JP2004287232A - 感光性組成物、液晶パネル用基板、及び、液晶パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光性組成物の必須成分として、バインダー樹脂と下記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)を用い、この感光性組成物を用いてカラーフィルターの着色層、保護層、又はスペーサーを形成する。又は、スペーサーを備えた液晶パネル用基板における前記のスペーサーを、上記の感光性組成物を用いて形成する。そして、上記のカラーフィルター又は液晶パネル用基板を用いて液晶パネルを構成する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性組成物、当該感光性組成物を用いるカラーフィルター、均一なセルギャップを維持し得る液晶パネル用基板、及び、当該カラーフィルター又は液晶パネル用基板を用いた液晶パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板(背面側基板)とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して透過光又は反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
【0003】
液晶パネルには、スタティック駆動方式、単純マトリックス方式、アクティブマトリックス方式等、種々の駆動方式があるが、近年、パーソナルコンピューターや携帯情報端末等のフラットディスプレーとして、アクティブマトリックス方式又は単純マトリックス方式の液晶パネルを用いたカラー液晶表示装置が急速に普及してきている。
【0004】
図1は、アクティブマトリックス方式の液晶パネルの一構成例である。液晶パネル101は、表示側基板であるカラーフィルター1と液晶駆動側基板であるTFTアレイ基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した着色層7又は最近ではホログラムを利用した着色層と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。一方、TFTアレイ基板2は、透明基板上にTFT素子を配列し、透明電極膜を設けた構造をとっている(図示せず)。また、カラーフィルター1及びこれと対向するTFTアレイ基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーとしてガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子11が分散されている。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
【0005】
カラーフィルターに形成される保護膜8は、カラーフィルターに着色層が設けられる場合には着色層の保護とカラーフィルターの平坦化の両方の役割を果たしている。カラー液晶表示装置では、カラーフィルターの透明基板表面のうねりに起因するギャップムラ、R、G及びBの各画素間でのギャップムラ、或いは各画素内でのギャップムラ等の存在により透明電極膜9の平坦性が損なわれると、色ムラ或いはコントラストムラを生じ、その結果、画像品質の低下を来たすと言う問題がある。したがって、保護膜には高い平坦性が求められる。
【0006】
スペーサーとして図1に示したような微粒子11を分散させる場合には、当該微粒子11は、ブラックマトリックス層6の背後であるか画素の背後であるかに関係なく、ランダムに分散する。微粒子11が表示領域の背後すなわち着色層の背後に位置した場合、微粒子11の部分をバックライトの光が透過し、また、微粒子11周辺の液晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。そこで図2に示すように、微粒子11を分散させるかわりに、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層6が形成されている位置と重り合う領域(非表示領域)に、セルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を形成することが行われるようになってきた。
【0007】
前記の着色層7、保護膜8及び柱状スペーサー12は、樹脂を用いて形成することができる。着色層7は、各色の画素ごとに所定のパターンに形成する必要がある。保護膜8は、シール部の密着性や密閉性を考慮すると、透明基板上の着色層が形成された領域のみ被覆できるものであることが好ましい。また、柱状スペーサー12は、ブラックマトリックス層6の形成領域内すなわち非表示領域に正確に設ける必要がある。このため、硬化させたい領域を選択的に露光した後にアルカリ現像することができる感光性組成物を用いて着色層7、保護膜8及び柱状スペーサー12を形成することが提案されている。
【0008】
柱状スペーサー形成用の感光性組成物としては、例えば特許文献1に記載の感光性組成物が知られている。この感光性組成物は、樹脂、モノマー、光重合開始剤、溶剤を主成分とし、前記モノマーとして下記式(2)で表されるモノマーを用いることによって柱状スペーサー形成時の現像性の向上を図り、下記式(3)で表されるモノマーを用いることによって柱状スペーサーとガラス基板との密着性の向上を図っている。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
ところで、今日、液晶表示装置では高画質化、高精細化が進んでおり、それに伴って画素の微細化、及びカラーフィルター(着色層)に含有させる顔料の高濃度化が進んでいる。
【0012】
高画質及び高精細な液晶表示装置を得るためには、液晶パネル内での柱状スペーサー及び着色層それぞれの位置ずれ、ならびにセルギャップのムラをできるだけ抑えつつ、個々の画素を微細化することが必要である。そのためには、柱状スペーサー形成時のパターニング精度及び着色層形成時のパターニング精度を共に高め、さらに、柱状スペーサーについてはその強度を高めることが望まれる。
【0013】
柱状スペーサーの強度の向上は、その材料として使用する感光性組成物中のモノマー(オリゴマーを含む。)の量を増やして架橋密度を上げることによって図ることができる。しかしながら、モノマーの使用量の増加に伴って、感光性組成物によって形成した塗膜を例えばフォトリソグラフィーによって選択的に露光した後でのアルカリ現像性が一般に低下する。
【0014】
また、着色層に含有させる顔料の高濃度化は、分散剤の使用量を増やすことによって図ることができるが、分散剤として良く使用されるアミン系分散剤では、その使用量の増加に伴って、感光性組成物(顔料を分散させたもの)によって形成した塗膜のアルカリ現像性が一般に低下する。
【0015】
アルカリ現像性の低下はパターニング精度の低下をまねき、柱状スペーサーや着色層の位置度精度及び形状精度それぞれの低下の一因となる。結果として、高画質、高精細な液晶表示装置を製造する際の歩留の低下をもたらす。
【0016】
【特許文献】
