JP2004291510A - 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】面積階調方式に基づいて画像を形成する場合、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを任意の割合で配合して画像を出力できる。
【解決手段】画像処理装置13は、インクにより画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する。そして、画像処理装置13は、蛍光インクを用いて画素を表すドット位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドット位置とを主走査方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】画像処理装置13は、インクにより画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する。そして、画像処理装置13は、蛍光インクを用いて画素を表すドット位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドット位置とを主走査方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタなどにおいて、画像を再現するため画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、複写機やプリンタなどで、減法混色に基づいてペーパー等に記録された画像は、ディスプレイなどにより加法混色に基づいて出力された画像よりも色再現域が狭い。そこで、減法混色に基づいて画像を出力する画像処理の技術分野においては、色再現域の拡張および色相の改良のため、さまざまな色材の探索や蛍光物質の使用の検討がなされている。
【0003】
上述した色再現域の拡張および色相の改良を実現する技術として、例えば、特許文献1に開示されているカラー画像形成方法がある。特許文献1に記載のカラー画像形成方法によれば、減法混色に基づいて形成されるハードコピーにおいて、非蛍光インクに蛍光インクを添加して色補正することにより、再現可能な色域を広げ、また色相を改良している。特許文献1によれば、これにより、減法混色に基づいて形成されるハードコピーであっても、加法混色に基づいてCRT(cathode−ray tube)から出力する画像や液晶パネルから出力する画像に近い色再現を行えるものとされている。
【0004】
より詳細に説明すると、カラー画像形成方法に用いられる非蛍光インクに対して、例えば、発光特性を有する蛍光インクを加えるなどして加法混色を行う。これにより、非蛍光インクの副吸収をキャンセルでき、その非蛍光インクの色相における理想的な分光スペクトルに近づけることができるというものである。特許文献1によれば、このようにして、非蛍光インクに蛍光インクを配合した混合インクを用いて減法混色を行うと、色再現域を広げることができるとされている。
【0005】
一方、減法混色に基づいて画像を形成する手段として、例えばインクジェットプリンタなるものが存在する。このインクジェットプリンタにおいて、出力画像の階調を表現する方式として面積階調方式が存在する。この面積階調方式とは、所定範囲内に少なくとも1以上のドットを付着させ、上記所定範囲の面積に占めるドットの数を変化させることにより、階調を表現した方式をいう。
【0006】
1ドット単位の吐出量が一定、もしくは、1ドット単位の吐出量を数段階しか調整できないインクジェットプリンタにおいて、この面積階調方式を採用することにより、多段階の濃淡を表現できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−181170号公報(公開日:2000年6月30日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、非蛍光インクと蛍光インクとを配合させることにより、減法混色における色再現域の拡大を図る手法まで開示されているものの、非蛍光インクと蛍光インクとを用いつつ、上述した面積階調方式に基づいて色再現域の拡張を図る具体的手法まで開示されていない。
【0009】
本発明の目的は、面積階調方式に基づいて画像を形成する場合、非蛍光インクと蛍光インクとを任意の割合で配合して画像を出力する画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、上記課題を解決するために、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、ドットデータとは、いわゆる面積階調方式に基づき形成される画像を表現するための2値化データであって、面積階調方式に基づきインクの吐出/非吐出を表したデータとする。なお、基準方向とは、いわゆる主走査方向または副走査方向をいう。
【0012】
上記構成の画像処理装置によれば、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられている。したがって、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを基準方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0013】
ここで、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとができるだけ分散するように上記所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0014】
なお、上記構成によれば蛍光着色剤と非蛍光着色剤を用いて画像を出力しているので、上記構成の出力画像の色再現域は、非蛍光着色剤のみから出力した画像の色再現域より広い。従って、入力画像データが非蛍光着色剤のみからでは再現できないような階調であっても、上記構成によれば、当該階調を再現することが可能となる。
【0015】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤順序データは、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とが定められたデータであることを特徴とする。
【0016】
着色剤により画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置では、入力画像の画素に対応する所定範囲内に複数のドットを付着させることにより、当該所定範囲の階調を表現している。したがって、上記構成の画像処理装置によれば、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、上記着色剤順序データにおける非蛍光着色剤に対応する要素数と蛍光着色剤に対応する要素数とを定めれば、上記配合比率の目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力している。これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率を変更することが可能となる。
【0019】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、原稿画像の種類を判別する原稿画像判別部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、上記原稿画像判別部が原稿画像の種類を判別して、上記着色剤選択処理部が、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。したがって、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから画像を出力することが可能となる。なお、原稿画像の種類として、例えば、文字原稿、写真原稿、文字と写真とが混在した原稿等の種類がある。
【0021】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、画像データに関する各画素を複数の領域に分類する領域分離処理部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0022】
ここで、画像データとは、撮像デバイスを備えた画像入力装置によって取り込まれた入力画像の1単位を示す画素ごとに与えられるデジタルデータを意味する。したがって、出力画像の1単位であるドットとは異なる場合がある。
【0023】
上記構成によれば、領域分離処理部が画像データに関する各画素を複数の領域に分類している。そして、上記着色剤選択処理部が、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。
【0024】
したがって、上記構成によれば、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能となる。なお、上記複数の領域に関する画素として、例えば、文字領域に関する画素、網点領域に関する画素、写真(印画紙)領域に関する画素がある。
【0025】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、各画素の画像データを色情報データに変換する色情報データ生成部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0026】
ここで、色情報データとは、明度、彩度、色度、色相角度等の色に関する画像データをいう。
【0027】
上記構成によれば、色情報データ生成部が、画素ごとに上記画像データを色情報データに変換する。そして、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。したがって、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能となる。つまり、原稿画像から、非蛍光着色剤のみでは出力できないような色を画像データとして取り込んだ場合でも、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合することで色再現域を拡張して、より原稿画像に近い色を出力できる。
【0028】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データとは、明度および/または彩度に関するデータであることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光着色剤のみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能となる。なお、上記色情報データは、明度および彩度および色相のデータとしても構わない。
【0030】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を、記憶色に係る画素と特定し、上記着色剤選択処理部は、記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を記憶色に係る画素と特定する。そして、上記着色剤選択処理部は、上記記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。ここで、記憶色に係る画素の色再現を行う場合、一般的に高彩度の色を再現することが要求される。上記構成によれば、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序データが読み出されるので、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能となる。
【0032】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記配合比率の目標値を入力できる入力手段が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記目標値に基づいて、基準着色剤順序データの非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とを定めることを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、例えば、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率または非蛍光着色剤の配合比率の目標値を入力手段から入力できる。そして、上記着色剤選択処理部は、入力した配合比率の目標値に基づいて、基準着色剤順序データの上記非蛍光着色剤に対応する要素と上記蛍光着色剤に対応する要素とを定めている。したがって、1つの基準着色剤順序データのみを、例えばROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率の目標値または非蛍光着色剤の配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできる。
【0034】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを順次読み出していくことを特徴とする。
【0035】
ここで、主走査ラインとはインクを吐出するヘッドの駆動方向に沿ったラインをいう。
【0036】
上記構成によれば、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを読み出している。したがって、主走査ラインのみならず主走査ラインと直交するライン(副走査ライン)に向かって蛍光着色剤に係るドットと非蛍光着色剤に係るドットとをできるだけランダムに並べることができる。これにより、出力画像に蛍光着色剤と非蛍光着色剤との縞が生じることもなく、蛍光着色剤と非蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。
【0037】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、色成分のドットデータごとに、上記配合比率が異なる着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0038】
上記構成によれば、色成分ごとに、上記配合比率を異ならせることができる。したがって、原稿画像の色域の広がりが上記色成分ごとに異なる場合であっても、色成分のドットデータごとで蛍光着色剤の配合比率を適切なものとすることができる。
【0039】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記画像処理装置と、上記画像処理装置から送られてきたドットデータに基づいて、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0040】
上記画像形成装置によれば、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置と上記画像処理装置とを備えている。したがって、1ドット当たりの着色剤吐出量が一定であっても、非蛍光蛍光剤と蛍光着色剤との配合比率を自由に選択して、画像を形成することが可能となる。
【0041】
本発明の画像処理方法は、上記課題を解決するために、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理方法であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力するステップを備えることを特徴とする。
【0042】
上記手順によれば、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する。したがって、上記ドットデータに基づいて、上記非蛍光着色剤または上記蛍光着色剤のいずれかを吐出することにより、出力画像の各ドットを形成しているので、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを基準方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0043】
ここで、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0044】
本発明の画像処理プログラムは、上記課題を解決するために、上記画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。また、本発明の画像処理プログラムは、上記課題を解決するために、上記画像処理装置が備えている各部に対して、コンピュータを機能させるための画像処理プログラムであってもよい。さらに、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能にしてなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体としても構わない。
【0045】
これにより、上記記録媒体、またはネットワークを介して、一般的なコンピュータに画像処理プログラムをインストールすることによって、該コンピュータを用いて上記の画像処理方法を実現する、言い換えれば、該コンピュータを画像処理装置として機能させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法の実施の一形態を、図に基づいて、以下説明する。
【0047】
本実施の形態に係る画像処理装置が備えられたデジタルカラー複写機(複合機であっても良い)の構成を図1に示す。
【0048】
デジタルカラー複写機(画像形成装置)11は、カラー画像入力装置12,カラー画像処理装置13,カラー画像出力装置14、操作パネル27を備えている。
【0049】
カラー画像入力装置(以下、「画像入力装置」とする)12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )等の撮像デバイスを備えたスキャナ部より構成され、原稿からの反射光像をR,G,B(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号としてCCDにて読み取って、上記アナログ信号をカラー画像処理装置13に入力するものである。
【0050】
カラー画像処理装置(以下、「画像処理装置」とする)13は、画像入力装置12から送られてきたR,G,Bのアナログ信号を、R,G,Bのデジタル画像データ(以下、「画像データ」とする)に変換すると共に、種々の画像処理を施したC,M,Y,K(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:黒)の各色成分の画像データを、さらに面積階調方式に基づく画素ごとに与えられる2値化データに変換して、カラー画像出力装置14に入力するものである。
【0051】
つまり、ここでの画像データとは画像入力装置12によって取り込まれた入力画像の1単位を示す画素ごとに与えられるデジタルデータをいう。一方、画素ごとに与えられる2値化データ(以下、「ドットデータ」とする)とは、いわゆる面積階調方式に基づき形成される画像を表現するための2値化データをいう。すなわち、ここでの面積階調方式とは、所定範囲において、該所定範囲内に少なくとも0以上のドットを付着させ、該所定範囲の面積に占めるドット数を変化させることにより、該所定範囲の階調を表現した方式をいう。なお、画像処理装置13の具体的構成については、後に詳述する。
【0052】
カラー画像出力装置(以下、「画像出力装置」とする)14は、画像処理装置13から送られてきたC,M,Y,Kごとのドットデータに基づいて、記録材上において画像を再現するインクジェット方式のプリンタである。なお、画像出力装置14の具体的構成については後に詳述する。
【0053】
操作パネル(入力手段)27は、例えば液晶ディスプレィ等の表示部とデジタルカラー複写機11全体の動作を制御する設定ボタン(例えば、コピーを行う原稿種別を表す画像モード(文字モード・文字写真モード・写真モード等)を設定)等から構成される。
【0054】
つぎに、画像処理装置13の具体的構成について説明する。画像処理装置13は、A/D変換部15、シェーディング補正部16、原稿種別自動判別部(原稿画像判別部)17、入力階調補正部18、領域分離処理部19、色補正部(色情報データ生成部)20、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、出力階調補正部23、階調再現処理部24、着色剤選択処理部25、および出力変換部26から構成されている。
【0055】
画像入力装置12にて読み取られたアナログ信号は、画像処理装置13内を、A/D変換部15、シェーディング補正部16、原稿種別自動判別部17、入力階調補正部18、領域分離処理部19、色補正部20、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、出力階調補正部23、階調再現処理部24、着色剤選択処理部25、および出力変換部26の順で送られ、C,M,Y,Kのドットデータとして、画像出力装置14へ送信される。
【0056】
A/D(Analog to Digital)変換部15は、R,G,Bのアナログ信号に対して標本化および量子化を行うことにより、R,G,Bのデジタル画像データ(画像データ)を生成し、これらをシェーディング補正部16へ送信するブロックである。
【0057】
シェーディング補正部16は、A/D変換部15より送られてきたR,G,Bの画像データに対して、画像入力装置12の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除くための補正処理を施すブロックである。また、シェーディング補正部ではカラーバランスを整える処理が行われる。シェーディング補正処理がなされたR,G,Bの画像データは、原稿種別自動判別部17へ送信される。
【0058】
原稿種別自動判別部17は、シェーディング補正部16にて各種の歪みが取り除かれ、カラーバランスの調整がなされたR,G,Bの画像データ(反射率信号)に対し、カラー画像処理装置13に採用されている画像処理システムの扱い易い画像データ(例えば濃度信号)に変換すると共に、入力した原稿画像が、文字原稿であるか、印刷写真または印画紙写真等の写真原稿であるか、あるいはそれらを組み合わせた文字/写真原稿であるかの判別を自動的に行うブロックである。なお、原稿種別自動判別部17の詳細については、後に詳述する。
【0059】
入力階調補正部18は、原稿種別自動判別部17より送られてきたR,G,Bの画像データに対し、下地濃度の除去やコントラストなどの画質調整処理を施すブロックである。
【0060】
領域分離処理部19は、入力階調補正部18から送られてきたR,G,Bの画像データより、入力画像の各画素が文字領域、網点領域、写真領域の何れに属するかを識別するブロックである。さらに、領域分離処理部19は、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、階調再現処理部24、および着色剤選択処理部25へと送信すると共に、入力階調補正部18から送信されたR,G,Bごとの画像データをそのまま後段の色補正部20に送信する。
【0061】
色補正部20は、領域分離処理部19から送られてきたR,G,Bの画像データを、C,M,Yの画像データへ変換すると共に、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むC,M,Y色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く色補正処理を行うブロックである。
【0062】
黒生成下色除去部21は、色補正部20から送られてきたC,M,Yの画像データから黒色成分(K)の画像データを生成する黒生成処理を行う。そして、黒生成下色除去部21は、元のC,M,Yの画像データから、黒生成処理で得たKデータを差し引いて新たなC,M,Yの画像データを生成する処理を行うブロックである。つまり、黒生成下色除去部21では、C,M,Yの画像データ(すなわち、3色データ)が、C,M,Y,Kの画像データ(すなわち、4色データ)に変換される。
【0063】
なお、黒生成処理の一例として、スケルトンブラックによる黒生成を行う方法(一般的方法)がある。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y,出力されるデータをC’,M’,Y’,K’、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去部21による処理は以下の式で表わされる。
K’=f{min(C,M,Y)}
C’=C−αK’
M’=M−αK’
Y’=Y−αK’
空間フィルタ処理部22は、黒生成下色除去部21から入力されるC,M,Y,Kの画像データに対して、領域分離処理部19から送られてきた領域識別信号を基に、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行う。これにより、C,M,Y,Kの画像データの空間周波数特性を補正することができ、出力画像のぼやけや粒状性劣化を防ぐように処理することができる。
【0064】
例えば、領域分離処理部19にて文字領域と識別された画素に対して、上記空間フィルタ処理における鮮鋭度強調処理で、高周波数のデータが強調される。これにより、出力画像において、特に黒文字或いは色文字の再現性を高めることができる。また、領域分離処理部19にて網点領域と識別された画素に対しては、空間フィルタ処理部22において、ローパス・フィルタ処理が施され、入力画像の網点成分が除去される。
【0065】
