JP2004290124A - 釣竿 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動ガイドがトップガイドに対して精度よく直線状に並ぶと共に、後方受座の凹凸条の欠損を防止して耐久性を向上させた釣竿を提供する。
【解決手段】トップガイドTGを有すると共に前細状の繊維強化樹脂製穂先竿10外周の長手方向複数箇所にガイド受座Z1,Z2,Z3を設け、該各ガイド受座外周部に、穂先竿の長手方向に指向し、一定ピッチ角度の多数の凹凸条を夫々設け、各受座の凹条であってトップガイド中心線に最も近い凹条の該平面に対する角度位置と凹凸のピッチ角度は夫々各受座同士で同じであり、各ガイド受座に装着される移動ガイドの装着筒内周には一定ピッチ角度の凹凸条が設けられており、該筒側の凹凸数は前記受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であり、筒側の凸条であって各移動ガイドのガイド中心線に最も近い凸条の該平面に対する角度位置と凹凸条のピッチ角度は、各移動ガイド同士で同じであるよう構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】トップガイドTGを有すると共に前細状の繊維強化樹脂製穂先竿10外周の長手方向複数箇所にガイド受座Z1,Z2,Z3を設け、該各ガイド受座外周部に、穂先竿の長手方向に指向し、一定ピッチ角度の多数の凹凸条を夫々設け、各受座の凹条であってトップガイド中心線に最も近い凹条の該平面に対する角度位置と凹凸のピッチ角度は夫々各受座同士で同じであり、各ガイド受座に装着される移動ガイドの装着筒内周には一定ピッチ角度の凹凸条が設けられており、該筒側の凹凸数は前記受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であり、筒側の凸条であって各移動ガイドのガイド中心線に最も近い凸条の該平面に対する角度位置と凹凸条のピッチ角度は、各移動ガイド同士で同じであるよう構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、穂先竿外側に移動ガイドを装着させるガイド受座を有する釣竿に関し、特に振出式釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
竿杆の所定位置に肉盛部を設け、この肉盛部を断面非円形に加工したり、長手方向に延伸した多数の凹凸条を設けたりして、移動ガイドの装着筒内周の断面非円形係合部を係合させたり、内周の凹凸条を係合させたりして、移動ガイドの回動を防止すると共に、その位置に保持固定している。そうした例が、下記特許文献1や2に開示されている。また、下記特許文献3には、移動ガイドの円周方向位置決めのための目印を設けた釣竿が開示されている。
【特許文献1】
実用新案登録第2147400号公報
【特許文献2】
実公平4−41830号公報
【特許文献3】
実開昭64−34966号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、特許文献1に開示の係合構造では、竿杆に移動ガイドを装着してトップガイドと一直線状に並べようとした場合、例え特許文献3に開示のような目印を設けたとしても、必ずしも一直線には並べられず、仕掛けの投擲等において、釣糸の繰り出しの抵抗を最小にした円滑な投擲が行われ得ない。即ち、移動ガイドの装着筒内周部に設けた凹凸条は、各移動ガイドの中心線に対する角度位置が必ずしも定まってはおらず、凹凸の1ピッチの範囲内で変動し得る。また、各移動ガイドの中心線に対する角度位置が定まって一定である場合でも、該凹凸の角度位置と、竿杆取付座の断面非円形形状との角度位置関係までが定まっているわけではないので、必ずしも精度良く一直線に並ぶとは限らない。