特開2001−91954号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情を考慮して成し遂げられたものであり、その第一の目的は、顔料を含有させた場合でもアルカリ現像性に優れた塗膜を形成することができ、且つ硬化後の強度を高め易い感光性組成物を提供することにある。
【0018】
また、本発明の第二の目的は、パターニング精度を高め易いカラーフィルターを提供することにある。
【0019】
本発明の第三の目的は、強度及びパターニング精度を高め易いスペーサーを備えた液晶パネル用基板を提供することにある。
【0020】
そして、本発明の第四の目的は、高画質化及び高精細化を図り易い液晶パネルを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明において提供される感光性組成物は、少なくとも、バインダー樹脂と下記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)とを含有している。
【0022】
【化4】
【0023】
(式中のm、nは、それぞれ別個に、1以上の整数を表す。)
上記の酸性基含有モノマー(a)は、式(1)から明らかなように、エチレン性不飽和結合を3つ有する3官能モノマーであり、酸性基としてカルボキシル基が導入されている。
【0024】
3官能モノマーを感光性組成物に含有させることにより、当該感光性組成物の露光感度を向上させることができると共に、選択的に露光した後の現像性も向上させることができる。また、3官能モノマーに酸性基を導入することによって、選択的に露光した後のアルカリ現像性を向上させることができる。さらに、上記の式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)は、疎水部と親水部とが明確に分かれていることから、顔料の分散性にも優れている。
【0025】
したがって、上記の式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)を用いることによって、顔料を含有させない場合は勿論、顔料を含有させた場合でもアルカリ現像性に優れた塗膜を形成することが可能な感光性組成物を得ることができる。また、硬化時の架橋密度を高めるために酸性基含有モノマー(a)の含有量を増やした場合でも、アルカリ現像性に優れた塗膜を形成することが可能な感光性組成物を得ることができる。
【0026】
本発明の1つの態様の感光性組成物では、塗膜を形成して当該塗膜に選択的な露光処理及びアルカリ現像処理を順次施したときに、下面(下地層側の面)の面積S1と上面の面積S2との間にS2≦S1なる関係が成立する凸状パターン(いわゆる順テーパー形状の凸状パターン)を形成することができる。
【0027】
また、他の態様の感光性組成物は、エチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマー若しくはオリゴマーをさらに含有する。
【0028】
そして、さらに他の態様の感光性組成物は、少なくとも1種類の着色材(b)を、該着色材(b)に対する酸性基含有モノマー(a)の重量比((b)/(a))が、0.3<(b)/(a)<0.6となる範囲で含有する。
【0029】
これら各態様の感光性組成物は、カラーフィルターの着色層、当該着色層を被覆する保護膜、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペーサー等を形成するための材料として好適であり、所望の膜厚の着色層、保護膜及び所望の高さの柱状スペーサー等を高いパターニング精度の下に容易に形成することができる。
【0030】
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよく、着色層、保護膜及びスペーサーのうちの少なくとも1つは、上述したいずれかの態様の感光性組成物を硬化させて形成したものである。
【0031】
既に説明したように、上記各態様の感光性組成物は、顔料を含有させない場合は勿論、顔料を含有させた場合でもアルカリ現像性に優れた塗膜を形成することができるものであるので、この感光性組成物によってカラーフィルターの着色層、保護膜、又はスペーサを形成することにより、これらを高いパターニング精度の下に形成することができる。
【0032】
上記の感光性組成物によって着色層を形成する場合には、当該着色層における顔料の濃度を高めた場合でも、高いパターニング精度を容易に得ることができる。また、上記の感光性組成物によってスペーサー、特に柱状スペーサーを形成する場合には、順テーパー形状で高強度のものを高いパターニング精度の下に容易に形成することができる。
【0033】
本発明に係る液晶パネル用基板は、基板上の非表示領域に複数のスペーサーを設けてなり、当該スペーサーは、上述したいずれかの態様の感光性組成物を硬化させて形成したものである。上述の感光性組成物によってスペーサー、特に柱状スペーサーを形成することにより、高強度のスペーサーを高いパターニング精度の下に容易に形成することができるので、液晶パネルでのセルギャップムラを抑えることが容易になる。
【0034】
本発明に係る第1の液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであり、表示側基板が上述のカラーフィルターであるものである。
【0035】
また、本発明に係る第2の液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであり、液晶駆動側基板が上述の液晶パネル用基板であるものである。
【0036】
これら第1及び第2の液晶パネルでは、少なくとも、上述の感光性組成物によって形成された部材のパターニング精度を容易に高めることができる。そのため、高画質化及び高精細化を図り易い。特に、上述の感光性組成物によって着色層又は柱状スペーサーを形成することにより、高画質化及び高精細化を容易に図ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアクリル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかであることを意味する。
【0038】
まず、本発明に係る感光性組成物について説明すると、この感光性組成物は、少なくとも、バインダー樹脂と下記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)とを含有している。
【0039】
【化5】
【0040】
(式中のm、nは、それぞれ別個に、1以上の整数を表す。)
上記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)は、エチレン性不飽和結合を3つ有する3官能モノマーであり、酸性基としてカルボキシル基が導入されている。酸性基含有モノマー(a)は、分子内に3個のアクリロイル基と1個の水酸基を有するモノマーと分子内に1個の酸無水物基を有する化合物等とを反応させることにより合成される。具体的には、ペンタエリスリトールトリアクリレートと、無水コハク酸、無水1−ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水クロレンディク酸、無水トリメリット酸等の酸無水物を、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、酸化亜鉛等の触媒の存在下、60〜110℃で1〜20時間反応させることにより得る事ができる。
