JP2004292298A - 二酸化炭素の分離回収方法および装置 - Google Patents

二酸化炭素の分離回収方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大規模二酸化炭素発生源から排出される二酸化炭素を、コンパクトな設備で効率的かつ安価に分離回収する技術を提供する。
【解決手段】製鉄所で発生する副生ガスなどから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素(以下、単にCOとも略記する。)を分離回収する方法および装置に関するものである。詳しくは、化学吸収法を用いてCOを分離回収する際、複数のCO(発生)源から供給されるCO含有ガスからCOの吸収を終えた吸収媒体をまとめて1箇所で再生して設備効率を高めたり、CO(発生)源と異なる場所にある排熱を利用することを可能とするCOの分離回収方法および装置に関するものである。更には大規模CO発生源を持つ製鉄所において、排熱として熱回収にしても回収利用の難しいとされる低品位(低温)の排熱を利用または活用した、副生ガス(未燃ガス)、その燃焼排ガスまたはその改質プロセスガス等のCO含有ガスからのCOの分離回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化問題に対して、製造段階や利用段階における省エネルギーの推進、太陽光、風力、バイオマス等新エネルギーの活用、天然ガス等低環境負荷燃料への転換を中心として強力に推進されている。
【0003】
一方、発生してしまった地球温暖化ガス(二酸化炭素)を分離回収して隔離、固定化しようとする研究も鋭意推進されている。例えば、火力発電所の燃焼廃ガスから、化学吸収法を用いて二酸化炭素を分離回収する方法が提案されており(例えば、非特許文献1参照)、これによれば、条件にもよるが二酸化炭素の分離回収率90%が達成できるとしている。
【0004】
【非特許文献1】
清原正高、「発電用ボイラー排ガスからのCO回収試験」、エネルギー・資源、エネルギー・資源学会、1993年、第14巻、第1号、p.91−97
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした火力発電所の燃焼排ガス(発電用ボイラー排ガス)から化学吸収法で二酸化炭素を分離回収する場合、火力発電所の燃焼排ガス中に含まれている二酸化炭素濃度が数〜十数体積%と低く、化学吸収法に用いる設備が大規模なものとなっていた。また、化学吸収法で二酸化炭素を分離回収する際、熱エネルギーがランニングコストの支配要因となっている。しかしながら、発電という単一プロセスの為に最適化された火力発電所では、化学吸収法に活用できるような排熱はなく、新たに熱エネルギー発生設備を設けるか、もしくは発電用に用いている蒸気を活用することで発電効率を下げる方法を取らざるを得なかった。
【0006】
その一方で、分離回収された二酸化炭素を地中や海洋中に隔離する場合、経済上のメリットはなく(単純なコスト増)、化学原料などへ有効活用しようとしても、国内マーケットは小さくかつ需要を概ね満たしており、経済面での牽引力が働かないといった構造上の問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、大規模二酸化炭素発生源の1つである製鉄所から排出される二酸化炭素を、火力発電所と比較して小規模な設備で効率的かつ安価に分離回収する技術を提供するものである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって、効率的かつ安価に二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する技術を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく、大規模二酸化炭素発生源から排出される二酸化炭素を分離回収する技術につき、鋭意検討した結果、大規模二酸化炭素発生源である製鉄所で発生する高炉ガス等の副生ガス(未燃ガス)は、化石燃料を空気燃焼した燃焼排ガスと異なり、二酸化炭素の比率(濃度)が二十数%〜三十数%と高い。そのため、化学吸収を用いて二酸化炭素を分離回収する場合、火力発電所と比較して同量の二酸化炭素を分離回収するための設備を格段に小型化することができることを知得した。また、製鉄所は、高炉、転炉、焼結、コークス炉、加熱炉、鋳造、圧延など数多くのプロセスから成り立ってきており、既に省エネルギーの為の様々な改善が進んでおり、製鉄プロセスには活用の余地がない低品位熱エネルギーしか残されていないと考えられていたが、これを運転コストの支配的要因になっている化学吸収液の加熱に利用または活用すると化学吸収法のランニングコストを大幅に低減できることも知得した。更に、上記副生ガスは、製鉄プロセスの中で燃料ガスとして使用されているが、その途中で二酸化炭素を抽出することで、当ガスのエネルギー密度を上げ、後段のプロセスの熱効率を改善することができることも知得した。更にまた転炉ガス等の副生ガスを製鉄所内で燃焼利用した後の燃焼排ガスでは、三十数%に及ぶ高い比率でCOが含まれており、二酸化炭素を分離回収するための設備を更に小型化することができることをも知得した。これらの知見に基づき、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
さらに、本発明者らが化学吸収法による二酸化炭素分離回収コストを分析してみると、最も大きなコスト要因となっているのは二酸化炭素吸収媒体の再生熱源であり、この効率化が二酸化炭素を効率的かつ安価に分離回収するという目的を達成するにあたって有効であるとの結論に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(22)に記載の二酸化炭素の分離回収方法および装置により達成できる。
【0012】
(1) 製鉄所で発生する副生ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
【0013】
(2) 製鉄所で発生する副生ガスの燃焼排ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
【0014】
(3) 製鉄所で発生する副生ガスから水素を製造するための改質プロセスの中で産生されるプロセスガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
【0015】
(4) 前記化学吸収法に供する前記副生ガス、燃焼排ガスないしプロセスガス中の二酸化炭素濃度が、15体積%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0016】
(5) 前記副生ガスが、高炉ガス、コークス炉ガスおよび転炉ガスの少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0017】
(6) 前記化学吸収液の再生に必要な熱量の全量または一部を、製鉄所で発生する排熱を利用することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0018】
(7) 前記化学吸収液の特性に応じて、化学吸収液の再生のために製鉄所で発生する適当な排熱を多段階に活用することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0019】
(8) 化学吸収液の再生のために、極力製鉄所で発生する排熱を利用または活用すると共に、工場用蒸気を使用することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0020】
(9) 二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する装置であって、
二酸化炭素発生源から供給される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素吸収媒体で二酸化炭素を吸収するための二酸化炭素吸収設備と、
二酸化炭素を吸収した吸収媒体から吸収媒体再生用の熱源を利用して二酸化炭素を分離し吸収媒体を再生するための吸収媒体再生設備と、
二酸化炭素の輸送媒体として両者間を循環する二酸化炭素吸収媒体と、
二酸化炭素吸収媒体の輸送のための送り出し配管と戻り配管とを具備して構成されており、
前記二酸化炭素吸収設備が、二酸化炭素発生源に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備が、二酸化炭素発生源と異なる場所に設置されてなることを特徴とする二酸化炭素の分離回収装置。
【0021】
(10) 前記二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備との距離Aおよび吸収媒体再生設備と吸収媒体再生用の熱源との距離Bと、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離Cとが、A<CかつB<Cの関係式を満足することを特徴とする上記(9)に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0022】
(11) 前記二酸化炭素発生源から二酸化炭素吸収設備に二酸化炭素含有ガスを供給するための配管距離Xと、前記二酸化炭素吸収媒体の送り出し配管距離Yと戻り配管距離Zと、吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備に熱を供給するための配管距離Wとが、2X<(Y+Z)の関係式または(X+W)<(Y+Z)の関係式のうち少なくとも一方の関係式を満足することを特徴とする上記(9)または(10)に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0023】
(12) 前記吸収媒体再生設備が、吸収媒体再生用の熱源に利用されるプロセス排熱源に近接して設置されていることを特徴とする上記(9)〜(11)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0024】
(13) 前記吸収液再生用の熱源の一部または全部として、プロセス排熱を利用することを特徴とする上記(9)〜(12)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0025】
(14) 1つまたは複数の二酸化炭素吸収設備と、1つまたは複数の吸収液再生設備とを具備してなることを特徴とする上記(9)〜(13)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0026】
