JP2004291601A - 画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光照射装置がインクミスト等により汚れてしまったとしても、低画質の画像が記録されない画像記録媒体を提供する。
【解決手段】この画像記録装置は、記録ヘッドと、記録ヘッドの下流側で記録媒体に着弾したインクに対して光源から光を照射する光照射装置と、光照射装置の記録媒体側に配置され、透光性を有する交換自在な保護部材とを備えている。そして、光照射装置の光量を測定する光量測定センサと、光照射装置の目標光量値を記憶する記憶部と、光照射装置の状態を報知する報知部と、これらを制御する制御装置とを備えている。制御装置は、画像記録以前に、光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、光照射装置の測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させ、光量増加後の光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、光照射装置の保護部材の交換を報知するように、報知部を制御する。
【選択図】 図9
【解決手段】この画像記録装置は、記録ヘッドと、記録ヘッドの下流側で記録媒体に着弾したインクに対して光源から光を照射する光照射装置と、光照射装置の記録媒体側に配置され、透光性を有する交換自在な保護部材とを備えている。そして、光照射装置の光量を測定する光量測定センサと、光照射装置の目標光量値を記憶する記憶部と、光照射装置の状態を報知する報知部と、これらを制御する制御装置とを備えている。制御装置は、画像記録以前に、光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、光照射装置の測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させ、光量増加後の光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、光照射装置の保護部材の交換を報知するように、報知部を制御する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置に係り、特に光硬化性のインクを使用した画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの製版を必要とする方式に比較して、簡便にかつ安価に画像を形成することができるという理由から、インクジェット記録方式による画像記録装置が多く用いられるようになってきている。また、このようなインクジェット方式による画像記録装置を用いて商品や商品の包装に画像記録を行う分野では、商品や商品の包装に、樹脂や金属などのインク吸収性のない材料を用いることが多い。そして、このようなインク吸収性のない材料を記録媒体として用い、この記録媒体に対してインクを定着させるために、光硬化性インクを用い、このインクを記録媒体に吐出した後、例えば、紫外線などの光を照射してインクを硬化定着させる光硬化式の画像記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この画像記録装置は、記録媒体を搬送する搬送ユニットが配設されており、この搬送ユニットによる記録媒体の搬送経路の上方には、光硬化性インクを吐出するライン方式の複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って配列されている。また、この記録ヘッドにおける搬送方向の下流側には、記録ヘッドから吐出されたインクに対して光を照射してインクを硬化させる光照射装置が配設されている。
このような画像記録装置においては、搬送ユニットによって記録媒体を搬送させながら、所定の画像情報に応じて記録ヘッドから記録媒体に対してインクを吐出させ、その後、記録媒体に着弾したインクに対して光照射装置から光を照射することにより、インクを硬化させてこのインクを記録媒体に定着させるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−347232号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、他の電子機器と同様に画像記録装置においても小型化が望まれているが、装置自体の小型化のため、記録ヘッドと光照射装置との間隔を狭めればインクミストが光照射装置に付着しやすくなってしまう。インクミストが光照射装置に多量に付着すると、光量が低下して記録媒体上のインクを確実に硬化できなくなってしまう。特に、複数の記録ヘッドのそれぞれに対して光照射装置が設けられている場合には、1つの光照射装置だけでも光量が低下してしまうと、硬化反応に必要な光量が確保できず、画質劣化の原因となってしまう。
【0006】
本発明の課題は、光照射装置がインクミスト等により汚れてしまったとしても、画質劣化の原因を防止し、安定した高画質記録を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の画像記録装置は、
記録媒体を搬送する搬送装置と、
光硬化性のインクを前記記録媒体に向けて吐出する複数の単位ヘッドを、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に沿って配列してなる記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記搬送方向における下流側で、前記複数の単位ヘッドから吐出されて前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光源から光を照射する光照射装置と、
前記光照射装置の前記記録媒体側に配置され、透光性を有する交換自在な保護部材と、
前記光照射装置の光量を測定する光量測定センサと、
前記光照射装置の目標光量値を記憶する記憶部と、
前記光照射装置の状態を報知する報知部と、
前記光量測定センサの測定値及び前記記憶部の前記目標光量値を基に前記光照射装置の光量及び前記報知部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、画像記録以前に、前記光照射装置の前記測定値と、前記目標光量値とを比較し、前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値未満である場合には、前記光照射装置の光量を前記目標光量値以上となるまで増加させ、光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値に至らなければ、前記光照射装置の前記保護部材の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、光照射装置に、保護部材が交換自在に設けられているので、光照射装置自体、すなわち光源や反射部材を汚れから保護でき、光量が低下したとしても保護部材を交換すれば、光量を復帰させることができる。また、制御装置が、画像記録以前に光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
そして、光量を増加させたにもかかわらず、光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、報知部が光照射装置の保護部材の交換を報知するので、保護部材の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像記録装置において、
前記光照射装置は、
前記複数の単位ヘッドのそれぞれに対応するように前記光源からの光を前記記録媒体上に透過させる複数のスリットを有し、前記光源の前記記録媒体側に配置されるスリット部材と、
前記光源の前記記録媒体側の反対側に配置され、前記複数のスリットのそれぞれに向けて前記光源からの光を集光する反射部材とを備え、
前記光源は、前記記録ヘッドの全幅にわたって配置され、
