JP2004289455A - 歪み補償制御回路、歪み補償増幅装置及びその動作制御方法 - Google Patents

歪み補償制御回路、歪み補償増幅装置及びその動作制御方法 Download PDF

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信夫 宮寺
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Abstract

【課題】入力信号の周波数帯域の広狭に関係なく、歪み成分を除去することができる、フィードフォワード型歪み補償増幅装置とする。
【解決手段】遅延回路(DL)5で遅延した入力信号と、主増幅器2で増幅した入力信号とをCDC7で合成した後、その合成信号をCDC8で取り出し、取り出した合成信号をバンド・パス・フィルタ20,22でそれぞれ所定の周波数の信号分離し、分離した二つの信号を、同期検波回路21,23でそれぞれ入力信号又はその直交信号で同期検波し、信号処理回路24で制御信号に変換して主増幅器2に帰還させ、これによって主増幅器2の利得、位相又はその両者を調整することにより、歪み成分を正しく抽出できるようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば非線形歪みを補償するフィードフォワード型の歪み補償増幅装置、歪み補償制御回路、及び歪み補償増幅装置の動作制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
入力信号に対して出力信号の波形が非線形に歪むと、例えばデータ化け、映像歪み等の障害が発生する場合がある。このことから、歪み成分を抽出して元の波形に戻すための、フィードフォワード型歪み補償増幅装置が従来より用いられている。従来のこの種のフィードフォワード型歪み補償増幅装置は、図5に示すように、入力端子40に入力された信号(入力信号)が、方向性結合器(Coaxial Directional Couplers:以下、CDC)1を介して主増幅器2に入力される。
CDC1より取り出された入力信号は、遅延回路(Delay Line:以下、DL)5で遅延された後、CDC7で主増幅器2の出力信号の一部と合成される。このとき、両信号の振幅が等しく、位相がちょうど反転していれば、主増幅器2の出力信号の歪み成分のみがCDC7の出力信号となり、CDC8に入力される。
【0003】
このCDC8を経て、副増幅器9で増幅された信号は、主増幅器2で増幅された後、CDC3、DL4を経た出力信号と合成部10で合成される。合成された信号は、出力端子41に導かれる。このとき、副増幅器9からの出力信号の歪み成分と主増幅器2からの出力信号の歪み成分との振幅が等しく、位相が完全に反転していれば、両信号の歪み成分が相殺され、合成部10の出力信号は入力信号の増幅分のみとなる。
【0004】
フィードフォワード型歪み補償増幅装置には、この合成部10による信号合成の際、歪み成分が常にうまく相殺されるようにするための二つの制御ループが形成されている。
第1の制御ループは、CDC8により取り出されたCDC7の出力信号に基づいて、振幅・位相調整器42で主増幅器2の出力信号の振幅、位相を調整するための制御信号を生成し、この制御信号を主増幅器2の利得制御系に帰還することにより、主増幅器2の振幅、位相又はその両者を制御するループである。
第2の制御ループは、出力信号の分岐抽出部となる出力段のCDC11により抽出された合成部10の出力信号に基づいて、振幅・位相調整器43で副増幅器9の出力信号の振幅、位相を調整するための制御信号を生成し、この制御信号を副増幅器9に帰還することにより副増幅器9の振幅、位相又はその両者を制御するループである。
振幅・位相調整器42、43は、それぞれ信号を検出する電力検出回路と、検出された信号を制御信号に変換する信号処理回路とを含んで構成される。
【0005】
このような二つの制御ループのうち、主増幅器2の上記制御を行う第1の制御ループにおいて歪み成分を如何に正しく抽出できるかは、非常に重要な要素となる。歪み成分を完全に抽出できないと、副増幅器9でそれが増幅される結果、出力端子41に導かれる最終的な出力信号に歪み成分が残ってしまうためである。また、第1の制御ループに歪み成分が残っている場合には、それも含めた補償を行う回路が別途必要になり、余分な電力を必要とするためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
主増幅器2で生じた歪み成分を補償するためには、主増幅器2で増幅される前の入力信号の信号成分を所定時間だけ遅延させ、遅延した信号成分と主増幅器2で増幅された出力信号の信号成分とを相殺して信号成分を除去し、歪み成分を正しく抽出する必要がある。信号成分の遅延時間は、信号の位相の周波数割合で決定されるので、入力信号の周波数帯域が比較的狭い場合には、第1の制御ループにより主増幅器2の振幅及び位相を適切に調整すれば、信号成分を確実に除去することができ、歪み成分のみを抽出することができる。
