JP2004290313A - 金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ - Google Patents
金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004290313A JP2004290313A JP2003084681A JP2003084681A JP2004290313A JP 2004290313 A JP2004290313 A JP 2004290313A JP 2003084681 A JP2003084681 A JP 2003084681A JP 2003084681 A JP2003084681 A JP 2003084681A JP 2004290313 A JP2004290313 A JP 2004290313A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- side part
- golf club
- face
- face side
- back side
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Golf Clubs (AREA)
Abstract
【課題】溶接により異なる素材の各パーツを接合した際に溶接箇所を目立たなくすることが可能となるゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供する。
【解決手段】金属製ゴルフクラブヘッド1は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成されるフェース側パーツ2と、フェース側パーツと異なる金属材料である純チタンで構成され、溶接部4を介してフェース側パーツ2と接合されたバック側パーツ3とを備える。そして、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度が、フェース側パーツ2の熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】金属製ゴルフクラブヘッド1は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成されるフェース側パーツ2と、フェース側パーツと異なる金属材料である純チタンで構成され、溶接部4を介してフェース側パーツ2と接合されたバック側パーツ3とを備える。そして、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度が、フェース側パーツ2の熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブに関し、フェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合した金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金属製のゴルフクラブヘッドの各パーツを接合する一手法として溶接が用いられている。
【0003】
たとえば特開平9−56852号公報には、鋳造によりフェース部のみを開口した中空状に形成された金属製のヘッド本体と、同じく金属製の板状フェース部材との二体によって構成され、フェース部材がヘッド本体の開口部に適合されかつ周縁をヘッド本体に溶接されて一体化されてなることを特徴とする金属製の中空ゴルフクラブヘッドが記載されている。
【0004】
また、特開2001−327634号公報には、15.5〜18.5wt%のクロムと、0.9〜1.5wt%のホウ素と、1.4〜2.2wt%のシリコンと、0.7〜1.7wt%の鉄と、0.05wt%以下の炭素と、5.5〜7.5wt%のリンと、残り成分ニッケルとを含有することを特徴とするゴルフクラブの溶接材料が記載されている。
【0005】
また、特開平6−254182号公報には、NiTi合金製のメタルウッドを製造する際に溶接材料として常温でマルテンサイト組織となるNiTi合金を使用し、不活性ガス雰囲気中または真空下で溶接を行うことが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−56852号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−327634号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平6−254182号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
溶接部を介して接合したパーツを備えるゴルフクラブヘッドでは、一般にヘッド表面の研磨後に溶接箇所が目につく場合があることから、たとえば鏡面仕上げを行えず、外観向上を図る際に支障を来たすという問題があった。
【0010】
他方、ゴルフクラブにとって、ボールの飛距離と方向性は重要な要素であり、飛距離を伸ばすには、フェースの反発性能を高めることが有効であり、方向性を向上するにはヘッド部の慣性モーメントを大きくすることが有効である。
【0011】
フェースの反発性能を高めるには、フェースに高強度低弾性素材を使用すればよく、慣性モーメントを大きくするには、ヘッドのバック側パーツを高比重材料で形成すればよい。したがって、フェースの反発性能を高めかつ慣性モーメントを大きくするには、フェース側パーツとバック側パーツとを異なる材質で構成することが好ましい。
【0012】
ところが、上述の特開平9−56852号公報ではヘッド本体およびフェース部材を同じ材質で構成することが望ましい旨が記載され、また特開平6−254182号公報にはメタルウッドの材質と溶接材料の材質とを同じ材質で構成した例が記載されているだけであり、これらの文献にはバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で構成した場合の溶接手法については開示されていない。
【0013】
また、特開2001−327634号公報には、上述のような高い溶接強度、適当な流動性ならびに耐腐食性などの特性を兼備するゴルフクラブの溶接材料が開示されているが、当該文献にもバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で構成した場合の溶接材料について開示されているとは言えない。
【0014】
フェース側パーツとバック側パーツを異なる材質で構成する場合、圧入やネジ止めなどの機械的接合によってヘッドを作製することができるが、この場合には圧入やネジ止めなどを行うための構造を採用することが必要となり、フェースの反発性能やヘッドの慣性モーメントを低下させることが懸念される。
【0015】
そこで、本発明の1つの目的は、溶接により各パーツを接合した際に溶接箇所を目立たなくすることが可能となるゴルフクラブヘッドおよび該ゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、異なる材質で構成されるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接箇所が目立たないように接合することが可能となる金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る金属製ゴルフクラブヘッドは、金属製のフェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる金属材料で主に構成され、溶接部を介してフェース側パーツと接合されたバック側パーツとを備え、溶接部の表面の平均ビッカース硬度が、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下である。
