JP2004290667A - ゆで麺機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 制限された電力容量でも、ヒータの加熱力を麺カゴに集中させることにより沸騰性を確保できるゆで麺機を提供する。
【解決手段】 ゆで麺機1の貯湯槽10の底部の中央には、円筒状のボス11が立設されて、貯湯槽の容量を最低限に減らしている。貯湯槽10の外壁とボス11の外面との間の環状部13の底部には、複数のヒータ15が配設されている。ヒータ15上には、ヒータによって形成される沸騰流を麺カゴ40の底部の中心に集中的に当てる沸騰流集中板50が配設されている。麺カゴ40は、麺カゴ移動手段20により、環状部13内を麺カゴがヒータ15上で停留するように間欠的に移動する。麺カゴ40の底はアール形状で、底の外面に、ヒータ15の沸騰流を麺カゴに集中させる沸騰流ガイドが設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レストランや食堂などにおいて、うどんやラーメン、スパゲッティ等の麺をゆでるゆで麺機に関する。特には、限られた電力(エネルギ供給)で多人数に提供する麺を自動的にゆでることのできるゆで麺機に関する。
ゆで麺機は、うどんやラーメン、スパゲッティ等のメニューを提供するレストランや食堂等の厨房に設置されている。ゆで麺機には、複数の麺カゴを浸すことができる大型の貯湯槽と、同槽内の湯を沸騰させるガスバーナや電気ヒータ等の熱源が備えられている。麺は麺カゴ内でお湯の沸騰力によって攪拌されながらゆでられる。沸騰力とは、水の沸騰時に泡がたくさん発生した水流の勢いのことであり、麺が塊にならないように撹拌しながらゆでる作用を有する。
従来の電力ヒータ型ゆで麺機の代表的なタイプである麺カゴ6個のものは、貯湯槽の容量が48〜50リットル程度であり、その消費電力は、一般的な業務用厨房に適用される機器としては最大値の9kw/hである。なお、麺がスパゲッティの場合は、麺が長いため麺カゴの深さが深くなり、その分貯湯槽の容量は約64リットルと多くなる。レストランや食堂では、昼食時や夕食時には注文が集中するため、できるだけ多くの注文を短時間でさばきたいという要求がある。麺カゴの数を現状の2倍の12カゴとした場合、従来のタイプのゆで麺機では、貯湯槽は約100リットルの容量になり、現状の電力では十分な沸騰力を得ることは困難である。
限られた電力で多量の麺をよくほぐしながら茹でるためには、貯湯槽の容量を少なくするなどして熱効率を高めたり、ヒータの加熱力を効率的に麺に集中させて、全ての麺カゴに均一かつ十分な沸騰力を作用させる必要がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、制限された電力容量でも、ヒータの加熱力を麺カゴに集中させることにより沸騰力を確保できるゆで麺機を提供することを目的とする。あるいは、貯湯槽やヒータの容量が少なくても多食分の麺を茹でることのできるゆで麺機を提供することを目的とする。さらに、準密閉式で蒸気発生量が少なく自動運転が可能なゆで麺機を提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するため、本発明のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、 前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、 前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、 前記ボスの外周が、前記麺カゴの内側の回転軌跡の近傍まで張り出す大きさに形成されていることを特徴とする。
貯湯槽内にボスを設けたことにより、貯湯槽の容量を減らすことができる。このとき、できるだけボスの径を大きくすることにより、貯湯槽の容量を最低限に減らすことができる。このため、限られた電力内でも、茹でる麺をほぐすためのお湯の沸騰力を確保することができる。
なお、ボスの外周と麺カゴの内側回転軌跡とのスキマは3〜6mmが好ましく、貯湯槽外壁と麺カゴの外側回転軌跡とのスキマは3〜6mmが好ましい。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、 前記麺カゴの底面形状がアール形状であることを特徴とする。さらに、 前記麺カゴの底の外面に、下向き先細形状の沸騰流ガイドが設けられていることが好ましい。
麺カゴの底面形状をアール形状とすることにより、麺カゴの底部に、麺が塊になりやすい隅が存在しないことになる。また、沸騰流ガイドを設けることにより、沸騰流を集中的に麺カゴの底部に当てることができる。なお、このタイプの麺カゴは、スパゲッティ乾麺(長さが260mm程度と長い)を茹でるのに適している。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、 前記麺カゴの移動経路に沿って前記貯湯槽の底部に配列された複数のヒータと、 該ヒータ上に配設された、該ヒータによって形成される沸騰流を前記麺カゴの底部の中心に集中的に当てる沸騰流集中板と、を備え、 前記麺カゴ移動手段は、前記麺カゴを前記ヒータ上で停留させるように間欠運転することを特徴とする。
本発明においては、 前記ヒータは、前記貯湯槽内の底部上の湯中に直入れされており、 前記沸騰流集中板の中央には沸騰流口が形成されており、 該沸騰流口が前記ヒータの中心上に位置することとできる。
麺カゴはヒータの上で停留しながら移動するため、ヒータの加熱力を麺カゴに集中的に作用させることができる。また、各麺カゴがヒータの上に停留する時間を一定にすれば、各麺カゴに均一な加熱力を与えることができる。さらに、沸騰流集中板を有することにより、ヒータの沸騰力を麺カゴにより集中させることができる。
以上の発明においては、 さらに、前記貯湯槽で生じた蒸気を水道水と熱交換する水−蒸気熱交換器を備えることとすれば、貯湯槽から発生する蒸気を高い効率で回収できる。この場合、ゆで麺機のある厨房の環境悪化を抑制でき、エアコンの消費電力低下も期待できる。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、 前記貯湯槽で生じた蒸気を含む排気が導かれる排気通路と、 水道水と蒸気とが熱交換する複数の水−蒸気熱交換器と、を備え、 前記水−蒸気熱交換器が、前記排気通路中に複数段配置されており、 該水−蒸気熱交換器が、内部に水道水が通水される多数のパイプからなり、 該パイプに通水される水道水の流れ方向と、前記排気通路に導かれる排気の流れ方向が対向していることを特徴とする。
水−蒸気熱交換器を複数設けることにより蒸気の回収率をより高めることができる。また、水−蒸気熱交換器のパイプに通水される水道水の流れ方向と、排気通路に導かれる排気の流れ方向を反対方向とすることにより、熱交換器から出てくる水道水の温度を高めることができ、その水道水を貯湯槽に差し湯するなどの有効利用が可能となり、排気の熱エネルギを回収できる。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、 前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、 前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、 前記麺カゴの断面形状が多角形であることを特徴とする。
ここで、多角形とは、例えば、貯湯槽の外周壁、及び、ボスの外周壁に沿うほぼ平行な辺を有し、貯湯槽の外周壁を外周円、ボスの外周壁を内周円とする環状の部分を、貯湯槽及びボスの中心から径方向に延びる2つの辺で画した扇型の形状にできるだけ近い形状であることが好ましい。貯湯槽やボスの円周ピッチが同じ場合、断面形状が円形の場合よりも麺カゴの断面積(水平断面における)を大きくすることができる。つまり、麺カゴの内容積を大きくすることができる。したがって、貯湯槽の容量を増やさずに、処理できる麺の量を増やすことができる。
あるいは、断面積を大きくすることにより、麺カゴの高さを低くすることができる。この場合も、貯湯槽の容量を増やさずに、処理できる麺の量を増やすことができる。
あるいは、その逆に、処理できる麺の量を減らすことなく、貯湯槽の容量を減らすことができる。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、 ゆで上がった麺を払い出す手段と、を備え、 前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、 前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、 前記払い出し手段が、 前記麺カゴを前記回転機構上で反転させる機構を有することを特徴とする。
