JP3045668B2 - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アイアンあるいは
パターなどのゴルフクラブヘッドの製造方法に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば特開平７−２６５４７
５号公報に開示されているように、ゴルフクラブヘッド
において、フェース面のスイートスポット乃至スイート
エリア即ち、ショットされたボールが真っ直ぐに安定し
て、よく飛ぶ領域を拡げることを目的として、チタン合
金などの軽い材料からなるフェース、ソール、ネック等
を有するヘッド本体のバック側に、ベリリウム銅合金な
どの重い材料からなるバックウエイトを固定することが
行われている。そして、前記公報に記載のゴルフクラブ
ヘッドでは、ヘッド本体のバック側及びバックウエイト
との接合面側の一方に凹部を形成すると共に、他方に前
記凹部に圧入される複数の凸部を形成し、前記凹部は、
前記接合面に対し互いに異なる方向性をもって傾斜しそ
れぞれ前記凸部が圧入される複数の部分を有し、前記凸
部を全体的に塑性変形させながら前記凹部に圧入して、
ヘッド本体とバックウエイトとを互いに固定するゴルフ
クラブヘッドの製造方法が公知となっている。

【０００３】又、実開昭６３−１６０６５号公報に開示
されているように、ゴルフクラブヘッドにおいて、フェ
ース面のスイートスポット乃至スイートエリア即ち、シ
ョットされたボールが真っ直ぐに安定して、よく飛ぶ領
域を拡げることを目的として、チタンなどの軽い材料か
らなるフェース、ソール、ネック等を有するヘッド本体
のバック側に、ステンレス鋼などの重い材料からなるバ
ックウエイトを固定することが行われている。そして、
前記公報に記載のヘッドでは、バックウエイト側のヘッ
ド本体への接合面に蟻溝を形成すると共に、ヘッド本体
側のバックウエイトへの接合面に、前記蟻溝と略同形状
で寸法が若干大きい凸条突起を形成し、この凸条突起を
前記蟻溝にプレス加工によって圧入嵌合することによ
り、ヘッド本体とバックウエイトとを互いに固定するも
のであり、圧入嵌合の方向は、前記接合面と直交する方
向であって、且つ蟻溝の正面の開口部から凸条突起が圧
入嵌合するものである。

【０００４】しかし、これら従来のヘッド本体とバック
ウエイトとの固定方法では、固定の確実性に欠け、使用
時などにヘッド本体とバックウエイトとの間にずれや隙
間が発生したり、ヘッド本体からバックウエイトが外れ
てしまうような恐れがあった。即ち、前者の特開平７−
２６５４７５号公報に開示されているような、ヘッド本
体のバック側及びバックウエイトの接合面側の一方に凹
部を形成すると共に、他方に前記凹部に圧入される複数
の凸部を形成し、前記凹部は、前記接合面に対し互いに
異なる方向性をもって傾斜しそれぞれ前記凸部が圧入さ
れる複数の部分を有し、前記凸部を全体的に塑性変形さ
せながら前記凹部に圧入して、ヘッド本体とバックウエ
イトとを互いに固定するゴルフクラブヘッドの製造方法
においては、凹部は、ヘッド本体とバックウエイトとの
接合面に対し、互いに異なる方向性をもって傾斜させて
形成しているため、鍛造加工やプレス加工により、凸部
を全体的に塑性変形させながら前記互いに異なる方向性
をもって傾斜させて形成した凹部に圧入する際に、接合
面全体に圧力がムラなく加わる必要があるため、圧力ム
ラが生じた場合には、凸部が凹部に完全に圧入嵌合する
ことが難しくなり、使用中に接合面に隙間が生じたり、
ボールを打球した際に、変音が発生すると言った欠点を
生じる可能性があった。