【0018】
溶接部の表面の硬度を、フェース側パーツの熱影響部の表面硬度に対し上記の範囲内の値とすることにより、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0019】
上記フェース側パーツを、22wt%のV(バナジウム)と4wt%のAl(アルミニウム)を含むチタン合金、15wt%のVと6wt%のCr(クロム)と4wt%のAlとを含むチタン合金、または15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSn(スズ)とを含むチタン合金で構成し、バック側パーツを純Tiまたは6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金で構成することが好ましい。
【0020】
本発明に係るゴルフクラブは、上記のゴルフクラブヘッドを備える。したがって、反発性能や慣性モーメントなどについて所望の特性を備え、かつ研磨後に溶接部が目立たない外観の良好なヘッドを有するゴルフクラブが得られる。
【0021】
本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、次の各工程を備える。フェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる材質で主に構成されるバック側パーツとをそれぞれ作製する。フェース側パーツを主に構成する材質とバック側パーツを主に構成する材質との双方を含む材質で構成した溶接材を用いてフェース側パーツとバック側パーツとを溶接する。該溶接にはたとえばガスシールド溶接を採用可能である。
【0022】
このようにフェース側パーツを主に構成する材質とバック側パーツを主に構成する材質との双方を含む材質で構成した溶接材を用いてフェース側パーツとバック側パーツとを溶接することにより、溶接部の硬度と、該溶接部の近傍のフェース側パーツやバック側パーツの硬度との差を小さくすることができ、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0023】
上記溶接材は、フェース側パーツの材質を30wt%以上70wt%以下程度、バック側パーツの材質を70wt%以上30wt%以下程度の割合で混合した材質で構成することが好ましい。なお、上記溶接材には、フェース側パーツとバック側パーツの材質以外に、不可避的不純物を含む場合もある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブについて説明する。本実施の形態の思想は、ウッドゴルフクラブとアイアンゴルフクラブの双方に適用可能である。
【0025】
本実施の形態におけるゴルフクラブは、後述するゴルフクラブヘッド、シャフトおよびグリップを備える。ゴルフクラブヘッドは、フェース側パーツと、溶接部と、バック側パーツとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用可能である。
【0026】
フェース側パーツは、フェース面(打球面)を有するフェース部の少なくとも一部を形成する部材であり、ヘッドの前方側に配置される。該フェース側パーツは、たとえばチタン合金で構成される。具体的には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金または15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金でフェース側パーツを構成することが考えられる。
【0027】
フェース側パーツの形状としては、たとえばフェース部全体を含み、該フェース部の外周から後方側に延出する壁部を有する、いわゆるカップ状の形状、フェース部の外周の一部から選択的に上記の壁部を延出させた形状、フェース部の中央部を形成する部分を有しかつ上記の壁部を有する形状、フェース部と同形状の板状の形状などを挙げることができる。
【0028】
バック側パーツは、フェース側パーツと異なる材質で主に構成され、溶接部を介してフェース側パーツと接合される。バック側パーツは、ヘッドの後方側の少なくとも一部を形成する部材であり、単一素材で構成される場合と複合素材で構成される場合との双方が考えられる。たとえば、バック側パーツ本体に開口部を設け、該開口部を閉じるように異素材のパーツを接合することも考えられる。
【0029】
上記のようにバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で主に構成することにより、たとえばフェース側パーツに高強度低弾性素材を主として使用しながら、バック側パーツをフェース側パーツよりも高比重の材料で主として形成することができ、反発性能に優れかつ慣性モーメントをも増大されたゴルフクラブヘッドを作製することができる。
【0030】
ウッドゴルフクラブの場合、ヘッドはたとえば金属製外殻構造を有する。バック側パーツは、該ヘッドの本体部を主に構成する。このヘッド本体は、典型的にはクラウン部、ソール部、サイド部およびバック部を含む。
【0031】
バック側パーツは、精密鋳造などにより成形され上記の各部位を一体化した部材で構成してもよいが、上記の各部位を別パーツで形成して互いに接合一体化した部材で構成してもよい。
【0032】
バック側パーツの材質としては、たとえば純チタンやチタン合金を挙げることができる。チタン合金としては、たとえば6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を採用することができる。
【0033】
アイアンゴルフクラブは、たとえば金属製外殻構造のヘッドや、後方にキャビティ部を有するいわゆるキャビティバック構造のヘッドを備える。バック側パーツは、該ヘッドの本体部を主に構成し、典型的にはソール部とバック部とを有する。該バック側パーツの材質としては、たとえば軟鉄、ステンレス、純チタン、上記のチタン合金などを採用することができる。
【0034】
溶接部は、フェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とで主に構成される。該溶接部に含まれるフェース側パーツの材質とバック側パーツの材質の割合については、フェース側パーツの材質の割合がバック側パーツの材質の割合よりも大きい場合、フェース側パーツの材質の割合がバック側パーツの材質の割合よりも小さい場合、当該割合が等しい場合のいずれも考えられる。
【0035】
上記のように、溶接部の材質としてフェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とで主に構成される材質、たとえばこれらの材質のほぼ中間の組成を有する材質を採用することにより、異なる素材で構成されるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合することができる。
【0036】
たとえばフェース側パーツを第1チタン合金で構成し、バック側パーツを第1チタン合金とは異なる第2チタン合金または純チタンで構成した場合には、溶接部を、第1チタン合金と第2チタン合金とで主に構成される合金、あるいは第1チタン合金と純チタンとで主に構成されるチタン合金で構成する。
【0037】
より具体的には、フェース側パーツに22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成する。
【0038】
また、フェース側パーツに22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成する。
【0039】