出力階調補正部23は、各画素に関して、C,M,Y,Kの画像データを、画像出力装置14の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行うブロックである。
【0066】
階調再現処理部24は、出力階調補正部23より送信されるC,M,Y,Kの画像データを、最終的に画像を画素ごとに分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)が施されるブロックである。つまり、階調再現処理部24は、領域分離処理部19から送られてきた領域識別信号を基に、画素ごとのC,M,Y,Kの画像データから、広域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでのC,M,Y,Kのドットデータを生成するブロックである。
【0067】
なお、本実施の形態においては、画像出力装置14はインクジェット方式を用いた記録装置とし、該記録装置のヘッドにおけるインク吐出量は一定であるので、階調再現処理部24で2値化データとしてのドットデータを生成することとしている。しかし、画像処理装置13が、ヘッドのインク吐出量を数段階に変化させることのできる画像出力装置14と接続されている場合、階調再現処理部24において生成されるドットデータは、多値化データとなる。
【0068】
また、画像出力装置14において、同色系統の濃度の異なるインク(濃インク・淡インク)を用いて印刷する場合、階調再現処理部24は、各画素に係るC,M,Y,Kの画像データに基づいて、ライトシアン,ライトマゼンタ等のドットデータを生成してもよい。
【0069】
着色剤選択処理部25は、階調再現処理部24から送られてきたC,M,Y,Kのドットデータに関し、図示しない補助記憶装置(例えば、ROM等)に格納されている着色剤順序パターン(着色剤順序データ)に基づいて、C,M,Y,Kのドットデータと、Cf(シアン蛍光),Mf(マゼンタ蛍光),Yf(イエロー蛍光)のドットデータとをさらに出力するブロックである。つまり、着色剤選択処理部25は、ある色成分のドットデータが入力されると共に、上記着色剤順序パターンに基づいて、当該色成分のドットデータまたは当該色成分と同一色相の蛍光インクのドットデータを出力する。なお、階調再現処理部24および着色剤選択処理部25での処理の詳細は後述する。
【0070】
出力変換部26は、着色剤選択処理部25から送られてきたドットデータを、画像出力装置14のヘッド(C・M・Y・K・Cf・Mf・Yfのインクジェットヘッド)の並びに応じたドットデータに変換する処理を実行するブロックである。
【0071】
上述した各処理が施されたC・M・Y・K・Cf・Mf・Yfのドットデータは、一旦記憶手段(図示せず)に記憶された後、所定のタイミングで読み出されて、画像出力装置14へ入力される。なお、以上の処理は、図示しないRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置を作業領域として実行されると共に、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって制御される。
【0072】
つぎに、画像出力装置14の構成について詳細に説明する。図10は、画像出力装置14の一例であるインクジェット記録装置の全体構成を示す透視斜視図である。画像出力装置14は、大略的に、インクジェットヘッド(以下、「ヘッド」とする)30、キャリッジ31、搬送ローラ32、ガイドシャフト33、保持手段34、モータ35、駆動ベルト36およびメンテナンスユニット37により構成される。
【0073】
キャリッジ31は、ヘッド30を搭載し、用紙等の記録材に対して、矢符X1およびX2方向の主走査方向に相対的に移動可能である。そして、記録材は図示しない給紙部から矢符Yの副走査方向に給送されながら、矢符X1およびX2方向に移動するヘッド30により画像形成が行われる。給紙部に備えられている記録材は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ送り出され、記録材搬送手段である搬送ローラ32により、ヘッド30と対向する位置に供給される。記録が終了した記録材は排紙部(図示せず)に排出される。
【0074】
ヘッド30は、主走査方向に延びるガイドシャフト33および保持手段34上に摺動自在に支持されて、記録材に対する位置が決められる。さらに、駆動手段であるモータ35によって駆動される駆動ベルト36がガイドシャフト33と平行に張架されており、ヘッド30は駆動ベルト36によって変位駆動される。なお、メンテナンスユニット37は、ヘッド30のクリーニングなどのメンテナンスが実施される部分である。
【0075】
また、図11に示すように、ヘッド30には、複数の色成分、例えば、C・M・Y・Kに加えて、Cf・Mf・Yfの7色のインクに係るインクタンク40が、色ごとに備えられている。これらのインクは、画像処理装置13より送信されるドットデータに応じて、互いに別々の吐出口(ノズル)より記録材上に吐出される。
【0076】
ところで、本実施の形態に係る画像処理装置および画像処理方法は、蛍光インク(蛍光着色剤)を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置とを主走査方向(基準方向)に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターン(図3に示す)に基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25に特徴がある。すなわち、上記ドットデータに基づいて画像を出力すれば、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0077】
ここで、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色インクと蛍光着色インクとがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光インクと蛍光インクとが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0078】
また、図3に示す各着色剤順序パターン(着色剤順序データ)は、非蛍光インクに対応する要素と蛍光インクに対応する要素とを定めたデータとも言える。したがって、出力画像に占める蛍光インク(または非蛍光インク)の配合比率が、オペレータが所望とする目標値になるように、上記着色剤順序パターンにおける非蛍光インクに対応する要素数と蛍光インクに対応する要素数とを定めれば、出力画像に占める蛍光インクの配合比率も定まるので、配合比率の上記目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光インクの配合比率の自由度を高めることができる。
【0079】
一方、上記記録材上で生成される画像に蛍光インクを配合する手法として、ほぼ同一のドット位置に非蛍光インクと蛍光インクとを重ねて付着させることにより、蛍光インクが配合された画像を生成する手法も考えられる。ところが、この手法によれば、非蛍光インクと蛍光インクとを吐出する順序により再現される色調(色相角度・明度・彩度)が異なるため、吐出する順序を制御する必要があるが、この本実施の形態における方法では、基本的に、このような制御は必要ない。
【0080】
ただし、本実施の形態においても、1ドット当たりに吐出するインク量を複数段階に切り換える、いわゆる重ね打ちをすることによって、複数ドットから構成される所定範囲の階調をさらに細分化して表現することが可能となる。つまり、1ドットあたりで蛍光インクと非蛍光インクとを重ね打ちをしつつ、面積階調による効果により各ドットから構成される画像について、蛍光インクが混ざってみえる。
【0081】
以下、本実施の形態における階調再現処理から着色剤選択処理までの処理の流れを図2に基づいて説明する。なお、以下の説明において、各色成分の画像データ(濃度データ)に対する処理は、色成分ごとで閾値の具体的な値が異なるだけであるので、ある色成分の画像データおよびドットデータに対する処理だけを説明する。
【0082】
まず、階調再現処理部24が、出力階調補正部23により処理が施された画素ごとの画像データに対して、誤差拡散処理に基づいた中間調生成により2値化処理を行い(S1)、ドットデータを生成する。この2値化処理は、誤差拡散処理でなく、ディザ処理やブルーノイズマスク処理に基づいたものであっても構わない。そして、階調再現処理部24は、着色剤選択処理部25へドットデータを出力する。
【0083】
S1における2値化処理の結果、着色剤選択処理部25は、インクを吐出させないドット(例えば「0」)について、着色剤選択処理を行わずに次のドットに対する処理へ移行する(S2,NO)(つまり、非蛍光インクおよび蛍光インクのいずれも吐出させない)。
【0084】
一方、S1における2値化処理の結果、インクを吐出させるドット(例えば「1」)について、着色剤選択処理部25は、非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力するか、蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力するかの着色剤選択処理を行う(S2,YES)。
【0085】
着色剤選択処理は、図3(a)〜図3(g)に示す着色剤順序パターンを用いることにより行われる。なお、図3(a)〜図3(g)に示す着色剤順序パターンにおいて、「非」は非蛍光インクのドットに対応する要素を示し、「蛍」は蛍光インクのドットに対応する要素を示す。つまり、着色剤順序パターンの各要素は出力画像の各ドットと1対1で対応している。また、カッコ内の「0」は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを示し、「1」は蛍光インクを吐出する旨のドットデータを示す。
【0086】
例えば、オペレータが、操作パネル27を介して、画像出力装置14にて形成される画像に占める蛍光インクの配合比率を0.5と設定する場合、着色剤選択処理部25は、図示しないROMから図3(a)に示す着色剤順序パターンを選択して読み出す(S3)。なお、以下では、特に断らない限り、配合比率とは出力画像全体に占める蛍光インクの配合比率をいう。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、出力画像全体に占める非蛍光インクの配合比率であってもよい。
【0087】
そして、着色剤選択処理部25は、図3(a)の着色剤順序パターンの各要素のうち、処理対象となるドットと対応する要素に係るデータを読み出し、「非」のデータか否かを識別する(S4)。ここで、着色剤選択処理部25は、「非」のデータになっている要素に対応するドットについては、非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する(S5)。一方、着色剤選択処理部25は、「蛍」のデータになっている要素に対応するドットについては、蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する(S6)。
【0088】
例えば、S1における2値化処理の結果、最初にインクを吐出することとなったドットが、図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符aの要素と対応する場合、着色剤選択処理部25は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0089】
さらに、2値化処理の結果、次にインクを吐出することとなったドットは、図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符bの要素と対応することになる。これにより、着色剤選択処理部25は蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0090】
ここで、図3(a)の着色剤順序パターンは2つの要素から構成されているので、つぎの2値化処理の結果、インクを吐出することになったドットは、再び図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符aの要素と対応することになる。これにより、着色剤選択処理部25は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0091】
このように、着色剤選択処理部25が、インクを吐出することとなった各ドットに対し、読み出した着色剤順序パターンの各要素を繰り返し対応させることで、蛍光インクを吐出する/しない旨のドットデータを出力することとしている。これにより、配合比率を0.5に近づけることができる。さらに、このようにして出力される画像においては、非蛍光インクに係るドットと蛍光インクに係るドットとが主走査方向に向けて交互に配置されることとなるので、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光インクと蛍光インクとが、いかにも混ざっているようにみえる。
【0092】
そして、着色剤選択処理部25は、全てのドットデータに対して着色剤選択処理が終了していない場合、次のドットに対する処理に移行する(S7,NO)。一方、着色剤選択処理部25は、全てのドットデータに対して着色剤選択処理を終了している場合は、処理を終了する(S7,YES)。
【0093】
さらに、本実施形態では、図3(a)から図3(f)に示す複数の着色剤順序パターンが上記ROMに予め格納されているものとする。また、上記複数の着色剤順序パターンは、上記配合比率をそれぞれで異ならせている。また、これらの着色剤順序パターンのなかには、非蛍光インクを吐出する旨のデータのみからなる図3(e)に示すものや、蛍光インクを吐出する旨のデータのみからなる図3(f)に示すものも存在する。そして、オペレータが、例えば操作パネル27を介して、1画像を処理する度に、目標とする配合比率を入力すると共に、着色剤選択処理部25が、この目標とする配合比率に応じて、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出すことも可能である。これにより、画像を出力する度に、上記配合比率を変更することが可能となる。
【0094】
ただし、面積階調方式に基づいた画像形成において蛍光インクを配合するためには、複数の着色剤順序パターンが上記ROMに格納されていなくてもよく、少なくとも1以上の着色剤順序パターンが上記ROMに格納されていればよい。
【0095】
また、着色剤選択処理部25により読み出される着色剤順序パターンは、以下の手順で読み出されても構わない。
【0096】
例えば、画像処理装置13において、「色再現域普通モード」、「色再現域広モード」、「色再現域狭モード」が設定されているものとする。そして、オペレータが、操作パネル27を介して「色再現域普通モード」を選択した場合、S3において、図3(a)の着色剤順序パターン(配合比率0.5)が着色剤選択処理部25により読み出される。また、オペレータが、操作パネルを介して「色再現域狭モード」を選択した場合、S3において、図3(e)の着色剤順序パターン(配合比率0)が着色剤選択処理部25により読み出される。さらに、オペレータが、操作パネルを介して「色再現域広モード」を選択した場合、S3において、図3(f)の着色剤順序パターン(配合比率1)が着色剤選択処理部25により読み出される。このように設定する理由は、従来技術の項で説明したように、非蛍光インクに蛍光インクを配合することにより、減法混色をすることによって生成される画像における色再現域を拡張させることができるからである。
【0097】
なお、ある主走査ラインの各ドットに対しての処理がなされた後、つぎの主走査ラインの各ドットに対しての処理に移行した場合、着色剤選択処理部25は、前の主走査ラインにおける着色剤順序パターンの順序を次の主走査ラインにおいても、そのまま引き継いで用いてもよい。
【0098】
また、ある主走査ラインの最初に処理されたドットに対応する要素と、次の主走査ラインの最初に処理するドットに対応する要素とを一致させるようにしてもよい。しかし、このような処理を行うと、以下に示す問題が生じる。
【0099】
例えば、図2のS1における2値化処理の結果、全ドットで着色剤を吐出することとなった部分(最大濃度部分)があった場合に、着色剤選択処理部25が図3(a)に示す着色剤順序パターンを読み出し、処理を行うと、副走査方向に向かって蛍光インクに係るドットが連続して配列すると共に、非蛍光インクに係るドットも副走査方向に向かって連続して配列することになる。この場合、オペレータは、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞ができているものと知覚してしまうことがある。
【0100】
したがって、図3(g)に示すように、上記配合比率が互いに同一であると共に、蛍光インクのドットに対応する要素と非蛍光インクのドットに対応する要素との順序が互いに異なる複数の着色剤順序パターンが上記ROMに備えられていることが好ましい。そして、着色剤選択処理部25は、上記配合比率が互いに同一であるものの、各要素の順序が互いに異なる着色剤順序パターンを主走査ラインごとで順次読み出していく。さらに、着色剤選択処理部25は、全ての着色剤順序パターンを読み出した後、繰り返し全ての着色剤順序パターンを順次読み出していく。すなわち、複数の主走査ラインを1周期として、各着色剤順序パターンが主走査ラインごとに順次読み出されていく。
【0101】
例えば、図3(g)に示すように、最初の主走査ラインcの処理においては参照符cの着色剤順序パターンが読み出される。したがって、最初の主走査ラインcにおいて、着色剤選択処理部25は、参照符hの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcにおいて、参照符iの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcにおいて、参照符jおよびkの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0102】
そして、つぎの主走査ラインdの処理において、参照符dの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdにおいて、参照符hの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdにおいて、参照符i,j,kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0103】
さらに、つぎの主走査ラインeの処理において、参照符eの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeにおいて、参照符h,i,jの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeにおいて、参照符kの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0104】
また、つぎの主走査ラインfの処理において、参照符fの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符h,iの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符jの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0105】
さらに、つぎの主走査ラインgの処理において、参照符cの着色剤順序パターンと同じ参照符gの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符hの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符iの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符j,kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0106】
このように、着色剤選択処理部25が、複数の主走査ラインを1周期として、互いに同一の配合比率であると共に蛍光インクのドットに対応する要素と非蛍光インクのドットに対応する要素との配列が互いに異なる複数の着色剤順序パターンを主走査ラインごとに順次読み出し、処理を行うと、副走査方向に向かって蛍光インクに係るドットと非蛍光インクに係るドットとをランダムに配列させることができる。これにより、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞が生じることもなく、蛍光インクと非蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。
【0107】
さらに、原稿種別自動判別部17による判別結果に基づいて、着色剤選択処理部25が、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出すようにしても構わない。
【0108】
原稿種別自動判別部17による処理方法は、特開2002−218232に記載されている手段が適用される。以下この手段について概説する。
【0109】
まず、画像入力装置12が原稿画像に対してプレスキャンを行い、読み込まれた画像データを基に、原稿種別自動判別部17が画像データの各値としての各階調に対する度数を示したヒストグラムを作成する。そして、原稿種別自動判別部17は、上記ヒストグラムより、予め定められる所定値より小さい低度数階調区分の区分数と、第1の最大度数の階調と、第2の最大度数の階調とを算出する。なお、第1の最大度数とは、上記ヒストグラムにおける最も度数の大きい区分におけるその度数をいう。第2の最大度数とは、上記ヒストグラムにおいて、最大度数の階調および最大度数の階調に隣接する階調以外の階調区分における最も度数の大きい区分のその度数をいう。さらに、原稿種別自動判別部17は、上記ヒストグラムにおける総画素数に対する第1の最大度数の割合、および上記総画素数を(第1の最大度数−第2の最大度数)で除算した値を算出する。
【0110】
そして、原稿種別自動判別部17は、上記低度数階調区分の区分数と予め定められた第1の閾値とを比較して、第1の閾値より上記低度数階調区分の区分数が大きければ、原稿画像が文字原稿であるものと判別する。さらに、原稿種別自動判別部17は、総画素数に対する第1の最大度数の割合と予め定められた第2の閾値とを比較して、第2の閾値より上記割合が高ければ、原稿画像が文字原稿であるものと判別する。
【0111】
また、原稿種別自動判別部17は、上記総画素数を(第1の最大度数−第2の最大度数)で除算した値と予め定められた第3の閾値とを比較して、第3の閾値より上記除算した値が大きければ、原稿画像が写真原稿であると判断する。
【0112】
さらに、原稿種別自動判別部17は、原稿画像を写真原稿であるものと判断した場合、当該原稿画像から取り込んだ入力画像データを2値化して、ある注目画素を含む複数の画素よりなるマスクを設定する。つぎに、原稿種別自動判別部17は、上記マスクにおける主走査方向および副走査方向での「0」から「1」、「1」から「0」への変化点数の和を求める。そして、原稿種別自動判別部17は、算出した上記変化点数の和が、予め定められている第4の閾値以上ならば、原稿画像を印刷写真(網点写真)と判別し、第4の閾値未満ならば原稿画像を印画紙写真と判別する。このように判別できる理由を説明する。印刷写真は網点から構成されており、読み込まれた入力画像データは局所領域における画像信号の変動が大きいからである。なお、処理の高速化のために、主走査方向の変化点数の和だけを求めても構わない。
【0113】
また、原稿種別自動判別部17は、文字原稿および写真原稿でないと判断される原稿については、文字と写真とが混在した原稿である文字/写真原稿であると判断する。
【0114】
そして、原稿種別自動判別部17は、このように判別された結果を示した原稿種別自動判定信号を出力し、着色剤選択処理部25へ送信する。ここで、着色剤選択処理部25は、原稿種別自動判別部17から送られてきた原稿種別自動判定信号に基づいて、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。
【0115】
着色剤選択処理部25は、原稿画像が文字原稿を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも低い着色剤順序パターン(例えば、図3(b)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、文字原稿に係る画像の彩度は比較的低いため、出力画像に多量の蛍光インクを配合することによる色再現域の拡大を図る必要がないためである。
【0116】
また、着色剤選択処理部25は、原稿画像が印画紙写真を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも高い着色剤順序パターン(例えば、図3(c)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、印画紙写真に係る画像の彩度は比較的高いため、出力画像に多量の蛍光インクを配合することによる色再現域の拡大を図る必要があるからである。
【0117】
