前述のように黒文字を黒単色で再現する場合、該当する文字が無彩色であるか否かの判断の精度が重要となる。その判断には、画像データの彩度について閾値を設定し、有彩色及び無彩色を判定する方法が一般的によく用いられている。前述した特許文献1に記載された画像処理装置においても、画像データのシアン、マゼンタ、イエロのうち最も大きい値と最も小さい値の差が所定の値以下であるとき無彩色であると判定している。こういった判定を行う場合、黒文字を確実に無彩色と判断するためには、彩度に対する閾値を大きめに設定する必要がある。特にスキャナ装置などを用いて読み取った黒文字の場合、スキャナ装置の特性(RGB各色毎のランプ光量の変動やRGBフィルタ切替えのタイムラグなど)により入力画像データは色味を帯びていることが多いためである。しかしながら、閾値を大きめに設定した場合には、低彩度の色文字を無彩色と誤判定してしまう現象が多発するという問題点を有している。すなわち、この場合、色文字が黒単色で再現されることになるので極度の画質劣化を引き起こす原因となっている。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、色調整の対象となる領域に含まれる各画素が有彩色であるか否かを判定し、前記画素が取込んだ画像に含まれる形状オブジェクト上に存するか否かを判定し、形状オブジェクト上に存すると判定された画素のうち、有彩色である画素の比率を算出し、算出した比率に応じた色調整を施す構成とすることにより、取込んだ画像に含まれる文字、図形等の形状オブジェクトを良好に再現することができる画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、及び該画像処理装置、画像形成装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る画像処理方法は、文字又は図形を含む画像を画像処理装置に取込み、取込んだ画像に含まれる文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現する画像処理方法において、取込んだ画像から領域を指定し、指定した領域内に含まれる各画素が有彩色であるか否かを判定し、前記画素が前記画像に含まれる文字又は図形上に存するか否かを前記画素の周辺画素の濃度変化により判定し、前記文字又は図形上に存すると判定された画素のうち、有彩色である画素の比率を算出し、算出した比率が所定値よりも大きいか否かを判断し、前記比率が所定値より大きいと判断した場合、前記文字又は図形を構成する各画素を黒色及び有彩色の混色に変換し、前記比率が所定値より小さいと判断した場合、前記各画素を黒色に変換することを特徴とする。
本発明にあっては、文字又は図形上に存する画素のうち、有彩色である画素の比率を算出し、算出した比率に応じて文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現する処理を領域内の各画素に対して施すようにしているため、例えば、算出した比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現することで画質劣化が防止される。また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現するような制御が可能となる。
本発明に係る画像処理装置は、文字又は図形を含む画像を取込み、取込んだ画像に含まれる文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現する処理を行う画像処理装置において、取込んだ画像から領域を指定する手段と、該手段が指定した領域内に含まれる各画素が有彩色であるか否かを判定する第1判定手段と、前記画素が前記画像に含まれる文字又は図形上に存するか否かを前記画素の周辺画素の濃度変化により判定する第2判定手段と、前記文字又は図形上に存すると判定された画素のうち、有彩色である画素の比率を算出する手段と、該手段が算出した比率が所定値よりも大きいか否かを判断する手段と、前記比率が所定値より大きいと判断した場合、前記文字又は図形を構成する各画素を黒色及び有彩色の混色に変換し、前記比率が所定値より小さいと判断した場合、前記各画素を黒色に変換する手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、文字又は図形上に存する画素のうち、有彩色である画素の比率を算出し、算出した比率に応じて文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現する処理を領域内の各画素に対して施すようにしているため、例えば、算出した比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現することで画質劣化が防止される。また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現するような制御が可能となる。
また、本発明にあっては、算出した比率が所定値よりも大きいと判断した場合、すなわち、対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断できる場合には前記対象領域が複数の色成分により再現される。すなわち、低彩度の文字又は図形が含まれるような場合であっても、無彩色であると判定されることが少なくなり、黒単色で再現することに伴う画質劣化が防止される。
本発明にあっては、算出した比率が所定値よりも小さいと判断した場合、文字又は図形上の画素の色成分を黒色に変換するようにしているため、対象領域に無彩色の文字又は図形が含まれると判断できる場合には文字又は図形が黒単色により良好に再現される。
本発明に係る画像処理装置は、前記所定値の変更を受付ける手段を更に備えることを特徴とする。
本発明にあっては、利用者自身が所定値(閾値)を任意に設定できるため、利用者の嗜好に応じた処理が可能となる。