【０００５】更に、後者の実開昭６３−１６０６５号公
報に開示されているような、蟻溝および凸条突起の側面
の傾斜により抜け止めがなされるが、蟻溝形状では材料
の塑性変形が生じにくいため、蟻溝の傾斜角を鋭くでき
ずどうしても傾斜角が緩くなる傾向があり、その結果、
圧入嵌合状態が甘くなり、抜け止め効果が低くなって接
合面に隙間が生じたり、打球時に変音が発生すると言っ
た問題点を有していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】これら従来より公知の
ヘッド本体に別部材のバックウエイトを機械的に固定す
るゴルフクラブヘッドでは、ヘッド本体とバックウエイ
トとの接合面に対し、互いに異なる方向性をもって傾斜
した凹部及び凸部を形成したり、ヘッド本体とバックウ
エイトとを蟻溝結合の手段により互いに固定するように
していたため、その接合面の部分に緩みが生じて、ゴル
フクラブヘッドの外観が悪くなったり、打球時に変音が
発生してゴルファーに、違和感や不快感を生じさせる恐
れがあった。

【０００７】本願発明は、このような従来の問題点を解
決しようとするもので、ヘッド本体に別部材のバックウ
エイトを機械的に固定するゴルフクラブヘッドの製造方
法において、ヘッド本体とバックウエイトとの結合を確
実かつ強固なものにして、打球を繰り返してもヘッド本
体とバックウエイトに緩みが生じることを防止し、打球
時の変音の発生を押さえることを目的とすると共に、ヘ
ッド本体とバックウエイトとの固定作業もより容易なも
のとすることを目的とするゴルフクラブヘッドの製造方
法を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本願発明の請求項１に関
しては、前記の目的を達成するために、ヘッド本体と、
該ヘッド本体のバックフェース側に固定されるバックウ
エイトとを備えたゴルフクラブヘッドの製造方法におい
て、前記ヘッド本体を純チタン材乃至チタン合金材で形
成し、バックウエイトをタングステン合金材により別途
形成し、これらヘッド本体及びバックウエイトの接合面
を断面がＶ字形状になるよう形成し、前記ヘッド本体の
接合面のトップエッジ側、キャビティ凹部周縁側及びソ
ール側に、バックウエイト固定用リブを形成し、更に、
接合面に複数の突起部を形成し、バックウエイトの接合
面には、断面形状がアンダーカットになる孔状の凹部を
前記ヘッド本体の突起部に合致させて形成し、且つバッ
クウエイトのトップエッジ側の断面形状をソール側より
も小さく形成すると共に、前記バックウエイト固定用リ
ブの嵌合用凹部を形成しておき、これらヘッド本体とバ
ックウエイトを接合して、鍛造加工等により前記ヘッド
本体のバックウエイト固定用リブ及び突起部が、バック
ウエイトの凹部や嵌合用凹部に圧入嵌合して互いに強固
に固定されることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製
造方法である。

【０００９】又、本願発明の請求項２のゴルフクラブヘ
ッドの製造方法においては、前記純チタン材乃至チタン
合金材により形成されたヘッド本体を鍛造加工乃至はプ
レス加工により成形し、本願発明の請求項３のゴルフク
ラブヘッドの製造方法においては、タングステン合金材
により形成されているバックウエイトをタングステン粉
末を燒結合金化した後トリミングし、次に鍛造加工乃至
プレス加工の工程を経て、再度穿孔加工や仕上トリミン
グにより成形するものである。

【００１０】

【実施の形態】本願発明では、フェースゃホーゼル等を
有するヘッド本体と、該ヘッド本体のバックフェース側
に固定されるバックウエイトとを備えたゴルフクラブヘ
ッドの製造方法において、前記ヘッド本体を純チタン材
乃至チタン合金材で形成し、バックウエイトをタングス
テン合金材によりリング形状に形成し、これらヘッド本
体及びバックウエイトの接合面を断面がＶ字形状になる
ように形成し、前記ヘッド本体の接合面のトップエッジ
側及びキャビティ凹部周縁側にバックウエイト固定用リ
ブを形成し、接合面に複数の突起部を形成し、更に接合
面のソール側にもバックウエイト固定用リブを形成し、
バックウエイトの接合面には、開口部よりも底面部が広
い径を有する凹部を前記ヘッド本体の突起部に合致させ
て形成し、且つバックウエイトのトップエッジ側は断面
形状を小さく形成し、ソール側は断面形状を大きく形成
すると共に前記バックウエイト固定用リブの嵌合用凹部
を形成しておき、これらヘッド本体とバックウエイトの
を接合して鍛造加工乃至はプレス加工により、前記ヘッ
ド本体のバックウエイト固定用リブ及び突起部が、バッ
クウエイトの凹部や嵌合用凹部に圧入嵌合して互いに固
定することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法
である。