麺カゴをリフトさせる機構を特別に設ける必要がないため、払い出し手段の機構をシンプルにできる。なお、回転に伴って少し麺カゴを上がる程度の従属的なリフト動作はあってもよい。
上記のゆで麺機においては、 前記麺カゴが、 カゴ本体と、 該カゴ本体の外辺部から上方に延びる麺払い出しガイドと、を備え、 前記麺払い出しガイドに、 前記カゴ本体の外側に位置し、前記麺カゴ回転機構上に置かれる回動支点と、 該回動支点の外側に位置する力点と、が設けられており、 前記払い出し手段が、麺カゴ反転アクチュエータを有し、 該麺カゴ反転アクチュエータが前記麺カゴの力点を下に押して前記麺カゴを前記回動支点周りに回動させ、前記カゴ本体を上に持ち上げて、該カゴ本体内から前記麺払い出しガイドを通して麺を払い出すこととできる。
ここで反転アクチュエータは速度可変であることが好ましく、カゴ反転速度を速くすれば、払い出す麺について出る煮汁の量が多くなる。煮汁は、麺や料理の種類によっては、麺の乾燥防止や風味向上に役立つ。
麺カゴを、麺カゴ回転機構上の回動支点周りに回動させるため、麺カゴを回転機構からできるだけリフトさせずに反転させることができる。
本発明においては、 前記反転アクチュエータが、 前記麺払い出しガイドの両側において上下に移動可能な2本の縦バーと、 該縦バーの下端間に延びる横バーと、を有し、 麺払い出し時には、前記2本の縦バーが下降し、前記横バーは前記麺カゴの力点を下に押しながら前記麺カゴの下方まで下がり、前記麺カゴの麺ガイドが、前記2本の縦バーの間を抜けるよう外方向に回動するものとできる。
麺カゴの反転時に反転アクチュエータの各部材が麺の払い出し動作に干渉しない。このため、麺カゴから麺をスムーズに払い出すことができる。
本発明においては、 前記回転機構が、 前記ボスの中心から径方向に延びる複数のスポーク状アームと、 該スポーク状アームの先端に取り付けられた麺カゴ保持フレームと、 該麺カゴ保持フレームの先端を結ぶ環状の外周フレームと、を有し、 前記麺カゴが、 隣り合う前記スポーク状アームの麺カゴ保持フレームと、前記外周フレームとに保持されるとともに、 断面積が下に向かって徐々に狭くなる形状を有することとできる。
麺カゴをこのような形状とすることにより、麺払い出し時に麺カゴを反転させる際に、麺カゴの回転軌跡がアームと干渉しないようにすることができる。
本発明においては、 前記麺カゴが反転する位置に対応する前記ボスの部分に切り欠きが形成されていることとすれば、麺払い出し時に麺カゴを反転させる際に、麺カゴの回転軌跡がボスに干渉しない。
本発明においては、 前記回転機構の外周フレームに、麺カゴの重量を受けるコロが付設されていることとできる。
このコロは、外周フレームや麺カゴの自重を受け、回転機構の回転時には、貯湯槽上を回動しながら移動する。このため回転機構の駆動抵抗を減らし、同機構をスムーズに移動させることができる。
本発明においては、 前記払い出し手段から払い出された麺の水切りを行う、吸引式の水切り機構をさらに備えることが好ましい。
本発明の他のゆで麺機は、 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、 前記熱湯を溜める貯湯槽と、 前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、 ゆで上がった麺を払い出す手段と、 前記貯湯槽で生じた蒸気を含む排気から蒸気を除く手段と、を備え、 前記麺カゴへの麺投入孔、該麺カゴからの麺払い出し孔、及び、前記排気を出す排気孔を除いて前記貯湯槽の周囲がカバーで覆われていることを特徴とする。
このようなゆで麺機は自動式(又は半自動式)の準密閉型のゆで麺機であって、厨房作業の省力・省エネ化・環境改善を図ることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、貯湯槽にボスを設けたことにより貯湯槽の容量を減らすことができる。また、麺カゴに沸騰流ガイドを設けたり、ヒータ上に沸騰流集中板を配設することにより、ヒータによるお湯の沸騰力を麺カゴに集中させることができる。さらに、麺カゴを複数のヒータ上で回転しながらゆでるため、全ての麺を均一にゆでることができる。このように、限られた消費電力内で、より多くの麺カゴをゆでることのできるゆで麺機を提供できる。また、上述の各種作業の作用・効果を期待できる。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照しつつ説明する。
第1実施例
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るゆで麺機の構造を示す正面図である。
図2は、図1のゆで麺機の側面図である。
図3は、図1のゆで麺機の一部横断面図である。
このゆで麺機1は、12食分のスパゲッティをゆでる麺カゴを有し、以下の動作を自動的に行う、(1)麺を麺カゴに入れる、(2)麺カゴを貯湯槽内で移動させながら麺をゆでる、(3)ゆで上がった麺を麺カゴごと引き上げる、(4)引き上げられた麺カゴから麺を麺受けカゴに送る。
ゆで麺機1は四角い箱状の本体3を有し、本体の下部には、熱湯を溜める貯湯槽10が備えられている。本体3の高さは、この例では1350mmであり、厨房内の中心付近に設置しても、人が本体3の上方から周囲を見渡すことができる高さである。また、本体の幅は1000mm、奥行きは750mmであり、コンパクトな大きさである。
なお、実際には、貯湯槽上の前面は前カバー5(図2、図3参照)で閉じられている。
このゆで麺機1には、複数(この例では12個)のスパゲッティ用の麺カゴ40を貯湯槽10内で移動させる移動手段20、ヒータからの沸騰力を麺カゴに集中させる手段、麺がゆでられた後麺カゴを貯湯槽から引き上げる昇降装置60、麺を麺カゴから麺受けカゴに送る手段(麺カゴ反転機構)80、貯湯槽から発生する蒸気を含む排気を排出する排気手段などが設けられている(詳細はいずれも後述)。
まず、貯湯槽10の構造について説明する。
貯湯槽10は略円筒形の形状で、底部の中央には、底部より高い段部10bが形成されている。この段部10b上に円筒状のボス11が立設されている。ボス11の内部は中空であり、ボス11の上面の高さは貯湯槽10の外周壁10aの高さとほぼ等しい。このような構造により、貯湯槽10内の麺がゆでられる部分は、貯湯槽10の外周壁10aとボス11の外周11aの間の環状の部分13となる。麺は、麺カゴ40内に入れられて、麺カゴ移動手段20により貯湯槽の環状部13を一周する間にゆでられる。
図3に示すように、貯湯槽の環状部13内において、麺カゴ40−1の回転軌跡の内輪円C1とボス11の外周11aとのスキマはできるだけ小さくできており、この寸法は、一例で3〜6mmであることが好ましい。また、同軌跡の外輪円C2と貯湯槽10の外周壁10aとのスキマもできるだけ小さく、一例で3〜6mmであることが好ましい。このように、貯湯槽10の容量の内、麺カゴ40の通過部分を除いた容量をできるだけ少なくすることにより、貯湯量を最小限に減らすことができる。この例では、長さ260mmのスパゲッティ乾麺も茹でられる麺カゴの深さ・貯湯槽の深さを有しているにも関わらず、貯湯槽10の容量は約55リットルですむ(あるいは50リットルとすることも可能)。
図1、図2に示すように、貯湯槽環状部13の底部には、複数(この例では12個)のヒータ15が等間隔で配置されている。各ヒータ15は、棒状ヒータを円状にほぼ2周巻いたもので、上面はフラットになっている。各ヒータ15は、環状部13の底部に直付けされて、お湯に直にさらされる。これにより、ヒータ15の加熱力を直接お湯に伝えることができる。一例で、1個のヒータ15の電力容量は750Wであり、この例では12個のヒータを使用しているため、全体の電力は9kWである。貯湯槽の容量が55リットルの場合、水温から沸騰までの熱量を投入する電力量で割った熱効率は最高97.4%となりうる。
また、ヒータの一つが故障した場合は、そのヒータのみを交換したり修理すればよい。
次に、麺カゴ移動手段20について説明する。
