2CF2(CF2CF2CF2O)n- 基、
CF3O-[CF(CF3)CF2O]m-/-(CF2O)l-基、
CF3O-(CF2CF2O)m-/-(CF2O)l-基
等が挙げられ、l、m及びnは、パーフルオロエーテル含有基Rfe中に含まれるフッ化炭素原子数の合計が5以上好ましくは50以下となるように選ばれる。
フッ素含有有機基R4 の具体例としては、以下のものが例示される。
F(CF2)8COO- ,F(CF2)9COO- ,F(CF2)10COO-,F(CF2)11COO-,F(CF2)12COO-,F(CF2)13COO-,F(CF2)14COO-,F(CF2)15COO-,F(CF2)16COO-,F(CF2)17COO-,H(CF2)8COO- ,
(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2COO-,(CF3)2CF(CF2)2COO-,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2COO-,(CF3)2CF(CF2)4COO-,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2COO-,(CF3)2CF(CF2)6COO-,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2COO-,(CF3)2CF(CF2)8COO-,(CF3)2CF(CF2)3CF(CF3)CF2COO-,CF3CF2(CF2CF2O)2CF2COO- ,CF3OCF2CF2OCF2COO-,(CF3)3CCF2CF(CF3)CF2COO-,
F(CF2)3O[CF(CF3)CF2O]2CF(CF3)COO- ,F(CF2)3O[CF(CF3)CF2O]3CF(CF3)COO- ,F[CF(CF3)CF2O]4CF(CF3)COO-,CF3O(CF2CF2O)2CF2COO- ,CF3CF2(CF2CF2O)3CF2COO- ,パーフルオロシクロヘキシルカルボニルオキシ基(C6F11COO- ),パーフルオロデカヒドロナフチルカルボニルオキシ基(C10F17COO-),
F(CF2)8COOCH2CH2O-,F(CF2)9COOCH2CH2O-,F(CF2)10COOCH2CH2O- ,F(CF2)11COOCH2CH2O- ,F(CF2)12COOCH2CH2O- ,F(CF2)13COOCH2CH2O- ,F(CF2)14COOCH2CH2O- ,F(CF2)15COOCH2CH2O- ,F(CF2)16COOCH2CH2O- ,F(CF2)17COOCH2CH2O- ,H(CF2)8COOCH2CH2O-,
(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)2COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)4COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)6COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)8COOCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)3CF(CF3)CF2COOCH2CH2O- ,CF3CF2(CF2CF2O)2CF2COOCH2CH2O-,CF3OCF2CF2OCF2COOCH2CH2O- ,(CF3)3CCF2CF(CF3)CF2COOCH2CH2O- ,F(CF2)3O[CF(CF3)CF2O]2CF(CF3)COOCH2CH2O-,F(CF2)3O[CF(CF3)CF2O]3CF(CF3)COOCH2CH2O-,F[CF(CF3)CF2O]4CF(CF3)COOCH2CH2O- ,CF3O(CF2CF2O)2CF2COOCH2CH2O-,CF3CF2(CF2CF2O)3CF2COOCH2CH2O-,2-(パーフルオロシクロヘキシルカルボニルオキシ)エチルオキシ基(C6F11COOCH2CH2O-),2-(パーフルオロデカヒドロナフチルカルボニルオキシ)エチルオキシ基(C10F17COOCH2CH2O- ),
CF3(CF2)8CH2CH(OH)CH2O- ,CF3(CF2)9CH2CH(OH)CH2O- ,CF3(CF2)10CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)11CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)12CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)13CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)14CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)15CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)16CH2CH(OH)CH2O-,CF3(CF2)17CH2CH(OH)CH2O-,(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2O-,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2O-,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2O-,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH(OH)CH2O-,H(CF2)8CH2OCH2CH(OH)CH2O- ,
CF3(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O-,CF3(CF2)9CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O-,CF3(CF2)10CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)11CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)12CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)13CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)14CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)15CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)16CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,CF3(CF2)17CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,
(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCH2CH2O- ,H(CF2)8CH2OCH2CH(OH)CH2OCH2CH2O-,