また、特許文献2に開示の形態では、肉盛部側凹凸条のピッチと装着筒側凹凸条のピッチとが異なるため、凹凸条の一部しか噛み合わず、移動ガイドが回動しようとする大きな力を受けた際に、凸条部が欠損する虞がある。更には、竿は後方程大径で高剛性であって撓み難い。従って、移動ガイドが装着されたガイド受座には、釣糸を介して移動ガイドが竿に対して回動しようとするため、後方位置の受座程大きな剪断力(もぎ取り力)が作用し、耐久性に問題がある。
【0004】
依って本発明は、穂先竿の長手方向複数箇所にガイド受座を設ける釣竿の場合に、移動ガイドがトップガイドに対して精度よく直線状に並ぶと共に、後方受座の凹凸条の欠損を防止して耐久性を向上させた釣竿の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明の請求項1では、トップガイドを有すると共に前細状の繊維強化樹脂製穂先竿外周の長手方向複数箇所にガイド受座を設け、該各ガイド受座外周部に、穂先竿の長手方向に指向し、一定ピッチ角度の多数の凹凸条を夫々設け、各受座の凹条であって、トップガイド中心と穂先竿中心軸線とを含む平面に最も近い凹条の該平面に対する角度位置と凹凸のピッチ角度は夫々各受座同士で同じであり、各ガイド受座に装着される移動ガイドの装着筒内周には一定ピッチ角度の凹凸条が設けられており、該筒側の凹凸数は前記受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であり、筒側の凸条であって、各移動ガイドのガイドリング中心と筒中心軸線とを含む平面に最も近い凸条の該平面に対する角度位置と凹凸条のピッチ角度は、各移動ガイド同士で同じであることを特徴とする釣竿を提供する。上記所定の凹条と凸条は、逆に、所定の凸条と凹条に置き換えて表現してもよい。
【0006】
凹凸のピッチ角度が夫々各受座同士で同じであるため、各受座の凹凸条の数が同じであり、しかも、一定ピッチ角度であって、穂先竿は前細状のため、凹条(又は凸条)間の円周方向距離間隔は、後方位置の受座程大きい。従って、移動ガイドから受ける剪断力の大きな後方程広い距離間隔の凹凸条となるため、耐久性が向上する。更には、上述の所定の凹条の角度位置が各受座同士で同じであるため、一定ピッチ角度であることを考慮すれば、各受座において穂先竿外周の同一角度位置に凹条又は凸条が位置することになる。これと合わせ、筒側の、上述の所定の凸条の角度位置が各移動ガイド同士で同じであるため、該凸条が前記凹条に対面するように移動ガイドをガイド受座に装着係合させると、トップガイドに対して精度よく直線状に揃う。また、筒側の凹凸数は受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であるため、受座側の全凸条が筒側の凹条に装着係合可能である。
【0007】
請求項2では、前記受座側凹凸条の頂部から谷部までの溝深さが、円周方向において概ね一定であると共に、長手方向の所定長さにおいて概ね一定である請求項1記載の釣竿を提供する。
概ね一定とは、大部分の溝が±0.05mm以内の変動をいう。好ましくは、±0.03mm以内の変動をいう。
溝深さがガイド受座の円周方向において概ね一定であるため、ガイド受座の肉厚は、その一定の深さに所定量の厚さを残すだけの薄さに設定でき、釣竿の軽量化と撓み性阻害防止に寄与する。また、長手方向の所定長さにおいても概ね一定であるため、移動ガイドの装着筒部を挿入した場合に、所定量の食い込み係合感が十分に生じ、ガイド受座の所定位置に確実に回り止め装着できる。
【0008】
請求項3では、前記筒側凹凸数は受座側凹凸数と同一である請求項1又は2記載の釣竿を提供する。