【0007】
しかし、主増幅器2の振幅又は位相を調整するということは、これらを変動させるだけでなく、その出力信号の遅延時間も変動させることになる。遅延時間が変動した場合は、主増幅器2の位相をさらに調整することにより、CDC7で合成される2種類の信号の位相を、入力信号の中心周波数においては一致させることができるが、入力信号の周波数帯域が広くなると、全周波数帯域において位相を一致させることができず、信号成分が除去されない可能性がある。そのため、入力信号の周波数帯域が比較的広い場合には、第1の制御ループにより主増幅器2の振幅、位相又はその両者を調整しても、すべての周波数帯域にわたって信号成分を除去することができず、歪み成分のみを抽出することができないという問題が生じる。
【0008】
本発明は、歪み補償型増幅装置に組み込むことにより入力信号の周波数帯域の広狭に関係なく信号成分を除去することができるようにする歪み補償制御回路を提供することをその課題とする。
本発明の他の課題は、歪み補償制御の容易な歪み補償増幅装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、歪み補償の迅速な制御を可能にする歪み補償制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の歪み補償制御回路は、一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号から前記入力信号の信号成分を除去することにより前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出し、抽出した歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の複数の信号に分離する分離回路と、前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する同期検波回路と、この同期検波回路における前記第1信号及び前記第2信号の相関値に基づいて前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させるための制御信号を前記主増幅器に供給する信号処理回路と、を備えて構成されるものである。
【0010】
この歪み補償制御回路では、所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の複数(例えば二つ)の信号に分離し、分離された複数の信号をそれぞれ入力信号と同相する信号及び直交する信号で同期検波するため、当該周波数帯域の広狭に関わらず、入力信号の遅延時間を正しく検出することができる。
【0011】
前記分離回路は、例えば、前記歪み成分のうち、所定の周波数帯域の信号だけを通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させるフィルタにより構成される。あるいは、前記歪み成分を、前記入力信号の全周波数帯域を二分割した周波数帯域毎に分離するようにしてもよい。
【0012】
前記制御信号は、より具体的には、前記主増幅器を制御して、その出力信号の振幅、位相だけでなく、遅延時間をも変化させるための信号である。
【0013】
前記同期検波回路は、具体的には、前記入力信号又は前記分離回路により分離された前記歪み成分の一方の振幅を一定にするためのリミッタ増幅器と、前記入力信号又は前記分離回路により分離された前記歪み成分の一方の位相を90度移相させる移相器と、この移相器で一方が90度移相された前記入力信号と前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々とを乗算する第2乗算器と、前記入力信号と前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々とを同相で乗算する第1乗算器とを備え、前記第1乗算器から前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について前記第1信号を出力し、前記第2乗算器から前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について前記第2信号を出力するように構成される。
【0014】