本発明に係る画像処理装置は、前記比率に応じて黒色の成分量を変更する手段を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、算出した比率に応じて変換後の表色系に含まれる黒色の成分を変更するようにしているため、有彩色の文字又は図形が含まれる比率に応じて最適な色調整が可能となり、文字又は図形が良好に再現される。例えば、比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現して画質劣化を防止することが可能となる。また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現することが可能となる。更に、比率が中程度である場合には、有彩色の文字又は図形、無彩色の文字又は図形の双方が含まれると判断し、無彩色の領域は黒成分を強めつつ、有彩色の領域は黒単色により置き換えられることがないように処理を制御することが可能となる。
本発明に係る画像処理装置は、前記処理が、下色除去処理を含むことを特徴とする。
本発明にあっては、取込んだ画像の特徴に応じた下色除去処理が施されるため、高画質の画像が得られる。
本発明に係る画像処理装置は、前記第1及び第2判定手段の判定結果に基づいて、前記処理を行う領域を網点領域及び文字領域を含む複数の領域に分離する領域分離手段を備え、前記算出した比率及び前記領域分離手段による領域分離結果に基づいて、黒色の成分量を決定することを特徴とする。
本発明にあっては、対象画素が有彩であるか否かを判定する第1判定手段と前記画素が文字又は図形上に存するか否かを判定する第2判定手段とを用いて領域分離処理を行うため、有彩色の文字又は図形が含まれる比率を算出するための手段と、領域分離を行う手段とを別途に設ける必要がなくなる。すなわち、処理が共通している部分を共用することで、回路規模及び装置コストが削減される。
本発明に係る画像処理装置は、前記比率を算出するために前記第1判定手段が用いる閾値を、前記領域分離手段により複数の領域に分離するために前記第1判定手段が用いる閾値より小さな値に設定してあることを特徴とする。
本発明にあっては、比率算出の判定基準と領域分離を行う際の判定基準とを異ならせているため、例えば、比率を算出する際には有彩色の文字又は図形を検出し易い判定基準を設けることで、無彩色に近い文字又は図形が含まれる場合であっても、検出精度が低下することがなくなる。
本発明に係る画像処理装置は、前記処理を行う領域の変更を受付ける手段を更に備え、該手段にて変更された領域を、前記処理を行う領域として指定することを特徴とする。
本発明にあっては、色調整の対象領域を変更することが可能であるため、例えば、画像全体について色調整を施す必要がなくなり、利用者が任意に設定した領域のみに色調整処理を施すことが可能となる。
本発明に係る画像形成装置は、前述した発明の何れか1つに記載した画像処理装置と、該画像処理装置により色調整された画像をシート上に形成する手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、取込んだ画像の特徴に応じた色調整処理を行うことにより、高画質の画像がシート上に形成される。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、画像に含まれる文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現させるステップを有するコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記画像から領域を指定させるステップと、コンピュータに、指定させた領域内に含まれる各画素が有彩色であるか否かを判定させるステップと、コンピュータに、前記画素が前記画像に含まれる文字又は図形上に存するか否かを前記画素の周辺画素の濃度変化により判定させるステップと、コンピュータに、前記文字又は図形上に存すると判定された画素のうち、有彩色である画素の比率を算出させるステップと、コンピュータに、算出させた比率が所定値よりも大きいか否かを判断させるステップと、コンピュータに、前記比率が所定値より大きいと判断された場合、前記文字又は図形を構成する各画素を黒色及び有彩色の混色に変換させ、前記比率が所定値より小さいと判断された場合、前記各画素を黒色に変換させるステップとを有することを特徴とする。
本発明にあっては、文字又は図形上に存する画素のうち、有彩色である画素の比率を算出し、算出した比率に応じて文字又は図形を黒色又は黒色と有彩色との混色により再現する処理を領域内の各画素に対して施すようにしているため、例えば、算出した比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現することで画質劣化が防止される。また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現するような制御が可能となる。
本発明による場合は、文字又は図形上に存する画素のうち、有彩色である画素の比率を算出するようにしている。算出した比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現することで画質劣化を防止することができ、また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現するような制御を実行することができる。
本発明による場合は、対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断できる場合には前記対象領域を複数の色成分により再現することができる。すなわち、低彩度の文字又は図形が含まれるような場合であっても、無彩色であると判定されることが少なくなり、黒単色で再現することに伴う画質劣化を防止することができる。
本発明による場合は、算出した比率が所定値よりも小さいと判断した場合、文字又は図形上の画素の色成分を黒色に変換するようにしているため、対象領域に無彩色の文字又は図形が含まれると判断できる場合には、文字又は図形を黒単色により良好に再現することができる。
本発明による場合は、利用者自身が所定値(閾値)を任意に設定できるため、利用者の嗜好に応じた処理を実行することができる。
本発明による場合は、算出した比率に応じて変換後の表色系に含まれる黒色の成分を変更するようにしているため、有彩色の文字又は図形が含まれる比率に応じて最適な色調整が可能となり、文字又は図形が良好に再現される。例えば、比率が高い場合には色調整の対象領域に有彩色の文字又は図形が含まれると判断し、画像を複数色で再現して画質劣化を防止することができる。また、比率が低い場合には無彩色の文字又は図形が含まれると判断し、文字又は図形を黒単色で良好に再現することができる。更に、比率が中程度である場合には、有彩色の文字又は図形、無彩色の文字又は図形の双方が含まれると判断し、無彩色の領域は黒成分を強めつつ、有彩色の領域は黒単色により置き換えられることがないように処理を制御することができる。
