JP2004291091A - 摩擦接合用鋼板、その製造方法及び高力ボルト接合構造 - Google Patents

摩擦接合用鋼板、その製造方法及び高力ボルト接合構造 Download PDF

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Takayuki Nanba
隆行 難波
Hisaya Kamura
久哉 加村
Takumi Ishii
匠 石井
Hiromi Shimokawa
弘海 下川
Seiji Fujisawa
清二 藤沢
Kazuyoshi Fujisawa
一善 藤澤
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Abstract

【課題】本発明は、摩擦係数0.7以上を確保し、かつ量産化が可能で低コスト化を実現しえることを課題とする。
【解決手段】鉄骨構造物に用いる摩擦接合用鋼板において、摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列32が形成され、更に前記凸部32aに前記第1の凹凸列32よりも細かい第2の凹凸33が形成されていることを特徴とする摩擦接合用鋼板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄骨構造物における高力ボルト接合構造に用いる摩擦接合用鋼板、その製造方法及び高力ボルト接合構造に関する。
従来、摩擦接合用鋼板を用いた例としては、例えば図9に示す鉄骨構造物が知られている。図中の符番1は、途中にダイヤフラム2を介装させた柱を示す。前記ダイヤフラム2にはブラケット3が溶接され、このブラケット3と梁4とが摩擦接合用鋼板(摩擦接合用鋼板)5により連結されている。摩擦接合用鋼板5の片面には、細かな凹凸が例えばショットブラスト処理により形成されている。
前記ブラケット3と、摩擦接合用鋼板5とは、図10に示すように複数の高力ボルト7により連結される。前記摩擦接合用鋼板5の凹凸面は、ブラケット3,梁4と接する側に位置している。また、図10に示すように、ブラケット3,梁4と摩擦接合用鋼板5との接触面には矢印Fに示す摩擦力が働き、ブラケット3及び梁4には矢印Aに示す軸力が働く。ここで、摩擦力はボルト締め付け力と摩擦係数の積で表される。なお、建築基準法によれば、鉄骨構造の高力ボルト接合では、摩擦接合面をショットブラスト処理した場合(叉は赤錆発生の場合)、摩擦係数μ=0.45で設計できる。
ところで、従来、高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法としては、例えば特開平9−302412号公報(特許文献1)、特開平9−324213号公報(特許文献2)に示す技術が知られている。
特許文献1には、最終的に鋼板表面に圧延により十点平均粗さが0.2mm以上となる粗度を付与し、さらに圧延後、鋼の変態開始温度Ar点を切ることなく直ちに水冷して、鋼板表面から少なくとも1mmまでのヴッカーズ硬さを250以上とし、さらにすべり係数が0.7以上である高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献2には、最終的に鋼板表面に十点平均粗さが0.2mm以上となる粗度を付与した後放冷し、引続き再加熱焼入れを行い、鋼板表面から少なくとも1mmまでがビッカーズ硬さで250以上とし、さらにすべり係数が0.7以上である高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法について開示されている。
ここで、すべり係数(摩擦係数)が0.7以上としているのは、以下の理由による。図22は、高力ボルト接合構造において現行法令上必要とされるボルト本数を計算し、摩擦係数別に示したものである。これから分かるように、摩擦係数μ=0.7を満たせば、建築基準法に沿った摩擦係数=0.45の場合と比較して、大体2/3以下の必要本数で済み、材料コストと時間コストの面から大変有利になるからである。