【0041】
この酸性基含有モノマー(a)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。いずれの場合でも、感光性組成物によって形成された塗膜のアルカリ現像性の向上や、硬化時の架橋密度を向上させるために上記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)の含有量を高めたときのアルカリ現像性の向上を図るうえからは、上記式(1)中のRがCH2=CHCO−、Xが−CO((CH2)2)COOH、mが1、及びnが2である酸性基含有モノマー(a)を用いることが特に好ましい。
【0042】
本発明に係る感光性組成物は、上記の式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)と、種々のバインダー樹脂と組み合わせて調製することができる。このとき、当該感光性組成物に顔料を分散させない状態下では、バインダー樹脂と酸性基含有モノマーとの合計量に対する酸性基含有モノマーの重量百分率を概ね90%にまで増大させたとしても、0.01〜2.00重量%の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液による現像性が良好な塗膜を容易に形成することができる。
【0043】
また、上記の感光性組成物に顔料を分散させた状態下では、たとえ当該顔料として有機顔料を用いた場合でも、バインダー樹脂と酸性基含有モノマーとの合計量に対するバインダー樹脂の重量百分率が概ね20%以上であれば、バインダー樹脂に対する顔料の重量百分率を概ね60%にまで増大させても、上記のアルカリ現像液による現像性が良好な塗膜を容易に形成することができる。
【0044】
ここで、アルカリ現像液による現像性が良好であるとは、現像開始から塗膜の未露光部の溶け始め時間が20秒以内で、溶け終わり時間が溶け始めから15秒以内であり、さらにパターンを維持できる現像時間が溶け終わりから20秒間以上あることを意味する。
【0045】
本発明に係る感光性組成物は、上述したバインダー樹脂及び酸性基含有モノマー(a)の他に、必要に応じて、着色剤、分散剤、光重合開始剤、溶剤、或いは、その他の添加剤を配合することができる。以下、酸性基含有モノマー(a)以外の成分について詳述する。
【0046】
A.バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、それ自体は重合反応性のない樹脂、及び、それ自体が重合反応性を有する樹脂のいずれを用いてもよく、また、2種以上のバインダー樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
重合反応性のない樹脂をバインダー樹脂として用いる場合には、上記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)、及び、任意成分であるその他の重合性モノマーが光照射によって自発的に重合するか、或いは、光照射によって活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用によって重合して、硬化する。
【0048】
そのような非重合性バインダーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーから選択された2種以上のモノマーからなる共重合体を用いることができる。
【0049】
これらの非重合性バインダーのうち、特に、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体等が好ましい。
【0050】
一方、それ自体が重合性を有するバインダー樹脂としては、非重合性バインダー樹脂の分子に、エチレン性不飽和結合等の重合性の官能基を導入してなる、オリゴマー又はオリゴマーよりも大分子量のポリマーを用いることができる。具体例としては、カルボキシル基等の酸性官能基を備えた構成単位と、重合性を持たない構成単位とが連結した分子構造を有する共重合体のカルボキシル基の一部にグリシジルメタクリレートを付加させた共重合体を挙げることができる。
【0051】
重合性バインダー樹脂の分子は、バインダー樹脂同士で重合すると共に、上記式(1)で表される酸性基含有モノマー、及び、所望成分であるその他の重合性モノマーとも重合して硬化する。
【0052】
また、従来において例えばインキ、塗料、接着剤等の各種分野で用いられているUV硬化性樹脂組成物に配合されているプレポリマーも、重合性バインダー樹脂として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマー等があるが、いずれを用いてもよい。
【0053】
これらの中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類等のラジカル重合型プレポリマーを例示できる。
【0054】
バインダー樹脂は、感光性組成物の固形分全量に対して、通常、1〜50重量%程度の割合で配合することができる。ここで、配合割合を特定するための感光性組成物の固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマーも固形分に含まれる。
【0055】
B.着色剤
カラーフィルターの基板上に、本発明に係る感光性組成物を用いて着色層のような着色パターンを形成する場合には、感光性組成物中に着色剤を配合する。形成しようとする着色層の色、例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。
【0056】
有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。
【0057】
有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23:19;C.I.ピグメントグリーン36。
【0058】
また、無機顔料或いは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0059】
着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。着色剤は、本発明に係る感光性組成物中に概ね60重量%以下の範囲内で、好ましくは概ね50重量%以下の範囲内で、適宜配合することができる。着色剤の配合割合が前記範囲を上回ると、感光性組成物によって形成した塗膜のアルカリ現像性が低くなりすぎて、高いパターニング精度の下に所望の着色層を形成することが困難になることがある。
【0060】
C.分散剤
本発明に係る感光性組成物に着色剤を配合する場合には、着色剤を均一且つ安定して分散させるために、当該感光性組成物中に分散剤を配合してもよい。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
【0061】
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類等の高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
【0062】
D.光重合開始剤
