JP2004288390A - 陰極線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】傍熱型カソード構体を構成する各電極の温度上昇を低減させてヒータの消費電力を低減させた傍熱型カソード構体を電子銃に具備した陰極線管を提供する。
【解決手段】熱電子放出物質層を有するベースメタル41と、一端部にベースメタル41を保持し、内部に加熱ヒータ45を収容する筒状のスリーブ42と、加熱ヒータ45のヒータ主部側に径大部を有し、加熱ヒータ45の脚部側に径小部を有し、かつスリーブ42を支持する異形サポート43と、加熱ヒータ45の脚部側に径大部を有し、加熱ヒータ45の主部側に径小部を有するカソードディスク44とを備え、スリーブ42の他端部外面とサポート43の径小部内面とを固着させ、サポート43の径大部外面とカソードディスク44の径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブ42の外壁面からサポート43を経てカソードディスク44の径大部端部までの熱伝導距離を長くする。
【選択図】 図3
【解決手段】熱電子放出物質層を有するベースメタル41と、一端部にベースメタル41を保持し、内部に加熱ヒータ45を収容する筒状のスリーブ42と、加熱ヒータ45のヒータ主部側に径大部を有し、加熱ヒータ45の脚部側に径小部を有し、かつスリーブ42を支持する異形サポート43と、加熱ヒータ45の脚部側に径大部を有し、加熱ヒータ45の主部側に径小部を有するカソードディスク44とを備え、スリーブ42の他端部外面とサポート43の径小部内面とを固着させ、サポート43の径大部外面とカソードディスク44の径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブ42の外壁面からサポート43を経てカソードディスク44の径大部端部までの熱伝導距離を長くする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傍熱型カソード構体を有する電子銃を具備した陰極線管に係わり、特に傍熱型カソード構体の電極構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビ受像管やディスプレイ管などに用いられる陰極線管は、その精細な画像再現性を有していることから、各種の情報処理機器の表示手段として広く用いられている。
【0003】
この種の陰極線管は、内面に蛍光体を塗布してなる蛍光面を形成したパネル部と、傍熱型カソード構体と制御電極と加速電極とからなる電子ビーム発生部で発生した電子ビームを集束加速して蛍光面に向けて出射する複数の電極を有する電子銃を収容したネック部と、パネル部とネック部とを連接し、電子銃から発射される電子ビームを蛍光面上で走査させる偏向ヨークを外装したファンネル部とで構成した真空外囲器とを有して構成されている。
【0004】
図5は、傍熱型カソード構体の構成を説明する断面図である。同図において、傍熱型カソード構体21は、ビードサポート22,アイレット23,ヒータサポート24,ヒータ25,電子放出物質層26を保持する基体金属27,カソードサポートスリーブ28及びカソードディスク29により構成される。
【0005】
傍熱型カソード構体21は、アイレット23とビードサポート22とによりマルチフォームガラス20に固定される。また、カソードサポートスリーブ28の内部に収納されたヒータ25は、その端部(脚部)をヒータサポート24に溶接により固定されている。
【0006】
図6は、図5に示すヒータ25の構成を示す説明図であり、図6(a)は側面図を、図6(b)は図6(a)のA部の拡大断面図をそれぞれ示している。同図において、このヒータ25は、螺旋状にコイル巻線したタングステン芯線31にアルミナ絶縁膜32を塗布し、このアルミナ絶縁膜32の表面にタングステン微粉末33を塗布して黒化処理を行って形成されている。この黒化処理に目的は、ヒータ25からの輻射熱の放射を効率化させてヒータ25の温度を下げ、信頼性を向上させることにある。
【0007】
なお、図6(a)において、34は図6(b)に示すタングステン芯線31を3重巻きしたヒータ脚部、35は2重螺旋成形部(ヒータ主部)、36は図6(b)に示すタングステン微粉末33による表面黒化処理部、37はアルミナ塗布部、38はアルミナ非塗布部、39はモリブデン線溶解跡(中空部)を示している。なお、この種の傍熱型カソード構体については、例えば下記特許文献2及び特許文献3などに開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−182965号公報
【特許文献2】
特開平11−354041号公報
【特許文献3】
特開2002−93335号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成される陰極線管の傍熱型カソード構体において、加熱ヒータは、3重巻きとした部分のヒータ脚部の電気抵抗が低くなることから、発熱量が少なくなり、ヒータパワーは2重螺旋成形部に集中するので、低電力化が図れるが、単にヒータ脚部を多重コイル巻きとした場合には、電気抵抗の低減効果は少なく、ヒータの消費電力の低減には限度があった。
【0010】
さらに傍熱型カソード構体のカソードスリーブの内壁面を黒化させることによって省電力化を実現する構成については提案されている例があるが、傍熱型カソード構体の電極構造及び加熱ヒータの構造を改善することにより、各種の電気的特性を向上させつつ、消費電力を低減させ、積極的に低消費電力化を図る構成については何ら開示されておらず、また、これらの構成について考慮されている例は見当たらない。