さらに、着色剤選択処理部25は、原稿画像が文字/写真原稿あるいは印刷写真原稿を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも低く、文字原稿に対して読み出される着色剤順序パターンよりも蛍光インクの配合比率が高い着色剤順序パターン(例えば、図3(d)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、文字/写真原稿あるいは印刷写真原稿には、印画紙写真原稿ほどではないが文字原稿より彩度の高い色が存在することが多いからである。
【0118】
このように、上記構成によれば、原稿種別自動判別部17が原稿画像の種類を判別して、着色剤選択処理部25が原稿種別自動判別部17の判定結果に基づいて、配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクと蛍光インクとを原稿画像の種類に合った適切な比率で吐出させることにより、記録材上に画像を形成することが可能となる。なお、原稿種別の判別手段は上述した手順に限定されるものでなく、文字原稿,写真原稿等の種類を判別できる手段であれば、いかなる手段を用いても構わない。
【0119】
また、着色剤選択処理部25が、入力画像を構成する画像データから得られる画素ごとの色情報データに基づいて、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す構成としてもよい。この場合、色補正部20は明度彩度判定処理を実行することにより上記色情報データを出力する。なお、色情報データとは、明度、彩度、色相、色度等を示す画像データをいう。
【0120】
図4は、色補正部20の詳細な構成を示すブロック図である。また、図5は、色補正部20において実行される明度彩度判定処理(色情報データの生成)の各手順を示すフローチャートである。
【0121】
図4に示すように、色補正部20は、第1色座標変換部50,明度彩度判定部51,第2色座標変換部52より構成される。
【0122】
第1色座標変換部50は、領域分離処理部19から送られてきたR,G,Bの画像データを、L*,a*,b*の色情報データへ変換し、変換したL*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データにさらに変換して、明度彩度判定部51へ出力するブロックである。ここで、L*,a*,b*とは、CIE(Commission International de l’Eclairage:国際照明委員会)で定められているL*(明度)、a*・b*(色度)をいう。また、L*,C*,HにおけるL*値は明度、C*は彩度、Hは色相角度を表す。
【0123】
明度彩度判定部51は、第1色座標変換部50から送られてきた画素ごとのL*,C*,Hの色情報データから、入力画像の全画素における最大明度および最大彩度を求め、上記最大明度および最大彩度を示した選択信号を出力すると共に、該選択信号を着色剤選択処理部25へ送信するブロックである。また、明度彩度判定部51は、上記L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信するブロックでもある。
【0124】
第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から送られてきたL*,C*,Hの色情報データを、C,M,Yの画像データに変換して、変換後の画像データを黒生成下色除去部21へ送信するブロックである。
【0125】
以下、色補正部20における処理の手順を、図5に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0126】
まず、第1色座標変換部50が、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換する(S11)。ここで、R,G,Bの画像データからL*,a*,b*の色情報データを求める手段を説明する。
【0127】
まず、セットアップの段階で、予めカラーパッチを多数作成して、上記各カラーパッチに対応するL*,a*,b*値を測定すると共に、上記各カラーパッチを画像入力装置12に読み込ませて、各カラーパッチに対応するR,G,Bの画像データを得ておく。さらに、各カラーパッチが示すL*,a*,b*値とR,G,Bの画像データとの対応関係を表す変換行列、またはLUT(ルックアップテーブル)を予め作成して、図示しない演算用メモリに格納しておく。
【0128】
そして、第1色座標変換部50が原稿画像から読み込んだR,G,Bの画像データを上記演算用メモリに入力することにより、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換することができる。なお、L*,a*,b*の色情報データを求める手段は、ニューラルネットワークを用いた構成であっても構わない。
【0129】
さらに、第1色座標変換部50は、以下に示す演算により、上記L*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データに変換し(S12)、変換後のL*,C*,Hの色情報データを明度彩度判定部51へ送信する。
【0130】
【数1】
【0131】
つぎに、明度彩度判定部51は、第1色座標変換部50から送られてきたL*,C*,Hの色情報データから、入力画像の全画素における最大明度および最大彩度を求める。この手順を以下説明する。
【0132】
まず、明度彩度判定部51は、最大明度をL* max=0、最大彩度をC* max=0として設定、すなわち初期化を行う(S13)。そして、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データにおける明度であるL*とL* maxとを対比し、L*>L* maxの場合(S14,YES)、L* max=L*になるように最大明度としてのL* maxを更新する(S15)。一方、明度彩度判定部51は、L*≦L* maxの場合、L* maxを更新しない(S14,NO)。
【0133】
また、明度彩度判定部51は、その色情報データにおける彩度であるC*とC* maxとを対比し、C*>C* maxの場合(S16,YES)、C* max=C*になるように最大彩度としてのC* maxを更新する(S17)。一方、明度彩度判定部51は、C*≦C* maxの場合、C* maxを更新しない(S16,NO)。
【0134】
そして、明度彩度判定部51は、入力画像を構成する全画素に関して、S14からS17までの処理を終了していない場合、S14からS17までの処理を繰り返す(S18,NO)。一方、明度彩度判定部51は、入力画像を構成する全画素に関して、S14からS17までの処理を終了している場合、次のステップへ処理を移行する(S18,YES)。
【0135】
このようにして、S14〜S18の手順で得られたL* maxが入力画像の最大明度となり、C* maxが入力画像の最大彩度となる。そして、明度彩度判定部51は、L* maxおよびC* maxを示した選択信号を出力し(S19)、着色剤選択処理部25へ送信すると共に、L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信する。そして、第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から受け取ったL*,C*,Hの色情報データをC,M,Yの画像データに変換する(S20)。
【0136】
つぎに、色補正部20から上記選択信号を受け取った着色剤選択処理部25における処理を説明する。まず、着色剤選択処理部25は、予め定められているテーブルに格納されていて互いに上記比率を異とする複数の着色剤順序パターンから、上記選択信号に基づいていずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。なお、予め定められているテーブルとは、L* maxおよびC* maxの組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルをいう。
【0137】
さらに、着色剤選択処理部25では、このように選択された着色剤順序パターンに基づいて、出力画像の各ドットに関し、非蛍光インクを使用する旨のドットデータまたは蛍光インクを使用する旨のドットデータを出力する。このようにすることにより、非蛍光インクのみの減法混色では再現できない明度または彩度を示す色が原稿画像に存在する場合であっても、当該色を出力画像において再現することが可能となる。この点についてさらに詳細に説明する。
【0138】
図8(a)は、入力画像のあるL*値におけるa*・b*値の分布と、非蛍光インクから得られる色再現域を示したものである。上記入力画像において、最大明度または最大彩度を示す画素のL*,a*,b*値は、各色成分の非蛍光インクから得られる色再現域外の領域(図8(a)の斜線部)に属することが多い。
【0139】
したがって、このようなL*,a*,b*値を示す画素の画像データから、入力画像における色を適切に再現するためには、非蛍光インクと蛍光インクとを用いて画像を出力することにより、色再現域の拡大を図る必要がある。例えば、着色剤選択処理部25が、図3(c)に示す着色剤順序パターンを読み出すと、画像形成時における蛍光インクの配合比率が0.75となるので、色再現域を大幅に拡張でき、入力画像における色に近い色を出力画像において再現できるようになる。
【0140】
また、図8(b)に示すように、入力画像のa*・b*値の分布に偏りがある場合は、色成分ごとに異なる着色剤順序パターンを用いても構わない。例えば、図8(b)の入力画像から画像データを取り込んで、上記画像データから画像を出力する場合、M・Yに関しては非蛍光インクと蛍光インクとを用い、Cに関しては非蛍光インクを用いるようにしても構わない。
【0141】
すなわち、色成分ごとで、互いに異なる着色剤順序パターンを選択してもよく、同一の着色剤順序パターンを選択しても構わない。また、各色成分において、必ずしも蛍光インクを含んでいなくても良い。
【0142】
さらに、着色剤選択処理部25が、着色剤順序パターンを読み出した時点で上記配合比率が決まるので、L* maxおよびC* maxと着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルを代表的な色相毎に設定しておくのが好ましい。この場合、S14の処理の前に、L*,C*,Hの色情報データから画素ごとの色相判定を行い、判定された色相に基づいたテーブルから着色剤順序パターンを読み出すことになる。
【0143】
また、上述した手段では、明度彩度判定部51は、L* maxおよびC* maxを示した選択信号を出力しているが、L* maxのみを示した選択信号、またはC* maxのみを示した選択信号であって構わない。
【0144】
ここで、明度彩度判定部51が、L* maxのみを示した選択信号を出力する場合、着色剤選択処理部25において予め格納されているテーブルは、L* maxと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルとなる。
【0145】
また、明度彩度判定部51が、C* maxのみを示した選択信号を出力する場合、着色剤選択処理部25において予め格納されているテーブルは、C* maxと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルとなる。これにより、図9に示すように非蛍光インクのみから得られる色再現域と、入力画像のL*,C*値の分布とに大きな差がある場合であっても、上記色再現域を拡張できる。なお、この場合も、上記着色剤順序パターンを色相毎に設定しておくのが好ましい。
【0146】
また、明度彩度判定部51が、原稿画像全体より画像データを取り込んで、明度・彩度・色相の分布を求め、着色剤選択処理部25が可能な限り入力画像の色を再現できるように、色成分ごとに着色剤順序パターンを読み出しても構わない。また、ここで取り込まれる画像データは、全ての画素ではなく、数画素おきのデータでも構わない。例えば、間引き処理を行った数画素おきのデータやプレスキャンを行って主走査方向のデータのみを採用しても良い。プレスキャンは、通常、本スキャンより速い速度で走査されるので、入力されるデータは数ライン毎のデータとなる。
【0147】
さらに、図5のS19に示す手順における選択信号とは、入力画像の色情報データから導かれる最大明度および最大彩度であるが、すでに選択された着色剤順序パターンの種類を示すデータを選択信号としても構わない。つまり、図5に示す手順では、入力画像の最大明度および最大彩度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルが着色剤選択処理部25に格納されているが、画素ごとの明度および彩度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルが色補正部20に格納されている構成であってもよい。
【0148】
また、図5の手順では、入力画像の全画素に対応する各ドットに関し、入力画像における最大明度および/または最大彩度に基づいて、着色剤選択パターンの読み出しを行っている。しかし、画素ごとの明度および/または彩度に基づいて、当該画素に対応する各ドットデータに関し、着色剤選択パターンの読み出しを行ってもよい。この場合の明度彩度判定部51における手順を図12のフローチャートに基づいて以下説明する。
【0149】
まず、第1色座標変換部50が、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換する(S31)。さらに、第1色座標変換部50は、上記L*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データに変換し(S32)、変換後のL*,C*,Hの色情報データを明度彩度判定部51へ送信する。
【0150】
つぎに、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データから、明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルに基づいて、選択すべき着色剤順序パターンを示した選択信号を出力する。そして、上記選択信号は、着色剤選択処理部25へ画素ごとに送信される(S33)。なお、明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係とは、画素ごとの明度および彩度と、その明度および彩度を再現できるような上記配合比率の着色剤順序パターンとの関係をいう。
【0151】
ここで、着色剤選択処理部25は、画素ごとの上記選択信号に基づいて、図示しないROMに格納されている互いに配合比率を異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。さらに、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信する。そして、第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から受け取ったL*,C*,Hの色情報データをC,M,Yの画像データに変換する(S34)。ここで、入力画像を構成する全画素に関して、S31からS34までの処理を終了していない場合、S31からS34までの処理を繰り返す(S35,NO)。一方、原稿画像を構成する全画素に関して、S31からS34までの処理を終了している場合、次のステップへ処理を移行する(S35,YES)。
【0152】
また、上記テーブルは、画素ごとの明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したものであるが、明度と各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルであっても構わない。また、上記テーブルは、彩度と各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルであっても構わない。さらに、上記テーブルは、明度および彩度および色相角度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンの対応関係を示したテーブルであっても構わない。
【0153】
また、着色剤選択処理部25は、領域分離処理部19の処理結果に基づいて、領域ごとに配合比率の異なる着色剤順序パターンを読み出すこととしても構わない。これにより、出力画像における文字領域、網点領域、写真領域ごとで、蛍光インクの配合比率を異ならせることができ、より好ましい出力画像を形成することができる。
【0154】
なお、領域分離処理部19において、入力画像データを文字・網点・写真領域に分離する方法としては、例えば「画像電子学会研究会予稿90−06−04」に記載されている方法を用いることができる。以下に詳細を説明する。注目画素を中心としたM×N(M、Nは自然数)画素の領域内で以下▲1▼から▲3▼のような判定を行い、それを注目画素の領域識別信号とする。
【0155】
▲1▼領域分離処理部19は、上記領域内の中央の9画素に対して信号レベルの平均値(Dave)を求め、その平均値を用いて領域内の各画素を2値化する。また、領域分離処理部19は、領域内の全画素における最大信号レベルDmax、最小信号レベルDminも同時に求める。
【0156】
▲2▼また、小領域における画像データの変動が大きいことや、背景に比べて濃度が高いことを利用し、領域分離処理部19によって網点領域が識別される。以下、識別方法を説明する。まず、領域分離処理部19は、2値化されたデータに対して主走査、副走査方向における、0から1への変化点数としてのKH、1から0への変化点数であるKVを求める。そして、領域分離処理部19は、KHと閾値THとを比較し、KVと閾値TVとを比較する。ここで、領域分離処理部19は、KH>THかつKV>TVである場合、当該領域を網点領域と判定する。
【0157】
また、背景との誤判定を防ぐために、領域分離処理部19は、Dmax−Dminと閾値B1とを比較し、Dave−Dminと閾値B2とを比較し、Dmax−Dmin>B1かつDave−Dmin>B2かつKH>THかつKV>TVである場合、当該領域を網点領域と判断し、それ以外の場合、当該領域を非網点領域と判断する。
【0158】
▲3▼さらに、文字領域では最大信号レベルと最小信号レベルの差が大きく、濃度も高いと考えられることを利用して、領域分離処理部19によって文字領域が以下のように識別される。領域分離処理部19は、非網点領域と判断した領域を対象として、先に求めていた最大信号レベルDmaxと閾値PAとを比較し、最小信号レベルDminと閾値PBとを比較し、Dmax−DminをDsubとして、DsubとPcとを比較する。ここで、領域分離処理部19は、Dmax>PAまたはDmin<PBまたはDsub>Pcである場合、当該領域を文字領域と判断し、それ以外の場合、当該領域を写真領域と判断する。
【0159】
そして、領域分離処理部19は、このようにして各画素がいずれの領域に属するかを判別すると共に、判別結果を示した領域識別信号を画素ごとに着色剤選択処理部25へ送信する。
【0160】
着色剤選択処理部25は、上記領域識別信号に基づいて、以下のようにして、配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、上記画素に対応する各ドットに対して、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。文字領域、網点領域と判別された画素を構成するドットに対しては、非蛍光インクの色再現域内の色で再現できることが多いので、図3(e)のような蛍光インクの配合比率が0の着色剤順序パターンが読み出される。写真領域と判別された画素を構成するドットに対しては、非蛍光インクの色再現域外の色が比較的多いので、写真領域の色を再現できる可能性のより高い図3(c)のような上記配合比率の高い着色剤順序パターンが読み出される(写真領域は非蛍光インクの再現域外の色もあるので、蛍光インクの配合比率を高くすることにより再現できるようにしている)。また、網点領域と判別された画素を構成するドットに関しては、彩度を上げた方が好ましい色再現をすることもあるので、蛍光インクの配合比率が文字領域における着色剤順序パターンと写真領域における着色剤順序パターンとの中間的な着色剤順序パターン(すなわち図3(d))が読み出されるようであっても構わない。
【0161】
また、色補正部20における色変換処理の際に、空の青,草木の緑等の記憶色を示す画素を特定し、着色剤選択処理部25が、当該画素と対応するドットに対して、着色剤順序パターンを読み出して、蛍光インクを配合した色を再現することも可能である。これにより、記憶色を示す画素から、高彩度かつ視覚に好ましい色再現が可能になる。
【0162】
つまり、原稿画像の画像データから正確に色再現を行うよりも、人間が記憶している色に近い色を再現するほうが好ましい場合がある。ここで、記憶色に係る画素から画像を再現する場合、蛍光インクを配合することにより、高彩度の色を出力する必要がある。ここで好ましいというのは個人差があるので、通常プリンタなどでは多くの被験者の好ましい色の平均値を最も好ましい再現としていることが多い。
【0163】
記憶色は、身近に存在するものに対して、人間がイメージする色をマンセル色票から選ぶことにより決められる。この方法により選ばれた記憶色は、現実に画像入力装置12から取り込まれた画像に比べて彩度が高い。入力した画像データが記憶色であるか否かの判断は色補正部20で行われる(この場合、色補正部20の構成は図4と異なる)。
【0164】
ここで、記憶色に係る画像データに対して、非蛍光インクと蛍光インクとを用いて画像を出力することで、彩度が上昇し視覚的に好ましい色再現が可能となる。本実施の形態においては、色補正部20において、R,G,Bの画像データについて、対象となる記憶色の範囲を示したデータを予め設定しておく。そして、色補正部20は、上記範囲内の画像データに対して、記憶色に係る画素と判断する。さらに、着色剤選択処理部25は、色補正部20における判断に基づいて、このような記憶色に係る画素に対応する各ドットに対して、着色剤順序パターンを読み出す。これにより、記憶色に係る画素に関して、通常インクと蛍光インクとを適切な配合比率で用いて画像を出力できる。
【0165】
例えば、0から255の範囲で、画像データの階調が表現される場合、R,G,Bの画像データが、110≦R≦150、150≦G≦190、200≦B≦255の範囲にある画素については、空の青色を表す色の記憶色に係る画素と判断するのが好ましい。また、R,G,Bの画像データが、50≦R≦90、120≦G≦170、20≦B≦60の範囲にある画素については、木の葉の緑色を表す色の記憶色に係る画素と判断するのが好ましい。このような記憶色に係る画素から画像を出力する場合、非蛍光インクと蛍光インクとを用いる。
【0166】
但し、肌色については、一般に記憶色の方が現実に取り込まれた画像よりも彩度が低いことが多い。したがって、肌色を示す記憶色に係る画素から画像を出力する場合、蛍光インクを用いる必要がない。
【0167】
また、蛍光インクとの配合比率は、現実の色と記憶色との彩度差に応じた適切な配合比率が算出されることとして、適切な配合比率を示した着色剤順序パターンが着色剤選択処理部25により読み出されるものとする。
【0168】
また、各記憶色の種類に応じて、表現する彩度をオペレータの任意で決定しても構わない。例えば、空の青色を示す記憶色の方が、木の葉の緑色を表す記憶色のよりもより彩度を高くしたほうが好ましい場合、空の青色を示す記憶色に係る画素に対する上記配合比率は、木の葉の緑色を示す記憶色に係る画素に対する上記配合比率より高いものに設定されることになる。
【0169】
また、図示しないROMに基準着色剤順序パターン(基準着色剤順序データ)を格納すると共に、着色剤選択処理部25が目標とする配合比率に基づいて、基準着色剤順序パターンにおける蛍光インクに対応する要素と非蛍光インクに対応する要素とを定める構成であっても構わない。この場合、オペレータは、操作パネル27より、目標の配合比率を入力する。
【0170】
基準着色剤順序パターンには、図6(a)に示すように、各要素に対し、蛍光インクに対応する要素を定める優先順位が割り振られている。
【0171】
つぎに、着色剤選択処理部25が、基準着色剤順序パターンの非蛍光インクに対応する要素と蛍光インクに対応する要素とを定める手順を説明する。なお、図6(b)〜図6(f)に示す各要素において、斜線の要素は蛍光インクのドット対応する要素を示し、斜線のない要素は非蛍光インクのドットに対応する要素を示す。
【0172】
例えば、オペレータの入力した配合比率が0/16であれば、図6(b)に示すように、基準着色剤順序データの全ての要素は、非蛍光インクのドットに対応する要素となる。オペレータの入力した配合比率が1/16であれば、図6(c)に示すように、基準着色剤順序データにおいて、優先順位「1」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。
【0173】
また、オペレータの入力した配合比率が4/16であれば、図6(d)に示すように、優先順位「1」から「4」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」から「4」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。さらに、オペレータの入力した配合比率が9/16であれば、図6(e)に示すように、優先順位「1」から「9」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」から「9」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。なお、オペレータの入力した配合比率が16/16であれば、図6(f)に示すように、全ての要素が蛍光インクのドットに対応する要素となる。