また、従来、鉄骨構造物の高力ボルト接合構造体としては、特許文献3、特許文献4が知られている。
特許文献3には、高力ボルトにより締付けられて摩擦接合される複数の鋼材のうち、一方の鋼材における摩擦面側の表面硬さおよび表面粗さを、他方の鋼材における表面硬さおよび表面粗さより大きくしたことを特徴とする鋼材摩擦接合構造であり、一方の鋼材の表面粗さを70〜120μm、表面硬さ比を1.2〜2.5とすることにより摩擦係数0.6以上を確保できることが記載されている。
特許文献4には、一方の鋼材における摩擦面の表層部の硬さと他方の鋼材における摩擦面の表層部の硬さとの比が2.5以上、硬い方の鋼材の突起の高さが0.2〜1.0mmのとき、摩擦係数0.9以上を確保できることが記載されている。
図15は、フランジ厚が1mm以上異なるH形鋼を接合した場合の従来の高力ボルト接合構造体の例を示す。図中の符番41はブラケット(H形鋼)を示し、このブラケット41に隣接して梁(H形鋼)42が配置されている。ここで、ブラケット41の高さと梁42の高さは同じであるが、ブラケット41のブラケットフランジ43と梁42の梁フランジ44の厚みは異なる。ブラケット41と梁42とは、上下に摩擦接合用鋼板(スプライスプレート)45を夫々介するとともに、梁フランジ44と摩擦接合用鋼板45間にフィラープレート47を介して、高力ボルト48により接合されている。
特開平9−302412号公報 特開平9−324213号公報 特開平6−146427号公報 特開平8−209809号公報
上述したように、特許文献1,2には、圧延により十点平均粗さが0.2mm以上、ビッカーズ硬さ250以上を有する高力ボルト摩擦接合用鋼板が提案され、すべり係数(摩擦係数)が0.7以上であるとしている。しかし、鋼板の表面に凹凸を形成する場合、十点平均粗さそのものよりも、突起先端の形状が摩擦係数に大きく影響を及ぼす。ここで、突起先端は鋭い方が摩擦係数は高い傾向がある。
ところが、圧延により鋼板表面に凹凸を形成する場合、圧延ロールの溝形状よりも先端が鋭い突起を形成することは不可能である。また、経済的に妥当な技術手段で溝加工を行った圧延ロールを用いた場合、突起先端は少なくとも0.1mm以上の曲率半径を持った曲線となる。更に、量産化した場合、圧延ロールの溝にスケールが溜まることや、高い圧下率を取ることができないことから、先端の形状は溝形状に比べて鈍にならざるを得ない。即ち、摩擦接合用鋼板の製造コストを低く押えようとすると、摩擦係数μが0.7以上を安定的に確保する為の先端が鋭い突起を形成することは難しくなる。
一方、特許文献3,4では、接合面相互の硬さ比を大きくすることで高い摩擦係数を実現している。しかし、この場合、フランジ厚の異なるH形鋼を接合する場合、フィラープレートを挿入する必要があり、フランジ厚の場合のような摩擦係数は得られない。また、1面接合とした場合には、接合部のコンパクト化、ボルト本数の減少といったメリットが得られない。
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、好ましくは、摩擦面の表面硬度が相対する鋼板の表面硬度と比べてビッカース硬さで2倍以上で、摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列が形成され、更に前記凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸が形成された構成にすることにより、摩擦係数0.7以上を確保し得る摩擦接合用鋼板を提供することを目的とする。