【００１１】

【実施例】以下、本願発明の一実施例について、図１乃
至図１０をもとに説明する。即ち、フェース３、ソール
４、ホーゼル５を有するヘッド本体２と、該ヘッド本体
２のバックフェース側６に固定されるバックウエイト７
とを備えたゴルフクラブヘッド１の製造方法において、
前記ヘッド本体２を純チタン材乃至チタン合金材で形成
し、バックウエイト７をタングステン合金材によりリン
グ形状に形成し、これらヘッド本体２及びバックウエイ
ト７の接合面２Ａ、７Ａを断面がＶ字形状になるように
形成し、前記ヘッド本体２の接合面２Ａのトップエッジ
側２Ｂにバックウエイト固定用リブ２Ｃ及びキャビティ
凹部周縁側２Ｄにバックウエイト固定用リブ２Ｅを形成
し、接合面２Ａに複数の突起部２Ｆを形成し、接合面２
Ａのソール側２Ｇにバックウエイト固定用リブ２Ｈを形
成し、バックウエイト７の接合面７Ａには、開口部８Ａ
よりも底面部８Ｂが広い径を有する凹部８を前記ヘッド
本体２の突起部２Ｆに合致させて形成し、且つバックウ
エイト７のトップエッジ側７Ｂは断面形状を小さく形成
し、ソール側７Ｃは断面形状を大きく形成すると共に前
記バックウエイト固定用リブ２Ｈの嵌合用凹部７Ｄを形
成しておき、これらヘッド本体２とバックウエイト７を
接合して鍛造加工乃至はプレス加工により、前記ヘッド
本体２のバックウエイト固定用リブ２Ｃ・２Ｅ・２Ｈ及
び突起部２Ｆが、バックウエイト７の凹部８や嵌合用凹
部７Ｄに圧入嵌合して互いに固定することを特徴とする
ゴルフクラブヘッド１の製造方法である。

【００１２】又、本願発明に係る前記純チタン材乃至チ
タン合金材により形成されたヘッド本体２は鍛造加工乃
至はプレス加工により成形することができるものであ
る。

【００１３】前記タングステン合金材により形成されて
いるバックウエイト７は、タングステン粉末を燒結合金
化した後トリミングし、鍛造加工乃至プレス加工の工程
を経て、再度接合面７Ａやバリ７Ｅの切削加工や穿孔加
工等の仕上トリミングにより成形するものである。

【００１４】以上のように、本願発明のフェース３、ソ
ール４、ホーゼル５を有するヘッド本体２と、該ヘッド
本体２のバックフェース側６に固定されるバックウエイ
ト７とを備えたゴルフクラブヘッド１の製造方法におい
ては、前記ヘッド本体２を純チタン材乃至チタン合金材
で形成し、バックウエイト７をタングステン合金材によ
り、ヘッド本体の形状に相似するリング形状に形成し、
これらヘッド本体２及びバックウエイト７の接合面２
Ａ、７Ａを断面がＶ字形状になるように形成することに
より、鍛造加工乃至プレス加工時に圧力が、前記接合面
２Ａ、７Ａに均等に作用するものである。