麺カゴ移動手段20は、麺カゴ40を貯湯槽の環状部13内を一周回転させる手段である。同手段は、複数(この例では12個)の麺カゴ40を保持する麺カゴホルダ21と、麺カゴホルダ21を回転軸23の周りに回転させるモータ29を有する。麺カゴホルダ21は、図3に示すように、貯湯槽10の中心から環状部13まで放射状に延びる複数(この例では12本)のアーム25と、各アーム25の先端に設けられた、麺カゴ40が受け入れられる麺カゴ受け27を備える。各アーム25の基端(麺カゴホルダの中心)は、回転軸23の先端に固定されている。図1に示すように、回転軸23は、ボス11の中央から下方に延びる。回転軸23の下端には減速ギアを介してモータ29が固定されている。回転軸23がモータ29で駆動されて回転すると、麺カゴホルダ21は回転軸23の周りを回転する。
麺カゴホルダ21は、麺カゴがヒータ15の真上に達すると所定時間(一例で18秒)停止する。そして、その後麺カゴが次のヒータ15へ所定の時間(一例で2秒)で移動するように、麺カゴホルダ回転モータ29が間欠運転する。すなわち、麺カゴに入れられた麺は、貯湯槽の環状部13内を、麺カゴ移動手段20により間欠的に移動しながらゆでられる。麺カゴはヒータ15の真上で停留するため、ヒータ15からの熱を麺カゴ内の麺に集中することができ、沸騰流で麺をよく解すことができる。
また、各麺カゴ40はヒータ15上に停留する時間は一定であるため、各麺カゴに均一な沸騰力を与えることができる。このため、各麺カゴに入れられた麺を同じ状態にゆで上げることができる。
なお、このゆで麺機10における麺の投入点及び払い出し点(回転始点)は、本体の最も手前側の麺カゴ40−1(図3参照)の位置となる。すなわち、この点で麺カゴに麺が投入され、貯湯槽の環状部13を一周して、同点に戻った後、後述する昇降装置60で麺カゴ40が引き上げられる。
次に、ヒータからの沸騰力を麺カゴに集中させる手段について説明する。
まず、麺カゴの構造について説明する。
図4は、麺カゴの構造を示す図である。
麺カゴ40は、円筒状の本体41を有し、口にはリング43が固定され、底部41aはアール形状となっている。一例で、本体の径は100mm、高さは246mmである。径の100mmは、麺カゴ内で中心から外周へ放射状に流れる沸騰流を形成することができる径としては必要最小限に近い寸法となっている。また、麺カゴの高さを246mmとすることで、スパゲティのような長い麺にも対応できる。本体41の側面には、後述する昇降装置60に引っ掛けられる円板状の回転支点47が設けられている。回転支点47の反対側の側面で、リング43に傾動ピン49が設けられている。
麺カゴ40は、リング43で麺カゴホルダ21の麺カゴ受け27に受け止められる。
本体の底部41aをアール形状とすることにより、麺が塊になりやすい隅が存在しない。また、底部の周囲には、沸騰流ガイド45が設けられている。沸騰流ガイド45は、下向きの円錐台形状で、一例で、高さは34.5mm、先端開口45aの径は74mmである。このガイド先端開口45aから、ヒータ15で生じたお湯の沸騰力が麺カゴ40内にスムーズに導入される。このような沸騰流ガイド45があるため、麺カゴ40の底が半球状であるにもかかわらず、泡を大量に含む沸騰流が、麺カゴ40の側面に逃げることなく麺カゴ40内に入るようになっている。
図2に示すように、貯湯槽のヒータ15の上には、沸騰流集中板50が配設されている。
図5は、沸騰流集中板の構造を示す斜視図である。
沸騰流集中板50は、環状の平たい円板部50aと、同円板部の外周及び内周から下方に延びた外壁50cと内壁50bを有する。円板部50aの幅は、貯湯槽10の環状部13の幅とほぼ等しい。円板部50aの下面と、外壁50c及び内壁50bで囲まれた凹部は、集中板50の径方向に延びる複数の仕切り壁51によって複数(この例では12個)の区画53に分割されている。沸騰流集中板50は、各区画53の中央に各ヒータ15の中心が位置するように配設される。円板部50aの各区画53の中央には、各々開口(沸騰流集中口)55が開けられている。そして、各開口55の上方には、上向き先すぼまりのガイド57が設けられている。
このような構造により、各ヒータ15は、各区画53内の湯を集中的に沸騰させるとともに、沸騰流を開口55からガイド57に案内されて集中的に上方へ流す。ヒータ15の真上には麺カゴ40が位置しているので、沸騰流は麺カゴ40の底部に集中的に当てられる。
次に、ゆで上がった麺を自動的に引き上げる昇降装置60について説明する。
図6は、昇降装置を拡大して示す図である。
昇降装置60は、貯湯槽のボス11内に配置され、貯湯槽内を一周して回転始点に戻った麺カゴを貯湯槽から真上に引き上げる。同装置60は上下に移動可能な昇降ロッド61を備える。昇降ロッド61は、ガイド(図示されず)に案内されて、回転始点の内側のボス11の上面から上方に繰り出される。同ロッド61の先端には麺カゴ40の回転支点47に引っ掛けられるアーム63が設けられている。昇降ロッド61がボス11の上面から上方に繰り出されると、アーム63に麺カゴ40の回転支点47が引っ掛かり、アーム63とともに麺カゴ40が貯湯槽から真上に引き上げられる(図2の二点鎖線で示す)。
ボス11内には、ラック付きベルト65が昇降ロッド61に並列して設けられている。同ベルト65は、昇降ロッド61の長さ方向に離れて配置されたプーリ67間にエンドレスに巻かれている。上方のプーリ67は昇降モータ(減速機付きDCモータ)69の出力軸に固定されている。昇降モータ69が駆動すると、ベルト65はガイド71に沿ってプーリ67間を回転する。
ベルト65にはスライダ73が固定されている。昇降ロッド61とスライダ73は、レバー75によって連結されている。昇降モータ69が一方向に駆動されると、ベルト65は同方向に回転し、レバー75を介して昇降ロッド61が上昇する。モータ69が反対方向に駆動されると、昇降ロッド61は下降する。同ロッド61は、麺カゴが十分に貯湯槽に浸かる低位置(図2の実線で示す位置)と、麺カゴが十分に貯湯槽から引き上げる高位置(図2の二点鎖線で示す位置)との間を昇降する。ロッド61の低位置と高位置は、ラック付きベルト65のガイド71に沿って上下二ヶ所に設けられたリミットスイッチ77によって検知される。
次に、引き上げられた麺カゴをひっくり返して麺を麺受けカゴに送る麺カゴ反転機構80について説明する。
図1に示すように、本体3の貯湯槽10の側方には、ゆであがった麺を受ける麺受けカゴ7が置かれている。反転機構80は、昇降装置60によって真っ直ぐに引き上げられた麺カゴ40を、回転支点47を中心にして約120°回転させて(図1の二点鎖線で示す状態)、麺カゴ40の口から麺を麺受けカゴ7に送る。なお、ゆで麺機の本体3には、麺カゴ40が120°反転したときの麺カゴ40の口の下方から麺受けカゴ7まで延びる麺スベリガイド9が設けられている。
図7は、麺カゴ反転機構を示す図である。
図2にも示すように、麺カゴ反転機構80は、前カバー5の内面に回転可能に固定された麺カゴ回転板81を備える。麺カゴ回転板81の回転軸81aは、引き上げられた麺カゴ40の回転支点47と同軸上にある。麺カゴ回転板81には、U字型のピン傾動部83が設けられている。麺カゴ40が昇降装置60によって引き上げられたとき、同カゴ40の傾動ピン49はこのピン傾動部83に係合する。前カバー5には、麺カゴ40が昇降装置60で引き上げられるときに傾動ピン49をピン傾動部83まで真っ直ぐ上方にガイドするピンガイド85(図2参照)が設けられている。麺カゴ回転板81が回転すると、ピン傾動部83に係合したピン49とともに麺カゴ40が回転支点47を中心にして約120°回転する。
麺カゴ回転板81は、本体の側方に配置された、反転駆動可能なモータ(図示されず)で回転する。モータの出力軸には、図7に示すモータ回転板87が固定されている。そして、モータ回転板87と麺カゴ回転板81は、2本のリンクアーム89を介して連結されている。モータが一方向(例えば時計方向)に回転すると、モータ回転板87、リンクアーム89を介して麺カゴ回転板81が反時計方向に回転する。これにより、麺カゴ40は回転支点47を中心にして反転し、麺をカゴから空ける。その後、モータが逆方向(例えば反時計方向)に回転すると、麺カゴ40は回転支点47を中心にして回転し、麺カゴ40を直立した姿勢に戻す。
図2に示すように、麺カゴ回転始点の上方では、本体3に略円筒形の麺投入ガイド91が設けられている。同ガイドの下開口には、開閉可能な一対のカバー93が、バネ式蝶番で取り付けられている。カバー93は通常はバネで付勢されて下開口を閉じている。このとき各カバーの先端は重なっている。そして、ガイド91内に麺が投入されると、麺の重みでカバー93が開き、麺がガイド91から落下する。ガイド91の下方には、昇降装置60で引き上げられ、麺が麺受けカゴに送られた後、直立姿勢に戻された麺カゴ40が位置している。麺は、この麺カゴに落下する。
なお、麺投入ガイド91の上方には、麺収容部95が設けられている。麺収容部には、麺を定量する機構と、定量された麺を麺ガイド91に送る機構が設けられている(いずれも図示されず)。麺が麺受けカゴ7に送られたて麺カゴが直立姿勢に戻った後、定量された麺が麺ガイド91を経て麺カゴに投入される。
