JP2023008208A - 油性組成物及び該油性組成物を含有する可塑性油脂組成物 - Google Patents

油性組成物及び該油性組成物を含有する可塑性油脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】可塑性油脂組成物の原材料として使用する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減した場合であっても、オイルオフの低減が可能な可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の製造方法を提供する。【解決手段】(a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリドの、(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、好ましくは3つを規定量含むことを特徴とする油性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、オイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物及びその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物に関する。
マーガリンやファットスプレッドなどの可塑性油脂組成物は通常冷蔵で保存されるが、購入して店舗から持ち帰る際や、家庭で利用する際など、一時的に常温に晒されることがある。
可塑性油脂組成物の原料には、このような常温より融点の低い油脂が含まれるため、常温に晒された場合に、固体状の可塑性油脂組成物の表面に目視可能な液状物が発生する現象、いわゆるオイルオフ(脂肪分の分離)が生じることがある。このため、可塑性油脂組成物は、原料として用いられる一部の油脂の融点よりも高い温度の雰囲気下においても、オイルオフが生じないことが品質上要求される。
従来、可塑性油脂組成物には、動物性、又は植物性の油脂を水素添加処理して得られる部分水素添加油脂が利用されてきた。部分水素添加油脂は、油脂の不飽和脂肪酸残基の炭素間の二重結合に水素を付加することにより、二重結合を減らし、飽和脂肪酸残基の割合を高めることによって融点を上昇させた固体又は半固体状の油脂である。
部分水素添加油脂の製造工程中では、不飽和脂肪酸残基からトランス異性体(以下、トランス脂肪酸)が生成する。トランス脂肪酸を脂肪酸残基として有する油脂は、一般にシス配位体を脂肪酸残基として有する油脂よりも融点が高く、β’型の結晶多形を維持することが知られている。
飽和脂肪酸残基とトランス脂肪酸残基を含む部分水素添加油脂は、水素添加の程度により融点を自由に調節でき、また、高温や常温下における部分的な液状化の低減ができるため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等に広く使用されている。
一方で、近年、トランス脂肪酸残基を含む油脂の摂取による健康被害が懸念されている。トランス脂肪酸残基を含む油脂の過剰摂取は、心筋梗塞などの冠動脈心疾患の危険因子となることから、多くの国がトランス脂肪酸の表示規制とトランス脂肪酸残基を多く含む部分水素添加油脂の使用規制を設けている。
アメリカにおいては、アメリカ食品医薬品局が部分水素添加油脂を、一般に安全と認められる指標であるGRAS(Generally Recognized As Safe)対象から除外することを決定した(2015年6月)。日本では、法的な規制はないものの、健康志向の高まりや海外での規制を受けて、使用の表示の重要性が論じられている。
また、油脂中の飽和脂肪酸残基も、その過剰摂取により冠動脈心疾患のリスクを高めることが指摘されている。
このように、部分水素添加油脂は可塑性油脂組成物に所望の物性を付与できる一方、健康被害への関与が指摘されていることから、部分水素添加油脂の代替原料を用いて、油脂中のトランス脂肪酸残基、あるいはトランス脂肪酸残基と飽和脂肪酸残基を低減しつつ、可塑性油脂組成物に所望の物性を付与する取り組みがなされている。
特許文献1には、ベヘン酸を含有し、トリグリセリドの配合比を特定範囲とすることで、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含有量が少なくても保型性、口溶け、外観および可塑性が良好な可塑性油脂組成物について開示されている。
特許文献2には、ベヘン酸残基を1つ以上有するトリグリセリドと、パルミチン酸結合型モノグリセリド脂肪酸エステル及びステアリン酸結合型モノグリセリド脂肪酸エステルの少なくとも一方と、を含むことにより飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸を低減した可塑性油脂組成物について開示されている。
特許文献3には、構成脂肪酸としてC20以上の飽和脂肪酸が5%以上である高融点油脂を3~50%配合し、且つ全油脂中の飽和脂肪酸含量が35%以下であり、実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物について開示されている。