前記保護部材は、前記スリットを覆うように配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、光源からの光が、スリットによって各単位ヘッドに対応するように記録媒体上に透過されているので、1つの記録ヘッドに設けられる複数の単位ヘッドが、直線状に配列されていない場合においても、各単位ヘッドからの距離が同一となるように、各スリットを形成しておけば、いずれの単位ヘッドから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、保護部材が、スリットを覆うように配置されているので、スリットからインクミスト等が侵入することを防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像記録装置において、
前記制御装置は、前記光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が、光量増加以前の測定により得られた前記測定値から増加していない場合には、前記光照射装置の前記光源の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、光量増加後の光照射装置の測定値が、光量増加以前の測定により得られた測定値から増加していない場合には、報知部が光照射装置の光源の交換を報知するので、光源の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像記録装置の実施の一形態を示したもので、この画像記録装置1の内部下方には、複数の記録媒体2を積層して収容する収容トレイ3が設けられている。この収容トレイ3の一端部上側には、画像を記録しようとする記録媒体2を一枚ずつ収容トレイ3から取り出す取出し装置5が設けられている。なお、記録媒体2としては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の材質からなるカットシート状の記録媒体2が適用可能である。
【0014】
収容トレイ3の上方には、記録媒体2を搬送する搬送装置4が配設されている。この搬送装置4には、記録媒体2を平面状に支持して水平方向に搬送する環状の搬送ベルト41が、複数の張設ローラ42により回転自在に張設されている。また、搬送装置4には、搬送ベルト41と記録媒体2とが接触を開始する位置に、記録媒体2を平面状に搬送させるために搬送ベルト41に押圧する押圧ローラ43が回転自在に設けられている。
【0015】
画像記録装置1の側部には、画像が記録された記録媒体2を排出する排出トレイ9が設けられている。
画像記録装置1の内部には、収容トレイ3から供給された記録媒体2を、搬送ベルト41へ搬送し、記録媒体2が搬送ベルト41の周面に沿って搬送された後に、搬送ベルト41から排出トレイ9へ排出させる搬送経路10が設けられている。この搬送経路10の所定位置には、搬送方向Xに記録媒体2を搬送するための複数対の搬送ローラ11,11…が設けられている。
【0016】
また、搬送ベルト41の上部近傍には、搬送方向Xに沿って順に、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクを記録媒体2に対して吐出するノズル(図示しない)が設けられた記録ヘッド13,14,15,16が、それぞれ搬送ベルト41の全幅にわたって設けられている。この記録ヘッド13,14,15,16としては、ライン方式のものが好適に用いられており、その吐出面と、搬送ベルト41の周面とが対向するように配置されている。
【0017】
図2は、記録ヘッド13,14,15,16の概略構成を表す底面図であり、各記録ヘッド13,14,15,16には、インクを吐出する複数の単位ヘッドUが、搬送方向Xに直交する方向に沿うように千鳥状に配列されている。図3及び図4は、単位ヘッドUに備えられる吐出口hの配置を表す説明図である。図3及び図4に示すように、単位ヘッドUの記録媒体2に対向する吐出面には、A〜Dの4列の吐出口hが配列されている。A〜Dの各列には、吐出口hが3個周期で所定のピッチだけ搬送方向Xにずれながら、搬送方向Xに直交する方向に所定間隔空けて配列されている。そして、A〜Dの各列の始点は、A、C、B、Dの順に、1画素ずつ、搬送方向Xに直交する方向にずれるように配置されている。これにより、記録媒体2の搬送に応じて、単位ヘッドUのA〜Dの各ノズル列は、Aではa1列、a2列、a3列、Bではb1列、b2列、b3列、Cではc1列、c2列、c3列、Dではd1、d2、d3列の順でインクが吐出されるようになっている。
【0018】
このように配列された各吐出口hからインクを吐出することにより、記録媒体2上に画像を記録することができる。例えば、図3に示すように、「H」という文字が記録される場合には、「H」を形成する各行は、それぞれt1行においてはA列1番目、t2行においてはC列1番目、t3行においてはB列1番目、t4行においてはD列1番目、t5行においてはA列2番目、t6行においてはC列2番目、t7においてはB列2番目の各吐出口hからインクが吐出される。また、図4に示すように、複数の単位ヘッドUによって文字(例えば「H」)が記録される場合には、「H」を形成する各行は、それぞれt1行においては図4における下方側の単位ヘッドUのB列の上から1番目、t2行においては下方側の単位ヘッドUのD列の上から1番目、t3行においては図4における上方側の単位ヘッドUのA列の下から1番目、t4行においては上方側の単位ヘッドUのC列の下から1番目、t5行においては上方の単位ヘッドUのB列の下から1番目、t6行においては上方の単位ヘッドUのD列の下から1番目、t7行においては上方の単位ヘッドUのA列の下から2番目の各吐出口hからインクが吐出される。
【0019】
また、図1に示すように、搬送ベルト41の上部近傍であって、各色の記録ヘッド13,14,15,16の搬送方向Xの下流側には、各記録ヘッド13,14,15,16から記録媒体2に吐出されたインクに対して所定波長の光を照射して、インクの表面を硬化させる光照射装置17,18,19,20が各記録ヘッド13,14,15,16に対応して設けられている。
【0020】
各光照射装置17,18,19,20の構成はいずれにおいても同様の構成であるので、ここでは光照射装置20の構成を説明することで、光照射装置17,18,19の構成の説明は省略する。図5は、光照射装置20の側断面を表す分解図である。
【0021】
光照射装置20には、図5に示すように、光を照射する光源Lが、対応する記録ヘッド16の全幅にわたって配置されている。光源Lとしては、特に限定されないが、例えば、紫外線を発生させる蛍光管を用いることが好ましい。
【0022】
光照射装置20における光源Lの記録媒体2側には、記録媒体2上に光源Lからの光を透過させる複数のスリット221を有するスリット部材22が配置されている。複数のスリット221は、図2に示すように、記録ヘッド16に備わる複数の単位ヘッドUのそれぞれに対応し、かつ一対のスリット221と単位ヘッドUとの間隔が一定となるように、搬送方向Xに直交する方向に沿って千鳥状に配列されている。
【0023】
そして、スリット部材22の記録媒体2側には、光源Lの光を透過しつつ、光源Lに対するインクミストやゴミ等の付着を防止する透過性の保護部材23が、各スリット221を覆うように交換自在に設けられている。保護部材23は、透過性を有して、スリット221を覆うものならば如何なるものであってもよく、例えば、透過性を有する樹脂やガラス等から形成されたフィルタ等が挙げられる。
【0024】
また、光照射装置20における光源Lの記録媒体2側の反対側には、複数のスリット221のそれぞれに向けて光源Lからの光を集光する円弧状の反射部材21が設けられている。この反射部材21の曲率は、光源Lからの光が反射した際に平行光となるように設定されている。
【0025】
各光照射装置17,18,19,20の下方には、図6に示すように、スリット221及び保護部材23を通過した光の光量を測定する複数の光量測定センサ24が、各スリット221に対して設けられている。この光量測定センサ24は、画像記録時においては記録媒体2の搬送を阻害しない位置に配置され、光照射装置17,18,19,20の光量測定時においては、各スリット221に対向するように配置されていなければならない。本実施形態では、各光量測定センサ24は搬送ベルト41を介して各スリット221に対向するように配置されており、これにより画像記録時に記録媒体2の搬送を邪魔しないようになっている。このため、各光量測定センサ24と各スリット221とを対峙させて、各光照射装置17,18,19,20の光が確実に各光量測定センサ24に届くように、搬送ベルト41は、搬送方向Xに直交する方向に沿って複数に分割されている。