【0174】
このように、基準着色剤順序パターンの各要素に対し、蛍光インクに対応する要素を定める優先順位を割り振っておくと、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとをできるだけバラバラに配列させることができる。また、図示しないROMに複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定できるので、メモリ容量を節約することもできる。なお、上述した基準着色剤順序パターンには16の要素が設定されているので、配合比率を16段階で調整できるが、上記要素の数はこれに限定されるものではない。例えば、基準着色剤順序パターンに30の要素が設定されている場合は、配合比率を30段階に調整できる。
【0175】
以上のように、上記構成の画像処理装置13によれば、蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置とを主走査方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25が備えられている。したがって、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを主走査方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0176】
ここで、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光インクと蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光インクと蛍光インクとが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0177】
なお、上記構成によれば蛍光インクと非蛍光インクを用いて画像を出力しているので、上記構成の出力画像の色再現域は、非蛍光インクのみからの色再現域より広い。従って、入力画像データが非蛍光インクのみからでは再現できないような階調であっても、上記構成によれば、当該階調を再現することが可能となる。
【0178】
また、出力画像に占める蛍光インクまたは非蛍光インクの配合比率が目標値になるように、上記着色剤順序パターンにおける色成分を示す非蛍光着色インクに対応する要素数と蛍光インクに対応する要素数とを定めれば、上記配合比率の目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光インクの配合比率の自由度を高めることができる。
【0179】
さらに、上記構成または手順によれば、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンのうち、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出し、読み出した着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力している。これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光インクの配合比率を変更することが可能となる。
【0180】
また、上記構成または手順によれば、原稿種別自動判別部17が原稿画像の種類を判別して、着色剤選択処理部25が、原稿種別自動判別部17の判別結果に基づいて、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光インクと蛍光インクとから画像を出力することが可能となる。なお、原稿画像の種類として、例えば、文字原稿、写真原稿、文字と写真とが混在した原稿等の種類がある。
【0181】
また、上記構成または手順によれば、領域分離処理部19が画像データに関する各画素を複数の領域に分類している。そして、着色剤選択処理部25が、領域分離処理部19の判別結果に基づいて、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクと蛍光インクとから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能となる。なお、上記複数の領域に関する画素として、例えば、文字領域に関する画素、網点領域に関する画素、写真(印画紙)領域に関する画素がある。
【0182】
さらに、上記構成または手順によれば、色補正部20が、画素ごとに上記画像データを色情報データに変換する。そして、着色剤選択処理部25は、上記色情報データに基づいて出力された選択信号を基に、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能となる。つまり、原稿画像から、非蛍光インクのみでは出力できないような色を画像データとして取り込んだ場合でも、非蛍光インクと蛍光インクとを配合することで色再現域を拡張して、より原稿画像に近い色を出力できる。なお、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光インクのみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能となる。なお、上記色情報データは、明度および彩度および色相のデータとしても構わない。
【0183】
さらに、上記構成または手順によれば、色補正部20は、上記画像データが所定値範囲にある画素を記憶色に係る画素と特定する。そして、着色剤選択処理部25は、上記記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。ここで、記憶色に係る画素から色再現を行う場合、一般的に高彩度の色を再現することが要求される。上記構成によれば、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序パターンが読み出されるので、非蛍光インクと蛍光インクとを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能となる。
【0184】
さらに、上記構成によれば、例えば、オペレータが所望とする蛍光インクの配合比率の目標値を入力手段から入力できる。そして、着色剤選択処理部25は、入力した配合比率の目標値に基づいて、基準着色剤順序パターンの上記非蛍光インクに対応する要素と上記蛍光インクに対応する要素とを定めている。したがって、1つの基準着色剤順序データのみを図示しないROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光インクの配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序パターンを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできる。
【0185】
また、上記構成または手順によれば、着色剤選択処理部25は、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとの順序が互いに異なる複数の着色剤順序パターンのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序パターンを読み出している。したがって、主走査ラインのみならず副走査ラインに向かって蛍光インクに係るドットと非蛍光インクに係るドットとをできるだけランダムに並べることができる。これにより、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞が生じることもなく、蛍光インクと非蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。
【0186】
また、上記構成または手順によれば、色成分ごとに、着色剤順序パターンの上記配合比率を異ならせることができる。したがって、非蛍光インクのみに基づいた色再現域が色成分間で異なる場合であっても、色成分ごとで蛍光インクの配合比率を適切なものとすることができる。
【0187】
また、本発明の画像処理方法を、プリンタ・ドライバとして実現するようにしても良い。図7は、コンピュータに備えられるプリンタ・ドライバ60の構成を示すブロック図である。コンピュータは、プリンタ・ドライバ60、通信ポートドライバ61、通信ポート62を含んで構成される。プリンタ・ドライバ60は色補正部63、階調再現処理部64、着色材選択処理部65、出力変換部66、プリンタ言語翻訳部67より構成される。また、コンピュータは、RS232C・LAN等の通信ポートドライバ61・通信ポート62を介してインクジェット方式のプリンタ(画像出力装置)70と接続されている。
【0188】
コンピュータにおいて各種のアプリケーションプログラムを実行することにより生成された画像データは、プリンタ・ドライバ60内の色補正部63に送られる。色補正部63では、画像処理装置13に備えられた色補正部20と同様の処理を画像データに施す。さらに、色補正部63では、画像処理装置13における黒生成下色除去部21と同様の処理も行う。色補正部63より出力された画像データは、次に階調再現処理部64に送られ、階調補正処理および中間調生成処理が施される。階調再現処理部64において処理がなされた画像データは、着色材選択処理部65により、通常インク成分と蛍光インク成分に分ける処理が行われ、出力変換部66に送られる。なお、着色材選択処理部65においては、一定の着色剤順序パターンにより処理しても良いが、色補正部63における色情報に基づいて画像毎あるいは画素毎に着色材順序パターンを切り換えても良い。さらに、画像データはプリンタ言語翻訳部67に送られ、プリンタ言語に変換される。プリンタ言語翻訳部67から出力した画像データは、通信ポートドライバ61・通信ポート(RS232C・LAN等)62を介して、インクジェット方式のプリンタに入力する。プリンタでは、入力した画像データを紙等の記録材に出力する。プリンタは、プリンタ機能の他にコピー機能およびファックス機能を有するデジタル複合機であっても良い。
【0189】
また、上記プリンタ・ドライバをコンピュータではなくプリンタに備えるようにし、デジタルカメラなどで撮像された画像データをメモリカード、あるいは、USB(Universe Serial Bus)などのケーブルを介して入力し、プリンタで上記と同様の処理を行うようにしても良い。
【0190】
また、本発明は、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、画像処理方法を記録することにより実現することもできる。この結果、画像処理方法を行うプログラムを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0191】
なお、上記の記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0192】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0193】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であっても良い。
【0194】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0195】
上記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法が実行される。
【0196】
コンピュータシステムは、フラットベッドスキャナ・フィルムスキャナ・デジタルカメラなどの画像読取装置、所定のプログラムがロードされることにより上記画像処理方法など様々な処理が行われるコンピュータ、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスプレイ・液晶ディスプレイなどの画像表示装置およびコンピュータの処理結果を紙などに出力するプリンタより構成される。さらには、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのモデムなどが備えられる。
【0197】
本発明は、インクジェット方式の画像形成装置のみならず、例えば、トナーを記録媒体に吐出して画像を記録する電子写真方式等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0198】
最後に、上述した実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0199】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置は、以上のように、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられていることを特徴とする。
【0200】
これにより、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができるという効果を奏する。
【0201】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤順序データは、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とが定められたデータであることを特徴とする。
【0202】
これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率の自由度を高めることができるという効果を奏する。
【0203】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力することを特徴とする。
【0204】
これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率を変更することが可能になるという効果を奏する。
【0205】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、原稿画像の種類を判別する原稿画像判別部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0206】
これにより、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから画像を出力することが可能になるという効果を奏する。
【0207】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、画像データに関する各画素を複数の領域に分類する領域分離処理部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0208】
これにより、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能になるという効果を奏する。
【0209】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、各画素の画像データを色情報データに変換する色情報データ生成部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0210】
これにより、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能になるという効果を奏する。
【0211】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データとは、明度および/または彩度に関するデータであることを特徴とする。
【0212】
これにより、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光着色剤のみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能になるという効果を奏する。
【0213】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を、記憶色に係る画素と特定し、上記着色剤選択処理部は、記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0214】
これにより、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序データが読み出されるので、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能になるという効果を奏する。
【0215】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記配合比率の目標値を入力できる入力手段が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記目標値に基づいて、基準着色剤順序データの非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とを定めることを特徴とする。
【0216】
これにより、1つの基準着色剤順序データのみを、例えばROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率の目標値または非蛍光着色剤の配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできるという効果を奏する。
【0217】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットに対応するドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを順次読み出していくことを特徴とする。
【0218】
これにより、出力画像に蛍光着色剤と非蛍光着色剤との縞が生じることもなく、蛍光着色剤と非蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見えるという効果を奏する。
【0219】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、色成分のドットデータごとに、上記配合比率が異なる着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0220】
これにより、原稿画像の色域の広がりが上記色成分ごとに異なる場合であっても、色成分のドットデータごとで蛍光着色剤の配合比率を適切なものとすることができる。
【0221】
本発明の画像形成装置は、以上のように、上記画像処理装置と、上記画像処理装置から送られてきたドットデータに基づいて、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0222】
これにより、1ドット当たりの着色剤吐出量が一定であっても、非蛍光蛍光剤と蛍光着色剤との配合比率を自由に選択して、画像を形成することが可能となる。
【0223】
本発明の画像処理方法は、以上のように、着色剤により画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する画像処理方法であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力するステップを備えることを特徴とする。
【0224】
これにより、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができるという効果を奏する。
【0225】
本発明の画像処理プログラムは、以上のように、上記画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。また、本発明の画像処理プログラムは、以上のように、上記画像処理装置が備えている各部に対して、コンピュータを機能させるための画像処理プログラムであってもよい。さらに、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能にしてなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体としても構わない。
【0226】
これにより、上記記録媒体、またはネットワークを介して、一般的なコンピュータに画像処理プログラムをインストールすることによって、該コンピュータを用いて上記の画像処理方法を実現する、言い換えれば、該コンピュータを画像処理装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置、画像出力装置を備えたデジタルカラー複写機の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理方法の手順を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る着色剤順序パターンを示した説明図であって、(a)は蛍光インクの配合比率=0.5の着色剤順序パターン、(b)は上記配合比率=0.25の着色剤順序パターン、(c)は上記配合比率=0.75の着色剤順序パターン、(d)は上記配合比率=0.4の着色剤順序パターン、(e)は上記配合比率=0の着色剤順序パターン、(f)は上記配合比率=1の着色剤順序パターン、(g)は上記配合比率=0.25の着色剤順序パターンを示す。
【図4】上記画像処理装置の構成要素である色補正部の概略構成を示したブロック図である。
【図5】上記色補正部で実現される処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】基準着色剤順序パターンの説明図であって、(a)は基準着色剤順序パターン、(b)は蛍光インクの配合比率=0/16に設定された基準着色剤順序パターン、(c)は上記配合比率=1/16に設定された基準着色剤順序パターン、(d)は上記配合比率=4/16に設定された基準着色剤順序パターン、(e)はは上記配合比率=9/16の基準着色剤順序パターン、(f)は上記配合比率=16/16の基準着色剤順序パターンを示す。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理方法が実現されるプリンタ・ドライバを備えるコンピュータの概略構成を示したブロック図である。
【図8】(a)は、入力画像のa*b*値の分布に対する非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図であり、(b)は、別の入力画像のa*b*値の分布に対する色成分ごとの非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図である。
【図9】入力画像のL*C*値の分布に対する非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像出力装置の概略構成を示した斜視図である。
【図11】上記画像出力装置に備えられているインクタンクを示した斜視図である。
【図12】上記色補正部で実現されている処理であって、図5の処理とは異なる処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
11 デジタルカラー複写機(画像形成装置)
12 画像入力装置
13 画像処理装置
14 画像出力装置
17 原稿種別自動判別部(原稿画像判別部)
19 領域分離処理部
20 色補正部(色情報データ生成部)
25 着色剤選択処理部
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタなどにおいて、画像を再現するため画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、複写機やプリンタなどで、減法混色に基づいてペーパー等に記録された画像は、ディスプレイなどにより加法混色に基づいて出力された画像よりも色再現域が狭い。そこで、減法混色に基づいて画像を出力する画像処理の技術分野においては、色再現域の拡張および色相の改良のため、さまざまな色材の探索や蛍光物質の使用の検討がなされている。
【0003】
上述した色再現域の拡張および色相の改良を実現する技術として、例えば、特許文献1に開示されているカラー画像形成方法がある。特許文献1に記載のカラー画像形成方法によれば、減法混色に基づいて形成されるハードコピーにおいて、非蛍光インクに蛍光インクを添加して色補正することにより、再現可能な色域を広げ、また色相を改良している。特許文献1によれば、これにより、減法混色に基づいて形成されるハードコピーであっても、加法混色に基づいてCRT(cathode−ray tube)から出力する画像や液晶パネルから出力する画像に近い色再現を行えるものとされている。
【0004】
より詳細に説明すると、カラー画像形成方法に用いられる非蛍光インクに対して、例えば、発光特性を有する蛍光インクを加えるなどして加法混色を行う。これにより、非蛍光インクの副吸収をキャンセルでき、その非蛍光インクの色相における理想的な分光スペクトルに近づけることができるというものである。特許文献1によれば、このようにして、非蛍光インクに蛍光インクを配合した混合インクを用いて減法混色を行うと、色再現域を広げることができるとされている。
【0005】
一方、減法混色に基づいて画像を形成する手段として、例えばインクジェットプリンタなるものが存在する。このインクジェットプリンタにおいて、出力画像の階調を表現する方式として面積階調方式が存在する。この面積階調方式とは、所定範囲内に少なくとも1以上のドットを付着させ、上記所定範囲の面積に占めるドットの数を変化させることにより、階調を表現した方式をいう。
【0006】