本発明による場合は、取込んだ画像の特徴に応じた下色除去処理が施されるため、高画質の画像を取得することができる。
本発明による場合は、対象画素が有彩であるか否かを判定する第1判定手段と前記画素が文字又は図形上に存するか否かを判定する第2判定手段とを用いて領域分離処理を行うため、有彩色の文字又は図形が含まれる比率を算出するための手段と、領域分離を行う手段とを別途に設ける必要がなくなる。すなわち、処理が共通している部分を共用することで、回路規模の縮小化を図ることができ、また装置コストを削減することができる。
本発明による場合は、比率算出の判定基準と領域分離を行う際の判定基準とを異ならせているため、例えば、比率を算出する際には有彩色の文字又は図形を検出し易い判定基準を設けることで、無彩色に近い文字又は図形が含まれる場合であっても、検出精度を高い状態に保つことができる。
本発明による場合は、色調整の対象領域を変更することが可能であるため、例えば、画像全体について色調整を施す必要がなくなり、利用者が任意に設定した領域のみに色調整処理を施すことができる。
本発明による場合は、取込んだ画像の特徴に応じた色調整処理を行うことにより、高画質の画像をシート上に形成することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る画像処理装置の内部構成を説明するブロック図である。図中1は、CCDラインセンサ(CCD : Charge Coupled Device)を備えており、原稿から反射してきた光を第1表色系であるR,G,B(R:赤、G:緑、B:青)に色分解された電気信号に変換する画像入力部であり、当該画像入力部1に入力されたカラー画像信号(RGB信号)に対して画像処理部2が色調整処理を施した後、画像出力部3にて出力画像が形成される。画像出力部3では、電子写真方式の印字部、インクジェット方式の印字部等により用紙上に画像形成を行う。
画像入力部1により入力されたRGB信号は、AD変換部11にてデジタル信号に変換され、シェーディング補正部12にて画像入力部1の照明系、結像系、及び撮像系で生じる各種の歪みが取り除かれる。その後、入力処理部14において反射率信号が画像処理に適した濃度信号に変換され、RGB信号の補色であるCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロ)信号が生成される。そして色補正部15にて色再現性を高める処理が施され、黒生成/下色除去部16にて第2表色系であるCMYK(K:黒)4色信号に変換される。空間フィルタ部17ではCMYK信号に対して強調処理や平滑化処理がなされ、中間調生成部18では画像を出力するための階調再現処理がなされる。
広域特徴処理部20aでは入力原稿における有彩色の文字(以下、色文字と呼ぶ)と無彩色の文字(以下、黒文字と呼ぶ)との比率が算出され、算出された比率に基づいて、適切な黒生成/下色除去(=UCR: Under Color Removal)を実現するための成分量制御信号が生成される。また、領域分離処理部20bにおいては入力画像データの各画素に対し黒文字/色文字/網点/その他のいずれの領域に属する画素であるかを判定する。すなわち、領域分離処理部20bは色調整処理を施す領域を画像の特徴に応じた複数の領域に分離する領域分離手段として機能する。広域特徴処理部20a及び領域分離処理部20bから出力された成分量制御信号及び領域分離信号は、それぞれ黒生成/下色除去部16、空間フィルタ部17、中間調生成部18に引き渡され、各種領域や原稿の特徴に応じた適切な処理の切替えが行われる。
以上の構成を持つ画像処理装置において、一回目の原稿走査の際は画像入力部1から得られた画像データ(RGB信号)はAD変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部14を経て広域特徴処理部20aへ引き渡される。広域特徴処理部20aでは、第2判定手段である文字判定部21、第1判定手段である有彩/無彩判定部22からの出力信号を基に色文字比率算出部23にて入力原稿の特徴の一つである色文字比率が算出される。すなわち、色文字比率算出部23では、文字上に存在する画素のうち、有彩色である画素の比率が算出される。その後、黒生成/UCR量制御部24において色文字比率に応じた黒生成/UCRの制御を行うための成分量制御信号が生成されて、一回目の原稿走査による処理を終える。
次いで、二回目の原稿走査の際は、画像入力部1から得られた画像データはAD変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部14を経て領域分離処理部20bおよび色補正部15へ引き渡される。領域分離処理部20bでは網点判定部25、文字判定部21、有彩/無彩判定部22からの出力信号を基に局所領域判定部26にて各画素に対する領域分離信号が生成される。一方、色補正部15を経た画像データは黒生成/下色除去部16に送出され、各画素に対する領域分離信号と一回目の原稿走査により得られた成分量制御信号とに基づき、画素毎に最適な黒生成/UCRの処理が施される。すなわち、黒生成/下色除去部16は、色文字比率算出部23が算出した色文字比率に応じた色調整処理を画像データ内の各画素に対して施すように構成されている。その後、画像データは空間フィルタ部17、中間調生成部18を経て、画素毎に領域分離信号に応じた最適な処理が施される。これら一連の処理を終えた画像データは画像出力部3に引き渡され、最終的に出力画像が再現される。以上の処理は、図に示していないCPU(Central Processing Unit)により制御される。
本実施の形態では、プレスキャン動作を行うことにより一回目の原稿走査を、次に本スキャン動作を行うことにより二回目の原稿走査を実現しても良く、また、一度のスキャン動作により読み込まれた画像データを一旦ハードディスクなどの記憶部に格納しておき、その格納されているデータを複数回走査することで実現しても良い。この場合は、画像入力部1により読み込まれた画像データはシェーディング補正後、メモリ部13aに格納されると共に、入力処理部14を経て広域特徴処理部20aへ引き渡され、一回目の画像走査による処理が行われる。そして、次はメモリ部13aから画像データが読み出され、入力処理部14を経て領域分離処理部20bおよび色補正部15へ引き渡され、二回目の原稿走査による処理が行われる。