【0011】
また、近年においては、省エネルギーの観点から、一層の低電力化が要請されており、そのニーズは時代の流れでもあり、今後とも益々強くなる傾向にある。陰極線管に関しては、モニターセットに消費電力は、約100W程度であり、このうち傍熱型陰極カソードでは、その消費電力は2〜4%の割合を占めているのが現状である。
【0012】
また、一般に陰極線管等に用いられている3電子銃タイプの加熱ヒータは、ヒータ定格が6.3V−300mA(1電子銃:1個のヒータ当り0.63W)の仕様ものが多く用いられており、十分な省電力化が得られているとは言えなかった。
【0013】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、傍熱型カソード構体を構成する各電極の温度上昇を低減させてヒータの消費電力を低減させた傍熱型カソード構体を電子銃に具備した陰極線管を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明による陰極線管における傍熱型カソード構体は、熱電子放出物質層を有するベースメタルと、一端部にベースメタルを保持し、内部に加熱ヒータを収容する筒状のスリーブと、前記加熱ヒータのヒータ主部側に径大部を有し、加熱ヒータの脚部側に径小部を有し、かつスリーブを支持する異形サポートと、加熱ヒータの脚部側に径大部を有し、加熱ヒータの主部側に径小部を有するカソードディスクとを備え、スリーブの他端部外面とサポートの径小部内面とを固着させ、サポートの径大部外面と前記カソードディスクの径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブの外壁面からサポートを経てカソードディスクの径大部端部までの熱伝導距離が長くなる。
【0015】
本発明による他の陰極線管における傍熱型カソード構体は、スリーブの板厚を15μm以上20μm以下とすることが望ましい。さらには、加熱ヒータが線径22μm〜29μm以下のタンタングステン線を用い、加熱ヒータの脚部が加熱ヒータのヒータア主部よりも多重巻きされて形成されることが望ましい。
【0016】
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による陰極線管の一実施例を説明するシャドウマスク型カラー陰極線管の概略構成を説明する模式断面図である。同図において、1はパネル部、2はファンネル部、3はネック部、4はパネル部1の内面に蛍光体を塗布して形成した蛍光面、5は色選択電極としてのシャドウマスク、6は外部磁界(地磁気)を遮蔽する磁気シールド、7は偏向ヨーク、8は外部磁気補正装置、9は3本の電子ビームを出射する傍熱型陰極を備えた電子銃、10は3本の電子ビームのうちの1本を代表して示す電子ビームである。
【0018】
このような構成において、電子銃9から出射する3本の電子ビーム10は、図示しない外部信号処理回路から出力される映像信号により変調され、蛍光面4に向けて出射する。この電子ビーム10は、ネック部3とファンネル部2との遷移領域に外装された偏向ヨーク7で発生される水平と垂直との偏向磁界を通過させることにより、蛍光面4上を2次元に走査される。シャドウマスク5は、その面内に形成した多数の開孔で通過する3本の電子ビームのそれぞれを色毎に選択して所要の映像を再現する。
【0019】
図2は、図1に示したカラー陰極線管に用いられる電子銃の構成を説明する側面図である。同図において、この電子銃9は、制御電極(第1グリッド電極:G1)11と、加速電極(第2グリッド電極:G2)12と、第3グリッド電極(G3)13と、第4グリッド電極(G4)14と、集束電極(第5グリッド電極:G5)15と、陽極(第6グリッド電極:G6)16と、シールドカップ17とを管軸方向に所定の間隔と位置関係をもたせて配列し、それぞれマルチフォームガラス20により固定支持するとともに、ステム18に植設されたステムピン18aに各電極に設けられたタブまたはリード線を溶接させて構成される。
【0020】
また、この電子銃9は、制御電極11のステム18側に傍熱型カソード構体21が近接配置されており、当該傍熱型カソード構体21には電子放出部を加熱するヒータが内蔵されている。なお、19はバルブスペーサコンタクトであり、このバルブスペーサコンタクト19はネック部の内壁面に弾接して電子銃の中心軸を管軸に一致させる機能を有するとともに、ファンネル部及びネック部の内壁面に塗布されている内部導電膜から電子銃に陽極電圧を導入する機能を有している。
【0021】
また、制御電極11と加速電極12と傍熱型カソード構体21とで電子ビーム発生部を構成している。また、電極13〜15は電子ビーム発生部から出射する電子ビームを加速集束し、集束電極15と陽極16との間に形成される主レンズにより集束されて蛍光面方向に指向される。
【0022】
また、ステム18は、真空外囲器のネック部開放端に溶着され、外部駆動回路から供給される信号または電圧をステムピン18aを介して各電極に印加する。また、図1の外部磁気補正装置(マグネット組立て体)8は、電子銃9とパネル部1,ファンネル部2,シャドウマスク5との微妙な軸ずれまたは回転ずれによる電子ビーム10と蛍光面4との不一致を補正する機能を有している。
【0023】
図3は、図2に示す電子銃に用いられる傍熱型カソード構体の構成を説明する拡大断面図である。図3において、41は頂部表面に熱電子放出物質層が形成されたベースメタル、42は一端にベースメタル41を保持する円筒状のスリーブ、43はスリーブ42を支持する異形サポート、44はサポート43を固定する円筒状カソードディスク、45はスリーブ42の内部に収容される加熱ヒータである。
【0024】