1ドット単位の吐出量が一定、もしくは、1ドット単位の吐出量を数段階しか調整できないインクジェットプリンタにおいて、この面積階調方式を採用することにより、多段階の濃淡を表現できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−181170号公報(公開日:2000年6月30日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、非蛍光インクと蛍光インクとを配合させることにより、減法混色における色再現域の拡大を図る手法まで開示されているものの、非蛍光インクと蛍光インクとを用いつつ、上述した面積階調方式に基づいて色再現域の拡張を図る具体的手法まで開示されていない。
【0009】
本発明の目的は、面積階調方式に基づいて画像を形成する場合、非蛍光インクと蛍光インクとを任意の割合で配合して画像を出力する画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、上記課題を解決するために、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、ドットデータとは、いわゆる面積階調方式に基づき形成される画像を表現するための2値化データであって、面積階調方式に基づきインクの吐出/非吐出を表したデータとする。なお、基準方向とは、いわゆる主走査方向または副走査方向をいう。
【0012】
上記構成の画像処理装置によれば、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられている。したがって、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを基準方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0013】
ここで、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとができるだけ分散するように上記所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0014】
なお、上記構成によれば蛍光着色剤と非蛍光着色剤を用いて画像を出力しているので、上記構成の出力画像の色再現域は、非蛍光着色剤のみから出力した画像の色再現域より広い。従って、入力画像データが非蛍光着色剤のみからでは再現できないような階調であっても、上記構成によれば、当該階調を再現することが可能となる。
【0015】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤順序データは、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とが定められたデータであることを特徴とする。
【0016】
着色剤により画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置では、入力画像の画素に対応する所定範囲内に複数のドットを付着させることにより、当該所定範囲の階調を表現している。したがって、上記構成の画像処理装置によれば、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、上記着色剤順序データにおける非蛍光着色剤に対応する要素数と蛍光着色剤に対応する要素数とを定めれば、上記配合比率の目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力している。これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率を変更することが可能となる。
【0019】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、原稿画像の種類を判別する原稿画像判別部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、上記原稿画像判別部が原稿画像の種類を判別して、上記着色剤選択処理部が、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。したがって、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから画像を出力することが可能となる。なお、原稿画像の種類として、例えば、文字原稿、写真原稿、文字と写真とが混在した原稿等の種類がある。
【0021】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、画像データに関する各画素を複数の領域に分類する領域分離処理部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0022】
ここで、画像データとは、撮像デバイスを備えた画像入力装置によって取り込まれた入力画像の1単位を示す画素ごとに与えられるデジタルデータを意味する。したがって、出力画像の1単位であるドットとは異なる場合がある。
【0023】
上記構成によれば、領域分離処理部が画像データに関する各画素を複数の領域に分類している。そして、上記着色剤選択処理部が、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。
【0024】
したがって、上記構成によれば、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能となる。なお、上記複数の領域に関する画素として、例えば、文字領域に関する画素、網点領域に関する画素、写真(印画紙)領域に関する画素がある。
【0025】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、各画素の画像データを色情報データに変換する色情報データ生成部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0026】
ここで、色情報データとは、明度、彩度、色度、色相角度等の色に関する画像データをいう。
【0027】
上記構成によれば、色情報データ生成部が、画素ごとに上記画像データを色情報データに変換する。そして、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。したがって、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能となる。つまり、原稿画像から、非蛍光着色剤のみでは出力できないような色を画像データとして取り込んだ場合でも、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合することで色再現域を拡張して、より原稿画像に近い色を出力できる。
【0028】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データとは、明度および/または彩度に関するデータであることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光着色剤のみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能となる。なお、上記色情報データは、明度および彩度および色相のデータとしても構わない。
【0030】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を、記憶色に係る画素と特定し、上記着色剤選択処理部は、記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を記憶色に係る画素と特定する。そして、上記着色剤選択処理部は、上記記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出している。ここで、記憶色に係る画素の色再現を行う場合、一般的に高彩度の色を再現することが要求される。上記構成によれば、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序データが読み出されるので、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能となる。
【0032】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記配合比率の目標値を入力できる入力手段が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記目標値に基づいて、基準着色剤順序データの非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とを定めることを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、例えば、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率または非蛍光着色剤の配合比率の目標値を入力手段から入力できる。そして、上記着色剤選択処理部は、入力した配合比率の目標値に基づいて、基準着色剤順序データの上記非蛍光着色剤に対応する要素と上記蛍光着色剤に対応する要素とを定めている。したがって、1つの基準着色剤順序データのみを、例えばROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率の目標値または非蛍光着色剤の配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできる。
【0034】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを順次読み出していくことを特徴とする。
【0035】
ここで、主走査ラインとはインクを吐出するヘッドの駆動方向に沿ったラインをいう。
【0036】
上記構成によれば、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを読み出している。したがって、主走査ラインのみならず主走査ラインと直交するライン(副走査ライン)に向かって蛍光着色剤に係るドットと非蛍光着色剤に係るドットとをできるだけランダムに並べることができる。これにより、出力画像に蛍光着色剤と非蛍光着色剤との縞が生じることもなく、蛍光着色剤と非蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。
【0037】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、色成分のドットデータごとに、上記配合比率が異なる着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0038】
上記構成によれば、色成分ごとに、上記配合比率を異ならせることができる。したがって、原稿画像の色域の広がりが上記色成分ごとに異なる場合であっても、色成分のドットデータごとで蛍光着色剤の配合比率を適切なものとすることができる。
【0039】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記画像処理装置と、上記画像処理装置から送られてきたドットデータに基づいて、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0040】
上記画像形成装置によれば、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置と上記画像処理装置とを備えている。したがって、1ドット当たりの着色剤吐出量が一定であっても、非蛍光蛍光剤と蛍光着色剤との配合比率を自由に選択して、画像を形成することが可能となる。
【0041】
本発明の画像処理方法は、上記課題を解決するために、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理方法であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力するステップを備えることを特徴とする。
【0042】
上記手順によれば、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する。したがって、上記ドットデータに基づいて、上記非蛍光着色剤または上記蛍光着色剤のいずれかを吐出することにより、出力画像の各ドットを形成しているので、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを基準方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0043】
ここで、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0044】
本発明の画像処理プログラムは、上記課題を解決するために、上記画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。また、本発明の画像処理プログラムは、上記課題を解決するために、上記画像処理装置が備えている各部に対して、コンピュータを機能させるための画像処理プログラムであってもよい。さらに、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能にしてなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体としても構わない。
【0045】
これにより、上記記録媒体、またはネットワークを介して、一般的なコンピュータに画像処理プログラムをインストールすることによって、該コンピュータを用いて上記の画像処理方法を実現する、言い換えれば、該コンピュータを画像処理装置として機能させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法の実施の一形態を、図に基づいて、以下説明する。
【0047】
本実施の形態に係る画像処理装置が備えられたデジタルカラー複写機(複合機であっても良い)の構成を図1に示す。
【0048】
デジタルカラー複写機(画像形成装置)11は、カラー画像入力装置12,カラー画像処理装置13,カラー画像出力装置14、操作パネル27を備えている。
【0049】
カラー画像入力装置(以下、「画像入力装置」とする)12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )等の撮像デバイスを備えたスキャナ部より構成され、原稿からの反射光像をR,G,B(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号としてCCDにて読み取って、上記アナログ信号をカラー画像処理装置13に入力するものである。
【0050】
カラー画像処理装置(以下、「画像処理装置」とする)13は、画像入力装置12から送られてきたR,G,Bのアナログ信号を、R,G,Bのデジタル画像データ(以下、「画像データ」とする)に変換すると共に、種々の画像処理を施したC,M,Y,K(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:黒)の各色成分の画像データを、さらに面積階調方式に基づく画素ごとに与えられる2値化データに変換して、カラー画像出力装置14に入力するものである。
【0051】
つまり、ここでの画像データとは画像入力装置12によって取り込まれた入力画像の1単位を示す画素ごとに与えられるデジタルデータをいう。一方、画素ごとに与えられる2値化データ(以下、「ドットデータ」とする)とは、いわゆる面積階調方式に基づき形成される画像を表現するための2値化データをいう。すなわち、ここでの面積階調方式とは、所定範囲において、該所定範囲内に少なくとも0以上のドットを付着させ、該所定範囲の面積に占めるドット数を変化させることにより、該所定範囲の階調を表現した方式をいう。なお、画像処理装置13の具体的構成については、後に詳述する。
【0052】
カラー画像出力装置(以下、「画像出力装置」とする)14は、画像処理装置13から送られてきたC,M,Y,Kごとのドットデータに基づいて、記録材上において画像を再現するインクジェット方式のプリンタである。なお、画像出力装置14の具体的構成については後に詳述する。
【0053】
操作パネル(入力手段)27は、例えば液晶ディスプレィ等の表示部とデジタルカラー複写機11全体の動作を制御する設定ボタン(例えば、コピーを行う原稿種別を表す画像モード(文字モード・文字写真モード・写真モード等)を設定)等から構成される。
【0054】
つぎに、画像処理装置13の具体的構成について説明する。画像処理装置13は、A/D変換部15、シェーディング補正部16、原稿種別自動判別部(原稿画像判別部)17、入力階調補正部18、領域分離処理部19、色補正部(色情報データ生成部)20、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、出力階調補正部23、階調再現処理部24、着色剤選択処理部25、および出力変換部26から構成されている。
【0055】
画像入力装置12にて読み取られたアナログ信号は、画像処理装置13内を、A/D変換部15、シェーディング補正部16、原稿種別自動判別部17、入力階調補正部18、領域分離処理部19、色補正部20、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、出力階調補正部23、階調再現処理部24、着色剤選択処理部25、および出力変換部26の順で送られ、C,M,Y,Kのドットデータとして、画像出力装置14へ送信される。
【0056】
A/D(Analog to Digital)変換部15は、R,G,Bのアナログ信号に対して標本化および量子化を行うことにより、R,G,Bのデジタル画像データ(画像データ)を生成し、これらをシェーディング補正部16へ送信するブロックである。
【0057】
シェーディング補正部16は、A/D変換部15より送られてきたR,G,Bの画像データに対して、画像入力装置12の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除くための補正処理を施すブロックである。また、シェーディング補正部ではカラーバランスを整える処理が行われる。シェーディング補正処理がなされたR,G,Bの画像データは、原稿種別自動判別部17へ送信される。
【0058】
原稿種別自動判別部17は、シェーディング補正部16にて各種の歪みが取り除かれ、カラーバランスの調整がなされたR,G,Bの画像データ(反射率信号)に対し、カラー画像処理装置13に採用されている画像処理システムの扱い易い画像データ(例えば濃度信号)に変換すると共に、入力した原稿画像が、文字原稿であるか、印刷写真または印画紙写真等の写真原稿であるか、あるいはそれらを組み合わせた文字/写真原稿であるかの判別を自動的に行うブロックである。なお、原稿種別自動判別部17の詳細については、後に詳述する。
【0059】
入力階調補正部18は、原稿種別自動判別部17より送られてきたR,G,Bの画像データに対し、下地濃度の除去やコントラストなどの画質調整処理を施すブロックである。
【0060】
領域分離処理部19は、入力階調補正部18から送られてきたR,G,Bの画像データより、入力画像の各画素が文字領域、網点領域、写真領域の何れに属するかを識別するブロックである。さらに、領域分離処理部19は、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部21、空間フィルタ処理部22、階調再現処理部24、および着色剤選択処理部25へと送信すると共に、入力階調補正部18から送信されたR,G,Bごとの画像データをそのまま後段の色補正部20に送信する。
【0061】
色補正部20は、領域分離処理部19から送られてきたR,G,Bの画像データを、C,M,Yの画像データへ変換すると共に、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むC,M,Y色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く色補正処理を行うブロックである。
【0062】
黒生成下色除去部21は、色補正部20から送られてきたC,M,Yの画像データから黒色成分(K)の画像データを生成する黒生成処理を行う。そして、黒生成下色除去部21は、元のC,M,Yの画像データから、黒生成処理で得たKデータを差し引いて新たなC,M,Yの画像データを生成する処理を行うブロックである。つまり、黒生成下色除去部21では、C,M,Yの画像データ(すなわち、3色データ)が、C,M,Y,Kの画像データ(すなわち、4色データ)に変換される。
【0063】
なお、黒生成処理の一例として、スケルトンブラックによる黒生成を行う方法(一般的方法)がある。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y,出力されるデータをC’,M’,Y’,K’、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去部21による処理は以下の式で表わされる。
K’=f{min(C,M,Y)}
C’=C−αK’
M’=M−αK’
Y’=Y−αK’
空間フィルタ処理部22は、黒生成下色除去部21から入力されるC,M,Y,Kの画像データに対して、領域分離処理部19から送られてきた領域識別信号を基に、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行う。これにより、C,M,Y,Kの画像データの空間周波数特性を補正することができ、出力画像のぼやけや粒状性劣化を防ぐように処理することができる。
【0064】
例えば、領域分離処理部19にて文字領域と識別された画素に対して、上記空間フィルタ処理における鮮鋭度強調処理で、高周波数のデータが強調される。これにより、出力画像において、特に黒文字或いは色文字の再現性を高めることができる。また、領域分離処理部19にて網点領域と識別された画素に対しては、空間フィルタ処理部22において、ローパス・フィルタ処理が施され、入力画像の網点成分が除去される。
【0065】
出力階調補正部23は、各画素に関して、C,M,Y,Kの画像データを、画像出力装置14の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行うブロックである。
【0066】
階調再現処理部24は、出力階調補正部23より送信されるC,M,Y,Kの画像データを、最終的に画像を画素ごとに分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)が施されるブロックである。つまり、階調再現処理部24は、領域分離処理部19から送られてきた領域識別信号を基に、画素ごとのC,M,Y,Kの画像データから、広域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでのC,M,Y,Kのドットデータを生成するブロックである。
【0067】
なお、本実施の形態においては、画像出力装置14はインクジェット方式を用いた記録装置とし、該記録装置のヘッドにおけるインク吐出量は一定であるので、階調再現処理部24で2値化データとしてのドットデータを生成することとしている。しかし、画像処理装置13が、ヘッドのインク吐出量を数段階に変化させることのできる画像出力装置14と接続されている場合、階調再現処理部24において生成されるドットデータは、多値化データとなる。
【0068】
また、画像出力装置14において、同色系統の濃度の異なるインク(濃インク・淡インク)を用いて印刷する場合、階調再現処理部24は、各画素に係るC,M,Y,Kの画像データに基づいて、ライトシアン,ライトマゼンタ等のドットデータを生成してもよい。
【0069】
着色剤選択処理部25は、階調再現処理部24から送られてきたC,M,Y,Kのドットデータに関し、図示しない補助記憶装置(例えば、ROM等)に格納されている着色剤順序パターン(着色剤順序データ)に基づいて、C,M,Y,Kのドットデータと、Cf(シアン蛍光),Mf(マゼンタ蛍光),Yf(イエロー蛍光)のドットデータとをさらに出力するブロックである。つまり、着色剤選択処理部25は、ある色成分のドットデータが入力されると共に、上記着色剤順序パターンに基づいて、当該色成分のドットデータまたは当該色成分と同一色相の蛍光インクのドットデータを出力する。なお、階調再現処理部24および着色剤選択処理部25での処理の詳細は後述する。
【0070】
出力変換部26は、着色剤選択処理部25から送られてきたドットデータを、画像出力装置14のヘッド(C・M・Y・K・Cf・Mf・Yfのインクジェットヘッド)の並びに応じたドットデータに変換する処理を実行するブロックである。
【0071】
上述した各処理が施されたC・M・Y・K・Cf・Mf・Yfのドットデータは、一旦記憶手段(図示せず)に記憶された後、所定のタイミングで読み出されて、画像出力装置14へ入力される。なお、以上の処理は、図示しないRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置を作業領域として実行されると共に、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって制御される。
【0072】
つぎに、画像出力装置14の構成について詳細に説明する。図10は、画像出力装置14の一例であるインクジェット記録装置の全体構成を示す透視斜視図である。画像出力装置14は、大略的に、インクジェットヘッド(以下、「ヘッド」とする)30、キャリッジ31、搬送ローラ32、ガイドシャフト33、保持手段34、モータ35、駆動ベルト36およびメンテナンスユニット37により構成される。