本発明の他の歪み補償制御回路は、一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号に含まれる信号の歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、前記出力信号の振幅、位相及び/又は遅延時間を調整するための制御回路と、前記出力信号から前記入力信号の信号成分を除去して、前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出する結合器と、結合器により抽出された前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の複数の信号に分離する分離回路と、前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する同期検波回路と、この同期検波回路における前記第1信号及び前記第2信号の相関値に基づいて前記出力信号の振幅、位相及び/又は遅延時間を調整させるための制御信号を前記制御回路に供給する信号処理回路と、を備えており、前記制御回路が、前記主増幅器の入力側或いは出力側のいずれかに設けられて、前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させるように構成されるものである。
【0015】
本発明の他の歪み補償制御回路は、一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号に含まれる信号の歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、前記出力信号から前記入力信号の信号成分を除去して、前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出する結合器と、前記結合器により抽出された前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の二つの信号に分離する分離回路と、前記分離回路により分離された二つの信号の一方を、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する第1同期検波回路と、前記分離回路により分離された二つの信号の他方を、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する第2同期検波回路と、前記第1同期検波回路及び前記第2同期検波回路のそれぞれにより生成された第1信号及び第2信号の相関値に基づいて、前記結合器が前記出力信号から前記入力信号の信号成分のみを除くのに適した前記出力信号を生成するための制御信号を前記主増幅器に供給する信号処理回路と、を備えており、前記第1同期検波回路及び前記第2同期検波回路の各々は、前記入力信号の振幅を一定にするためのリミッタ増幅器と、前記入力信号の位相を90度移相させる移相器と、前記分離回路により分離された二つの信号の一方又は他方と前記リミッタ増幅器により振幅が一定にされた前記入力信号とを乗算する第1乗算器と、前記分離回路により分離された二つの信号の一方又は他方と前記移相器により90度移相された前記入力信号とを乗算する第2乗算器と、を有して、前記第1乗算器の乗算結果を前記第1信号として出力し、前記第2乗算器の乗算結果を前記第2信号として出力するように構成されるものである。
【0016】
本発明の歪み補償増幅装置は、上述した歪み補償制御回路と、この歪み補償制御回路により信号成分が除去された歪み成分を補償する補償回路とを備え、前記補償回路が、前記歪み成分を増幅する副増幅器と、この副増幅器で増幅された歪み成分を前記出力信号から相殺する合成部と、この合成部で前記歪み成分が相殺された前記出力信号を分岐抽出する分岐抽出部と、分岐抽出された出力信号に基づいて前記副増幅器から出力される歪み成分の振幅及び位相を制御する振幅位相調整器とを含んで構成される装置である。
このような歪み補償増幅装置では入力信号の周波数帯域が比較的広い場合であっても、信号成分が正しく除去されるため、周波数帯域に関わらない歪み補償が可能になる。
【0017】
本発明の歪み補償増幅装置の動作制御方法は、入力信号を増幅する主増幅器の出力信号から前記入力信号の信号成分を除去することにより前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出し、抽出した歪み成分の振幅及び位相を調整して、調整後の歪み成分を前記出力信号から除去することにより歪み補償を行う歪み補償増幅装置の動作制御方法であって、前記歪み成分を、所定の周波数の二つの信号に分離する過程と、分離した前記二つの信号の各々を、前記入力信号と同相の信号により同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する過程と、前記第1信号及び前記第2信号の相関関係に基づいて前記主増幅器の振幅、位相及び/又は遅延時間を変化させるための制御信号を生成し、生成した制御信号により前記主増幅器を制御して前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させる過程とを含む方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るフィードフォワード型歪み補償増幅装置の構成図である。図5に示した従来のフィードフォワード型歪み補償増幅装置と同一機能の構成要素については、同一符号を付してある。