【0026】
なお、これ以外にも、画像記録時には記録媒体2の搬送の邪魔とならない位置に配置された光量測定センサ24を、光量測定時になると各スリット221に対峙するように移動させる構成であってもよい。
【0027】
なお、本実施形態で使用するインクは、光を照射することで硬化するインク、特に紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型インクである。紫外線硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0028】
図7は本実施形態における画像記録装置1を制御するための制御装置を示したものであり、この制御装置は、例えば、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)からなり、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開してCPUによりこの処理プログラムを実行する制御部30を有している。
【0029】
制御部30には、画像記録装置に送られた画像情報を受け取る画像データ入出力I/F(インターフェース)31と、転送された画像データをページ単位で圧縮して記憶し、さらに圧縮された画像データを伸張して記憶する圧縮・伸張部32とが設けられている。ここでの圧縮・伸張手段としては、公知のJPEG、JPEG2000、JBIG等が用いられる。さらに、制御部30には、使用者が出力枚数、部数等の操作入力を行う操作部33、画像記録装置1の状態を報知する報知部34、得られた画像データを、画像出力形式に適応するように変換する画像処理部35及び画像処理部35で変換された画像データを画像記録ユニット50の画像記録部51へ出力する画像記録信号出力I/F36が設けられている。また、制御部30には、デジタルカメラなどの撮影装置にて撮影して得られた画像や他の読取装置で読み取った画像データを取り込んだり、外部の機器からの命令による画像記録を行う外部I/F及びプリントコントローラ37が設けられている。さらに、制御部30には、操作部33および前記画像情報にしたがって、画像処理部35、画像記録信号出力I/F36および外部I/F及びプリントコントローラ37の動作を制御する全体制御部(M−CPU)38が設けられている。
【0030】
画像記録ユニット50には、画像記録信号出力I/F36からの信号にしたがい画像記録を行う画像記録部51と、搬送ローラ11及び張設ローラ42を動作させる搬送機構52と、画像記録部51からの制御信号にしたがって光照射装置17,18,19,20の出力を制御する光源制御部53と、各光照射装置17,18,19,20の目標光量値を記憶する光量目標値記憶部(記憶部)54、これら各構成の動作を制御する画像記録制御部(S−CPU)55とが設けられている。また、画像記録制御部55には、光量測定センサ24が電気的に接続されている。
【0031】
図8は、画像記録部51の構成を詳細に示したブロック図であり、この画像記録部51には、画像記録信号出力I/F36から送られる各色信号を格納するために各色毎に設けられた複数のバッファメモリおよび各バッファメモリからの出力を制御するバッファメモリ制御回路からなる色信号メモリ57、前記バッファメモリ制御回路からの制御にしたがって出力される色信号に基づいて各記録ヘッド13,14,15,16における単位ヘッドUのインク吐出動作を駆動制御する記録ヘッド駆動回路58が設けられている。
【0032】
次に、本実施形態の作用について図9を参照にして説明する。図9は、光量測定時におけるフローチャートである。
【0033】
まず、操作部33から画像記録の指示が入力されると、全体制御部38は、画像記録制御部55に対して、光照射装置17,18,19,20の光量測定指示を出力する。画像記録制御部55は、光量測定指示が入力されると、搬送ベルト41の開口が各スリット221の下方に位置するように、搬送機構52を制御するとともに、各光照射装置17,18,19,20の光源Lが点灯するように、光源制御部53を制御し、光量測定を開始する(ステップS0)。この際、光源制御部53は初期設定された出力値で各光照射装置17,18,19,20の光源Lを点灯させる。ここで、初期設定された出力値とは、光源Lが正常に機能している場合に、スリット221及び保護部材23を透過した光源Lからの光が記録媒体2上のインクを硬化させることが可能な値である。
【0034】
光量測定の開始に伴って、まず光照射装置17に対して設けられた複数の光量測定センサ24で、光照射装置17に備わる全てのスリット221を透過する光の光量値を測定(第1測定)する(ステップS1、S2)。
その後、画像記録制御部55は、光量目標値記憶部54から光照射装置17の目標光量値を読み出して、測定された全ての測定値と比較する(ステップS3)。比較の結果、全ての測定値が目標光量値以上であればステップS4に移行し、少なくとも1つの測定値が目標光量値未満であればステップS5に移行する。
【0035】
ステップS5に移行されると、画像記録制御部55は、初期設定された出力値よりも増加された出力値で光源Lが点灯するように、光源制御部53を制御する。その後、第1測定で目標光量値未満となる測定値を測定した光量測定センサ24で、再度スリット221を透過する光の光量値を測定(第2測定)する(ステップS6、S7)。
【0036】
そして、画像記録制御部55は、第1測定で目標値未満であったスリット221の、第1測定での測定値、第2測定での測定値、目標光量値を比較する(ステップS8)。この比較の結果、第2測定での全ての測定値が第1測定での測定値よりも大きいものの、そのうちの少なくとも1つが目標値未満である場合にはステップS9に移行し、画像記録制御部55が全体制御部38にその結果を出力する。全体制御部38は、保護部材23の交換が必要であることを報知するように報知部34を制御し、その後、画像記録装置1の起動を停止させる(ステップS10)。
【0037】
また、比較の結果、第2測定での全ての測定値のうち少なくとの1つの測定値が、第1測定での測定値と同じである場合には、ステップS11に移行し、画像記録制御部55全体制御部38にその結果を出力する。全体制御部38は、光源Lの交換が必要であることを報知するように報知部34を制御し、その後、画像記録装置1の起動を停止させる(ステップS12)。
【0038】
そして、比較の結果、第2測定での測定値が目標光量値以上である場合にはステップS4に移行する。ステップS4では、光照射装置17の光量が目標光量値以上であると判断されたので、次の光照射装置18の光量測定を開始する。上記行程を全ての光照射装置17,18,19,20に対して繰り返し、全ての光照射装置17,18,19,20の光量が目標光量値以上であれば、画像記録制御部55は画像記録の開始を全体制御部38に出力する(ステップS13)。
【0039】
画像記録装置1に画像情報が送られると、図7に示したように、送られた画像情報は、制御部30の全体制御部38に送られるほか、画像データ入出力I/F31から画像処理部35にも送られる。なお、画像情報は、外部装置などから外部I/F及びプリントコントローラ37を通じても全体制御部38に送られる。
【0040】
全体制御部38は、画像情報が送られたときに制御部30の各構成の動作を開始させる。なお、この動作開始のタイミングであるが、画像情報が入力されたときに限らず、操作部33からの使用者による操作入力、又は外部I/F及びプリントコントローラ37を通じての外部装置からの操作入力があったときであってもよい。
【0041】
画像処理部35では、画像情報が画像出力形式に適応するように、すなわち光硬化型インクを用いた画像記録装置で画像を記録するのに最適となるように、画像処理が施される。画像処理によって各色毎に分けられた色信号からなる画像データは、画像記録信号出力I/F36から画像記録ユニット50の画像記録部51に送られる。