また、本発明は、摩擦接合用鋼材の摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列を形成する第1の工程と、粒径0.5mm以上のブラスト処理により、前記第1の凹凸列の凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸を形成する第2の工程とを具備し、前記第1の凹凸列を形成後に、熱処理を行なって表面硬度を高めることにより、圧延の際の制約を少なくして生産性を高めるとともに、ブラスト処理により摩擦係数0.7以上を確保し得る低コストの摩擦接合用鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、被接合部材に摩擦接合用鋼板を接合してなる鉄骨構造物の高力ボルト摩擦接合構造において、前記被接合部材の内側面に相対して摩擦接合用鋼板が配置され、前記被接合部材の外側面が同一水平面内に位置し、かつ前記外側面に相対して請求項1又は請求項2に記載の摩擦接合用鋼板が当接された接合部と、前記接合部は被接合部材軸を対称に少なくとも2ヶ所備えた構成にすることにより、板厚の異なる被接合部材の接合の際にも従来よりも高い摩擦係数を確保でき、接合構造のコンパクト化が可能になる高力ボルト接合構造を提供することを目的とする。
(1)本発明の摩擦接合用鋼板は、鉄骨構造物に用いる摩擦接合用鋼板において、
摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列が形成され、更に前記凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸が形成されていることを特徴とする。好ましくは、前記第2の凹凸形成後の鋼板表面の最大高さが0.15mm以上である。
(2)本発明の摩擦接合用鋼板の製造方法は、鉄骨構造物に用いる摩擦接合用鋼板を製造する方法において、圧延工程の最終パスで溝切り加工したロールを用いて、摩擦接合用鋼材の摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列を形成する第1の工程と、粒径0.5mm以上のブラスト処理により、前記第1の凹凸列の凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸を形成する第2の工程とを具備し、前記第1の凹凸列を形成後に、熱処理を行なって表面硬度を高めることを特徴とする。好ましくは、前記第1の工程における第1の凹凸の凸部先端形状は、幅0.1mm以上の平坦部、若しくは曲率半径0.1mm以上の曲線部であることを特徴とする。
(3)本発明の高力ボルト接合構造は、被接合部材に摩擦接合用鋼板を接合してなる鉄骨構造物の高力ボルト摩擦接合構造において、前記被接合部材の内側面に相対して摩擦接合用鋼板が配置され、前記被接合部材の外側面が同一水平面内に位置し、かつ前記外側面に相対して前記(1)又は(2)に記載の摩擦接合用鋼板が当接された接合部と、前記接合部は被接合部材軸を対称に少なくとも2ヶ所備えたことを特徴とする。
本発明によれば、摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列が形成され、更に前記凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸が形成された構成にすることにより、摩擦係数0.7以上を確保しえる摩擦接合用鋼板を提供できる。
また、本発明によれば、摩擦接合用鋼材の摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列を形成する第1の工程と、粒径0.5mm以上のブラスト処理により、前記第1の凹凸列の凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸を形成する第2の工程とを具備し、前記第1の凹凸列若しくは第2の凹凸を形成した直後に、熱処理を行なって表面硬度を高めることにより、圧延の際の制約を少なくして生産性を高めるとともに、ブラスト処理により摩擦係数0.7以上を確保し得る低コストの摩擦接合用鋼板の製造方法を提供できる。
更に、本発明によれば、板厚の異なる被接合部材の接合の際にも従来よりも高い摩擦係数を確保でき、接合構造のコンパクト化が可能になる高力ボルト接合構造を提供できる。