このような構成において、ベースメタル41の頂部表面に保持される熱電子放出物質層は、バリウム(Ba)を含むアルカリ土類三元炭酸塩から出発し、分解して得られた化学式(Ba,Ca,Sr)Oで示されるバリウムを含む複数のアルカリ土類金属酸化物を主成分としている。この熱電子放出物質層を保持するベースメタル41は、微量のマグネシウム(Mg)及びシリコン(Si)などの還元剤を含む厚さ約0.14mmのニッケル板材をプレス加工成形法などにより帽子状に形成されている。
【0025】
また、このベースメタル41を蛍光面側端部(図の上側)に取付けるスリーブ42は、ニッケル−クローム(Ni−Cr)合金材をプレス加工成形法などにより全長が約7.5mm,直径が約1mm、板厚が約20μm以下の寸法を有する略円筒状に形成され、そのステム側に位置する他端部(図の下側)は外径が約1mmの上記蛍光面側端部(一端部)よりも大きい鍔状のフレア部46を有して形成されている。
【0026】
また、このスリーブ42を支持するサポート43は、熱伝導性の良好なニッケル(Ni)板材をプレス加工成形法などにより板厚約0.015mmの寸法を有して一体成形され、その一端部(蛍光面側)と中央部と他端部(ステム側)とで外径寸法が長さ方向に沿ってそれぞれ順次小さくなる径大部,径中部,径小部を一体的に有する異形状で形成されている。
【0027】
そして、スリーブ42は、その他端部に隣接する筒状部の端部外面とサポート43の径小部内面とが接合され、その接合部が溶接点S1,S2で例えばレーザー溶接法によりスポット溶接されて固着され、スリーブ42がサポート43に支持固定されている。なお、この溶接点S1,S2は2箇所のみを図示した。他の個所は図示されていないが、この溶接点は、各電極を中心軸上に安定させて支持固定させるためには円周方向に少なくとも3箇所が必要となる。
【0028】
また、これらのスリーブ42及びサポート43を支持固定するカソードディスク44は、熱伝導性の良好なニッケル(Ni)板材をプレス加工成形法などにより一体成形されており、その一端部(蛍光面側)と他端部(ステム側)とで外径寸法が長さ方向に沿ってそれぞれ異なる径小部と径大部を一体的に有する異形状で形成されている。なお、このカソードディスク44はサポート43の肉厚よりも比較的大きな肉厚を有して形成されている。
【0029】
そして、サポート43は、その一端部外面とディスク44の径小部内面とが接合され、その接合部が溶接点S3,S4で例えばレーザー溶接法によりスポット溶接されて固着され、スリーブ42が支持固定されたサポート43がカソードディスク44に支持固定されることになる。なお、この溶接点S3,S4は2箇所のみを図示した。他の個所は図示されていないが、この溶接点は、各電極を中心軸上に安定させて支持固定させるためには円周方向に少なくとも3箇所が必要となる。
【0030】
板厚20μm以下で形成されたスリーブ42の他端部外面とサポート43の径小部内面との接合部を溶接してスリーブ42をサポート43に支持固定させる。サポート43の一端部外面とカソードディスク44の径小部内面との接合部を溶接してスリーブ42を支持固定させたサポート43をカソードディスク44に支持固定させる。スリーブ42とカソードディスク44とをサポート43を介して結合させたことにより、スリーブ42の外壁部からサポート43を経てカソードディスク44の下端部までの熱伝導距離を長く取ることができる。よってスリーブ42からの熱の逃げを減少させることができる。この結果、熱効率が向上することにより、陰極カソード構体21、特にカソード系の低消費電力化を達成できる。
【0031】
スリーブ42の板厚が20μm以下とした場合について説明したが、このスリーブ42の板厚が20μmを超える厚さとすると、加熱ヒータ45の発熱部から発生する熱の伝導率を向上させ、この結果、熱効率を低下させることになり、低消費電力化を達成できないことになる。また、その板厚が数μm程度と極端に薄くすると、低消費電力化をさらに向上させることができる反面、機械的強度及びその製作性などの観点から、その板厚は、約15μm程度の厚さまでが限界である。
【0032】
図4は、図3に示す傍熱型カソード構体に用いられる加熱ヒータ45の構成を説明する外観側面図である。この加熱ヒータ45の基本構造は、螺旋状にコイル巻線したタングステン芯線にアルミナ絶縁膜を塗布し、このアルミナ絶縁膜の表面にタングステン微粉末を塗布して黒化処理を施して形成されている。
【0033】
図4において、34はタングステン線を3重巻きしたヒータ脚部、35はヒータ脚部34の巻きピッチより粗のピッチで単一コイル巻きした発熱部(ヒータ主部とも言う)、36はアルミナとタングステン微粉末による表面黒化処理部、37はアルミナ塗布部、38はヒータサポートに溶接する図3に示す加熱ヒータ45の開放端である脚部あり、アルミナ非塗布部を示す。このアルミナ非塗布部38は図5に示すヒータサポート24に溶接固定される。なお、表面黒化処理部36とアルミナ塗布部37とを総称して絶縁被膜の被覆部と称する。
【0034】
具体的な数値で説明すると、加熱ヒータ45は、直径約25.7μm(200mm当りのタングステン線重量で2mg(MG))のタングステン線を用いる。発熱部35は、先端(図4の最上部)から約3mmまでの領域に形成され、そのコイル巻きのピッチが0.8ターン/mmのコイル巻き層数が1(すなわち単一層)で形成されている。さらに、この発熱部35のコイル巻き層上には、直径約0.07μmのモリブデン線が17ターン/mmのピッチで約300ターンコイル巻きされている。また、脚部34は、発熱部35のタングステン線に連続して残りの7mmまでの領域にコイル巻きピッチが15ターン/mmの3重コイル巻き構造で形成されている。すなわち、脚部34のコイル巻きピッチは発熱部35のそれよりも粗でコイル巻き層数は3の多重コイル巻き構造となっている。