なお、画像処理前の画像情報を画像データ入出力I/F31から圧縮・伸張部32に送って、記憶することもできる。なお、圧縮・伸張部32は、画像処理部35から画像データが送られたときに限らず、外部I/F及びプリントコントローラ37を通じての外部装置からの動作開始などの操作入力があったときにも動作する。
【0042】
一方で、画像記録装置1に画像情報が送られると、画像記録ユニット50の画像記録制御部55は、画像記録部51の色信号メモリ57に記憶された各色信号に基づいて、搬送機構52及び光源制御部53を動作させる。この動作に伴って、記録ヘッド駆動回路58は、記録ヘッド13、14、15、16を動作させる。具体的には、搬送機構52が取出し装置5を動作させて、収容トレイ3に収容された最上位の記録媒体2を取出し、搬送ローラ11を回転動作させてこの取出された記録媒体2を搬送させる。
【0043】
そして、記録媒体2の先端部が搬送ベルト41まで到達したら、押圧ローラ43が記録媒体2の先端部を搬送ベルト41の周面に押圧して保持させる。搬送ベルト41は張設ローラ42によって回転しているので、その回転に伴って記録媒体2は搬送される。記録媒体2が記録ヘッド13の位置まで送られると、記録媒体2に対して、記録ヘッド13からブラックインクを吐出させ、その直後に光照射装置17からブラックインクに光を照射してブラックインクを硬化させる。続いて、記録ヘッド14からシアンインクを吐出させるとともに、光照射装置18から光を照射してシアンインクを硬化させる。同様に、記録ヘッド15を動作させてマゼンタインクを記録媒体2に吐出させ、光照射装置19により硬化させる。その後、記録ヘッド16を動作させてイエローインクを記録媒体2に吐出させ、光照射装置20により記録媒体2に着弾したインク全てを完全に硬化させる。
【0044】
完全硬化後、記録媒体2の先端部が、搬送ベルト41の周面から離隔されると、記録媒体2は、搬送ローラ11により搬送されて、排出トレイ9に排出される。
【0045】
以上のように、本実施形態の画像記録装置1によれば、制御装置が、画像記録以前に、複数の光照射装置17,18,19,20の測定値と、目標光量値とを比較し、複数の光照射装置17,18,19,20の測定値のうち、少なくとも1つの測定値が目標光量値未満である場合には、測定値が目標光量値未満であった光照射装置17,18,19,20の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
【0046】
また、各単位ヘッドUと、それに対応するスリット221の距離が一定であるので、いずれの単位ヘッドUから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、光照射装置17,18,19,20には、光源Lを汚れから保護する保護部材23が交換自在に設けられているので、光源L自体が汚れることはなく、光量が低下したとしても保護部材23を交換すれば、光量を復帰させることができる。
【0047】
そして、光量を増加させた光照射装置17,18,19,20においても、当該光照射装置17,18,19,20に対応する光量測定センサ24からの検出結果が目標光量値に至らないまでも増加している場合には、報知部34が光照射装置17,18,19,20の保護部材23の交換を報知するので、保護部材23の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
さらに、光量を増加させた光照射装置17,18,19,20においても、当該光照射装置17,18,19,20に対応する光量測定センサからの検出結果が増加していない場合には、報知部34が光照射装置17,18,19,20の光源Lの交換を報知するので、光源Lの交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態で例示される光照射装置17,18,19,20では、単一の光源Lからの光を各単位ヘッドUに対応するように透過させるためにスリット221を用いているが、各単位ヘッドUに対応するように複数の光源が配列された光照射装置を用いてもよい。こうした場合、各光源毎に光量を制御できるのでさらに精密な制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、各光照射装置17,18,19,20の光が確実に各光量測定センサ24に届くように、搬送ベルト41が搬送方向Xに直交する方向に沿って複数に分割されているが、例えば、図10(b)に示すように搬送ベルト41Aに光照射装置17,18,19,20及び各光量測定センサ24を対峙させる開口部41aを、各光量測定センサ24に応じて形成してもよい。こうした場合、搬送ベルト41Aが記録媒体2の平面性を維持しつつ搬送できるように、
開口部41aは柔軟性を有した金属部品で形成され、その金属部品両端にベルト部材が固定される構造となっている。そして、この開口部41aが各記録ヘッド13,14,15,16及びそれに対応する光量測定センサ24を下方に臨ませる大きさに開口されていれば、例えば、図10(a)に示すように、各記録ヘッド13,14,15,16の吐出面を覆ってメンテナンスを行うための昇降自在なキャップ部材25を、搬送ベルト41Aの下方に設置することができ、これにより記録ヘッド13,14,15,16のメンテナンス時及び光照射装置17,18,19,20の光量測定時においても、搬送ベルト41Aが邪魔にならない。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、光照射装置自体が汚れることを防止でき、光量が低下したとしても保護部材を交換すれば、光量を復帰させることができる。
また、制御装置が、画像記録以前に、光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
そして、光量を増加させたにもかかわらず、光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、報知部が光照射装置の保護部材の交換を報知するので、保護部材の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
請求項2記載の発明によれば、1つの記録ヘッドに設けられる複数の単位ヘッドが、直線状に配列されていない場合においても、各単位ヘッドからの距離が同一となるように、各スリットを形成しておけば、いずれの単位ヘッドから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、保護部材が、スリットを覆うように配置されているので、スリットからインクミスト等が侵入することを防止できる。
請求項3記載の発明によれば、光源の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における画像記録装置の概略構成を表す概略図である。
【図2】図1の画像記録装置に備わる記録ヘッド及び光照射装置を表す底面図である。
【図3】図2の記録ヘッドに備わる単位ヘッドの吐出口を表す底面図である。
【図4】図2の記録ヘッドに備わる複数の単位ヘッドの吐出口を表す底面図である。
【図5】図1の画像記録装置に備わる光照射装置の側断面を表す分解図である。
【図6】図2の記録ヘッド及び光照射装置を表す側面図である。
【図7】図1の画像記録装置の主制御部分を表すブロック図である。
【図8】図7の画像記録部の構成を表すブロック図である。
【図9】図1の制御部が光量測定時に行う制御手順を示すフローチャートである。
【図10】画像記録装置の変形例を表す説明図である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
2 記録媒体
4 搬送装置
17,18,19,20 光照射装置
21 反射部材
22 スリット部材
23 保護部材
24 光量測定センサ
34 報知部
54 光量目標値記憶部(記憶部)
221 スリット
U 単位ヘッド
L 光源