図2は色調整処理の対象とする画像データの範囲を説明する模式図である。図2(a)は、入力原稿全体に渡り処理を施す場合を示しており、始点から終点へ一回目の走査をしたのち、再び始点から終点へ二回目の走査をすることで処理を施す。図2(b)は、入力原稿を所定サイズ(例えば、200×200画素)の複数の分割領域(ブロック)に分割して処理を施す場合を示しており、各ブロックについてそれぞれ始点から終点への二回の走査をすることで処理を施す。この場合は、メモリ部13aに格納された入力原稿の画像データから処理の対象となるブロックの画像データのみを一旦ブロック分割部13bに読み出して格納し、それを二回走査することで対象ブロックへの処理を行う。この動作をブロック毎に順次繰り返すことで原稿全体に対する処理を施す。図2(c)は、入力原稿の指定された領域にのみ処理を行う場合を示しており、例えば操作者が液晶ディスプレイなどの表示装置に表示された画像をポインタで指定した領域を使い、その始点と終点との間で二回の走査を行うことで処理を施す。
実際に色調整処理を開始する際には、ポインタにより領域の変更を受付けていない場合は画像処理装置のCPUが原稿全体(又は分割領域)を色調整処理を施すべき領域として指定し、ポインタにより領域の変更を受付けている場合はポインタにより入力された情報を元にCPUが領域の指定を行う。
以下、広域特徴処理部20aが実行する処理内容について説明する。
図3は文字判定部21の内部構成を示すブロック図であり、図4は文字判定部21が判定を行う画像の大きさを説明する模式図である。文字判定部21は、まず、入力された画像データを複数本のラインメモリに保持し、図4に示したように注目画素を中心としたM×N画素のマスク(例えば、9×9画素)を生成する。文字判定部21では、注目画素を順次的にずらしながらマスクを生成し、各マスクについて判定処理を行うことにより、原稿全体、各分割領域、又は指定領域の画像について文字判定を行う。
生成されたマスク内のラインX、ラインYの画像データは、CMY色成分毎にエッジ・ペア判定部210,210に引き渡される。エッジ・ペア判定部210の詳細については後述することとするが、ここではライン内における急峻なエッジの有無、並びに立上りエッジ及び立下りエッジのペアの有無が検出され、それぞれエッジ信号Line_e、ペア信号Line_pとして出力される。そして、ラインX及びラインYの各々で得られたエッジ信号Line_e同士の論理和、及びペア信号Line_p同士の論理和がそれぞれ論理和回路211,212により求められ、論理積回路213によって得られるそれらの論理積がCMY色成分毎の判定結果Text_c、Text_m、Text_yとして出力される。最終的に判定結果Text_c、Text_m、Text_yの論理和が論理和回路215によって求められ、文字信号Textとして文字判定部21の出力信号が生成される。なお、文字信号Textが、”1”の場合は文字領域であることを示し、”0”の場合は文字領域でないことを示している。
図5はエッジ・ペア判定部210の内部構成を示すブロック図であり、図6は立上りエッジ及び立下りエッジの検出手法を説明する説明図である。まず、差分器2101にて隣接画素同士の画像データfa、fbの差分(fa−fb)が算出され、絶対値算出部2102にて絶対値|fa−fb|が算出される。次いで、隣接画素同士が急峻なエッジであるか否かを判定するため、比較器2103にて絶対値|fa−fb|と所定の閾値TH_edgeとの間の大小関係が比較される。絶対値|fa−fb|が閾値TH_edgeよりも大きい場合は急峻なエッジであると判定され、比較器2103の出力信号として”edge=1”が出力され、そうでない場合には、比較器2103の出力信号として”edge=0”が出力される。
一方、隣接画素同士が立上りエッジであるか否かの判定、及び立下りエッジであるか否かの判定を行うため、比較器2104にて絶対値|fa−fb|と所定の閾値TH_pairとの間の大小関係が比較され、また、比較器2105にて差分(fa−fb)と0との間の大小関係が比較される。両比較器2104,2105の出力信号は論理積回路2106に入力され、比較器2104の出力信号と反転器2107によって反転させた比較器2105の出力信号とは論理積回路2108に入力される。論理積回路2106にて、絶対値|fa−fb|>TH_pairかつ(fa−fb)>0を満たす場合には立下りエッジであると判定され、その出力信号として”down=1”が出力され、そうでない場合には、論理積回路2106の出力信号として”down=0”が出力される。また、論理積回路2108にて、絶対値|fa−fb|>TH_pairかつ(fa−fb)≦0を満たす場合には立上りエッジであると判定され、その出力信号として”up=1”が出力され、そうでない場合には、論理積回路2108の出力信号として”up=0”が出力される。
以上の判定手法を実際の画像に対して適用した場合、図6に示したように隣接画素同士(画素A及び画素B)の濃度差が大きく、かつ濃度が上昇している部分が立上りエッジとして検出され、濃度差が大きく、かつ濃度が下降している部分が立下りエッジとして検出される。なお、図6に示した棒グラフでは、横軸にラインX(又はラインY)上の画素をとり、縦軸には各画素の濃度値をとっている。
前述した判定処理がラインX及びラインY内の端から端まで各隣接画素について行われた後、比較器2103の出力信号(edge信号)の論理和が論理和回路2109によって求められ、論理和回路2109の出力信号としてエッジ信号Line_eが出力される。エッジ信号Line_eが”1”の場合、ラインX(又はラインY)内に急峻なエッジが有ることを示し、”0”の場合はそれが無いことを示す。同様に、論理積回路2106の出力信号(down信号)の論理和が論理和回路2110によって求められ、論理積回路2108の出力信号(up信号)の論理和が論理和回路2111によって求められる。そしてそれらの論理積が論理積回路2112によって求められ、出力信号としてペア信号Line_pが出力される。ペア信号Line_pが”1”の場合、ラインX(又はラインY)内に立上りエッジと立下りエッジとのペアが有ることを示し、”0”の場合はそれが無いことを示す。