【0073】
キャリッジ31は、ヘッド30を搭載し、用紙等の記録材に対して、矢符X1およびX2方向の主走査方向に相対的に移動可能である。そして、記録材は図示しない給紙部から矢符Yの副走査方向に給送されながら、矢符X1およびX2方向に移動するヘッド30により画像形成が行われる。給紙部に備えられている記録材は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ送り出され、記録材搬送手段である搬送ローラ32により、ヘッド30と対向する位置に供給される。記録が終了した記録材は排紙部(図示せず)に排出される。
【0074】
ヘッド30は、主走査方向に延びるガイドシャフト33および保持手段34上に摺動自在に支持されて、記録材に対する位置が決められる。さらに、駆動手段であるモータ35によって駆動される駆動ベルト36がガイドシャフト33と平行に張架されており、ヘッド30は駆動ベルト36によって変位駆動される。なお、メンテナンスユニット37は、ヘッド30のクリーニングなどのメンテナンスが実施される部分である。
【0075】
また、図11に示すように、ヘッド30には、複数の色成分、例えば、C・M・Y・Kに加えて、Cf・Mf・Yfの7色のインクに係るインクタンク40が、色ごとに備えられている。これらのインクは、画像処理装置13より送信されるドットデータに応じて、互いに別々の吐出口(ノズル)より記録材上に吐出される。
【0076】
ところで、本実施の形態に係る画像処理装置および画像処理方法は、蛍光インク(蛍光着色剤)を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置とを主走査方向(基準方向)に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターン(図3に示す)に基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25に特徴がある。すなわち、上記ドットデータに基づいて画像を出力すれば、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0077】
ここで、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光着色インクと蛍光着色インクとがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光インクと蛍光インクとが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0078】
また、図3に示す各着色剤順序パターン(着色剤順序データ)は、非蛍光インクに対応する要素と蛍光インクに対応する要素とを定めたデータとも言える。したがって、出力画像に占める蛍光インク(または非蛍光インク)の配合比率が、オペレータが所望とする目標値になるように、上記着色剤順序パターンにおける非蛍光インクに対応する要素数と蛍光インクに対応する要素数とを定めれば、出力画像に占める蛍光インクの配合比率も定まるので、配合比率の上記目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光インクの配合比率の自由度を高めることができる。
【0079】
一方、上記記録材上で生成される画像に蛍光インクを配合する手法として、ほぼ同一のドット位置に非蛍光インクと蛍光インクとを重ねて付着させることにより、蛍光インクが配合された画像を生成する手法も考えられる。ところが、この手法によれば、非蛍光インクと蛍光インクとを吐出する順序により再現される色調(色相角度・明度・彩度)が異なるため、吐出する順序を制御する必要があるが、この本実施の形態における方法では、基本的に、このような制御は必要ない。
【0080】
ただし、本実施の形態においても、1ドット当たりに吐出するインク量を複数段階に切り換える、いわゆる重ね打ちをすることによって、複数ドットから構成される所定範囲の階調をさらに細分化して表現することが可能となる。つまり、1ドットあたりで蛍光インクと非蛍光インクとを重ね打ちをしつつ、面積階調による効果により各ドットから構成される画像について、蛍光インクが混ざってみえる。
【0081】
以下、本実施の形態における階調再現処理から着色剤選択処理までの処理の流れを図2に基づいて説明する。なお、以下の説明において、各色成分の画像データ(濃度データ)に対する処理は、色成分ごとで閾値の具体的な値が異なるだけであるので、ある色成分の画像データおよびドットデータに対する処理だけを説明する。
【0082】
まず、階調再現処理部24が、出力階調補正部23により処理が施された画素ごとの画像データに対して、誤差拡散処理に基づいた中間調生成により2値化処理を行い(S1)、ドットデータを生成する。この2値化処理は、誤差拡散処理でなく、ディザ処理やブルーノイズマスク処理に基づいたものであっても構わない。そして、階調再現処理部24は、着色剤選択処理部25へドットデータを出力する。
【0083】
S1における2値化処理の結果、着色剤選択処理部25は、インクを吐出させないドット(例えば「0」)について、着色剤選択処理を行わずに次のドットに対する処理へ移行する(S2,NO)(つまり、非蛍光インクおよび蛍光インクのいずれも吐出させない)。
【0084】
一方、S1における2値化処理の結果、インクを吐出させるドット(例えば「1」)について、着色剤選択処理部25は、非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力するか、蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力するかの着色剤選択処理を行う(S2,YES)。
【0085】
着色剤選択処理は、図3(a)〜図3(g)に示す着色剤順序パターンを用いることにより行われる。なお、図3(a)〜図3(g)に示す着色剤順序パターンにおいて、「非」は非蛍光インクのドットに対応する要素を示し、「蛍」は蛍光インクのドットに対応する要素を示す。つまり、着色剤順序パターンの各要素は出力画像の各ドットと1対1で対応している。また、カッコ内の「0」は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを示し、「1」は蛍光インクを吐出する旨のドットデータを示す。
【0086】
例えば、オペレータが、操作パネル27を介して、画像出力装置14にて形成される画像に占める蛍光インクの配合比率を0.5と設定する場合、着色剤選択処理部25は、図示しないROMから図3(a)に示す着色剤順序パターンを選択して読み出す(S3)。なお、以下では、特に断らない限り、配合比率とは出力画像全体に占める蛍光インクの配合比率をいう。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、出力画像全体に占める非蛍光インクの配合比率であってもよい。
【0087】
そして、着色剤選択処理部25は、図3(a)の着色剤順序パターンの各要素のうち、処理対象となるドットと対応する要素に係るデータを読み出し、「非」のデータか否かを識別する(S4)。ここで、着色剤選択処理部25は、「非」のデータになっている要素に対応するドットについては、非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する(S5)。一方、着色剤選択処理部25は、「蛍」のデータになっている要素に対応するドットについては、蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する(S6)。
【0088】
例えば、S1における2値化処理の結果、最初にインクを吐出することとなったドットが、図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符aの要素と対応する場合、着色剤選択処理部25は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0089】
さらに、2値化処理の結果、次にインクを吐出することとなったドットは、図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符bの要素と対応することになる。これにより、着色剤選択処理部25は蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0090】
ここで、図3(a)の着色剤順序パターンは2つの要素から構成されているので、つぎの2値化処理の結果、インクを吐出することになったドットは、再び図3(a)の着色剤順序パターンにおける参照符aの要素と対応することになる。これにより、着色剤選択処理部25は非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。
【0091】
このように、着色剤選択処理部25が、インクを吐出することとなった各ドットに対し、読み出した着色剤順序パターンの各要素を繰り返し対応させることで、蛍光インクを吐出する/しない旨のドットデータを出力することとしている。これにより、配合比率を0.5に近づけることができる。さらに、このようにして出力される画像においては、非蛍光インクに係るドットと蛍光インクに係るドットとが主走査方向に向けて交互に配置されることとなるので、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光インクと蛍光インクとが、いかにも混ざっているようにみえる。
【0092】
そして、着色剤選択処理部25は、全てのドットデータに対して着色剤選択処理が終了していない場合、次のドットに対する処理に移行する(S7,NO)。一方、着色剤選択処理部25は、全てのドットデータに対して着色剤選択処理を終了している場合は、処理を終了する(S7,YES)。
【0093】
さらに、本実施形態では、図3(a)から図3(f)に示す複数の着色剤順序パターンが上記ROMに予め格納されているものとする。また、上記複数の着色剤順序パターンは、上記配合比率をそれぞれで異ならせている。また、これらの着色剤順序パターンのなかには、非蛍光インクを吐出する旨のデータのみからなる図3(e)に示すものや、蛍光インクを吐出する旨のデータのみからなる図3(f)に示すものも存在する。そして、オペレータが、例えば操作パネル27を介して、1画像を処理する度に、目標とする配合比率を入力すると共に、着色剤選択処理部25が、この目標とする配合比率に応じて、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出すことも可能である。これにより、画像を出力する度に、上記配合比率を変更することが可能となる。
【0094】
ただし、面積階調方式に基づいた画像形成において蛍光インクを配合するためには、複数の着色剤順序パターンが上記ROMに格納されていなくてもよく、少なくとも1以上の着色剤順序パターンが上記ROMに格納されていればよい。
【0095】
また、着色剤選択処理部25により読み出される着色剤順序パターンは、以下の手順で読み出されても構わない。
【0096】
例えば、画像処理装置13において、「色再現域普通モード」、「色再現域広モード」、「色再現域狭モード」が設定されているものとする。そして、オペレータが、操作パネル27を介して「色再現域普通モード」を選択した場合、S3において、図3(a)の着色剤順序パターン(配合比率0.5)が着色剤選択処理部25により読み出される。また、オペレータが、操作パネルを介して「色再現域狭モード」を選択した場合、S3において、図3(e)の着色剤順序パターン(配合比率0)が着色剤選択処理部25により読み出される。さらに、オペレータが、操作パネルを介して「色再現域広モード」を選択した場合、S3において、図3(f)の着色剤順序パターン(配合比率1)が着色剤選択処理部25により読み出される。このように設定する理由は、従来技術の項で説明したように、非蛍光インクに蛍光インクを配合することにより、減法混色をすることによって生成される画像における色再現域を拡張させることができるからである。
【0097】
なお、ある主走査ラインの各ドットに対しての処理がなされた後、つぎの主走査ラインの各ドットに対しての処理に移行した場合、着色剤選択処理部25は、前の主走査ラインにおける着色剤順序パターンの順序を次の主走査ラインにおいても、そのまま引き継いで用いてもよい。
【0098】
また、ある主走査ラインの最初に処理されたドットに対応する要素と、次の主走査ラインの最初に処理するドットに対応する要素とを一致させるようにしてもよい。しかし、このような処理を行うと、以下に示す問題が生じる。
【0099】
例えば、図2のS1における2値化処理の結果、全ドットで着色剤を吐出することとなった部分(最大濃度部分)があった場合に、着色剤選択処理部25が図3(a)に示す着色剤順序パターンを読み出し、処理を行うと、副走査方向に向かって蛍光インクに係るドットが連続して配列すると共に、非蛍光インクに係るドットも副走査方向に向かって連続して配列することになる。この場合、オペレータは、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞ができているものと知覚してしまうことがある。
【0100】
したがって、図3(g)に示すように、上記配合比率が互いに同一であると共に、蛍光インクのドットに対応する要素と非蛍光インクのドットに対応する要素との順序が互いに異なる複数の着色剤順序パターンが上記ROMに備えられていることが好ましい。そして、着色剤選択処理部25は、上記配合比率が互いに同一であるものの、各要素の順序が互いに異なる着色剤順序パターンを主走査ラインごとで順次読み出していく。さらに、着色剤選択処理部25は、全ての着色剤順序パターンを読み出した後、繰り返し全ての着色剤順序パターンを順次読み出していく。すなわち、複数の主走査ラインを1周期として、各着色剤順序パターンが主走査ラインごとに順次読み出されていく。
【0101】
例えば、図3(g)に示すように、最初の主走査ラインcの処理においては参照符cの着色剤順序パターンが読み出される。したがって、最初の主走査ラインcにおいて、着色剤選択処理部25は、参照符hの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcにおいて、参照符iの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcにおいて、参照符jおよびkの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、最初の主走査ラインcに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0102】
そして、つぎの主走査ラインdの処理において、参照符dの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdにおいて、参照符hの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdにおいて、参照符i,j,kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインdに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0103】
さらに、つぎの主走査ラインeの処理において、参照符eの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeにおいて、参照符h,i,jの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeにおいて、参照符kの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインeに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0104】
また、つぎの主走査ラインfの処理において、参照符fの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符h,iの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符jの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfにおいて、参照符kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインfに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0105】
さらに、つぎの主走査ラインgの処理において、参照符cの着色剤順序パターンと同じ参照符gの着色剤順序パターンが読み出される。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符hの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。また、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符iの要素に対応するドットに対して非蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。さらに、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgにおいて、参照符j,kの要素に対応するドットに対して蛍光インクを吐出する旨のドットデータを出力する。そして、着色剤選択処理部25は、主走査ラインgに関し、参照符kのドットより後のドットについて、以上のパターンを繰り返す。
【0106】
このように、着色剤選択処理部25が、複数の主走査ラインを1周期として、互いに同一の配合比率であると共に蛍光インクのドットに対応する要素と非蛍光インクのドットに対応する要素との配列が互いに異なる複数の着色剤順序パターンを主走査ラインごとに順次読み出し、処理を行うと、副走査方向に向かって蛍光インクに係るドットと非蛍光インクに係るドットとをランダムに配列させることができる。これにより、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞が生じることもなく、蛍光インクと非蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。
【0107】
さらに、原稿種別自動判別部17による判別結果に基づいて、着色剤選択処理部25が、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出すようにしても構わない。
【0108】
原稿種別自動判別部17による処理方法は、特開2002−218232に記載されている手段が適用される。以下この手段について概説する。
【0109】
まず、画像入力装置12が原稿画像に対してプレスキャンを行い、読み込まれた画像データを基に、原稿種別自動判別部17が画像データの各値としての各階調に対する度数を示したヒストグラムを作成する。そして、原稿種別自動判別部17は、上記ヒストグラムより、予め定められる所定値より小さい低度数階調区分の区分数と、第1の最大度数の階調と、第2の最大度数の階調とを算出する。なお、第1の最大度数とは、上記ヒストグラムにおける最も度数の大きい区分におけるその度数をいう。第2の最大度数とは、上記ヒストグラムにおいて、最大度数の階調および最大度数の階調に隣接する階調以外の階調区分における最も度数の大きい区分のその度数をいう。さらに、原稿種別自動判別部17は、上記ヒストグラムにおける総画素数に対する第1の最大度数の割合、および上記総画素数を(第1の最大度数−第2の最大度数)で除算した値を算出する。
【0110】
そして、原稿種別自動判別部17は、上記低度数階調区分の区分数と予め定められた第1の閾値とを比較して、第1の閾値より上記低度数階調区分の区分数が大きければ、原稿画像が文字原稿であるものと判別する。さらに、原稿種別自動判別部17は、総画素数に対する第1の最大度数の割合と予め定められた第2の閾値とを比較して、第2の閾値より上記割合が高ければ、原稿画像が文字原稿であるものと判別する。
【0111】
また、原稿種別自動判別部17は、上記総画素数を(第1の最大度数−第2の最大度数)で除算した値と予め定められた第3の閾値とを比較して、第3の閾値より上記除算した値が大きければ、原稿画像が写真原稿であると判断する。
【0112】
さらに、原稿種別自動判別部17は、原稿画像を写真原稿であるものと判断した場合、当該原稿画像から取り込んだ入力画像データを2値化して、ある注目画素を含む複数の画素よりなるマスクを設定する。つぎに、原稿種別自動判別部17は、上記マスクにおける主走査方向および副走査方向での「0」から「1」、「1」から「0」への変化点数の和を求める。そして、原稿種別自動判別部17は、算出した上記変化点数の和が、予め定められている第4の閾値以上ならば、原稿画像を印刷写真(網点写真)と判別し、第4の閾値未満ならば原稿画像を印画紙写真と判別する。このように判別できる理由を説明する。印刷写真は網点から構成されており、読み込まれた入力画像データは局所領域における画像信号の変動が大きいからである。なお、処理の高速化のために、主走査方向の変化点数の和だけを求めても構わない。
【0113】
また、原稿種別自動判別部17は、文字原稿および写真原稿でないと判断される原稿については、文字と写真とが混在した原稿である文字/写真原稿であると判断する。
【0114】
そして、原稿種別自動判別部17は、このように判別された結果を示した原稿種別自動判定信号を出力し、着色剤選択処理部25へ送信する。ここで、着色剤選択処理部25は、原稿種別自動判別部17から送られてきた原稿種別自動判定信号に基づいて、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。
【0115】
着色剤選択処理部25は、原稿画像が文字原稿を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも低い着色剤順序パターン(例えば、図3(b)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、文字原稿に係る画像の彩度は比較的低いため、出力画像に多量の蛍光インクを配合することによる色再現域の拡大を図る必要がないためである。
【0116】
また、着色剤選択処理部25は、原稿画像が印画紙写真を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも高い着色剤順序パターン(例えば、図3(c)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、印画紙写真に係る画像の彩度は比較的高いため、出力画像に多量の蛍光インクを配合することによる色再現域の拡大を図る必要があるからである。
【0117】
さらに、着色剤選択処理部25は、原稿画像が文字/写真原稿あるいは印刷写真原稿を示す旨の原稿種別自動判定信号を受け取った場合、蛍光インクの配合比率が非蛍光インクの配合比率よりも低く、文字原稿に対して読み出される着色剤順序パターンよりも蛍光インクの配合比率が高い着色剤順序パターン(例えば、図3(d)に示す着色剤順序パターン)を読み出す。これは、文字/写真原稿あるいは印刷写真原稿には、印画紙写真原稿ほどではないが文字原稿より彩度の高い色が存在することが多いからである。
【0118】
このように、上記構成によれば、原稿種別自動判別部17が原稿画像の種類を判別して、着色剤選択処理部25が原稿種別自動判別部17の判定結果に基づいて、配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクと蛍光インクとを原稿画像の種類に合った適切な比率で吐出させることにより、記録材上に画像を形成することが可能となる。なお、原稿種別の判別手段は上述した手順に限定されるものでなく、文字原稿,写真原稿等の種類を判別できる手段であれば、いかなる手段を用いても構わない。
【0119】
また、着色剤選択処理部25が、入力画像を構成する画像データから得られる画素ごとの色情報データに基づいて、上記配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す構成としてもよい。この場合、色補正部20は明度彩度判定処理を実行することにより上記色情報データを出力する。なお、色情報データとは、明度、彩度、色相、色度等を示す画像データをいう。
【0120】
図4は、色補正部20の詳細な構成を示すブロック図である。また、図5は、色補正部20において実行される明度彩度判定処理(色情報データの生成)の各手順を示すフローチャートである。
【0121】
図4に示すように、色補正部20は、第1色座標変換部50,明度彩度判定部51,第2色座標変換部52より構成される。
【0122】
第1色座標変換部50は、領域分離処理部19から送られてきたR,G,Bの画像データを、L*,a*,b*の色情報データへ変換し、変換したL*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データにさらに変換して、明度彩度判定部51へ出力するブロックである。ここで、L*,a*,b*とは、CIE(Commission International de l’Eclairage:国際照明委員会)で定められているL*(明度)、a*・b*(色度)をいう。また、L*,C*,HにおけるL*値は明度、C*は彩度、Hは色相角度を表す。
【0123】