本発明に係る感光性組成物には、通常、紫外線、電離放射線、可視光、或いは、その他の各波長、特に365μm以下のエネルギー線で活性化し得る光重合開始剤が配合される。使用する光重合開始剤の種類は、バインダー樹脂や酸性基含有モノマー(a)の反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)、或いは、各材料の種類を考慮して適宜選択される。
【0063】
例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等の光重合開始剤を用いることができる。
【0064】
E.溶剤
本発明に係る感光性組成物には、塗料化及び塗布適性を考慮して、通常、バインダー樹脂及び前記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)の溶解性が良好で、且つスピンコーティング性が良好となるように沸点が比較的高い溶剤が含有される。
【0065】
使用可能な溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコール等のセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール等のカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタン等の飽和炭化水素系溶剤等の有機溶剤を例示することができる。
【0066】
これらの溶剤の中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤が特に好適に用いられる。
【0067】
特に好ましくは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH(OCH3)CH2CH2OCOCH3) 、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル、H3COC2H4OCH3)又はこれらを混合したものを使用することができる。
【0068】
F.その他の成分
本発明に係る感光性組成物には、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
【0069】
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、スチリル系化合物、クマリン系化合物等。
【0070】
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等。
【0071】
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤或いは光増感剤として機能し得る官能基を主鎖及び/又は側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0072】
d)分散助剤:例えば、銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等。
【0073】
e)充填剤:例えば、ガラス、アルミナ等。
【0074】
f)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等。
【0075】
g)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等。
【0076】
h)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等。
【0077】
i)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤等。
【0078】
j)多官能モノマー:前記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)以外に、必要に応じて、エチレン性不飽和結合を2つ以上有する2官能以上の多官能モノマーを含有させることができる。モノマー中のエチレン性不飽和結合の数が大きくなるほど形成した塗膜のアルカリ現像性が低下し、その結果、現像時間が長くなるためパターン形状も悪化し易くなる反面、架橋密度が上がり塗膜の強度は向上するので、モノマー中のエチレン性不飽和結合の数は、目的とするパターン形状と塗膜の物性を鑑み、適宜調整する必要がある。
【0079】
このような多官能モノマーのうち、2官能乃至3官能の多官能モノマーとしては、光照射を受けてそれ自体が重合反応を誘起するか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合反応を誘起する官能基を、一分子中に2個又は3個有し、2官能乃至3官能の多官能モノマー同士で重合するか、且つ/又は、その他のモノマーやバインダーと重合するものを用いることができる。
【0080】
2官能の多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジアクリレート又はジメタクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアクリレート又はジメタクリレート類を例示することができる。
【0081】
3官能の多官能モノマーとしては、例えば、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の3価以上の多価アルコールのトリアクリレート又はトリメタクリレート類を例示することができる。
【0082】
2官能乃至3官能の多官能モノマーの配合割合は、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、概ね0〜40重量%の範囲内とすることが好ましい。
【0083】
4官能以上の多官能モノマーを配合することにより、塗膜の強度や下地層に対する密着性を向上させることが可能である。このような4官能以上の多官能モノマーとしては、光照射を受けてそれ自体が重合反応を誘起するか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合反応を誘起する官能基を一分子中に4個以上有し、4官能以上の多官能モノマー同士で重合するか、他のモノマー又はバインダー樹脂と重合するものを用いることができる。
【0084】
より具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
【0085】
4官能以上の多官能モノマーは、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、概ね0〜20重量%の範囲内で配合することが好ましい。
【0086】
k)その他の化合物:耐熱性、密着性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)の向上を図る目的で、必要に応じて、エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物(エポキシ樹脂)を配合することができる。エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を例示できる。さらに、環式脂肪族エポキシ樹脂や脂肪族ポリグリシジルエーテルを例示することもできる。