【0035】
この加熱ヒータ45の形成方法を説明すると、まず、加熱ヒータ45の発熱部35は直径約0.38mmのマンドレルを用いて2次整形し、2重螺旋構造とする。次にヒータ脚部38を除く部分にアルミナを電着し、このアルミナ層の上層にタングステン微粉末を含むアルミナをコートさせてヒータ本体の表面を黒色化する。これを約1600℃に水素雰囲気中で燒結させ、その後、酸により先に発熱部35にコイル巻きされたモリブデン線を溶解させることにより、表面黒化処理された加熱ヒータ45が製作される。
【0036】
次にこのように構成された加熱ヒータ45と傍熱型カソード構体21とを電子銃に組込み、陰極線管に封止及び排気処理を行った後、カソード温度,消費電力及び電気的諸特性を評価した。この陰極線管は、ヒータ定格が6.3V−75mA(消費電力0.47W)の動作条件で正規のカソード温度(電子放射面で約1000K)が得られた。
【0037】
なお、タングステン線の線径25.7μm(2MG)を中心にその線径29.3μm(2.6MG)とその線径21.4μm(1.4MG)とを選択し、上記と同様な方法で製作し、電気的諸特性を評価した。この結果、タングステン線径29.3μmは、ヒータ定格6.3V−93mAと消費電力は0.59Wと大きかった。また、タングステン線径21.4μm(1.4MG)の場合は、定格6.3Vの陰極線管に適するヒータの製作は、加工性が悪く、さらにヒータの断線発生率が高いことが判った。したがって、線径22μm(200mm当りの重量が1.5mg)〜29μm(200mm当りの重量が2.5mg)の範囲のタングステン線を用いることにより、ヒータ定格6.0V〜6.6Vの範囲で加熱ヒータ45の1個当りのヒータ消費電力が0.5W以下となることが発明者らの繰返し実験により実証された。
【0038】
また、上記構成による傍熱型カソード構体21とタングステン線径29μm以下の加熱ヒータ45とを採用した結果、熱効率が向上することにより、傍熱型カソード構体21、特に加熱ヒータ系,カソード系の低消費電力化を達成できた。また、ストレー電子は、図5に示す制御電極11の開孔に付着した熱電子放出物層中のバリウムが起因となって発生するが、制御電極11の温度が低いため、ストレー電子は出難いことが確認された。また、ドリフト特性は、傍熱型カソード構体21及び制御電極11の形状変形によりカットオフ電圧が変動し、画面の明るさ、特にバックの黒レベルが変動するが、この現象の発生も少なくなっていることも確認された。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明による陰極線管によれば、電子銃の電子ビーム発生部を構成する傍熱型カソード構体は、一端部に熱電子放出物質層を保持するベースメタルを有し、かつ内部に加熱ヒータを収容するスリーブと、加熱ヒータの発熱部と近接する部位に径大部を有し、加熱ヒータの脚部に径小部を有し、かつスリーブを支持する異形サポートを介して取付けられた径大部及び径小部を有するカソードディスクとを具備し、スリーブの他端部外面と前記サポートの径小部内面とを固着させ、サポートの径大部外面と前記カソードディスクの径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブの外壁面からサポートを経てカソードディスクの径大部端部までの熱伝導距離が長くなり、スリーブからの熱の逃げを減少させることができるので、熱効率が向上し、傍熱型カソード構体の低消費電力化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0040】
また、本発明による陰極線管によれば、傍熱型カソード構体は、内部に加熱ヒータを収容するスリーブの板厚を20μm以下とすることにより、スリーブからの熱の逃げをさらに減少させることができるので、熱効率がさらに向上し、傍熱型カソード構体のさらなる低消費電力化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0041】
また、本発明による陰極線管によれば、傍熱型カソード構体は、加熱ヒータとして線径22μm〜29μm以下のタンタングステン線を用い、当該加熱ヒータの脚部が当該加熱ヒータの発熱部よりも多重巻きされて形成されることにより、ヒータ発熱部の熱効率を向上させることができるので、傍熱型カソードの低消費電力化が実現可能となるとともに、この低消費電力化に伴ない、電子銃を構成する電極の熱変形によるドリフトの発生がなくなり、さらには電子銃を構成する電極の温度が低下し、ストレー電子の発生を防止できるなどの各種の電気的特性を向上させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による陰極線管の一実施例を説明するシャドウマスク型カラー陰極線管の概略構成を示す模式断面図である。
【図2】図1に示すカラー陰極線管に用いられる電子銃の構成を示す側面図である。
【図3】図2に示す電子銃に用いられる傍熱型カソード構体の構成を示す拡大断面図である。
【図4】図3に示す傍熱型カソード構体に用いる加熱ヒータの構成を示す一部断面の側面図である。
【図5】傍熱型カソード構体の構成を説明する要部断面図である。
【図6】加熱ヒータの構造を説明する図である。
【符号の説明】
21 傍熱型カソード構体
31 タングステン芯線
32 アルミナ絶縁膜
33 タングステン微粉末
34 ヒータ脚部
35 ヒータ発熱部(ヒータ主部)
36 表面黒化処理部
37 アルミナ塗布部
38 アルミナ非塗布部
39 モリブデン線溶解跡(中空部)
