JP2004286924A - ベルト定着装置 - Google Patents

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Satoru Yoneda
哲 米田
Noboru Yonekawa
のぼる 米川
Yutaka Otsuka
豊 大塚
Shigeo Nakamura
繁夫 中村
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Abstract

【課題】通紙方向に関しておおよそフラットな圧力分布を有する幅広の定着ニップを形成できるベルト定着装置を提供する。
【解決手段】本発明のベルト定着装置は、加熱されるエンドレスシート状の定着ベルト12の内側に回転不能に固定配置されたニップ形成部材20と、ニップ形成部材20に対して定着ベルト12を挟んで圧接された回転可能な加圧ローラ50とを備え、定着ベルト12と加圧ローラ50との接触部が定着ニップ40になっており、定着ニップ40内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるようにニップ形成部材20の加圧ローラ50との対向面22を加圧ローラ50の外周面に沿った湾曲面としてある。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられるベルト定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−356625号公報
【0003】
従来、前記特許文献1には、熱源を内蔵した加熱定着ローラに対してエンドレスベルトを挟んで加圧パッドを圧接することにより加熱定着ローラとエンドレスベルトとの間に定着ニップを形成した定着装置が開示されている。この定着装置では、加熱定着ローラは外周部に弾性体層を有しており、この弾性体層がエンドレスベルトを介して圧力パッドによって押圧されることにより歪みを生じている。また、前記定着装置では、定着ニップにおけるニップ圧力が記録シートの出口付近で大きくなるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着ニップ内におけるニップ圧力の変化は、加熱定着ローラの弾性体層の歪量にも変化を生じさせることになる。このように定着ニップ内で加熱定着ローラの弾性体層の歪量がシート搬送方向において異なると、定着ニップ内のシート搬送方向における各領域でのシート搬送速度にも若干の差が生じることになる。この定着ニップ内での搬送速度差は、そこを通過するシートにストレスを与えるものであり、画像にじみ等の画像ノイズや紙しわを発生させる原因になるという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、前記問題を解決するために本発明のベルト定着装置は、加熱されるエンドレスシート状の定着ベルトの内側に回転不能に固定配置されたニップ形成部材と、前記ニップ形成部材に対して前記定着ベルトを挟んで圧接された回転可能な加圧ローラとを備え、前記定着ベルトと前記加圧ローラとの接触部が定着ニップになっており、前記定着ニップ内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるように前記ニップ形成部材の前記加圧ローラとの対向面を前記加圧ローラの外周面に沿った湾曲面としたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明のベルト定着装置では、前記加圧ローラはその外周部に弾性層を有し、前記ニップ形成部材は前記弾性層よりも硬い材料からなってもよい。
【0007】
また、本発明のベルト定着装置では、前記ニップ形成部材は80kPa以上の平均圧力により前記加圧ローラの弾性層を径方向に0.3mm以上歪ませてもよい。
【0008】
また、本発明のベルト定着装置では、前記定着ニップから離れた位置に前記定着ベルトを加熱する熱源を有するとともに、前記加圧ローラの弾性層の熱伝導率が0.3W/(m・K)以下であってもよい。
【0009】
また、本発明のベルト定着装置では、前記加圧ローラの弾性層の厚みは4mm以上であってもよい。
【0010】
さらに、本発明のベルト定着装置では、前記ニップ形成部材の前記加圧ローラとの対向面が、前記ニップ形成部材の長手方向において両端側よりも中央部の方が前記加圧ローラ側に突出するように湾曲していてもよい。
【0011】
【発明の効果】
