JP2004290035A - スプレッド基剤及びスプレッドの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温で適当な可塑性を有し、高温においても液体状の油脂が分離せず、また低温においても硬くなりすぎず、口融けの良いスプレッド基剤及びスプレッドを提供する。
【解決手段】常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤で、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃の範囲に急冷して結晶化させるスプレッド基剤の製造法、及び呈味剤の使用量がスプレッドに対して0.01重量%から30重量%であるスプレッドの製造法である。
【選択図】なし
【解決手段】常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤で、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃の範囲に急冷して結晶化させるスプレッド基剤の製造法、及び呈味剤の使用量がスプレッドに対して0.01重量%から30重量%であるスプレッドの製造法である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスプレッド基剤及びスプレッドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可塑性を有した油脂組成物または油中水型乳化組成物のうちフィリングとして用いられるものを一般にスプレッドといい、ショートニング、マーガリンなどがこれに含まれる。ショートニング、マーガリンは一般に油脂組成物を完全に融解後、急冷、練り合わせて製造される。これらの製造に用いられる油脂組成物は幅広い温度帯で可塑性を持たせる為に、常温で固体状の油脂と常温で液体状の油脂を組み合わせているものが多い。
【0003】
このような常温で固体状の油脂と常温で液体状の油脂を組み合わせた油脂組成物から製造されるスプレッドは幅広い温度帯で可塑性をもち、且つ幅広い温度帯で固体状の油脂と液体状の油脂が分離しない事が求められている。また、固体状の油脂として硬化油脂などを用いる場合、例えば体温より融点の高い油脂では、口融けが悪化する問題がある。フィリングとして用いられるマーガリンは水分を含んでいるため低温で保存、流通する必要があり、常温流通させるには不向きである。
【0004】
ショートニングはパンやビスケットなどに練り込むことにより脆さ、砕けやすさを持たせる用途で用いられるほか、呈味剤を混合してフィリングとしても用いられているが、ショートニングに呈味剤を混合する方法として、油脂組成物を融解させた中に呈味剤を分散させ、急冷、練り合わせることにより製造する方法が提案されている(特開平3−292858)。しかしながら、この方法によると油脂組成物を完全に融解させるため高温にする必要があり、高温で変性してしまう呈味剤には適しているとは言い難い。
【0005】
また、最近のマーガリン・ショートニング市場のニーズは少量多品種の傾向があり、油脂組成物を完全に融解させて呈味剤と混合する製造法では、急冷、練り合わせという製造行程中に呈味剤が混入し、製造ライン中に呈味剤が残存する問題が生じてしまう。また、ショートニングを調温することにより、溶解せずに呈味剤と混合する方法(特開平10−276672)が提案されているが、風味剤を添加した後ホイップする必要があり、簡便性に欠ける。
【0006】
また、特開2000−228949では可塑性容器に充填した常温流通可能な油脂食品が提案されているが、上昇融点が20℃以下である低融点油脂と上昇融点が40℃以上である高融点油脂からなる油脂組成物を溶解後急冷した場合、油脂組成によって、または冷却条件によっては硬くなりすぎたり、高温で液体状の油脂の分離が起こる可能性が高い。本発明は常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油からなり、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドに幅広い温度域での可塑性の保持、高温下での液体状の油脂の分離の抑制機能を見出したものであり、前記公報とは異なるものである。
【0007】
常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸からなる油脂組成物として、バッター液用油脂組成物(特開平10−248487)、風味付け用ショートニング(特開2001−8619)、コーティング用油脂組成物(2002−47500)、流動状油脂組成物(特開2002−95411)などがあるが、スプレッド用途ではなく本発明とは異なる。スプレッド用途で上記油脂組成を満たすものは発明されていない。
【0008】
【特許文献1】特開平03−292858号公報
【特許文献2】特開平10−276672号公報
【特許文献3】特開2000−228949号公報
【特許文献4】特開平10−248487号公報
【特許文献5】特開2001−8619号公報
【特許文献6】特開2002−47500号公報
【特許文献7】特開2002−95411号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、油脂組成物を融解することなく呈味剤を混合し、且つ幅広い温度帯で可塑性を有し、低温域でも柔らかく、高温域でも固体状の油脂と液体状の油脂が分離しない、口融けの良いスプレッド基剤及びスプレッドを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、口融けが良く、幅広い温度帯で適度な可塑性を有し、低温でも硬くなりすぎず高温でも液体油脂が分離しないスプレッド基剤、及びスプレッド基剤を融解することなく呈味剤を混合して、スプレッドを製造できる事を見出し、本研究を完成させた。