次に、麺が麺カゴに投入された後にゆでられる様子についてまとめて説明する。
麺が、麺収容部95から麺投入ガイド91を介して麺カゴ40に投入された後、昇降装置60で麺カゴ40を下降させると、同カゴ40は麺カゴホルダ21の麺カゴ受け27に受け止められる。そして、麺カゴホルダ21が移動手段20に駆動されて回転する。このとき、上述のように、麺カゴ40はヒータ15上で所定時間(18秒)停留し、その後次のヒータへ所定時間(2秒)で移動しながら、貯湯槽10の環状部13を一周して麺投入点に戻る。この例では、麺がゆでられる時間は4分である。この間、麺カゴ40の沸騰流集中ガイド45(図4参照)や貯湯槽の沸騰流集中板50(図5参照)によって、麺カゴ40内の麺に沸騰流が集中的に当てられるため、麺は撹拌されながらゆでられる。
麺カゴ40が回転始点に戻ると、昇降装置60により麺カゴが真上に引き上げられる。そして、麺カゴ反転機構80により、麺カゴ40が回転して、ゆでられた麺が麺すべりガイド9上を通って麺受けカゴ7に送られる。
これらの動作を一連に行うために、麺カゴ移動手段20、昇降装置60、回転機構80は、制御部150で同期して作動するように制御されている。この例では、麺カゴ移動手段20の作動サイクル(18秒停留、2秒移動)を基にして各装置のサイクルが決められている。例えば、麺カゴ移動手段20の停留サイクル中に、昇降装置60で麺カゴを上昇させ、回転機構80で麺カゴ40を回転させてゆで上がった麺を麺受けカゴ7に送る。その後同機構80で反転させて麺カゴ40を直立姿勢に戻し、昇降装置60で麺カゴを下降させる動作を行う。
本発明のゆで麺機は、さらに、貯湯槽から発生する蒸気を含む排気を排出する排気手段を備える。同排気手段は、貯湯槽で生じた蒸気を水道水と熱交換する水−蒸気熱交換器100(図1、図2参照)を有する。
本体3の貯湯槽10の上方には排気空間121が設けられている。そして、排気空間121の奥側から、本体上面の奥方に設けられた排気筒125に延びる排気口123が設けられている。排気空間121には排気ファン111が備えられている。本体103の奥壁には、排気空間121に向って上方に延びるフード117が設けられている。
熱交換器100は、排気空間121内に配置されている。
熱交換器100は、図2に示すように、ヘッダ101とフッダ103と、両者の間を延びる多数のパイプ105から構成される。パイプ105は、ヘッダ101とフッダ103間に2段に並列に配列されている。同熱交換器100は、排気空間121内に、手前側にヘッダ101、奥側にフッダ103が位置し、手前側に向って下方に傾斜するように配置されている。フード117の先端は、熱交換器100のほぼ中央に達している。
ヘッダ101の一端には、水道水供給口107が設けられており、フッダ103の反対側の端部には、水道水排出口109が設けられている。水道水は、水道水供給口107から供給され、ヘッダ101内を流れるとともに各パイプ105内をフッダ103側に流れ、フッダ103の水道水排出口109から排出される。水道水排出口109は、貯湯槽10への水供給管(図示されず)に接続している。
貯湯槽10から発生した蒸気は、図2の白抜き矢印で示すように、フード117の先から真上に上がり、熱交換器100のパイプ105間を通って排気空間121の上方に達する。そして、再度パイプ105間を下方に流れ、排気口121とフード117に案内されて排気筒125から排気される。水蒸気は、パイプ105間を通るときに、パイプ内の水道水と熱交換されて温度が下がり復水する。復水した水はパイプ105の表面に付着して、図2の実線矢印で示すように、直接貯湯槽10に落下する。また、フード117の上面に落下した水は、同ガイド上を落下してガイドの奥側の辺から排水される。
一方、熱交換器100内の水道水は、水蒸気と熱交換されて加熱される。この加熱された温水は、差し湯として水供給管から貯湯槽10へ送られる。
この熱交換器100により、ゆで麺機の外に排出される蒸気の量を減らすことができるとともに、白い湯気を減らすことができる。このため、上述のようにゆで麺機1を厨房の中央に設置した場合も、蒸気や白い湯気が少ないため、視野をさえぎったりすることがない。さらに、ゆで麺機が設置されている厨房の環境の悪化を抑制でき、エアコンなどの空調設備の消費電力低下も期待できる。なお、上述のように、貯湯槽10の容量は小さいため、貯湯槽から発生する蒸気の量自体も少なくなる。
なお、熱交換器100は、複数段に設けてもよい。
図8は、3段の熱交換器の配置状態を示す図である。
この場合、熱交換器100−1、2、3が排気空間121内に3段に設けられている。最も奥側の熱交換器100−1を1段目とする。各熱交換器100は、ヘッダ101が奥側、フッダ103が手前側となり、手前側に向って下に傾斜するように配置されている。
そして、1段目の熱交換器100−1のヘッダ101の水道水供給口107から水道水が供給される。同熱交換器100−1のフッダ103の水道水排出口109は、2段目の熱交換器100−2のヘッダ101の水道水供給口107に接続している。同様に、2段目の熱交換器100−2のフッダ103の水道水排出口109が、3段目の熱交換器100−3のヘッダ101の水道水供給口107に接続している。同熱交換器100−3のフッダ103の水道水排出口109は貯湯槽10への水供給管(図示されず)に繋がっている。
このように、全ての熱交換器100−1、2、3の内部が連通しており、水道水は3段目の熱交換器100−3から1段目の熱交換器100−1へ向って流れる。一方、貯湯槽10から発生する蒸気は、排気空間121内で手前側から奥側へ流れる。これにより、熱交換器100から出る水道水の温度を高めることができる。そして、この水道水を貯湯槽に差し湯することで、排気の熱エネルギを回収できる。
図1に示すように、本体3内の貯湯槽10の下方の空間内には、貯湯槽10に給湯する給湯バルブ131と、貯湯槽10を排水する排水バルブ133が設けられている。また、同空間内の、麺カゴ移動手段20のモータ29の上方には、露カバー135が設けられて、モータへ露が落下することを防いでいる。また、冷却ファン137が設けられており、ボス11の内部や下方空間を冷却している。
第2実施例
上述の例では、主に乾麺(スパゲッティ)をゆでるゆで麺機(第1実施例)について説明したが、次の例では、うどんやラーメンなどの生麺用のゆで麺機(第2実施例)について説明する。
まず、このゆで麺機の全体構造を説明する。
図9は、本発明の他の実施の形態に係るゆで麺機の全体構造を示す正面図である。
このゆで麺機200は、全体として箱状であり、10食分のうどんやラーメンをゆでる麺カゴを有する。ゆで麺機200は、図の右側に配置された麺ゆで部201を有する。麺ゆで部201は周囲をカバーなどで覆われた空間であり、内部には麺をゆでる貯湯槽(図10の符号230)等が配置されている。麺ゆで部201の手前側の面は開閉可能なカバー203で閉じられている。カバー203のほぼ中央には、麺を貯湯槽に投入するための麺投入口(麺投入孔)205が開けられている。麺投入口205には下方に延びるガイド206が設けられており、同口205から投入された麺はガイド206に沿って貯湯槽内の所定の麺カゴ(図10の符号250)内に投入される。麺投入口205は、手動の開閉蓋207により開閉される。麺ゆで部201の奥側には排気筒(排気孔)215が設けられている。
なお、このゆで麺機200は、キャスター217により移動可能である。
麺ゆで部201の側方(図の左側)には、ゆで上がった麺の取り出し部211が設けられている。麺ゆで部201の麺取り出し部211側の側壁には、ゆで上がった麺を取り出す麺通過口(麺払い出し孔)209が開けられている。この麺通過口209には、下方に傾斜した麺ガイド373が設けられている。麺ゆで部201でゆでられた麺は、麺通過口209を通って、麺取り出し部211に置かれた麺受けカゴ213に入れられる。
以上説明したように、麺ゆで部201の内部が外部に連通している部分は麺投入口205や麺通過口209などだけであり、麺ゆで部201の内部はほぼ密閉された空間となる。したがって、麺ゆで部201の内部の温度低下を防ぐことができるとともに、貯湯槽から発生する蒸気の厨房室内への放出を減らすことができる。
次に、ゆで麺機の各部の構造を説明する。
図10は、図9のゆで麺機の内部構造を示す正面図である。
図11は、図9のゆで麺機の内部構造を示す側面図である。
図12は、図9のゆで麺機の内部構造を示す横断面図である。