本発明のベルト定着装置によれば、回転不能に固定配置された前記ニップ形成部材の前記加圧ローラとの対向面を前記加圧ローラの外周面に沿った湾曲面とすることで前記定着ニップ内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるようにしたので、定着ニップ内の全域において用紙搬送速度が一定になる。これにより、定着ニップを通過する用紙にストレスが生じることがなく、画像にじみ等の画像ノイズや紙しわの発生を防止できる。
【0012】
また、本発明のベルト定着装置によれば、ニップ形成部材の幅を任意に設定することで、所望の幅の定着ニップを得ることができる。したがって、2つのローラ間に定着ニップを形成する従来の定着装置のように幅広の定着ニップを得るために圧接力をかなり大きくしなければならないということがなく、比較的低いニップ圧力で幅広の定着ニップを容易に実現できる。このように幅広の定着ニップとすることで、定着に必要なニップ時間を稼ぐことができ、その結果、装置のシステム速度の高速化に対応することができる。
【0013】
また、従来型のベルト定着装置に用いられていた外周部に弾性層を有する定着ローラに代えてニップ形成部材を用いたことで、定着装置を小型化できるとともに定着ベルトの周長を短くできる。このように定着ベルトを短くできることで定着ベルトの熱容量が小さくなるとともに定着ベルトからの放熱量も少なくなり、しかも、熱容量の大きい弾性層を有する定着ローラに代えて熱容量の小さい例えば樹脂製のニップ形成部材を用いていることで、加熱されることによって定着ベルトが昇温する速度が速くなり、その結果、始動時のウォームアップ時間および印刷待機時からの回復時間を短くすることができる。
【0014】
さらに、本発明のベルト定着装置によれば、用紙の種類に応じて加圧ローラの圧接荷重を可変とした場合でも、定着ニップの入口および出口の位置が2つのローラ間に定着ニップを形成する従来の定着装置のように大きく変動することがないため、定着ニップへの用紙の突入性能、および、定着ニップから出る用紙の分離性能を悪化させることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態のベルト定着装置10を示す。ベルト定着装置10は、エンドレスシート状の定着ベルト12を備えている。定着ベルト12は、例えば、円筒状にしたときの外径が50mmで、厚さ170μmのポリイミドからなる基材、厚さ200μmのシリコンゴムからなる弾性層、および、厚さ30μmのPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる離型層を内側から順に積層して構成されている。
【0016】
定着ベルト12は、回転可能に両端が支持された加熱ローラ14と、この加熱ローラ14から離れた位置に回転不能に固定配置されたニップ形成部材20とに巻き掛けられている。加熱ローラ14は、例えば外径35mmの金属円筒管からなり、内部に熱源であるヒータランプ16を有している。また、加熱ローラ14が図示しないスプリングによって前記ニップ形成部材20から離れる方向へ付勢されることより、定着ベルト12に所定のテンションが付与されている。
【0017】
ヒータランプ16で内部から加熱された加熱ローラ14によって定着ベルト12が加熱されるようになっている。また、加熱ローラ14にはサーミスタ18が接触配置されており、このサーミスタ18によって検出された温度に応じてヒータランプ16のオン・オフを制御することにより加熱ローラ14および定着ベルト12を所定温度に設定できるようになっている。
【0018】
前記ニップ形成部材20は定着ベルト12の内側に配置されており、このニップ形成部材20に対して定着ベルト12を挟んだ状態で加圧ローラ50が圧接されている。これにより、定着ベルト12と加圧ローラ50との接触部が定着ニップ40になっている。
【0019】
加圧ローラ50は、例えば、外径が30mmであり、金属円筒状の芯金52の外周部に厚さ4mmのゴムまたはスポンジからなる弾性層54を有しており、弾性層54の表面には厚さ40μmの離型層(図示せず)が形成されている。また、加圧ローラ50は、図示しないモータにより矢印A方向に回転駆動されるようになっている。なお、加圧ローラ50の内部に補助ヒータを配置してもよい。
【0020】
加圧ローラ50の弾性層54は、軸方向(図1の奥行き方向)に例えば241mmの長さを有している。定着ベルト12は加圧ローラ50の弾性層54が全長にわたって圧接されるようにそれ以上の幅を有している。さらに、ニップ形成部材20は、定着ベルト12を全幅にわたって支持するように延在している。