【0011】
すなわち、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤で、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃の範囲に急冷して結晶化させるスプレッド基剤の製造法、及び呈味剤の使用量がスプレッドに対して0.01重量%から30重量%であるスプレッドの製造法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のスプレッド基剤とは、風味を有したスプレッドを製造する目的で呈味剤を加える事が出来る可塑性を有した油脂組成物のことを言う。本発明の言う飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドは、トリグリセリドに含まれる脂肪酸が実質的に全て飽和脂肪酸であり、そのうちベヘン酸を30%以上含有している油脂のことを言う。例えば、高エルシン酸菜種油の不飽和脂肪酸を全部水素添加処理した極度硬化油がこれに含まれるが上記条件を満たすものであれば、硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂でも良い。
【0013】
本発明のスプレッド基剤は、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリグリセリドと常温で液体状の油脂からなるが、飽和脂肪酸中のベヘン酸含量が30%未満の場合、結晶量が充分でなく、液体状の油脂が分離し、スプレッド基剤としての価値を失う。
【0014】
本発明で言う常温は20℃程度の室温を意味しており、20℃に保存しても液状である油脂で、多少結晶があっても構わない。例えば、高エルシン酸菜種油、低エルシン酸菜種油、大豆油、米糠油、コーン油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、などが挙げられるが、上記条件を満たすものであれば、硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂でもよく、多少結晶があってもよい。
【0015】
本発明のスプレッド基剤は、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリグリセリドと常温で液体状の油脂からなるが、常温で液体状でない油脂を用いた場合、低温域で硬くなりすぎて充分な可塑性が得られない場合がある。冷蔵庫から取り出し、直ちに塗布できることを考えると、10℃でのSFCが10以下である油脂を用いるのが好ましい。
【0016】
飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリド10〜20部に対して、10℃でのSFCが10以下である油脂を90〜80部加配してなるが、10℃でのSFCが10以下である油脂が80部未満の場合は、製造したスプレッド基剤の口融け悪化が見られる。また、10℃でのSFCが10以下である油脂が90部を超える場合は、液体状の油脂が分離する傾向がある。
【0017】
本発明のスプレッド基剤は、常温で液体状の油脂と飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃に攪拌しながら冷却して結晶化することで製造できる。冷却条件は、急冷条件で行う。徐冷条件で冷却すると、トリ飽和脂肪酸トリグリセリドの結晶が粗大化し、固液分離を起こし、スプレッドとしての機能が発揮されなくなる。急冷条件としては、例えば水温15℃以下の水槽中で冷却するなどである。冷却させる温度は油脂組成物中の飽和脂肪酸中ベヘン酸を30重量%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの含有量に依存し、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30重量%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの含有量が多くなるほど高い温度で結晶化させることが好ましい。結晶化させる温度が低すぎると固くなりスプレッド性を失う傾向がある。結晶化させる温度が高すぎると結晶量が充分でなく、液体状の油脂が分離する傾向がある。37℃から48℃で結晶化させることにより高融点結晶が生成し、後に生成する低融点結晶と共晶状態にあることにより本発明のスプレッド基剤は高温でも液体状の油脂が分離せず、低温でも硬くなり過ぎず、本発明の効果を発揮することができる。
【0018】
本発明のスプレッド基剤は、それ自身を融解することなく呈味剤と混合することができる。本発明の言う呈味剤とは、全脂粉乳、脱脂粉乳、ココア、チョコレート、食塩等で、水溶性、油溶性、乳化物、液体状、ペースト状、粉体、固形などの性状をもち、味を加える目的で加えるものを言う。呈味剤はその性状によっては、そのまま混合することも可能であるが、粉体などの場合は、均一に分散させるため呈味剤を食用油脂中に一度分散させてから混合してもよい。ここでいう食用油脂とは、例えば菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ脂、パーム核油等の植物性油脂、牛脂、豚脂等の動物性油脂、魚油、並びに、それらの油脂の硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂のことを言うが、望ましくは体温付近の融点を持つ油脂を使用することが好ましい。融点が高すぎる場合は口溶けが悪くなる恐れがある。