この場合、装着係合に際して互いの凸条と凹条が全て係合しあい、均等な負荷が作用するため、凹凸条の耐久性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る外ガイド式釣竿の先部の側面図である。この形態例では、元竿(図示せず)と中竿12と穂先竿10の3本を振出式に継ぎ合わせた振出式の釣竿であるが、並継式等であってもよい。各竿杆は、エポキシ樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維等の強化繊維で強化した繊維強化樹脂製竿杆であり、振出式であるため、元竿、中竿は中空管であるが、穂先竿10は中空管でも中実杆でもよい。穂先竿にはトップガイドTGが固定されており、この例では、穂先竿の長手方向3箇所の外周にガイド受座Z1,Z2,Z3が設けられている。更には、中竿12には2箇所に図示しないガイド受座が設けられている。
【0010】
ガイド受座は繊維強化樹脂や合成樹脂等によって、竿杆と一体的に形成する。これら各ガイド受座には、夫々、移動ガイドYG1,YG2,YG3が装着可能である。また、図示しない2個の移動ガイドも存在している。既述の如く、振出式であるため、穂先竿についていえば、最後尾のガイド受座Z3に装着される移動ガイドYG3は、その前側のガイド受座Z2,Z1を通過でき、移動ガイドYG2もガイド受座Z1を通過でき、収納時には各移動ガイドはトップガイドTGの近くに集められる。
【0011】
図2(a)(b)(c)は、夫々ガイド受座Z1,Z2,Z3部位の部分拡大横断面図である。トップガイドTGの中心(図示せず)と、穂先竿10の中心軸線CL(図4)とを含む平面Hに最も近い受座Z1の凹条OJ1Sは、この形態例では、該平面H上に位置しており、他の受座Z2,Z3の平面Hに最も近い凹条OJ2S,OJ3Sも平面H上に位置しており、各受座同士で同じ角度位置である。しかし、平面Hに最も近い凹条は該平面H上でなくてもよく、受座同士で同じであればよい。以上は、凸条に置き換えて表現してもよい。また、各凹条OJ1,OJ2,OJ3のピッチ角度θも互いに同じであって、この形態例では12度である。凹条間は凸条TJ1,TJ2,TJ3になっている。
【0012】
上記の通りであるため、後方位置のガイド受座程、凹凸条の円周方向ピッチ距離が長くなっている。従って、凸条の裾野幅が大きくなり、移動ガイドを装着した場合に、後方受座の凹凸条の耐久性が向上する。図2に現われているように、ガイド受座の肉厚は後方位置の受座程厚く形成されているが、この厚さは任意であり、同じ厚さであってもよい。
【0013】
図3は代表として移動ガイドYG1の正面図を示す。他の移動ガイドも同様である。セラミックス等の硬質部材によるガイドリングR1と、合成樹脂や繊維強化樹脂製の装着筒T1は、金属や合成樹脂製のフレーム体F1によって上下に連結されている。装着筒内周には、装着筒の中心軸線TC1方向に指向した凸条TJ1’と凹条が一定のピッチ角度(この形態例では12度)で形成されている。この装着筒T1は外周所定位置に凸部TKが設けられており、フレーム体F1所定位置にはこれを受け入れる凹部FKが形成されている。
【0014】
この凸部と凹部の係合により、この凹凸条の凸条であって、ガイドリングR1の中心C1と装着筒T1の中心軸線TC1とを含む平面H’に最も近い凸条TJ1’Sは、該平面H’上に位置している。他の2つの移動ガイドYG2,YG3も同様である。しかし、平面H’に最も近い凸条は該平面上でなくてもよく、受座同士で同じ角度位置であればよい。以上は、凹条に置き換えて表現してもよい。
【0015】
上記移動ガイドYG1をガイド受座Z1に装着させる際に、筒側の所定の凸条TJ1’Sを、受座側の所定の凹条OJ1Sに対面させるような相対位置で行うと、図4の如くなり、移動ガイドは、上記平面H’が既述平面Hと一致する状態に装着される。即ち、移動ガイドYG1はトップガイドTGに対して直線状に並ぶ。他の移動ガイドも同様である。この形態例では、受座側凹凸条は30個づつ、筒側凹凸条も同数の30個づつであり、全てが係合しあって負荷が均等に作用し、凹凸条の耐久性が向上する。
【0016】