本願発明者は、上記のようにフェース側パーツやバック側パーツをチタン合金や純チタンを主体とした材質で作製した場合に、異なる組成のチタン合金同士あるいはチタン合金と純チタンとの双方を含む材質で溶接部を構成することにより、該溶接部を介してフェース側パーツとバック側パーツとを接合可能となることを確認した。なお、上記の溶接部には、溶接時に混入する不可避的不純物が含まれる場合もあるものと考えられる。
【0040】
次に、本実施の形態のゴルフクラブヘッドにおける上記の溶接部の硬度について説明する。
【0041】
溶接部の表面の平均ビッカース硬度は、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下程度である。好ましくは、105%以上115%以下程度である。また、溶接部の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度との差は、0以上70以下程度である。好ましくは、当該差は20以上50以下程度である。なお、「熱影響部」とは、溶接時の熱の影響で硬度が変化した部分のことである。
【0042】
溶接部の表面の硬度を、フェース側パーツの熱影響部の表面硬度に対し上記の範囲のものとすることにより、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0043】
次に、本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。まず、フェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる材質で主に構成されるバック側パーツとをそれぞれ作製する。フェース側パーツを作製するにはたとえば鍛造を採用することができ、バック側パーツを作製するには鋳造を採用することができる。
【0044】
次に、フェース側パーツを構成する材質と、バック側パーツを構成する材質との双方を含む材質で形成した溶接棒などの溶接材を準備する。該溶接材は、たとえばフェース側パーツの材質を30wt%以上70wt%以下程度、バック側パーツの材質を70wt%以上30wt%以下程度の割合で混合した材質で構成する。好ましくは、フェース側パーツの材質を40wt%以上60wt%以下程度、バック側パーツの材質を60wt%以上40wt%以下程度の割合で混合した材質で溶接部を構成する。より好ましくは、フェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とを50wt%程度ずつ含む材質で溶接部を構成する。なお、該溶接材には、溶接材を作製する際に必要な元素(不可避的不純物)が混入されることがある。
【0045】
次に、上記の溶接材を用いて、たとえばTIG(Tungsten Inert Gas)溶接などのガスシールド溶接によりフェース側パーツとバック側パーツとを溶接する。それにより、溶接部における組成をフェース側パーツからバック側パーツにかけて徐々に変化させることができ、フェース側パーツおよびバック側パーツと、溶接部との間の硬度のばらつきを小さくすることができる。
【0046】
上記のようにフェース側パーツとバック側パーツとを溶接した後、溶接部の表面を研磨し、ヘッド表面に所定の表面処理を施す。それにより、本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドを作製することができる。
【0047】
該ヘッドを作製した後、周知の手法でシャフトとヘッドおよびグリップとを接合し、本実施の形態におけるゴルフクラブが作製される。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図5を用いて説明する。
【0049】
(実施例1)
まず、図1、図3〜図5を用いて、本発明の実施例1について説明する。図1に、本実施例1におけるゴルフクラブヘッド1を示す。
【0050】
本実施例1のウッドゴルフクラブは、図1に示すゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0051】
図1に示すように、ゴルフクラブヘッド1は、フェース側パーツ2と、バック側パーツ3と、溶接部4とを有する。フェース側パーツ2は、β型チタンである15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成され、いわゆるカップ状の形状を有する。バック側パーツ3は、純チタンで構成される。
【0052】
フェース側パーツ2とバック側パーツ3は、溶接部4を介して接合される。溶接部4は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される合金、この場合であればβ型チタンで構成される。また、溶接部4は、フェース面から所定距離だけ後方(バック部側)シフトした位置に設けられる。
【0053】
図5に、図1における溶接部4およびその近傍の拡大図を示す。図5に示すように、溶接部4の周囲には、溶接時の熱により硬度が変化した熱影響部5が存在する。
【0054】
次に、上記の構造を有するゴルフクラブヘッド1を作製する方法について図3(a),(b)を用いて説明する。
【0055】
まずフェース側パーツ2を鍛造により成形し、バック側パーツ3を精密鋳造で成形する。そして、図3(a)に示すように、該フェース側パーツ2とバック側パーツ3をTIG溶接にて接合する。該溶接の際に、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとを約50wt%ずつ含む、いわゆるハーフアロイで構成した溶接棒を使用する。それにより、フェース側パーツ2とバック側パーツ3間に、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される溶接部4が形成される。
【0056】
このとき、溶接部4の両側に位置するフェース側パーツ2とバック側パーツ3の端部は、段差形状を有している。より詳しくは、ゴルフクラブヘッド1の外表面側に凹部を形成するような段差形状を有している。それにより、ゴルフクラブヘッド1の外表面側における溶接部4の幅を、内表面側の幅よりも広くすることができる。なお、上記の段差形状を、フェース側パーツ2とバック側パーツ3の一方の端部にのみ設けてもよい。
【0057】
次に、図3(b)に示すように、溶接箇所を研磨する。それにより、溶接部4の表面を平坦化し、溶接部4の表面と、その近傍に位置するフェース側パーツ2とバック側パーツ3の表面とをほぼ面一とすることができる。
【0058】
その後、所定の表面処理を施してゴルフクラブヘッド1を作製することができる。なお、ゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを周知の手法にて接合することで本実施例1のゴルフクラブを作製することができる。
【0059】
次に、上記のようにして作製した溶接部4およびその近傍のビッカース硬度分布を測定したので、その結果について図4および表1を用いて説明する。
【0060】
今回の測定では、図4に示すように、溶接部4の中央部からフェース側パーツ2側とバック側パーツ3側にそれぞれ4mmずつ離れたポイントまでのビッカース硬度を1mm間隔で測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0061】
なお、図4および表1では、フェース側パーツ2側の測定ポイントを負の値で表示し、バック側パーツ3側の測定ポイントを正の値で表示している。また、溶接部4の外表面側の幅Wは3mmである。
【0062】
【表1】
【0063】
上記の表1に示すように、溶接部4の平均ビッカース硬度(HV)は約380であるのに対し、溶接部4から4mm以内のフェース側パーツ2の平均ビッカース硬度は約392であり、溶接部4から4mm以内のバック側パーツ3の平均ビッカース硬度は約369である。