ゆで麺機200の麺ゆで部201内には、貯湯槽230、複数(この例では10個)の麺カゴ250を、貯湯槽230内で移動させる機構(麺カゴ移動機構)280、麺がゆでられた後麺カゴを貯湯槽230から引き上げて、麺を麺取り出し部211に送る機構(麺払い出し機構)350、貯湯槽230から発生する蒸気を含む排気を排出する排気装置420が備えられている(詳細はいずれも後述)。また、麺受け部211には、水切り機構400が備えられている。
まず、貯湯槽230の構造について説明する。
貯湯槽230は、図10に示すように、ゆで麺機200の麺ゆで部201内の中段部に配置されている。同貯湯槽230は、図1のゆで麺機の貯湯槽と同様に略円筒形の形状で、底部の中央に円筒状のボス231が立設されている。麺カゴ250及びその中に入れられた麺は、貯湯槽230の外周壁とボス231の外周壁の間の環状の部分233を、麺カゴ移動機構280によりほぼ一周する間にゆでられる。環状部233の外側には、排水板234がリング状に外方向に張り出すように設けられている。図12に示すように、この排水板234と貯湯槽230の環状部233との境には、縁235が立設されている。
また、図12に示すように、排水板234の手前側の部分には排水口236が開けられている。縁235の排水口236に近い位置には、縁235が切りかかれた切り欠き237が形成されている。環状部233からお湯が溢れると、お湯はこの切り欠き237から排水板234上を流れて排水口236に流れ込む。
なお、この例のゆで麺機200でゆでられる、うどんやラーメンのような生麺は塊状であるため、図1の、直線状の乾麺をゆでるためのゆで麺機に比べて、貯湯槽230の深さが浅くなっている。一例として、貯湯槽230の深さは21cm、環状部233の幅は15cm、貯湯槽230の容量は約44リットルである。
図10、図11に示すように、環状部233の底部には、複数(この例では10個)のヒータ241が等間隔で配置されている。各ヒータ241は、図1のゆで麺機のヒータと同じものであり、棒状ヒータを円状にほぼ2周巻いたもので、上面はフラットになっている。ヒータ241の上には、沸騰流集中板243が配設されている。沸騰流集中板243は、図1のゆで麺機の沸騰流集中板と同じ構造のものを使用できる。この沸騰流集中板243により、沸騰流を麺カゴ250の底部に集中的に当てることができる。
次に、麺カゴの構造について説明する。
図13は、麺カゴの構造を示す図であり、図13(A)は正面図、図13(B)は平面図、図13(C)は右側面図、図13(D)は左側面図である。
麺カゴ250は、麺が入れられるカゴ本体251と、同カゴ本体251から上方に延びる麺払い出しガイド261とを備える。カゴ本体251の形状は縦長の直方体状であり、上面251aが開口している。カゴ本体251は、貯湯槽230の環状部233内において貯湯槽230の外周側に位置する外周面251b、内周側に位置する内周面251c、両側面251d、251e、底面251fを有する。
麺払い出しガイド261は、外周面251bの上縁から上方に延びている。
図13(A)から分かるように、カゴ本体251の開口上面251aと底面251fは平行である。また、図13(B)から分かるように、開口上面251aの形状は長方形であり、底面251fの形状は、外周面251bから内周面251cに向かって先細となる台形である。開口上面251aの面積は底面251fの面積より広い。
また、カゴ本体251の外周面251bと内周面251cは、図13(A)から分かるように平行である。図13(C)から分かるように、外周面251bの形状は下に向かって先細の台形である。また、図13(D)から分かるように、内周面251cの形状は底面251fに向かって先細の台形である。外周面251bの面積は、内周面251cの面積よりも広い。
そして、図13(C)、図13(D)から分かるように、両側面251d、251eは底面251fに行くほど中央に寄っているとともに、内周面251cに行くほど中央に寄っている。
このような形状により、カゴ本体251の横断面積は開口上面251aから底面251fに行くほど小さくなっている。
また、カゴ本体251の内周面251cと底面251fとの間には、内周面から底面に斜めに延びる傾斜面251gが形成されている。この傾斜面251gや、カゴ本体251の各部の形状の作用については後述する。
カゴ本体251の断面形状を多角形にすることにより、カゴ本体251は、円環状の貯湯槽230を扇型に区切った形状により近い形状となっている。すなわち、その扇型とは、図12に示すように貯湯槽230の外周壁を外周円、ボス231の外周壁を内周円とする環状部233を、貯湯槽230及びボス231の中心から、中心角36°で径方向に延びる2つの辺で画した扇型の形状にできるだけ近い形状となる。貯湯槽230やボス231の円周ピッチが同じ場合、カゴ本体251の断面形状を多角形とすると、麺カゴの断面積を、カゴ本体の断面形状が円形の場合よりも大きくすることができる。つまり、麺カゴの内容積を大きくすることがでる。このため、貯湯槽230の容量を増やさずに、処理できる麺の量を増やすことができる。
あるいは、断面積を大きくすることにより、麺カゴ250の高さを低くすることができる。この場合も、貯湯槽230の容量を増やさずに、処理できる麺の量を増やすことができる。その逆に、処理できる麺の量を減らすことなく、貯湯槽230の容量を減らすことができ、熱効率を向上できる。
一例で、麺カゴ250のカゴ本体251の深さは144.5mm、幅(最も広い部分)は110mm、奥行きは121mmである。
カゴ本体251の開口上面251aの外周には、麺カゴ移動機構280に引っ掛けられる上枠253が外側に張り出すように取り付けられている。また、カゴ本体251の底面251fの周囲に沿って補強用の下枠252が取り付けられている。なお、カゴ本体251の各辺及び枠253、252は、この例では、径が3mmのステンレス線でできている。カゴ本体251の各面はメッシュ8程度のステンレス網が貼ってある。
麺払い出しガイド261は、カゴ本体251の外周面251bの上縁から上方に延びている。同ガイド261は、麺払い出し時に、反転した麺カゴ250のカゴ本体251内から出た麺が通るガイド本体263と、麺払い出し機構350が作動するブラケット265を有する。ガイド本体263は断面がコの字状で、カゴ本体251の外周面251bの上縁から上方に延びるガイド板と、同ガイド板の両側からカゴ本体側に立設された側壁を有する。
ブラケット265は、ガイド本体263の外面(麺カゴ本体の反対側)の高さ方向ほぼ中央に設けられている。ブラケット265には、図13(A)に示すように、ガイド本体263から外方向に延びる湾曲面267が形成されている。湾曲面267は下に凸状であり、最低部から外側に向かって上方に湾曲した面267aが、麺払い出し機構の麺カゴ反転アクチュエータ350(詳細後述)が作動する力点となる。上方湾曲面267aの先端267bは、やや外方向に湾曲している。ブラケット265の、湾曲面267の最低部の内側には、カゴ本体251の幅方向と平行に延びる貫通孔269が開けられている。麺カゴ250は、この貫通孔269と麺カゴ移動機構280とをピン(図15の符号311)で連結することにより、麺カゴ移動機構280に回転可能に取り付けられる。ここで貫通孔269に通されたピンが麺カゴ250反転時の回転支点となる。すなわち、図16や図17に分かりやすく示すように、ブラケット265の上方湾曲面(力点)267aが反転アクチュエータ350の横バー353(詳細は後述)によって下方に押し下げられると、麺カゴ250は、回転支点(貫通孔269)を中心として外方向(図13(A)の反時計方向)に回転する。そして、カゴ本体251内の麺は払い出しガイド261を通って払い出される(詳細後述)。
次に、麺カゴ移動機構について説明する。
麺カゴ移動機構280は、図10、図11、図12に示すように、複数(この例では10個)の麺カゴを保持する麺カゴホルダ281と、麺カゴホルダ281を回転軸283の周りに回転させるモータ285を有する。
図14は、麺カゴホルダの構造を説明する図であり、図14(A)は平面図、図14(B)は側面図である。
麺カゴホルダ281は、図に示すように、回転軸283から環状部233のほぼ中央まで放射状に延びる複数(この例では10本)のスポーク状アーム291と、各アーム291の先端で分岐する麺カゴ保持フレーム293と、各麺カゴ保持フレーム293の先端を結ぶ環状の外周フレーム295とを有する。図14(B)に示すように、各アーム291は、回転軸283からほぼ水平に外方向へ延びた後、図10にも示すように、ボス231の外周へ達するまで下方に傾斜し、その後貯湯槽230の環状部233のほぼ中央まで水平に延びている。水平に延びた部分と下方へ傾斜する部分との角には、補強用のリング292が付設されている。アーム291は断面形状が円形のロッド状である。麺カゴ保持フレーム293はステンレス鋼帯板を折り曲げて作製されており、外周フレーム295もステンレス鋼帯板を環状に円くして作製されている。