図5はガイド受座Z1近くの拡大縦断面図である。前細状の竿杆10の外周に設けた多数の凹凸条の凹条OJ1の底部厚さtは、前端から後端に亘って一定であってもよいが、後方程厚く設定してもよい。この例では、ほぼ前端の位置P1から後方位置P2に至るまでは、徐々に厚く形成し、その後、ほぼ後端P3に至るまで急テーパ状に厚く設定している。
【0017】
これにより、移動ガイドを後方に強く移動させ過ぎて、後方に抜けてしまうような不具合を防止している。また、凸条頂面と凹条底面との高低差(溝深さ)fは、位置P2とP3の間を除いてほぼ一定とし、位置P2からP3までは徐々に深さを0に近づけている。他のガイド受座も同様である。何れにしても、各ガイド受座は、穂先竿の中心軸線に対して、後方程凹凸条の凹条底面の高さが高くなるため、移動ガイドを後方に移動させれば押圧し合って保持できる。また、溝深さが長手方向の所定長さにおいて概ね一定であるため、移動ガイドの装着筒を挿入した場合に、所定量の食い込み係合感が十分に生じ、ガイド受座に確実に回り止め装着できる。
【0018】
ガイド受座の後端部に凹凸条を形成しない領域を設けているが、全ての領域に設けてもよい。また、ガイド受座の前端と後端の段差を小さくして移動ガイドの装着、移動を円滑にするために、合成樹脂や塗料によって傾斜部Z1’を設けてもよい。他のガイド受座も同様である。これは応力集中の防止にも役立つ。
【0019】
前記溝深さfを円周方向において一定にする方法を以下説明する。
繊維強化合成樹脂製竿杆の所定位置外側にガイド受座を一体化しており、該ガイド受座外周を所定精度の円形に加工する工程と、該円形のガイド受座外周を基準にしてガイド受座に長手方向に延伸する溝を加工する工程とを有して、所定ピッチの多数本の溝の深さを円周方向において概ね一定とする。
所定精度とは、加工されたガイド受座外周に外接する最小の外接円(半径R1)の中心で測ったガイド受座外周までの最小の長さ(半径)をR2とし、R1−R2=Δが、0.05mm以下、好ましくは0.03mm以下を意味する。
【0020】
円形状のガイド受座外周を基準にしてガイド受座に長手方向に延伸する溝を加工するとは、溝加工の際にはガイド受座をチャックで掴んだ状態や、ガイド受座を受け具で受けた状態で加工し、前者ではチャックの軸心とガイド受座の軸心とが一致する(即ち、チャックの中心軸心の空間位置は常に捕捉できている(典型的には一定の位置にある)ため、ガイド受座の軸心も常に同じ位置として捕捉できる(典型的には一定の位置にある))ことを狙うことであり、後者では受け具の受け面から割り出したガイド受座の軸心が常に捕捉できる(典型的には一定の位置にある)ことを狙うことである。
【0021】
円形状に加工されたガイド受座を回転させても、所定精度の円形外周が基準となるため、ガイド受座の軸心を不変に維持できる。従って、溝を加工すべき対象のガイド受座外周も、回転に拘わらず常に不変位置に維持できる。即ち、例えば、溝加工の前に計測等で決定したガイド受座外周面の高さ等の空間位置は、回転によっては常に一定に維持できる。従って、最初の溝の加工に際してガイド受座外周面から切り込んだ深さは、その後に回転させても、計測等を反復することなくそのまま維持でき、ガイド受座の円周方向において概ね深さを一定にした多数本の溝を容易に形成できる。
以上、異なる形態例において説明した各事項は、特に矛盾を生じない限り、互いに他の形態例にも適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、穂先竿の長手方向複数箇所にガイド受座を設ける釣竿の場合に、移動ガイドがトップガイドに対して精度よく直線状に並ぶと共に、後方受座の凹凸条の欠損を防止して耐久性を向上させた釣竿が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る釣竿先部の側面図である。
【図2】図2は、各ガイド受座の部分拡大横断面図である。
【図3】図3は、移動ガイドの正面図である。