【0064】
したがって、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度は、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するフェース側パーツ2の表面(熱影響部5に相当する部分の表面)の平均ビッカース硬度の約103%程度である。また、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するフェース側パーツ2の表面の平均ビッカース硬度との差は、12程度である。このように、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツ2の熱影響部5の表面の平均ビッカース硬度との差は小さいものとなる。
【0065】
他方、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度は、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するバック側パーツ3の表面(熱影響部5に相当する部分の表面)の平均ビッカース硬度の約97%程度である。また、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するバック側パーツ3の表面の平均ビッカース硬度との差は、11程度である。
【0066】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について図2を用いて説明する。本実施例2では、アイアンゴルフクラブに本発明の思想を適用する。
【0067】
本実施例2のアイアンゴルフクラブは、図2に示すゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0068】
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド1は、フェース側パーツ2と、バック側パーツ3と、溶接部4とを有する。フェース側パーツ2は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成される。バック側パーツ3は、6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金で構成される。このとき、溶接部4は15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と、6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とのハーフアロイで構成される。
【0069】
本実施例2の場合も、実施例1の場合と同様に、フェース側パーツ2の素材とバック側パーツ3の素材との双方を含む素材で構成した溶接棒を用いて溶接を行う。したがって、上記の実施例1の場合と同様に、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツ2の熱影響部5の表面の平均ビッカース硬度との差を小さくすることができるものと推察される。
【0070】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる材質からなるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合することができ、かつ研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。したがって、反発性能や慣性モーメントなどに関して所望の特性を備え、かつ研磨後に溶接部が目立たない外観の良好なヘッドを有するゴルフクラブが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図2】本発明の実施例2におけるゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの製造工程の特徴的な製造工程を示す断面図である。
【図4】ビッカース硬度の測定ポイントを示す断面模式図である。
【図5】図1のゴルフクラブヘッドの溶接部およびその近傍を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド、2 フェース側パーツ、3 バック側パーツ、4 溶接部、5 熱影響部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブに関し、フェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合した金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびに該ヘッドを備えたゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金属製のゴルフクラブヘッドの各パーツを接合する一手法として溶接が用いられている。
【0003】
たとえば特開平9−56852号公報には、鋳造によりフェース部のみを開口した中空状に形成された金属製のヘッド本体と、同じく金属製の板状フェース部材との二体によって構成され、フェース部材がヘッド本体の開口部に適合されかつ周縁をヘッド本体に溶接されて一体化されてなることを特徴とする金属製の中空ゴルフクラブヘッドが記載されている。
【0004】
また、特開2001−327634号公報には、15.5〜18.5wt%のクロムと、0.9〜1.5wt%のホウ素と、1.4〜2.2wt%のシリコンと、0.7〜1.7wt%の鉄と、0.05wt%以下の炭素と、5.5〜7.5wt%のリンと、残り成分ニッケルとを含有することを特徴とするゴルフクラブの溶接材料が記載されている。
【0005】
また、特開平6−254182号公報には、NiTi合金製のメタルウッドを製造する際に溶接材料として常温でマルテンサイト組織となるNiTi合金を使用し、不活性ガス雰囲気中または真空下で溶接を行うことが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−56852号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−327634号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平6−254182号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
溶接部を介して接合したパーツを備えるゴルフクラブヘッドでは、一般にヘッド表面の研磨後に溶接箇所が目につく場合があることから、たとえば鏡面仕上げを行えず、外観向上を図る際に支障を来たすという問題があった。
【0010】
他方、ゴルフクラブにとって、ボールの飛距離と方向性は重要な要素であり、飛距離を伸ばすには、フェースの反発性能を高めることが有効であり、方向性を向上するにはヘッド部の慣性モーメントを大きくすることが有効である。
【0011】
フェースの反発性能を高めるには、フェースに高強度低弾性素材を使用すればよく、慣性モーメントを大きくするには、ヘッドのバック側パーツを高比重材料で形成すればよい。したがって、フェースの反発性能を高めかつ慣性モーメントを大きくするには、フェース側パーツとバック側パーツとを異なる材質で構成することが好ましい。
【0012】