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置に係り、特に光硬化性のインクを使用した画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの製版を必要とする方式に比較して、簡便にかつ安価に画像を形成することができるという理由から、インクジェット記録方式による画像記録装置が多く用いられるようになってきている。また、このようなインクジェット方式による画像記録装置を用いて商品や商品の包装に画像記録を行う分野では、商品や商品の包装に、樹脂や金属などのインク吸収性のない材料を用いることが多い。そして、このようなインク吸収性のない材料を記録媒体として用い、この記録媒体に対してインクを定着させるために、光硬化性インクを用い、このインクを記録媒体に吐出した後、例えば、紫外線などの光を照射してインクを硬化定着させる光硬化式の画像記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この画像記録装置は、記録媒体を搬送する搬送ユニットが配設されており、この搬送ユニットによる記録媒体の搬送経路の上方には、光硬化性インクを吐出するライン方式の複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って配列されている。また、この記録ヘッドにおける搬送方向の下流側には、記録ヘッドから吐出されたインクに対して光を照射してインクを硬化させる光照射装置が配設されている。
このような画像記録装置においては、搬送ユニットによって記録媒体を搬送させながら、所定の画像情報に応じて記録ヘッドから記録媒体に対してインクを吐出させ、その後、記録媒体に着弾したインクに対して光照射装置から光を照射することにより、インクを硬化させてこのインクを記録媒体に定着させるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−347232号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、他の電子機器と同様に画像記録装置においても小型化が望まれているが、装置自体の小型化のため、記録ヘッドと光照射装置との間隔を狭めればインクミストが光照射装置に付着しやすくなってしまう。インクミストが光照射装置に多量に付着すると、光量が低下して記録媒体上のインクを確実に硬化できなくなってしまう。特に、複数の記録ヘッドのそれぞれに対して光照射装置が設けられている場合には、1つの光照射装置だけでも光量が低下してしまうと、硬化反応に必要な光量が確保できず、画質劣化の原因となってしまう。
【0006】
本発明の課題は、光照射装置がインクミスト等により汚れてしまったとしても、画質劣化の原因を防止し、安定した高画質記録を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の画像記録装置は、
記録媒体を搬送する搬送装置と、
光硬化性のインクを前記記録媒体に向けて吐出する複数の単位ヘッドを、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に沿って配列してなる記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記搬送方向における下流側で、前記複数の単位ヘッドから吐出されて前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光源から光を照射する光照射装置と、
前記光照射装置の前記記録媒体側に配置され、透光性を有する交換自在な保護部材と、
前記光照射装置の光量を測定する光量測定センサと、
前記光照射装置の目標光量値を記憶する記憶部と、
前記光照射装置の状態を報知する報知部と、
前記光量測定センサの測定値及び前記記憶部の前記目標光量値を基に前記光照射装置の光量及び前記報知部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、画像記録以前に、前記光照射装置の前記測定値と、前記目標光量値とを比較し、前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値未満である場合には、前記光照射装置の光量を前記目標光量値以上となるまで増加させ、光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値に至らなければ、前記光照射装置の前記保護部材の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、光照射装置に、保護部材が交換自在に設けられているので、光照射装置自体、すなわち光源や反射部材を汚れから保護でき、光量が低下したとしても保護部材を交換すれば、光量を復帰させることができる。また、制御装置が、画像記録以前に光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
そして、光量を増加させたにもかかわらず、光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、報知部が光照射装置の保護部材の交換を報知するので、保護部材の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像記録装置において、
前記光照射装置は、
前記複数の単位ヘッドのそれぞれに対応するように前記光源からの光を前記記録媒体上に透過させる複数のスリットを有し、前記光源の前記記録媒体側に配置されるスリット部材と、
前記光源の前記記録媒体側の反対側に配置され、前記複数のスリットのそれぞれに向けて前記光源からの光を集光する反射部材とを備え、
前記光源は、前記記録ヘッドの全幅にわたって配置され、
前記保護部材は、前記スリットを覆うように配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、光源からの光が、スリットによって各単位ヘッドに対応するように記録媒体上に透過されているので、1つの記録ヘッドに設けられる複数の単位ヘッドが、直線状に配列されていない場合においても、各単位ヘッドからの距離が同一となるように、各スリットを形成しておけば、いずれの単位ヘッドから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、保護部材が、スリットを覆うように配置されているので、スリットからインクミスト等が侵入することを防止できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像記録装置において、
前記制御装置は、前記光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が、光量増加以前の測定により得られた前記測定値から増加していない場合には、前記光照射装置の前記光源の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、光量増加後の光照射装置の測定値が、光量増加以前の測定により得られた測定値から増加していない場合には、報知部が光照射装置の光源の交換を報知するので、光源の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像記録装置の実施の一形態を示したもので、この画像記録装置1の内部下方には、複数の記録媒体2を積層して収容する収容トレイ3が設けられている。この収容トレイ3の一端部上側には、画像を記録しようとする記録媒体2を一枚ずつ収容トレイ3から取り出す取出し装置5が設けられている。なお、記録媒体2としては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の材質からなるカットシート状の記録媒体2が適用可能である。
【0014】
収容トレイ3の上方には、記録媒体2を搬送する搬送装置4が配設されている。この搬送装置4には、記録媒体2を平面状に支持して水平方向に搬送する環状の搬送ベルト41が、複数の張設ローラ42により回転自在に張設されている。また、搬送装置4には、搬送ベルト41と記録媒体2とが接触を開始する位置に、記録媒体2を平面状に搬送させるために搬送ベルト41に押圧する押圧ローラ43が回転自在に設けられている。
【0015】
画像記録装置1の側部には、画像が記録された記録媒体2を排出する排出トレイ9が設けられている。