以下、本発明に係る摩擦接合用鋼板及びその製造方法について更に詳しく説明する。まず、摩擦接合用鋼板について説明する。
図6(A),(B)は、本発明に係る摩擦接合用鋼板の摩擦面の説明図であり、図6(A)は概略的な斜視図、図6(B)は図6(A)の要部の断面図を示す。なお、図6(A)では、便宜上、概略的な第1の凹凸列を形成した状態を描いている。図6において、摩擦接合用鋼板11の摩擦面(図中の上面)には凸部12a及び凹部(平坦部)12bよりなる第1の凹凸列12が形成され、この第1の凹凸列12の凸部12aには図6(B)に示すように第1の凹凸列12よりも細かい第2の凹凸13が形成されている。前記第1の凹凸列12における凸部12aの先端の間隔LはL=0.5〜4mmであり、高さHはH=0.15mm以上である。なお、本明細書においては、摩擦面の高さは、JIS B 0601:2001に準拠して測定する。また、第1の凹凸12の摩擦面の表面硬度は、相対する鋼板(例えば、図9におけるブラケットや梁を)の表面と比べてビッカース硬さで2倍以上とする。なお、本明細書においては、ビッカース硬さは、JIS Z 2244:1998に準拠して測定する。
ここで、ビッカース硬さで2倍以上とするのは、次の理由による。即ち、本摩擦接合鋼板の凹凸が相対する鋼板の表面に十分に食い込むためには、相対する鋼板表面よりも凹凸が硬くなければならない。凹凸形状と相対する鋼板表面の状態が同一であれば、凹凸の硬度比が高いほど摩擦係数は高くなる。実験結果より摩擦係数0.7を確保するために必要な硬度比は2倍以上である(図11参照)。
また、前記第1の凹凸列において、凸部の先端の間隔Lを0.5〜4mmとするのは、以下の理由による。本摩擦接合鋼板の凹凸が相対する鋼板の表面に十分食い込むためには、ボルト締め付けときに凸部先端と相対する鋼板表面の間の接触圧が大きくなければならない。ここで、間隔Lが狭い場合、板全体の接触面積が大きくなり、接触圧は低くなる。実験結果より、間隔Lの下限は0.5mmである(図12参照)。また、間隔Lが広い場合、面積当たりの凸部の総数が少なくなり、伝達可能なせん断力が低下し、全体の摩擦係数が低下する。実験結果より、間隔の上限は4mmである(図12参照)。
更に、高さHを0.15mm以上にするのは、以下の理由による。第1の凹凸列の高さが低い場合、第2の局所的な凹凸を形成することで第1の凹凸列を形成した効果が薄れ、摩擦係数は第2の局所的な凹凸のみの場合に近くなる。実験結果より、高さHの下限を0.15mmとした(図13参照)。また、第2の凹凸としては、例えば、無数のクレーター状の窪みが相互に干渉し形成されたものが考えられる。
ところで、溝切りロールによる圧延で第1の凹凸列を形成する場合、凸部12aを密に連続に形成させると、突起高さを十分に形成し難い。従って、凸部12aの幅Wと同程度以上の凹部(平坦部)12bを持たせるか、あるいは曲率の大きな谷形状として凸部の間隔Lは凸部高さHの4倍程度とすることが望ましい。
前記凸部12aの傾斜角θは90°が望ましいが、特に制限は無く、傾斜部分の断面は直線でも曲線でもよい。また、凸部12aの先端は圧延による形成の場合、曲率半径Rが0.1mm以上の曲線状となる。ここで、曲率半径は小さい方が望ましいが、高生産性を維持するため多少大きくなっても構わない。例えば、突起の先端が突起高さと同程度の曲率半径を有する場合、摩擦係数μは0.5程度であるが、第2の凹凸により改善される。ロール溝深さに対して9割以上の凸部高さを形成するためには、凸部12aの高さは0.5mm以下であることが望ましい。
次に、図7(A),(B)を参照して摩擦接合用鋼板の製造方法の一例について説明する。
まず、第1の工程として、摩擦接合用鋼材21の摩擦面に凸部先端の間隔Lは0.5〜4mm,高さHは0.15mm以上の第1の凹凸22を形成する。ここで、第1の凹凸22は、凸部22aと凹部(平坦部)22bとからなる。次に、熱処理により摩擦接合用鋼材21の表面硬度を高める(図7(A)参照)。