このフィードフォワード型歪み補償増幅装置は、図5に示した従来のフィードフォワード型歪み補償増幅装置における第1の制御ループを改良し、入力信号の周波数帯域の広狭に関わらずに信号成分を相殺できるようにしたものである。この改良された第1の制御ループを簡易な手法で実現するのが、本発明の歪み補償制御回路である。
【0019】
この実施形態における歪み補償制御回路は、CDC8により取り出された信号、すなわち、DL5で遅延された入力信号と主増幅器2の出力信号との合成信号を、帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)20,22により使用周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の二つの信号に分離し、分離された各信号を同期検波回路21,23でそれぞれ遅延後の入力信号又はその直交信号(位相差が90度の信号)により同期検波するとともに、同期検波された信号を信号処理回路24で制御信号に変換して主増幅器2の制御部に入力することにより、その主増幅器2の出力信号に含まれる歪み成分を正しく抽出するものである。
【0020】
つまり、図5に示した振幅・位相調整器42に代えて、BPF20,22、同期検波回路21,23及び信号処理回路24を歪み補償制御回路として設けることにより、主増幅器2の制御部を制御して、振幅、位相だけでなく、遅延時間をも調整できるようにしたものである。
歪み成分の補償回路の部分、すなわち第2制御ループについては、この実施形態により信号成分が確実に除去された合成信号を副増幅器9で増幅する点を除き、図5に示した従来のフィードフォワード型歪み補償増幅装置のものと同一構成となる。
【0021】
まず、この実施形態におけるBPF20,22について説明する。
BPF20,22には、それぞれ上記合成信号が入力される。合成信号が入力されると、BPF20,22は、それぞれ予め設定された周波数帯域の信号のみを通過させる。この実施形態では、BPF20は、合成信号の上側波帯域の信号のみを通過させ、BPF22は、合成信号の下側波帯域の信号のみを通過させるように構成されている。これにより、CDC8の出力信号が、上側波帯域の信号と下側波帯域の信号の二つに分離される。
【0022】
次に、同期検波回路21,23について説明する。
図2は、この同期検波回路21,23の構成図である。
同期検波回路21には、CDC1、DL5を経てCDC6により取り出された遅延後の入力信号(図2上段の信号)と、CDC6及びCDC7を経てCDC8により取り出された上記合成信号のうち、BPF20を通過した上側波帯域の合成信号(図2下段の信号)とが入力される。
また、同期検波回路23には、CDC1、DL5を経てCDC6により取り出された遅延後の入力信号(図2上段の信号)と、CDC6及びCDC7を経てCDC8により取り出された上記合成信号のうち、BPF22を通過した下側波帯域の信号(図2下段の信号)とが入力される。
CDC6より取り出された遅延後の入力信号は、リミッタAMP30でその振幅が一定値に増幅された後、2分岐され、一方の分岐信号はI出力用の乗算器32に供給され、他方の分岐信号は90度移相器31で90度の位相をずらした状態でQ出力用の乗算器33に供給される。
一方、BPF20又はBPF22の出力信号は、両乗算器32,33に同時に入力される。Q出力用の乗算器33からは、入力信号と直交する成分の信号(以下、「検波出力Q」)、I出力用の乗算器32からは入力信号と同相の成分の信号(以下、「検波出力I」)がそれぞれ出力される。これらの出力は、後段の信号処理回路24に出力される。
【0023】
検波出力Iは、BPF20又はBPF22を通過したCDC8からの合成信号のうち遅延後の入力信号と同相成分の振幅の増減に伴って増減する。また、DL5を経由してCDC7に入力される信号の振幅と、CDC3で取り出されてCDC7に入力される信号の振幅が一致したときゼロとなる。
すなわち、検波出力Iは、BPF20又はBPF22を通過したCDC8からの合成信号のうち遅延後の入力信号と同相成分の振幅の変化に従って正方向と負方向の両方向に変化する。検波出力Qは、BPF20又はBPF22を通過したCDC8からの合成信号のうち遅延後の入力信号と直交する成分の振幅の変化に従って正方向と負方向の両方向に変化する。
【0024】
位相変化については、CDC8からの合成信号に含まれる、入力信号と同相成分の振幅と直交成分の振幅との比率を変えることになるので、検波出力I及び検波出力Qが正方向と負方向の両方向に変化する。
実際には、同相成分と直交成分の信号は、同時に同期検波回路21,23に入力され、また、伝搬中に各種位相の回り込みの影響を受けて同期検波回路21,23に入力されるので、両成分は、図3及び図4に示されるように、複雑な関係になっている。
【0025】
図3,図4において、”I”軸は、CDC1及びCDC6で取り出され、リミッタAMP30で増幅された信号と同相の成分を表すベクトル軸であり、”Q”軸は、”I”軸と直交するベクトル軸である。すなわち、”I”軸は入力信号の同相軸、”Q”軸は入力信号の直交軸である。
【0026】