画像記録装置1の内部には、収容トレイ3から供給された記録媒体2を、搬送ベルト41へ搬送し、記録媒体2が搬送ベルト41の周面に沿って搬送された後に、搬送ベルト41から排出トレイ9へ排出させる搬送経路10が設けられている。この搬送経路10の所定位置には、搬送方向Xに記録媒体2を搬送するための複数対の搬送ローラ11,11…が設けられている。
【0016】
また、搬送ベルト41の上部近傍には、搬送方向Xに沿って順に、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクを記録媒体2に対して吐出するノズル(図示しない)が設けられた記録ヘッド13,14,15,16が、それぞれ搬送ベルト41の全幅にわたって設けられている。この記録ヘッド13,14,15,16としては、ライン方式のものが好適に用いられており、その吐出面と、搬送ベルト41の周面とが対向するように配置されている。
【0017】
図2は、記録ヘッド13,14,15,16の概略構成を表す底面図であり、各記録ヘッド13,14,15,16には、インクを吐出する複数の単位ヘッドUが、搬送方向Xに直交する方向に沿うように千鳥状に配列されている。図3及び図4は、単位ヘッドUに備えられる吐出口hの配置を表す説明図である。図3及び図4に示すように、単位ヘッドUの記録媒体2に対向する吐出面には、A〜Dの4列の吐出口hが配列されている。A〜Dの各列には、吐出口hが3個周期で所定のピッチだけ搬送方向Xにずれながら、搬送方向Xに直交する方向に所定間隔空けて配列されている。そして、A〜Dの各列の始点は、A、C、B、Dの順に、1画素ずつ、搬送方向Xに直交する方向にずれるように配置されている。これにより、記録媒体2の搬送に応じて、単位ヘッドUのA〜Dの各ノズル列は、Aではa1列、a2列、a3列、Bではb1列、b2列、b3列、Cではc1列、c2列、c3列、Dではd1、d2、d3列の順でインクが吐出されるようになっている。
【0018】
このように配列された各吐出口hからインクを吐出することにより、記録媒体2上に画像を記録することができる。例えば、図3に示すように、「H」という文字が記録される場合には、「H」を形成する各行は、それぞれt1行においてはA列1番目、t2行においてはC列1番目、t3行においてはB列1番目、t4行においてはD列1番目、t5行においてはA列2番目、t6行においてはC列2番目、t7においてはB列2番目の各吐出口hからインクが吐出される。また、図4に示すように、複数の単位ヘッドUによって文字(例えば「H」)が記録される場合には、「H」を形成する各行は、それぞれt1行においては図4における下方側の単位ヘッドUのB列の上から1番目、t2行においては下方側の単位ヘッドUのD列の上から1番目、t3行においては図4における上方側の単位ヘッドUのA列の下から1番目、t4行においては上方側の単位ヘッドUのC列の下から1番目、t5行においては上方の単位ヘッドUのB列の下から1番目、t6行においては上方の単位ヘッドUのD列の下から1番目、t7行においては上方の単位ヘッドUのA列の下から2番目の各吐出口hからインクが吐出される。
【0019】
また、図1に示すように、搬送ベルト41の上部近傍であって、各色の記録ヘッド13,14,15,16の搬送方向Xの下流側には、各記録ヘッド13,14,15,16から記録媒体2に吐出されたインクに対して所定波長の光を照射して、インクの表面を硬化させる光照射装置17,18,19,20が各記録ヘッド13,14,15,16に対応して設けられている。
【0020】
各光照射装置17,18,19,20の構成はいずれにおいても同様の構成であるので、ここでは光照射装置20の構成を説明することで、光照射装置17,18,19の構成の説明は省略する。図5は、光照射装置20の側断面を表す分解図である。
【0021】
光照射装置20には、図5に示すように、光を照射する光源Lが、対応する記録ヘッド16の全幅にわたって配置されている。光源Lとしては、特に限定されないが、例えば、紫外線を発生させる蛍光管を用いることが好ましい。
【0022】
光照射装置20における光源Lの記録媒体2側には、記録媒体2上に光源Lからの光を透過させる複数のスリット221を有するスリット部材22が配置されている。複数のスリット221は、図2に示すように、記録ヘッド16に備わる複数の単位ヘッドUのそれぞれに対応し、かつ一対のスリット221と単位ヘッドUとの間隔が一定となるように、搬送方向Xに直交する方向に沿って千鳥状に配列されている。
【0023】
そして、スリット部材22の記録媒体2側には、光源Lの光を透過しつつ、光源Lに対するインクミストやゴミ等の付着を防止する透過性の保護部材23が、各スリット221を覆うように交換自在に設けられている。保護部材23は、透過性を有して、スリット221を覆うものならば如何なるものであってもよく、例えば、透過性を有する樹脂やガラス等から形成されたフィルタ等が挙げられる。
【0024】
また、光照射装置20における光源Lの記録媒体2側の反対側には、複数のスリット221のそれぞれに向けて光源Lからの光を集光する円弧状の反射部材21が設けられている。この反射部材21の曲率は、光源Lからの光が反射した際に平行光となるように設定されている。
【0025】
各光照射装置17,18,19,20の下方には、図6に示すように、スリット221及び保護部材23を通過した光の光量を測定する複数の光量測定センサ24が、各スリット221に対して設けられている。この光量測定センサ24は、画像記録時においては記録媒体2の搬送を阻害しない位置に配置され、光照射装置17,18,19,20の光量測定時においては、各スリット221に対向するように配置されていなければならない。本実施形態では、各光量測定センサ24は搬送ベルト41を介して各スリット221に対向するように配置されており、これにより画像記録時に記録媒体2の搬送を邪魔しないようになっている。このため、各光量測定センサ24と各スリット221とを対峙させて、各光照射装置17,18,19,20の光が確実に各光量測定センサ24に届くように、搬送ベルト41は、搬送方向Xに直交する方向に沿って複数に分割されている。
【0026】
なお、これ以外にも、画像記録時には記録媒体2の搬送の邪魔とならない位置に配置された光量測定センサ24を、光量測定時になると各スリット221に対峙するように移動させる構成であってもよい。
【0027】
なお、本実施形態で使用するインクは、光を照射することで硬化するインク、特に紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型インクである。紫外線硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0028】
図7は本実施形態における画像記録装置1を制御するための制御装置を示したものであり、この制御装置は、例えば、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)からなり、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開してCPUによりこの処理プログラムを実行する制御部30を有している。
【0029】
制御部30には、画像記録装置に送られた画像情報を受け取る画像データ入出力I/F(インターフェース)31と、転送された画像データをページ単位で圧縮して記憶し、さらに圧縮された画像データを伸張して記憶する圧縮・伸張部32とが設けられている。ここでの圧縮・伸張手段としては、公知のJPEG、JPEG2000、JBIG等が用いられる。さらに、制御部30には、使用者が出力枚数、部数等の操作入力を行う操作部33、画像記録装置1の状態を報知する報知部34、得られた画像データを、画像出力形式に適応するように変換する画像処理部35及び画像処理部35で変換された画像データを画像記録ユニット50の画像記録部51へ出力する画像記録信号出力I/F36が設けられている。また、制御部30には、デジタルカメラなどの撮影装置にて撮影して得られた画像や他の読取装置で読み取った画像データを取り込んだり、外部の機器からの命令による画像記録を行う外部I/F及びプリントコントローラ37が設けられている。さらに、制御部30には、操作部33および前記画像情報にしたがって、画像処理部35、画像記録信号出力I/F36および外部I/F及びプリントコントローラ37の動作を制御する全体制御部(M−CPU)38が設けられている。