(15) 吸収液再生用の熱源の一部または全部として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に利用することを特徴とする上記(9)〜(14)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収装置。
【0027】
(16) 二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する方法であって、
二酸化炭素発生源に近接した二酸化炭素吸収設備にて当該二酸化炭素発生源から供給される二酸化炭素含有ガスから、二酸化炭素吸収媒体を用いて二酸化炭素を吸収後、
吸収液再生用の熱源を利用して該二酸化炭素吸収媒体を加熱し二酸化炭素発生源とは異なる場所の吸収液再生設備にて二酸化炭素を分離させることを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
【0028】
(17) 前記二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備との距離Aおよび吸収媒体再生設備と吸収媒体再生用の熱源との距離Bと、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離Cとが、A<CかつB<Cの関係式を満足することを特徴とする上記(16)に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0029】
(18) 前記二酸化炭素発生源から二酸化炭素吸収設備に二酸化炭素含有ガスを供給するための配管距離Xと、前記二酸化炭素吸収媒体の送り出し配管距離Yと戻り配管距離Zと、吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備に熱を供給するための配管距離Wとが、2X<(Y+Z)の関係式または(X+W)<(Y+Z)の関係式のうち少なくとも一方の関係式を満足することを特徴とする上記(16)または(17)に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0030】
(19) 前記吸収媒体再生設備が、吸収媒体再生用の熱源に利用されるプロセス排熱源に近接して設置されていることを特徴とする上記(16)〜(18)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0031】
(20) 吸収液再生用の熱源の一部または全部にプロセス排熱を利用することを特徴とする上記(16)〜(19)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0032】
(21) 1つまたは複数の二酸化炭素吸収設備と、1つまたは複数の吸収液再生設備とを用いることを特徴とする上記(16)〜(20)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0033】
(22) 吸収液再生用の熱源の一部または全部に異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に利用することを特徴とする上記(16)〜(21)のいずれか1つに記載の二酸化炭素の分離回収方法。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、具体的な実施形態(ないし実施例)を挙げて各要件ごと説明するが、本発明がこれらの実施形態に制限されるべきものでないことは言うまでもない。
【0035】
本発明の第1の実施形態は、製鉄所で発生する原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法において、
原料ガスに、製鉄所で発生する副生ガス、該副生ガスの燃焼排ガス及び該副生ガスから水素を製造するための改質プロセスの中で生じるプロセスガスから選ばれてなる少なくとも1種を用い、
当該原料ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とするものである。
【0036】
(本実施形態の分離回収方法が適用可能なプラント)
本実施形態の分離回収方法が適用可能なプラントとしては、高炉、転炉、コークス炉等の副生ガスが発生し、かつ500℃以下の低品位排熱が供給可能な製鉄所であれば、特に制限されるべきものではない。
【0037】
(原料ガス)
また、本実施形態の分離回収方法に用いられる原料ガスとしては、製鉄所で発生する副生ガス(未燃ガス)であればよく、上記製鉄所の構成によっても異なるが高炉一貫製鉄所を例に取れば、高炉ガス(BFG)、コークス炉ガス(COG)、転炉ガス(LDG)が挙げられるほか、COGやLDG等の上記副生ガスを水素製造目的で改質する過程(プロセス)の中で産生されるガス(プロセスガス)も含まれるものとする。これらの副生ガスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合したミックス状態で用いてもよい。また、本実施形態の分離回収方法では、上記副生ガスの燃焼排ガスを原料ガスとして二酸化炭素の分離回収に供してもよい。これら原料ガス(製鉄所で発生する副生ガスないしその燃焼排ガス)は、高品位の排熱として利用可能な場合には、その利用後のものを使用する。化学吸収法による二酸化炭素吸収時の温度条件が常温付近でよいためである。これらの原料ガスは、それぞれ1種単独で二酸化炭素の分離回収に供してもよいし、2種以上を混合して二酸化炭素の分離回収に供してもよい。2種以上の混合形態には、副生ガス同士の混合形態、副生ガスの燃焼排ガス同士の混合形態のほか、副生ガスの燃焼排ガスと副生ガスとの混合形態も含まれるものとする。
【0038】
これら原料ガスのうちBFGは、二酸化炭素比率が二十数%と高く、その他に燃料成分である水素が数%、一酸化炭素が二十数%含まれている。次に、COGは、燃料ガスとして適した水素とメタンを豊富に含んでおり、燃焼後の排ガス(燃焼排ガスともいう)における二酸化炭素濃度は二十数%になる。一方、LDGは、十数%の二酸化炭素と共に七十%前後の一酸化炭素を含んでおり、燃焼後の排ガス(燃焼排ガス)の二酸化炭素濃度は三十数%と非常に高いものとなっている。したがって、原料ガスとして好ましくは、火力発電所の二酸化炭素よりも二酸化炭素比率が高い、BFG、BFGの燃焼排ガス、COGの燃焼排ガス、LDGの燃焼排ガス、およびこれらのガスと他のガスとの混合ガスを用いるのがよい。更に後述するようなCOGやLDGを改質して水素製造を行う過程で産生されるガスも好適に用いることができる。具体的には、これら製鉄所から発生する原料ガス中の二酸化炭素比率(濃度)は、15体積%以上、好ましくは18体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは22体積%以上、特に好ましくは25体積%以上である。これらの二酸化炭素比率が高いガスから化学吸収法等の手段で二酸化炭素を分離回収する場合、火力発電所の二酸化炭素低濃度燃焼排ガス(天然ガス火力発電所で約8%、石炭火力発電所で約12%)を原料ガスとして使用する場合に比べ、設備の規模を大幅に小さくすることが可能なためである(例えば、石炭火力発電所の二酸化炭素低濃度燃焼排ガスに対して、製鉄所のBFGを原料ガスに使用した場合、二酸化炭素を分離回収する化学吸収法の設備費にして3割程度削減可能である。)。
【0039】
(二酸化炭素の分離回収プロセス)
本実施形態の分離回収方法では、原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するものである。これは、地球温暖化対策として大規模二酸化炭素排出源である製鉄所から二酸化炭素を分離回収する場合、100万t/年といった大規模な設備能力が必要となってくる。その場合現在最も開発、普及が進んでいる二酸化炭素の分離回収方法が化学吸収法であることによる。以下、図面を用いて、化学吸収法のプロセス原理を示す。図1は、二酸化炭素を含む原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスの原理図である。
【0040】
図1に示すように、化学吸収法は、アミン類などの化学吸収液を用い、二酸化炭素吸収設備である吸収塔1と呼ばれる反応塔で二酸化炭素を含む原料ガス3と二酸化炭素吸収媒体である化学吸収液5を50℃前後で接触させ、化学吸収液に二酸化炭素を吸収させた後、当液を吸収液再生設備である再生塔7に送り出し配管6を通じて送り、120℃前後に吸収液再生用の熱源である加熱媒体9を用いて加熱し、再生塔7にて化学吸収液から二酸化炭素を分離回収し、再生された化学吸収液は戻り配管8を通じて吸収塔1に戻すことで、化学吸収液は吸収塔1と再生塔7の間を循環して循環利用する方法である。
【0041】
上記化学吸収液には、アミン類などを含有する水溶液を用いることができるなど、従来公知のものを適宜利用することができるものであり、特に制限されるべきものではない。
【0042】
本実施形態の分離回収方法では、上記再生塔での加熱に要する熱エネルギーが、本法の運転コストの支配的要因になっている。そこで、本実施形態の分離回収方法では、吸収液再生用の熱源として、製鉄所で発生する500℃以下、好ましくは400℃以下の低品位排熱を利用または活用するものである。すなわち、本実施形態の分離回収方法では、製鉄プロセスには利用が困難な低品位の熱エネルギー(該低品位の熱エネルギーの中では、できるだけ高温のものを利用または活用するのが望ましい。)を使用又は活用することで、火力発電所のように熱エネルギー発生設備を設けて加熱蒸気(加熱媒体9)を発生させたり、発電用に用いている蒸気を活用しなくてもよい。そのため、化学吸収法による二酸化炭素分離回収コストを大幅に低減できる。また、前述したように原料ガスの二酸化炭素濃度が高いため、設備がコンパクトにできるばかりでなく、設備に必要なユーティリティ(電力や用水)の使用量も削減できるため、運転コストを更に低減することができる。
【0043】
ここで、二酸化炭素を分離させるプロセスに利用または活用する製鉄所で発生する低品位排熱を500℃以下としたのは、500℃を超える排熱は、現在の製鉄所では高品位排熱として使用されており、これを用いる場合には、火力発電所での発電用の蒸気を利用(転用)するのと同様の生産効率の低下をもたらすか、転用分を補うための新たな熱エネルギー発生設備を設ける必要があり、安価に二酸化炭素を分離回収する目的を達成するのが困難となる。ただし、例えば、二酸化炭素を分離させるプロセスに、ほとんどは製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用し、本発明を逃れるために、製鉄プロセス側に影響しない程度に僅かに500℃を超える高品位排熱や燃料の燃焼熱を併用して利用又は活用する場合には、本発明の技術範囲に含まれるものとする。すなわち、本実施形態の分離回収方法では、二酸化炭素を分離させるプロセスに、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱のみしか利用または活用し得ないと狭く解釈されるべきではなく、本発明の目的の範囲を逸脱しない範囲においては、500℃を超える高品位排熱や燃料の燃焼熱の利用もあり得るものである。
