JP2022014786A - 油中水型可塑性油脂組成物 - Google Patents

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和男 石川
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宏晶 久保内
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【課題】エステル交換油の添加を必須とせず、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸を低減化した場合であっても、オイルオフが生じにくくヒートショック耐性を有しながらも、従来と遜色ないくち溶け感を有する油中水型可塑性油脂組成物の提供。【解決手段】ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中の油相が15~85重量%であり、かつ、ワックス含有量が0.01~5重量%である、油中水型可塑性油脂組成物。【効果】所定量のワックス成分を含有させることにより油脂のネットワーク形成を強固にすることで、オイルオフが生じにくくヒートショック耐性を有しながらも、従来と遜色ないくち溶け感を有する油中水型可塑性油脂組成物を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、油中水型可塑性油脂組成物に関する。
従来、油中水型可塑性油脂組成物には、動物性、又は植物性の油脂を水素添加処理して得られる部分水素添加油脂が利用されてきた。部分水素添加油脂は、油脂の不飽和脂肪酸残基の炭素間の二重結合に水素を付加することにより、二重結合を減らし、飽和脂肪酸残基の割合を高めることによって融点を上昇させた固体又は半固体状の油脂である。
部分水素添加油脂の製造工程中で不飽和脂肪酸残基に生成されるトランス異性体(以下、トランス脂肪酸)を含む部分水素添加油脂は、水素添加の程度により融点を自由に調節でき、また、高温や常温下における部分的な液状化の低減ができるため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等に広く使用されている。
一方で、近年、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含む油脂の過剰摂取による健康被害が懸念されている。世界保健機関(WHO)は、2018年に成人及び小児の飽和脂肪酸(SFA)及びトランス脂肪酸(TFA)摂取量のガイドラインに関する意見公募を実施している。また、アメリカにおいては、アメリカ食品医薬品局が部分水素添加油脂を、一般に安全と認められる指標であるGRAS(Generally Recognized As Safe)対象から除外しており、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸摂取に対する市場の敏感な反応が懸念される。
このように、油脂食品の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量の低減について関心が高まっている。しかしながら、油脂製品の原材料として添加する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減することにより、油脂食品の品質に関わる硬度・保存性・耐熱性・乳化安定性等が低下することが知られている。
具体的には、油中水型可塑性油脂組成物中のトランス脂肪酸残基及び飽和脂肪酸残基をともに低減した場合にオイルオフと呼ばれる油脂が液状化し分離する現象が生じることが知られている。トランス脂肪酸残基、飽和脂肪酸残基が少ない油脂は、融点の低い不飽和脂肪酸残基を多く含む油脂の占める割合が高くなる。このような構成の油脂を原料とする可塑性油脂組成物は、製造時の冷却工程で飽和脂肪酸残基、トランス脂肪酸残基を含む油脂が優先的に結晶化され、不飽和脂肪酸残基の多い油脂が飽和脂肪酸残基、トランス脂肪酸残基を含む油脂に全て抱き込まれない状態で固化する。さらに、可塑性油脂組成物の冷却保存中に飽和脂肪酸残基、トランス脂肪酸残基を含む油脂の収斂が生じる。このような可塑性油脂組成物が、不飽和脂肪酸残基が多い油脂の融点よりも高い温度の雰囲気下に晒されると、抱き込まれなかった不飽和脂肪酸残基の多い油脂が液状化し、分離することでオイルオフが生じる。
特許文献1には、極度硬化油を含むことを特徴とし、エステル交換の様な特殊な工程を経ることなく、実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物について開示されているが、飽和脂肪酸の低減化については言及されていない。
特許文献2には、液状植物油脂を多く含有し、実質的にトランス酸を含まず、植物油脂由来エステル交換油脂を一定の割合で含有することを特徴とする低トランス酸植物性油脂組成物について開示されているが、飽和脂肪酸の低減化については言及されていない。特許文献3は、部分水素添加油脂を含まず、エステル交換油とワックスを含み、飽和脂肪酸が油脂成分の全構成脂肪酸中20重量%以下であり、トランス脂肪酸の含量が0~0.05重量%未満であり、従来求められてきた品質(硬度・くち溶け・保存性・耐熱性・乳化安定性等)を有する油脂組成物が製造可能としている。しかしながらこれらの文献においては、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の両方の低減化には、エステル交換油の添加を必須としているが、エステル交換油は、一般的な食用油脂と比較して高価であり、添加量の増加により、製品原価の高騰が問題となる。
特開平9-143490号公報 特開2010-98990号公報 特開2019-154433号公報
本発明は、エステル交換油の添加を必須とせず、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸を低減化し、所望の品質を有する、新たな油中水型可塑性油脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。