図7は有彩/無彩判定部22の内部構成を示すブロック図である。初めに入力された注目画素のCMYデータは最大値算出部221と最小値算出部222とに渡され、そこで最大値max(C,M,Y)と最小値min(C,M,Y)とがそれぞれ算出される。次に、差分器223にてそれらの差分値(max(C,M,Y)−min(C,M,Y))が求められる。そして、比較器224にて差分値と所定の閾値THcolとの間の大小関係が比較される。max(C,M,Y)−min(C,M,Y)<THcolを満たす場合は、有彩無彩信号として”Color=1”が出力され、そうでない場合は有彩無彩信号として”Color=0”が出力される。なお、有彩無彩信号Colorが”1”である場合には、無彩色の画素であることを示し、”0”である場合には、有彩色の画素であることを示す。
図8は色文字比率算出部23の内部構成を示すブロック図である。注目画素に対する文字信号Textと有彩無彩信号Colorとの論理積が論理積回路231により算出され、その出力信号が無彩カウンタ232へ、その反転信号が有彩カウンタ233へ引き渡され、それらのカウンタ232,233にて無彩色/有彩色の文字の画素数が計数されてゆく。なお、始点フラグは注目画素が原稿の始点位置にあるときオンとなり、それによって両カウンタ232,233の値をリセットする働きを持っている。両カウンタ232,233の値は、続く加算器234により加算され、その次の除算器235によって有彩カウンタ233の値が両カウンタ232,233の加算値で除算され、色文字比率=有彩カウンタ値/(有彩カウンタ値+無彩カウンタ値)として出力される。なお、終点フラグは注目画素が原稿の終点位置にあるときオンとなり、それによって除算器235の値を出力する働きを持っている。
黒生成量/UCR量制御部24では、前述した色文字比率算出部23の出力(色文字比率)に応じた成分量制御信号が出力される。色文字比率が予め定めた閾値(例えば、0.9)より大きい場合、入力原稿に色文字があると判断して成分量制御信号=”01”を出力する。それ以外の場合、色文字がないと判断して成分量制御信号=”00”を出力する。なお、成分量制御信号の詳細については後述することとする。
また、成分量生成信号はこの2通りに限定した信号ではなく、色文字比率の大きさに応じて更に複数の段階を設けてもよい。例えば、色文字比率が、予め定めた第一の閾値より大きい場合、入力原稿に色文字があると判断して成分量生成信号=”01”を出力する。そうでない場合、予め定めた第二の閾値(例えば、0.1)より大きい場合、色文字があるとは断定できないがその可能性が比較的高いと判断し、成分量制御信号=”10”を出力する。それ以外の場合、色文字がないと判断して成分量制御信号=”00”を出力する。このように色文字比率の大きさを入力原稿に色文字のある可能性と見立て、複数段階の成分量制御信号を出力する構成とすることにより、原稿の特徴に応じた適切な処理の切替えが実現できる。
以下、領域分離処理部20bが実行する処理内容について説明する。
領域分離処理部20bの文字判定部21は、広域特徴処理部20aにおける文字判定部21を流用して注目画素が文字領域に属する画素か否かの判定を行う。すなわち、文字判定部21を一回目の原稿走査の際は広域特徴処理のために使用し、二回目の原稿走査の際は領域分離処理のために使用する。このような構成にすることで、各々の処理のために別途文字判定部を持つ必要が無く、回路規模を大幅に縮小することが可能となり、コストをより削減できる。
領域分離処理部20bの有彩/無彩判定部22は、広域特徴処理部20aにおける有彩/無彩判定部22を流用して注目画素が有彩色であるか無彩色であるかの判定を行う。すなわち、有彩/無彩判定部22を一回目の原稿走査の際は広域特徴処理のために使用し、二回目の原稿走査の際は領域分離処理のために使用する。このような構成にすることで、各々の処理のために別途有彩/無彩判定部を持つ必要が無く、回路規模を大幅に縮小することが可能となり、コストをより削減できる。
また、一回目の走査で使う閾値THcol(例えば、5)は、二回目の走査で使う閾値THcol(例えば、10)より小さい値を設定する。これによって原稿の特徴をより精度よく見極めることができる。max(C,M,Y)−min(C,M,Y)の値が小さい色文字は、黒文字と誤判定され易いが、広域特徴判定の際に閾値THcolを小さく設定することで、このような色文字であっても有彩カウンタ233にカウントされ、結果的に色文字比率が高くなる。したがって、無彩色に近い色文字からなる原稿であっても、精度よく色文字のある原稿と判断することができる。
網点判定部25は、注目画素が網点領域に属する画素であるか否かの判定を行う。網点領域は、一般に「小領域における濃度の変動が大きい」、「背景に比べて網点の濃度は高い」という性質を有しており、網点判定部ではこのような性質を利用して網点領域の判定を行う。
まず、次に記す(1)〜(4)の処理がCMY各色成分に対して個別に行われる。(1)注目画素を中心としたP×Q(P、Qは自然数)画素のブロックを形成する。(2)ブロック内の中央の9画素に対して入力データの濃度平均値Dave を求め、その平均値Daveを用いてブロック内の各画素を2値化する。また、最大値Dmax 、最小値Dmin も同時に求める。(3)2値化されたデータに対して主走査、副走査方向でそれぞれ0から1への変化点数、1から0への変化点数を求め、それぞれKR、KVとする。(4)Dmax −Dave >B1であり、かつDave −Dmin >B2であり、かつKR>TRであり、かつKV>TV(B1、B2、TR、及びTVは予め設定した閾値)である場合には網点画素と判定し、それ以外の場合には非網点画素と判定する。そして、CMYの何れかにおいて、注目画素が網点画素と判定された場合は網点信号Screenとして”1”が出力され、そうでない場合は網点信号Screenとして”0”が出力される。
局所領域判定部26では、文字信号Text、有彩無彩信号Color、網点信号Screenを受けて、最終的な注目画素に対する領域分離信号が生成される。まず、網点信号Screenが”1”を満たす場合、領域分離信号として”網点”を出力する。それ以外の場合で、文字信号Textが”1”であり、かつ有彩無彩信号Colorが”1”を満たす場合、領域分離信号として”黒文字”を出力する。それ以外の場合で、文字信号Textが”1”であり、かつ有彩無彩信号Color”が0”を満たす場合、領域分離信号として”色文字”を出力する。いずれも満たさない場合は領域分離信号として”その他”を出力する。