【0019】
また、呈味剤の融点が低すぎる場合は液体状の油脂が分離する可能性がある。呈味剤を均一に混合する目的であるのでペースト状にするのが好ましい。また、呈味剤が粉体である場合の粒度は適当な大きさに調整した方が好ましい。粒度を30μm以下にすることでざらつき感はなくなるが、呈味剤によってはざらつき感があった方が良い場合もあり、適宜選択すると良い。混合する呈味剤の量はスプレッド性の保持、液体状の油脂の分離を抑制するために0.01重量%から30重量%であるのが好ましい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。以下、表中の油脂配合については特に記載の無い限り、重量部で示す。また、本文中の部は特に記載の無い限り全て重量部をあらわす。本発明に記載する融点とは特に記載の無い限り上昇融点をあらわす。
【0021】
<実施例1、比較例1〜4>表1に示す配合で油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で一晩固化させてスプレッド基剤を作製した。用いた極度硬化油の飽和脂肪酸中のベヘン酸含量を表中に示した。用いた硬化菜種油(融点10℃)の10℃のSFCは4.0であった。これらについて5℃で13日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で13日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例1は液体状の油脂の分離は見られず良好であったが、比較例1〜4は数点の温度で保存後、液体状の油脂が分離し不良であった。そのうえ、比較例1では軟らかすぎて、比較例4では硬すぎてスプレッド性も不良であった。
【0022】
【0023】
<実施例2〜4>表2に示す配合の油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。用いた極度硬化菜種油、硬化菜種油(融点10℃)は実施例1と同じ物である。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。また、スプレッド基剤を試食し、口融けを官能評価した。実施例1〜3では5℃で2日間保存後のスプレッド性は良好であり、50℃で6日間保存後に液体状の油脂の分離も見られなかった。また、口融けも良好であった。
【0024】
<比較例5〜9>表2に示す配合で油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。比較例5〜6においては硬化菜種油(融点10℃)、比較例7〜9においては硬化菜種油(融点10℃)と硬化菜種油(融点35℃)の混合油の10℃でのSFCは表中に示した。これらについて実施例2から4と同様にスプレッド性、液体状の油脂の分離、口融けを評価した。比較例6は口融けが不良であった。比較例7〜9は5℃で2日間保存、硬くなりすぎて不良であった。
【0025】
【0026】
<実施例5〜6、比較例10〜12>硬化菜種油(融点10℃)90部、極度硬化高エルシン酸菜種油10部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に溶解させた後15℃の水槽にて表3に示す温度にまで攪拌しながら冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。これらについて20℃で2日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は20℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で2日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例5、6とも20℃で2日間保存後のスプレッド性は良好であり、50℃で2日間保存後の液体状の油脂の分離もなかった。比較例10では35℃まで冷却すること自体で、油脂が固化してしまい攪拌することも出来ず、またその後の作業も出来なかった。(20℃で2日間保存後、硬くなりすぎてスプレッド性は不良であった。)比較例11、12では50℃で2日間保存後液体状の油脂の分離が見られ不良であった。
【0027】
【0028】
<実施例7〜8、比較例13>硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし、スプレッド基剤を作成した。表4に示したような配合でスプレッドを作製した。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点35℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を表4に示した配合でスプレッド基剤を溶解せずに攪拌混合した。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。
【0029】
【0030】
<実施例9〜10、比較例14>硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし、スプレッド基剤を作成した。表4に示したような配合でスプレッドを作製した。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点10℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を表4に示した配合でスプレッド基剤を溶解せずに攪拌混合した。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。