【図4】図4は、図3の移動ガイドを装着した部位の横断面図である。
【図5】図5は、ガイド受座近くの拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10 穂先竿
T1,T2,T3 装着筒
YG1,YG2,YG3 移動ガイド
Z1,Z2,Z3 ガイド受座
【発明の属する技術分野】
本発明は、穂先竿外側に移動ガイドを装着させるガイド受座を有する釣竿に関し、特に振出式釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
竿杆の所定位置に肉盛部を設け、この肉盛部を断面非円形に加工したり、長手方向に延伸した多数の凹凸条を設けたりして、移動ガイドの装着筒内周の断面非円形係合部を係合させたり、内周の凹凸条を係合させたりして、移動ガイドの回動を防止すると共に、その位置に保持固定している。そうした例が、下記特許文献1や2に開示されている。また、下記特許文献3には、移動ガイドの円周方向位置決めのための目印を設けた釣竿が開示されている。
【特許文献1】
実用新案登録第2147400号公報
【特許文献2】
実公平4−41830号公報
【特許文献3】
実開昭64−34966号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、特許文献1に開示の係合構造では、竿杆に移動ガイドを装着してトップガイドと一直線状に並べようとした場合、例え特許文献3に開示のような目印を設けたとしても、必ずしも一直線には並べられず、仕掛けの投擲等において、釣糸の繰り出しの抵抗を最小にした円滑な投擲が行われ得ない。即ち、移動ガイドの装着筒内周部に設けた凹凸条は、各移動ガイドの中心線に対する角度位置が必ずしも定まってはおらず、凹凸の1ピッチの範囲内で変動し得る。また、各移動ガイドの中心線に対する角度位置が定まって一定である場合でも、該凹凸の角度位置と、竿杆取付座の断面非円形形状との角度位置関係までが定まっているわけではないので、必ずしも精度良く一直線に並ぶとは限らない。
また、特許文献2に開示の形態では、肉盛部側凹凸条のピッチと装着筒側凹凸条のピッチとが異なるため、凹凸条の一部しか噛み合わず、移動ガイドが回動しようとする大きな力を受けた際に、凸条部が欠損する虞がある。更には、竿は後方程大径で高剛性であって撓み難い。従って、移動ガイドが装着されたガイド受座には、釣糸を介して移動ガイドが竿に対して回動しようとするため、後方位置の受座程大きな剪断力(もぎ取り力)が作用し、耐久性に問題がある。
【0004】
依って本発明は、穂先竿の長手方向複数箇所にガイド受座を設ける釣竿の場合に、移動ガイドがトップガイドに対して精度よく直線状に並ぶと共に、後方受座の凹凸条の欠損を防止して耐久性を向上させた釣竿の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明の請求項1では、トップガイドを有すると共に前細状の繊維強化樹脂製穂先竿外周の長手方向複数箇所にガイド受座を設け、該各ガイド受座外周部に、穂先竿の長手方向に指向し、一定ピッチ角度の多数の凹凸条を夫々設け、各受座の凹条であって、トップガイド中心と穂先竿中心軸線とを含む平面に最も近い凹条の該平面に対する角度位置と凹凸のピッチ角度は夫々各受座同士で同じであり、各ガイド受座に装着される移動ガイドの装着筒内周には一定ピッチ角度の凹凸条が設けられており、該筒側の凹凸数は前記受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であり、筒側の凸条であって、各移動ガイドのガイドリング中心と筒中心軸線とを含む平面に最も近い凸条の該平面に対する角度位置と凹凸条のピッチ角度は、各移動ガイド同士で同じであることを特徴とする釣竿を提供する。上記所定の凹条と凸条は、逆に、所定の凸条と凹条に置き換えて表現してもよい。
【0006】