図3において、ベクトルOAは、主増幅器2で増幅され、CDC3で取り出された後、CDC7で合成される前の信号の位相を表している。
ベクトルORは、CDC1で取り出され、DL5で遅延された後、CDC7で合成される前の信号の位相を表している。両信号が合成された状態、すなわちベクトルOAとベクトルORの合成ベクトルは、後者が前者から減算されるとして、RAで表される。
なお、ベクトルOBは、主増幅器2の振幅を大きくしたとき(利得を上げたとき)の信号の状態を示している。このときの合成信号は、RBで表される。また、ベクトルOCは、主増幅器2の位相を調整したときの信号の状態を示している。このときの合成信号は、RCで表される。
【0027】
図4は、図3の各ベクトル頂点付近の拡大図であり、検波出力I、及び検波出力Qを示している。図中、A,B,Cは、図3の各ベクトルの頂点位置である。Biは頂点Bから”I”軸への垂線であり、Bqは頂点Bから”Q”軸への垂線、Ciは頂点Cから”I”軸への垂線、Cqは頂点Cから”Q”軸への垂線である。主増幅器2の利得を上げたとき、検波出力Iの値はABiとなり、検波出力Qの値はABqとなる。また、主増幅器2の位相を調整したとき、検波出力Iの値はACiとなり、検波出力Qの値はACqとなる。
【0028】
ここで、”I”軸、”Q”軸の方向は、フィードフォワード型増幅器の構成に応じて一意に決まる。そこで、この実施形態では、主増幅器2の振幅、位相又はその両者を調整することにより、検波出力Iと検波出力Qの値を測定し、両者の相関関係を求める。
例えば、振幅微小変化ΔG、位相微小変化ΔPにより、検波出力I、検波出力Qが、図4における値ABi、ABq、ACi、ACqであったとすると、振幅変化G、位相変化Pによる検波出力Iの変化、検波出力Qの変化は、それぞれ下記式で表される。
検波出力Iの変化=(ABi/ΔG)G+(ACi/ΔP)P
検波出力Qの変化=(ABq/ΔG)G+(ACq/ΔP)P
この関係は、ベクトルOA=ベクトルORのときも成り立ち、ベクトルOA=ベクトルORとなるための振幅、位相をG、Pとすると、以下のようになる。
検波出力I=(ABi/ΔG)(G−G)+(ACi/ΔP)(P−P
検波出力Q=(ABq/ΔG)(G−G)+(ACq/ΔP)(P−P
すなわち、主増幅器2の出力の振幅と位相の変化は、検波出力I及び検波出力Qと、一次式の関係で表現することができる。
【0029】
信号処理回路24は、同期検波回路21,23から出力される各検波出力I及び各検波出力Qの相関値に基づいて主増幅器2の振幅、位相及び遅延時間の制御方向及び制御量を決定し、入力信号と主増幅器2の出力信号の振幅の差分を低減させる制御信号を主増幅器2に供給する。入力信号と主増幅器2の出力信号の振幅の差分を低減させることにより、合成信号の内の入力信号の信号成分をゼロにする。
CDC7に入力される2種類の信号(DL5を経由してCDC7に入力される信号とCDC3で取り出されてCDC7に入力される信号)の遅延時間が異なる場合、下側波帯域の位相と上側波帯域の位相は相違する。
なお、分離された2つの周波数帯のそれぞれの中心角周波数をω1、ω2とし、それぞれの必要な位相制御量をΦ1、Φ2とすると、主増幅器2で調整される位相の制御量Φ及び遅延時間の制御量Tdは、以下のような式で算出できる。
Φ=(Φ1ω2−Φ2ω1)/(ω2−ω1)
Td=(Φ1−Φ2)/(ω2−ω1)
【0030】
この実施形態によれば、BPF20,22により合成信号が上側波帯域の信号と下側波帯域の信号とに分離され、同期検波回路21,23により分離された各信号についてそれぞれ同期検波されるので、それぞれの周波数帯域毎の位相調整のための値を求めることが可能であり、これに基づいて位相及び遅延時間を調整することにより、入力信号の周波数帯域が広い場合でも全周波数帯域にわたって信号成分を除去することができる。また、主増幅器2及び副増幅器9の消費電力を下げることができることから、歪み補償増幅装置の製造コストを低減させ、小型化にも貢献できるようになる。
【0031】
この実施形態では、主増幅器2の制御部により振幅、位相及び遅延時間を調整する場合の例を説明した。CDC7で入力信号の信号成分を除去するには、DL5を経由してCDC7に入力される信号と、CDC3で取り出されてCDC7に入力される信号との振幅、位相及び遅延時間を一致させればよいため、これらのずれを調整する箇所は、CDC1で分離された後、CDC7により合成される前であればよい。また、振幅及び位相については主増幅器2で調整し、遅延時間についてはCDC3で分離された後、CDC7により合成される前に調整することとしてもよい。つまり、振幅、位相及び遅延時間は、CDC1から主増幅器2、CDC3を通ってCDC7に入力されるまでの経路上のいずれかに制御部を設けて調整すればよい。
【0032】
なお、遅延時間は周波数による位相変化が直線的に変化するので、任意の周波数の2点の位相を検波し、この位相差をゼロにすることで全周波数の位相差をゼロにすることができる。