【0044】
製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱としては、例えば、焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)、焼結主排気ガス(約280℃)、熱風炉排ガス(約230℃)、焼結主排気ガス(約180℃)、高炉スラグの水砕に用いた排水(約90℃)といった製鉄プロセスには利用が困難な低品位の熱エネルギーを挙げることができるが、これらに制限されるべきものではない。すなわち、現在の製鉄所(製鉄プラント)では、副生ガスのCOGやLDGから水素リッチガスに水蒸気改質するための酸素燃焼併用の水蒸気改質装置などを用いて高純度の水素を回収すると同時に水素回収後の排ガスを製鉄プラント内の転炉等に利用するなど、より高度化・複雑化してきている。したがって、製鉄所(製鉄プラントないしプロセス)に組み込まれた設備を介して発生する低品位排熱に関しても本実施形態の分離回収方法の低品位排熱に含まれるものである。好ましくは、焼結成品クーラーからの排熱温度以下の低品位排熱を利用または活用するのが望ましい。該焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)温度を超えるものは、製鉄所の構成にもよるが、現在のエネルギー回収技術が非常に進んだ製鉄プラントでは、既に高品位熱源として有効利用されているためである。なお、具体的な温度(数値)を規定しなかったのは、焼結成品クーラーでの設定条件や、焼結成品クーラーからの排熱を化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセス(ないし設備)まで運ぶ距離や外気温等の変化により、該化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセスで利用または活用に供される際の温度も若干の変動があるためである。より好ましくは、再生塔での化学吸収液の加熱温度(120℃前後)よりもなるべく高い温度の排熱を利用又は活用して蒸気加熱するのが望ましい。これは、化学吸収液と排熱の温度差が大きい程、熱交換に必要な設備を小さくすることが可能であり、しいてはCOの分離回収コストを低減できるからである。
【0045】
また、こうした低品位排熱を「利用または活用する」としたのは、再生塔の加熱に使用する加熱媒体(熱エネルギー)として当該低品位排熱を直接利用してもよいし、加熱媒体(例えば、蒸気など)を所定の温度に加熱保持するのに当該低品位排熱を活用してもよいためである。装置構成が簡便でかつ熱損失が少ない点では前者が望ましく、再生塔の化学吸収液を一定温度に保持する制御のし易さの点では後者が望ましいといえる。また、加熱媒体に低品位排熱を通じる場合には、当該低品位排熱(排水や排ガス)中に含まれる腐食成分や不純物により配管内の腐食や不純物堆積による熱伝達率の低下がないように、これらを除去しておくのが望ましい。
【0046】
また、本実施形態の分離回収方法では、上記低品位の排熱(熱エネルギー)を(単一排熱として)単独で使用または活用してもよいし、2種以上の低品位排熱を併用して使用または活用してもよい。併用する実施態様としては、加熱媒体を所定温度まで加熱する際に、2種以上の低品位排熱を温度の低いものからブーストアップしていってもよい。この際、最後に熱エネルギーが足りなければ、燃料を用いて燃焼してもよい。すなわち、本実施形態の分離回収方法では、必ずしも低品位排熱のみを化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセスに利用または活用する場合に制限されるものではなく、製鉄プラント内で自家消費される以外に、都市ガス用等として販売されている燃料ガスの一部を補助燃料として利用することも可能である。こうした実施形態を図面を用いて簡単に説明する。なお、以下に示す図2〜4では、図1、更には図2〜3と同じ装置等に関しては、同じ符号を付した。
【0047】
先ず、図2は、前記化学吸収液の再生に必要な熱量の全量(または一部)を、製鉄所で発生する排熱を利用した、製鉄所で発生する原料ガス(図2では副生ガスの例を示す)から化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスを模式的に表した図面である。
【0048】
先ず、図2に示す実施形態では、アミン類などの化学吸収液5を用い、吸収塔1で二酸化炭素を含む原料ガスの副生ガス3と化学吸収液5を常温付近(例えば、50℃前後)で接触させ、化学吸収液に二酸化炭素を吸収させた後、当液を再生塔7に送り、所定の再生温度(例えば、120℃前後)に加熱媒体9を用いて加熱する際に、該化学吸収液の再生に必要な熱量の全量を、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱(例えば、焼結成品クーラーからの排熱など)を利用又は活用して、化学吸収液から二酸化炭素11を分離回収する例を示すものである。なお、上記低品位排熱は、上述したように加熱蒸気などの加熱媒体9を加熱するのに活用してもよいし、直接加熱媒体9として利用してもよく、その利用又は活用形態に関しては特に制限されるべきものではない。
【0049】
なお、吸収塔1で化学吸収液5に二酸化炭素を吸収させた後の、二酸化炭素分離後の副生ガス13は、副生ガス配管15に戻され、後段のプロセスに燃料ガスなどとして利用される。また、再生塔7で加熱され二酸化炭素が抽出された化学吸収液は、再生吸収液5’として吸収塔1に戻される。
【0050】
また、本実施形態では、化学吸収液の再生に必要な熱量の全量を、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用又は活用する例を示したが、化学吸収液の再生に必要な熱量の一部を利用する例については、後述する図4で説明する。
【0051】
次に、図3に示す実施形態では、アミン類などの化学吸収液5を用い、吸収塔1で二酸化炭素を含む原料ガスの副生ガス3と化学吸収液5を常温付近(例えば、50℃前後)で接触させ、化学吸収液に二酸化炭素を吸収させた後、当液を再生塔7に送り、所定の再生温度(例えば、120℃前後)に加熱媒体9を用いて加熱する際に、化学吸収液の特性に応じて、化学吸収液の再生のために製鉄所で発生する適当な500℃以下の低品位排熱を多段階に、図3では、3段階として温度の低い排熱からブーストアップしていくものであり、最も温度の低い低品位な排熱(例えば、高炉スラグの水砕に用いた排水(約90℃)等)、次に温度の低い低品位な排熱(例えば、焼結主排気ガス(約280℃)等)、最も温度の高い低品位な排熱(例えば、焼結成品クーラーからの排熱(約350℃)等)を利用又は活用して、化学吸収液から二酸化炭素11を分離回収する例を示すものである。なお、上記3種類の低品位排熱は、上述したように加熱蒸気などの加熱媒体9を加熱するのに、順次活用してもよいし、直接加熱媒体9として順次利用してもよく、その利用又は活用形態に関しては特に制限されるべきものではない。
【0052】
なお、吸収塔1で化学吸収液5に二酸化炭素を吸収させた後の、二酸化炭素分離後の副生ガス13は、副生ガス配管15に戻され、後段のプロセスに燃料ガスなどとして利用される。また、再生塔7で加熱され二酸化炭素が抽出された化学吸収液は、再生吸収液5’として吸収塔1に戻される。
【0053】
本実施形態で、「化学吸収液の特性に応じて」としたのは、使用する化学吸収液の特性により、化学吸収液の再生に必要な熱量等が大きく異なる、使用温度範囲が制約される化学吸収液もあるため、排熱を組み合わせる際に、この点を十分に考慮する必要があるためである。なお、この点は、他の実施形態でも同様に考慮するのが望ましい。
【0054】
更に図4は、化学吸収液の再生のために、製鉄所で発生する排熱を活用すると共に、工場用蒸気を活用して、製鉄所で発生する原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスを模式的に表した図面である。
【0055】
更に図4に示す実施形態では、アミン類などの化学吸収液5を用い、吸収塔1で二酸化炭素を含む原料ガスの副生ガス3と化学吸収液5を常温付近(例えば、50℃前後)で接触させ、化学吸収液に二酸化炭素を吸収させた後、当液を再生塔7に送り、所定の再生温度(例えば、120℃前後)に加熱媒体9を用いて加熱する際に、化学吸収液の再生のために、極力、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱(例えば、焼結成品クーラーからの排熱など)を利用又は活用すると共に、不足分に工場用蒸気等を使用して化学吸収液から二酸化炭素11を分離回収する例を示すものである。本実施形態では、極力製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を使用することで、工場用蒸気の必要量の低減を図ることができるものである。なお、図4では、便宜的に、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱に焼結成品クーラーからの排熱などを1段階で用いる例を示したが、図3に示すように多段階に利用又は活用してもよいことは言うまでもない。なお、上記低品位排熱は、上述したように加熱蒸気などの加熱媒体9を加熱するのに活用してもよいし、直接加熱媒体9として利用してもよく、その利用又は活用形態に関しては特に制限されるべきものではない。また、工場用蒸気等は、直接加熱蒸気(加熱媒体9)として活用してもよいし、加熱媒体9を加熱するのに活用してもよい。
【0056】
なお、吸収塔1で化学吸収液5に二酸化炭素を吸収させた後の、二酸化炭素分離後の副生ガス13は、副生ガス配管15に戻され、後段のプロセスに燃料ガスなどとして利用される。また、再生塔7で加熱され二酸化炭素が抽出された化学吸収液は、再生吸収液5’として吸収塔1に戻される。
【0057】
また、本実施態様で、「極力」としたのは、上記図3に示されるように、利用または活用可能な製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を全て利用した上で尚且つ、化学吸収液の再生に必要な熱量が一部不足する場合も生じ得るためである。そうした場合に工場用蒸気を用いるとしたのは、製鉄所内で現に多く利用されている工場用蒸気の使用(転用)が最も簡便且つ安価に入手可能なためである。ただし、本発明では、かかる工場用蒸気以外の他の排熱等の熱源利用を排除するものではなく、他の排熱等も本発明の目的を損なわない範囲であれば十分に使用することができる。
【0058】