凹凸のピッチ角度が夫々各受座同士で同じであるため、各受座の凹凸条の数が同じであり、しかも、一定ピッチ角度であって、穂先竿は前細状のため、凹条(又は凸条)間の円周方向距離間隔は、後方位置の受座程大きい。従って、移動ガイドから受ける剪断力の大きな後方程広い距離間隔の凹凸条となるため、耐久性が向上する。更には、上述の所定の凹条の角度位置が各受座同士で同じであるため、一定ピッチ角度であることを考慮すれば、各受座において穂先竿外周の同一角度位置に凹条又は凸条が位置することになる。これと合わせ、筒側の、上述の所定の凸条の角度位置が各移動ガイド同士で同じであるため、該凸条が前記凹条に対面するように移動ガイドをガイド受座に装着係合させると、トップガイドに対して精度よく直線状に揃う。また、筒側の凹凸数は受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であるため、受座側の全凸条が筒側の凹条に装着係合可能である。
【0007】
請求項2では、前記受座側凹凸条の頂部から谷部までの溝深さが、円周方向において概ね一定であると共に、長手方向の所定長さにおいて概ね一定である請求項1記載の釣竿を提供する。
概ね一定とは、大部分の溝が±0.05mm以内の変動をいう。好ましくは、±0.03mm以内の変動をいう。
溝深さがガイド受座の円周方向において概ね一定であるため、ガイド受座の肉厚は、その一定の深さに所定量の厚さを残すだけの薄さに設定でき、釣竿の軽量化と撓み性阻害防止に寄与する。また、長手方向の所定長さにおいても概ね一定であるため、移動ガイドの装着筒部を挿入した場合に、所定量の食い込み係合感が十分に生じ、ガイド受座の所定位置に確実に回り止め装着できる。
【0008】
請求項3では、前記筒側凹凸数は受座側凹凸数と同一である請求項1又は2記載の釣竿を提供する。
この場合、装着係合に際して互いの凸条と凹条が全て係合しあい、均等な負荷が作用するため、凹凸条の耐久性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る外ガイド式釣竿の先部の側面図である。この形態例では、元竿(図示せず)と中竿12と穂先竿10の3本を振出式に継ぎ合わせた振出式の釣竿であるが、並継式等であってもよい。各竿杆は、エポキシ樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維等の強化繊維で強化した繊維強化樹脂製竿杆であり、振出式であるため、元竿、中竿は中空管であるが、穂先竿10は中空管でも中実杆でもよい。穂先竿にはトップガイドTGが固定されており、この例では、穂先竿の長手方向3箇所の外周にガイド受座Z1,Z2,Z3が設けられている。更には、中竿12には2箇所に図示しないガイド受座が設けられている。
【0010】
ガイド受座は繊維強化樹脂や合成樹脂等によって、竿杆と一体的に形成する。これら各ガイド受座には、夫々、移動ガイドYG1,YG2,YG3が装着可能である。また、図示しない2個の移動ガイドも存在している。既述の如く、振出式であるため、穂先竿についていえば、最後尾のガイド受座Z3に装着される移動ガイドYG3は、その前側のガイド受座Z2,Z1を通過でき、移動ガイドYG2もガイド受座Z1を通過でき、収納時には各移動ガイドはトップガイドTGの近くに集められる。
【0011】
図2(a)(b)(c)は、夫々ガイド受座Z1,Z2,Z3部位の部分拡大横断面図である。トップガイドTGの中心(図示せず)と、穂先竿10の中心軸線CL(図4)とを含む平面Hに最も近い受座Z1の凹条OJ1Sは、この形態例では、該平面H上に位置しており、他の受座Z2,Z3の平面Hに最も近い凹条OJ2S,OJ3Sも平面H上に位置しており、各受座同士で同じ角度位置である。しかし、平面Hに最も近い凹条は該平面H上でなくてもよく、受座同士で同じであればよい。以上は、凸条に置き換えて表現してもよい。また、各凹条OJ1,OJ2,OJ3のピッチ角度θも互いに同じであって、この形態例では12度である。凹条間は凸条TJ1,TJ2,TJ3になっている。