【0031】
【0032】
<実施例11、比較例15〜17>表6に示したような配合、条件でスプレッドを作製した。スプレッド基剤は硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし作製した。油脂組成物は硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなり、60℃以上で融解後用いた。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点35℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤は融解せず、または60℃以上で融解させて用いた。スプレッド基剤を融解させたもの及び油脂組成物を用いたものは自然冷却、または、15℃水槽にて冷却した。自然冷却はスプレッド基剤、及び/または、油脂組成物、脱脂粉乳ペースト、食塩を60℃で攪拌混合後、室温(20℃)に攪拌せずに放置し、固化後2日間室温(20℃)でエージングした。15℃水槽で冷却する場合は、スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を60℃で攪拌混合後、15℃水槽にてホモミキサーで攪拌しながら冷却し、品温が42℃になったら水槽から取り出し、攪拌せずに室温(20℃)に放置し、固化後2日間室温(20℃)でエージングした。これらについて20℃で10日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は20℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、20℃で10日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例11では液体状の油脂の分離は見られず良好であった。比較例15〜17はいずれも液体状の油脂が分離し不良であった。
【0033】
【0034】
【発明の効果】実施例で示したように本発明で得られたスプレッド基剤およびスプレッドは口融けがよく、幅広い温度帯で適当な可塑性を有し、低い温度でも硬くなりすぎず、高い温度でも液体状の油脂が分離しないため常温流通することができる。また、融解することなく呈味剤と混合できるため、簡単な製造法で少量多品種なスプレッドを提供できる事が可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明はスプレッド基剤及びスプレッドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可塑性を有した油脂組成物または油中水型乳化組成物のうちフィリングとして用いられるものを一般にスプレッドといい、ショートニング、マーガリンなどがこれに含まれる。ショートニング、マーガリンは一般に油脂組成物を完全に融解後、急冷、練り合わせて製造される。これらの製造に用いられる油脂組成物は幅広い温度帯で可塑性を持たせる為に、常温で固体状の油脂と常温で液体状の油脂を組み合わせているものが多い。
【0003】
このような常温で固体状の油脂と常温で液体状の油脂を組み合わせた油脂組成物から製造されるスプレッドは幅広い温度帯で可塑性をもち、且つ幅広い温度帯で固体状の油脂と液体状の油脂が分離しない事が求められている。また、固体状の油脂として硬化油脂などを用いる場合、例えば体温より融点の高い油脂では、口融けが悪化する問題がある。フィリングとして用いられるマーガリンは水分を含んでいるため低温で保存、流通する必要があり、常温流通させるには不向きである。
【0004】
ショートニングはパンやビスケットなどに練り込むことにより脆さ、砕けやすさを持たせる用途で用いられるほか、呈味剤を混合してフィリングとしても用いられているが、ショートニングに呈味剤を混合する方法として、油脂組成物を融解させた中に呈味剤を分散させ、急冷、練り合わせることにより製造する方法が提案されている(特開平3−292858)。しかしながら、この方法によると油脂組成物を完全に融解させるため高温にする必要があり、高温で変性してしまう呈味剤には適しているとは言い難い。
【0005】
また、最近のマーガリン・ショートニング市場のニーズは少量多品種の傾向があり、油脂組成物を完全に融解させて呈味剤と混合する製造法では、急冷、練り合わせという製造行程中に呈味剤が混入し、製造ライン中に呈味剤が残存する問題が生じてしまう。また、ショートニングを調温することにより、溶解せずに呈味剤と混合する方法(特開平10−276672)が提案されているが、風味剤を添加した後ホイップする必要があり、簡便性に欠ける。
【0006】
また、特開2000−228949では可塑性容器に充填した常温流通可能な油脂食品が提案されているが、上昇融点が20℃以下である低融点油脂と上昇融点が40℃以上である高融点油脂からなる油脂組成物を溶解後急冷した場合、油脂組成によって、または冷却条件によっては硬くなりすぎたり、高温で液体状の油脂の分離が起こる可能性が高い。本発明は常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油からなり、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドに幅広い温度域での可塑性の保持、高温下での液体状の油脂の分離の抑制機能を見出したものであり、前記公報とは異なるものである。
【0007】