次に、第2の工程として、粒径0.5mm以上のブラスト処理を行い、前記第1の凹凸22の凸部22aに前記第1の凹凸22よりも細かい第2の凹凸23を形成し、摩擦接合用鋼板24を製造する(図7(B)参照)。
粒径0.5mm以上のブラスト処理としたのは、次の理由による。ブラスト処理の際のショット粒径は、細かすぎると十分な凹凸が形成されず、効果が得られない。実験結果より、ショット材の最大粒径の下限を0.5mm(#54、JIS R6001−1987)とする(図14)。また、大きすぎると、十分な窪みが得られないだけでなく、粗い凹凸となって、凸部先端と相対する鋼板の接触面積が小さくなりすぎ、板相互にせん断応力が十分伝達されず、高い摩擦係数が得られない。但し、ブラスト処理にカットワイヤーショット、グリッド等の表面に鋭角な部分を持つ材を用いる場合、粒径が大きい場合でも必要な凹凸が確保できるため、上限は条件により変化する。
上記製造方法において、第1の工程における第1の凹凸の凸部は、図8(A)に示すように半径(R)0.1mmの円弧(点線部)以上の曲率半径の大きい曲線を有した凸部25、もしくは図8(B)に示すように幅(W)0.1mm以上の平坦部を有した凸部26でもよい。
本発明方法において、熱処理は、図7に示すように第1の工程で第1の凹凸列を形成した直後に行うことが望ましい。第1の凹凸列形成が熱間圧延であれば、その直後は鋼板が熱せられた状態であり、熱処理の際の加熱エネルギーが不要となるか若しくは少なくできる。よって、第1の凹凸列形成直後に熱処理を行うことで、製造コストを低減できる。
ブラスト処理としては、粒径0.5mm以上のショットブラストまたはグリッドブラスト処理等が挙げられ、最終的に第2の凹凸形成後鋼板表面の最大高さを0.15mm以上とする。これは、次の理由による。即ち、第2の凹凸形成時に、第1の凹凸列の凸部を完全に潰すほどの加工を行ってしまうと、第1の凹凸列を形成した意味が無くなり、第2の凹凸のみの効果しか得られない。そのため、第2の凹凸形成は、少なくとも最大高さ0.15mmの高さを残す程度にとどめる必要がある。
ブラスト処理において、十分な効果を得る為には、ブラスト処理は5分程度が望ましい。図23に、ブラスト処理時間による効果の違いを調べた実験結果を示す。このように、ブラスト時間を5分以上にすると、製品ごとのばらつきが少なくなり、より確実に0.7以上の摩擦係数が得られる。ブラスト用ショット材は、スチールショット、カットワイヤーショット、またはスチールグリッドか、これと同等の効果をもつものが望ましい。
例えば第1の凹凸に対しブラスト処理により細かい第2の凹凸を形成する場合、第1の凹凸のうち凸部に前記第2の凹凸が優先的に形成され、接合面の接触面積が小さくなり接触圧が大きくなる為、夫々単独に加工した場合と比べてより高い摩擦係数が得られる。また、細かい第2の凹凸を形成するためのブラスト処理は、表面の黒皮除去処理を兼ねることができ、経済的である。
次に、本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造について説明する。
本発明の摩擦接合構造は、被接合部材に摩擦接合用鋼板を接合してなる鉄骨構造物の高力ボルト摩擦接合構造において、前記被接合部材の内側面に相対して摩擦接合用鋼板が配置され、前記被接合部材の外側面が同一水平面内に位置し、かつ前記外側面に相対して[課題を解決するための手段]に記載された前記(1)又は(2)に記載の摩擦接合用鋼板が当接された接合部と、前記接合部は被接合部材軸を対称に少なくとも2ヶ所備えたことを特徴とする。
ここで、前記被接合部材の内側面に相対して配置された摩擦接合用鋼板としては、[課題を解決するための手段]に記載された前記(1)又は(2)記載の摩擦接合用鋼板を用いることができる。
また、前記摩擦接合用構造においては、前記被接合部材の内側面と、前記内側面に相対して配置された摩擦接合用鋼板との間に、フィラープレートを配置する構成にすることができる。これにより、厚さの異なる被接合部材の厚さ調整を行うことができる。ここで、前記前記被接合部材としては、例えば高さが同一でフランジ厚が異なるH形鋼が挙げられる。