特許文献4には、少なくとも18の炭素原子を有する、単一不飽和又は多価不飽和脂肪酸構成脂肪酸を3つ含むトリグリセリドと、16-24の炭素原子を有する飽和脂肪酸を3つ含むトリグリセリドを含む健康に良いマーガリン又はスプレッドに適した脂肪組成物が開示されている。
特開2016-189773号公報 特開2018-88863号公報 特開2001-139983号公報 特許3065102号公報
ところが、特許文献1の油脂組成物は、油脂中のトランス脂肪酸を低減しているが、飽和脂肪酸の低減については触れられていない。また、特許文献2と特許文献3においては、油脂中のトランス脂肪酸および飽和脂肪酸が低減されているが、特許文献2は飽和脂肪酸結合型モノグリセリド、特許文献3については、C20以上の飽和脂肪酸を5%以上含む高融点油脂という素材が使用されているため、飽和脂肪酸の低減を目的とした際には、これらの素材の添加量に制限がある。
特許文献4においては、5-95%質量UUUと0-8重量%のSSSを含むスプレッド脂肪(Sは16-24の炭素原子を有する飽和脂肪酸であり、Uは少なくとも18の炭素原子を有する、単一不飽和又は多価不飽和脂肪酸構成脂肪酸)の提供方法であるが、組成物のSFC値に5℃でのSFCが6.5%以上となっている。
上記したように、炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸結合型トリグリセリドと不飽和脂肪酸結合型モノグリセリドを含むことにより、オイルオフが少なく、5~40℃においてSFC値の低い可塑性油脂組成物とその簡便な製造方法は開示されていなかった。
以上より、可塑性油脂組成物の原材料として使用する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減しつつ、オイルオフの低減が可能な可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の製造方法を提供することを課題とする。
上述の課題を解決するべく、可塑性油脂組成物中のトランス脂肪酸残基及び飽和脂肪酸残基をともに低減した場合にオイルオフが生じていた原因について、本発明者等が研究した結果、その理由は以下が一因と考えられた。
すなわち、トランス脂肪酸残基、飽和脂肪酸残基が少ない油脂は、融点の低い不飽和脂肪酸残基を多く含む油脂の占める割合が高くなる。このような構成の油脂を原料とする可塑性油脂組成物は、製造時の冷却工程で飽和脂肪酸残基とトランス脂肪酸残基を含む油脂が優先的に結晶化され、トランス脂肪酸残基以外の不飽和脂肪酸残基の多い油脂が、飽和脂肪酸残基とトランス脂肪酸残基を含む油脂に全て抱き込まれた状態で固化する。さらにその後、可塑性油脂組成物の冷却保存中に飽和脂肪酸残基とトランス脂肪酸残基を含む油脂の収斂が生じる。このような可塑性油脂組成物が、トランス脂肪酸残基以外の不飽和脂肪酸残基が多い油脂の融点よりも高い温度の雰囲気下に晒されると、抱き込まれたトランス脂肪酸残基以外の不飽和脂肪酸残基の多い油脂が液状化し、分離することでオイルオフが生じると考えられる。
上記知見に基づいて更なる研究を続けた結果、本発明者等は油性組成物の組成を特定範囲とすることで、オイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物が得られることを見出した。すなわち、本発明は以下の内容に関する。
<1>
以下に示す(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、を含む油性組成物であって、
(a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
(b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
(c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリド
油性組成物の全質量基準で、前記(a)成分を含む場合の前記(a)成分の含有量が2.5質量%以上、前記(b)成分を含む場合の前記(b)成分の含有量が3.5質量%以上、前記(c)成分を含む場合の前記(c)成分の含有量が0.5質量%以上である、
ことを特徴とする前記油性組成物。
<2>
請求項1に記載の油性組成物を含み、オイルオフ値が2cm以下であり、かつ、ヒートショック耐性が0.5cm以上である可塑性油脂組成物。
<3>
5~40℃までのSFCの値が6.5%以下であることを特徴とする<2>に記載の可塑性油脂組成物。
本発明は、可塑性油脂組成物の原材料として使用する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減しつつ、オイルオフを低減する可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の製造方法を提供することができる。
本発明は、オイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物に関する。以下それらについて詳細に説明する。
(オイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物)