常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸からなる油脂組成物として、バッター液用油脂組成物(特開平10−248487)、風味付け用ショートニング(特開2001−8619)、コーティング用油脂組成物(2002−47500)、流動状油脂組成物(特開2002−95411)などがあるが、スプレッド用途ではなく本発明とは異なる。スプレッド用途で上記油脂組成を満たすものは発明されていない。
【0008】
【特許文献1】特開平03−292858号公報
【特許文献2】特開平10−276672号公報
【特許文献3】特開2000−228949号公報
【特許文献4】特開平10−248487号公報
【特許文献5】特開2001−8619号公報
【特許文献6】特開2002−47500号公報
【特許文献7】特開2002−95411号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、油脂組成物を融解することなく呈味剤を混合し、且つ幅広い温度帯で可塑性を有し、低温域でも柔らかく、高温域でも固体状の油脂と液体状の油脂が分離しない、口融けの良いスプレッド基剤及びスプレッドを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、口融けが良く、幅広い温度帯で適度な可塑性を有し、低温でも硬くなりすぎず高温でも液体油脂が分離しないスプレッド基剤、及びスプレッド基剤を融解することなく呈味剤を混合して、スプレッドを製造できる事を見出し、本研究を完成させた。
【0011】
すなわち、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤で、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃の範囲に急冷して結晶化させるスプレッド基剤の製造法、及び呈味剤の使用量がスプレッドに対して0.01重量%から30重量%であるスプレッドの製造法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のスプレッド基剤とは、風味を有したスプレッドを製造する目的で呈味剤を加える事が出来る可塑性を有した油脂組成物のことを言う。本発明の言う飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドは、トリグリセリドに含まれる脂肪酸が実質的に全て飽和脂肪酸であり、そのうちベヘン酸を30%以上含有している油脂のことを言う。例えば、高エルシン酸菜種油の不飽和脂肪酸を全部水素添加処理した極度硬化油がこれに含まれるが上記条件を満たすものであれば、硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂でも良い。
【0013】
本発明のスプレッド基剤は、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリグリセリドと常温で液体状の油脂からなるが、飽和脂肪酸中のベヘン酸含量が30%未満の場合、結晶量が充分でなく、液体状の油脂が分離し、スプレッド基剤としての価値を失う。
【0014】
本発明で言う常温は20℃程度の室温を意味しており、20℃に保存しても液状である油脂で、多少結晶があっても構わない。例えば、高エルシン酸菜種油、低エルシン酸菜種油、大豆油、米糠油、コーン油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、などが挙げられるが、上記条件を満たすものであれば、硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂でもよく、多少結晶があってもよい。
【0015】
本発明のスプレッド基剤は、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリグリセリドと常温で液体状の油脂からなるが、常温で液体状でない油脂を用いた場合、低温域で硬くなりすぎて充分な可塑性が得られない場合がある。冷蔵庫から取り出し、直ちに塗布できることを考えると、10℃でのSFCが10以下である油脂を用いるのが好ましい。
【0016】
飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリド10〜20部に対して、10℃でのSFCが10以下である油脂を90〜80部加配してなるが、10℃でのSFCが10以下である油脂が80部未満の場合は、製造したスプレッド基剤の口融け悪化が見られる。また、10℃でのSFCが10以下である油脂が90部を超える場合は、液体状の油脂が分離する傾向がある。
【0017】
本発明のスプレッド基剤は、常温で液体状の油脂と飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃に攪拌しながら冷却して結晶化することで製造できる。冷却条件は、急冷条件で行う。徐冷条件で冷却すると、トリ飽和脂肪酸トリグリセリドの結晶が粗大化し、固液分離を起こし、スプレッドとしての機能が発揮されなくなる。急冷条件としては、例えば水温15℃以下の水槽中で冷却するなどである。冷却させる温度は油脂組成物中の飽和脂肪酸中ベヘン酸を30重量%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの含有量に依存し、飽和脂肪酸中ベヘン酸を30重量%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリドの含有量が多くなるほど高い温度で結晶化させることが好ましい。結晶化させる温度が低すぎると固くなりスプレッド性を失う傾向がある。結晶化させる温度が高すぎると結晶量が充分でなく、液体状の油脂が分離する傾向がある。37℃から48℃で結晶化させることにより高融点結晶が生成し、後に生成する低融点結晶と共晶状態にあることにより本発明のスプレッド基剤は高温でも液体状の油脂が分離せず、低温でも硬くなり過ぎず、本発明の効果を発揮することができる。