F(CF2)8O- ,F(CF2)9O- ,F(CF2)10O-,F(CF2)11O-,F(CF2)12O-,F(CF2)13O-,F(CF2)14O-,F(CF2)15O-,F(CF2)16O-,F(CF2)17O-,H(CF2)8O- ,
CF3(CF2)7CH2CH2O- ,CF3(CF2)8CH2CH2O- ,CF3(CF2)9CH2CH2O- ,CF3(CF2)10CH2CH2O-,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2O-,(CF3)2CF(CF2)4O-,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2O-,(CF3)2CF(CF2)6O-,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2O-,(CF3)2CF(CF2)8O-,CF3CF2(CF2CF2O)2CF2O- ,CF3CF2(CF2CF2O)3CF2O- ,CF3O(CF2CF2O)2CF2O- ,
F(CF2)8OCH2CH2O-,F(CF2)9OCH2CH2O-,F(CF2)10OCH2CH2O- ,F(CF2)11OCH2CH2O- ,F(CF2)12OCH2CH2O- ,F(CF2)13OCH2CH2O- ,F(CF2)14OCH2CH2O- ,F(CF2)15OCH2CH2O- ,F(CF2)16OCH2CH2O- ,F(CF2)17OCH2CH2O- ,H(CF2)8OCH2CH2O-,
CF3(CF2)7CH2CH2OCH2CH2O-,CF3(CF2)8CH2CH2OCH2CH2O-,CF3(CF2)9CH2CH2OCH2CH2O-,CF3(CF2)10CH2CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)4OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)6OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2OCH2CH2O- ,(CF3)2CF(CF2)8OCH2CH2O- ,CF3CF2(CF2CF2O)2CF2OCH2CH2O-,CF3CF2(CF2CF2O)3CF2OCH2CH2O-,CF3O(CF2CF2O)2CF2OCH2CH2O-。
前記一般式(I)で示されるフッ素含有アセトフェノン誘導体は、例えば、次の反応式により合成することができる。
Figure 2004292430
パーフルオロ脂肪酸(i) (例えば、5≦k)をアセトフェノン誘導体(ii)(市販品:イルガキュア2959)に対して選択的に1当量反応させる(ルートa)と、パーフルオロアルキル基が1つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体(iii) が得られる。パーフルオロ脂肪酸(i) をアセトフェノン誘導体(ii)に対して2当量反応させる(ルートb)と、パーフルオロアルキル基が2つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体(iv)が得られる。この際のエステル化は常法により行う。
Figure 2004292430
一方、パーフルオロアルキルイソシアネート(v)をアセトフェノン誘導体(ii)(市販品:イルガキュア2959)に対して選択的に1当量反応させる(ルートc)と、パーフルオロアルキル基が1つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体(vi)が得られる。パーフルオロアルキルイソシアネート(v)をアセトフェノン誘導体(ii)に対して2当量反応させる(ルートd)と、パーフルオロアルキル基が2つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体(vii) が得られる。この際のウレタン化は常法により行う。
パーフルオロエーテルイソシアネート(Rfe−NCO)を用いた場合にも、同様の反応によって、パーフルオロエーテル基が1つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体、又はパーフルオロエーテル基が2つ導入されたフッ素含有アセトフェノン誘導体が選択的に得られる。
このようにして、種々のフッ素含有アセトフェノン誘導体を合成することができる。
次に、図1を参照して、本発明の複合ハードコート層が付与された物体及びその形成方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の複合ハードコート層が付与された物体の層構成例を模式的に示す断面図である。図1において、ハードコート処理すべき対象物体(1) 表面にハードコート層(2) が形成され、ハードコート層(2) 表面に接して含フッ素表面層(3) が形成されている。ハードコート層(2) と含フッ素表面層(3) の両層を便宜的に複合ハードコート層という。
対象物体(1) としては、ハードコート処理の必要な種々のものが含まれる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなるシートや基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。より具体的な製品としては、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子が挙げられる。
まず、対象物体(1) 表面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成し、次に、ハードコート剤組成物層表面上に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記本発明のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料を塗布して表面材料層を形成する。ハードコート剤組成物、及び表面層用材料の各成分について説明する。
ハードコート剤組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びメルカプト基の中から選択される少なくとも1つの活性基を有するものであれば、特にその構造は限定されない。活性エネルギー線硬化性化合物は、ハードコートとして十分な硬度を得るため、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上の重合性基を含む多官能モノマーもしくはオリゴマーを含んでいることが好ましい。
このような活性エネルギー線重合性化合物のうち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、ビニル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、メルカプト基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ハードコート剤組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハードコート剤組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いる場合には特に必要はないが、紫外線を用いる場合には必要となる。光重合開始剤としては公知のものを用いることができ、光重合開始剤のうち、光ラジカル開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651 、イルガキュア184 、イルガキュア907 (いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、例えば、ハードコート剤組成物(固形分として)中に0.5〜5重量%程度である。