図14(A)に示すように、隣り合うスポーク状アーム291間の空間を隔てて隣り合う一対の麺カゴ保持フレーム293−1、293−2は平行である。この平行な一対の麺カゴ保持フレーム293−1、293−2と、これらの麺カゴ保持フレームの先端間の外周フレーム295との間が麺カゴ保持部297となる。麺カゴ保持フレーム293と外周フレーム295は上述のように幅のある帯状部材で作製されているため、麺カゴ250をしっかりと保持することができる。
外周フレーム295の各麺カゴ保持部297の外側には、麺カゴ250のブラケット265と噛みあうブラケット受け301が付設されている。各ブラケット受け301は、外周フレーム295から外側に延びるL字状の支持ベース303と、同ベース303から立設されている麺カゴ連結用ベース305とを有する。
図14(B)に示すように、各ブラケット受け301の支持ベース303は、一片が外周フレーム295から外方向に延びており、他片は下に延びている。この下に延びた片の外側には転動可能なコロ309が取り付けられている。
麺カゴ連結用ベース305は、支持ベース303の外方向に延びる片の両側から立設しており、麺カゴ250のブラケット265の幅だけ離れている。同ベース305の上端付近には水平方向の貫通孔307が開けられている。
次に、麺カゴ250を麺カゴ移動機構280に取り付けた様子を説明する。
図15、図16は、麺カゴを麺カゴ移動機構上にセットした様子を示す図である。
麺カゴ250は、麺カゴ移動機構280の麺カゴ保持部(図14(A)の符号297)の上方から、麺払い出しガイド261が外側となるように入れられ、上枠253の部分で麺カゴ保持フレーム293上に載るようにセットされる。そして、麺カゴ250のブラケット265を、外周フレーム295のブラケット受け301の麺カゴ連結用ベース305間に嵌め込む。次に、ブラケット265の貫通孔269及び麺カゴ連結用ベース305の貫通孔307にピン311を通して、麺カゴ250を外周フレーム295に取り付ける。このピン311を中心にして麺カゴ250を外方向(図15の時計方向)に回転させると、図16に示すように、カゴ本体251が反転する。
コロ309は、貯湯槽230の外側の排水板234に接して、縁235に沿って移動する。このコロ309は、外周フレーム295や麺カゴ250の自重を受け、回転機構280の駆動抵抗を減らして、同機構をスムーズに駆動させる。なお、回転機構の回転時には、コロ309は貯湯槽230の外側の排水板234を縁235に沿って回転しながら移動する。
図14に示すように、各アーム291の基端(麺カゴホルダ280の中心)は、回転軸283の先端に固定されている。この回転軸283は、図11に示すように、ボス231の中央から下方に延びている。回転軸283の下端には減速ギアを介してモータ285が固定されている。回転軸283がモータ285で駆動されて回転すると、麺カゴホルダ281は回転軸283の周りを回転する。
回転軸283の基部にはディスク321が取り付けられている。ディスク321外周部のスケールをセンサ323で検知することによって、回転軸283の回転角度を検知できる。モータ285は、麺カゴ250がヒータ241の真上に達すると所定時間(一例で15秒)停止し、その後麺カゴが次のヒータへ所定の時間(一例で5秒)で移動するような回転角度及び速度で間欠運転する。
このゆで麺機200における麺の投入点(回転支点)は、図12に示す、本体の手前側の、麺投入口205(図9参照)の下方の位置Aであり、払い出し点(回転終点)は、環状部233を図の反時計方向に9/10周した位置Bである。この払い出し点Bの側方の側壁に麺通過口209が設けられている。この口209は麺取り出し部211に連通している。そして、麺通過口209から、麺取り出し部211に配置された麺受けカゴ213に向かって下方に傾斜したガイド373が設けられている。
麺は、回転始点Aで麺カゴ250に投入され、貯湯槽230の環状部233を図の反時計方向に9/10周して、回転終点Bへ達した後、後述する麺払い出し機構で引き上げられ、麺通過口209を通って取り出される。
次に、図10、図11、図15及び図16を参照して麺払い出し機構について説明する。
麺払い出し機構は、麺カゴ250を反転させる反転アクチュエータ350を備える。反転アクチュエータ350は、麺カゴ250の回転終点位置側の本体側壁に取り付けられている。同アクチュエータ350は、2本の平行な縦バー351を備える。各縦バー351は麺カゴ250の麺払い出しガイド261の幅以上の間隔だけ離れている。各縦バー351の下端間には横バー353が掛け渡されている。各縦バー351の上端は、上ベース355に固定されている。各縦バー351は、側壁に取り付けられているガイド363によってガイドされる。
一方、本体側壁の上部には、麺カゴ反転用のモータ357が取り付けられている。上ベース355はリンクアーム361を介してモータ357の出力軸に固定された回転ディスク359に連結されている。
モータ357によって回転ディスク359がある方向に所定の角度回転すると、リンクアーム361を介して上ベース355が下方に移動する。これにより、各縦バー351がガイド363に沿って真っ直ぐ下方に移動する。モータ357が反転して回転ディスク359が反対方向に回転すると、リンクアーム361を介して上ベース355が上方に移動し、各縦バー351はガイド363に沿って真っ直ぐ上方に移動する。このようにモータ357の回転と逆方向への回転によって、縦バー351及び横バー353は上下方向に移動する。
麺カゴの反転の動作を、図15、16、17、18を参照しつつ説明する。
図17は、麺カゴの反転の様子を模式的に説明する図である。
図18は、麺カゴ反転時の様子を説明する斜視図である。
麺カゴ250が麺カゴ移動手段280によって回転終点Bに達すると、反転アクチュエータ350が作動し、反転用の縦バー351及び横バー353を下降させる。すると、横バー353は、図15や図17(A)に示すように、麺カゴ250のブラケット265の上方湾曲面267aの上部に当たる。図16や図17(B)に示すように、横バー353がさらに真っ直ぐに下降すると、上方湾曲面267aが横バー353に対して滑りながら押し下げられる。すると、麺カゴ250の麺払い出しガイド261は、各縦バー351の間を外側へ抜けるように、ピン311を中心にして図の反時計周りに回転し始める。横バー353が最終下降位置まで下降すると、図17(C)及び図18に示すように、麺カゴ250が初期の状態から約120°回転し、麺払い出しガイド261がガイド373につながり、カゴ本体251内の麺が、麺払い出しガイド261からガイド373を通って麺受けカゴに払い出される。
ここで反転アクチュエータ350による各バーの移動速度(モータ357の回転速度)は可変であることが好ましい。各バーの移動速度を速くして、カゴを高速で反転させれば、払い出す麺について出る煮汁の量が多くなる。煮汁は、麺や料理の種類によっては、麺の乾燥防止や風味向上に役立つ。
なお、麺カゴ250は金属(例えばステンレス)で作製されており、さらに、麺カゴ反転時にはカゴ本体251内にゆでられた麺が入っているため、麺払い出し時の麺カゴ250の重量はかなり重くなる。このため、麺カゴ250を反転させる(麺カゴ250の傾斜面267aを下方に押し下げる)には、強い力が必要になり、押し下げ時に麺カゴ移動機構280の回転ホルダ281には強い負荷がかかる。そこで、回転ホルダ281の麺カゴ保持フレーム293と外周フレーム295を帯状の部材で作製するとともに、外周フレーム295にコロ309を設けることにより、耐負荷性を与えている。
上述のように、麺カゴ250の奥行き(121mm)は貯湯槽230の幅(150mm)よりもやや狭い程度の寸法であるため、麺カゴ250がピン(回転支点)311を中心にして外方向へ回動する際、カゴ本体251の内周面251cはボス231に当たってしまう。そこで、ボス231の、麺カゴ250の払い出し点Bに相当する部分には、図10に示すように、反転時に麺カゴ250を通過させるための切り欠き部381が形成されている。
図19は、麺カゴの回転軌跡を説明する図であり、図19(A)は側面図、図19(B)は平面図である。