【００１５】そして、本願発明においては、前記ヘッド
本体２の接合面２Ａのトップエッジ側２Ｂにバックウエ
イト固定用リブ２Ｃ及びキャビティ凹部周縁側２Ｄにバ
ックウエイト固定用リブ２Ｅを形成し、接合面２Ａに複
数の突起部２Ｆを形成し、接合面２Ａのソール側２Ｇに
バックウエイト固定用リブ２Ｈを形成し、バックウエイ
ト７の接合面７Ａには、開口部８Ａよりも底面部８Ｂが
広い径を有する凹部８を前記ヘッド本体２の突起部２Ｆ
に合致させて形成し、且つバックウエイト７のトップエ
ッジ側７Ｂは断面形状を小さく形成し、ソール側７Ｃは
断面形状を大きく形成すると共に前記バックウエイト固
定用リブ２Ｈの嵌合用凹部７Ｄを形成してあるため、こ
れらヘッド本体２とバックウエイト７を接合して鍛造加
工乃至はプレス加工することにより、前記ヘッド本体２
のトップエッジ側２Ｂに形成したバックウエイト固定用
リブ２Ｃとキャビティ凹部周縁側２Ｄに形成したバック
ウエイト固定用リブ２Ｅが、前記バックウエイト７の断
面形状を小さく形成したトップエッジ側７Ｂを包み込む
ように圧入嵌合するためより強固にバックウエイトを固
定することができる。

【００１６】更に、ヘッド本体２の突起部２Ｆが、バッ
クウエイト７の開口部８Ａよりも底面部８Ｂが広い径を
有する凹部８に圧入嵌合することにより、アンダーカッ
ト形状になって投錨効果を生じ、従来よりもより効果の
ある嵌合になる。又、ヘッド本体２の接合面２Ａのキャ
ビティ凹部周縁側２Ｄのソール側のバックウエイト固定
用リブ２Ｅの幅を広く形成すると共に、ソール側２Ｇに
バックウエイト固定用リブ２Ｈを形成し、バックウエイ
ト７の接合面７Ａには、前記バックウエイト固定用リブ
２Ｈを嵌合するための嵌合用凹部７Ｄを形成してあるた
め、鍛造加工乃至プレス加工により、バックウエイト７
の断面形状を大きく形成したソール側７Ｃをこれらバッ
クウエイト固定用リブ２Ｅ、２Ｈにより、かしめるよう
に固定するため、螺子や溶接等の補助的な手段を用いる
ことなく強固に嵌合固定できるものである。このよう
に、本願発明のゴルフクラブヘッドでは、従来のゴルフ
クラブヘッドと異なりヘッド本体とバックウエイトの接
合面に隙間が生じることもなく、繰り返し打球しても変
音を発生させるようなこともない。

【００１７】又、本願発明のバックウエイトは、比重が
約１７．６〜１８のタングステン合金を使用し、且つ、
リング形状でバックウエイト７のトップエッジ側７Ｂは
断面形状を小さく形成し、ソール側７Ｃは断面形状を大
きく形成しているため、表１に示すように、ゴルフクラ
ブヘッドに仕上げた際には、該バックウエイトのソール
側の重量配分が増加し、ゴルフクラブヘッドの重心がよ
りソール側に移行し、更に重心深度がフェース面よりも
奥になるためスイートエリアが大きくなり、初心者のゴ
ルファーでも、ボールが上がり易く、ボールの方向性と
飛距離が向上するものである。

【００１８】

【表１】

【００１９】又、ヘッド本体２が、純チタン材やチタン
合金材で、鍛造加工乃至はプレス加工により成形するこ
とができるため、製造工程を簡略化できるほか、バック
ウエイト７は、タングステン粉末を燒結合金化した後、
切削加工等のトリミング加工を施し、次に鍛造加工乃至
プレス加工の工程を経て、再度穿孔加工や仕上トリミン
グによりバックウエイトとして成形したものを、別途成
形したヘッド本体２と接合して、鍛造加工乃至プレス加
工することで、加工精度を簡易化できるものである。な
お、本願発明に係るヘッド本体２を形成する素材として
は、純チタン材やチタン合金材（Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ、
Ｔｉ−４Ａｌ−２２Ｖ、Ｔｉ−１５Ｖ−３Ｃｒ−３Ａｌ
−３Ｓｎ、Ｔｉ−４．５Ａｌ−３Ｖ−２Ｆｅ−２Ｍｏ、
Ｔｉ−１０Ｖ−２Ｆｅ−３Ａｌ−、ｅｔｃ）を使用する
ことができる。