<1>
ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中の油相が15~85重量%であり、かつ、ワックス含有量が0.01~5重量%であることを特徴とする油中水型可塑性油脂組成物。
<2>
ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中に含まれる飽和脂肪酸が0~20重量%以下であり、かつ、部分水素添加油脂を添加しないことを特徴とする<1>に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
<3>
5~40℃のSFCは6.5%以下であり、最大荷重の値を5℃のSFCの値で割った値が10以上となる、<1>又は<2>に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
<4>
前記ワックスは、融点が30℃以上90℃以下であり、植物性ワックスおよび/または動物性ワックスから選択される1種以上である<1>~<3>のいずれか1項に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
<5>
前記油中水型可塑性油脂組成物に含まれるトランス脂肪酸が0~3重量%未満となる、<1>~<4>のいずれか1項に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
本発明によれば、油中水型可塑性油脂組成物の原材料として添加する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減した場合であっても、オイルオフが低減され、ヒートショック耐性が付与された油中水型可塑性油脂組成物、並びにその製造方法を提供できる。
本発明により使用されるワックス成分が、油中水型可塑性油脂組成物中において油脂のネットワーク形成を強固にし、液状油脂を抱え込むことで、温度に対する形状崩壊耐性が上昇する、その結果、オイルオフが生じにくくなりヒートショック耐性が付与される。また、ワックスの含有量を0.01~5重量%とすることにより、従来の油中水型可塑性油脂組成物と比較しても遜色ないくち溶け感を有する油中水型可塑性油脂組成物を提供できる。
なお、「オイルオフ」とは油中水型可塑性油脂組成物の組織から油脂が遊離し表面に油膜が形成される状態をいう。また「ヒートショック耐性」とは、常温より高い温度に放置した時の形状崩壊耐性のことをいう。
は、最大荷重(g)の値をSFC(%)の値で割った値であるSFC当たりの荷重の値を示したグラフである。
本発明は、油脂中の飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の含有量が少なく、オイルオフが抑制され、ヒートショック耐性が付与され、なおかつ従来の油中水型可塑性油脂組成物と比較しても遜色ないくち溶け感を有する油中水型可塑性油脂組成物、並びにその製造方法に関する。
以下、本発明の油中水型可塑性油脂組成物の実施形態について説明する。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ワックスおよび油脂をそれぞれ所定の範囲の含有量とすることで、高価なエステル交換油の添加を必須とせずに、油脂中の飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の含有量が少なく、オイルオフが抑制され、ヒートショック耐性が付与され、なおかつ従来の油中水型可塑性油脂組成物と比較しても遜色ないくち溶け感を有する油中水型可塑性油脂組成物を製造できることを見出した。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物は、油脂中にワックスを含有する。
油中水型可塑性油脂組成物中における上記ワックスの含有量は油中水型可塑性油脂組成物中の全重量%基準で好ましくは0.01~5重量%含有し、より好ましくは0.1~1.5重量%含有する。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物の油相は、好ましくは15~85重量%であり、より好ましくは32~78重量%である。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物は、ワックスを0.01~5重量%含むことにより、飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の少ない油脂を添加したにも関わらず、オイルオフが低減され、ヒートショック耐性が付与された油中水型可塑性油脂組成物の調製が可能となる。なお、ワックスを5重量%よりも多く添加した場合は、くち溶けが悪くなるため、油中水型可塑性油脂組成物の製造に適さない。これまで、上記条件を満たしながら、SFCは5~40℃で6.5%以下である油中水型可塑性油脂組成物およびその簡便製造方法は開示されていない。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物は、特別な製造設備を要することなく、一般的な油中水型可塑性油脂組成物の製造設備を用いることができる。
(油中水型可塑性油脂組成物)
油中水型可塑性油脂組成物の原材料について説明する。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物に用いる油脂は、得られる油脂組成物において飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸が低減されるものであればどのようなものでもよい。ここで「低減される」とは、トランス脂肪酸ではその含有量が油中水型可塑性油脂組成物中0~3重量%未満であることをいい、飽和脂肪酸では、その含有量が油中水型可塑性油脂組成物中0~20重量%以下であることをいう。