カゴ本体251の内周面251cと底面251fとの間には、前述のように傾斜面(面取り)251gが設けられている。この傾斜面251gを設けることにより、ピン(回転支点)311を中心とした麺カゴ250の回転軌跡の径をできるだけ小さくできる。図19(A)に示すように、麺カゴに傾斜面を設けていない場合は、麺カゴの内周面と底面との間の辺251h´が、ピン(回転支点)311から離れた軌跡(図19(A)の二点鎖線で示す)を描く。しかし、傾斜面251gを設けると、麺カゴ250の軌跡は図19(A)の一点鎖線で示す線まで図中の寸法kだけ後退する。このように麺カゴ250に切り欠き部251gを設けることにより、ボス231の切り欠き部381の体積をできるだけ減らすことができ、切り欠き部381を設けることにより増加する貯湯槽の容積をできるだけ減らすことができる。
また、麺カゴ250が反転する際、カゴ本体は隣り合うアーム291間を通る。図19(B)に示すように、各アーム291は貯湯槽の中心から放射上に延びているため、隣り合うアーム291間の距離は中心ほど狭くなっている。麺カゴ反転時、カゴ本体251の傾斜面と底面との間の辺251hが、最もピン311から離れた回転軌跡を描きながらアーム291間を通過する(その軌跡を図の二点鎖線で示す)。この辺251hは、図13にも示すように、カゴ本体251の各辺の内で最も狭くつくられているため、狭いアーム291間を通過することができる。その後、底面と外周面との間の辺251iがアーム291間を通過する(その軌跡を図の一点鎖線で示す)。この辺251iも狭くつくられているため、アーム291間を通過できる。
このようにカゴ本体251の面を、下に行くほど狭い台形とするとともに、カゴの面の形状を、内周面(貯湯槽中心側の面)が狭く外周面が広い台形状とすることにより、カゴ本体251が、隣り合うアーム291間を通過できるようにしているのである。
次に、図10を参照して水切り機構400について説明する。
水切り機構400では、麺受けカゴ213に払い出された麺の水切りを行う。麺受けカゴ213は、凹状の受け部403に置かれている。受け部403の底には排水口405が開けられており、この排水口405から本体内部に配置された水引きチャンバー409に排水管407が延びている。水引きチャンバー409の上部には配管411が接続しており、この配管411の途中に減圧ポンプ413が付設されている。
ポンプ413が運転されると、水引きチャンバー409内が減圧され、これによって排水管407を通して排水口405から受け部403の空気が引かれる。この空気の流れとともに麺受けカゴ213内のゆであがった麺から水が下に引かれ、麺の水切りがなされる。
次に、蒸気排気装置420について説明する。
図20は、蒸気排気装置を説明するための図である。
本体の貯湯槽の上方には、麺ゆで部201の上壁、両側壁、前壁及び奥壁、及び、パン421で画された排気空間423が設けられている。パン421の前側端部と本体の前壁との間にはスキマ425が形成されている。また、排気空間423の奥側には、本体上面の奥方に設けられた排気筒215に延びる排気口427が設けられている。
この例のゆで麺器においては、排気空間423内に、3段の熱交換器431A、431B、431Cが奥側から順に設けられている。各熱交換器431は、ヘッダ433が奥側、フッダ435が手前側に配置され、複数のパイプ437がヘッダ433からフッダ435に向って上に傾斜するように並列に配置されている。
そして、最も奥側(1段目)の熱交換器431Aのヘッダ433Aには水道水供給口439が設けられており、同供給口439からヘッダ433A内に水道水が供給される。同熱交換器431Aのフッダ435Aには水道水排出口(図示されず)が設けられており、同排水口は、送り配管441で、中央(2段目)の熱交換器431Bのヘッダ433Bの水道水供給口(図示されず)に接続している。同様に、2段目の熱交換器431Bのフッダ435Bの水道水排出口が、送り配管443で、最も手前側(3段目)の熱交換器431Cのヘッダ433Cの水道水供給口に接続している。同熱交換器431Cのフッダ435Cの水道水排出口は貯湯槽への水供給管(差し湯管)445に繋がっている。
また、1段目の熱交換器431Aのフッダ435Aと2段目の熱交換器431Bのヘッダ433Aとの間の、送り配管441の手前側の面は、仕切り板447で隔てられている。同様に、2段目の熱交換器421Bのフッダ435Bと3段目の熱交換器431Cのヘッダ433Aとの間の、送り配管443の手前側の面は、仕切り板449で隔てられている。
このように、全ての熱交換器431の内部が連通しており、水道水は、図の破線矢印で示すように、1段目の熱交換器431Aから3段目の熱交換器431Cへ向って流れる。一方、貯湯槽230から発生する蒸気は、図の実線矢印で示すように、排気空間の手前側に形成されたスキマ425から排気空間423に入り、最初に、3段目の熱交換器431Cを通過する。2段目の熱交換器431Bのフッダ435Bと3段目の熱交換器431Cのヘッダ433Cとの間は仕切り板449で隔てられており、1段目の熱交換器431Aのフッダ435Aと2段目の熱交換器431Bのヘッダ433Bとの間も仕切り板447で隔てられているため、3段目の熱交換器431Cを通過した蒸気は、2段目の熱交換器431Bのフッダ435Bの上方を通って、2段目の熱交換器431Bを通過したパン421の上方に流れる。その後、蒸気は1段目の熱交換器431Aを通過して、排気口427から排気筒215を通って排気される。
排気空間423の側方にはファン451が配置されている。ファン451で吸引された室内空気は、排気口427に送られる。蒸気は、各熱交換器のパイプ間を通るときに、パイプ内の水道水と熱交換されて温度が下がるとともに、排気口427において室内空気と混合されて温度が下がる。これにより、排気筒215から排気される白い蒸気を減らすことができる。また、熱交換器で復水した水はパイプの表面に付着して、パン421に落下し、図示せぬ配水管を通って排水される。
一方、各熱交換器431内の水道水は、蒸気と熱交換されて加熱される。この加熱された温水は、差し湯として差し湯管445から貯湯槽230へ送られる。なお、差し湯官445は貯湯槽230の排水口235(図12参照)に対向する位置まで延びて、同位置に差し湯されることが好ましい。これは、麺投入位置Aから麺カゴ移動手段280の回転方向に4つめの位置までの間は、麺の加熱及び麺をほぐすために沸騰力を最も強くしたい部分であるため、この間に差し湯することは好ましくないためである。また、排水口235と対向する位置に差し湯することにより、貯湯槽230内でお湯が排水口235に向けて均一に流れやすくなり、貯湯槽内の麺の表面カスなどのごみが排出されやすくなる。
このようなゆで麺器は、通常、一日に1回洗浄する。貯湯槽230を掃除する際は、麺カゴホルダ281を回転軸283から外して、麺カゴ250、麺カゴホルダ281、及び、貯湯槽230を掃除する。また、パン421を取り外すと、熱交換器等を下方から水を掛けて洗うことができる。
本発明の実施の形態に係るゆで麺機の構造を示す正面図である。 図1のゆで麺機の側面図である。 図1のゆで麺機の一部横断面図である。 麺カゴの構造を示す図である。 沸騰流集中板の構造を示す斜視図である。 昇降装置を拡大して示す図である。 麺カゴ反転機構を示す図である。 3段の熱交換器の配置状態を示す図である。 本発明の他の実施の形態に係るゆで麺機の全体構造を示す正面図である。 図9のゆで麺機の内部構造を示す正面図である。 図9のゆで麺機の内部構造を示す側面図である。 図9のゆで麺機の内部構造を示す横断面図である。 麺カゴの構造を示す図であり、図13(A)は正面図、図13(B)は平面図、図13(C)は右側面図、図13(D)は左側面図である。 麺カゴホルダの構造を説明する図であり、図14(A)は平面図、図14(B)は側面図である。 麺カゴを麺カゴ移動機構上にセットした様子を示す図である。 麺カゴを麺カゴ移動機構上にセットした様子を示す図である。 麺カゴの反転の様子を模式的に説明する図である。 麺カゴ反転時の様子を説明する斜視図である。 麺カゴの回転軌跡を説明する図であり、図19(A)は側面図、図19(B)は平面図である。 蒸気排気装置を説明する図である。
符号の説明
1 ゆで麺機 3 本体
5 前カバー 7 麺受けカゴ
9 麺スベリガイド
10 貯湯槽 11 ボス
13 環状部 15 ヒータ
20 麺カゴ移動移動手段 21 麺カゴホルダ
23 回転軸 25 アーム
27 麺カゴ受け 29 モータ
40 麺カゴ 41 本体
43 リング 45 沸騰流ガイド
47 回転支点 49 傾動ピン
50 沸騰流集中板 51 仕切り壁
53 区画 55 沸騰流集中口
57 ガイド
60 昇降装置 61 昇降ロッド
63 アーム 65 ラック付きベルト
67 プーリ 69 昇降モータ
71 ガイド 73 スライダ