ところが、上述の特開平9−56852号公報ではヘッド本体およびフェース部材を同じ材質で構成することが望ましい旨が記載され、また特開平6−254182号公報にはメタルウッドの材質と溶接材料の材質とを同じ材質で構成した例が記載されているだけであり、これらの文献にはバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で構成した場合の溶接手法については開示されていない。
【0013】
また、特開2001−327634号公報には、上述のような高い溶接強度、適当な流動性ならびに耐腐食性などの特性を兼備するゴルフクラブの溶接材料が開示されているが、当該文献にもバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で構成した場合の溶接材料について開示されているとは言えない。
【0014】
フェース側パーツとバック側パーツを異なる材質で構成する場合、圧入やネジ止めなどの機械的接合によってヘッドを作製することができるが、この場合には圧入やネジ止めなどを行うための構造を採用することが必要となり、フェースの反発性能やヘッドの慣性モーメントを低下させることが懸念される。
【0015】
そこで、本発明の1つの目的は、溶接により各パーツを接合した際に溶接箇所を目立たなくすることが可能となるゴルフクラブヘッドおよび該ゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、異なる材質で構成されるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接箇所が目立たないように接合することが可能となる金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る金属製ゴルフクラブヘッドは、金属製のフェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる金属材料で主に構成され、溶接部を介してフェース側パーツと接合されたバック側パーツとを備え、溶接部の表面の平均ビッカース硬度が、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下である。
【0018】
溶接部の表面の硬度を、フェース側パーツの熱影響部の表面硬度に対し上記の範囲内の値とすることにより、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0019】
上記フェース側パーツを、22wt%のV(バナジウム)と4wt%のAl(アルミニウム)を含むチタン合金、15wt%のVと6wt%のCr(クロム)と4wt%のAlとを含むチタン合金、または15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSn(スズ)とを含むチタン合金で構成し、バック側パーツを純Tiまたは6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金で構成することが好ましい。
【0020】
本発明に係るゴルフクラブは、上記のゴルフクラブヘッドを備える。したがって、反発性能や慣性モーメントなどについて所望の特性を備え、かつ研磨後に溶接部が目立たない外観の良好なヘッドを有するゴルフクラブが得られる。
【0021】
本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、次の各工程を備える。フェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる材質で主に構成されるバック側パーツとをそれぞれ作製する。フェース側パーツを主に構成する材質とバック側パーツを主に構成する材質との双方を含む材質で構成した溶接材を用いてフェース側パーツとバック側パーツとを溶接する。該溶接にはたとえばガスシールド溶接を採用可能である。
【0022】
このようにフェース側パーツを主に構成する材質とバック側パーツを主に構成する材質との双方を含む材質で構成した溶接材を用いてフェース側パーツとバック側パーツとを溶接することにより、溶接部の硬度と、該溶接部の近傍のフェース側パーツやバック側パーツの硬度との差を小さくすることができ、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0023】
上記溶接材は、フェース側パーツの材質を30wt%以上70wt%以下程度、バック側パーツの材質を70wt%以上30wt%以下程度の割合で混合した材質で構成することが好ましい。なお、上記溶接材には、フェース側パーツとバック側パーツの材質以外に、不可避的不純物を含む場合もある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブについて説明する。本実施の形態の思想は、ウッドゴルフクラブとアイアンゴルフクラブの双方に適用可能である。
【0025】
本実施の形態におけるゴルフクラブは、後述するゴルフクラブヘッド、シャフトおよびグリップを備える。ゴルフクラブヘッドは、フェース側パーツと、溶接部と、バック側パーツとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用可能である。
【0026】
フェース側パーツは、フェース面(打球面)を有するフェース部の少なくとも一部を形成する部材であり、ヘッドの前方側に配置される。該フェース側パーツは、たとえばチタン合金で構成される。具体的には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金または15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金でフェース側パーツを構成することが考えられる。
【0027】
フェース側パーツの形状としては、たとえばフェース部全体を含み、該フェース部の外周から後方側に延出する壁部を有する、いわゆるカップ状の形状、フェース部の外周の一部から選択的に上記の壁部を延出させた形状、フェース部の中央部を形成する部分を有しかつ上記の壁部を有する形状、フェース部と同形状の板状の形状などを挙げることができる。
【0028】
バック側パーツは、フェース側パーツと異なる材質で主に構成され、溶接部を介してフェース側パーツと接合される。バック側パーツは、ヘッドの後方側の少なくとも一部を形成する部材であり、単一素材で構成される場合と複合素材で構成される場合との双方が考えられる。たとえば、バック側パーツ本体に開口部を設け、該開口部を閉じるように異素材のパーツを接合することも考えられる。
【0029】
上記のようにバック側パーツとフェース側パーツとを異なる材質で主に構成することにより、たとえばフェース側パーツに高強度低弾性素材を主として使用しながら、バック側パーツをフェース側パーツよりも高比重の材料で主として形成することができ、反発性能に優れかつ慣性モーメントをも増大されたゴルフクラブヘッドを作製することができる。
【0030】
ウッドゴルフクラブの場合、ヘッドはたとえば金属製外殻構造を有する。バック側パーツは、該ヘッドの本体部を主に構成する。このヘッド本体は、典型的にはクラウン部、ソール部、サイド部およびバック部を含む。
【0031】
バック側パーツは、精密鋳造などにより成形され上記の各部位を一体化した部材で構成してもよいが、上記の各部位を別パーツで形成して互いに接合一体化した部材で構成してもよい。
【0032】
バック側パーツの材質としては、たとえば純チタンやチタン合金を挙げることができる。チタン合金としては、たとえば6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を採用することができる。
【0033】