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物は、以下の(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、好ましくは3つを含むものであり、
(a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
(b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
(c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリド
それぞれ、油性組成物の全質量基準で、(a)成分を含む場合の(a)成分の含有量が2.5質量%以上30質量%以下、(b)成分を含む場合の(b)成分の含有量が3.5質量%以上50質量%以下、(c)成分を含む場合の(c)成分の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である油性組成物である。
したがって、より具体的には、本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物は、下記(1)~(4)
(1)油性組成物の全質量基準で(a)成分を2.5質量%以上30質量%以下、(b)成分を3.5質量%以上50質量%以下含む油性組成物
(2)油性組成物の全質量基準で(a)成分を2.5質量%以上30質量%以下、(c)成分を0.5質量%以上10質量%以下含む油性組成物
(3)油性組成物の全質量基準で(b)成分を3.5質量%以上50質量%以下、(c)成分を0.5質量%以上10質量%以下含む油性組成物
(4)油性組成物の全質量基準で(a)成分を2.5質量%以上30質量%以下、(b)成分を3.5質量%以上50質量%以下、(c)成分を0.5質量%以上10質量%以下含む油性組成物
の油性組成物が挙げられる。このうちでも(4)の油性組成物がより好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物において、(a)又は(b)の炭素数が20以上の飽和あるいは1価の不飽和脂肪酸残基を含むトリグリセリドを上記の範囲で含むことにより、常温時に液状となった油を(a)又は(b)のトリグリセリドが形成する網目構造の中に抱き込ませることができる。また、(c)の不飽和脂肪酸結合型モノグリセリドを含むことで、トリグリセリドが形成する網目構造を強化し、液状の油をよりいっそう強固に抱き込ませることができる。
したがって、(a)、(b)、(c)をすべて上記の範囲のように含むことでいっそう前記作用が効果的に発揮され、当該油性組成物を含む可塑性油脂組成物のオイルオフが低減される。
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物は、本作用を損なわない範囲で、上記以外に、任意成分として、飽和蒸留モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、リン脂質等の乳化剤、ソルビタン脂肪酸エステル等の結晶調整剤、ビタミンE、ビタミンC誘導体、茶抽出物等の抗酸化剤、カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、及び香料等を配合することができる。
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物において、上記(1)、(2)、(4)の場合における(a)の含量は、油性組成物の全質量基準で2.5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは4.0質量%以上15質量%以下である。
上記(1)、(3)、(4)の場合の油性組成物における(b)の含量は、油性組成物の全質量基準で3.5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは、5.0質量%以上30質量%以下である。
上記(2)、(3)、(4)の場合の油性組成物における(c)の含量は、油性組成物の全質量基準で0.5質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、1.0質量%以上5.0質量%以下である。
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物は、上記したオイルオフ低減作用を付与する組成物を構成する成分が全て粉末、あるいは顆粒状のものであれば固体のまま混合したものをそのまま用いることができる。液状のものを含む場合は、混合しペースト状としたものを用いることができる。
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物は、加温した油脂原料に、上述した成分を添加し攪拌するだけでよいため、特別な設備を要することなく、一般的な可塑性油脂組成物の製造設備で用いることができる。