41 ベースメタル
42 スリーブ
43 サポート
44 カソードディスク
45ヒータ
46 フレア部
S1 溶接点
S2 溶接点
S3 溶接点
S4 溶接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、傍熱型カソード構体を有する電子銃を具備した陰極線管に係わり、特に傍熱型カソード構体の電極構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビ受像管やディスプレイ管などに用いられる陰極線管は、その精細な画像再現性を有していることから、各種の情報処理機器の表示手段として広く用いられている。
【0003】
この種の陰極線管は、内面に蛍光体を塗布してなる蛍光面を形成したパネル部と、傍熱型カソード構体と制御電極と加速電極とからなる電子ビーム発生部で発生した電子ビームを集束加速して蛍光面に向けて出射する複数の電極を有する電子銃を収容したネック部と、パネル部とネック部とを連接し、電子銃から発射される電子ビームを蛍光面上で走査させる偏向ヨークを外装したファンネル部とで構成した真空外囲器とを有して構成されている。
【0004】
図5は、傍熱型カソード構体の構成を説明する断面図である。同図において、傍熱型カソード構体21は、ビードサポート22,アイレット23,ヒータサポート24,ヒータ25,電子放出物質層26を保持する基体金属27,カソードサポートスリーブ28及びカソードディスク29により構成される。
【0005】
傍熱型カソード構体21は、アイレット23とビードサポート22とによりマルチフォームガラス20に固定される。また、カソードサポートスリーブ28の内部に収納されたヒータ25は、その端部(脚部)をヒータサポート24に溶接により固定されている。
【0006】
図6は、図5に示すヒータ25の構成を示す説明図であり、図6(a)は側面図を、図6(b)は図6(a)のA部の拡大断面図をそれぞれ示している。同図において、このヒータ25は、螺旋状にコイル巻線したタングステン芯線31にアルミナ絶縁膜32を塗布し、このアルミナ絶縁膜32の表面にタングステン微粉末33を塗布して黒化処理を行って形成されている。この黒化処理に目的は、ヒータ25からの輻射熱の放射を効率化させてヒータ25の温度を下げ、信頼性を向上させることにある。
【0007】
なお、図6(a)において、34は図6(b)に示すタングステン芯線31を3重巻きしたヒータ脚部、35は2重螺旋成形部(ヒータ主部)、36は図6(b)に示すタングステン微粉末33による表面黒化処理部、37はアルミナ塗布部、38はアルミナ非塗布部、39はモリブデン線溶解跡(中空部)を示している。なお、この種の傍熱型カソード構体については、例えば下記特許文献2及び特許文献3などに開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−182965号公報
【特許文献2】
特開平11−354041号公報
【特許文献3】
特開2002−93335号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成される陰極線管の傍熱型カソード構体において、加熱ヒータは、3重巻きとした部分のヒータ脚部の電気抵抗が低くなることから、発熱量が少なくなり、ヒータパワーは2重螺旋成形部に集中するので、低電力化が図れるが、単にヒータ脚部を多重コイル巻きとした場合には、電気抵抗の低減効果は少なく、ヒータの消費電力の低減には限度があった。
【0010】
さらに傍熱型カソード構体のカソードスリーブの内壁面を黒化させることによって省電力化を実現する構成については提案されている例があるが、傍熱型カソード構体の電極構造及び加熱ヒータの構造を改善することにより、各種の電気的特性を向上させつつ、消費電力を低減させ、積極的に低消費電力化を図る構成については何ら開示されておらず、また、これらの構成について考慮されている例は見当たらない。
【0011】
また、近年においては、省エネルギーの観点から、一層の低電力化が要請されており、そのニーズは時代の流れでもあり、今後とも益々強くなる傾向にある。陰極線管に関しては、モニターセットに消費電力は、約100W程度であり、このうち傍熱型陰極カソードでは、その消費電力は2〜4%の割合を占めているのが現状である。
【0012】
また、一般に陰極線管等に用いられている3電子銃タイプの加熱ヒータは、ヒータ定格が6.3V−300mA(1電子銃:1個のヒータ当り0.63W)の仕様ものが多く用いられており、十分な省電力化が得られているとは言えなかった。
【0013】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、傍熱型カソード構体を構成する各電極の温度上昇を低減させてヒータの消費電力を低減させた傍熱型カソード構体を電子銃に具備した陰極線管を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明による陰極線管における傍熱型カソード構体は、熱電子放出物質層を有するベースメタルと、一端部にベースメタルを保持し、内部に加熱ヒータを収容する筒状のスリーブと、前記加熱ヒータのヒータ主部側に径大部を有し、加熱ヒータの脚部側に径小部を有し、かつスリーブを支持する異形サポートと、加熱ヒータの脚部側に径大部を有し、加熱ヒータの主部側に径小部を有するカソードディスクとを備え、スリーブの他端部外面とサポートの径小部内面とを固着させ、サポートの径大部外面と前記カソードディスクの径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブの外壁面からサポートを経てカソードディスクの径大部端部までの熱伝導距離が長くなる。