また、ハードコート剤組成物は、光重合開始剤として、上記公知の光重合開始剤に代えて又は上記公知の光重合開始剤と共に、前記本発明のフッ素含有アセトフェノン誘導体を含んでもよい。
ハードコート剤組成物は、必要に応じて耐摩耗性向上のために、無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。無機フィラーの平均粒径は、特に透明性が必要になる場合は100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
さらに、硬化被膜の強度や耐摩耗性をより高めるためには、無機フィラーの表面が、活性エネルギー線重合性基を有する化合物で修飾されていることが好ましい。平均粒径が50nm以下であり、且つ活性エネルギー線重合性基を有する化合物で表面修飾されている無機フィラーとして、例えば特開平11−60235号公報、特開平9−100111号公報、及び特開2001−187812号公報に記載されている反応性シリカ粒子があり、本発明において好ましく用いることができる。なお、特開平11−60235号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてカチオン反応性のオキセタニル基を含むものであり、特開平9−100111号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてラジカル反応性の(メタ)アクリロイル基を含んでいる。特開2001−187812号公報に記載のシリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性不飽和二重結合と、エポキシ基等のカチオン反応性基とを同時に含むものである。このような無機フィラーをハードコート剤組成物に添加しておくことにより、ハードコート層の耐摩耗性をより高めることができる。無機フィラーの含有量は、例えば、ハードコート剤組成物(固形分として)中に5〜80重量%程度である。無機フィラーを80重量%よりも多く含有させると、ハードコート層の膜強度が弱くなりやすい。
また、ハードコート剤組成物はさらに、必要に応じて、非重合性の希釈溶剤、光重合開始助剤、有機フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物などを含んでいても差し支えない。前記非重合性の希釈溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、エチルセロソルブ、トルエンなどが挙げられる。
表面層用材料は、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として前記本発明のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む。この表面層用材料の硬化膜は、フッ素含有基によって、防汚性、潤滑性及び反射防止性のうちの少なくとも1つの機能を有し、且つ黄色等の着色がない。
フッ素含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-5- メチルヘキシル)-2- ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ−9−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート等のフッ化アクリレートが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、(メタ)アクリレート基が導入されたパーフルオロポリエーテルなどの高分子化合物、あるいは(メタ)アクリレート基の代わりにビニル基又はメルカプト基を有するフッ素系化合物等も好ましく用いることができる。Fomblin Z DOL (アルコール変性パーフルオロポリエーテル(アウジモント社製))のジアクリレート、フルオライトART3、フルオライトART4(共栄社化学)が具体例として挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリレート化合物としては、上記化合物の内から1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、表面層用材料中の成分の一部として、前述したハードコート剤組成物に用いられる活性エネルギー線硬化性化合物が含まれていてもよい。
また、光開始剤として前記本発明のフッ素含有アセトフェノン誘導体として、前記化合物の内から1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
表面層用材料の溶剤としては、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物を良好に溶解させ得るものを用いる。例えば、フッ素含有溶剤が好ましく、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン等のフルオロカーボンなどが挙げられる。また、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、HFC 43-10mee 、 1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンなどが挙げられる。前記本発明のフッ素含有アセトフェノン誘導体は、これらのフッ素含有溶剤に良好に溶解し且つフッ素含有(メタ)アクリレート化合物との相溶性にも優れ、光開始剤として好適である。
また、表面層用材料中には、ハードコート剤組成物におけるのと同様に、必要に応じて、非重合性の希釈溶剤、光重合開始助剤、有機フィラー、無機フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物などを含んでいても差し支えない。
本発明において、まず、対象物体(1) 表面に、上記ハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成する。塗布方法は、限定されることなく、スピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法等の各種塗布方法を用いるとよい。
対象物体(1) 表面にハードコート剤組成物を塗布した後、表面層用材料を塗布するのに先立って、ハードコート剤組成物層の流動性をなくしておくことが好ましい。ハードコート剤組成物層の流動性をなくしておくことによって、これの上に表面層用材料を塗布する際に、ハードコート剤組成物層の膜厚変動や、表面性の悪化を防ぐことができ、表面層用材料を均一に塗布・成膜しやすい。