【００２０】又、本願発明に係るバックウエイト７を形
成するタングステン合金としては、燒結合金化した場合
に伸度が２５％〜３０％程度で比重が１８前後の物性を
有するもので、例えばタングステン合金の組成として、
Ｗ−Ｎｉ−Ｆｅ系のもので、タングステン：９３％、ニ
ッケル：４．９％、鉄：２．１％を含有する素材を使用
することが好ましい。その他のタングステン合金として
は、同じくＷ−Ｎｉ−Ｆｅ系の組成のもので、タングス
テン：９５％、ニッケル：３．５％、鉄：１．５％を含
有する素材を使用することが好ましい。このような伸度
を有するタングステン合金を使用することにより、後工
程での切削加工や穿孔加工等のトリミング加工や鍛造加
工やプレス加工する上で、バックウエイト７自体に割れ
や亀裂や欠けが生じることもなく、高価な素材であるタ
ングステン合金の製造工程での歩留が著しく向上するも
のである。なお、本願発明のバックウエイトにおいて
は、図８に示すように、タングステン合金を燒結合金と
して形成し、トリミングの後、図９に示すように、鍛造
加工等を施すため、燒結合金の状態では、非常に多孔質
であったものが、鍛造加工によってより緻密で且つ大き
な伸度を有するタングステン合金に変化するものであ
る。更に、図１０に示すように、後工程での切削加工や
穿孔加工等の仕上トリミング加工を行ったり、ヘッド本
体と接合して鍛造加工やプレス加工する上で、バックウ
エイト７自体に割れや亀裂や欠けが生じることもなく、
高価な素材であるタングステン合金の製造工程での歩留
が著しく向上するものである。

【００２１】又、ヘッド本体２よりも硬度の硬いタング
ステン合金製のバックウエイト７の凹部８に、純チタン
材やチタン合金材製の軟らかいヘッド本体２の突起部２
Ｆが圧入嵌合するためより塑性変形し易く、従って、ヘ
ッド本体２とバックウエイト７との接合固定化もより簡
易化できるものである。なお、本願発明のヘッド本体２
の接合面２Ａのトップエッジ側２Ｂにバックウエイト固
定用リブ２Ｃ及びキャビティ凹部周縁側２Ｄにバックウ
エイト固定用リブ２Ｅを形成したり、ソール側２Ｇにバ
ックウエイト固定用リブ２Ｈを形成する際には、図１に
示すように、トップエッジ側２Ｂの全長に渡ってバック
ウエイト固定用リブ２Ｃを形成してもよいし、トップエ
ッジ側２Ｂの中央部分にのみ形成してもよい。なお、キ
ャビティ凹部周縁側２Ｄにバックウエイト固定用リブ２
Ｅを形成する際には、図１に示すように強固に固定する
ためには、キャビティ凹部周縁側２Ｄの全周に形成する
ことが望ましいが、バックウエイト７の重量調整のため
に、バックウエイト固定用リブ２Ｅをスリット状の間隔
を開けて形成することも可能である。即ち、スリット状
の間隔を広くすれば、接合するバックウエイト７の容積
が増加して重量が増加するし、スリット状の間隔を狭く
したりすることにより、バックウエイト７の容積が減少
するため、ヘッド重量も軽減するものである。又、図１
に示すように、バックウエイト固定用リブ２Ｅをキャビ
ティ凹部周縁側２Ｄの全周に形成したり、ソール側の幅
を広く形成したりすることにより、バックウエイト７の
容積が減少して重量も軽減するものである。又、ソール
側２Ｅの全長に渡ってバックウエイト固定用リブ２Ｈを
形成してもよいし、図１に示すように、ソール側２Ｅの
中央部分にのみ形成してもよい。又、図４及び図１０に
示すように、前記ヘッド本体２の突起部２Ｆと対応する
ように、バックウエイト７の接合面７Ａに形成されてい
る凹部８に関しては、ゴルフクラブヘッドの形状や接合
面の形状に応じて、これら突起部２Ｆと凹部８を形成す
る位置や数や形状を変えることができるものである。な
お、本願発明は、前記実施例に限定されるものではな
く、種々の変形実施が可能であるし、前記実施例では、
アイアンクラブのヘッドを例に採ったが、本願発明は、
もちろんパターなどのヘッドの製造にも適用できるもの
である。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本願発明のゴルフクラブ
ヘッドの製造方法においては、ヘッド本体を純チタン材
乃至チタン合金材で形成し、バックウエイトをタングス
テン合金材により、ヘッド本体の形状に相似するリング
形状に形成し、これらヘッド本体及びバックウエイト７
の接合面を断面がＶ字形状になるように形成することに
より、鍛造加工乃至プレス加工時に圧力が、前記接合面
に均等に作用する効果を奏するものである。