【0015】
本発明による他の陰極線管における傍熱型カソード構体は、スリーブの板厚を15μm以上20μm以下とすることが望ましい。さらには、加熱ヒータが線径22μm〜29μm以下のタンタングステン線を用い、加熱ヒータの脚部が加熱ヒータのヒータア主部よりも多重巻きされて形成されることが望ましい。
【0016】
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による陰極線管の一実施例を説明するシャドウマスク型カラー陰極線管の概略構成を説明する模式断面図である。同図において、1はパネル部、2はファンネル部、3はネック部、4はパネル部1の内面に蛍光体を塗布して形成した蛍光面、5は色選択電極としてのシャドウマスク、6は外部磁界(地磁気)を遮蔽する磁気シールド、7は偏向ヨーク、8は外部磁気補正装置、9は3本の電子ビームを出射する傍熱型陰極を備えた電子銃、10は3本の電子ビームのうちの1本を代表して示す電子ビームである。
【0018】
このような構成において、電子銃9から出射する3本の電子ビーム10は、図示しない外部信号処理回路から出力される映像信号により変調され、蛍光面4に向けて出射する。この電子ビーム10は、ネック部3とファンネル部2との遷移領域に外装された偏向ヨーク7で発生される水平と垂直との偏向磁界を通過させることにより、蛍光面4上を2次元に走査される。シャドウマスク5は、その面内に形成した多数の開孔で通過する3本の電子ビームのそれぞれを色毎に選択して所要の映像を再現する。
【0019】
図2は、図1に示したカラー陰極線管に用いられる電子銃の構成を説明する側面図である。同図において、この電子銃9は、制御電極(第1グリッド電極:G1)11と、加速電極(第2グリッド電極:G2)12と、第3グリッド電極(G3)13と、第4グリッド電極(G4)14と、集束電極(第5グリッド電極:G5)15と、陽極(第6グリッド電極:G6)16と、シールドカップ17とを管軸方向に所定の間隔と位置関係をもたせて配列し、それぞれマルチフォームガラス20により固定支持するとともに、ステム18に植設されたステムピン18aに各電極に設けられたタブまたはリード線を溶接させて構成される。
【0020】
また、この電子銃9は、制御電極11のステム18側に傍熱型カソード構体21が近接配置されており、当該傍熱型カソード構体21には電子放出部を加熱するヒータが内蔵されている。なお、19はバルブスペーサコンタクトであり、このバルブスペーサコンタクト19はネック部の内壁面に弾接して電子銃の中心軸を管軸に一致させる機能を有するとともに、ファンネル部及びネック部の内壁面に塗布されている内部導電膜から電子銃に陽極電圧を導入する機能を有している。
【0021】
また、制御電極11と加速電極12と傍熱型カソード構体21とで電子ビーム発生部を構成している。また、電極13〜15は電子ビーム発生部から出射する電子ビームを加速集束し、集束電極15と陽極16との間に形成される主レンズにより集束されて蛍光面方向に指向される。
【0022】
また、ステム18は、真空外囲器のネック部開放端に溶着され、外部駆動回路から供給される信号または電圧をステムピン18aを介して各電極に印加する。また、図1の外部磁気補正装置(マグネット組立て体)8は、電子銃9とパネル部1,ファンネル部2,シャドウマスク5との微妙な軸ずれまたは回転ずれによる電子ビーム10と蛍光面4との不一致を補正する機能を有している。
【0023】
図3は、図2に示す電子銃に用いられる傍熱型カソード構体の構成を説明する拡大断面図である。図3において、41は頂部表面に熱電子放出物質層が形成されたベースメタル、42は一端にベースメタル41を保持する円筒状のスリーブ、43はスリーブ42を支持する異形サポート、44はサポート43を固定する円筒状カソードディスク、45はスリーブ42の内部に収容される加熱ヒータである。
【0024】
このような構成において、ベースメタル41の頂部表面に保持される熱電子放出物質層は、バリウム(Ba)を含むアルカリ土類三元炭酸塩から出発し、分解して得られた化学式(Ba,Ca,Sr)Oで示されるバリウムを含む複数のアルカリ土類金属酸化物を主成分としている。この熱電子放出物質層を保持するベースメタル41は、微量のマグネシウム(Mg)及びシリコン(Si)などの還元剤を含む厚さ約0.14mmのニッケル板材をプレス加工成形法などにより帽子状に形成されている。
【0025】
また、このベースメタル41を蛍光面側端部(図の上側)に取付けるスリーブ42は、ニッケル−クローム(Ni−Cr)合金材をプレス加工成形法などにより全長が約7.5mm,直径が約1mm、板厚が約20μm以下の寸法を有する略円筒状に形成され、そのステム側に位置する他端部(図の下側)は外径が約1mmの上記蛍光面側端部(一端部)よりも大きい鍔状のフレア部46を有して形成されている。
【0026】
また、このスリーブ42を支持するサポート43は、熱伝導性の良好なニッケル(Ni)板材をプレス加工成形法などにより板厚約0.015mmの寸法を有して一体成形され、その一端部(蛍光面側)と中央部と他端部(ステム側)とで外径寸法が長さ方向に沿ってそれぞれ順次小さくなる径大部,径中部,径小部を一体的に有する異形状で形成されている。
【0027】
そして、スリーブ42は、その他端部に隣接する筒状部の端部外面とサポート43の径小部内面とが接合され、その接合部が溶接点S1,S2で例えばレーザー溶接法によりスポット溶接されて固着され、スリーブ42がサポート43に支持固定されている。なお、この溶接点S1,S2は2箇所のみを図示した。他の個所は図示されていないが、この溶接点は、各電極を中心軸上に安定させて支持固定させるためには円周方向に少なくとも3箇所が必要となる。