また、本発明では、化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセスに、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用するものであればよく、上述してきた再生塔での加熱に要する熱エネルギーに使用または活用するものだけに何ら制限されるべきものではない。すなわち、運転コストの支配的要因になっている再生塔での加熱に要する熱エネルギーに使用または活用するのが望ましいが、現在最も開発、普及が進んでいる二酸化炭素の分離回収方法である化学吸収法においては、図1に示すようなプロセス原理(装置構成)に制約されるものではない。そのため再生塔での加熱に要する熱エネルギーほどではないが、実際に使用するプロセスでは、他にも熱交換や加熱を要する場合もあり、こうした部分に製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用してもよいといえる。
【0059】
なお、本実施形態の分離回収方法で適用し得る、化学吸収法を用いた二酸化炭素の分離回収プロセスとしては、上述した「製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用する」との要件を満足するものであれば、特に制限されるべきものではない。したがって、他の要件である、二酸化炭素を含む原料ガス(製鉄所で発生する副生ガスやその燃焼排ガス)から化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに用いられる化学吸収液の種類や濃度や液量、該プロセスの装置構成、該プロセスでの温度や圧力等の条件や各種制御方法など、化学吸収法を用いた二酸化炭素の分離回収技術は既に公知であり、また数多くの改良がなされているものであり、こうした改良技術も含めて本実施形態の分離回収方法で適用し得ることはいうまでもないが、これらの技術は多くの公知文献や特許公報に掲載されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0060】
(二酸化炭素抽出後の副生ガスの利用方法)
前述の製鉄所副生ガスは、熱量に違いがあるものの、既に何れも燃料として所内で熱利用されている。この中でBFGから先ず二酸化炭素を抽出しプロセスガスとして再利用する場合、1)ガスタービンの燃料、2)高炉への再注入、3)半還元鋼製造プロセスへの活用といった利用方法がある。
【0061】
上記1)の利用方法では、BFGの熱量が750→1000kcal/Nmと上がり、軽油等の補助燃料を加える必要がなくなる。また、上記2)の利用方法では、高炉に再度注入することで、二酸化炭素がなくなった分、化学的に平衡に達する鉄の還元反応に寄与することができ、還元剤であるコークスの使用量を低減することもできる。また上記3)の利用方法では、従来、天然ガスや石炭を用いて高炉の前段で鉄鉱石の予備還元を行っているプロセスに、当還元性ガスを用いることで、天然ガスや石炭の使用量を削減することができる。このように、二酸化炭素を抽出しプロセスガスとして再利用する場合には、現在の所内での熱利用に比して有用な作用効果を発現し得るものである。これらの作用効果は、従来の化石燃料を空気燃焼した燃焼排ガスから二酸化炭素を抽出し大気放散されていた排ガスでは得られない有用な利用が可能である点で優れている。
【0062】
また、COGやLDGを改質し水素製造を行う場合、その途中で不要となる二酸化炭素を抽出すると、水素製造コストを低減することが可能となる。なお、COGやLDGを燃料として所内で熱利用する場合には、上記BFGから二酸化炭素を抽出しプロセスガスとして再利用する場合と同様の作用効果が得られる。
【0063】
(分離回収した二酸化炭素の使用方法)
分離回収した二酸化炭素は、大量固定化を目的として帯水層や枯渇天然ガス田といった地中もしくは海中へ貯留することが地球環境産業技術研究機構を中心として検討されている。この他に海外を中心としてEOR(石油強制回収法)やECBM(石炭埋蔵メタンガスの強制回収法)への利用も進み始めている。また、水溶性天然ガス田でも天然ガスの強制回収用として二酸化炭素を注入、固定化することも可能である。
【0064】
このうち、大量固定化を目的として帯水層や枯渇天然ガス田といった地中もしくは海中へ貯留するような場合には、当該二酸化炭素は無価値であり、回収コストはでき得る限り安価である方が望ましい。この点において、従来の電力発電所の燃焼排ガスから分離回収した二酸化炭素よりも安価に二酸化炭素を分離回収できる。
【0065】
一方で、一製鉄所当り1万t/年程度の量ではあるが、製鉄所の転炉で底吹き羽口用として二酸化炭素が使用されており、現在市場から購入しているものを、分離回収した二酸化炭素を所内循環利用することで、二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態は、二酸化炭素源から二酸化炭素の分離回収方法および装置に関するものである。
【0067】
このうち、二酸化炭素の分離回収方法装置は、二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する装置であって、二酸化炭素発生源の二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を吸収するための二酸化炭素吸収設備と、二酸化炭素を吸収した吸収媒体から吸収媒体再生用の熱源を利用して二酸化炭素を分離し吸収媒体を再生するための吸収媒体再生設備と、二酸化炭素の輸送媒体として両者間を循環する二酸化炭素吸収媒体と、二酸化炭素吸収媒体の輸送のための送り出し配管と戻り配管とを具備して構成されており、前記二酸化炭素吸収設備が、二酸化炭素発生源に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備が、二酸化炭素発生源と異なる場所に設置されてなることを特徴とするものである。
【0068】
また、二酸化炭素の分離回収方法は、二酸化炭素源から二酸化炭素を分離回収する方法であって、二酸化炭素発生源に近接した二酸化炭素吸収設備にて当該二酸化炭素発生源から供給される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素吸収媒体を用いて二酸化炭素を吸収後、吸収液再生用の熱源を利用して該二酸化炭素吸収媒体を加熱し二酸化炭素吸収設備とは異なる場所の吸収液再生設備にて二酸化炭素を分離させることを特徴とするものである。
【0069】
これら本実施形態の分離回収方法及び装置では、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって、効率的かつ安価に二酸化炭素を分離回収することができるものである。例えば、隣接する火力発電所(二酸化炭素発生源)と製鉄所内の排熱源(吸収液再生熱源)とを組み合わせることにより従来より安価に二酸化炭素の分離を可能とすることができる。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同様の化学吸収法を用いることができるが、これらに何ら制限されるべきものではなく、他の熱を必要とする二酸化炭素の分離回収方法を用いてもよいが、好ましくは化学吸収法であることから、以下では、かかる化学吸収法を中心に説明する。
【0070】
以下、図面を用いて、本実施形態を詳しく説明するが、これらに制限されるものではない。図5〜9は、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。なお、これらの図面においては、同様の装置等の構成要件に関しては、同様の符号を付しており、図6以降では、重複を避けるためその説明を省略している場合もある。
【0071】
図5に示すように、本実施形態のCO発生源からCOを分離回収する装置50は、CO発生源53から配管を通じて供給されるCO含有ガスからCO吸収媒体57によりCOを吸収するためのCO吸収設備53と、COを吸収したCO吸収媒体55から吸収媒体再生用の熱源63を利用してCOを分離しCO吸収媒体を再生するための吸収媒体再生設備61と、COの輸送媒体としてCO吸収設備53及びCO吸収設備53間を循環するCO吸収媒体57と、CO吸収媒体57の輸送のための送り出し配管59と戻り配管65とを具備して構成されており、前記CO吸収設備55が、CO発生源53に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備61が、CO発生源53と異なる場所に設置されている。
【0072】
したがって、上記装置51を用いた、本実施形態のCO発生源からCOを分離回収する方法は、CO発生源に近接したCO吸収設備55にて当該CO発生源53から供給されるCO含有ガスから、COの輸送媒体57としてCO吸収設備55と吸収液再生設備61との間を循環するCO吸収媒体57を用いてCOを吸収後、CO吸収媒体57の輸送のための送り出し配管59にて吸収液再生設備61に送出し、吸収液再生用の熱源63を利用して該CO吸収媒体57を加熱しCO発生源とは異なる場所の吸収液再生設備61にてCOを分離させCO吸収媒体57の輸送のための戻り配管65にてCO吸収設備55に戻すことで循環させるものである。
【0073】
(本実施形態の分離回収方法が適用可能なプラント)
本実施形態の分離回収方法及び装置を適用することのできるプラントとしては、大規模CO発生源を持つ製鉄所、火力発電所、セメント製造所などが挙げられるが、これらに制限されるべきものではない。本実施形態では、第1の実施形態で説明した製鉄所以外の大規模CO発生源を持つプラントにも適用し得るものである。例えば、異なる場所にある二酸化炭素発生源(例えば、火力発電所の)と吸収液再生熱源(火力発電所に隣接する他のプラントで発生する排熱)を組み合わせることによって効率的かつ安価に提供し得るものである。
【0074】
(二酸化炭素発生源)
本実施形態でいう二酸化炭素発生源としては、第1の実施形態と同様に、上記プラント内で二酸化炭素を発生する設備および該設備から次工程に二酸化炭素含有ガスを輸送する配管などがこれに該当する。また、次工程に輸送することなく排出する場合には、該排出設備(煙突など)も二酸化炭素発生源に含まれるものとする。上記二酸化炭素を発生する設備としては、例えば、高炉一貫製鉄所を例に取れば、高炉、コークス炉、転炉などが該当し、セメント製造所では、例えば、セメントキルンなどが該当するが、これらに何ら制限されるべきものではない。また、配管としては、例えば、高炉一貫製鉄所を例に取れば、高炉ガス(BFG)配管、コークス炉ガス(COG)配管、転炉ガス(LDG)配管などが該当するが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0075】
(二酸化炭素含有ガス(原料ガス))