アイアンゴルフクラブは、たとえば金属製外殻構造のヘッドや、後方にキャビティ部を有するいわゆるキャビティバック構造のヘッドを備える。バック側パーツは、該ヘッドの本体部を主に構成し、典型的にはソール部とバック部とを有する。該バック側パーツの材質としては、たとえば軟鉄、ステンレス、純チタン、上記のチタン合金などを採用することができる。
【0034】
溶接部は、フェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とで主に構成される。該溶接部に含まれるフェース側パーツの材質とバック側パーツの材質の割合については、フェース側パーツの材質の割合がバック側パーツの材質の割合よりも大きい場合、フェース側パーツの材質の割合がバック側パーツの材質の割合よりも小さい場合、当該割合が等しい場合のいずれも考えられる。
【0035】
上記のように、溶接部の材質としてフェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とで主に構成される材質、たとえばこれらの材質のほぼ中間の組成を有する材質を採用することにより、異なる素材で構成されるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合することができる。
【0036】
たとえばフェース側パーツを第1チタン合金で構成し、バック側パーツを第1チタン合金とは異なる第2チタン合金または純チタンで構成した場合には、溶接部を、第1チタン合金と第2チタン合金とで主に構成される合金、あるいは第1チタン合金と純チタンとで主に構成されるチタン合金で構成する。
【0037】
より具体的には、フェース側パーツに22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに純チタンを用いた場合には、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される材質で溶接部を構成する。
【0038】
また、フェース側パーツに22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成し、フェース側パーツに15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金を用い、バック側パーツに6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金を用いた場合には、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とで主に構成される材質で溶接部を構成する。
【0039】
本願発明者は、上記のようにフェース側パーツやバック側パーツをチタン合金や純チタンを主体とした材質で作製した場合に、異なる組成のチタン合金同士あるいはチタン合金と純チタンとの双方を含む材質で溶接部を構成することにより、該溶接部を介してフェース側パーツとバック側パーツとを接合可能となることを確認した。なお、上記の溶接部には、溶接時に混入する不可避的不純物が含まれる場合もあるものと考えられる。
【0040】
次に、本実施の形態のゴルフクラブヘッドにおける上記の溶接部の硬度について説明する。
【0041】
溶接部の表面の平均ビッカース硬度は、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下程度である。好ましくは、105%以上115%以下程度である。また、溶接部の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツの熱影響部の表面の平均ビッカース硬度との差は、0以上70以下程度である。好ましくは、当該差は20以上50以下程度である。なお、「熱影響部」とは、溶接時の熱の影響で硬度が変化した部分のことである。
【0042】
溶接部の表面の硬度を、フェース側パーツの熱影響部の表面硬度に対し上記の範囲のものとすることにより、研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。
【0043】
次に、本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。まず、フェース側パーツと、該フェース側パーツと異なる材質で主に構成されるバック側パーツとをそれぞれ作製する。フェース側パーツを作製するにはたとえば鍛造を採用することができ、バック側パーツを作製するには鋳造を採用することができる。
【0044】
次に、フェース側パーツを構成する材質と、バック側パーツを構成する材質との双方を含む材質で形成した溶接棒などの溶接材を準備する。該溶接材は、たとえばフェース側パーツの材質を30wt%以上70wt%以下程度、バック側パーツの材質を70wt%以上30wt%以下程度の割合で混合した材質で構成する。好ましくは、フェース側パーツの材質を40wt%以上60wt%以下程度、バック側パーツの材質を60wt%以上40wt%以下程度の割合で混合した材質で溶接部を構成する。より好ましくは、フェース側パーツの材質とバック側パーツの材質とを50wt%程度ずつ含む材質で溶接部を構成する。なお、該溶接材には、溶接材を作製する際に必要な元素(不可避的不純物)が混入されることがある。
【0045】
次に、上記の溶接材を用いて、たとえばTIG(Tungsten Inert Gas)溶接などのガスシールド溶接によりフェース側パーツとバック側パーツとを溶接する。それにより、溶接部における組成をフェース側パーツからバック側パーツにかけて徐々に変化させることができ、フェース側パーツおよびバック側パーツと、溶接部との間の硬度のばらつきを小さくすることができる。
【0046】
上記のようにフェース側パーツとバック側パーツとを溶接した後、溶接部の表面を研磨し、ヘッド表面に所定の表面処理を施す。それにより、本実施の形態におけるゴルフクラブヘッドを作製することができる。
【0047】
該ヘッドを作製した後、周知の手法でシャフトとヘッドおよびグリップとを接合し、本実施の形態におけるゴルフクラブが作製される。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図5を用いて説明する。
【0049】
(実施例1)
まず、図1、図3〜図5を用いて、本発明の実施例1について説明する。図1に、本実施例1におけるゴルフクラブヘッド1を示す。
【0050】
本実施例1のウッドゴルフクラブは、図1に示すゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0051】
図1に示すように、ゴルフクラブヘッド1は、フェース側パーツ2と、バック側パーツ3と、溶接部4とを有する。フェース側パーツ2は、β型チタンである15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成され、いわゆるカップ状の形状を有する。バック側パーツ3は、純チタンで構成される。
【0052】
フェース側パーツ2とバック側パーツ3は、溶接部4を介して接合される。溶接部4は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される合金、この場合であればβ型チタンで構成される。また、溶接部4は、フェース面から所定距離だけ後方(バック部側)シフトした位置に設けられる。
【0053】
図5に、図1における溶接部4およびその近傍の拡大図を示す。図5に示すように、溶接部4の周囲には、溶接時の熱により硬度が変化した熱影響部5が存在する。
【0054】
次に、上記の構造を有するゴルフクラブヘッド1を作製する方法について図3(a),(b)を用いて説明する。
【0055】