ハードコート剤組成物層の流動性をなくすためには、例えば、ハードコート剤組成物に希釈溶剤が含まれる場合には、塗布後に乾燥して、ハードコート剤組成物中に含まれていた溶剤をハードコート剤組成物層から除去するとよい。また、塗布後に必要に応じて乾燥して、紫外線等の活性エネルギー線を照射してハードコート剤組成物層を半硬化の状態としてもよい。ハードコート剤組成物層が完全には硬化しないように、活性エネルギー線の照射に注意する。なお、半硬化とは、塗布されたハードコート剤組成物の一部が未反応であることを意味する。従って、ハードコート剤組成物層の物理的な硬化度は特に問わず、表面の粘着性(タック)が消失していても差し支えない。この際の紫外線照射量は、ハードコート層の厚さにもよるが、例えば1〜500mJ/cm2 、好ましくは1〜200mJ/cm2 とするとよい。この程度の紫外線照射量で、半硬化状態のハードコート剤組成物層が得られやすい。
ハードコート剤組成物層の硬化により得られるハードコート層の厚さは、特に限定されることなく、対象物体に種類や用途によって適宜決定するとよい。例えば、対象物体が、光記録ディスクの場合には、1μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下となるように形成するとよい。1μm未満では、ディスクに充分な表面硬度を与えることができず、10μmを超えると、クラックが発生したり、ディスクの反りが大きくなる傾向にある。
次に、未硬化又は一部硬化(半硬化)状態のハードコート剤組成物層表面上に、上記表面層用材料を塗布して表面材料層を形成する。表面材料層は、硬化後に得られる含フッ素表面層の厚さが、1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下となるように形成するとよい。1nm未満では、防汚性及び潤滑性の効果があまり得られず、100nmを超えると、下層のハードコート層の硬度があまり反映されず、耐擦傷性及び耐摩耗性の効果が減少してしまう。
表面層用材料の塗布は、上記表面層用材料を適当な溶剤で希釈し、この塗布液を限定されることなく、スピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等の各種塗布方法で塗布するとよい。塗布後、加熱乾燥を行うことが好ましい。加熱乾燥処理により、溶剤が蒸発すると共に、表面層用材料が熱によりレベリングされて平滑な表面を得やすくなる。
この際の溶剤としては、未硬化又は一部硬化(半硬化)状態のハードコート剤組成物層中の活性エネルギー線硬化性化合物を実質的に溶解しない溶剤を選択して用いることが好ましい。前記ハードコート剤組成物層を実質的に溶解するか否かは、溶剤の種類だけでなく、塗布方法にも依存する。例えば、表面材料層の塗布方法としてスピンコート法を用いる際は、多くの場合、スピンコート時に塗布液に含まれる希釈溶剤の大半は揮発するため、前記ハードコート剤組成物層をある程度溶解する溶剤を希釈溶剤として用いても、実用上は問題にならない。一方、例えば、表面材料層の塗布方法としてディップコート法を用いる場合は、未硬化の前記ハードコート剤組成物層表面と、表面材料層塗布液との接触時間が長いため、前記ハードコート剤組成物層材料をまったく溶解しないか、ほとんど溶解しない溶剤を用いる必要がある。
ディップコート法において用い得る溶剤としては、フッ素含有溶剤が好ましく、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン等のフルオロカーボンなどが挙げられる。また、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物の溶解性が損なわれない程度に、n−オクタン、イソオクタン等の飽和炭化水素溶剤を併用してもよい。スピンコート法において用い得る溶剤としては、前記の各種溶剤の他に、例えば、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、HFC 43-10mee 、 1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンなどが挙げられる。また、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物の溶解性が損なわれない程度に、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジブチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の溶剤を併用してもよい。
このようにして、未硬化又は一部硬化(半硬化)状態のハードコート剤組成物層と、その表面上に未硬化の表面材料層とを形成する。
次に、形成されたハードコート剤組成物層及び表面材料層に紫外線を照射して、前記両層を同時に硬化させる。この際、前記両層を完全に硬化させ得るに十分なエネルギー量の紫外線を照射し、両層の硬化反応を完結させる。この際、紫外線の照射量は、例えば100〜5000mJ/cm2 、好ましくは500〜3000mJ/cm2 とするとよい。未硬化又は一部硬化(半硬化)状態のハードコート剤組成物層とその表面上に接して設けられた未硬化の表面材料層とを同時に硬化させることにより、これら両層が界面において強固に密着され、すなわち、硬化したハードコート層(2) 上に硬化した含フッ素表面層(3) が密着性良く得られる。
本発明のこのようなプロセスを用いることにより、高硬度のハードコート層(2) 上に、その硬度が最表面に反映される程度に薄く、且つ良好な撥水性・潤滑性を有する含フッ素表面層(3) を設けると共に、ハードコート層(2) と含フッ素表面層(3) の良好な密着性が得られる。
ハードコート剤組成物層及び表面材料層を同時硬化させる手段としては、紫外線を用いる。本発明においては、含フッ素表面層の厚さが1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下と極めて薄く、ハードコート層とのより良好な密着性を得るために、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度が500容積ppm以下、好ましくは200容積ppm以下、より好ましくは10容積ppm以下となるように、窒素などの不活性ガスによるパージを行うことが好ましい。これは、照射雰囲気中で生じる酸素ラジカルに起因する表面の硬化阻害を抑制するためである。あるいは、照射雰囲気中の酸素濃度を制御する代わりに、ハードコート剤組成物及び/又は表面層用材料中に、従来公知の各種酸素阻害抑制剤を添加しておいてもよい。このような酸素阻害抑制剤としては、例えば、特開2000−109828号公報、特開2000−109828号公報及び特開2000−144011号公報に記載されている酸素阻害抑制剤を用いることができる。いうまでもなく、上記酸素阻害抑制剤と、照射雰囲気中の酸素濃度制御とを併用しても差し支えない。
このような材料及び成膜、硬化方法を用いることにより、耐摩耗性及び撥水・潤滑性に優れ、その耐久性も良好な複合ハードコート層が形成される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1:フッ素含有光開始剤Aの合成]