明度彩度判定部51は、第1色座標変換部50から送られてきた画素ごとのL*,C*,Hの色情報データから、入力画像の全画素における最大明度および最大彩度を求め、上記最大明度および最大彩度を示した選択信号を出力すると共に、該選択信号を着色剤選択処理部25へ送信するブロックである。また、明度彩度判定部51は、上記L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信するブロックでもある。
【0124】
第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から送られてきたL*,C*,Hの色情報データを、C,M,Yの画像データに変換して、変換後の画像データを黒生成下色除去部21へ送信するブロックである。
【0125】
以下、色補正部20における処理の手順を、図5に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0126】
まず、第1色座標変換部50が、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換する(S11)。ここで、R,G,Bの画像データからL*,a*,b*の色情報データを求める手段を説明する。
【0127】
まず、セットアップの段階で、予めカラーパッチを多数作成して、上記各カラーパッチに対応するL*,a*,b*値を測定すると共に、上記各カラーパッチを画像入力装置12に読み込ませて、各カラーパッチに対応するR,G,Bの画像データを得ておく。さらに、各カラーパッチが示すL*,a*,b*値とR,G,Bの画像データとの対応関係を表す変換行列、またはLUT(ルックアップテーブル)を予め作成して、図示しない演算用メモリに格納しておく。
【0128】
そして、第1色座標変換部50が原稿画像から読み込んだR,G,Bの画像データを上記演算用メモリに入力することにより、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換することができる。なお、L*,a*,b*の色情報データを求める手段は、ニューラルネットワークを用いた構成であっても構わない。
【0129】
さらに、第1色座標変換部50は、以下に示す演算により、上記L*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データに変換し(S12)、変換後のL*,C*,Hの色情報データを明度彩度判定部51へ送信する。
【0130】
【数1】
【0131】
つぎに、明度彩度判定部51は、第1色座標変換部50から送られてきたL*,C*,Hの色情報データから、入力画像の全画素における最大明度および最大彩度を求める。この手順を以下説明する。
【0132】
まず、明度彩度判定部51は、最大明度をL* max=0、最大彩度をC* max=0として設定、すなわち初期化を行う(S13)。そして、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データにおける明度であるL*とL* maxとを対比し、L*>L* maxの場合(S14,YES)、L* max=L*になるように最大明度としてのL* maxを更新する(S15)。一方、明度彩度判定部51は、L*≦L* maxの場合、L* maxを更新しない(S14,NO)。
【0133】
また、明度彩度判定部51は、その色情報データにおける彩度であるC*とC* maxとを対比し、C*>C* maxの場合(S16,YES)、C* max=C*になるように最大彩度としてのC* maxを更新する(S17)。一方、明度彩度判定部51は、C*≦C* maxの場合、C* maxを更新しない(S16,NO)。
【0134】
そして、明度彩度判定部51は、入力画像を構成する全画素に関して、S14からS17までの処理を終了していない場合、S14からS17までの処理を繰り返す(S18,NO)。一方、明度彩度判定部51は、入力画像を構成する全画素に関して、S14からS17までの処理を終了している場合、次のステップへ処理を移行する(S18,YES)。
【0135】
このようにして、S14〜S18の手順で得られたL* maxが入力画像の最大明度となり、C* maxが入力画像の最大彩度となる。そして、明度彩度判定部51は、L* maxおよびC* maxを示した選択信号を出力し(S19)、着色剤選択処理部25へ送信すると共に、L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信する。そして、第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から受け取ったL*,C*,Hの色情報データをC,M,Yの画像データに変換する(S20)。
【0136】
つぎに、色補正部20から上記選択信号を受け取った着色剤選択処理部25における処理を説明する。まず、着色剤選択処理部25は、予め定められているテーブルに格納されていて互いに上記比率を異とする複数の着色剤順序パターンから、上記選択信号に基づいていずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。なお、予め定められているテーブルとは、L* maxおよびC* maxの組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルをいう。
【0137】
さらに、着色剤選択処理部25では、このように選択された着色剤順序パターンに基づいて、出力画像の各ドットに関し、非蛍光インクを使用する旨のドットデータまたは蛍光インクを使用する旨のドットデータを出力する。このようにすることにより、非蛍光インクのみの減法混色では再現できない明度または彩度を示す色が原稿画像に存在する場合であっても、当該色を出力画像において再現することが可能となる。この点についてさらに詳細に説明する。
【0138】
図8(a)は、入力画像のあるL*値におけるa*・b*値の分布と、非蛍光インクから得られる色再現域を示したものである。上記入力画像において、最大明度または最大彩度を示す画素のL*,a*,b*値は、各色成分の非蛍光インクから得られる色再現域外の領域(図8(a)の斜線部)に属することが多い。
【0139】
したがって、このようなL*,a*,b*値を示す画素の画像データから、入力画像における色を適切に再現するためには、非蛍光インクと蛍光インクとを用いて画像を出力することにより、色再現域の拡大を図る必要がある。例えば、着色剤選択処理部25が、図3(c)に示す着色剤順序パターンを読み出すと、画像形成時における蛍光インクの配合比率が0.75となるので、色再現域を大幅に拡張でき、入力画像における色に近い色を出力画像において再現できるようになる。
【0140】
また、図8(b)に示すように、入力画像のa*・b*値の分布に偏りがある場合は、色成分ごとに異なる着色剤順序パターンを用いても構わない。例えば、図8(b)の入力画像から画像データを取り込んで、上記画像データから画像を出力する場合、M・Yに関しては非蛍光インクと蛍光インクとを用い、Cに関しては非蛍光インクを用いるようにしても構わない。
【0141】
すなわち、色成分ごとで、互いに異なる着色剤順序パターンを選択してもよく、同一の着色剤順序パターンを選択しても構わない。また、各色成分において、必ずしも蛍光インクを含んでいなくても良い。
【0142】
さらに、着色剤選択処理部25が、着色剤順序パターンを読み出した時点で上記配合比率が決まるので、L* maxおよびC* maxと着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルを代表的な色相毎に設定しておくのが好ましい。この場合、S14の処理の前に、L*,C*,Hの色情報データから画素ごとの色相判定を行い、判定された色相に基づいたテーブルから着色剤順序パターンを読み出すことになる。
【0143】
また、上述した手段では、明度彩度判定部51は、L* maxおよびC* maxを示した選択信号を出力しているが、L* maxのみを示した選択信号、またはC* maxのみを示した選択信号であって構わない。
【0144】
ここで、明度彩度判定部51が、L* maxのみを示した選択信号を出力する場合、着色剤選択処理部25において予め格納されているテーブルは、L* maxと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルとなる。
【0145】
また、明度彩度判定部51が、C* maxのみを示した選択信号を出力する場合、着色剤選択処理部25において予め格納されているテーブルは、C* maxと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルとなる。これにより、図9に示すように非蛍光インクのみから得られる色再現域と、入力画像のL*,C*値の分布とに大きな差がある場合であっても、上記色再現域を拡張できる。なお、この場合も、上記着色剤順序パターンを色相毎に設定しておくのが好ましい。
【0146】
また、明度彩度判定部51が、原稿画像全体より画像データを取り込んで、明度・彩度・色相の分布を求め、着色剤選択処理部25が可能な限り入力画像の色を再現できるように、色成分ごとに着色剤順序パターンを読み出しても構わない。また、ここで取り込まれる画像データは、全ての画素ではなく、数画素おきのデータでも構わない。例えば、間引き処理を行った数画素おきのデータやプレスキャンを行って主走査方向のデータのみを採用しても良い。プレスキャンは、通常、本スキャンより速い速度で走査されるので、入力されるデータは数ライン毎のデータとなる。
【0147】
さらに、図5のS19に示す手順における選択信号とは、入力画像の色情報データから導かれる最大明度および最大彩度であるが、すでに選択された着色剤順序パターンの種類を示すデータを選択信号としても構わない。つまり、図5に示す手順では、入力画像の最大明度および最大彩度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルが着色剤選択処理部25に格納されているが、画素ごとの明度および彩度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルが色補正部20に格納されている構成であってもよい。
【0148】
また、図5の手順では、入力画像の全画素に対応する各ドットに関し、入力画像における最大明度および/または最大彩度に基づいて、着色剤選択パターンの読み出しを行っている。しかし、画素ごとの明度および/または彩度に基づいて、当該画素に対応する各ドットデータに関し、着色剤選択パターンの読み出しを行ってもよい。この場合の明度彩度判定部51における手順を図12のフローチャートに基づいて以下説明する。
【0149】
まず、第1色座標変換部50が、R,G,Bの画像データをL*,a*,b*の色情報データに変換する(S31)。さらに、第1色座標変換部50は、上記L*,a*,b*の色情報データをL*,C*,Hの色情報データに変換し(S32)、変換後のL*,C*,Hの色情報データを明度彩度判定部51へ送信する。
【0150】
つぎに、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データから、明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルに基づいて、選択すべき着色剤順序パターンを示した選択信号を出力する。そして、上記選択信号は、着色剤選択処理部25へ画素ごとに送信される(S33)。なお、明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係とは、画素ごとの明度および彩度と、その明度および彩度を再現できるような上記配合比率の着色剤順序パターンとの関係をいう。
【0151】
ここで、着色剤選択処理部25は、画素ごとの上記選択信号に基づいて、図示しないROMに格納されている互いに配合比率を異とする複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。さらに、明度彩度判定部51は、L*,C*,Hの色情報データを第2色座標変換部52へ送信する。そして、第2色座標変換部52は、明度彩度判定部51から受け取ったL*,C*,Hの色情報データをC,M,Yの画像データに変換する(S34)。ここで、入力画像を構成する全画素に関して、S31からS34までの処理を終了していない場合、S31からS34までの処理を繰り返す(S35,NO)。一方、原稿画像を構成する全画素に関して、S31からS34までの処理を終了している場合、次のステップへ処理を移行する(S35,YES)。
【0152】
また、上記テーブルは、画素ごとの明度および彩度の組み合わせと各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したものであるが、明度と各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルであっても構わない。また、上記テーブルは、彩度と各配合比率の着色剤順序パターンとの対応関係を示したテーブルであっても構わない。さらに、上記テーブルは、明度および彩度および色相角度の組み合わせと、各配合比率の着色剤順序パターンの対応関係を示したテーブルであっても構わない。
【0153】
また、着色剤選択処理部25は、領域分離処理部19の処理結果に基づいて、領域ごとに配合比率の異なる着色剤順序パターンを読み出すこととしても構わない。これにより、出力画像における文字領域、網点領域、写真領域ごとで、蛍光インクの配合比率を異ならせることができ、より好ましい出力画像を形成することができる。
【0154】
なお、領域分離処理部19において、入力画像データを文字・網点・写真領域に分離する方法としては、例えば「画像電子学会研究会予稿90−06−04」に記載されている方法を用いることができる。以下に詳細を説明する。注目画素を中心としたM×N(M、Nは自然数)画素の領域内で以下▲1▼から▲3▼のような判定を行い、それを注目画素の領域識別信号とする。
【0155】
▲1▼領域分離処理部19は、上記領域内の中央の9画素に対して信号レベルの平均値(Dave)を求め、その平均値を用いて領域内の各画素を2値化する。また、領域分離処理部19は、領域内の全画素における最大信号レベルDmax、最小信号レベルDminも同時に求める。
【0156】
▲2▼また、小領域における画像データの変動が大きいことや、背景に比べて濃度が高いことを利用し、領域分離処理部19によって網点領域が識別される。以下、識別方法を説明する。まず、領域分離処理部19は、2値化されたデータに対して主走査、副走査方向における、0から1への変化点数としてのKH、1から0への変化点数であるKVを求める。そして、領域分離処理部19は、KHと閾値THとを比較し、KVと閾値TVとを比較する。ここで、領域分離処理部19は、KH>THかつKV>TVである場合、当該領域を網点領域と判定する。
【0157】
また、背景との誤判定を防ぐために、領域分離処理部19は、Dmax−Dminと閾値B1とを比較し、Dave−Dminと閾値B2とを比較し、Dmax−Dmin>B1かつDave−Dmin>B2かつKH>THかつKV>TVである場合、当該領域を網点領域と判断し、それ以外の場合、当該領域を非網点領域と判断する。
【0158】
▲3▼さらに、文字領域では最大信号レベルと最小信号レベルの差が大きく、濃度も高いと考えられることを利用して、領域分離処理部19によって文字領域が以下のように識別される。領域分離処理部19は、非網点領域と判断した領域を対象として、先に求めていた最大信号レベルDmaxと閾値PAとを比較し、最小信号レベルDminと閾値PBとを比較し、Dmax−DminをDsubとして、DsubとPcとを比較する。ここで、領域分離処理部19は、Dmax>PAまたはDmin<PBまたはDsub>Pcである場合、当該領域を文字領域と判断し、それ以外の場合、当該領域を写真領域と判断する。
【0159】
そして、領域分離処理部19は、このようにして各画素がいずれの領域に属するかを判別すると共に、判別結果を示した領域識別信号を画素ごとに着色剤選択処理部25へ送信する。
【0160】
着色剤選択処理部25は、上記領域識別信号に基づいて、以下のようにして、配合比率を互いに異とする複数の着色剤順序パターンから、上記画素に対応する各ドットに対して、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出す。文字領域、網点領域と判別された画素を構成するドットに対しては、非蛍光インクの色再現域内の色で再現できることが多いので、図3(e)のような蛍光インクの配合比率が0の着色剤順序パターンが読み出される。写真領域と判別された画素を構成するドットに対しては、非蛍光インクの色再現域外の色が比較的多いので、写真領域の色を再現できる可能性のより高い図3(c)のような上記配合比率の高い着色剤順序パターンが読み出される(写真領域は非蛍光インクの再現域外の色もあるので、蛍光インクの配合比率を高くすることにより再現できるようにしている)。また、網点領域と判別された画素を構成するドットに関しては、彩度を上げた方が好ましい色再現をすることもあるので、蛍光インクの配合比率が文字領域における着色剤順序パターンと写真領域における着色剤順序パターンとの中間的な着色剤順序パターン(すなわち図3(d))が読み出されるようであっても構わない。
【0161】
また、色補正部20における色変換処理の際に、空の青,草木の緑等の記憶色を示す画素を特定し、着色剤選択処理部25が、当該画素と対応するドットに対して、着色剤順序パターンを読み出して、蛍光インクを配合した色を再現することも可能である。これにより、記憶色を示す画素から、高彩度かつ視覚に好ましい色再現が可能になる。
【0162】
つまり、原稿画像の画像データから正確に色再現を行うよりも、人間が記憶している色に近い色を再現するほうが好ましい場合がある。ここで、記憶色に係る画素から画像を再現する場合、蛍光インクを配合することにより、高彩度の色を出力する必要がある。ここで好ましいというのは個人差があるので、通常プリンタなどでは多くの被験者の好ましい色の平均値を最も好ましい再現としていることが多い。
【0163】
記憶色は、身近に存在するものに対して、人間がイメージする色をマンセル色票から選ぶことにより決められる。この方法により選ばれた記憶色は、現実に画像入力装置12から取り込まれた画像に比べて彩度が高い。入力した画像データが記憶色であるか否かの判断は色補正部20で行われる(この場合、色補正部20の構成は図4と異なる)。
【0164】
ここで、記憶色に係る画像データに対して、非蛍光インクと蛍光インクとを用いて画像を出力することで、彩度が上昇し視覚的に好ましい色再現が可能となる。本実施の形態においては、色補正部20において、R,G,Bの画像データについて、対象となる記憶色の範囲を示したデータを予め設定しておく。そして、色補正部20は、上記範囲内の画像データに対して、記憶色に係る画素と判断する。さらに、着色剤選択処理部25は、色補正部20における判断に基づいて、このような記憶色に係る画素に対応する各ドットに対して、着色剤順序パターンを読み出す。これにより、記憶色に係る画素に関して、通常インクと蛍光インクとを適切な配合比率で用いて画像を出力できる。
【0165】
例えば、0から255の範囲で、画像データの階調が表現される場合、R,G,Bの画像データが、110≦R≦150、150≦G≦190、200≦B≦255の範囲にある画素については、空の青色を表す色の記憶色に係る画素と判断するのが好ましい。また、R,G,Bの画像データが、50≦R≦90、120≦G≦170、20≦B≦60の範囲にある画素については、木の葉の緑色を表す色の記憶色に係る画素と判断するのが好ましい。このような記憶色に係る画素から画像を出力する場合、非蛍光インクと蛍光インクとを用いる。
【0166】
但し、肌色については、一般に記憶色の方が現実に取り込まれた画像よりも彩度が低いことが多い。したがって、肌色を示す記憶色に係る画素から画像を出力する場合、蛍光インクを用いる必要がない。
【0167】
また、蛍光インクとの配合比率は、現実の色と記憶色との彩度差に応じた適切な配合比率が算出されることとして、適切な配合比率を示した着色剤順序パターンが着色剤選択処理部25により読み出されるものとする。
【0168】
また、各記憶色の種類に応じて、表現する彩度をオペレータの任意で決定しても構わない。例えば、空の青色を示す記憶色の方が、木の葉の緑色を表す記憶色のよりもより彩度を高くしたほうが好ましい場合、空の青色を示す記憶色に係る画素に対する上記配合比率は、木の葉の緑色を示す記憶色に係る画素に対する上記配合比率より高いものに設定されることになる。
【0169】
また、図示しないROMに基準着色剤順序パターン(基準着色剤順序データ)を格納すると共に、着色剤選択処理部25が目標とする配合比率に基づいて、基準着色剤順序パターンにおける蛍光インクに対応する要素と非蛍光インクに対応する要素とを定める構成であっても構わない。この場合、オペレータは、操作パネル27より、目標の配合比率を入力する。
【0170】
基準着色剤順序パターンには、図6(a)に示すように、各要素に対し、蛍光インクに対応する要素を定める優先順位が割り振られている。
【0171】
つぎに、着色剤選択処理部25が、基準着色剤順序パターンの非蛍光インクに対応する要素と蛍光インクに対応する要素とを定める手順を説明する。なお、図6(b)〜図6(f)に示す各要素において、斜線の要素は蛍光インクのドット対応する要素を示し、斜線のない要素は非蛍光インクのドットに対応する要素を示す。
【0172】
例えば、オペレータの入力した配合比率が0/16であれば、図6(b)に示すように、基準着色剤順序データの全ての要素は、非蛍光インクのドットに対応する要素となる。オペレータの入力した配合比率が1/16であれば、図6(c)に示すように、基準着色剤順序データにおいて、優先順位「1」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。
【0173】
また、オペレータの入力した配合比率が4/16であれば、図6(d)に示すように、優先順位「1」から「4」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」から「4」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。さらに、オペレータの入力した配合比率が9/16であれば、図6(e)に示すように、優先順位「1」から「9」の要素が蛍光インクのドットに対応する要素となり、優先順位「1」から「9」以外の要素が非蛍光インクのドットに対応する要素となる。なお、オペレータの入力した配合比率が16/16であれば、図6(f)に示すように、全ての要素が蛍光インクのドットに対応する要素となる。
【0174】
このように、基準着色剤順序パターンの各要素に対し、蛍光インクに対応する要素を定める優先順位を割り振っておくと、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとをできるだけバラバラに配列させることができる。また、図示しないROMに複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定できるので、メモリ容量を節約することもできる。なお、上述した基準着色剤順序パターンには16の要素が設定されているので、配合比率を16段階で調整できるが、上記要素の数はこれに限定されるものではない。例えば、基準着色剤順序パターンに30の要素が設定されている場合は、配合比率を30段階に調整できる。
【0175】
以上のように、上記構成の画像処理装置13によれば、蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光インクを用いて画素を表すドットの位置とを主走査方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部25が備えられている。したがって、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを主走査方向に沿って所定の順序で並べた出力画像を形成できる。
【0176】
ここで、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとができるだけ分散するように所定の順序を定めると、出力画像において、いわゆる面積階調の効果により、非蛍光インクと蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。したがって、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光インクと蛍光インクとが混ざっているようにみせて画像を出力することができる。
【0177】
なお、上記構成によれば蛍光インクと非蛍光インクを用いて画像を出力しているので、上記構成の出力画像の色再現域は、非蛍光インクのみからの色再現域より広い。従って、入力画像データが非蛍光インクのみからでは再現できないような階調であっても、上記構成によれば、当該階調を再現することが可能となる。
【0178】
また、出力画像に占める蛍光インクまたは非蛍光インクの配合比率が目標値になるように、上記着色剤順序パターンにおける色成分を示す非蛍光着色インクに対応する要素数と蛍光インクに対応する要素数とを定めれば、上記配合比率の目標値に応じて、画像を出力することが可能になる。これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光インクの配合比率の自由度を高めることができる。
【0179】