また、本実施形態でいう二酸化炭素含有ガスとしては、二酸化炭素発生源で発生する二酸化炭素含有ガスであればよく、例えば、上記製鉄所の場合、その構成によっても異なるが高炉一貫製鉄所を例に取れば、高炉ガス(BFG)、コークス炉ガス(COG)、転炉ガス(LDG)などの副生ガス(未燃ガス)が挙げられるほか、COGやLDG等の上記副生ガスを水素製造目的で改質する過程(プロセス)の中で産生されるガス(プロセスガス)も含まれるものとする。また、本実施形態では、上記副生ガスの燃焼排ガスを二酸化炭素含有ガス(原料ガス)としてもよい。また、セメント製造所では、例えば、サスペンションプレヒーター出口ガス、電気集塵器出口ガスなどが該当し、火力発電所では燃焼排ガスなどが該当するが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0076】
これら原料ガス(二酸化炭素発生源で発生する副生ガスや燃焼排ガス)は、高品位の排熱として利用可能な場合には、その利用後のものを使用するのが望ましい。二酸化炭素吸収時の温度条件が常温付近でよいためである。これらの原料ガスは、それぞれ1種単独で二酸化炭素の分離回収に供してもよいし、2種以上を混合してもよい。2種以上の混合形態には、副生ガス同士の混合形態、副生ガスの燃焼排ガス同士の混合形態のほか、副生ガスの燃焼排ガスと副生ガスとの混合形態も含まれるものとする。すなわち、本実施形態では、複数の二酸化炭素発生源に近接して複数の二酸化炭素吸収設備を設け、複数の原料ガスを取り扱うことができる。
【0077】
これら原料ガスのうち、BFG、COG、LDGのCO濃度等に関しては、第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。また、セメント製造所で発生するサスペンションプレヒーター出口ガスのCO濃度は、約14体積%であり、電気集塵器出口ガスのCO濃度は約9体積%である。更に火力発電所で発生する燃焼排ガスのCO濃度は、数〜十数体積%である。本実施形態では、これらのいずれの原料ガスに対しても好適に利用することができる。原料ガスとして好ましくは、二酸化炭素濃度の高い原料ガスが望ましく、BFG、BFGの燃焼排ガス、COGの燃焼排ガス、LDGの燃焼排ガス、およびこれらのガスと他のガスとの混合ガスを用いるのがよいといえる。更に後述するようなCOGやLDGを改質して水素製造を行う過程で産生されるガスも好適に用いることができる。これらの二酸化炭素濃度の高い原料ガスから化学吸収法等の手段で二酸化炭素を分離回収する場合には、第1の実施形態で説明したと同様の作用効果が得られるためである。
【0078】
上記CO吸収媒体は、第1の実施形態で説明した化学吸収液と同様のものを用いることができるものであり、特に制限されるべきものではない。
【0079】
また、二酸化炭素を吸収するための二酸化炭素吸収設備としては、第1の実施形態で説明した吸収塔と同様のものを用いることができるものであるが、これらに特に制限されるべきものではない。
【0080】
また、二酸化炭素を吸収した吸収媒体から吸収媒体再生用の熱源を利用して二酸化炭素を分離し吸収媒体を再生するための吸収媒体再生設備としては、第1の実施形態で説明した再生塔と同様のものを用いることができるものであるが、これらに特に制限されるべきものではない。
【0081】
更に、送り出し配管及び戻り配管は、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との間を循環する二酸化炭素吸収媒体の輸送のために、両者間に設置されているものである。
【0082】
更に、吸収媒体再生用の熱源としては、プロセス排熱を用いるのが望ましい。具体的には、製鉄プロセスで発生する排熱やセメント製造プロセスで発生する排熱であり、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下の低品位排熱であるがこれらに制限されるべきものではない。このうち製鉄プロセスで発生する排熱に関しては、第1の実施形態で説明したと同様であるので、ここでの説明は省略する。またセメント製造プロセスで発生する排熱としては、例えば、サスペンションプレヒーターの排ガス(約380℃)、クリンカクーラー排ガス(約350℃)、電気集塵器出口排ガス(約200℃)が挙げられるが、これらに制限されるべきものではない。また、本実施形態でも、吸収媒体再生用の熱源としてや燃料の燃焼熱を一部に利用又は活用する場合にも本発明の技術範囲に含まれるものとする。
【0083】
よって、吸収媒体再生用の熱源としては、製鉄プロセスでは、例えば、焼結成品クーラー、熱風炉、高炉水砕スラグ冷却装置、焼結炉などが挙げられ(後述する具体例1〜5参照のこと)、セメント製造プロセスでは、サスペンションプレヒーター、クリンカクーラー、電気集塵器などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0084】
すなわち、本実施形態では、図6に示すように、前記吸収液再生用の熱源(の一部または全部)として、プロセス排熱63aを用いるのが望ましい。これは、第1の実施形態で説明したように製鉄所やセメント製造所で利用が困難な低品位の熱エネルギー(該低品位の熱エネルギーの中では、できるだけ高温のものを利用または活用するのが望ましい。)を使用又は活用することで、二酸化炭素の分離回収コストを大幅に低減できるためである。また、吸収液再生用の熱源として500℃以下の低品位排熱が望ましいとしたのは、第1の実施形態で説明したのと同様の理由による。
【0085】
また、本実施形態では、吸収媒体再生用の熱源として、一つの熱源を単独で使用または活用してもよいし、2種以上の熱源を併用して使用または活用してもよい。併用する実施態様としては、加熱媒体を所定温度まで加熱する際に、例えば、2種以上の排熱を温度の低いものからブーストアップしていってもよい。この際、最後に熱エネルギーが足りなければ、燃料を用いて燃焼してもよい。すなわち、本実施形態では、必ずしもプロセス排熱のみを化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するプロセスに利用または活用する場合に制限されるものではなく、例えば、製鉄プラント内で自家消費される以外に、都市ガス用等として販売されている燃料ガスの一部を補助燃料として利用することなども可能である。こうした例は、第1の実施形態の図2〜4で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0086】
次に、本実施形態では、前記二酸化炭素吸収設備が、前記二酸化炭素発生源に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備が、前記二酸化炭素発生源と異なる場所に設置されてなることを特徴とするものである。本発明では、吸収媒体として化学吸収液を用いるため、配管距離が長くなっても該媒体を送る動力は、原料ガス(気体)に比べて圧倒的に少なくてよい。一方、二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備とを近接することなく異なる場所に設けた場合(離した場合)には、原料ガスをCO吸収設備に供給するための原料ガス供給配管距離が長くなり、該輸送媒体であるガスを送る動力は液体に比べて圧倒的に大きくなる。また、吸収媒体再生設備の設置場所が、二酸化炭素発生源と異なる場所とは、具体的には、吸収媒体再生用の熱源の近傍であることが望ましい。これは吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備に熱媒(プロセス廃ガスや燃焼ガスなど)を配管を通じて引き回す配管距離が長くなることで、熱媒輸送中に温度が低下し熱効率が低下するのを防止するためである。
【0087】
すなわち、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収媒体再生熱源を組み合わせる際に、二酸化炭素発生源に二酸化炭素吸収設備を近接することで、吸収媒体(吸収液)に比して大きな輸送動力を要する原料ガスの配管を引き回す距離を短くし、吸収媒体(吸収液)を異なる場所の二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との間で引き回す方が効率的かつ安価に二酸化炭素を分離回収することができる。また、異なる場所にある吸収媒体再生熱源に吸収媒体再生設備を近接する方が、二酸化炭素発生源に吸収媒体再生設備を近接し、異なる場所にある吸収媒体再生用の熱源から熱媒を輸送するよりも、再生用熱源の熱媒を配管を通じて引き回す距離が大幅に短くできる。そのため、熱源の温度が下がるのを抑制することができ、効率的かつ安価に二酸化炭素を分離回収することができる。
【0088】
具体的には、前記二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備との距離Aおよび吸収媒体再生設備と吸収媒体再生用の熱源との距離Bと、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離Cとが、A<CかつB<Cの関係式を満足することが望ましい(例えば、図10〜14参照のこと)。ここで、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備とが1対1の関係にある場合には、上記の通りであるが、1対多、多対1、多対多の場合には、個々の二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との間で、上記関係を全て満足するのが望ましい。また、吸収媒体再生用の熱源として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に設けているような場合には、吸収媒体再生設備と温度レベルの最も高い熱源との距離をBとする(例えば、図12、14参照のこと)。
【0089】
より具体的には、前記二酸化炭素発生源から二酸化炭素吸収設備に二酸化炭素含有ガスを供給するための配管距離Xと、前記二酸化炭素吸収媒体の送り出し配管距離Yと戻り配管距離Zとが、2X<(Y+Z)の関係式を満足することが望ましく、更には吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備まで熱(例えば、プロセス排ガスや燃料の燃焼排ガス)を供給するための配管距離Wとすると、(X+W)<(Y+Z)の関係式を満足することがより望ましい。この場合にも、吸収媒体再生用の熱源として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に設けているような場合には、吸収媒体再生設備と温度レベルの最も高い熱源との間の配管距離をWとする(例えば、図12、14参照のこと)。
【0090】