【００２３】又、表２に示すように、ヘッド本体の接合
面のトップエッジ側や、キャビティ凹部周縁側及びソー
ル側にバックウエイト固定用リブを形成し、接合面に複
数の突起部を形成し、バックウエイトの接合面には、開
口部よりも底面部が広い径を有する凹部を前記ヘッド本
体の突起部に合致させて形成し、且つバックウエイトの
トップエッジ側は断面形状を小さく形成し、ソール側は
断面形状を大きく形成すると共に前記バックウエイト固
定用リブの嵌合用凹部を形成してあるため、これらヘッ
ド本体とバックウエイトを接合して鍛造加工乃至はプレ
ス加工することにより、前記ヘッド本体のバックウエイ
ト固定用リブが、前記バックウエイトの断面形状を小さ
く形成したトップエッジ側を包み込むように圧入嵌合
し、更に、ヘッド本体の突起部が、バックウエイトの開
口部よりも底面部が広い径を有する凹部に圧入嵌合する
ことにより、アンダーカット形状になって投錨効果を生
じ、従来の公知のゴルフクラブヘッドの製造方法より
も、より強固にバックウエイトを固定することができる
効果を奏するものである。

【００２４】

【表２】

【００２５】又、ヘッド本体が、純チタン材やチタン合
金材で、鍛造加工乃至はプレス加工により成形すること
ができるため、製造工程を簡略化できるほか、バックウ
エイトは、伸度の大きなタングステン合金を使用するこ
とにより、後工程での切削加工や穿孔加工等のトリミン
グ加工や鍛造加工やプレス加工する上で、バックウエイ
ト７自体に割れや亀裂や欠けが生じることもなく、高価
な素材であるタングステン合金の製造工程での歩留が著
しく向上すると言った効果を奏するものである。

【００２６】又、ヘッド本体よりも硬度の硬いタングス
テン合金製のバックウエイトの凹部に、純チタン材やチ
タン合金材製の軟らかいヘッド本体の突起部が圧入嵌合
するためより塑性変形し易く、従って、ヘッド本体とバ
ックウエイトとの接合固定化の工程もより簡易化できる
ものである。このように、本願発明のゴルフクラブヘッ
ドでは、従来のゴルフクラブヘッドと異なりヘッド本体
とバックウエイトの接合面に隙間が生じることもなく、
繰り返し打球しても変音を発生させるようなこともな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明のゴルフクラブヘッドの製造方法に係
る一実施例であるヘッド本体を示す斜視図。