【0018】
本発明のスプレッド基剤は、それ自身を融解することなく呈味剤と混合することができる。本発明の言う呈味剤とは、全脂粉乳、脱脂粉乳、ココア、チョコレート、食塩等で、水溶性、油溶性、乳化物、液体状、ペースト状、粉体、固形などの性状をもち、味を加える目的で加えるものを言う。呈味剤はその性状によっては、そのまま混合することも可能であるが、粉体などの場合は、均一に分散させるため呈味剤を食用油脂中に一度分散させてから混合してもよい。ここでいう食用油脂とは、例えば菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ脂、パーム核油等の植物性油脂、牛脂、豚脂等の動物性油脂、魚油、並びに、それらの油脂の硬化、分別、エステル交換などを単独または複数組み合わせて加工した油脂のことを言うが、望ましくは体温付近の融点を持つ油脂を使用することが好ましい。融点が高すぎる場合は口溶けが悪くなる恐れがある。
【0019】
また、呈味剤の融点が低すぎる場合は液体状の油脂が分離する可能性がある。呈味剤を均一に混合する目的であるのでペースト状にするのが好ましい。また、呈味剤が粉体である場合の粒度は適当な大きさに調整した方が好ましい。粒度を30μm以下にすることでざらつき感はなくなるが、呈味剤によってはざらつき感があった方が良い場合もあり、適宜選択すると良い。混合する呈味剤の量はスプレッド性の保持、液体状の油脂の分離を抑制するために0.01重量%から30重量%であるのが好ましい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。以下、表中の油脂配合については特に記載の無い限り、重量部で示す。また、本文中の部は特に記載の無い限り全て重量部をあらわす。本発明に記載する融点とは特に記載の無い限り上昇融点をあらわす。
【0021】
<実施例1、比較例1〜4>表1に示す配合で油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で一晩固化させてスプレッド基剤を作製した。用いた極度硬化油の飽和脂肪酸中のベヘン酸含量を表中に示した。用いた硬化菜種油(融点10℃)の10℃のSFCは4.0であった。これらについて5℃で13日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で13日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例1は液体状の油脂の分離は見られず良好であったが、比較例1〜4は数点の温度で保存後、液体状の油脂が分離し不良であった。そのうえ、比較例1では軟らかすぎて、比較例4では硬すぎてスプレッド性も不良であった。
【0022】
【0023】
<実施例2〜4>表2に示す配合の油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。用いた極度硬化菜種油、硬化菜種油(融点10℃)は実施例1と同じ物である。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。また、スプレッド基剤を試食し、口融けを官能評価した。実施例1〜3では5℃で2日間保存後のスプレッド性は良好であり、50℃で6日間保存後に液体状の油脂の分離も見られなかった。また、口融けも良好であった。
【0024】
<比較例5〜9>表2に示す配合で油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。比較例5〜6においては硬化菜種油(融点10℃)、比較例7〜9においては硬化菜種油(融点10℃)と硬化菜種油(融点35℃)の混合油の10℃でのSFCは表中に示した。これらについて実施例2から4と同様にスプレッド性、液体状の油脂の分離、口融けを評価した。比較例6は口融けが不良であった。比較例7〜9は5℃で2日間保存、硬くなりすぎて不良であった。
【0025】
【0026】
<実施例5〜6、比較例10〜12>硬化菜種油(融点10℃)90部、極度硬化高エルシン酸菜種油10部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に溶解させた後15℃の水槽にて表3に示す温度にまで攪拌しながら冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)で固化させてスプレッド基剤を作製した。これらについて20℃で2日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は20℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で2日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例5、6とも20℃で2日間保存後のスプレッド性は良好であり、50℃で2日間保存後の液体状の油脂の分離もなかった。比較例10では35℃まで冷却すること自体で、油脂が固化してしまい攪拌することも出来ず、またその後の作業も出来なかった。(20℃で2日間保存後、硬くなりすぎてスプレッド性は不良であった。)比較例11、12では50℃で2日間保存後液体状の油脂の分離が見られ不良であった。
【0027】
【0028】