【0087】
これらの中では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これらエポキシ基を分子内に2個以上有する化合物の多くは高分子量体であるが、ビスフェノールAやビスフェノールFのグリシジルエーテルは低分子量体であり、そのような低分子量体は特に好ましい。また、グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等を樹脂骨格中に含むアクリル共重合体等も有効である。
【0088】
このようなエポキシ樹脂は、感光性組成物中に固形分比で0〜60重量%、好ましくは5〜40重量%含有される。エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満では、充分な耐アルカリ性を付与できない場合がある。一方、エポキシ樹脂の含有量が60重量%を超えると、エポキシ樹脂量が多くなりすぎ、感光性組成物の保存安定性、現像適性が低下することがある。また、エポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で充分な効果が発現する。エポキシ樹脂は、露光・アルカリ現像後においても反応することなく塗膜中に残存している酸性基と、加熱処理によって反応し、塗膜に優れた耐アルカリ性を付与することになる。
【0089】
前述した必須成分を含有し、上述した任意成分を必要に応じて含有することができる本発明に係る感光性組成物は、各成分を任意の順序で混合するか、或いは、それらの成分を任意の順序で上記の溶剤に投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミル等の一般的な方法で溶解、分散させることによって製造することができる。
【0090】
この感光性組成物を何らかの支持体に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜に紫外線、電離放射線等の活性化エネルギー線を選択的に照射すると、活性化エネルギー線が照射された領域と照射されなかった領域との間で、アルカリ現像液に対する溶解性に相違が生じる。すなわち、活性化エネルギー線が照射された領域では内部に架橋結合が形成されるので、アルカリ現像液に対する溶解性が相対的に低くなり、活性化エネルギー線が照射されなかった領域では内部に架橋結合が形成されないので、アルカリ現像液に対する溶解性が相対的に高くなる。
【0091】
このとき、本発明に係る感光性組成物では、前記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)によって露光感度が向上していることから、例えば酸性基含有モノマー(a)に代えて従来の5官能モノマーを用いた場合と比べて、アルカリ現像液への溶解性の点で露光領域と非露光領域とが画然と区分される。また、上記の酸性基含有モノマー(a)の含有量を増大させた場合や、有機顔料等の着色剤の含有量を増大させた場合でも、非露光領域のアルカリ現像性が良好に保たれる。
【0092】
このため、露光後にアルカリ現像処理を行うことにより、実質的に非露光領域のみを溶解させて除去することができる。その結果として、上記の塗膜を高いパターニング精度の下に容易にパターニングすることができる。
【0093】
このような技術的効果を奏する本発明に係る感光性組成物は、カラーフィルターの着色層、当該着色層を被覆する保護層、及び、液晶パネルでのセルギャップを維持するための凸状スペーサー(柱状スペーサー)を形成するのに特に適しており、その他にも、TFTアレイ基板の平坦化膜、或いは、半導体デバイス用層間絶縁膜等の広範な分野で、ネガ型永久膜の形成材料として好適に用いることができる。
【0094】
例えば、液晶パネルで使用される柱状スペーサは、通常、下面(下地層側の面)の面積S1と上面の面積S2との間にS2≦S1なる関係が成立している形状を有していることが望まれるわけであるが、本発明に係る感光性組成物を用いれば、このようないわゆるテーパー形状の凸状パターンも容易に形成することができる。
【0095】
また、高画質、高精細な液晶パネルを得るうえからは個々の画素を微細化する必要があり、そのためにはカラーフィルターにおける個々の着色層の微細化を図ると共に、各着色層での着色剤(多くの場合、有機顔料)の高濃度化を図ることが望まれるわけであるが、本発明に係る感光性組成物を用いれば、このような着色層も高いパターニング精度の下に形成することができる。
【0096】
さらに、いわゆる端面残り、すなわち、スピンコート法によって形成された塗膜にアルカリ現像処理を施したときに、塗膜縁部の相対的な膜厚が不可避的に厚くなることに起因して当該縁部に未現像(未溶解)の領域が残る現象も、容易に抑制することができる。
【0097】
次に、本発明に係るカラーフィルターについて説明する。図3は、本発明に係るカラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す平面図であり、図4は、同じカラーフィルター103のA−A線における縦断面図である。
【0098】
このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成されたブラックマトリックス6と、当該ブラックマトリックス6間に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、当該着色層7を覆うように形成された保護膜8を備えている。保護膜8上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上に、配向膜10が形成される。
【0099】
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、ブラックマトリックス層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図3では5箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは着色層7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター103においては、保護膜8上に透明電極9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極9の層を形成してもよい。また、カラーフィルターがブラックマトリックス層を備えていない場合には、着色層7を形成していない領域に柱状スペーサー12を形成することができる。
【0100】
カラーフィルター103の透明基板5としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、或いは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄膜状乃至シート状のガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨張率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。
【0101】