以下、本発明の各実施例について図面を参照して説明する。
(実施例1)
本発明に係る摩擦接合用鋼板及びその製造方法について図1(A),(B),図2及び図3を参照して説明する。
まず、圧延工程の最終パスで溝切り加工した圧延ロールを用いて、摩擦接合用鋼材31の摩擦面(図中の上面)に、第1の凹凸32を形成した(図1(A)参照)。ここで、第1の凹凸32は、図2に示すように先端が曲率半径Rが0.1mm以上の曲線部である凸部32aと平坦部32bからなり、凸部先端の間隔Lは0.5〜4mm,高さHは0.15mm以上である(図1(A)及び図2参照)。なお、図2は図1(A)の凸部の拡大図を示す。
鋼材は炭素等量Ceq(LR)=0.4、焼入れ性指標DI=45のものを用い、圧延後、焼入れ温度900℃から水冷により焼入れを行った。焼入れ後の表層部のビッカース硬さは410であった。なお、Ceq(LR)(mass%)は、C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(各元素記号は当該元素のmass%)で計算する。また、焼入れ性指標は、JIS G 0561:1988に準拠して測定する。
次に、粒径0.5mm以上のブラスト処理により、前記第1の凹凸列32の凸部32aに前記第1の凹凸32よりも細かい第2の凹凸33を形成し、摩擦接合用鋼板34を製造した(図1(B)参照)。ここで、第2の凹凸33は、例えば図3に示すような形状になっており、その最大高さHmは0.15mm以上である。
このようにして製造された摩擦接合用鋼板は、摩擦面の表面硬度が相対する鋼板の表面硬度と比べてビッカース硬さで2倍以上であり、前記摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列32が形成され、更に前記凸部32aに前記第1の凹凸32よりも細かい第2の凹凸33が形成された構成となっている。上記実施例によれば、摩擦係数が0.7となり、その結果摩擦接合部がコンパクトとなりボルト本数も低減できるので、材料費、施工費を削減して低コストの摩擦接合用鋼板が得られる。
また、本発明方法によれば、ロールによる圧延後、ショットブラスト処理を行うため、圧延の際にロール形状による溝形状、ロールによる圧下率等の制約が少なく、生産性を高くできる。また、ショットブラスト処理が摩擦接合用鋼材のスケール除去も兼ねているため、高摩擦係数を実現している従来技術と比べ、摩擦接合用鋼板を安価に製造することができる。
こうした構成の摩擦接合用鋼板34の全体は、例えば図5(A),(B)に示すようになっており、2列にわたってボルト孔35が形成され、例えば既述したように図9における摩擦接合用鋼板5として使用される。なお、上記凸部32aは摩擦力が作用する方向に対して直角方向に形成することが望ましい。
下記表1は、本発明及び比較例における硬度比、第1の凹凸列の高さ、第1の凹凸列の間隔、ショット材粒径、摩擦係数を夫々示したものである。
Figure 2004291091
なお、上記実施例では、圧延時の第1の凹凸における凸部の先端形状が曲率半径R:0.1mm以上の曲線部である場合について述べたが、これに限らず、図4に示すように前記凸部の先端形状が幅W:0.1mm以上の平坦部でもよい。
また、上記実施例では、摩擦接合用鋼材の片面全体に表面加工処理を施す場合について述べたが、これに限らず、ボルト孔周辺のみに表面加工処理を施しても上記実施例と同様な効果が得られる。
(実施例2)
次に、本発明に係る高力ボルト接合構造について、図16を参照して説明する。この高力ボルト接合構造は、H形鋼の高さが同じでフランジ厚が異なるブラケットと梁の接合を高力ボルト接合したもので、ウェブの接合は省略している。