具体的なトランス脂肪酸の調整方法としては、具体的には例えば部分水素添加油脂の使用量を調整するなどの公知の技術による調整方法が挙げられる。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物に用いる油脂の例としては、大豆油、コーン油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、キャノーラ油、米ぬか油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、菜種白絞油、菜種極度硬化油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿花油、綿実油、落花生油、しそ油、ゴマ油、エゴマ油、ベニバナ油、高オレイン酸ベニバナ油、ぶどう種子油、ピーナッツ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、亜麻仁油、クルミ油、椿油、茶実油、カラシ油、米油、小麦麦芽油、等、あるいはこれらのエステル交換油、分別油等を挙げることができ、これらから1種類以上が選択される。選択された油脂は、本発明の油中水型可塑性油脂組成物の油相が15~85重量%となるように配合すればよい。
本発明の油中水型可塑性油脂組成物は、必要に応じて、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸含有量の増加に影響しないものであれば他の原材料を適宜用いることができる。例えば、水、脱脂粉乳、食塩、塩化カリウム、ゼラチン、酸味料、甘味料、pH調整剤、香料、色素、ビタミン剤、イヌリン、カラギーナン、加工でんぷんのほか離水抑制のための保水素材等、油中可塑性油脂組成物に一般的に使用される原材料が例示される。
油中水型可塑性油脂組成物としてはマーガリン、スプレッド等が例示できる。
本発明において、ワックスとは、脂肪酸と高級一価アルコール類又は二価アルコール類とのエステルであり、両親媒性の低い非極性の疎水性分子を指す。植物由来及び動物由来のものを含む。例えば、植物由来ワックスとして、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックスが挙げられる。動物由来ワックスとして、蜜蝋、プロポリスワックス等が挙げられる。
上記ワックスが油脂中で針状・板状の結晶となることで、飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の少ない油脂を使用したにも関わらず、オイルオフが抑制され、ヒートショック耐性が付与された油中水型可塑性油脂組成物の調製が可能となる。
厚生労働省指針の日本人の食事摂取基準(2020年版)に記載の成人男女の飽和脂肪酸の食事摂取基準/脂質の食事摂取基準の下限値が23重量%であることから、本発明における油中水型可塑性油脂組成物の油脂の構成脂肪中、飽和脂肪酸の割合は、0~20重量%以下となるものが望ましい。
(油中水型可塑性油脂組成物の製造方法)
次に油中水型可塑性油脂組成物の製造方法について説明する。
(1)原材料の油脂をその融点以上、例えば40℃~85℃に加温し、乳化剤や油系ゲル化剤を添加溶解して油相を調製する。このとき、部分水素添加油は使用せず、トランス脂肪酸含有量が油中水型可塑性油脂組成物中0~3重量%未満となるように調整する。必要に応じて、油相にグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤や、βカロテン等の色素、油溶性ビタミン等の油系原材料を添加することができる。これらの油相を、15~85重量%となるように調整する。また、ワックスや結晶調整剤(例としてTAISET-AD(太陽化学))を適宜添加することで、5~40℃におけるSFCが6.5%以下であり、最大荷重の値を5℃のSFCの値で割った値が10以上であり、くち溶けの良好な油中水型可塑性油脂組成物中が調製できる。
(2)約40℃~60℃の温湯に食塩、脱脂粉乳等の水系原材料を添加溶解して水相を調製する。
(3)油相に水相を任意の既知の方法で混合して乳化することにより乳化物を調製する。この時の油相の攪拌速度と水相の添加速度は、均一な乳化物ができるよう適宜調整することができる。
(4)この乳化物に、必要に応じて、香料を添加し、50℃に維持した乳化物をコンビネーター、パーフェクター等の密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機により10℃まで急冷捏和して結晶化する。結晶化した乳化物をピンマシン等で混練することにより油中水型可塑性油脂組成物が得られる。 なお、(1)、(2)工程については経時的制限はなく、どちらの工程を先に行ってもよく、また両工程を同時に行なってもよい。
本明細書における本発明の評価基準を以下にまとめて記載する。
(オイルオフ評価試験)
試料を直径3cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で72時間保存し、この試料に1cm×5cmのろ紙を1cm刺し、23℃で1時間静置した。
オイルオフは1時間静置後に、ろ紙に染み込んだ液状油の高さを計測することで評価した(n=3)。オイルオフが2.0cm未満の場合は「良好:○」、2.0cm以上の場合は「不良:×」とした。
(ヒートショック耐性試験)
10℃で2週間静置させた試料を直径2cm、高さ1cmのガラスリングで打ち抜いてシャーレに載せ、これを30℃で1時間保持した時の試料の高さを測定した(n=3)。試料の高さが0.5cm以上の場合はヒートショック耐性が「良好:○」、0.5cm未満の場合は「不良:×」とした。
(最大荷重測定試験)
試料を直径3cm、高さ1cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で静置保存した試料を、直径15mm、高さ25mmの円柱型プローブをとりつけたテクスチャーアナライザーにセットし、試料の高さの80%までプローブが貫入したときの最大荷重を測定した(n=3)。
(固体脂含有量(SFC)測定試験)
試料をSFC測定用ガラスチューブに高さ1cmになるように入れ、5~40℃でのSFC(%)を測定した(n=3)。
(くち溶けについての官能評価)