ブラックマトリックス層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、着色層7R,7G,7Bの間及び着色層形成領域の外側を取り囲むように設けられる。ブラックマトリックス層6を形成する方法としては、感光性レジストを用いてパターニングする方法と、遮光性粒子を含有する光硬化性樹脂組成物を用いてパターニングする方法がある。
【0102】
感光性レジストを用いてパターニングする方法においては、先ず、透明基板5上に遮光層として、クロム等の金属薄膜をスパッタリング法又は真空蒸着法等の気相成長法により形成するか、又は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂にカーボンブラック等の遮光性粒子を含有する樹脂組成物からなる樹脂層をスピンコーター、ロールコーター、スプレー、印刷等の塗布法により形成する。このような金属薄膜又は遮光性樹脂からなる遮光層の上に、公知のポジ型又はネガ型の感光性レジストを塗布して感光性レジスト層を形成し、ブラックマトリックス形成用のフォトマスクを介しての感光性レジスト層の露光、及び露光後の感光性レジストの現像を順次行って、レジストパターンを形成する。そして、レジストパターンによって覆われることなく露出している部分の遮光層をエッチングし、残存する感光性レジスト(レジストパターン)を除去することによって、ブラックマトリックス層6を形成することができる。
【0103】
また、遮光性粒子を含有する光硬化性樹脂組成物をパターニングする方法では、先ず、透明基板5上に、カーボンブラックや金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた光硬化性樹脂組成物を塗布して遮光層を形成し、必要に応じて乾燥させて感光性塗膜を形成した後に、前記遮光層をブラックマトリックス形成用のフォトマスクを介して露光し、その後に現像し、必要に応じて加熱処理を施すことによって、ブラックマトリックス層6を形成することができる。遮光性粒子と混合する光硬化性樹脂組成物としては、本発明に係る感光性組成物を用いてもよい。
【0104】
ブラックマトリックス層6の厚さは、金属薄膜の場合は100〜200nm程度とすることができ、遮光性樹脂層の場合は0.5〜2.5μm程度とすることができる。
【0105】
着色層7は、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてなり、表示領域を形成する。着色層7は、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法等の公知の方法により形成することができるが、その中でも、顔料等の着色剤を含有した光硬化性樹脂組成物を用いる顔料分散法により形成するのが好ましい。
【0106】
顔料分散法による場合には、先ず、光硬化性樹脂組成物に顔料等の着色剤を分散させて、赤色用、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を夫々調製する。次に、透明基板5上に、ブラックマトリックス層6を覆うようにして、ある色の光硬化性樹脂組成物、例えば光硬化性赤色樹脂組成物をスピンコート等の公知の方法で塗布して光硬化性赤色樹脂層を形成し、赤色パターン形成用フォトマスクを介して露光を行い、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより赤色着色層7Rを形成する。その後、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を順次用いて同様にして各色の光硬化性樹脂層をパターニングして、緑色着色層7G及び青色着色層7Bを形成する。
【0107】
着色剤としては、上述したような着色剤を適切に選んで使用することができる。また、着色剤と混合する光硬化性樹脂組成物としては、本発明に係る感光性組成物を用いるのが好ましい。
【0108】
着色層7の厚さは、通常0.5〜2.5μm程度とすることができる。また、赤色着色層7Rが最も薄く、緑色着色層7G、青色着色層7Bの順に厚くなるというように各色の着色層の厚さを変えて、液晶パネルを得たときにその下の液晶層の厚さが各色ごとに最適な厚さとなるように設定してもよい。
【0109】
保護膜8は、着色層7の表面を平坦化すると共に、着色層7に含有されている成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、ネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレー、印刷等の方法により、ブラックマトリックス層6及び着色層7を覆うようにして塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。保護膜8を形成するための光硬化性透明樹脂組成物としては、本発明に係る感光性組成物を用いるのが好ましい。
【0110】
保護膜8の厚さは、材料として使用する樹脂組成物の光透過率や、着色層7の表面状態等を考慮して設定され、例えば、0.1〜2.0μm程度とすることができる。スピンコーターを使用する場合、回転数は例えば500〜1500回転/分の範囲内で設定することができる。
【0111】
保護膜8上の透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、及びそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又はジグの使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0112】
柱状スペーサー12は、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせたときにセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。柱状スペーサー12の形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、且つ所定のセルギャップを基板全体に亘って維持することが可能であれば、特に限定されない。柱状スペーサー12は、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。さらに、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサー12の形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個ずつ設けられて、必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサー12の形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であってもよい。このような柱状スペーサー12は、例えば次のようにして形成することができる。
【0113】
先ず、光硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレー、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、光硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に、例えば500〜1500回転/分の範囲内で設定することができる。