図中の符番51はブラケット(H形鋼)を示し、このブラケット51に対向して梁(H形鋼)52が配置されている。ここで、ブラケット51の高さ(H)と梁52の高さは同じであるが、ブラケット51のブラケットフランジ53の厚み(T)と梁52の梁フランジ54の厚み(T)は異なる。ブラケットフランジ53、梁フランジ54の両面には摩擦接合用鋼板(スプライスプレート)55,56が配置され、高力ボルト57により接合されている。ここで、ブラケット51、梁52の外側に位置する摩擦接合用鋼板56としては、本発明に係る摩擦接合用鋼板が用いられている。また、梁フランジ54はブラケットフランジ53より薄いため、フィラープレート58が梁フランジ54と摩擦接合用鋼板55間に挿入されている。
実施例2においては、前記摩擦接合用鋼板56の摩擦係数μが高いため、従来の摩擦面よりも高い摩擦耐力を発揮する。その結果、最大耐力時の柱梁接合部に作用する曲げモーメントによる断面力は図18のようになり、外側の摩擦面に大きな荷重がかかる。但し、図18ではブラケット側のみ表示している。そのため、高さ一定のH形鋼を用い、外側の摩擦面に本発明による摩擦接合用鋼板56を配置することで、2面の摩擦係数を平均した場合よりも高い摩擦係数で設計することが可能となる。
(実施例3)
図17は、本発明に係る高力ボルト接合構造の他の例を示す。但し、図16と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施例3は、ブラケットフランジ53、梁フランジ54の両面に配置された摩擦接合用鋼板56として、本発明に係る摩擦接合用鋼板を用いることを特徴とする。
実施例3によれば、フィラープレート58の介在しないブラケット側のボルト本数を大きく低減することができる。また、ブラケットを有する柱梁接合構造は図9のような形式となり、柱に工場でブラケットを溶接した上で現場に搬送するため、ブラケットサイズを小さくすることができ、搬送コストを下げることができる。
図19,図20,図21は、接合構造の応力伝達状況を示す概念図であり、夫々図15、図16、図17のケースに対応している。図15のような、従来の高力ボルト接合構造では、摩擦接合用鋼板45とブラケットフランジ43,梁フランジ44が直接接している面では、摩擦係数が図中の矢印Aのように小さい。一方、本実施例2に対応した高力ボルト接合構造では、本発明に係る摩擦接合用鋼板56とブラケットフランジ53,梁フランジ54が直接接している面では、摩擦係数が図中の矢印Bに示すように大きくなり、ボルト本数及び接合構造サイズを低減できることが分かった。また、本実施例3に対応した高力ボルト接合構造では、本発明に係る摩擦接合用鋼板56とブラケットフランジ53,梁フランジ54が直接接している面で、摩擦係数が図中の矢印Bに示すように大きくなり、ブラケットフランジ53側の接合については、実施例1と同様な効果が確認できた。
図1は、本発明の実施例1に係る摩擦接合用鋼板の製造方法を工程順に示す説明図。 図2は、図1の第1の凹凸部における凸部の拡大図。 図3は、図2の第2の凹凸部における凸部の拡大図。 図4は、図1の凸部とは異なる先端形状が平坦部な凸部の説明図。 図5は、図1に係る摩擦接合用鋼板の説明図。 図6は、本発明に係る摩擦接合用鋼板の説明図。 図7は、本発明に係る摩擦接合用鋼板の製造方法の説明図。 図8は、本発明に係る摩擦接合用鋼材における第1の凹凸の凸部形状の説明図。 図9は、鉄骨構造物の説明図。 図10は、図9の鉄骨構造物における摩擦接合用鋼板と各部材との接合状態を説明する為の図。 本発明に係る摩擦接合用鋼板における硬度比と摩擦係数との関係を示す特性図。 本発明に係る摩擦接合用鋼板における第1の凹凸列間隔と摩擦係数との関係を示す特性図。 本発明に係る摩擦接合用鋼板における第1の凹凸列高さと摩擦係数との関係を示す特性図。 本発明に係る摩擦接合用鋼板におけるブラスト処理粒径と摩擦係数との関係を示す特性図。 従来に係る高力ボルト接合構造の説明図。 本発明の実施例2に係る高力ボルト接合構造の説明図。 本発明の実施例3に係る高力ボルト接合構造の説明図。 柱梁接合部に作用する断面力(曲げモーメント)の概念図。 図15の高力ボルト接合構造の応力伝達状況を示す概念図。 図16の高力ボルト接合構造の応力伝達状況を示す概念図。 図17の高力ボルト接合構造の応力伝達状況を示す概念図。 高力ボルト接合構造において現行法令上必要とされるボルト本数を計算し、摩擦係数別に示した ブラスト処理時間による効果の違いを調べた実験結果を示す説明図。