【0021】
ニップ形成部材20は、熱伝導度が低く、かつ、加圧ローラ50の弾性層54よりも硬い材料(例えば樹脂、セラミックなど)で形成されており、定着ベルト12の内面と接触する表面には例えばPFAやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる低摩擦層(図示せず)が形成されている。なお、ニップ形成部材20と定着ベルト12の摩擦抵抗を低減するために、定着ベルト12の内面に耐熱性のある例えばフッ素系グリース等の潤滑剤を塗布してもよい。
【0022】
また、ニップ形成部材20の加圧ローラ50との対向面22は、加圧ローラ50の外周面に沿った湾曲面としてある。具体的には、ニップ形成部材20の対向面22の曲率半径は、加圧ローラ50の外周面の曲率半径と同一の例えば15mmか、あるいは、それよりも若干大きい例えば15.4mmとしてある。これにより、定着ニップ40の周方向の長さ(以下、ニップ幅という。)は約12mmになっている。このようにニップ形成部材20の加圧ローラ50との対向面22を加圧ローラ50の外周面に沿った湾曲面とすることで、定着ニップ40内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるようにしてある。
【0023】
ニップ形成部材20の背面には、断面S字状に折り曲げた板金製の補強部材30がニップ形成部材20の長手方向に沿って設けてある。この補強部材30は、ニップ形成部材20が加圧ローラ50で押圧されることにより長手方向と直交する方向へ撓むのをできるだけ抑えるためのものである。また、ニップ形成部材20と補強部材30との間には、断熱を目的とした空間32が設けられいる。なお、補強部材は、板金製のものに限らず、例えば中実の金属棒であってもよい。
【0024】
定着ニップ40の下方には突入ガイド60が配置されており、この突入ガイド60によって、表面に未定着トナー画像Tが形成された用紙Pが定着ニップ40へと導入されるようになっている。また、定着ニップ40の上方には一対の排出ガイド62が配置されている。これらの排出ガイド62は、定着ニップ40から出てきた用紙Pを補助的にガイドするとともに、定着ベルト12または加圧ローラ50に巻き付こうとする用紙Pを分離させる役割を果たしている。
【0025】
上記構成からなるベルト定着装置10では、加圧ローラ50が矢印A方向に回転駆動されると、これに伴って定着ベルト12がニップ形成部材20の表面を摺動しながら移動して矢印B方向に回転する。定着ベルト12は、このように回転されるうちに加熱ローラ14によって全周が加熱されて所定の定着温度(例えば180℃)まで昇温する。
【0026】
定着ベルト12が所定の定着温度に加熱された後、表面に未定着トナー画像Tが形成された用紙Pが下方から定着ニップ40に導入される。これにより、定着ニップ40を通過する間にトナー画像Tが用紙Pに定着される。そして、定着ニップ40を通過した用紙Pは、排出ガイド62によって補助的にガイドされながら上方に搬送され、画像形成装置の外部に排出される。
【0027】
このように本実施形態のベルト定着装置10では、ニップ形成部材20の加圧ローラ50との対向面22を加圧ローラ50の外周面に沿った湾曲面とすることで定着ニップ40内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるようにしたので、定着ニップ40内の全域において用紙搬送速度が一定になる。これにより、定着ニップ40を通過する用紙にストレスが作用することがなく、画像にじみ等の画像ノイズや紙しわの発生を防止できる。
【0028】
また、本実施形態のベルト定着装置10では、ニップ形成部材22の幅を任意に設定することで、所望の幅の定着ニップを得ることができる。したがって、2つのローラ間に定着ニップを形成する従来の定着装置のように幅広の定着ニップを得るために圧接力をかなり大きくしなければならないということがなく、比較的低いニップ圧力で例えば12mmという幅広の定着ニップ40を容易に実現できる。このように幅広の定着ニップ40とすることで、定着に必要なニップ時間を稼ぐことができ、その結果、装置のシステム速度の高速化に対応することができる。
【0029】