【0114】
次に、この樹脂層を柱状スペーサー形成用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)する。これにより、柱状スペーサー12が形成される。
【0115】
カラーフィルター103の最内面に形成される配向膜10は、着色層7を備える表示部、及び、ブラックマトリックス層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うようにして設けられる。配向膜10は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビング処理や光配向処理を施すことによって形成できる。
【0116】
本発明に係るカラーフィルターでは、着色層、保護層及びスペーサーのうちの少なくとも1つが、前述した本発明に係る感光性組成物を用いて形成される。
【0117】
上記の感光性組成物によって着色層7を形成する場合には、当該着色層7における顔料の濃度を高めた場合でも、或いは微細化を図った場合でも、高いパターニング精度を容易に得ることができる。また、上記の感光性組成物によってスペーサー、特に柱状スペーサー12を形成した場合には、微細化を図った場合でも高強度のものを高いパターニング精度の下に容易に形成することができる。
【0118】
したがって、高画質、高精細な液晶表示装置を得るうえからは、前述した本発明に係る感光性組成物を用いて着色層及びスペーサーの少なくとも一方を形成することが好ましく、特に、前記の感光性組成物を用いて着色層及びスペーサーの両方を形成することが好ましい。
【0119】
次に、本発明の液晶パネル用基板について説明すると、この液晶パネル用基板は、基板上の非表示領域に複数のスペーサーを設けてなり、当該スペーサーが前述した本発明に係る感光性組成物を硬化させて形成されたものである。
【0120】
周知のように、表示装置に使用される液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板(背面側基板)とを対向させ、これらの基板間にスペーサーによって規定されるギャップ(セルギャップ)を形成してここに液晶を封入したものである。
【0121】
例えば、上述のカラーフィルター103(表示側基板)と、多数の画素電極及び薄膜トランジスタ(TFT)を備えたTFTアレイ基板(液晶駆動側基板:背面側基板)とを対向させ、これらの基板間に柱状スペーサー12によって規定されるギャップ(セルギャップ)を形成してここに液晶を封入することにより、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
【0122】
ここで、セルギャップを規定するための柱状スペーサー12は、カラーフィルター103に必ず設けなければならないというものではなく、液晶駆動側基板(背面側基板)に設けることもできる。どちらの基板に柱状スペーサーを設けても、所望のセルギャップを確保することが可能である。いずれにしても、柱状スペーサーは非表示領域に設けられる。
【0123】
本発明に係る液晶パネル用基板は、液晶パネルを構成する2枚の基板のうちでスペーサー(柱状スペーサー)が設けられている方の基板を指す。したがって、前述したカラーフィルターは、本発明に係る液晶パネル用基板の一形態である。
【0124】
本発明の液晶パネル用基板では、前述した本発明に係る感光性組成物によってスペーサーが形成されているので、当該スペーサーを微細化した場合でもパターニング精度を高め易いと共に、その強度を高め易い。したがって、この液晶パネル用基板は、高画質、高精細な液晶パネルを得るうえで好適である。
【0125】
次に、本発明の液晶パネルについて説明すると、この液晶パネルでは、表示側基板が上述した本発明に係るカラーフィルターによって構成されているか、又は、液晶駆動側基板(背面側基板)が上述した本発明の液晶パネル用基板によって構成されている。
【0126】
液晶パネルの組立て方法は特に限定されるものではないが、大型の液晶パネルを得ようとする場合には、一方の基板上に液晶を滴下した後、対向する基板を所定のセルギャップを空けた状態で貼合わせるODF(One Drop Fill) 法によって組み立てることが好ましい。
【0127】
本発明に係る液晶パネルでは、表示側基板及び液晶駆動側基板(背面側基板)のいずれかに、前述した本発明に係る感光性組成物を用いてスペーサー(柱状スペーサー)が形成されているので、当該スペーサーの微細化を図った場合でも高強度のものを高いパターニング精度の下に容易に形成することができる。したがって、液晶パネルの高画質化及び高精細化を図り易い。
【0128】
なお、液晶パネルを作製するにあたって、前述した本発明に係る感光性組成物を用いて表示側基板及び背面側基板のいずれかにスペーサー(柱状スペーサー)を形成すれば、当該液晶パネルが白黒表示用の液晶パネルであっても、また、背面側基板がカラーフィルターを兼ねているものであっても、あるいは横電界型のものであっても、その高画質化及び高精細化を図ることが容易になる。
【0129】
【実施例】
(実施例1)
下記材料を室温で攪拌、混合し、感光性組成物を得た。
・緑色顔料(ゼネカ社製のモノストラルグリーン6Y−CL):4.4重量部
・黄色顔料(BASF社製のパリオトールイエローD1819):2重量部
・分散剤(味の素製のアジスパーPB821):3重量部
・酸性基含有モノマー(a)(東亜合成株式会社製のTO756)*1:4重量部
・バインダー樹脂*2:4.6重量部
・光重合開始剤1(チバ・スペシャリティー社製のイルガキュア907):2.8重量部
・光重合開始剤2(黒金化成社製の2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミド):1.2重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):78重量部。
【0130】
*1:上記の酸性基含有モノマー(a)は、下式(4)によって表されるものであり、このモノマーは、前記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)の1つである。
【0131】
【化6】
【0132】
*2:上記のバインダー樹脂は、重合槽中にベンジルメタクリレートを15.6重量部、スチレンを37.0重量部、アクリル酸を30.5重量部、2−ヒドロキシメチルメタクリレートを16.9重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を220重量部仕込み、これらを攪拌し溶解させた後に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を0.8重量部添加し、均一に溶解させてから窒素気流下85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させることによって得た溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9重量部、トリエチルアミンを0.5重量部、及びハイドロキノンを0.1重量部添加し、その後100℃で5時間攪拌して得たものである(固形分35%)。