【0028】
また、これらのスリーブ42及びサポート43を支持固定するカソードディスク44は、熱伝導性の良好なニッケル(Ni)板材をプレス加工成形法などにより一体成形されており、その一端部(蛍光面側)と他端部(ステム側)とで外径寸法が長さ方向に沿ってそれぞれ異なる径小部と径大部を一体的に有する異形状で形成されている。なお、このカソードディスク44はサポート43の肉厚よりも比較的大きな肉厚を有して形成されている。
【0029】
そして、サポート43は、その一端部外面とディスク44の径小部内面とが接合され、その接合部が溶接点S3,S4で例えばレーザー溶接法によりスポット溶接されて固着され、スリーブ42が支持固定されたサポート43がカソードディスク44に支持固定されることになる。なお、この溶接点S3,S4は2箇所のみを図示した。他の個所は図示されていないが、この溶接点は、各電極を中心軸上に安定させて支持固定させるためには円周方向に少なくとも3箇所が必要となる。
【0030】
板厚20μm以下で形成されたスリーブ42の他端部外面とサポート43の径小部内面との接合部を溶接してスリーブ42をサポート43に支持固定させる。サポート43の一端部外面とカソードディスク44の径小部内面との接合部を溶接してスリーブ42を支持固定させたサポート43をカソードディスク44に支持固定させる。スリーブ42とカソードディスク44とをサポート43を介して結合させたことにより、スリーブ42の外壁部からサポート43を経てカソードディスク44の下端部までの熱伝導距離を長く取ることができる。よってスリーブ42からの熱の逃げを減少させることができる。この結果、熱効率が向上することにより、陰極カソード構体21、特にカソード系の低消費電力化を達成できる。
【0031】
スリーブ42の板厚が20μm以下とした場合について説明したが、このスリーブ42の板厚が20μmを超える厚さとすると、加熱ヒータ45の発熱部から発生する熱の伝導率を向上させ、この結果、熱効率を低下させることになり、低消費電力化を達成できないことになる。また、その板厚が数μm程度と極端に薄くすると、低消費電力化をさらに向上させることができる反面、機械的強度及びその製作性などの観点から、その板厚は、約15μm程度の厚さまでが限界である。
【0032】
図4は、図3に示す傍熱型カソード構体に用いられる加熱ヒータ45の構成を説明する外観側面図である。この加熱ヒータ45の基本構造は、螺旋状にコイル巻線したタングステン芯線にアルミナ絶縁膜を塗布し、このアルミナ絶縁膜の表面にタングステン微粉末を塗布して黒化処理を施して形成されている。
【0033】
図4において、34はタングステン線を3重巻きしたヒータ脚部、35はヒータ脚部34の巻きピッチより粗のピッチで単一コイル巻きした発熱部(ヒータ主部とも言う)、36はアルミナとタングステン微粉末による表面黒化処理部、37はアルミナ塗布部、38はヒータサポートに溶接する図3に示す加熱ヒータ45の開放端である脚部あり、アルミナ非塗布部を示す。このアルミナ非塗布部38は図5に示すヒータサポート24に溶接固定される。なお、表面黒化処理部36とアルミナ塗布部37とを総称して絶縁被膜の被覆部と称する。
【0034】
具体的な数値で説明すると、加熱ヒータ45は、直径約25.7μm(200mm当りのタングステン線重量で2mg(MG))のタングステン線を用いる。発熱部35は、先端(図4の最上部)から約3mmまでの領域に形成され、そのコイル巻きのピッチが0.8ターン/mmのコイル巻き層数が1(すなわち単一層)で形成されている。さらに、この発熱部35のコイル巻き層上には、直径約0.07μmのモリブデン線が17ターン/mmのピッチで約300ターンコイル巻きされている。また、脚部34は、発熱部35のタングステン線に連続して残りの7mmまでの領域にコイル巻きピッチが15ターン/mmの3重コイル巻き構造で形成されている。すなわち、脚部34のコイル巻きピッチは発熱部35のそれよりも粗でコイル巻き層数は3の多重コイル巻き構造となっている。
【0035】
この加熱ヒータ45の形成方法を説明すると、まず、加熱ヒータ45の発熱部35は直径約0.38mmのマンドレルを用いて2次整形し、2重螺旋構造とする。次にヒータ脚部38を除く部分にアルミナを電着し、このアルミナ層の上層にタングステン微粉末を含むアルミナをコートさせてヒータ本体の表面を黒色化する。これを約1600℃に水素雰囲気中で燒結させ、その後、酸により先に発熱部35にコイル巻きされたモリブデン線を溶解させることにより、表面黒化処理された加熱ヒータ45が製作される。
【0036】
次にこのように構成された加熱ヒータ45と傍熱型カソード構体21とを電子銃に組込み、陰極線管に封止及び排気処理を行った後、カソード温度,消費電力及び電気的諸特性を評価した。この陰極線管は、ヒータ定格が6.3V−75mA(消費電力0.47W)の動作条件で正規のカソード温度(電子放射面で約1000K)が得られた。
【0037】
なお、タングステン線の線径25.7μm(2MG)を中心にその線径29.3μm(2.6MG)とその線径21.4μm(1.4MG)とを選択し、上記と同様な方法で製作し、電気的諸特性を評価した。この結果、タングステン線径29.3μmは、ヒータ定格6.3V−93mAと消費電力は0.59Wと大きかった。また、タングステン線径21.4μm(1.4MG)の場合は、定格6.3Vの陰極線管に適するヒータの製作は、加工性が悪く、さらにヒータの断線発生率が高いことが判った。したがって、線径22μm(200mm当りの重量が1.5mg)〜29μm(200mm当りの重量が2.5mg)の範囲のタングステン線を用いることにより、ヒータ定格6.0V〜6.6Vの範囲で加熱ヒータ45の1個当りのヒータ消費電力が0.5W以下となることが発明者らの繰返し実験により実証された。