このことから、二つのBPF20,22では、必ずしも入力信号の全周波数帯域を共通幅の周波数帯域に分離する必要はなく、例えば、BPF20は、入力信号の全周波数帯域のうち下側1/4の低周波数帯域の周波数信号のみを通過させ、BPF22は、上側1/4の高周波数帯域の周波数信号のみを通過させるように構成してもよい。また、必ずしもBPFではなく、バンド・リジェクト・フィルタその他の信号分離回路によって入力信号を二つの信号に分離するようにしてもよい。要は、互いに協働して全周波数帯域をカバーする二つの信号に分離するようにすれば、本発明を実施することができるものである。
また、BPF及び同期検波回路の数を増やして、合成信号を2以上に分離するようにしてもよい。このようにすれば、入力信号の全周波数帯域が大きくなっても、分離する数を増やして対応できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、フィードフォワード型歪み補償増幅装置において、入力信号の周波数帯域の広狭に関係なく信号成分の除去が全帯域にわたって行われ、純粋に歪み成分のみが得られるようになる。よって、歪み補償に従来より飽和電力の低い増幅器を用いることができるようになるなど、そのメリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるフィードフォワード型歪み補償増幅装置の構成図。
【図2】本実施形態による同期検波回路の構成図。
【図3】本実施形態による同期検波回路の出力説明図。
【図4】図3の各ベクトル頂点付近を拡大してIQ出力を示した説明図。
【図5】従来のフィードフォワード型歪み補償増幅装置の構成図。
【符号の説明】
1,3,6,7,8,11 CDC(方向性結合器)
2 主増幅器
4,5 DL(遅延回路)
9 副増幅器
10 合成部
24 信号処理回路
20,22 BPF(帯域通過フィルタ)
30 リミッタAMP
31 90度移相器
32,33 乗算器
21,23 同期検波回路
40 入力端子
41 出力端子

Claims (9)

  1. 一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号から前記入力信号の信号成分を除去することにより前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出し、抽出した歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、
    前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の複数の信号に分離する分離回路と、
    前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する同期検波回路と、
    この同期検波回路における前記第1信号及び前記第2信号の相関値に基づいて前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させるための制御信号を前記主増幅器に供給する信号処理回路と、を備えてなる、
    歪み補償制御回路。
  2. 前記分離回路は、前記歪み成分のうち、所定の周波数帯域の信号だけを通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させるフィルタである、
    請求項1記載の歪み補償制御回路。
  3. 前記分離回路は、前記歪み成分を、前記入力信号の全周波数帯域を二分割した周波数帯域毎に分離するものである、
    請求項1記載の歪み補償制御回路。
  4. 前記制御信号が、前記主増幅器を制御してその出力信号の振幅及び/又は位相のほか、前記入力信号の遅延時間をも変化させるための信号である、
    請求項1記載の歪み補償制御回路。
  5. 前記同期検波回路が、前記入力信号又は前記分離回路により分離された前記歪み成分の一方の振幅を一定にするためのリミッタ増幅器と、前記入力信号又は前記分離回路により分離された前記歪み成分の一方の位相を90度移相させる移相器と、この移相器で一方が90度移相された前記入力信号と前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々とを乗算する第2乗算器と、前記入力信号と前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々とを同相で乗算する第1乗算器とを備え、前記第1乗算器から前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について前記第1信号を出力し、前記第2乗算器から前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について前記第2信号を出力するように構成されている、
    請求項1記載の歪み補償制御回路。
  6. 一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号に含まれる信号の歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、