また、本実施形態では、1つまたは複数の二酸化炭素吸収設備と、1つまたは複数の吸収液再生設備とを具備してもよい。例えば、二酸化炭素発生源が複数ある場合、これらに近接してそれぞれ二酸化炭素吸収設備を設置してもよい。同様に、吸収媒体再生用の熱源として利用可能なプロセス排熱が複数箇所に分かれてあるような場合には、これらに近接してそれぞれ吸収媒体再生設備を設置してもよい。すなわち、二酸化炭素吸収設備と吸収液再生設備とは、1対1、多対1、1対多、多対多の関係のいずれもとり得るが、吸収液再生設備については、吸収媒体再生用の熱源の熱量に併せて集約するのが設備費やランニングコストの点で望ましい。
【0091】
例えば、多対1の例として図7に示すように、2つの二酸化炭素発生源53a、53bの夫々に近接して2つの二酸化炭素吸収設備55a、55bが設けられており、それぞれの独立して送り出し配管59aと戻り配管65a、並びに送り出し配管59bと戻り配管65bとが、これとは異なる場所、具体的には再生熱源63に近接して設置された1つの吸収液再生設備63との間に設けられている。図7では、送り出し配管と戻り配管が2系統独立して形成した例を示しているが、2系統の配管を途中で1系統に統合して1つの吸収液再生設備63に吸収媒体57を輸送し、2つの二酸化炭素吸収設備55a、55bに戻す際に再び2系統に分配するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0092】
また、二酸化炭素吸収設備と吸収液再生設備のいずれかが複数設けられている場合、例えば、多対多の例として図8に示すように、3つの二酸化炭素発生源53a〜53cの夫々に近接して二酸化炭素吸収設備55a〜55cが、これとは異なる場所、具体的には再生熱源63a、63bの夫々に近接して吸収媒体再生設備61a、61bが設置されている。この場合の両者間に設置される送り出し配管及び戻り配管としては、3つの二酸化炭素吸収設備55a〜55c側に連結された3つの送り出し配管59a〜59c同士及び戻り配管65a〜65c同士を途中で統合させ、再分配することで、2つの送り出し配管59d〜59e及び戻り配管65d〜65eとして各吸収媒体再生設備61a〜61bに連結するようにしてもよい。
【0093】
こうした場合、3つの二酸化炭素吸収設備に要求されるCO吸収能力、例えば、各二酸化炭素吸収設備で取り扱う原料ガス量や該ガス中のCO濃度がそれぞれ異なる場合には、対応する吸収媒体量を供給することができるように送り出し配管59a〜59c及び戻り配管65a〜65cの配管径(面積)や輸送ポンプなどの輸送能力を調整すればよい。具体的には、各二酸化炭素吸収設備55a:55b:55cの二酸化炭素吸収量が5:3:2となる場合には、例えば、送り出し配管59a:59b:59c(戻り配管65a:65b:65c)の配管面積ないし輸送能力も5:3:2となるようにすればよい。同様に、2つの吸収媒体再生設備での再生能力、例えば、各吸収媒体再生設備で利用される吸収媒体再生用の熱源等が異なる場合には、対応する吸収媒体量を供給することができるように配管径(面積)や輸送能力を調整すればよい。具体的には、各吸収媒体再生設備61a:61に供給される吸収媒体再生用の熱源量が6:4となる場合には、例えば、送り出し配管59d:59e(戻り配管65d:65e)の配管面積ないし輸送能力も6:4となるようにすればよい。
【0094】
また、本実施例では、吸収液再生用の熱源(の一部または全部)として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に設けてもよい。これは第1の実施形態で説明したのと同様である(図3参照のこと。)。なお、第1の実施形態および本実施形態のいずれにおいても、吸収液再生用の熱源を利用して吸収媒体を加熱する箇所は、直接吸収媒体再生設備内の吸収媒体に制限されるものではなく、送り出し配管および吸収媒体再生設備に異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に設けることで、吸収媒体を加熱し得るように設置してもよい。この際には、図9に示すように、温度の低いプロセス排熱からブーストアップしていくことが望ましい。言い換えれば、これらの再生用の熱源として利用可能な熱源が複数箇所に点在する場合には、図9に示すように、送り出し配管をこれら熱源の近傍を通るように引き回して、再生用熱源として利用すればよい。この際に、温度の低いプロセス排熱からブーストアップしていけばよく、温度の低い熱源であるプロセス排熱63a(熱源温度T)からより高い温度の熱源であるプロセス排熱63b(熱源温度T)の順にその近傍を送り配管が通過するように配置する。さらに、最も温度の高い熱源であるプロセス排熱63c(熱源温度T)の近傍に吸収媒体再生設備61を設置する。ここで、T<T<Tである。これにより、送り配管59内を吸収液が通過する過程で該吸収媒体が徐々に高温に予熱されて吸収媒体再生設備61に送られ、ここで再生に必要な熱量が与えられて二酸化炭素の分離がなされる。なお、送り配管内を通過する吸収媒体は、通常液体であるが、上記のように送り配管を熱源を利用して加熱する場合には、一部気化したり、該吸収媒体から二酸化炭素ガスが分離した気体を含む状態で輸送され得る場合もあるが、輸送動力の低減の観点からは、送り配管の加熱に用いる熱源としては、吸収媒体が気化したり二酸化炭素が分離しない程度の温度を持つものが望ましい。言い換えれば、吸収媒体としては、気体単独よりも密度の高いものが望ましく、特に液体である。輸送動力に重大な影響を与えない範囲内であれば、液体の一部に固体や気体をガスを有するものであってもよい。
【0095】
また、第1の実施形態および本実施形態のいずれにおいても、戻り配管に冷熱源を利用して戻り配管内の吸収媒体を冷却してもよい。すなわち、戻り配管内の吸収媒体は、二酸化炭素吸収設備に戻されるまでに、より低温に冷やされているのが二酸化炭素の吸収効率がよいため望ましい。そこで、通常は、第1の実施形態の図1〜4に示すように、送り出し配管内の吸収媒体との間で熱交換を行って冷却されているが、さらに、製鉄所等の大規模プラントでは、冷熱源が豊富に使用されているケースもあり、一部を利用可能な場合もあるためである。ただし、本発明では、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離が異なる場所(離れた場所)にあるため、自然放冷により外気温付近まで冷まされている。したがって、夏季など、外気温が高い場合に、上記冷熱源を利用するのが特に有効といる。
【0096】
以上が本実施形態の説明であるが、以下に具体例を図面を用いて簡単に説明するが、本発明がこれらに何ら制限されるべきものでないことは言うまでもない。図10〜13は、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための具体例を模式的に表した装置(プロセス)図である。なお、これらの図面においては、同様の装置等の構成要件に関しては、同様の符号を付しており、図11以降では、重複を避けるためその説明を省略している場合もある。
【0097】
(具体例1)
図10に示すCO分離回収装置100は、
CO発生源であるBFG本管93から配管94を通じて供給されるCO含有ガスであるBFG(CO濃度20〜25体積%)からCO吸収媒体97によりCOを吸収するためのCO吸収設備(単に吸収塔ともいう)95と、
COを吸収した吸収媒体97から吸収媒体再生用の熱源である焼結クーラー排熱(250〜350℃)を利用してCOを分離し吸収媒体97を再生するための吸収媒体再生設備(再生塔)101と、
COの輸送媒体として吸収塔95及び再生塔101間を循環する吸収媒体97と、
吸収媒体97の輸送のための送り出し配管99と戻り配管105とを具備して構成されており、
前記吸収塔95がBFG本管93に近接して設置されており、前記再生塔101がBFG本管93と異なる場所、詳しくは吸収媒体再生用の熱源である焼結クーラー103aに近接して設置されている。
【0098】
したがって、上記装置100を用いたCO分離回収方法は、BFG本管93に近接した吸収塔95にてBFG本管93から供給されるBFGから、COの輸送媒体として吸収塔95と再生塔101との間を循環する吸収媒体97を用いてCOを吸収後、
吸収媒体97の輸送のための送り出し配管99にて再生塔101に送出し、焼結クーラー排熱を利用して該吸収媒体97を加熱しBFG本管93とは異なる場所の再生塔101にてCOを分離させ吸収媒体97の輸送のための戻り配管105にて吸収塔95に戻して循環利用される。
【0099】
ここで、BFG本管93から吸収塔95にBFGを供給するための配管94の距離X=BFG本管93と吸収塔95との距離Aであり、焼結クーラー103aから再生塔101まで焼結クーラー排熱を供給するための配管96の距離W=焼結クーラー103aと吸収塔95との距離Bであり、送り出し配管99の距離Y=戻り配管105の距離Z=吸収塔95と再生塔101との距離Cとなっており、これらの関係は2X<(Y+Z)、(X+W)<(Y+Z)、及びA<CかつB<Cの何れも満足するように構成されている。
【0100】
なお、高炉で発生したBFGはBFG本管を通じて製鉄所内の自家発電所や隣接する火力発電所に燃料ガスとして供給されるものであり、ここでは、BFG本管にバルブを設け、BFGの一部または全部をCO分離回収装置100を通じて二酸化炭素の除去し燃焼効率の高い燃料として自家発電所や火力発電所に供給することができる点で有利である(この点は第1の実施形態で説明したと同様の効果が得られる)。
【0101】
(具体例2)
図11に示すCO分離回収装置110は、吸収媒体再生用の熱源として熱風炉排ガス(150〜300℃)(の一部または全部)を利用するものであり、再生塔101が吸収媒体再生用の熱源である熱風炉103bに近接して設置されている点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100と同様の構成である。
【0102】
したがって、上記装置110を用いたCO分離回収方法では、熱風炉排ガスを利用して吸収媒体97を加熱する点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100を用いたCO分離回収方法と同様である。
【0103】
ここで、配管94の距離X=BFG本管93と吸収塔95との距離Aであり、熱風炉103bから再生塔101まで熱風炉排ガスを供給するための配管96の距離W=熱風炉103bと吸収塔95との距離Bであり、送り出し配管99の距離Y=戻り配管105の距離Z=吸収塔95と再生塔101との距離Cとなっており、これらの関係は2X<(Y+Z)、(X+W)<(Y+Z)、及びA<CかつB<Cの何れも満足するように構成されている。
【0104】
(具体例3)