本発明のオイルオフ低減作用を有する可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物を調製する際の、オイルオフ低減作用を付与する各組成物の添加量は、油性組成物の全質量基準で、(a)を用いる場合は、(a)が2.5質量%以上30質量%以下となるように適宜調整すればよく、(b)を用いる場合は、(b)が3.5質量%以上50質量%以下となるように適宜調整すればよく、(c)を用いる場合には、(c)が0.5質量%以上10質量%以下となるように適宜調整すればよい。また、上述の油性組成物は、(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、好ましくは3つを含むものである。
(可塑性油脂組成物)
本発明における可塑性油脂組成物は、上述の油性組成物を含むもので、水相を含有する形態のものである。
本発明の可塑性油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、マーガリン類であってもよい。また、水相を含有する乳化形態は、特に限定されないが、例えば、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられる。この場合の油性組成物の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは20~85質量%であり、より好ましくは30~85質量%であり、更に好ましくは30~70質量%である。また、水相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは15~80質量%であり、より好ましくは、15~70質量%であり、更に好ましくは、30~70質量%である。
マーガリン類とは、マーガリン又はファットスプレッドのことを指す。マーガリンは、油脂を80質量%以上含み、ファットスプレッドは、油脂を80質量%未満含むものである。
(原材料)
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の原材料について説明する。
可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物に用いる油脂は、得られる可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物においてトランス脂肪酸と飽和脂肪酸が低減されるものであればどのようなものでもよい。この場合、トランス脂肪酸ではその含有量が可塑性油脂組成物100g中7g以下となるものが好ましく、3.5g以下となるものがさらに好ましく、さらには、1.0g以下がよりいっそう好ましく、0.3g以下となるものが最も好ましい。飽和脂肪酸では可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の構成脂肪酸残基に占める飽和脂肪酸残基の割合が30質量%以下となるものが好ましく、20質量%以下となるものがさらに好ましく、さらには、15質量%以下となるものがよりいっそう好ましく、10質量%以下となるものが最も好ましい。
トランス脂肪酸含量と構成脂肪酸残基に占める飽和脂肪酸残基の割合の組み合わせとしては、例えば、トランス脂肪酸含量が可塑性油脂組成物100g中1.0g以下で、かつ、可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸が、15質量%以下である可塑性油脂組成物が好ましい。さらには、トランス脂肪酸含量が可塑性油脂組成物100g中0.3g以下で、かつ、可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸が、10質量%以下である可塑性油脂組成物がより好ましい。
油脂の例としては、大豆油、コーン油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、キャノーラ油、米ぬか油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、菜種油、菜種白絞油、菜種極度硬化油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿花油、綿実油、落花生油、しそ油、ゴマ油、エゴマ油、ベニバナ油、高オレイン酸ベニバナ油、ぶどう種子油、ピーナッツ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、亜麻仁油、クルミ油、椿油、茶実油、カラシ油、米油、小麦麦芽油、等、あるいはこれらの部分水素添加油、エステル交換油、分別油等を挙げることができ、これらから1種類以上が選択される。選択された油脂は可塑性油脂組成物の全質量基準で、油分が20質量%~85質量%となるように配合すればよく、20質量%~85質量%が好ましく、30質量%~85質量%がさらに好ましく、30質量%~70質量%が最も好ましい。
(その他の原材料)
さらに、必要に応じて、トランス脂肪酸含量の増加やオイルオフの発生に関与しないものであれば、可塑性油脂組成物に一般的に使用されている原材料を用いることが出来る。それらは、水、脱脂粉乳、食塩、塩化カリウム、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、グアーガム、カラギーナン、アラビアガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、寒天、デキストリン、澱粉、加工澱粉等の増粘安定剤、甘味料、酸化防止剤、pH調整剤、香料、色素、ビタミン剤等が例示される。