まずフェース側パーツ2を鍛造により成形し、バック側パーツ3を精密鋳造で成形する。そして、図3(a)に示すように、該フェース側パーツ2とバック側パーツ3をTIG溶接にて接合する。該溶接の際に、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとを約50wt%ずつ含む、いわゆるハーフアロイで構成した溶接棒を使用する。それにより、フェース側パーツ2とバック側パーツ3間に、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と純チタンとで主に構成される溶接部4が形成される。
【0056】
このとき、溶接部4の両側に位置するフェース側パーツ2とバック側パーツ3の端部は、段差形状を有している。より詳しくは、ゴルフクラブヘッド1の外表面側に凹部を形成するような段差形状を有している。それにより、ゴルフクラブヘッド1の外表面側における溶接部4の幅を、内表面側の幅よりも広くすることができる。なお、上記の段差形状を、フェース側パーツ2とバック側パーツ3の一方の端部にのみ設けてもよい。
【0057】
次に、図3(b)に示すように、溶接箇所を研磨する。それにより、溶接部4の表面を平坦化し、溶接部4の表面と、その近傍に位置するフェース側パーツ2とバック側パーツ3の表面とをほぼ面一とすることができる。
【0058】
その後、所定の表面処理を施してゴルフクラブヘッド1を作製することができる。なお、ゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを周知の手法にて接合することで本実施例1のゴルフクラブを作製することができる。
【0059】
次に、上記のようにして作製した溶接部4およびその近傍のビッカース硬度分布を測定したので、その結果について図4および表1を用いて説明する。
【0060】
今回の測定では、図4に示すように、溶接部4の中央部からフェース側パーツ2側とバック側パーツ3側にそれぞれ4mmずつ離れたポイントまでのビッカース硬度を1mm間隔で測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0061】
なお、図4および表1では、フェース側パーツ2側の測定ポイントを負の値で表示し、バック側パーツ3側の測定ポイントを正の値で表示している。また、溶接部4の外表面側の幅Wは3mmである。
【0062】
【表1】
【0063】
上記の表1に示すように、溶接部4の平均ビッカース硬度(HV)は約380であるのに対し、溶接部4から4mm以内のフェース側パーツ2の平均ビッカース硬度は約392であり、溶接部4から4mm以内のバック側パーツ3の平均ビッカース硬度は約369である。
【0064】
したがって、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度は、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するフェース側パーツ2の表面(熱影響部5に相当する部分の表面)の平均ビッカース硬度の約103%程度である。また、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するフェース側パーツ2の表面の平均ビッカース硬度との差は、12程度である。このように、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツ2の熱影響部5の表面の平均ビッカース硬度との差は小さいものとなる。
【0065】
他方、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度は、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するバック側パーツ3の表面(熱影響部5に相当する部分の表面)の平均ビッカース硬度の約97%程度である。また、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、該溶接部4から4mm以内の範囲に位置するバック側パーツ3の表面の平均ビッカース硬度との差は、11程度である。
【0066】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について図2を用いて説明する。本実施例2では、アイアンゴルフクラブに本発明の思想を適用する。
【0067】
本実施例2のアイアンゴルフクラブは、図2に示すゴルフクラブヘッド1と、シャフトおよびグリップとを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0068】
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド1は、フェース側パーツ2と、バック側パーツ3と、溶接部4とを有する。フェース側パーツ2は、15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成される。バック側パーツ3は、6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金で構成される。このとき、溶接部4は15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金と、6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金とのハーフアロイで構成される。
【0069】
本実施例2の場合も、実施例1の場合と同様に、フェース側パーツ2の素材とバック側パーツ3の素材との双方を含む素材で構成した溶接棒を用いて溶接を行う。したがって、上記の実施例1の場合と同様に、溶接部4の表面の平均ビッカース硬度と、フェース側パーツ2の熱影響部5の表面の平均ビッカース硬度との差を小さくすることができるものと推察される。
【0070】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる材質からなるフェース側パーツとバック側パーツとを溶接にて接合することができ、かつ研磨後に溶接部を目立たなくすることができる。したがって、反発性能や慣性モーメントなどに関して所望の特性を備え、かつ研磨後に溶接部が目立たない外観の良好なヘッドを有するゴルフクラブが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図2】本発明の実施例2におけるゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明の実施例1におけるゴルフクラブヘッドの製造工程の特徴的な製造工程を示す断面図である。
【図4】ビッカース硬度の測定ポイントを示す断面模式図である。
【図5】図1のゴルフクラブヘッドの溶接部およびその近傍を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド、2 フェース側パーツ、3 バック側パーツ、4 溶接部、5 熱影響部。
Claims (5)
- 金属製のフェース側パーツ(2)と、
前記フェース側パーツ(2)と異なる金属材料で主に構成され、溶接部(4)を介して前記フェース側パーツ(2)と接合されたバック側パーツ(3)とを備え、
前記溶接部(4)の表面の平均ビッカース硬度が、前記フェース側パーツ(2)の熱影響部(5)の表面の平均ビッカース硬度の100%以上120%以下である、金属製ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース側パーツ(2)を、22wt%のVと4wt%のAlを含むチタン合金、15wt%のVと6wt%のCrと4wt%のAlとを含むチタン合金または15wt%のVと3wt%のAlと3wt%のCrと3wt%のSnとを含むチタン合金で構成し、