さらに、上記構成または手順によれば、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンのうち、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出し、読み出した着色剤順序パターンに基づいて、上記ドットデータを出力している。これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光インクの配合比率を変更することが可能となる。
【0180】
また、上記構成または手順によれば、原稿種別自動判別部17が原稿画像の種類を判別して、着色剤選択処理部25が、原稿種別自動判別部17の判別結果に基づいて、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光インクと蛍光インクとから画像を出力することが可能となる。なお、原稿画像の種類として、例えば、文字原稿、写真原稿、文字と写真とが混在した原稿等の種類がある。
【0181】
また、上記構成または手順によれば、領域分離処理部19が画像データに関する各画素を複数の領域に分類している。そして、着色剤選択処理部25が、領域分離処理部19の判別結果に基づいて、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクと蛍光インクとから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能となる。なお、上記複数の領域に関する画素として、例えば、文字領域に関する画素、網点領域に関する画素、写真(印画紙)領域に関する画素がある。
【0182】
さらに、上記構成または手順によれば、色補正部20が、画素ごとに上記画像データを色情報データに変換する。そして、着色剤選択処理部25は、上記色情報データに基づいて出力された選択信号を基に、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。したがって、非蛍光インクのドットと蛍光インクのドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能となる。つまり、原稿画像から、非蛍光インクのみでは出力できないような色を画像データとして取り込んだ場合でも、非蛍光インクと蛍光インクとを配合することで色再現域を拡張して、より原稿画像に近い色を出力できる。なお、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光インクのみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能となる。なお、上記色情報データは、明度および彩度および色相のデータとしても構わない。
【0183】
さらに、上記構成または手順によれば、色補正部20は、上記画像データが所定値範囲にある画素を記憶色に係る画素と特定する。そして、着色剤選択処理部25は、上記記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序パターンから、いずれか1の着色剤順序パターンを読み出している。ここで、記憶色に係る画素から色再現を行う場合、一般的に高彩度の色を再現することが要求される。上記構成によれば、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序パターンが読み出されるので、非蛍光インクと蛍光インクとを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能となる。
【0184】
さらに、上記構成によれば、例えば、オペレータが所望とする蛍光インクの配合比率の目標値を入力手段から入力できる。そして、着色剤選択処理部25は、入力した配合比率の目標値に基づいて、基準着色剤順序パターンの上記非蛍光インクに対応する要素と上記蛍光インクに対応する要素とを定めている。したがって、1つの基準着色剤順序データのみを図示しないROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光インクの配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序パターンを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできる。
【0185】
また、上記構成または手順によれば、着色剤選択処理部25は、蛍光インクのドットと非蛍光インクのドットとの順序が互いに異なる複数の着色剤順序パターンのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序パターンを読み出している。したがって、主走査ラインのみならず副走査ラインに向かって蛍光インクに係るドットと非蛍光インクに係るドットとをできるだけランダムに並べることができる。これにより、出力画像に蛍光インクと非蛍光インクとの縞が生じることもなく、蛍光インクと非蛍光インクとがあたかも混ざっているように見える。
【0186】
また、上記構成または手順によれば、色成分ごとに、着色剤順序パターンの上記配合比率を異ならせることができる。したがって、非蛍光インクのみに基づいた色再現域が色成分間で異なる場合であっても、色成分ごとで蛍光インクの配合比率を適切なものとすることができる。
【0187】
また、本発明の画像処理方法を、プリンタ・ドライバとして実現するようにしても良い。図7は、コンピュータに備えられるプリンタ・ドライバ60の構成を示すブロック図である。コンピュータは、プリンタ・ドライバ60、通信ポートドライバ61、通信ポート62を含んで構成される。プリンタ・ドライバ60は色補正部63、階調再現処理部64、着色材選択処理部65、出力変換部66、プリンタ言語翻訳部67より構成される。また、コンピュータは、RS232C・LAN等の通信ポートドライバ61・通信ポート62を介してインクジェット方式のプリンタ(画像出力装置)70と接続されている。
【0188】
コンピュータにおいて各種のアプリケーションプログラムを実行することにより生成された画像データは、プリンタ・ドライバ60内の色補正部63に送られる。色補正部63では、画像処理装置13に備えられた色補正部20と同様の処理を画像データに施す。さらに、色補正部63では、画像処理装置13における黒生成下色除去部21と同様の処理も行う。色補正部63より出力された画像データは、次に階調再現処理部64に送られ、階調補正処理および中間調生成処理が施される。階調再現処理部64において処理がなされた画像データは、着色材選択処理部65により、通常インク成分と蛍光インク成分に分ける処理が行われ、出力変換部66に送られる。なお、着色材選択処理部65においては、一定の着色剤順序パターンにより処理しても良いが、色補正部63における色情報に基づいて画像毎あるいは画素毎に着色材順序パターンを切り換えても良い。さらに、画像データはプリンタ言語翻訳部67に送られ、プリンタ言語に変換される。プリンタ言語翻訳部67から出力した画像データは、通信ポートドライバ61・通信ポート(RS232C・LAN等)62を介して、インクジェット方式のプリンタに入力する。プリンタでは、入力した画像データを紙等の記録材に出力する。プリンタは、プリンタ機能の他にコピー機能およびファックス機能を有するデジタル複合機であっても良い。
【0189】
また、上記プリンタ・ドライバをコンピュータではなくプリンタに備えるようにし、デジタルカメラなどで撮像された画像データをメモリカード、あるいは、USB(Universe Serial Bus)などのケーブルを介して入力し、プリンタで上記と同様の処理を行うようにしても良い。
【0190】
また、本発明は、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、画像処理方法を記録することにより実現することもできる。この結果、画像処理方法を行うプログラムを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0191】
なお、上記の記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0192】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0193】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であっても良い。
【0194】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0195】
上記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法が実行される。
【0196】
コンピュータシステムは、フラットベッドスキャナ・フィルムスキャナ・デジタルカメラなどの画像読取装置、所定のプログラムがロードされることにより上記画像処理方法など様々な処理が行われるコンピュータ、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスプレイ・液晶ディスプレイなどの画像表示装置およびコンピュータの処理結果を紙などに出力するプリンタより構成される。さらには、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのモデムなどが備えられる。
【0197】
本発明は、インクジェット方式の画像形成装置のみならず、例えば、トナーを記録媒体に吐出して画像を記録する電子写真方式等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0198】
最後に、上述した実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0199】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置は、以上のように、着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられていることを特徴とする。
【0200】
これにより、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができるという効果を奏する。
【0201】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤順序データは、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とが定められたデータであることを特徴とする。
【0202】
これにより、1ドット単位の階調を2段階、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない面積階調方式においても、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率の自由度を高めることができるという効果を奏する。
【0203】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力することを特徴とする。
【0204】
これにより、画像を出力する度に、出力画像に占める蛍光着色剤の配合比率を変更することが可能になるという効果を奏する。
【0205】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、原稿画像の種類を判別する原稿画像判別部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0206】
これにより、画像の種類に合った適切な配合比率で、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから画像を出力することが可能になるという効果を奏する。
【0207】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、画像データに関する各画素を複数の領域に分類する領域分離処理部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0208】
これにより、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とから、入力画像データの画素の属する領域に応じて、蛍光着色剤のドットと非蛍光着色剤のドットとを適切な比率で配合した画像を出力することが可能になるという効果を奏する。
【0209】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、各画素の画像データを色情報データに変換する色情報データ生成部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0210】
これにより、非蛍光着色剤のドットと蛍光着色剤のドットとから、入力画像データの画素の示す色あいを適切に再現することが可能になるという効果を奏する。
【0211】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データとは、明度および/または彩度に関するデータであることを特徴とする。
【0212】
これにより、色情報データとして明度および/または彩度のデータが用いられているので、色情報データの各画素が、非蛍光着色剤のみから再現できる色再現域に含まれているか否かを判別することが可能になるという効果を奏する。
【0213】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を、記憶色に係る画素と特定し、上記着色剤選択処理部は、記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0214】
これにより、上記記憶色に係る画素に関して、いずれか1の着色剤順序データが読み出されるので、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを配合した高彩度の画像を出力でき、上記記憶色を適切に再現することが可能になるという効果を奏する。
【0215】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記配合比率の目標値を入力できる入力手段が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記目標値に基づいて、基準着色剤順序データの非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とを定めることを特徴とする。
【0216】
これにより、1つの基準着色剤順序データのみを、例えばROMに格納しておくだけで、オペレータが所望とする蛍光着色剤の配合比率の目標値または非蛍光着色剤の配合比率の目標値で画像を出力できるので、複数の着色剤順序テーブルを格納しなくても、配合比率を自由に設定でき、メモリ容量を節約することもできるという効果を奏する。
【0217】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットに対応するドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを順次読み出していくことを特徴とする。
【0218】
これにより、出力画像に蛍光着色剤と非蛍光着色剤との縞が生じることもなく、蛍光着色剤と非蛍光着色剤とがあたかも混ざっているように見えるという効果を奏する。
【0219】
本発明の画像処理装置は、上記構成に加えて、色成分のドットデータごとに、上記配合比率が異なる着色剤順序データを読み出すことを特徴とする。
【0220】
これにより、原稿画像の色域の広がりが上記色成分ごとに異なる場合であっても、色成分のドットデータごとで蛍光着色剤の配合比率を適切なものとすることができる。
【0221】
本発明の画像形成装置は、以上のように、上記画像処理装置と、上記画像処理装置から送られてきたドットデータに基づいて、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0222】
これにより、1ドット当たりの着色剤吐出量が一定であっても、非蛍光蛍光剤と蛍光着色剤との配合比率を自由に選択して、画像を形成することが可能となる。
【0223】
本発明の画像処理方法は、以上のように、着色剤により画像を形成するためのドットごとに与えられるドットデータを出力する画像処理方法であって、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力するステップを備えることを特徴とする。
【0224】
これにより、1ドット単位の階調を一定、もしくは、1ドット単位の階調を数段階しか調整できない画像形成においても、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とが混ざっているようにみせて画像を出力することができるという効果を奏する。
【0225】
本発明の画像処理プログラムは、以上のように、上記画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。また、本発明の画像処理プログラムは、以上のように、上記画像処理装置が備えている各部に対して、コンピュータを機能させるための画像処理プログラムであってもよい。さらに、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能にしてなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体としても構わない。
【0226】
これにより、上記記録媒体、またはネットワークを介して、一般的なコンピュータに画像処理プログラムをインストールすることによって、該コンピュータを用いて上記の画像処理方法を実現する、言い換えれば、該コンピュータを画像処理装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置、画像出力装置を備えたデジタルカラー複写機の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理方法の手順を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る着色剤順序パターンを示した説明図であって、(a)は蛍光インクの配合比率=0.5の着色剤順序パターン、(b)は上記配合比率=0.25の着色剤順序パターン、(c)は上記配合比率=0.75の着色剤順序パターン、(d)は上記配合比率=0.4の着色剤順序パターン、(e)は上記配合比率=0の着色剤順序パターン、(f)は上記配合比率=1の着色剤順序パターン、(g)は上記配合比率=0.25の着色剤順序パターンを示す。
【図4】上記画像処理装置の構成要素である色補正部の概略構成を示したブロック図である。
【図5】上記色補正部で実現される処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】基準着色剤順序パターンの説明図であって、(a)は基準着色剤順序パターン、(b)は蛍光インクの配合比率=0/16に設定された基準着色剤順序パターン、(c)は上記配合比率=1/16に設定された基準着色剤順序パターン、(d)は上記配合比率=4/16に設定された基準着色剤順序パターン、(e)はは上記配合比率=9/16の基準着色剤順序パターン、(f)は上記配合比率=16/16の基準着色剤順序パターンを示す。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理方法が実現されるプリンタ・ドライバを備えるコンピュータの概略構成を示したブロック図である。
【図8】(a)は、入力画像のa*b*値の分布に対する非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図であり、(b)は、別の入力画像のa*b*値の分布に対する色成分ごとの非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図である。
【図9】入力画像のL*C*値の分布に対する非蛍光インクから得られる色再現域を示した平面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像出力装置の概略構成を示した斜視図である。
【図11】上記画像出力装置に備えられているインクタンクを示した斜視図である。
【図12】上記色補正部で実現されている処理であって、図5の処理とは異なる処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
11 デジタルカラー複写機(画像形成装置)
12 画像入力装置
13 画像処理装置
14 画像出力装置
17 原稿種別自動判別部(原稿画像判別部)
19 領域分離処理部
20 色補正部(色情報データ生成部)
25 着色剤選択処理部
Claims (16)
- 着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理装置であって、
蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力する着色剤選択処理部が備えられていることを特徴とする画像処理装置。 - 上記着色剤順序データは、出力画像に占める蛍光着色剤または非蛍光着色剤の配合比率が目標値になるように、非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とが定められたデータであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記着色剤選択処理部は、上記配合比率をそれぞれで異ならせている複数の着色剤順序データのうち、いずれか1の着色剤順序データを読み出し、読み出した着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 原稿画像の種類を判別する原稿画像判別部が備えられ、
上記着色剤選択処理部は、上記原稿画像判別部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。 - 画像データに関する各画素を複数の領域に分類する領域分離処理部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記領域分離処理部の判別結果に基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
- 各画素の画像データを色情報データに変換する色情報データ生成部が備えられ、上記着色剤選択処理部は、上記色情報データに基づいて、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
- 上記色情報データとは、明度および/または彩度に関するデータであることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
- 上記色情報データ生成部は、上記画像データが所定範囲にある画素を、記憶色に係る画素と特定し、上記着色剤選択処理部は、記憶色に係る画素に対応する各ドットに対し、いずれか1の着色剤順序データを読み出すことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
- 上記配合比率の目標値を入力できる入力手段が備えられ、
上記着色剤選択処理部は、上記目標値に基づいて、基準着色剤順序データの非蛍光着色剤に対応する要素と、蛍光着色剤に対応する要素とを定めることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 上記着色剤選択処理部は、蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置との順序が互いに異なる複数の着色剤順序データのうち、主走査ラインごとに異なる着色剤順序データを順次読み出していくことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
- 色成分のドットデータごとに、上記配合比率が異なる着色剤順序データを読み出すことを特徴とする請求項2ないし10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の画像処理装置と、上記画像処理装置から送られてきたドットデータに基づいて、非蛍光着色剤と蛍光着色剤とを別々の吐出口からそれぞれ一定量で吐出する画像出力装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 着色剤により画像を形成するための画素ごとに与えられるドットデータを出力する画像処理方法であって、
蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置と、非蛍光着色剤を用いて画素を表すドットの位置とを基準方向に沿って所定の順序で定めた着色剤順序データに基づいて、上記ドットデータを出力するステップを備えることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項13に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の画像処理装置が備えている各部に対して、コンピュータを機能させるための画像処理プログラム。
- 請求項14または15に記載の画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能にしてなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体。
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