【図２】本願発明の一実施例である図１のヘッド本体の
Ａ−Ａ、Ｂ−Ｂ、Ｃ−Ｃ部位の断面を示す断面図。

【図３】本願発明の一実施例である図１のヘッド本体に
接合するバックウエイトの外面側を示す斜視図。

【図４】本願発明の一実施例である図１のヘッド本体に
接合するバックウエイトの内面側を示す斜視図。

【図５】本願発明の一実施例である図３のバックウエイ
トのＤ−Ｄ、Ｅ−Ｅ、Ｆ−Ｆ部位の断面を示す断面図。

【図６】本願発明の一実施例であるヘッド本体とバック
ウエイトを接合したゴルフクラブヘッドを示す斜視図で
ある。

【図７】本願発明の一実施例である図６のゴルフクラブ
ヘッドのＧ−Ｇ、Ｈ−Ｈ、Ｉ−Ｉ部位の断面を示す断面
図。

【図８】本願発明のゴルフクラブヘッドの製造方法に係
るバックウエイトの燒結合金の状態を示す斜視図。

【図９】本願発明のゴルフクラブヘッドの製造方法に係
るバックウエイトの燒結合金を鍛造加工した状態を示す
斜視図。

【図１０】本願発明のゴルフクラブヘッドの製造方法に
係るバックウエイトの仕上トリミング状態を示す斜視
図。

【符号の説明】

１ ゴルフクラブヘッド ２ ヘッド本体 ２Ａ 接合面 ２Ｂ トップエッジ側 ２Ｃ バックウエイト固定用リブ ２Ｄ キャビティ凹部周縁側 ２Ｅ バックウエイト固定用リブ ２Ｆ 突起部 ２Ｇ ソール側 ２Ｈ バックウエイト固定用リブ ３ フェース ４ ソール ５ ホーゼル ６ バックフェース側 ７ バックウエイト ７Ａ 接合面 ７Ｂ トップエッジ側 ７Ｃ ソール側 ７Ｄ 嵌合用凹部 ７Ｅ バリ ８ 凹部 ８Ａ 開口部 ８Ｂ 底面部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉置 勝紀 岐阜県養老郡養老町高田3877−８ 美津 濃株式会社養老工場内 (72)発明者 金川 憲二 広島県東広島市西条町大字吉行１番地58 中央工業株式会社内 (72)発明者 平原 秀志 広島県東広島市西条町大字吉行１番地58 中央工業株式会社内 審査官 神 悦彦 (56)参考文献 特開 昭61−50574（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A63B 53/04

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フェース、ソール、ホーゼルを有するヘ
   ッド本体と、該ヘッド本体のバックフェース側に固定さ
   れるバックウエイトとを備えたゴルフクラブヘッドの製
   造方法において、前記ヘッド本体を純チタン材乃至チタ
   ン合金材で形成し、バックウエイトをタングステン合金
   材によりリング形状に形成し、これらヘッド本体及びバ
   ックウエイトの接合面の断面がＶ字形状になるように形
   成し、前記ヘッド本体の接合面のトップエッジ側、キャ
   ビティ凹部周縁側及びソール側に、バックウエイト固定
   用リブを各々形成すると共に前記接合面に複数の突起部
   を形成し、バックウエイトの接合面には、開口部よりも
   底面部が広い径を有する凹部を前記ヘッド本体の突起部
   に合致させて形成し、且つバックウエイトのトップエッ
   ジ側は断面形状を小さく形成し、ソール側は断面形状を
   大きく形成すると共に前記バックウエイト固定用リブに
   合致させて嵌合用凹部を形成しておき、これらヘッド本
   体とバックウエイトを接合して鍛造加工乃至はプレス加
   工により、前記ヘッド本体のバックウエイト固定用リブ
   及び突起部が、バックウエイトの凹部や嵌合用凹部に圧
   入嵌合して互いに固定することを特徴とするゴルフクラ
   ブヘッドの製造方法。
2. 【請求項２】 前記純チタン材乃至チタン合金材により
   形成されたヘッド本体は鍛造加工乃至はプレス加工によ
   り成形されていることを特徴とする請求項１記載のゴル
   フクラブヘッドの製造方法。
3. 【請求項３】 前記タングステン合金材により形成され
   ているバックウエイトは、タングステン粉末を燒結合金
   化後トリミングし、鍛造加工乃至プレス加工の工程を経
   て、再度穿孔加工や仕上トリミングにより成形されてい
   ることを特徴とする請求項１又は２記載のゴルフクラブ
   ヘッドの製造方法。