(エステル交換油の調製方法)
エステル交換油は、当該技術分野において公知のエステル交換により調製することができる。例えば、ランダムエステル交換方法では、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム等の化学触媒を用いて調製することができる。
(可塑性油脂組成物の製造方法)
次に可塑性油脂組成物の製造方法について一例を説明する。
(イ)原材料の油脂をその融点以上、例えば40℃~85℃に加温し、ここにオイルオフ低減作用を付与する組成物を添加溶解して油相を調製する。必要に応じて、油相にグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤や、βカロテン等の色素、油溶性ビタミンを添加することできる。
(ロ)約40℃~60℃の温湯に食塩、脱脂粉乳等の乳製品を添加溶解して水相を調製する。
(ハ)油相に水相を撹拌しながら一定速度で添加して乳化物を調製する。この時の油相の攪拌速度と水相の添加速度は可塑性油脂組成物の油分の量に応じて、均一な乳化物ができるよう適宜調整することができる。
(ニ)この乳化物に、必要に応じて、香料を添加し、50℃に維持した乳化物をコンビネーター、パーフェクター等の密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機により10℃まで急冷捏和して結晶化する。結晶化した乳化物をピンマシン等で混練することにより可塑性油脂組成物が得られる。可塑性油脂組成物としてはマーガリン、スプレッド等が例示できる。
なお、(イ)、(ロ)工程については経時的制限はなく、どちらの工程を先に行ってもよく、また両工程を同時に行なってもよい。
本明細書における本発明の評価基準を以下にまとめて記載する。
(オイルオフ評価試験)
試料を直径3cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で72時間保存し、この試料に1cm×5cmのろ紙を1cm刺し、23℃で1時間静置した。
オイルオフは1時間静置後に、ろ紙に染み込んだ液状油の高さを計測することで評価した(n=2)。
本発明の可塑性油脂組成物のオイルオフ値は、2cm以下が好ましい。
(ヒートショック耐性試験)
試料を10℃で2週間静置させた試料を直径2cm、高さ1cmのガラスリングで打ち抜いてシャーレに載せ、これを30℃で1時間保持した時の試料の高さを測定した。
本発明の可塑性油脂組成物のヒートショック耐性は、0.5cm以上が好ましい。
(固体脂含量(SFC)測定試験)
試料をSFC測定用ガラスチューブに高さ1cmになるように入れ、5~40℃でのSFC(%)を測定した(n=3)。
本発明の可塑性油脂組成物の5~40℃までのSFCの値は、10%以下であることが好ましく、さらには6.5%以下であることが好ましい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の調製
表1に示す、油脂原料とオイルオフ抑制作用を有する組成物とを、全質量が100gとなるように混合し、その後50℃で攪拌した後、氷水で冷却することにより、実施例品1から実施例品4の油性組成物を調製した。油脂原料としては、菜種白絞油、大豆油、コーン油、油脂LS、LU、LUSを用いた。油脂LSは、炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドを5.0%以上含むエステル交換油脂、LUは、炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドを5.0%以上含むエステル交換油脂、LUSは、炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドをいずれも5.0%以上含むエステル交換油脂である。油脂LS、LU、LUSは、前記本願可塑性油脂組成物の原材料の項の「原料油脂」として列挙された油脂を、目的とする脂肪酸組成となるように組み合わせてエステル交換を行い調製した。調整後、得られたエステル交換油を試料とし、日本油化学協会編、「基準油脂分析試験法」の2.4.2.2-2013に記載の脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)の測定方法に基づいて、試料中の脂肪酸含量の重量%を測定し、目的とする組成であることを確認した。
表1中、各成分の配合量を油性組成物の全質量基準における質量比(%)で示す。同様にして比較例品1から比較例品3を調製した。
2.可塑性油脂組成物の調製
表2から表4に示すとおり、全質量が100gとなるように、油相と水相を調製した。
すなわち、油相は、油脂とオイルオフ低減作用を有する組成物とを混合し、50℃で攪拌することにより調製した。オイルオフ抑制作用を付与する組成物としては、(a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリドを用いた。水相は、水と食塩とゼラチンとを混合し、50℃で攪拌することにより調製した。