また、従来型のベルト定着装置に用いられていた外周部に弾性層を有する定着ローラに代えてニップ形成部材20を用いたことで、定着装置を小型化できるとともに定着ベルト12の周長を短くできる。このように定着ベルト12を短くできることで定着ベルト12の熱容量が小さくなるとともに定着ベルト12からの放熱量も少なくなり、しかも、熱容量の大きい弾性層を有する定着ローラに代えて熱容量の小さい例えば樹脂製のニップ形成部材20を用いていることで、加熱ローラ14で加熱されることによって定着ベルトが昇温する速度が速くなり、その結果、始動時のウォームアップ時間および印刷待機時からの回復時間を短くすることができる。
【0030】
さらに、本実施形態のベルト定着装置10では、用紙Pの種類に応じて加圧ローラ50の圧接荷重を可変とした場合でも、定着ニップ40の入口および出口の位置が2つのローラ間に定着ニップを形成する従来の定着装置のように大きく変動することがないため、定着ニップ40への用紙Pの突入性能、および、定着ニップ40から出る用紙Pの分離性能を悪化させることがない。
【0031】
<定着強度を確保するために必要なニップ時間>
図2のグラフに示すように、ニップ時間(用紙上の一点が定着ニップ40を通過するのに要する時間をいう。)が短くなると画像の光沢度は低くなる。例えば、ニップ幅6mmで画像形成装置のシステム速度が100mm/secの場合、ニップ時間は0.06秒となり、従来からの定着温度180℃で目標品質の光沢度35を確保できるが、装置を高速化する場合においてシステム速度を例えば150mm/secにするとニップ時間は0.04秒となり、光沢度は約10低下する。この場合、定着温度アップで目標品質を得ようとすると、10℃以上の温度アップが必要となる。本実施形態のベルト定着装置10では、定着ニップ40において12mmのニップ幅を確保しているため、システム速度を高速化しても従来からの定着温度で良好な光沢度を得ることができる。
【0032】
<ニップ幅を確保するための条件>
互いに圧接されたローラ対、または、フラット形状のニップ形成部材にローラを圧接して定着ニップを形成する場合では、図3のグラフに示すように、システム速度の高速化に対応するために広いニップ幅を得ようとすると、ローラを大径にする必要がある。図3のグラフは、ローラの弾性層厚み4mm、弾性層歪率20%、弾性層硬度JISA20度、ローラ軸方向における弾性層長さ241mmの条件で測定したものである。これに対し、上述したように本実施形態のベルト定着装置10では、外径30mmの加圧ローラ50で12mmのニップ幅を確保している。
【0033】
また、図3に示すようにニップ幅を広げようとすると、図4のグラフに示すように、より高い圧接荷重が必要になってくる。これに対し、本実施形態のベルト定着装置10では、ニップ形成部材20を加圧ローラ50の外周に沿った形状としたことで、荷重にかかわらず、必要なニップ幅を容易に確保できる。
【0034】
<定着ニップ内の圧力分布>
ローラ対、または、フラット形状のニップ形成部材とローラで形成したニップ内の圧力分布を図5のグラフの(a)に示す。これによると、ニップ幅を確保するために大きな圧接荷重が加えられていることで、特にニップ幅の中央部での圧力が突出して高く、ニップ内に大きな圧力差が生じていることがわかる。
【0035】
一方、本実施形態のベルト定着装置10では、図5のグラフの(b)に示すように、定着ニップ40内の圧力分布はおおよそフラットになっており、圧力差がほとんどないことがわかる。ここで、「おおよそフラット」な状態には、図5のグラフ(b)の一点鎖線で示すようにニップ中央部の圧力がニップ両側(すなわちニップの入口側と出口側)に比べて若干高くなっている状態も含まれる。
【0036】
定着性および用紙搬送性を確保するにはニップ内の平均圧力が約100kPa以上あればよいことがわかっているので、定着ニップ40についてニップ幅12mmで弾性層54の長さ241mmの場合は圧接荷重が約290N以上で定着性能および用紙搬送性能を確保できることになる。従来のローラ対型の定着装置では600N弱の圧接荷重が必要であったことから、本実施形態のベルト定着装置10では約半分の圧接荷重でよいことがわかる。
【0037】
以上のことから、システム速度の高速化に対応するために幅広いニップを形成する場合、ローラ対でニップを形成するのに対して、1本のローラ50とそのローラ50の外周に沿った形状の部材20とにより定着ニップ40を形成することにより、定着性を確保するために必要な定着ニップを、ローラ径を大きくすることなく、かつ、低圧接荷重で実現することが可能になる。
【0038】
<加圧ローラの歪量とカール矯正>