【0133】
(比較例1)
酸性基含有モノマー(a)に代えて、酸性基が導入されていない5官能モノマー(日本化薬社製のSR399E)を4重量部用い、且つ光重合開始剤1の配合量を1.4重量部に、光重合開始剤2の配合量を0.6重量部に、溶剤の配合量を80重量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
【0134】
<現像性の評価>
10cm×10cmのガラス基板上に、スピンコーター(MIKASA社製、形式1H−DX2)により、実施例1又は比較例1で得た感光性組成物を1.5μmの厚さに塗布した。この塗膜をホットプレート上で100℃、3分間プリベークした。所定の形状、大きさ、及び間隔を有する露光パターンを形成できるように設計されたフォトマスクを塗膜上に配置し、プロキシミティアライナにより紫外線を100mJ/cm2 照射して露光処理を行い、その後、0.05wt%KOH水溶液(液温23℃)を用いてスプレー現像(現像時間60s及び100s)を行い、凸部パターンを形成した。
【0135】
このときの現像性(溶け始め時間、溶け終わり時間、パターン維持時間)、現像後の残渣の有無、端面残りの有無、及び、形成された凸部パターンの形状を、実施例1の感光性組成物と比較例1の感光性組成物とで比較した。結果を表1に示す。
なお、残渣の有無、及び端面残りの有無の評価基準は次の通りである。
【0136】
<残渣の有無>
○:残さが全く無い。
【0137】
△:投光機を用いた場合には残渣が確認できる。
【0138】
×:投光機を用いずとも残渣が確認できる。
【0139】
<端面残りの有無>
○:端面残りが全く無い。
【0140】
△:基板角部のみに端面残りが有る。
【0141】
×:基板辺部に端面残りが有る。
【0142】
また、凸部パターンの形状観察においては、凸部パターンの下面(下地層(ガラス基板)側の面)の面積S1と上面の面積S2との間にS2<S1なる関係が成立する場合には、順テーパー形状であることを意味し、その逆に、S2>S1なる関係が成立する場合には、逆テーパー形状であることを意味する。
【0143】
【表1】
【0144】
表1に示したように、実施例1の感光性組成物は、着色剤(緑色顔料及び黄色顔料)の含有量が合計で6.4重量%と高く、且つモノマー含有量が4重量%と高いにも拘わらず、比較例1の感光性組成物に比べて良好なアルカリ現像性を有しており、残渣の発生や端面残りも実質的にないものである。また、順テーパー状に容易にパターニングすることができるものでもある。
【0145】
したがって、実施例1の感光性組成物は、柱状スペーサーやカラーフィルターの着色層等を高いパターニング精度の下に微細に形成するための材料として好適であると共に、強度の高い微細パターンを高いパターニング精度の下に形成するための材料としても好適である。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により提供される感光性組成物は前記式(1)で表される酸性基含有モノマー(a)を含んでいるので、顔料を含有させた場合でもアルカリ現像性に優れた塗膜を形成することができ、且つ硬化後の強度を高め易いものである。この感光性組成物は、例えば液晶パネルにおける着色層、保護層、又はスペーサーの材料として好適であり、特に、液晶パネルの高画質化、高精細化を図るうえで有用である。
【0147】
また、本発明により提供されるカラーフィルターは、当該カラーフィルターを構成している着色層、保護層、又はスペーサーが上記の感光性組成物を用いて形成されているので、着色層、保護層、又はスペーサーのパターニング精度を高め易い。そのため、このカラーフィルターを用いれば、高画質、高精細な液晶パネルを得ることが容易になる。
【0148】
本発明により提供される液晶パネル用基板は、上記の感光性組成物を用いて形成されたスペーサーを備えたものであり、このスペーサーは、その強度及びパターニング精度を高め易いものである。そのため、この液晶用パネルを用いれば、高画質、高精細な液晶パネルを得ることが容易になる。
【0149】
そして、本発明により提供される液晶パネルは、表示側基板として上記のカラーフィルターを備えているか、液晶駆動側基板(背面側基板)として上記の液晶パネル用基板を備えたものであるので、上述の理由から、高画質、高精細な液晶パネルを得ることが容易なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶パネルの一例についての模式的断面図である。
【図2】従来の液晶パネルの別の例についての模式的断面図である。
【図3】本発明に係るカラーフィルターの一例についての平面図である。
【図4】本発明に係るカラーフィルターについての断面図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルター
103…カラーフィルター
2…液晶駆動側基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…着色層
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…粒子状スペーサー
12…柱状スペーサー
Claims (8)
- 塗膜を形成して当該塗膜に選択的な露光処理、及びアルカリ現像処理を順次施したときに、下面の面積S1と上面の面積S2との間にS2≦S1なる関係が成立する凸状パターンを形成することができる請求項1に記載の感光性組成物。
- エチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマー若しくはオリゴマーと、一種以上の光開始剤をさらに含有する請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 少なくとも1種類の着色材(b)をさらに含有し、且つ、該着色材(b)に対する前記酸性基含有モノマー(a)の重量比((b)/(a))が、0.3<(b)/(a)<0.6である請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記透明基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよく、前記の着色層、保護膜及びスペーサーのうちの少なくとも1つが、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性組成物を硬化させて形成したものであるカラーフィルター。
- 基板上の非表示領域に複数のスペーサーを設けてなり、当該スペーサーが前記請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性組成物を硬化させて形成したものである液晶パネル用基板。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記表示側基板が前記請求項5に記載のカラーフィルターである液晶パネル。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記液晶駆動側基板が前記請求項6に記載の液晶パネル用基板である液晶パネル。
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