75 レバー 77 リミットスイッチ
80 麺カゴ反転機構 81 麺カゴ回転板
83 ピン傾動部 85 ピンガイド
87 モータ回転板 89 リンクアーム
91 麺投入ガイド 93 カバー
95 麺収容部
100 水−蒸気熱交換器 101 ヘッダ
103 フッダ 105 パイプ
107 水道水供給口 109 水道水排出口
111 排気ファン 117 フード
121 排気空間 123 排気口
125 排気筒
131 給湯バルブ 133 排水バルブ
135 露カバー 137 冷却ファン
150 制御部
200 ゆで麺機 201 麺ゆで部
203 カバー 205 麺投入口
206 ガイド 207 開閉蓋
209 麺通過口 211 麺取り出し部
215 排気筒 217 キャスター
213 麺受けカゴ
230 貯湯槽 231 ボス
233 環状部 234 排水板
235 縁 236 排水口
237切り欠き 241 ヒータ
243 沸騰流集中板 250 麺カゴ
251 カゴ本体 252 下枠
253 上枠 261 麺払い出しガイド
263 ガイド本体 265 ブラケット
267 湾曲面 269 貫通孔
280 麺カゴ移動機構 281 麺カゴホルダ
283 回転軸 285 モータ
291 スポーク状アーム 292 リング
293 麺カゴ保持フレーム 295 外周フレーム
297 麺カゴ保持部 301 ブラケット受け
303 支持ベース 305 麺カゴ連結用ベース
307 貫通孔 309 コロ
311 ピン
321 ディスク 323 センサ
350 麺払い出し機構(アクチュエータ)
351 縦バー 353 横バー
355 上ベース 357 モータ
359 回転ディスク 361 リンクアーム
363 ガイド 373 麺ガイド
381 切り欠き
400 水切り機構 403 受け部
405 排水口 407 排水管
409 水引きチャンバー 411 配管
413 ポンプ
420 排気装置 421 パン
423 排気空間 425 スキマ
427 排気口 431 熱交換器
433 ヘッダ 435 フッダ
437 パイプ 439 水道水供給口
441 送り配管 443 送り配管
445 水供給管(差し湯管) 447 仕切り板
449 仕切り板 451 ファン

Claims (16)

  1. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、
    前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、
    前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、
    前記ボスの外周が、前記麺カゴの内側の回転軌跡の近傍まで張り出す大きさに形成されていることを特徴とするゆで麺機。
  2. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、
    前記麺カゴの底面形状がアール形状であることを特徴とするゆで麺機。
  3. さらに、前記麺カゴの底の外面に、下向き先細形状の沸騰流ガイドが設けられていることを特徴とする請求項2記載のゆで麺機。
  4. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、
    前記麺カゴの移動経路に沿って前記貯湯槽の底部に配列された複数のヒータと、
    該ヒータ上に配設された、該ヒータによって形成される沸騰流を前記麺カゴの底部の中心に集中的に当てる沸騰流集中板と、を備え、
    前記麺カゴ移動手段は、前記麺カゴを前記ヒータ上で停留させるように間欠運転することを特徴とするゆで麺機。
  5. 前記ヒータは、前記貯湯槽内の底部上の湯中に直入れされており、
    前記沸騰流集中板の中央には沸騰流口が形成されており、
    該沸騰流口が前記ヒータの中心上に位置することを特徴とする請求項4記載のゆで麺機。
  6. さらに、前記貯湯槽で生じた蒸気を水道水と熱交換する水−蒸気熱交換器を備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のゆで麺機。
  7. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、
    前記貯湯槽で生じた蒸気を含む排気が導かれる排気通路と、
    水道水と蒸気とが熱交換する複数の水−蒸気熱交換器と、を備え、
    前記水−蒸気熱交換器が、前記排気通路中に複数段配置されており、
    該水−蒸気熱交換器が、内部に水道水が通水される多数のパイプからなり、
    該パイプに通水される水道水の流れ方向と、前記排気通路に導かれる排気の流れ方向が対向していることを特徴とするゆで麺機。
  8. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、を備え、
    前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、
    前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、
    前記麺カゴの断面形状が多角形であることを特徴とするゆで麺機。
  9. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、
    ゆで上がった麺を払い出す手段と、を備え、
    前記貯湯槽が、略円筒形の外周壁、及び、該槽の中央部に立設された円筒状のボスを有し、
    前記麺カゴ移動手段が、前記麺カゴを前記貯湯槽の中心軸の周りに回転させる回転機構を有し、
    前記払い出し手段が、
    前記麺カゴを前記回転機構上で反転させる機構を有することを特徴とするゆで麺機。
  10. 前記麺カゴが、
    カゴ本体と、
    該カゴ本体の外辺部から上方に延びる麺払い出しガイドと、を備え、
    前記麺払い出しガイドに、
    前記カゴ本体の外側に位置し、前記麺カゴ回転機構上に置かれる回動支点と、
    該回動支点の外側に位置する力点と、が設けられており、
    前記払い出し手段が、麺カゴ反転アクチュエータを有し、
    該麺カゴ反転アクチュエータが前記麺カゴの力点を下に押して前記麺カゴを前記回動支点周りに回動させ、前記カゴ本体を上に持ち上げて、該カゴ本体内から前記麺払い出しガイドを通して麺を払い出すことを特徴とする請求項9記載のゆで麺機。
  11. 前記反転アクチュエータが、
    前記麺払い出しガイドの両側において上下に移動可能な2本の縦バーと、
    該縦バーの下端間に延びる横バーと、を有し、
    麺払い出し時には、前記2本の縦バーが下降し、前記横バーは前記麺カゴの力点を下に押しながら前記麺カゴの下方まで下がり、前記麺カゴの麺ガイドが、前記2本の縦バーの間を抜けるよう外方向に回動することを特徴とする請求項10記載のゆで麺機。
  12. 前記回転機構が、
    前記ボスの中心から径方向に延びる複数のスポーク状アームと、
    該スポーク状アームの先端に取り付けられた麺カゴ保持フレームと、
    該麺カゴ保持フレームの先端を結ぶ環状の外周フレームと、を有し、
    前記麺カゴが、
    隣り合う前記スポーク状アームの麺カゴ保持フレームと、前記外周フレームとに保持されるとともに、
    断面積が下に向かって徐々に狭くなる形状を有することを特徴とする請求項9〜11いずれか1項記載のゆで麺機。
  13. 前記麺カゴが反転する位置に対応する前記ボスの部分に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項9〜12いずれか1項記載のゆで麺機。
  14. 前記回転機構の外周フレームに、麺カゴの重量を受けるコロが付設されていることを特徴とする請求項9〜13いずれか1項記載のゆで麺機。
  15. 前記払い出し手段から払い出された麺の水切りを行う、吸引式の水切り機構をさらに備えることを特徴とする請求項9記載のゆで麺機。
  16. 熱湯中で麺をゆでるゆで麺機であって、
    前記熱湯を溜める貯湯槽と、
    前記貯湯槽中で麺カゴを移動させる手段と、
    ゆで上がった麺を払い出す手段と、
    前記貯湯槽で生じた蒸気を含む排気から蒸気を除く手段と、を備え、
    前記麺カゴへの麺投入孔、該麺カゴからの麺払い出し孔、及び、前記排気を出す排気孔を除いて前記貯湯槽の周囲がカバーで覆われていることを特徴とするゆで麺機。
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