300mLの攪拌機付き丸型フラスコに、パーフルオロノナン酸(前記反応式における化合物i; k=8)40gと、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(前記反応式における化合物ii)6.4gとを仕込み、110℃に加熱した。原料の全体が溶融状態になったところで、ゆっくりと攪拌を始め4時間反応を続けた。反応後、反応物を一旦室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー分析により2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノンが存在しないことを確認した。さらに、反応物を減圧下、100〜160℃に加熱し、残留しているパーフルオロノナン酸を留去し、再び室温まで冷却して約12gの白色固体を得た。
得られた白色固体を、赤外分光分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー質量分析等で分析し、目的とするフッ素含有光開始剤A 2−ヒドロキシ−4’−(2−パーフルオロノナノイルオキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(前記反応式における化合物 iii; k=8)が主生成物として得られていることを確認した。この白色固体を以降の実施例でフッ素含有光開始剤Aとして用いた。
光開始剤Aの同定データ:
IR(図2):3390-3500 cm-1 O−H伸縮;
1770cm-1付近 エステルC=O伸縮;
1650cm-1付近 ベンジル位C=O伸縮;
1600cm-1付近 ベンゼン環C=C伸縮;
1100-1200 cm-1付近 パーフルオロアルキル基C−F伸縮
上記白色固体をパーフルオロオクタンに溶解し、その紫外吸収スペクトルを測定したところ、波長260nm付近に目的生成物のベンゼン環のπ−π* 遷移に由来する吸収が観測され、波長320nm近傍にベンゾイル部位のカルボニルのn−π* 遷移に由来する吸収が観測された。さらに、この溶液に少量の2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレートを加え、紫外線を照射すると、260nm付近の吸収が大きく減少し、開始剤の開裂とアクリレートへの付加の進行が示唆された。従って、この点からも、得られた白色固体は、目的とするフッ素含有光開始剤A 2−ヒドロキシ−4’−(2−パーフルオロノナノイルオキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(前記反応式における化合物 iii; k=8)を主生成物とすることが確認された。
[実施例2:フッ素含有光開始剤Bの合成]
パーフルオロノナン酸(k=8)40gの代わりにパーフルオロウンデカン酸(k=11)48gを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、約20gの褐色固形物質を得た。この物質を実施例1と同様に分析し、目的とするフッ素含有光開始剤B 2−ヒドロキシ−4’−(2−パーフルオロウンデカノイルオキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(前記反応式における化合物 iii; k=11)が主生成物として得られていることを確認した。この褐色固形物質を以降の実施例でフッ素含有光開始剤Bとして用いた。
光開始剤Bの同定データ:
IR(図3):3390-3500 cm-1 O−H伸縮;
1770cm-1付近 エステルC=O伸縮;
1650cm-1付近 ベンジル位C=O伸縮;
1600cm-1付近 ベンゼン環C=C伸縮;
1100-1200 cm-1付近 パーフルオロアルキル基C−F伸縮
[実施例3:フッ素含有光開始剤Cの合成]
パーフルオロノナン酸40gの代わりにパーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸(次の反応式における化合物v)44gを用い、反応温度を100℃にした以外は、実施例1と同様に反応を行い、約13gの透明粘稠液体を得た。この液体を実施例1と同様に分析し、目的とするフッ素含有光開始剤C 2−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカノイルオキシ)エトキシ]−2−メチルプロピオフェノンが主生成物として得られていることを確認した。この液体を以降の実施例でフッ素含有光開始剤Cとして用いた。
Figure 2004292430
[実施例4:複合ハードコート層付き基板]
厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上に、紫外線硬化型ハードコート剤(JSR社製、デソライトZ7503)をスピンコート法により塗布した後、大気中60℃で3分間加熱して被膜内部の希釈溶剤を除去して、未硬化のハードコート層を形成した。なお、上記ハードコート剤は特開平9−100111号公報に示される反応性無機フィラーを含む組成物であった。
次いで、フッ素系溶剤フロリナートFC−77(住友スリーエム社製)99.4重量部に対して、以下の化合物を加え、表面材料溶液を調製した。
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.33重量部
3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所社製) 0.17重量部
フッ素含有光開始剤A 0.1重量部
この表面材料溶液を上記未硬化ハードコート層上にスピンコート法によって塗布し、これを60℃で3分間乾燥し、未硬化表面層を形成した。
次いで、高圧水銀灯を用いて、窒素気流下で1000mJ/cm2 の紫外線を照射して、ハードコート層と表面層とを同時に硬化させた。紫外線照射雰囲気の酸素濃度は80容積ppmであった。硬化されたハードコート層の膜厚は3.4μm、硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。なお、ハードコート層の膜厚は、接触探針式の表面形状測定機により測定した。表面層の膜厚は、表面層の膜厚は、パーフルオロポリエーテル(ダイキン工業社製、デムナム)を標準物質として、蛍光X線分析(XRF)により測定した。このようにして、複合ハードコート層付き基板を得た。
[実施例5:複合ハードコート層付き基板]
下記組成の表面材料溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、複合ハードコート層付き基板を得た。硬化されたハードコート層の膜厚は3.4μm、硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。
フロリナートFC−77(住友スリーエム社製) 99.4重量部
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.33重量部
3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所社製) 0.17重量部
フッ素含有光開始剤B 0.1重量部
[実施例6:複合ハードコート層付き基板]
下記組成の表面材料溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、複合ハードコート層付き基板を得た。硬化されたハードコート層の膜厚は3.4μm、硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。
フロリナートFC−77(住友スリーエム社製) 99.4重量部