【0038】
また、上記構成による傍熱型カソード構体21とタングステン線径29μm以下の加熱ヒータ45とを採用した結果、熱効率が向上することにより、傍熱型カソード構体21、特に加熱ヒータ系,カソード系の低消費電力化を達成できた。また、ストレー電子は、図5に示す制御電極11の開孔に付着した熱電子放出物層中のバリウムが起因となって発生するが、制御電極11の温度が低いため、ストレー電子は出難いことが確認された。また、ドリフト特性は、傍熱型カソード構体21及び制御電極11の形状変形によりカットオフ電圧が変動し、画面の明るさ、特にバックの黒レベルが変動するが、この現象の発生も少なくなっていることも確認された。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明による陰極線管によれば、電子銃の電子ビーム発生部を構成する傍熱型カソード構体は、一端部に熱電子放出物質層を保持するベースメタルを有し、かつ内部に加熱ヒータを収容するスリーブと、加熱ヒータの発熱部と近接する部位に径大部を有し、加熱ヒータの脚部に径小部を有し、かつスリーブを支持する異形サポートを介して取付けられた径大部及び径小部を有するカソードディスクとを具備し、スリーブの他端部外面と前記サポートの径小部内面とを固着させ、サポートの径大部外面と前記カソードディスクの径小部内面とを固着させて構成することにより、スリーブの外壁面からサポートを経てカソードディスクの径大部端部までの熱伝導距離が長くなり、スリーブからの熱の逃げを減少させることができるので、熱効率が向上し、傍熱型カソード構体の低消費電力化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0040】
また、本発明による陰極線管によれば、傍熱型カソード構体は、内部に加熱ヒータを収容するスリーブの板厚を20μm以下とすることにより、スリーブからの熱の逃げをさらに減少させることができるので、熱効率がさらに向上し、傍熱型カソード構体のさらなる低消費電力化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0041】
また、本発明による陰極線管によれば、傍熱型カソード構体は、加熱ヒータとして線径22μm〜29μm以下のタンタングステン線を用い、当該加熱ヒータの脚部が当該加熱ヒータの発熱部よりも多重巻きされて形成されることにより、ヒータ発熱部の熱効率を向上させることができるので、傍熱型カソードの低消費電力化が実現可能となるとともに、この低消費電力化に伴ない、電子銃を構成する電極の熱変形によるドリフトの発生がなくなり、さらには電子銃を構成する電極の温度が低下し、ストレー電子の発生を防止できるなどの各種の電気的特性を向上させることができるなどの極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による陰極線管の一実施例を説明するシャドウマスク型カラー陰極線管の概略構成を示す模式断面図である。
【図2】図1に示すカラー陰極線管に用いられる電子銃の構成を示す側面図である。
【図3】図2に示す電子銃に用いられる傍熱型カソード構体の構成を示す拡大断面図である。
【図4】図3に示す傍熱型カソード構体に用いる加熱ヒータの構成を示す一部断面の側面図である。
【図5】傍熱型カソード構体の構成を説明する要部断面図である。
【図6】加熱ヒータの構造を説明する図である。
【符号の説明】
21 傍熱型カソード構体
31 タングステン芯線
32 アルミナ絶縁膜
33 タングステン微粉末
34 ヒータ脚部
35 ヒータ発熱部(ヒータ主部)
36 表面黒化処理部
37 アルミナ塗布部
38 アルミナ非塗布部
39 モリブデン線溶解跡(中空部)
41 ベースメタル
42 スリーブ
43 サポート
44 カソードディスク
45ヒータ
46 フレア部
S1 溶接点
S2 溶接点
S3 溶接点
S4 溶接点
Claims (3)
- 内面に蛍光体を塗布した蛍光面を有するパネル部と、
傍熱型カソード構体と制御電極と加速電極とを備えた電子ビーム発生部と、集束電極と陽極電極とから構成され、電子ビームを集束及び加速させる主レンズ部とを有する電子銃を収容したネック部と、
前記パネル部と前記ネック部とを連接し、ファンネル部とで構成した真空外囲器と、
を備え、
前記傍熱型カソード構体は、熱電子放出物質層を有するベースメタルと、一端部にベースメタルを保持し、内部に加熱ヒータを収容する筒状のスリーブと、前記加熱ヒータのヒータ主部側に径大部を有し、前記加熱ヒータの脚部側に径小部を有し、かつ前記スリーブを支持する異形サポートと、前記加熱ヒータの脚部側に径大部を有し、前記加熱ヒータの主部側に径小部を有するカソードディスクとを具備し、前記スリーブの他端部外面と前記サポートの径小部内面とを固着させ、前記サポートの径大部外面と前記カソードディスクの径小部内面とを固着させて構成することを特徴とした陰極線管。 - 前記スリーブの板厚を15μm以上20μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
- 前記加熱ヒータは、線径22μm〜29μmの範囲のタングステン線を用い、当該加熱ヒータの脚部が当該加熱ヒータのヒータ主部よりも多重巻きされていることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
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