曲率半径が15.4mmであるニップ形成部材20の湾曲面22に対して、表面硬度がアスカーCで50度であって弾性層54のゴム厚みが4mmである外径30mmの加圧ローラ50を圧接してニップ幅12mmの定着ニップ40を形成した場合、圧接荷重によって定着ニップ40を通過した用紙のカール高さは変化する。ここで、「カール高さ」とは、定着ニップを通過した用紙を平面上に置いたときに用紙の端部がカールすることで生じる浮き上がり量に相当する。
【0039】
図6のグラフに示すように、圧接荷重を約230N以上にすると、薄紙から厚紙までカール高さを低く抑えられることが確認できた。本実施形態のベルト定着装置10において圧接荷重が230Nの場合、加圧ローラ50の弾性層54には径方向に0.3mmの歪みが発生し、このときのニップ内の平均圧力は約80kPaとなっていた。また、定着ニップ40の出口側においてもニップ形成部材20によって加圧ローラ50の弾性層54を径方向に0.3mm以上歪ませることにより用紙のカールが矯正されてカール高さが小さくなることが確認できた。したがって、ニップ形成部材20は、用紙のカール矯正のために、80kPa以上の平均圧力により加圧ローラ50の弾性層54を径方向に0.3mm以上歪ませることが好ましい。
【0040】
<加圧ローラの熱伝導とウォームアップ時間の関係>
本実施形態のベルト定着装置10では、熱源(すなわちヒータランプ16)は、定着ベルト12と用紙P上のトナーTとが接触する定着ニップ40の近傍には配置されておらず、定着ニップ40から離れた位置に配置されている。このため、加熱ローラ14によって加熱された定着ベルト12は、それ自体がもつ熱のみでトナーTを加熱する必要がある。したがって、定着ベルト12がもつ熱量を効率的にトナーTに伝えるためには、加熱ローラ14およびトナーTに接触する定着ベルト12は熱伝導率が高く、その他の部材は熱伝導率が低いことが望ましい。
【0041】
例えば、ヒータ16が停止されて室温状態にある冷間時からベルト定着装置10を定着可能温度まで昇温させるウォームアップ動作時においては、加圧ローラ50の熱伝導度によって定着ベルト12からの熱量の逃げに差が生じ、ウォームアップ時間の差として現れる。投入電力760Wの場合のウォームアップ時間(定着ベルト12を回転させながら室温23℃から定着温度180℃まで昇温させるのに要する時間)を測定した結果を下記の表1に示す。ここでは、加圧ローラ50の弾性層54を熱伝導率が異なる3種類のゴムで構成して実験した。
【表1】
Figure 2004286924
【0042】
また、定着ベルト12が停止した状態でヒータランプ16により加熱ローラ14が定着温度である180℃に加熱されている印刷待機時には、定着ベルト12のうち加熱ローラ14と接触している部分以外は冷えてしまっているため、印刷指令を受けて定着ベルト12が回転し始めてから定着ベルト12の温度が180℃にまで回復するには時間がかかる。前記ウォームアップ時間測定実験と同様に加圧ローラ50の弾性層54として3種類のゴムを用いて、投入電力760Wの場合に定着ベルト12の温度が印刷待機時に印刷指令を受けてから180℃の定着温度に回復するまでの回復時間を測定した結果を下記の表2に示す。
【表2】
Figure 2004286924
【0043】
上記表1および表2に示すように、ゴムAとゴムBのウォームアップ時間および回復時間の差は大きいが、ゴムBとゴムCのウォームアップ時間および回復時間はさほど変わらない。また、回復時間に17秒以上を要すると、画像形成装置において露光から転写までの所要時間や給紙から定着までの用紙搬送時間を考慮した場合、印刷指令を受け取った後に定着ベルト温度を回復させるためだけに定着装置を作動させる工程および時間を採らなければならず、通紙パスや作像パスの長さを効率よく利用できないことになる。これらのことから、加圧ローラ50の弾性層54の熱伝導率は0.3W/(m・K)以下であることが好ましい。
【0044】
<加圧ローラの弾性層の厚みとウォームアップ時間の関係>
上述したようにウォームアップ時間を短くするには定着ベルト12から加圧ローラ50への熱の逃げを少なくするのが効果的であり、そのためには加圧ローラ50の低熱伝導部分である弾性層54のゴム厚を厚くするのが有効である。投入電力760Wの場合のウォームアップ時間を測定した結果、図7のグラフに示すように、ゴム厚が厚いほど断熱効果によりベルト温度の上昇は速くなってウォームアップ時間が短くなるが、ゴム厚がおおよそ4mm以上になるとその断熱効果はほぼ飽和状態になる。したがって、加圧ローラ50の弾性層54の厚みは約4mm以上であることが好ましい。
【0045】
<加圧ローラの駆動トルク>