【0012】
上記の通りであるため、後方位置のガイド受座程、凹凸条の円周方向ピッチ距離が長くなっている。従って、凸条の裾野幅が大きくなり、移動ガイドを装着した場合に、後方受座の凹凸条の耐久性が向上する。図2に現われているように、ガイド受座の肉厚は後方位置の受座程厚く形成されているが、この厚さは任意であり、同じ厚さであってもよい。
【0013】
図3は代表として移動ガイドYG1の正面図を示す。他の移動ガイドも同様である。セラミックス等の硬質部材によるガイドリングR1と、合成樹脂や繊維強化樹脂製の装着筒T1は、金属や合成樹脂製のフレーム体F1によって上下に連結されている。装着筒内周には、装着筒の中心軸線TC1方向に指向した凸条TJ1’と凹条が一定のピッチ角度(この形態例では12度)で形成されている。この装着筒T1は外周所定位置に凸部TKが設けられており、フレーム体F1所定位置にはこれを受け入れる凹部FKが形成されている。
【0014】
この凸部と凹部の係合により、この凹凸条の凸条であって、ガイドリングR1の中心C1と装着筒T1の中心軸線TC1とを含む平面H’に最も近い凸条TJ1’Sは、該平面H’上に位置している。他の2つの移動ガイドYG2,YG3も同様である。しかし、平面H’に最も近い凸条は該平面上でなくてもよく、受座同士で同じ角度位置であればよい。以上は、凹条に置き換えて表現してもよい。
【0015】
上記移動ガイドYG1をガイド受座Z1に装着させる際に、筒側の所定の凸条TJ1’Sを、受座側の所定の凹条OJ1Sに対面させるような相対位置で行うと、図4の如くなり、移動ガイドは、上記平面H’が既述平面Hと一致する状態に装着される。即ち、移動ガイドYG1はトップガイドTGに対して直線状に並ぶ。他の移動ガイドも同様である。この形態例では、受座側凹凸条は30個づつ、筒側凹凸条も同数の30個づつであり、全てが係合しあって負荷が均等に作用し、凹凸条の耐久性が向上する。
【0016】
図5はガイド受座Z1近くの拡大縦断面図である。前細状の竿杆10の外周に設けた多数の凹凸条の凹条OJ1の底部厚さtは、前端から後端に亘って一定であってもよいが、後方程厚く設定してもよい。この例では、ほぼ前端の位置P1から後方位置P2に至るまでは、徐々に厚く形成し、その後、ほぼ後端P3に至るまで急テーパ状に厚く設定している。
【0017】
これにより、移動ガイドを後方に強く移動させ過ぎて、後方に抜けてしまうような不具合を防止している。また、凸条頂面と凹条底面との高低差(溝深さ)fは、位置P2とP3の間を除いてほぼ一定とし、位置P2からP3までは徐々に深さを0に近づけている。他のガイド受座も同様である。何れにしても、各ガイド受座は、穂先竿の中心軸線に対して、後方程凹凸条の凹条底面の高さが高くなるため、移動ガイドを後方に移動させれば押圧し合って保持できる。また、溝深さが長手方向の所定長さにおいて概ね一定であるため、移動ガイドの装着筒を挿入した場合に、所定量の食い込み係合感が十分に生じ、ガイド受座に確実に回り止め装着できる。
【0018】
ガイド受座の後端部に凹凸条を形成しない領域を設けているが、全ての領域に設けてもよい。また、ガイド受座の前端と後端の段差を小さくして移動ガイドの装着、移動を円滑にするために、合成樹脂や塗料によって傾斜部Z1’を設けてもよい。他のガイド受座も同様である。これは応力集中の防止にも役立つ。
【0019】
前記溝深さfを円周方向において一定にする方法を以下説明する。
繊維強化合成樹脂製竿杆の所定位置外側にガイド受座を一体化しており、該ガイド受座外周を所定精度の円形に加工する工程と、該円形のガイド受座外周を基準にしてガイド受座に長手方向に延伸する溝を加工する工程とを有して、所定ピッチの多数本の溝の深さを円周方向において概ね一定とする。