符号の説明
11,24,34…摩擦接合用鋼板、 12,22,32…第1の凹凸列、
12a,22a,32a…凸部、 12b,22b,32b…平坦部(凹部)、
13,23,33…第2の凹凸、 21,31…摩擦接合用鋼材、
35…ボルト孔、 51…ブラケット、 52…梁、
53…ブラケットフランジ、54…梁フランジ、 56…摩擦接合用鋼板、
57…高力ボルト、 58…フィラープレート。

Claims (10)

  1. 鉄骨構造物に用いる摩擦接合用鋼板において、
    摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列が形成され、更に前記凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸が形成されていることを特徴とする摩擦接合用鋼板。
  2. 前記第2の凹凸形成後の鋼板表面の最大高さが0.15mm以上であることを特徴とする請求項1記載の摩擦接合用鋼板。
  3. 鉄骨構造物に用いる摩擦接合用鋼板を製造する方法において、圧延工程の最終パスで溝切り加工したロールを用いて、摩擦接合用鋼材の摩擦面に凸部先端の間隔0.5〜4mm,高さ0.15mm以上の第1の凹凸列を形成する第1の工程と、粒径0.5mm以上のブラスト処理により、前記第1の凹凸列の凸部に前記第1の凹凸列よりも細かい第2の凹凸を形成する第2の工程とを具備し、
    前記第1の凹凸列形成後に熱処理を行って表面硬度を高めることを特徴とする摩擦接合用鋼板の製造方法。
  4. 前記第1の凹凸列形成直後若しくは前記第2の凹凸形成直後に熱処理を行って表面硬度を高めることを特徴とする請求項3記載の摩擦接合用鋼板の製造方法。
  5. 前記第1の工程における第1の凹凸列の凸部先端形状は、幅0.1mm以上の平坦部、若しくは曲率半径0.1mm以上の曲線部であることを特徴とする請求項3若しくは4記載の摩擦接合用鋼板の製造方法。
  6. 前記第2の凹凸形成後の鋼板表面の最大高さが0.15mm以上であることを特徴とする請求項3乃至5いずれかに記載の摩擦接合用鋼板の製造方法。
  7. 被接合部材に摩擦接合用鋼板を接合してなる鉄骨構造物の高力ボルト摩擦接合構造において、
    前記被接合部材の内側面に相対して摩擦接合用鋼板が配置され、前記被接合部材の外側面が同一水平面内に位置し、かつ前記外側面に相対して請求項1又は請求項2に記載の摩擦接合用鋼板が当接された接合部と、
    前記接合部は被接合部材軸を対称に少なくとも2ヶ所備えたことを特徴とする高力ボルト摩擦接合構造。
  8. 前記被接合部材の内側面に相対して配置された摩擦接合用鋼板に、請求項1又は請求項2に記載の摩擦接合用鋼板を用いたことを特徴とする高力ボルト摩擦接合構造。
  9. 前記被接合部材の内側面と、前記内側面に相対して配置された摩擦接合用鋼板との間に、フィラープレートが配置されたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の高力ボルト摩擦接合構造。
  10. 前記被接合部材がH形鋼であり、前記H形鋼の高さが同一でフランジ厚が異なることを特徴とする請求項9に記載の高力ボルト摩擦接合構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007167892A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 金属シートおよび流体抵抗低減方法
CN113424295A (zh) * 2019-04-08 2021-09-21 株式会社村田制作所 接合基板的制造方法

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