図12に示すCO分離回収装置120は、吸収液再生用の熱源の一部または全部として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階(2段階)に設けている例であり、吸収媒体再生用の熱源のうち温度レベルの高い熱源として熱風炉排ガス(150〜300℃)(の一部または全部)を、また温度レベルの低い熱源として高炉水砕スラグ排水(60〜90℃)を利用し、再生塔101が吸収媒体再生用の熱源である熱風炉103bに近接して設置されており、送り出し配管99が高炉水砕スラグ冷却装置103cに近接する位置を通るように配置されている点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100と同様の構成である。
【0105】
したがって、上記装置120を用いたCO分離回収方法では、まず、高炉水砕スラグ排水を利用して送り出し配管99内の吸収媒体97を加熱(予熱)した後、熱風炉排ガスを利用して吸収媒体97を加熱する点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100を用いたCO分離回収方法と同様である。
【0106】
ここで、配管94の距離X=BFG本管93と吸収塔95との距離Aであり、熱風炉103bから再生塔101まで熱風炉排ガスを供給するための配管96の距離W=熱風炉103bと吸収塔95との距離Bであり、送り出し配管99の距離Y=戻り配管105の距離Z=吸収塔95と再生塔101との距離Cとなっており、これらの関係は2X<(Y+Z)、(X+W)<(Y+Z)、及びA<CかつB<Cの何れも満足するように構成されている。
【0107】
(具体例4)
図13に示すCO分離回収装置130は、CO発生源である製鉄所内の自家発電所(共同火力発電所)93aから配管94aを通じてCO含有ガスである燃焼排ガス(CO濃度8〜20体積%)が吸収塔95に供給される構成である点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100と同様の構成である。
【0108】
したがって、上記装置130を用いたCO分離回収方法では、製鉄所内の自家発電所93aに近接した吸収塔95にて、該自家発電所93aから供給される燃焼排ガスから吸収媒体97を用いてCOを吸収する点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100を用いたCO分離回収方法と同様である。
【0109】
ここで、配管94aの距離X=自家発電所93aと吸収塔95との距離Aであり、焼結クーラー103aから再生塔101まで焼結クーラー排熱を供給するための配管96の距離W=焼結クーラー103aと吸収塔95との距離Bであり、送り出し配管99の距離Y=戻り配管105の距離Z=吸収塔95と再生塔101との距離Cとなっており、これらの関係は2X<(Y+Z)、(X+W)<(Y+Z)、及びA<CかつB<Cの何れも満足するように構成されている。
【0110】
なお、製鉄所内の自家発電所では、BFGまたは先の図10〜12のCO分離回収装置を用いて二酸化炭素が除去されたBFGと、重油を燃料として、火力発電を行うことができる。上記燃焼排ガスのCO濃度8〜20体積%は、通常のBFGと重油を用いたときの例である。
【0111】
(具体例5)
図14に示すCO分離回収装置140は、CO発生源である(製鉄所に隣接する)火力発電所93bから配管94bを通じてCO含有ガスである燃焼排ガス(CO濃度8〜15体積%)が吸収塔95に供給される構成であり、
さらに吸収液再生用の熱源として、異なる温度レベルの製鉄所のプロセス排熱を多段階(3段階)に設けている例であり、吸収媒体再生用の熱源のうち温度レベルの最も高い熱源として焼結クーラー排熱(250〜350℃)を、次に温度レベルの高い熱源として熱風炉排ガス(150〜300℃)(の一部または全部)を、また温度レベルのより低い熱源として高炉水砕スラグ冷却水(60〜90℃)を利用し、再生塔101が火力発電所93bと異なる場所、詳しくは吸収媒体再生用の熱源である焼結クーラー103aに近接して設置されており、送り出し配管99が高炉水砕スラグ冷却装置103cおよび熱風炉103bに近接する位置を通るように配置されている点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100と同様の構成である。
【0112】
したがって、上記装置140を用いたCO分離回収方法では、製鉄所に隣接する火力発電所93bに近接した吸収塔95にて、該火力発電所93bから供給される燃焼排ガスから吸収媒体97を用いてCOを吸収し、さらに温度の低いプロセス排熱からブーストアップして利用すべく、高炉水砕スラグ排水、続いて熱風炉排ガスを利用して送り出し配管99内の吸収媒体97を加熱(予熱)した後、焼結クーラー排熱を利用して吸収媒体97を加熱する点を除いて、図10に示すCO分離回収装置100を用いたCO分離回収方法と同様である。
【0113】
ここで、配管94bの距離X=火力発電所93bと吸収塔95との距離Aであり、焼結クーラー103aから再生塔101まで焼結クーラー排熱を供給するための配管96の距離W=焼結クーラー103aと吸収塔95との距離Bであり、送り出し配管99の距離Y=戻り配管105の距離Z=吸収塔95と再生塔101との距離Cとなっており、これらの関係は2X<(Y+Z)、(X+W)<(Y+Z)、及びA<CかつB<Cの何れも満足するように構成されている。
【0114】
なお、本実施形態で適用し得る、化学吸収法を用いた二酸化炭素の分離回収プロセス(装置及び方法)としては、上述した「二酸化炭素吸収設備が、二酸化炭素発生源に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備が、二酸化炭素発生源と異なる場所に設置されてなる」との要件を満足するものであれば、特に制限されるべきものではない。したがって、他の要件である、二酸化炭素を含む原料ガス(製鉄所で発生する副生ガスやその燃焼排ガス)から化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに用いられる化学吸収液の種類や濃度や液量、該プロセスの装置構成、該プロセスでの温度や圧力等の条件や各種制御方法など、化学吸収法を用いた二酸化炭素の分離回収技術は既に公知であり、また数多くの改良がなされているものであり、こうした改良技術も含めて本実施形態の分離回収プロセスで適用し得ることはいうまでもないが、これらの技術は多くの公知文献や特許公報に掲載されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0115】
(二酸化炭素抽出後の副生ガスの利用方法)
これに関しては、第1の実施形態で説明したと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0116】
(二酸化炭素抽出後の原料ガスの利用方法)
主に、製鉄所以外のセメント製造所や火力発電所では、二酸化炭素抽出後の原料ガスとしては、製鉄所での副生ガスと同様に利用できるものに関しては、同じように利用すればよいし、利用することができなければ、利用することなく排気することになる(図13、14参照のこと)。
【0117】
(分離回収した二酸化炭素の使用方法)
これに関しては、第1の実施形態で説明したと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0118】
【発明の効果】
本発明の第1の実施形態により、次の効果が得られる。
【0119】
1)火力発電所の燃焼排ガスに比して二酸化炭素比率が高い製鉄所の副生ガス(未燃ガス)から二酸化炭素を化学吸収法で分離回収することにより、分離回収設備をコンパクトにできる。使用する原料ガスにもよるが、例えば、石炭火力発電所の二酸化炭素低濃度燃焼排ガスに対して、製鉄所のBFGを原料ガスに使用した場合、設備費で3割以上削減可能である。
【0120】
2)製鉄所にある0〜500℃、好ましくは350℃以下の低品位エネルギーを利用又は活用することにより、化学吸収法による二酸化炭素分離回収のランニングコストを低減することができる。具体的には、化学吸収法に用いる再生塔での化学吸収液の加熱に要する熱エネルギーが、本法の運転コストの支配的要因(5〜8割程度)になっており、これに製鉄所内の低品位排熱を利用又は活用できるため、全ランニングコストを大幅に低減できる。
【0121】
3)上記副生ガスやその燃焼排ガスから二酸化炭素を分離回収することにより、後段で副生ガスを燃料として使用する際の熱効率を改善できる。使用する原料ガスにもよるが、例えば、製鉄所のBFGを原料ガスに使用した場合、2〜3割程度改善できる。
【0122】
4)更に上記副生ガス(未燃ガス)を燃料ガスとして使用した後の燃焼排ガスに関しては、二酸化炭素比率が更に高いため、二酸化炭素の分離回収設備をより一層小型化でき、製鉄所からの二酸化炭素の排出削減量(分離回収量)を高めることができる。
【0123】
また、本発明では、上記1)〜4)の効果を一度に享受し得るため、極めて安価に二酸化炭素を分離回収できるため、コスト競争の厳しい製鉄プラントにおいても産業上利用可能となり得る有効かつ有用な技術である。更に回収した二酸化炭素を製鉄所内、例えば、高炉のトップガスリサイクルに還元ガスとして利用することも可能である。そのため還元剤を減らすことができ、さらに高炉でのコークス使用量及びCO発生量も減らすことができるなど、製鉄所でのトータルコストの上昇を格段に抑える(場合によっては、コストを削減する)ことができる。また、回収した二酸化炭素が有価値製品化できる技術も上述したように数多く提案されており(本発明者らが新たに見出した技術を含む)、こうした技術との組み合わせにより、製品コストの上昇を抑え(二酸化炭素の商品価値によっては、トータルコストの削減も可能である)、尚且つ地球温暖化防止に有効に寄与できる極めて有用な技術を提供できるものである。
【0124】
本発明の第2の実施形態により、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって、効率的かつ安価に二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二酸化炭素を含む原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスの原理図である。
【図2】前記化学吸収液の再生に必要な熱量の全量を、製鉄所で発生する排熱を利用して、製鉄所で発生する原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスを模式的に表した図面である。
【図3】化学吸収液の特性に応じて、化学吸収液の再生のために製鉄所で発生する適当な排熱を多段階に活用して、製鉄所で発生する原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスを模式的に表した図面である。