140rpmで攪拌した50℃の油相に、20L/分で50℃の水相を添加することで油相と水相を乳化させ、得られた50℃の乳化物を、密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機にて10℃まで急冷捏和し、さらに10℃に保持したままピンマシンで混練した。
混練した乳化物160gをプラスチック容器に充填することで可塑性油脂組成物である実施例品5から実施例品11と比較例品4から比較例品6(表2)、実施例品12から実施例品15と比較例品7から比較例品9(表3)、実施例品16から実施例20と比較例品10から比較例品12(表4)を得た。これらは10℃で保存した。
得られた実施例品に係る可塑性油脂組成物のトランス脂肪酸含量は、0.3gから1.6gでありいずれも3.5g/100g以下であった。また実施例品に係る可塑性油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸は、9質量%から15質量%でありいずれも15質量%以下であった。
(試験例1)
<オイルオフ評価試験>
実施例品5から実施例品20及び比較例品4から比較例品12(以下、試料ともいう。)を直径3cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で静置保存した。
5℃で72時間保存した試料に1cm×5cmのろ紙を1cm刺し、23℃で1時間静置した。
オイルオフは1時間静置後にろ紙に染み込んだ液状油の高さを計測することで評価した(n=2)。各水準のオイルオフが2.0cm以下の場合は「良好:○」、2.1cm以上の場合は「悪化:×」とした。
(試験例2)
<ヒートショック耐性試験>
試料を10℃で2週間静置させた。静置後の試料を直径2cm、高さ1cmのガラスリングで打ち抜いてシャーレに載せ、これを30℃で1時間保持した時の試料の高さを測定した。
試料の高さが0.5cm以上の場合はヒートショック耐性が「良好:○」、0.5cm未満の場合は「悪化:×」とした。
(試験例3)
<固体脂含有量(SFC)測定試験>
実施例品1から実施例品20及び比較例品1から比較例品12をSFC測定用ガラスチューブに高さ1cmになるように入れ、5℃でのSFC(%)を測定した(n=3)。
(試験結果)
表2から表4に示すとおり、実施例品5から実施例品20は、油相と水相の比率にかかわらず、オイルオフ、ヒートショック耐性のいずれも良好であった。表2においては、実施例品5、表3においては実施例品12、表4においては実施例品16が、オイルオフ、ヒートショック耐性とも最もよい成績であった。
これに対して比較例品4から比較例品12はオイルオフ、ヒートショック耐性のいずれも良好でなかった。
測定の結果、実施例品5から実施例品20の5でのSFCの値は6.5%以下であった。
このように、(a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、(c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリドの、(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、好ましくは3つを規定量含む場合は、飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の少ない油脂を使用したにも関わらず、オイルオフが低減され、ヒートショック耐性が付与された可塑性油脂組成物の調製が可能となることが明らかとなった。
Figure 2023008208000001
Figure 2023008208000002
Figure 2023008208000003
Figure 2023008208000004
本発明は、可塑性油脂組成物の原材料として使用する油脂の飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の含有量を低減しつつ、オイルオフを低減可能な可塑性油脂組成物とその可塑性油脂組成物に含まれる油性組成物の製造方法を提供することができる。したがって、安全で健康に良く品質の高いマーガリンやファットスプレッドなどの可塑性油脂組成物を提供することができる。

Claims (3)

  1. 以下に示す(a)、(b)、(c)のうち少なくとも2つ、を含む油性組成物であって、
    (a)炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
    (b)炭素数20以上の一価不飽和脂肪酸残基を1つ以上含有するトリグリセリド
    (c)不飽和脂肪酸結合型モノグリセリド
    油性組成物の全質量基準で、前記(a)成分を含む場合の前記(a)成分の含有量が2.5質量%以上、前記(b)成分を含む場合の前記(b)成分の含有量が3.5質量%以上、前記(c)成分を含む場合の前記(c)成分の含有量が0.5質量%以上である、
    ことを特徴とする前記油性組成物。
  2. 請求項1に記載の油性組成物を含み、オイルオフ値が2cm以下であり、かつ、ヒートショック耐性が0.5cm以上である可塑性油脂組成物。
  3. 5~40℃までのSFCの値が6.5%以下であることを特徴とする請求項2に記載の可塑性油脂組成物。


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