以下、広域特徴処理部20aが出力する成分量制御信号、及び領域分離処理部20bが出力する領域分離信号に基づいて実行される黒生成/UCR処理の内容について説明する。図9は成分量制御信号と領域分離信号とに基づき制御される黒生成/UCR処理の内容を示す図表であり、図10は黒生成/UCR処理の処理内容を説明する説明図である。図9において、縦の項目は一回目の原稿走査により生成される成分量制御信号、横の項目は二回目の原稿走査により生成される領域分離信号を表しており、各画素に対して両信号の対応する項目の交点にあたる欄に設定されている黒生成/UCR処理が施される。
CMYK混色で画像を再現する場合、まず、注目画素のCMY信号について最小値min(C,M,Y)が算出され、UCR量としてα×min(C,M,Y)が算出される(図10(a)参照)。ここで、αは成分量制御信号と領域分離信号とにより規定されている実数である。そして、CMY信号の各々からUCR量を引いた値が新たなCMY信号となり、更に、α×min(C,M,Y)の値がK信号として生成され、CMYK信号として出力される。図10(c)はα=0.7、図10(d)はα=1.0が設定されたときの出力信号を表している。一方、図10(b)はKのみで画像を再現する場合の黒生成/UCR処理の内容を表す図である。この場合、注目画素のCMY信号について平均値(C+M+Y)/3がK信号として生成され、CMY信号は0に置き換えられて出力される。
成分量制御信号=”01”のときは色文字があると判断された原稿なので、領域分離信号に関わらず全ての画素はCMYK混色(α=0.7)で再現する。これによって、もし色文字の一部が黒文字と誤判定された場合であっても、その画素がKのみで再現されてしまうことが無いため、画質劣化が起こらない。また、成分量制御信号=”10”のときは色文字があるとは断定できないがその可能性が比較的高いと判断された原稿なので、領域分離信号=”黒文字”の画素はCMYK混色(α=1.0)で再現し、”色文字”の画素および”網点/その他”の画素はCMYK混色(α=0.7)で再現する。この場合は前述のような誤判定が起こる確率は比較的低いため、黒文字に対する黒生成量を色文字よりも少し高めている。これによって、黒文字をより良好に再現することができ、かつ誤判定による色文字の画質劣化が防止できる。一方、成分量制御信号=”00”のときは色文字がないと判断された原稿なので、領域分離信号=”黒文字”の画素はKのみで再現し、”色文字”の画素および”網点/その他”の画素はCMYK混色(α=0.7)で再現する。これによって黒文字をKのみで良好に再現することができるため出力画質が向上する。以上の制御により、原稿の特徴である色文字比率に応じた適切な黒生成/UCR処理が実現できる。
以下、本実施の形態に係る画像処理装置が実行する処理の流れをフローチャートを用いて説明する。
図11は画像処理装置による処理全体の流れを説明するフローチャートである。一回目の原稿走査により画像入力部1が取得した画像データは、AD変換部11、シェーディング補正部12、及び入力処理部14を経て広域特徴処理部20aへ引き渡される。広域特徴処理部20aでは、文字判定部21及び有彩/無彩判定部22からの出力信号に基づいて色文字比率を算出する色文字比率算出処理を実行し(ステップS101)、その後、色文字比率に応じた成分量制御信号を生成するための黒生成/UCR量制御処理を実行する(ステップS102)。黒生成/UCR量制御処理により黒生成/UCR量制御部24が生成した成分量制御信号は黒生成/下色除去部16へ送出される。なお、色文字比率算出処理、黒生成/UCR量制御処理の各処理の流れについては後に詳述することとする。
次いで、画像処理装置のCPUは、2回目の走査のために注目画素を始点位置にセットする(ステップS103)。そして、注目画素を中心としたM×N画素の画像データについて文字判定処理を実行し(ステップS104)、注目画素について有彩/無彩判定処理を実行し(ステップS105)、更に、注目画素を中心としたP×Q画素の画像データについて前述した網点判定処理を実行する(ステップS106)。なお、ステップS104からステップS106までの処理は必ずしもこの順に実行する必要はなく、並行処理によってそれぞれの判定を行う構成であっても良い。
次いで、文字判定処理により文字判定部21が出力する文字信号Text、有彩/無彩判定処理により有彩/無彩判定部22が出力する有彩無彩信号Color、及び網点判定処理により網点判定部25が出力する網点信号Screenに基づいて、領域分離信号を生成するための局所領域判定処理を実行する(ステップS107)。局所領域判定処理により局所領域判定部26が生成した領域分離信号は、黒生成/下色除去部16、空間フィルタ部17、及び中間調生成部18へ送出される。なお、局所領域判定処理の詳細については後に詳述することとする。
次いで、局所領域判定処理により生成された領域分離信号および黒生成/UCR量制御処理により生成された成分量制御信号に応じた黒生成/UCR処理を注目画素に対して施す(ステップS108)。
次いで、局所領域判定処理により生成された領域分離信号に応じた空間フィルタ処理を注目画素に対し実行し(ステップS109)、CMYK信号に対して強調処理や平滑処理を施す。また、中間調生成処理を実行し(ステップS110)、階調再現処理を施す。
そして、画像処理装置のCPUは注目画素が終点位置であるか否かを判断し(ステップS111)、終点位置でないと判断した場合(S111:NO)、注目画素を1画素だけ移動させ(ステップS112)、処理をステップS104へ戻す。また、中間調生成処理を施した後、注目画素が処理すべき領域の終点位置であると判断した場合(S111:YES)、画像処理装置による処理を終了する。
図12は色文字比率算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。画像処理装置のCPUは、1回目の走査のために注目画素を処理すべき領域内の始点位置にセットし(ステップS201)、有彩カウンタ及び無彩カウンタをクリアする(ステップS202)。次いで、注目画素を中心としたM×N画素のマスクについて文字判定処理を実行し(ステップS203)、注目画素について有彩/無彩判定処理を実行する(ステップS204)。なお、ステップS203及びステップS204の処理は必ずしもこの順に実行する必要はなく、並行処理によってそれぞれの判定を行う構成であっても良い。