    前記出力信号の振幅、位相及び/又は遅延時間を調整するための制御回路と、
    前記出力信号から前記入力信号の信号成分を除去して、前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出する結合器と、
    結合器により抽出された前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の複数の信号に分離する分離回路と、
    前記分離回路により分離された前記歪み成分の各々について、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する同期検波回路と、
    この同期検波回路における前記第1信号及び前記第2信号の相関値に基づいて前記出力信号の振幅、位相及び/又は遅延時間を調整させるための制御信号を前記制御回路に供給する信号処理回路と、を備えており、
    前記制御回路が、前記主増幅器の入力側或いは出力側のいずれかに設けられて、前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させるように構成されている、
    歪み補償制御回路。
  7. 一定の周波数帯域を有する入力信号を増幅する主増幅器の出力信号に含まれる信号の歪み成分を補償する装置に組み込まれる歪み補償制御回路であって、
    前記出力信号から前記入力信号の信号成分を除去して、前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出する結合器と、
    前記結合器により抽出された前記歪み成分をそれぞれ所定の周波数帯域を協働でカバーする互いに異なる周波数の二つの信号に分離する分離回路と、
    前記分離回路により分離された二つの信号の一方を、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する第1同期検波回路と、
    前記分離回路により分離された二つの信号の他方を、前記入力信号と同相の信号で同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する第2同期検波回路と、
    前記第1同期検波回路及び前記第2同期検波回路のそれぞれにより生成された第1信号及び第2信号の相関値に基づいて、前記結合器が前記出力信号から前記入力信号の信号成分のみを除くのに適した前記出力信号を生成するための制御信号を前記主増幅器に供給する信号処理回路と、を備えており、
    前記第1同期検波回路及び前記第2同期検波回路の各々は、
    前記入力信号の振幅を一定にするためのリミッタ増幅器と、
    前記入力信号の位相を90度移相させる移相器と、
    前記分離回路により分離された二つの信号の一方又は他方と前記リミッタ増幅器により振幅が一定にされた前記入力信号とを乗算する第1乗算器と、
    前記分離回路により分離された二つの信号の一方又は他方と前記移相器により90度移相された前記入力信号とを乗算する第2乗算器と、を有して、
    前記第1乗算器の乗算結果を前記第1信号として出力し、前記第2乗算器の乗算結果を前記第2信号として出力するように構成されている、
    歪み補償制御回路。
  8. 請求項1乃至7のいずれかの項記載の歪み補償制御回路と、この歪み補償制御回路により信号成分が除去された歪み成分を補償する補償回路とを備え、
    前記補償回路が、前記歪み成分を増幅する副増幅器と、この副増幅器で増幅された歪み成分を前記出力信号から相殺する合成部と、この合成部で前記歪み成分が相殺された前記出力信号を分岐抽出する分岐抽出部と、分岐抽出された出力信号に基づいて前記副増幅器から出力される歪み成分の振幅及び位相を制御する振幅位相調整器とを含んで構成される、
    歪み補償増幅装置。
  9. 入力信号を増幅する主増幅器の出力信号から前記入力信号の信号成分を除去することにより前記主増幅器で生じた歪み成分を抽出し、抽出した歪み成分の振幅及び位相を調整して、調整後の歪み成分を前記出力信号から除去することにより歪み補償を行う歪み補償増幅装置の動作制御方法であって、
    前記歪み成分を、所定の周波数の二つの信号に分離する過程と、
    分離した前記二つの信号の各々を、前記入力信号と同相の信号により同期検波して第1信号を生成するとともに前記入力信号に直交する信号により同期検波して第2信号を生成する過程と、
    前記第1信号及び前記第2信号の相関関係に基づいて前記主増幅器の振幅、位相及び/又は遅延時間を変化させるための制御信号を生成し、生成した制御信号により前記主増幅器を制御して前記入力信号と前記出力信号の振幅の差分を低減させる過程とを含む、
    歪み補償増幅装置の動作制御方法。
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