官能評価により、くち溶けを評価した。評価は訓練をつんだ専門パネラー5人によって、 絶対評価3点法で行なった。評価品を舌にのせた際に、10秒未満で全て溶けたものを〇、10秒以上溶けずに残ったものを×とした。
飽和脂肪酸含有量の測定
各油中水型可塑性油脂組成物を試料とし、日本油化学協会編、「基準油脂分析試験法」の2.4.2.2-2013に記載の脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)の測定方法に基づいて、試料中の飽和脂肪酸含量の重量%を測定した。
トランス脂肪酸含有量の測定
各油中水型可塑性油脂組成物を試料とし、日本油化学協会編、「基準油脂分析試験法」の2.4.4.3-2013に記載のトランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)の測定方法に基づいて、試料中のトランス異性体の重量%を測定した。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1に示すとおり、油相と水相を調製した。
油相は、油脂と乳化剤や油系ゲル化剤とを混合し、85℃で攪拌することにより調製した。水相は、水と食塩とゼラチンとを60℃で攪拌することにより調製した。油脂原材料としては、ハイオレイックサフラワー油(日清オイリオグループ株式会社製「日清べに花油」)を用いた。油系ゲル化剤には、ライスワックス、蜜蝋、TAISET-AD(結晶調整剤、太陽化学製)を用いた。表1中、各成分の配合量を重量比(%)で示す。
140rpmで攪拌した60℃の油相に、20L/分で60℃の水相を添加することで油相と水相を乳化させ、得られた60℃の乳化物を、密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機にて10℃まで急冷捏和し、さらに10℃に保持したままピンマシンで混練した。
混練した乳化物160gをプラスチック容器、またはガラスリングに充填することで油中水型可塑性油脂組成物である実施例品1~実施例品4(表1)を得た。これらは10℃で保存した。
実施例1~4と同様の調整方法により、油中水型可塑性油脂組成物である比較例品1~比較例品3(表1)を得た。これらは10℃で保存した。
(試験結果)
使用した大豆白絞油、ハイオレイックサフラワー油の飽和脂肪酸量は、それぞれ脂肪酸組成中14.9%、7.4%、トランス脂肪酸量は、油脂10g中0.2g、0.03gであった。また、得られた実施例品ならびに、比較例品に係る油中水型可塑性油脂組成物のトランス脂肪酸含有量は、表1に示すとおり、いずれも0~3重量%未満であった。また、実施例品に係る油中水型可塑性油脂組成物の油脂の構成脂肪中、飽和脂肪酸の割合は、いずれも0~20重量%以下であった。
オイルオフ試験とヒートショック耐性試験の結果、表2に示すとおり、実施例品1から実施例品4はオイルオフ、ヒートショック耐性のいずれも良好であった。これに対して比較例品1と比較例品2はオイルオフ、ヒートショック耐性のいずれも不良であった。
くち溶けの良さについて官能評価を行った結果、表2に示すとおり、実施例品1から実施例品4、比較例品1から比較例品2は良好なくち溶けを有していた。これに対して、比較例品3のくち溶けは不良であった。
Figure 2022014786000002
Figure 2022014786000003
最大荷重測定とSFC測定試験の結果、SFCあたりの荷重は、実施例品1~4、比較例品3は10以上であったが、比較例品1と比較例品2は10未満となった(図1)。ここでいうSFCあたりの荷重とは最大荷重(g)の値をSFC(%)の値で割った値とする。実施例品1から4は、5℃におけるSFCが6.5以下でありながら、SFCあたりの荷重が10以上である油中水型可塑性油脂組成物であることを示している。比較例3については、ワックスの量が多いことで、くち溶けが悪くなることを示している。本結果から、5℃におけるSFCが6.5以下でありながら、SFCあたりの荷重が10以上であり、くち溶けが良いことが望ましい結果となった。
尚、本実施例において5~40℃までのSFCの値はいずれの温度帯にあっても6.5以下の範囲にあり、SFCあたりの荷重も10以上であった。
本発明によれば、油中水型可塑性油脂組成物の原材料として添加する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減した場合であっても、エステル交換油の添加を必須とせずに、オイルオフが低減され、ヒートショック耐性が付与された油中水型可塑性油脂組成物を提供できる。

Claims (5)

  1. ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中の油相が15~85重量%であり、かつ、ワックス含有量が0.01~5重量%であることを特徴とする油中水型可塑性油脂組成物。
  2. ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中に含まれる飽和脂肪酸が0~20重量%以下であり、かつ、部分水素添加油脂を添加しないことを特徴とする請求項1に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
  3. 5~40℃のSFCは6.5%以下であり、最大荷重の値を5℃のSFCの値で割った値が10以上となる、請求項1又は2に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
  4. 前記ワックスは、融点が30℃以上90℃以下であり、植物性ワックスおよび/または動物性ワックスから選択される1種以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
  5. 前記油中水型可塑性油脂組成物に含まれるトランス脂肪酸が0~3重量%未満となる、請求項1~4のいずれか1項に記載の油中水型可塑性油脂組成物。
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