画像処理装置のCPUは、文字判定処理及び有彩/無彩判定処理の判定結果を受けて、注目画素が”文字”であり、かつ”有彩”であるか否かを判断する(ステップS205)。注目画素が”文字”であり、かつ”有彩”であると判断した場合(S205:YES)、有彩カウンタに1を加算し(ステップS206)、そうでないと判断した場合(S205:NO)、注目画素が”文字”であり、かつ”無彩”であるか否かを判断する(ステップS207)。注目画素が”文字”であり、かつ”無彩”であると判断した場合(S207:YES)、無彩カウンタに1を加算し(ステップS208)、そうでないと判断した場合(S207:NO)、有彩カウンタ及び無彩カウンタにて計数することなく、続く処理を実行する。
次いで、画像処理装置のCPUは、注目画素が終点位置であるか否かを判断する(ステップS209)。注目画素が終点位置でないと判断した場合(S209:NO)、注目画素を1画素だけ移動させ(ステップS210)、処理をステップS203へ戻す。また、注目画素が終点位置であると判断した場合(S209:YES)、色文字比率を算出する(ステップS211)。色文字比率は、最終的な有彩カウンタの値を、有彩カウンタと無彩カウンタとの和により除算することにより算出することができる。算出した色文字比率の値は黒生成/UCR量制御部24に引き渡される。
図13は黒生成/UCR量制御処理の処理手順を説明するフローチャートである。黒生成/UCR量制御処理では、まず、色文字比率算出処理において算出された色文字比率が第一閾値よりも大きいか否かをCPUが判断する(ステップS310)。色文字比率が第一閾値よりも大きいと判断した場合(S310:YES)、黒生成/UCR量制御部24は、成分量制御信号として”01”を出力する(ステップS311)。
色文字比率算出処理において算出された色文字比率が第一閾値以下であると判断した場合(S310:NO)、色文字比率と第二閾値との大小関係を比較し、色文字比率が第二閾値よりも大きいか否かをCPUが判断する(ステップS312)。色文字比率が第二閾値よりも大きいと判断した場合(S312:YES)、成分量制御信号として”10”を出力し(ステップS313)、色文字比率が第二閾値以下であると判断した場合(S312:NO)、成分量制御信号として”00”を出力する(ステップS314)。ステップS311、ステップS313、及びステップS314の各ステップにて出力された成分量制御信号は黒生成/下色除去部16に引き渡される。
このように黒生成/UCR量制御処理では、色文字比率に応じて成分量制御信号を変更するようにしており、黒生成/UCR量制御部24が、黒生成/下色除去部16にて第2表色系の黒色成分量を変更する手段として機能するように構成されている。
なお、前述したフローチャートにおいて、第一閾値及び第二閾値は画像処理装置にて予め定めた値であっても良い。また、操作者の意志により第一閾値及び第二閾値を変更できるようにしても良く、この場合、閾値の変更を受け付ける手段として、キーボード、マウス等を画像処理装置に接続することで実現することが可能となる。
図14は文字判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。文字判定処理を実行するにあたり、文字判定部21は、指定された注目画素を中心にM×Nマスクの画像データを保持し(ステップS401)、判定処理の対象色成分を指定するためのフラグを”C”にセットする(ステップS402)。そして、マスク内の主走査方向のライン(ラインX)の画像データをエッジ・ペア判定部210へ引き渡すことにより、ラインXにて、急峻なエッジの有無と、立上りエッジ及び立下りエッジのペアの有無とを検出する(ステップS403)。同様に、マスク内の副走査方向のライン(ラインY)の画像データをエッジ・ペア判定部210へ引き渡すことにより、ラインYにて、急峻なエッジの有無と、立上りエッジ及び立下りエッジのペアの有無とを検出する(ステップS404)。ステップS403及びステップS404ではCMY色成分毎に前述した検出を行うが、このとき、設定されているフラグの値を参照することにより検出対象の色成分を定める。すなわち、フラグが”C”にセットされている場合には、シアン(C)について検出を行い、フラグが”M”にセットされている場合には、マゼンタ(M)について検出を行い、フラグが”Y”にセットされている場合には、イエロ(Y)について検出を行う。
次いで、画像処理装置のCPUは、ラインX又はラインYの何れか一方において、急峻なエッジを検出し、かつ、エッジのペアを検出したか否かの判断を行う(ステップS405)。ラインX又はラインYの何れか一方において、急峻なエッジを検出し、かつ、エッジのペアを検出したと判断した場合(S405:YES)、注目画素は”文字”であると判定する(ステップS406)。このとき、文字判定部21は、文字信号Textとして”1”を出力する。また、ステップS405において、ラインX及びラインYの双方で急峻なエッジ及びエッジのペアが検出されない場合(S405:NO)、CPUは、現在セットされているフラグが”C”であるか否かを判断する(ステップS407)。
セットされているフラグが”C”であると判断した場合(S407:YES)、フラグを”M”にセットし直して(ステップS408)、処理をステップS403へ戻し、マゼンタについて急峻なエッジ及びエッジのペアの検出を行う(S403,S404)。セットされているフラグが”C”でないと判断した場合(S407:NO)、現在セットされているフラグが”M”であるか否かを判断する(ステップS409)。
セットされているフラグがMであると判断した場合(S409:YES)、フラグを”Y”にセットし直して(ステップS410)、処理をステップS403へ戻し、イエロについて急峻なエッジ及びエッジのペアの検出を行う(S403,S404)。ステップS409においてセットされているフラグが”M”でないと判断した場合(S409:NO)、注目画素は”文字”でないと判定する(ステップS411)。このとき、文字判定部21は、文字信号Textとして”0”を出力する。