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.5重量部
フッ素含有光開始剤C 0.1重量部
[比較例1]
下記組成の表面材料溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、複合ハードコート層付き基板を得た。硬化されたハードコート層の膜厚は3.4μm、硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。
フロリナートFC−77(住友スリーエム社製) 99.5重量部
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.33重量部
3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所社製) 0.17重量部
[比較例2]
窒素気流下での紫外線照射の代わりとして、窒素気流下で電子線を照射してハードコート層と表面層とを硬化させた以外は、比較例1と同様にして、複合ハードコート層付き基板を得た。電子線照射装置としてCuretron(日新ハイボルテージ(株)製)を用い、電子線加速電圧を200kV、照射線量を5Mradとした。照射雰囲気の酸素濃度は80容積ppmであった。硬化されたハードコート層の膜厚は3.4μm、硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。
(評価)
実施例4〜6及び比較例1〜2で作製した各試料について、以下に示す性能試験を行った。
(1)耐摩耗性
スチールウール#0000を用い、試料のハードコート表面を、荷重4.9N/cm2 にて20往復摺動した際に生じた傷の程度を目視により判定した。判定基準は以下の通りである。
○:傷発生なし
△:わずかに傷発生
×:傷発生
(2)撥水性及びその耐久性
作製から1週間室温放置後の試料について、複合ハードコート表面の水の接触角を測定した。測定は、摺動前と、溶剤を含ませたウェスで試料表面を摺動した後それぞれについて行った。摺動条件は以下の通りであった。すなわち、不織布(旭化成工業社製、ベンコットリントフリーCT−8)にアセトンを含浸させ、荷重4.9N/cm2 にて50往復摺動した。接触角の測定は、協和界面科学社製、接触角計CA−Dを用いて、気温20℃、相対湿度60%の環境下で行った。
Figure 2004292430
以上の測定結果を表1に示す。
表1から、実施例4〜6の複合ハードコート層付き基板は、非常に高い耐摩耗性を有すると共に、撥水性に優れ、その耐久性も極めて良好であった。また、複合ハードコート層には着色も見られず、透明性に優れていた。また、比較例2との比較から明らかなように、実施例4〜6の複合ハードコート層付き基板は、耐摩耗性、接触角及びその耐久性、及び表面平滑性のいずれの性能においても、電子線硬化によって得られた複合ハードコート層と同等以上の性能を有していることが分かった。
一方、比較例1においては、表面材料溶液にフッ素含有光開始剤が含まれていなかったので、アセトン含浸ウェスでの摺動により接触角が著しく低下し、撥水性の耐久性が得られなかった。ウェスでの摺動によって、含フッ素表面層が払拭され、接触角が低下したと考えられる。
[実施例7:複合ハードコート層が付与された光情報媒体]
この実施例は、複合ハードコート層が付与された光情報媒体(以下、光ディスクと略記する)の製造例である。この実施例では、相変化型の光ディスクを製造したが、本発明はこれに限らず、再生専用型の光ディスク、1回のみ記録可能な光ディスク等、記録層の種類によらず広く適用が可能である。
図4は、複合ハードコート層が付与された光ディスクの一例の概略断面図である。図4において、光ディスク(11)は、支持基体(12)の情報ピットやプリグルーブ等の微細凹凸が形成されている側の面上に、反射層(13)、第2誘電体層(14)、相変化記録材料層(15)及び第1誘電体層(16)をこの順で有し、第1誘電体層(16)上に光透過層(18)を有し、光透過層(18)上にハードコート層(19)及び含フッ素表面層(20)を有する。この例では、反射層(13)、第2誘電体層(14)、相変化記録材料層(15)及び第1誘電体層(16)が記録層(17)を構成する。ハードコート層(19)及び含フッ素表面層(20)の両層を便宜的に複合ハードコート層という。光ディスク(11)は、含フッ素表面層(20)、ハードコート層(19)及び光透過層(18)を通して、記録又は再生のためのレーザー光が入射するように使用される。
図4に示す層構成の光記録ディスクサンプルを以下のようにして作製した。
情報記録のためにグルーブが形成されたディスク状支持基体(12)(ポリカーボネート製、直径120mm、厚さ1.1mm)の表面に、Al98Pd1 Cu1 (原子比)からなる厚さ100nmの反射層(13)をスパッタリング法により形成した。前記グルーブの深さは、波長λ=405nmにおける光路長で表してλ/6とした。グルーブ記録方式における記録トラックピッチは、0.32μmとした。
次いで、反射層(13)表面に、Al2 3 ターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ20nmの第2誘電体層(14)を形成した。第2誘電体層(14)表面に、相変化材料からなる合金ターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ12nmの記録材料層(15)を形成した。記録材料層(15)の組成(原子比)は、Sb74Te18(Ge7 In1 )とした。記録材料層(15)表面に、ZnS(80モル%)−SiO2 (20モル%)ターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ130nmの第1誘電体層(16)を形成した。
次いで、第1誘電体層(16)表面に、下記組成のラジカル重合性の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布し、紫外線を照射して、硬化後の厚さが98μmとなるように光透過層(18)を形成した。
(光透過層:紫外線硬化型樹脂の組成)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50重量部
(三菱レイヨン(株)製、ダイヤビームUK6035)
イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート 10重量部
(東亜合成(株)製、アロニックスM315)
イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート 5重量部
(東亜合成(株)製、アロニックスM215)
テトラヒドロフルフリルアクリレート 25重量部
光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 3重量部
次いで、光透過層(18)上に、下記組成の紫外線/電子線硬化型ハードコート剤をスピンコート法により塗布した後、大気中60℃で3分間加熱することにより被膜内部の希釈溶剤を除去して、未硬化のハードコート層(19)を形成した。
(ハードコート剤の組成)
反応性基修飾コロイダルシリカ(分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、不揮発分:40重量%) 100重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 48重量部