【図4】化学吸収液の再生のために、製鉄所で発生する排熱を活用すると共に、工場用蒸気を活用して、製鉄所で発生する原料ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収するためのプロセスを模式的に表した図面である。
【図5】本発明の第2の実施形態の代表的な装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の他の代表的な装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の更に他の代表的な装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の更にまた他の代表的な装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の別の代表的な装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の具体例1に用いた装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の具体例2に用いた装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の具体例3に用いた装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の具体例4に用いた装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の具体例5に用いた装置を模式的に表した図面であって、異なる場所にある二酸化炭素発生源と吸収液再生熱源を組み合わせることによって二酸化炭素を分離回収するための装置(プロセス)図である。
【符号の説明】
1…吸収塔、 3…原料ガス(副生ガス)、
5…化学吸収液、 5’…再生吸収液、
6…送り出し配管、 7…再生塔、
8…戻り配管、 9…加熱媒体、
10…熱交換器、 11…分離回収された二酸化炭素、
13…二酸化炭素分離後の副生ガス、 15…副生ガス配管、
50、60、70、80、90、100、110、120、130、140…CO分離回収装置、
53、53a、53b、53c…CO発生源、
55、55a、55b、55c…CO吸収設備、
57、57a、57b、57c、57d、57e…CO吸収媒体、
59、59a、59b、59c、59d、59e…送り出し配管、
61、61a、61b…吸収媒体再生設備、
63…吸収媒体再生用の熱源、 63a、63b…プロセス排熱、
65、65a、65b、65c、65d、65e…戻り配管、
93…BFG本管、 93a…自家発電所(共同火力発電所)、
93b…火力発電所、 94、94a、94b…配管、
95…CO吸収設備(吸収塔)、 97…吸収媒体、
99…送り出し配管、 101…吸収媒体再生設備(再生塔)、
103a…焼結クーラー、 103b…熱風炉、
103c…高炉水砕スラグ冷却装置、 105…戻り配管。

Claims (22)

  1. 製鉄所で発生する副生ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
    当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
  2. 製鉄所で発生する副生ガスの燃焼排ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
    当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
  3. 製鉄所で発生する副生ガスから水素を製造するための改質プロセスの中で産生されるプロセスガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、
    当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
  4. 前記化学吸収法に供する前記副生ガス、燃焼排ガスないしプロセスガス中の二酸化炭素濃度が、15体積%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  5. 前記副生ガスが、高炉ガス、コークス炉ガスおよび転炉ガスの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  6. 前記化学吸収液の再生に必要な熱量の全量または一部を、製鉄所で発生する排熱を利用または活用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  7. 前記化学吸収液の特性に応じて、化学吸収液の再生のために製鉄所で発生する適当な排熱を多段階に利用または活用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  8. 化学吸収液の再生のために、極力製鉄所で発生する排熱を利用または活用すると共に、工場用蒸気を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  9. 二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する装置であって、
    二酸化炭素発生源から供給される二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素吸収媒体で二酸化炭素を吸収するための二酸化炭素吸収設備と、
    二酸化炭素を吸収した吸収媒体から吸収媒体再生用の熱源を利用して二酸化炭素を分離し吸収媒体を再生するための吸収媒体再生設備と、
    二酸化炭素の輸送媒体として両者間を循環する二酸化炭素吸収媒体と、
    二酸化炭素吸収媒体の輸送のための送り出し配管と戻り配管とを具備して構成されており、
    前記二酸化炭素吸収設備が、二酸化炭素発生源に近接して設置されており、前記吸収媒体再生設備が、二酸化炭素発生源と異なる場所に設置されてなることを特徴とする二酸化炭素の分離回収装置。
  10. 前記二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備との距離Aおよび吸収媒体再生設備と吸収媒体再生用の熱源との距離Bと、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離Cとが、A<CかつB<Cの関係式を満足することを特徴とする請求項9に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  11. 前記二酸化炭素発生源から二酸化炭素吸収設備に二酸化炭素含有ガスを供給するための配管距離Xと、前記二酸化炭素吸収媒体の送り出し配管距離Yと戻り配管距離Zと、吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備に熱を供給するための配管距離Wとが、2X<(Y+Z)の関係式または(X+W)<(Y+Z)の関係式のうち少なくとも一方の関係式を満足することを特徴とする請求項9または10に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  12. 前記吸収媒体再生設備が、吸収媒体再生用の熱源に利用されるプロセス排熱源に近接して設置されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  13. 前記吸収液再生用の熱源の一部または全部として、プロセス排熱を利用することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  14. 1つまたは複数の二酸化炭素吸収設備と、1つまたは複数の吸収液再生設備とを具備してなることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  15. 吸収液再生用の熱源の一部または全部として、異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に利用することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収装置。
  16. 二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収する方法であって、
    二酸化炭素発生源に近接した二酸化炭素吸収設備にて当該二酸化炭素発生源から供給される二酸化炭素含有ガスから、二酸化炭素吸収媒体を用いて二酸化炭素を吸収後、
    吸収液再生用の熱源を利用して該二酸化炭素吸収媒体を加熱し二酸化炭素発生源とは異なる場所の吸収液再生設備にて二酸化炭素を分離させることを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法。
  17. 前記二酸化炭素発生源と二酸化炭素吸収設備との距離Aおよび吸収媒体再生設備と吸収媒体再生用の熱源との距離Bと、二酸化炭素吸収設備と吸収媒体再生設備との距離Cとが、A<CかつB<Cの関係式を満足することを特徴とする請求項16に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  18. 前記二酸化炭素発生源から二酸化炭素吸収設備に二酸化炭素含有ガスを供給するための配管距離Xと、前記二酸化炭素吸収媒体の送り出し配管距離Yと戻り配管距離Zと、吸収媒体再生用の熱源から吸収媒体再生設備に熱を供給するための配管距離Wとが、2X<(Y+Z)の関係式または(X+W)<(Y+Z)の関係式のうち少なくとも一方の関係式を満足することを特徴とする請求項16または17に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  19. 前記吸収媒体再生設備が、吸収媒体再生用の熱源に利用されるプロセス排熱源に近接して設置されていることを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  20. 吸収液再生用の熱源の一部または全部にプロセス排熱を利用することを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  21. 1つまたは複数の二酸化炭素吸収設備と、1つまたは複数の吸収液再生設備とを用いることを特徴とする請求項16〜20のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
  22. 吸収液再生用の熱源の一部または全部に異なる温度レベルのプロセス排熱を多段階に利用することを特徴とする請求項16〜21のいずれか1項に記載の二酸化炭素の分離回収方法。
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