図15は有彩/無彩判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。有彩/無彩判定処理では、まず、注目画素のCMYデータから濃度値に関して最大値max(C,M,Y)と最小値min(C,M,Y)とを算出する(ステップS501,S502)。次いで、画像処理装置のCPUは、最大値と最小値との差max(C,M,Y)−min(C,M,Y)が予め設定された閾値THcolよりも小さいか否かを判断する(ステップS503)。差が閾値THcolよりも小さいと判断した場合(S503:YES)、注目画素は”無彩”であると判定する(ステップS504)。このとき、有彩/無彩判定部22は、有彩無彩信号Colorとして”1”を出力する。また、差が閾値THcol以上であると判断した場合、(S503:NO)、注目画素は”有彩”であると判定する(ステップS505)。このとき、有彩/無彩判定部22は、有彩無彩信号Colorとして”0”を出力する。
図16は局所領域判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。局所領域判定処理では、まず、網点判定部25から出力される網点信号Screenが”1”であるか否かを判断する(ステップS601)。網点信号Screenが”1”であると判断した場合(S601:YES)、注目画素が網点に属すると判断し、局所領域判定部26は領域分離信号として”網点”を出力する(ステップS602)。
網点判定部25から出力される網点信号Screenが”1”でないと判断した場合(S601:NO)、すなわち、注目画素が網点に属さないと判断した場合、文字判定部21から出力される文字信号Textが”1”であるか否かを判断する(ステップS603)。文字信号Textが”1”であると判断した場合(S603:YES)、有彩/無彩判定部22から出力される有彩無彩信号Colorが”1”であるか否かを判断する(ステップS604)。
文字信号が”1”であり、かつ有彩無彩信号Colorが”1”であると判断した場合(S604:YES)、局所領域判定部26は領域分離信号として”黒文字”を出力する(ステップS605)。また、文字信号Textが”1”であり、かつ有彩無彩信号Colorが”0”であると判断した場合(S604:NO)、局所領域判定部26は領域分離信号として”色文字”を出力する(ステップS606)。一方、ステップS603において、文字信号Textが”0”であると判断した場合(S603:NO)、領域分離信号として”その他”を出力する(ステップS607)。
なお、本実施の形態では、本発明を画像形成装置に適用した形態について説明したが、液晶ディスプレイ等の画像表示装置に適用する構成であっても良く、スキャナ装置等の画像読取装置に適用しても良い。この場合、画像読取装置は画像入力部1と画像処理部2とを備えており、画像処理部2は、AD変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部14、広域特徴処理部20a、及び領域分離処理部20bにより構成される。画像処理部2からは、読み込まれたRGB信号、並びに画像処理部2内にて生成された領域分離信号及び成分量制御信号がコンピュータやプリンタ装置に出力される。
なお、本実施の形態では、画像入力部1から取込んだ画像から文字の抽出を行う構成としたが、前述した画像処理部2の構成により、文字以外の任意の形状オブジェクト、例えば、図形や図表等も抽出可能であるため、これらについても黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、中間調生成処理等を施す構成であっても良い。
実施の形態2.
実施の形態1では、プリンタ装置等の画像形成装置に本発明を適用した形態について説明したが、本発明はコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、本画像処理方法を記録するものとすることもできる。この結果、本画像処理を行うプログラムを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
図17は本発明に係るコンピュータプログラムをインストールすることにより構築される画像処理システムの構成を示す模式図である。図中102は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置であり、情報処理装置102には、フラットヘッドスキャナ、フィルムスキャナ、デジタルカメラ等の画像入力装置101、用紙、OHPフィルム等のシート上に画像を形成する手段を備えたインクジェットプリンタ、レーザプリンタ等の画像形成装置103、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の画像表示装置104等の周辺機器が接続されている。また、情報処理装置102は、本発明に係るコンピュータプログラムを記録したFD、CD−ROM等の記録媒体110から前記コンピュータプログラムを読取るためのFDドライブ、CD−ROMドライブのような読取装置を備えている。この読取装置によって読取られたコンピュータプログラムは情報処理装置102内の所定の記憶領域に格納される。情報処理装置102のCPU(不図示)は、前記記憶領域から本発明のコンピュータプログラムをロードして実行することにより、前述したような画像処理方法を実現する。すなわち、画像入力装置101を通じて入力された画像に対して情報処理装置102が本発明の手法を用いて色調整を施し、色調整が施された画像を画像形成装置103がシート上に形成する構成となる。
このような構成とすることにより、本画像処理方法を利用者の好みに応じて用いることが可能となる。例えば、本画像処理方法をこの画像処理システムで実行する場合、各部の閾値の設定を任意に変更することが容易になり、また、画像表示装置104に示される結果に応じて改めて設定し直すなど利用者の好みに応じた処理が可能となる。閾値の変更を行うには、キーボード105やマウス106を用いて直接数値を入力したり、閾値を表すシンボルをドラッグすることにより設定される。
なお、本発明に係るコンピュータプログラムを記録する記録媒体110としては、前述したFDやCD−ROMの他に、MO、MD、DVD等の光ディスク、ハードディスクのような磁気記録媒体、ICカード、メモリカード、光カード等のカード型記録媒体、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリの利用も可能である。
また、情報処理装置102が通信ネットワークを介してサーバ装置等に接続するための通信手段としてモデム等を備えている場合には、サーバ装置に予め本発明のコンピュータプログラムを格納させておき、当該サーバ装置から前記コンピュータプログラムをダウンロードし、情報処理装置102内にインストールする構成であっても良い。