所定精度とは、加工されたガイド受座外周に外接する最小の外接円(半径R1)の中心で測ったガイド受座外周までの最小の長さ(半径)をR2とし、R1−R2=Δが、0.05mm以下、好ましくは0.03mm以下を意味する。
【0020】
円形状のガイド受座外周を基準にしてガイド受座に長手方向に延伸する溝を加工するとは、溝加工の際にはガイド受座をチャックで掴んだ状態や、ガイド受座を受け具で受けた状態で加工し、前者ではチャックの軸心とガイド受座の軸心とが一致する(即ち、チャックの中心軸心の空間位置は常に捕捉できている(典型的には一定の位置にある)ため、ガイド受座の軸心も常に同じ位置として捕捉できる(典型的には一定の位置にある))ことを狙うことであり、後者では受け具の受け面から割り出したガイド受座の軸心が常に捕捉できる(典型的には一定の位置にある)ことを狙うことである。
【0021】
円形状に加工されたガイド受座を回転させても、所定精度の円形外周が基準となるため、ガイド受座の軸心を不変に維持できる。従って、溝を加工すべき対象のガイド受座外周も、回転に拘わらず常に不変位置に維持できる。即ち、例えば、溝加工の前に計測等で決定したガイド受座外周面の高さ等の空間位置は、回転によっては常に一定に維持できる。従って、最初の溝の加工に際してガイド受座外周面から切り込んだ深さは、その後に回転させても、計測等を反復することなくそのまま維持でき、ガイド受座の円周方向において概ね深さを一定にした多数本の溝を容易に形成できる。
以上、異なる形態例において説明した各事項は、特に矛盾を生じない限り、互いに他の形態例にも適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、穂先竿の長手方向複数箇所にガイド受座を設ける釣竿の場合に、移動ガイドがトップガイドに対して精度よく直線状に並ぶと共に、後方受座の凹凸条の欠損を防止して耐久性を向上させた釣竿が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る釣竿先部の側面図である。
【図2】図2は、各ガイド受座の部分拡大横断面図である。
【図3】図3は、移動ガイドの正面図である。
【図4】図4は、図3の移動ガイドを装着した部位の横断面図である。
【図5】図5は、ガイド受座近くの拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10 穂先竿
T1,T2,T3 装着筒
YG1,YG2,YG3 移動ガイド
Z1,Z2,Z3 ガイド受座
Claims (3)
- トップガイドを有すると共に前細状の繊維強化樹脂製穂先竿外周の長手方向複数箇所にガイド受座を設け、該各ガイド受座外周部に、穂先竿の長手方向に指向し、一定ピッチ角度の多数の凹凸条を夫々設け、各受座の凹条であって、トップガイド中心と穂先竿中心軸線とを含む平面に最も近い凹条の該平面に対する角度位置と凹凸のピッチ角度は夫々各受座同士で同じであり、
各ガイド受座に装着される移動ガイドの装着筒内周には一定ピッチ角度の凹凸条が設けられており、該筒側の凹凸数は前記受座側の凹凸数と同一を含む整数倍であり、筒側の凸条であって、各移動ガイドのガイドリング中心と筒中心軸線とを含む平面に最も近い凸条の該平面に対する角度位置と凹凸条のピッチ角度は、各移動ガイド同士で同じである
ことを特徴とする釣竿。 - 前記受座側凹凸条の頂部から谷部までの溝深さが、円周方向において概ね一定であると共に、長手方向の所定長さにおいて概ね一定である請求項1記載の釣竿。
- 前記筒側凹凸数は受座側凹凸数と同一である請求項1又は2記載の釣竿。
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- 2003-03-28 JP JP2003089548A patent/JP2004290124A/ja not_active Abandoned
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