テトラヒドロフルフリルアクリレート 12重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40重量部
(非反応性希釈溶剤)
イルガキュア184(重合開始剤) 5重量部
次いで、フッ素系溶剤フロリナートFC−77(住友スリーエム社製)99.7重量部に対して、以下の化合物を加え、表面材料溶液を調製した。
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.06重量部
3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所社製) 0.19重量部
フッ素含有光開始剤C 0.05重量部
この表面材料溶液を上記未硬化ハードコート層(19)上にスピンコート法によって塗布し、これを60℃で3分間乾燥し、未硬化表面層(20)を形成した。
次いで、高圧水銀灯を用いて、窒素気流下で1000mJ/cm2 の紫外線を照射して、ハードコート層(19)と表面層(20)とを同時に硬化させた。紫外線照射雰囲気の酸素濃度は80容積ppmであった。硬化されたハードコート層(19)の膜厚は2.5μm、硬化された表面層(20)の膜厚は約28nmであった。このようにして、複合ハードコート層が付与された光記録ディスクサンプルNo.1を得た。
(評価)
作製した光記録ディスクサンプルNo.1について、光ディスク評価装置(パルステック社製、DDU−1000)を用い、下記条件にて記録・再生特性の評価を行った。
レーザー波長:405nm
対物レンズ開口数NA:0.85
線速度:6.5m/s
記録信号:1−7変調信号(最短信号長2T)
記録領域:グルーブ記録
(1)耐摩耗性
光記録ディスクサンプルの半径40mm付近にランダム信号を記録し、初期のジッタ値を測定した。次いで、ディスクの複合ハードコート表面を、スチールウール#0000を用いて荷重2.5N/cm2 にて20往復擦り、その後、再度ジッタ値を測定した(試験後のジッタ値)。なお、スチールウールでの摺動方向は、ディスクの半径方向とし、スチールウールは1.0cm×1.0cmの大きさのものを用いた。
(2)防汚性
光記録ディスクサンプルの半径40mm付近にランダム信号を記録し、初期のジッタ値を測定した。次いで、ディスクのハードコート側表面の半径40mm付近に、9.8Nの押圧で中指を10秒間押し付けることにより指紋を付着させた。その後、市販のティッシュペーパー((株)クレシア製)を8組重ねたものを用いて、付着した指紋をディスクの内周から外周にかけてゆっくりと拭き取った。拭き取りの際の押圧は4.9N/cm2 とし、拭き取り回数は1回とした。その後、再度ジッタ値を測定した(試験後のジッタ値)。
Figure 2004292430
以上の測定結果を表2に示す。
表2から、光記録ディスクサンプルNo.1は、耐摩耗性及び防汚性いずれの試験においても、初期及び試験後のジッタ値に優れていた。また、複合ハードコート層には着色も見られず、透明性に優れていた。
[実施例8:含フッ素表面層が付与されたレンズ]
この実施例では、ポリカーボネートを射出成形することにより作製されたφ80mmの球面レンズの表面に含フッ素表面層を付与した。
前記球面レンズの両表面に、コロナ処理機(3005DW−SLR、ソフタル日本(株)製)を用いて、400W・分/m2 のエネルギーを照射することにより、親水化処理を行った。次いで、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、KBM−5103、信越化学工業(株)製)の0.3重量%イソプロピルアルコール溶液を浸漬法により前記レンズの両表面に塗布した。レンズを室温で暗所に一晩放置し、その後、下記組成の表面材料溶液を浸漬法により前記レンズの両表面に塗布し、60℃で3分間乾燥し、未硬化表面層を形成した。なお、シランカップリング剤による処理は、レンズ表面と表面層との密着性を向上させるために行った。
(表面材料溶液の組成)
フッ素系溶剤フロリナートFC−77(住友スリーエム社製) 99.4重量部
パーフルオロポリエーテルジアクリレート(アウジモント社製Fomblin Z DOL のアクリル変性品、分子量:約2000) 0.33重量部
3-パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所社製) 0.17重量部
フッ素含有光開始剤C 0.10重量部
次いで、高圧水銀灯を用いて、窒素気流下で1000mJ/cm2 の紫外線を照射して、表面層を硬化させた。紫外線照射雰囲気の酸素濃度は80容積ppmであった。その後、シランカップリング剤を定着させるために、60℃で24時間加熱した。硬化された表面層の膜厚は約30nmであった。このようにして、両面に含フッ素表面層が付与されたレンズを得た。
(評価:撥水性及びその耐久性)
作製から1週間室温放置後のレンズ試料について、実施例4〜6における評価と同じ方法で、レンズ表面の撥水性及びその耐久性を測定した。摺動前のレンズ表面の水の接触角は、103.3度であり、アセトン含浸させた不織布での摺動後のレンズ表面の水の接触角は、102.4度であった。レンズ表面には着色も見られず、透明性に優れていた。物体の用途や材質によっては、本発明の表面層用材料を用いて防汚性及びその耐久性に優れた含フッ素表面層を形成することができることが示された。
上記実施例4〜6では、ポリカーボネート基板上への複合ハードコート層の付与を示し、上記実施例7では、相変化型光ディスクへの複合ハードコート層の付与を示した。しかしながら、本発明は、記録層が相変化型の光ディスクのみならず、再生専用型光ディスクや、追記型光ディスクにも適用される。さらに、本発明は、光情報媒体のみならず、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び各種表示素子にも適用される。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
本発明の複合ハードコート層が付与された物体の層構成例を模式的に示す断面図である。 フッ素含有光開始剤AのIRチャート(波数cm-1 VS.透過%)である。 フッ素含有光開始剤BのIRチャート(波数cm-1 VS.透過%)である。 本発明の複合ハードコート層が付与された光ディスクの一例の概略断面図である。
符号の説明
(1) :対象物体
(2) :ハードコート層
(3) :含フッ素表面層
(11):光ディスク
(12):支持基体
(13):反射層
(14):第2誘電体層
(15):相変化記録材料層
(16):第1誘電体層
(18):光透過層
(19):ハードコート層
(20):含フッ素表面層

Claims (18)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 2004292430
    (一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1 、R2 及びR3 の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1 、R2 及びR3 のいずれか2つが互いに連結されて環を形成してもよい。R4 は、フッ素含有有機基を表す。)