<実施例7〜8、比較例13>硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし、スプレッド基剤を作成した。表4に示したような配合でスプレッドを作製した。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点35℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を表4に示した配合でスプレッド基剤を溶解せずに攪拌混合した。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。
【0029】
【0030】
<実施例9〜10、比較例14>硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし、スプレッド基剤を作成した。表4に示したような配合でスプレッドを作製した。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点10℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を表4に示した配合でスプレッド基剤を溶解せずに攪拌混合した。これらについて5℃で2日保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は5℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、50℃で6日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。
【0031】
【0032】
<実施例11、比較例15〜17>表6に示したような配合、条件でスプレッドを作製した。スプレッド基剤は硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなる油脂組成物を60℃以上で完全に融解した後、水温15℃の水槽中にてホモミキサーで攪拌しながら42℃まで冷却し、水槽から取り出し室温(20℃)に放置し、固化後20℃で2日間エージングし作製した。油脂組成物は硬化菜種油(融点10℃)89部、極度硬化高エルシン酸菜種油11部からなり、60℃以上で融解後用いた。脱脂粉乳ペーストは脱脂粉乳67部に対し硬化菜種油(融点35℃)33部を加えロール掛けし粒径19μmになるように作製した。スプレッド基剤は融解せず、または60℃以上で融解させて用いた。スプレッド基剤を融解させたもの及び油脂組成物を用いたものは自然冷却、または、15℃水槽にて冷却した。自然冷却はスプレッド基剤、及び/または、油脂組成物、脱脂粉乳ペースト、食塩を60℃で攪拌混合後、室温(20℃)に攪拌せずに放置し、固化後2日間室温(20℃)でエージングした。15℃水槽で冷却する場合は、スプレッド基剤、脱脂粉乳ペースト、食塩を60℃で攪拌混合後、15℃水槽にてホモミキサーで攪拌しながら冷却し、品温が42℃になったら水槽から取り出し、攪拌せずに室温(20℃)に放置し、固化後2日間室温(20℃)でエージングした。これらについて20℃で10日間保存後のスプレッド性を調べた。スプレッド性は20℃の恒温槽から出して直ちに適量をパンに塗布して官能評価した。また、20℃で10日間保存した後に液体状の油脂が分離しているかを観察した。実施例11では液体状の油脂の分離は見られず良好であった。比較例15〜17はいずれも液体状の油脂が分離し不良であった。
【0033】
【0034】
【発明の効果】実施例で示したように本発明で得られたスプレッド基剤およびスプレッドは口融けがよく、幅広い温度帯で適当な可塑性を有し、低い温度でも硬くなりすぎず、高い温度でも液体状の油脂が分離しないため常温流通することができる。また、融解することなく呈味剤と混合できるため、簡単な製造法で少量多品種なスプレッドを提供できる事が可能となった。
Claims (7)
- 常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤。
- ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの飽和脂肪酸中のベヘン酸含有量が30重量%以上である、請求項1記載のスプレッド基剤。
- ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドが高エルシン酸菜種油の極度硬化油である、請求項1または請求項2記載のスプレッド基剤。
- 飽和脂肪酸中ベヘン酸を30%以上含有するトリ飽和脂肪酸トリグリセリド10〜20部に対して、常温で液体状の油脂を90〜80部加配してなる油脂を使用する請求項1乃至請求項3記載のスプレッド基剤。
- 常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油を完全に融解させた後、37〜48℃の範囲に急冷して結晶化させることを特徴とするスプレッド基剤の製造法。
- スプレッド基剤を融解することなく呈味剤を混合することを特徴とするスプレッドの製造法。
- 呈味剤の使用量がスプレッドに対して0.01重量%から30重量%である請求項7記載のスプレッドの製造法。
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WO2006120910A1 (ja) * | 2005-05-11 | 2006-11-16 | The Nisshin Oillio Group, Ltd. | 油脂組成物 |
JP4932716B2 (ja) * | 2005-05-11 | 2012-05-16 | 日清オイリオグループ株式会社 | 油脂組成物 |
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