【0030】
画像記録ユニット50には、画像記録信号出力I/F36からの信号にしたがい画像記録を行う画像記録部51と、搬送ローラ11及び張設ローラ42を動作させる搬送機構52と、画像記録部51からの制御信号にしたがって光照射装置17,18,19,20の出力を制御する光源制御部53と、各光照射装置17,18,19,20の目標光量値を記憶する光量目標値記憶部(記憶部)54、これら各構成の動作を制御する画像記録制御部(S−CPU)55とが設けられている。また、画像記録制御部55には、光量測定センサ24が電気的に接続されている。
【0031】
図8は、画像記録部51の構成を詳細に示したブロック図であり、この画像記録部51には、画像記録信号出力I/F36から送られる各色信号を格納するために各色毎に設けられた複数のバッファメモリおよび各バッファメモリからの出力を制御するバッファメモリ制御回路からなる色信号メモリ57、前記バッファメモリ制御回路からの制御にしたがって出力される色信号に基づいて各記録ヘッド13,14,15,16における単位ヘッドUのインク吐出動作を駆動制御する記録ヘッド駆動回路58が設けられている。
【0032】
次に、本実施形態の作用について図9を参照にして説明する。図9は、光量測定時におけるフローチャートである。
【0033】
まず、操作部33から画像記録の指示が入力されると、全体制御部38は、画像記録制御部55に対して、光照射装置17,18,19,20の光量測定指示を出力する。画像記録制御部55は、光量測定指示が入力されると、搬送ベルト41の開口が各スリット221の下方に位置するように、搬送機構52を制御するとともに、各光照射装置17,18,19,20の光源Lが点灯するように、光源制御部53を制御し、光量測定を開始する(ステップS0)。この際、光源制御部53は初期設定された出力値で各光照射装置17,18,19,20の光源Lを点灯させる。ここで、初期設定された出力値とは、光源Lが正常に機能している場合に、スリット221及び保護部材23を透過した光源Lからの光が記録媒体2上のインクを硬化させることが可能な値である。
【0034】
光量測定の開始に伴って、まず光照射装置17に対して設けられた複数の光量測定センサ24で、光照射装置17に備わる全てのスリット221を透過する光の光量値を測定(第1測定)する(ステップS1、S2)。
その後、画像記録制御部55は、光量目標値記憶部54から光照射装置17の目標光量値を読み出して、測定された全ての測定値と比較する(ステップS3)。比較の結果、全ての測定値が目標光量値以上であればステップS4に移行し、少なくとも1つの測定値が目標光量値未満であればステップS5に移行する。
【0035】
ステップS5に移行されると、画像記録制御部55は、初期設定された出力値よりも増加された出力値で光源Lが点灯するように、光源制御部53を制御する。その後、第1測定で目標光量値未満となる測定値を測定した光量測定センサ24で、再度スリット221を透過する光の光量値を測定(第2測定)する(ステップS6、S7)。
【0036】
そして、画像記録制御部55は、第1測定で目標値未満であったスリット221の、第1測定での測定値、第2測定での測定値、目標光量値を比較する(ステップS8)。この比較の結果、第2測定での全ての測定値が第1測定での測定値よりも大きいものの、そのうちの少なくとも1つが目標値未満である場合にはステップS9に移行し、画像記録制御部55が全体制御部38にその結果を出力する。全体制御部38は、保護部材23の交換が必要であることを報知するように報知部34を制御し、その後、画像記録装置1の起動を停止させる(ステップS10)。
【0037】
また、比較の結果、第2測定での全ての測定値のうち少なくとの1つの測定値が、第1測定での測定値と同じである場合には、ステップS11に移行し、画像記録制御部55全体制御部38にその結果を出力する。全体制御部38は、光源Lの交換が必要であることを報知するように報知部34を制御し、その後、画像記録装置1の起動を停止させる(ステップS12)。
【0038】
そして、比較の結果、第2測定での測定値が目標光量値以上である場合にはステップS4に移行する。ステップS4では、光照射装置17の光量が目標光量値以上であると判断されたので、次の光照射装置18の光量測定を開始する。上記行程を全ての光照射装置17,18,19,20に対して繰り返し、全ての光照射装置17,18,19,20の光量が目標光量値以上であれば、画像記録制御部55は画像記録の開始を全体制御部38に出力する(ステップS13)。
【0039】
画像記録装置1に画像情報が送られると、図7に示したように、送られた画像情報は、制御部30の全体制御部38に送られるほか、画像データ入出力I/F31から画像処理部35にも送られる。なお、画像情報は、外部装置などから外部I/F及びプリントコントローラ37を通じても全体制御部38に送られる。
【0040】
全体制御部38は、画像情報が送られたときに制御部30の各構成の動作を開始させる。なお、この動作開始のタイミングであるが、画像情報が入力されたときに限らず、操作部33からの使用者による操作入力、又は外部I/F及びプリントコントローラ37を通じての外部装置からの操作入力があったときであってもよい。
【0041】
画像処理部35では、画像情報が画像出力形式に適応するように、すなわち光硬化型インクを用いた画像記録装置で画像を記録するのに最適となるように、画像処理が施される。画像処理によって各色毎に分けられた色信号からなる画像データは、画像記録信号出力I/F36から画像記録ユニット50の画像記録部51に送られる。
なお、画像処理前の画像情報を画像データ入出力I/F31から圧縮・伸張部32に送って、記憶することもできる。なお、圧縮・伸張部32は、画像処理部35から画像データが送られたときに限らず、外部I/F及びプリントコントローラ37を通じての外部装置からの動作開始などの操作入力があったときにも動作する。
【0042】
一方で、画像記録装置1に画像情報が送られると、画像記録ユニット50の画像記録制御部55は、画像記録部51の色信号メモリ57に記憶された各色信号に基づいて、搬送機構52及び光源制御部53を動作させる。この動作に伴って、記録ヘッド駆動回路58は、記録ヘッド13、14、15、16を動作させる。具体的には、搬送機構52が取出し装置5を動作させて、収容トレイ3に収容された最上位の記録媒体2を取出し、搬送ローラ11を回転動作させてこの取出された記録媒体2を搬送させる。
【0043】
そして、記録媒体2の先端部が搬送ベルト41まで到達したら、押圧ローラ43が記録媒体2の先端部を搬送ベルト41の周面に押圧して保持させる。搬送ベルト41は張設ローラ42によって回転しているので、その回転に伴って記録媒体2は搬送される。記録媒体2が記録ヘッド13の位置まで送られると、記録媒体2に対して、記録ヘッド13からブラックインクを吐出させ、その直後に光照射装置17からブラックインクに光を照射してブラックインクを硬化させる。続いて、記録ヘッド14からシアンインクを吐出させるとともに、光照射装置18から光を照射してシアンインクを硬化させる。同様に、記録ヘッド15を動作させてマゼンタインクを記録媒体2に吐出させ、光照射装置19により硬化させる。その後、記録ヘッド16を動作させてイエローインクを記録媒体2に吐出させ、光照射装置20により記録媒体2に着弾したインク全てを完全に硬化させる。
【0044】
完全硬化後、記録媒体2の先端部が、搬送ベルト41の周面から離隔されると、記録媒体2は、搬送ローラ11により搬送されて、排出トレイ9に排出される。
【0045】
以上のように、本実施形態の画像記録装置1によれば、制御装置が、画像記録以前に、複数の光照射装置17,18,19,20の測定値と、目標光量値とを比較し、複数の光照射装置17,18,19,20の測定値のうち、少なくとも1つの測定値が目標光量値未満である場合には、測定値が目標光量値未満であった光照射装置17,18,19,20の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
【0046】