ニップ形成部材20は、補強部材30で補強されているもののこの補強部材30も完全な剛体ではあり得ないため、加圧ローラ50によって押圧されることにより、長手方向と直交する方向に撓みを生じる。この撓みは、ニップ形成部材20の長手方向中央部において最も大きくなる。ニップ形成部材20がこのように撓むことで、定着ニップ40内の長手方向における圧力が両端側で高くなる一方、中央部で低くなる。これにより、加圧ローラ50の弾性層54においても、両端側の歪量が大きくなり、中央部で歪量が小さくなる。このように加圧ローラ50の弾性層54の歪量が軸方向において異なってくると、歪量が大きい両端側では用紙搬送速度が速くなり、これに対して歪量が小さい中央部では用紙搬送速度が相対的に遅くなる。その結果として、両端側では用紙を速く送ろうとするのに対して中央部では用紙の送りが遅くなるために、中央部での用紙搬送速度の相対的低下がブレーキのように作用して、加圧ローラ50の駆動トルクの増加を招くことになる。また、定着ニップ40内における用紙搬送速度の差は、画像ノイズや紙しわの原因ともなる。
【0046】
そこで、上述したようなニップ形成部材20の撓みによる影響を解消するために、図8に示すように、ニップ形成部材20の加圧ローラ50との対向面22が、ニップ形成部材20の長手方向において両端側よりも中央部の方が加圧ローラ50側に突出するように湾曲して形成されていることが好ましい。このようにニップ形成部材20の対向面22を湾曲面とすることで、ニップ形成部材20が撓んだとしても、定着ニップ40内の長手方向における圧力分布をほぼ均一なものにすることができる。これにより、加圧ローラ50の弾性層54の歪量も軸方向においてほぼ一定になって用紙搬送速度の差がなくなり、その結果、加圧ローラ50の駆動トルクの増加、および、画像ノイズや紙しわ等の発生を防止できる。
【0047】
なお、前記ベルト定着装置10では、熱源であるヒータランプ16を内蔵した加熱ローラ14によって定着ベルト12を加熱するようにしたが、加熱ローラとは別の位置で定着ベルト12に対して接触または近接して配置された熱源によって定着ベルト12を加熱するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト定着装置の全体構成図。
【図2】ニップ時間と光沢度の関係を示すグラフ。
【図3】ニップ幅とローラ外径の関係を示すグラフ。
【図4】ニップ幅と圧接荷重の関係を示すグラフ。
【図5】定着ニップにおける圧力分布を示すグラフ。
【図6】圧接荷重とカール高さの関係を示すグラフ。
【図7】弾性層のゴム厚とウォームアップ時間の関係を示すグラフ。
【図8】ニップ形成部材の長手方向の断面を示す図。
【符号の説明】
10…ベルト定着装置、12…定着ベルト、14…加熱ローラ、16…ヒータランプ(熱源)、18…サーミスタ、20…ニップ形成部材、22…対向面、30…補強部材、40…定着ニップ、50…加圧ローラ、54…弾性層、60…突入ガイド、62…排出ガイド、P…用紙、T…トナー。

Claims (5)

  1. 加熱されるエンドレスシート状の定着ベルトの内側に回転不能に固定配置されたニップ形成部材と、前記ニップ形成部材に対して前記定着ベルトを挟んで圧接された回転可能な加圧ローラとを備え、前記定着ベルトと前記加圧ローラとの接触部が定着ニップになっており、前記定着ニップ内の圧力分布が通紙方向に関しておおよそフラットになるように前記ニップ形成部材の前記加圧ローラとの対向面を前記加圧ローラの外周面に沿った湾曲面としたことを特徴とするベルト定着装置。
  2. 前記加圧ローラは外周部に弾性層を有し、前記ニップ形成部材は前記弾性層よりも硬い材料からなることを特徴とする請求項1に記載のベルト定着装置。
  3. 前記ニップ形成部材は80kPa以上の平均圧力により前記加圧ローラの弾性層を径方向に0.3mm以上歪ませることを特徴とする請求項2に記載のベルト定着装置。
  4. 前記定着ニップから離れた位置に前記定着ベルトを加熱する熱源を有するとともに、前記加圧ローラの弾性層の熱伝導率が0.3W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項1に記載のベルト定着装置。
  5. 前記加圧ローラの弾性層の厚みは4mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のベルト定着装置。
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