    で示されるフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  2. 一般式(I)において、R1 、R2 及びR3 が表すアリール基以外の有機基は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、又はアミノ基である、請求項1に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  3. 一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、
    (a) -[C(X)F]k - 、
    (b) -[C(X)F-O]l - 、
    (c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び
    (d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n -
    (ここで、X、Y及びZは、それぞれ独立して、F原子又はCF3 基を表し、k、l、m及びnは、各フッ素含有単位の数を表す。)
    からなる群から選ばれる少なくとも1つのフッ素含有単位を、選ばれたフッ素含有単位中に含まれるフッ化炭素原子数の合計が5以上となるように有する、請求項1又は2に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  4. 一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含むパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)である、請求項3に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  5. 一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(a) -[C(X)F]k - (5≦k)を含むパーフルオロアルキル基Rfaを有するRfa-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)又はRfa-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)である、請求項3に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  6. 一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe−L−基(ここで、Lは、2価の連結基を表す。)である、請求項3に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  7. 一般式(I)において、R4 が表すフッ素含有有機基は、前記フッ素含有単位(b) -[C(X)F-O]l - 、(c) -[C(X)F-C(Y)F-O]m - 、及び(d) -[C(X)F-C(Y)F-C(Z)F-O]n - からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むパーフルオロエーテル含有基Rfeを有するRfe-COO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)又はRfe-NHCOO-(CH2)j-O-基(ここで、jは、2〜6の整数を表す。)である、請求項3に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体。
  8. フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料。
  9. 物体表面に設けられたハードコート層とハードコート層表面に設けられた含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層が付与された物体であって、
    ハードコート層は、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物の硬化物からなり、
    含フッ素表面層は、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料の硬化物からなる、複合ハードコート層が付与された物体。
  10. 含フッ素表面層は、厚さ1nm以上100nm以下である、請求項9に記載の複合ハードコート層が付与された物体。
  11. ハードコート剤組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びメルカプト基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである、請求項9又は10に記載の複合ハードコート層が付与された物体。
  12. ハードコート剤組成物には、光開始剤、及び必要に応じて無機フィラーが含まれている、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載の複合ハードコート層が付与された物体。
  13. 物体が、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、又は各種表示素子である、請求項9〜12のうちのいずれか1項に記載の複合ハードコート層が付与された物体。
  14. ハードコート処理すべき対象物体表面に、活性エネルギー線硬化性化合物を含むハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成し、
    ハードコート剤組成物層表面上に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料を塗布して表面材料層を形成し、
    形成されたハードコート剤組成物層及び表面材料層に紫外線を照射して、前記両層を同時に硬化させ、対象物体表面に接するハードコート層とハードコート層表面に接する含フッ素表面層とを形成することを含む、対象物体表面にハードコート層と含フッ素表面層とを含む複合ハードコート層を形成する方法。
  15. 対象物体表面にハードコート剤組成物を塗布してハードコート剤組成物層を形成した後、ハードコート剤組成物層を乾燥して、ハードコート剤組成物中に含まれていた溶剤をハードコート剤組成物層から除去し、その後、ハードコート剤組成物層表面上に表面層用材料を塗布して表面材料層を形成する、請求項14に記載の複合ハードコート層の形成方法。
  16. 表面層用材料を塗布するに際して、溶剤として、すでに形成されているハードコート剤組成物層中の活性エネルギー線硬化性化合物を実質的に溶解しない溶剤を用いる、請求項14又は15に記載の複合ハードコート層の形成方法。
  17. 紫外線の照射を、酸素濃度500容積ppm以下の雰囲気中で行う、請求項14〜16のうちのいずれか1項に記載の複合ハードコート層の形成方法。
  18. 物体表面に、フッ素含有(メタ)アクリレート化合物と、光開始剤として請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のフッ素含有アセトフェノン誘導体とを含む表面層用材料の硬化物からなる含フッ素表面層が付与された物体。
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