前記バック側パーツ(3)を純Tiまたは6wt%のAlと4wt%のVとを含むチタン合金で構成した、請求項1に記載の金属製ゴルフクラブヘッド。 - 請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブ。
- フェース側パーツ(2)と、該フェース側パーツ(2)と異なる材質で主に構成されるバック側パーツ(3)とをそれぞれ作製する工程と、前記フェース側パーツ(2)を主に構成する材質と、前記バック側パーツ(3)を主に構成する材質との双方を含む材質で構成した溶接材を用いて、前記フェース側パーツ(2)とバック側パーツ(3)とを溶接する工程と、を備えた金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 前記溶接材は、前記フェース側パーツ(2)の材質を30wt%以上70wt%以下、前記バック側パーツ(3)の材質を70wt%以上30wt%以下の割合で混合した材質で構成される、請求項4に記載の金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084681A JP2004290313A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084681A JP2004290313A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004290313A true JP2004290313A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33399795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003084681A Pending JP2004290313A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004290313A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007029710A (ja) * | 2005-06-20 | 2007-02-08 | Sri Sports Ltd | ゴルフクラブヘッド及びその製造方法 |
US7662051B2 (en) * | 2007-09-11 | 2010-02-16 | Cindy Rhodes | Golf head |
JP2019071983A (ja) * | 2017-10-12 | 2019-05-16 | 株式会社プロギア | ゴルフクラブヘッド |
JP2020093172A (ja) * | 2020-03-25 | 2020-06-18 | 株式会社プロギア | ゴルフクラブヘッド |
US20220249921A1 (en) * | 2021-02-05 | 2022-08-11 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Golf club head |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084681A patent/JP2004290313A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007029710A (ja) * | 2005-06-20 | 2007-02-08 | Sri Sports Ltd | ゴルフクラブヘッド及びその製造方法 |
US7662051B2 (en) * | 2007-09-11 | 2010-02-16 | Cindy Rhodes | Golf head |
JP2019071983A (ja) * | 2017-10-12 | 2019-05-16 | 株式会社プロギア | ゴルフクラブヘッド |
JP2020093172A (ja) * | 2020-03-25 | 2020-06-18 | 株式会社プロギア | ゴルフクラブヘッド |
US20220249921A1 (en) * | 2021-02-05 | 2022-08-11 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Golf club head |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7347796B2 (en) | Golf club | |
JP6199624B2 (ja) | アイアン型ゴルフクラブ | |
JP4398880B2 (ja) | ウッド型ゴルフクラブヘッド | |
US20160184669A1 (en) | Co-forged golf club head and method of manufacture | |
JP2004016737A (ja) | アイアン型ゴルフクラブヘッド | |
US20170189770A1 (en) | Golf club having concentrated weighting | |
JP2003190340A (ja) | ゴルフクラブ | |
JP4451982B2 (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP4335059B2 (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP2007029710A (ja) | ゴルフクラブヘッド及びその製造方法 | |
JP2004290313A (ja) | 金属製ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法ならびにゴルフクラブ | |
JP2004135991A (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP2001293115A (ja) | ゴルフクラブ | |
JP2004215724A (ja) | アイアンゴルフクラブヘッド | |
JP4033035B2 (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP2001259091A (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP5074779B2 (ja) | ゴルフクラブヘッドの製造方法 | |
JP3045668B2 (ja) | ゴルフクラブヘッドの製造方法 | |
US9333403B2 (en) | Heat treated golf club | |
JP3142188U (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP3747503B2 (ja) | ゴルフ用ウッドクラブヘッド及びその製法 | |
JP2004267630A (ja) | ゴルフクラブヘッド | |
JP2005080724A (ja) | 金属製ゴルフクラブヘッド | |
JPH09182817A (ja) | ゴルフ用クラブヘッドの製法 | |
JP2003102882A (ja) | ゴルフクラブ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061102 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061107 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061219 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070326 |