また、各単位ヘッドUと、それに対応するスリット221の距離が一定であるので、いずれの単位ヘッドUから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、光照射装置17,18,19,20には、光源Lを汚れから保護する保護部材23が交換自在に設けられているので、光源L自体が汚れることはなく、光量が低下したとしても保護部材23を交換すれば、光量を復帰させることができる。
【0047】
そして、光量を増加させた光照射装置17,18,19,20においても、当該光照射装置17,18,19,20に対応する光量測定センサ24からの検出結果が目標光量値に至らないまでも増加している場合には、報知部34が光照射装置17,18,19,20の保護部材23の交換を報知するので、保護部材23の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
さらに、光量を増加させた光照射装置17,18,19,20においても、当該光照射装置17,18,19,20に対応する光量測定センサからの検出結果が増加していない場合には、報知部34が光照射装置17,18,19,20の光源Lの交換を報知するので、光源Lの交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態で例示される光照射装置17,18,19,20では、単一の光源Lからの光を各単位ヘッドUに対応するように透過させるためにスリット221を用いているが、各単位ヘッドUに対応するように複数の光源が配列された光照射装置を用いてもよい。こうした場合、各光源毎に光量を制御できるのでさらに精密な制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、各光照射装置17,18,19,20の光が確実に各光量測定センサ24に届くように、搬送ベルト41が搬送方向Xに直交する方向に沿って複数に分割されているが、例えば、図10(b)に示すように搬送ベルト41Aに光照射装置17,18,19,20及び各光量測定センサ24を対峙させる開口部41aを、各光量測定センサ24に応じて形成してもよい。こうした場合、搬送ベルト41Aが記録媒体2の平面性を維持しつつ搬送できるように、
開口部41aは柔軟性を有した金属部品で形成され、その金属部品両端にベルト部材が固定される構造となっている。そして、この開口部41aが各記録ヘッド13,14,15,16及びそれに対応する光量測定センサ24を下方に臨ませる大きさに開口されていれば、例えば、図10(a)に示すように、各記録ヘッド13,14,15,16の吐出面を覆ってメンテナンスを行うための昇降自在なキャップ部材25を、搬送ベルト41Aの下方に設置することができ、これにより記録ヘッド13,14,15,16のメンテナンス時及び光照射装置17,18,19,20の光量測定時においても、搬送ベルト41Aが邪魔にならない。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、光照射装置自体が汚れることを防止でき、光量が低下したとしても保護部材を交換すれば、光量を復帰させることができる。
また、制御装置が、画像記録以前に、光照射装置の測定値と目標光量値とを比較し、測定値が目標光量値未満である場合には、光照射装置の光量を目標光量値以上となるまで増加させるので、インクミスト等の付着により光照射装置が汚れていたとしても、インクの硬化に必要なだけの光量を確保でき、安定した画質の画像を記録することができる。
そして、光量を増加させたにもかかわらず、光照射装置の測定値が目標光量値に至らなければ、報知部が光照射装置の保護部材の交換を報知するので、保護部材の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
請求項2記載の発明によれば、1つの記録ヘッドに設けられる複数の単位ヘッドが、直線状に配列されていない場合においても、各単位ヘッドからの距離が同一となるように、各スリットを形成しておけば、いずれの単位ヘッドから吐出されたインクに対しても、着弾から照射までの時間を一定にすることができる。したがって、ドット径のばらつきを抑えることができ、画質を向上させることができる。
また、保護部材が、スリットを覆うように配置されているので、スリットからインクミスト等が侵入することを防止できる。
請求項3記載の発明によれば、光源の交換時期を間違えることなく、確実に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における画像記録装置の概略構成を表す概略図である。
【図2】図1の画像記録装置に備わる記録ヘッド及び光照射装置を表す底面図である。
【図3】図2の記録ヘッドに備わる単位ヘッドの吐出口を表す底面図である。
【図4】図2の記録ヘッドに備わる複数の単位ヘッドの吐出口を表す底面図である。
【図5】図1の画像記録装置に備わる光照射装置の側断面を表す分解図である。
【図6】図2の記録ヘッド及び光照射装置を表す側面図である。
【図7】図1の画像記録装置の主制御部分を表すブロック図である。
【図8】図7の画像記録部の構成を表すブロック図である。
【図9】図1の制御部が光量測定時に行う制御手順を示すフローチャートである。
【図10】画像記録装置の変形例を表す説明図である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
2 記録媒体
4 搬送装置
17,18,19,20 光照射装置
21 反射部材
22 スリット部材
23 保護部材
24 光量測定センサ
34 報知部
54 光量目標値記憶部(記憶部)
221 スリット
U 単位ヘッド
L 光源
Claims (3)
- 記録媒体を搬送する搬送装置と、
光硬化性のインクを前記記録媒体に向けて吐出する複数の単位ヘッドを、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に沿って配列してなる記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記搬送方向における下流側で、前記複数の単位ヘッドから吐出されて前記記録媒体に着弾した前記インクに対して光源から光を照射する光照射装置と、
前記光照射装置の前記記録媒体側に配置され、透光性を有する交換自在な保護部材と、
前記光照射装置の光量を測定する光量測定センサと、
前記光照射装置の目標光量値を記憶する記憶部と、
前記光照射装置の状態を報知する報知部と、
前記光量測定センサの測定値及び前記記憶部の前記目標光量値を基に前記光照射装置の光量及び前記報知部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、画像記録以前に、前記光照射装置の前記測定値と、前記目標光量値とを比較し、前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値未満である場合には、前記光照射装置の光量を前記目標光量値以上となるまで増加させ、光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が前記目標光量値に至らなければ、前記光照射装置の前記保護部材の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1記載の画像記録装置において、
前記光照射装置は、
前記複数の単位ヘッドのそれぞれに対応するように前記光源からの光を前記記録媒体上に透過させる複数のスリットを有し、前記光源の前記記録媒体側に配置されるスリット部材と、
前記光源の前記記録媒体側の反対側に配置され、前記複数のスリットのそれぞれに向けて前記光源からの光を集光する反射部材とを備え、
前記光源は、前記記録ヘッドの全幅にわたって配置され、
前記保護部材は、前記スリットを覆うように配置されていることを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1又は2記載の画像記録装置において、
前記制御装置は、前記光量増加後の前記光照射装置の前記測定値が、光量増加以前の測定により得られた前記測定値から増加していない場合には、前記光照射装置の前記光源の交換を報知するように、前記報知部を制御することを特徴とする画像記録装置。
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