JP2004286727A - 酸素センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気を導入するための空気導入孔を有する長尺状のジルコニア固体電解質基板3の先端付近の外表面に測定電極5を、測定電極5と対向する空気導入孔内3a壁面に基準電極4を設けた検出部1を有する酸素センサにおいて、記検出部1の長手方向に対して直交する方向のセンサの幅wが2.0〜3.5mmであるとともに、検出部1における長手方向に対して直交する方向のセンサ全体の総断面積Vpに占める空気導入孔3aの断面積Voの比率Vo/Vpが、0.008〜0.25の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するための酸素センサに関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この酸素センサとして、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。この酸素センサの代表的なものとしては、図7の概略断面図に示すように、ZrO2固体電解質からなり、先端が封止された円筒管31の内面には、検出部として白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極32が、また円筒管31の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極33が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極33の表面に、保護層としてセラミック多孔質層34が設けられており、所定温度で円筒管31両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。この際、理論空燃比センサは約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管31の内側には、検出部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータ35が挿入されている。
【0005】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、棒状ヒータ35を円筒管31内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、検出部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0006】
この問題を回避する方法として、図8の概略断面図に示すように平板状の固体電解質基板36の外面および内面に測定電極37と基準電極38をそれぞれ設けると同時に、セラミック絶縁層39の内部に発熱体40を埋設したヒータ一体型の酸素センサが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−131269号公報
【0008】
【特許文献2】
特表2002−540399号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−236104号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2、3などの従来のヒータ一体型酸素センサは、前記従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能ではあるが、その昇温速度をさらに早くすることが望まれているが、センサ自体が大きいために、急速昇温化に対しても限界があり、その結果、活性化時間の短縮ができないなどの問題があった。
【0011】
しかしながら、この問題に関しては、センサの小型化によってある程度の急速昇温が可能となる反面、センサを小型化すると、急速昇温を繰り返すとセンサ強度が低下したり、あるいはセンサが破壊するという問題があった。
【0012】
従って、本発明は、ガス応答性の優れ、急速昇温が可能で、且つ急速昇温の繰り返しにおいても強度の高い小型の酸素センサを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題について検討した結果、ガス応答性が酸素センサの幅と非常に密接な関係にあり、またセンサ強度がセンサの総断面積や空気導入孔の断面積と関係があることを突き止め、検出部の幅や、センサ総断面積に占める空気導入孔の断面を所定の範囲に制御することにより、センサ強度を充分保ったまま、ガス応答性の優れた小型の酸素センサが提供できることを見出し、本発明に至った。
【0014】
即ち、本発明の酸素センサは、空気を導入するための空気導入孔を有する長尺状のジルコニア固体電解質基板の先端付近の外表面に測定電極を、該測定電極と対向する空気導入孔内壁面に基準電極を設けた検出部を有するものであって、該検出部における長手方向に対して直交する方向の検出部の幅が2.0〜3.5mmであるとともに、該酸素センサの長手方向に対して直交する方向のセンサ全体の総断面積Vpに占める前記空気導入孔の断面積Voの比率Vo/Vpが、0.008〜0.25の範囲にあることを特徴とするものである。
【0015】
なお、前記測定電極および基準電極間のジルコニア固体電解質基板の厚みが150〜600μmであることが望ましい。
【0016】
また、本発明の酸素センサにおいては、セラミック絶縁層中に発熱体を埋設したヒータ部を具備することが望ましく、このヒータ部は、前記検出部と同時焼成して形成されてなるか、またはそれぞれ別体で形成された後、接合材によって接合し一体化されたものでもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸素センサの基本構造の例を図面をもとに説明する。図1は、本発明の酸素センサの一例を説明するための概略断面図であり、図2は他の例を説明するための概略断面図である。これらは、一般的に理論空撚比センサと呼ばれるものであり、図1、図2の例ではいずれも検出部1とヒータ部2を具備するものである。
【0018】
図1の酸素センサにおいては、ジルコニアからなる酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質基板3と、この固体電解質基板3の対向する両面には、空気に接する基準電極4と、排気ガスと接する測定電極5とが形成されており、酸素濃度を検知する機能を有する検出部1を形成している。
【0019】
即ち、固体電解質基板3は、先端が封止された平板状の中空形状からなり、この中空部が空気導入孔3aを形成している。そして、この中空内壁に、空気などの基準ガスと接触する基準電極4が被着形成され、この基準電極4と対向する固体電解質基板3の外面に、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極5が形成されている。
【0020】
また、排気ガスによる電極の被毒を防止する観点から、測定電極5表面には電極保護層としてセラミック多孔質層6が形成されている。
【0021】
本発明によれば、かかる酸素センサにおいては、検出部1における長手方向に対して直交する方向の幅wが2.0〜3.5mmであることが重要である。本発明によれば、この幅wが2.0mmより小さくなると、センサ自身が小さくなりエンジン中でセンサの温度が上がらないため、ガス応答性が悪くなる。逆に、幅wが3.5mmを越えると、センサが大きいため急速昇温性が悪くなり、その結果活性化時間も悪くなる。幅wとしては2.5〜3.0mmの範囲が特に優れる。
【0022】
なお、この検出部1とは、測定電極5が形成されている領域を示し、上記幅wは、測定電極5が形成されている領域における最大幅を指すものである。
【0023】
さらに、本発明においては、これと同時に、空気導入孔3aに関して、充分なセンサ強度を保持し、急速昇温の繰り返しによるセンサの破壊を防止する観点から、センサの長手方向に対して直交する方向の総断面積Vpに占める空気導入孔3aの断面積Voの比率Vo/Vpを0.008〜0.25の範囲に制御することが必要がある。即ち、Vo/Vpが0.008より小さいと、基準電極4への酸素の供給が悪くなり、所定の起電力が得られなし、活性化時間も遅くなる。また、Vo/Vpが0.25を越えるとセンサ強度が低下して、急速昇温の繰り返しによりセンサが破壊しやすくなる。Vo/Vpの範囲としては、特に0.05〜0.2の範囲が優れる。
【0024】
本発明においては、センサ総断面積Vpおよび空気導入孔3aの断面積Voは、測定電極5および基準電極4が形成された検出部1における断面積を示す。これは、後述するヒータなどによって検出部が最も高い温度に設定されるためである。
【0025】
また、この際、測定電極5および基準電極4に挟まれたジルコニア固体電解質基板3の厚みを150〜600μm、特に300〜400μmとすることによって、急速昇温時において、測定電極5および基準電極4に挟まれたジルコニア固体電解質基板3が熱応力により破壊しやすくなるのを効果的に防止するとともに、電極4,5間の固体電解質基板3の電気抵抗を適正に制御し、優れたガス応答性を維持することができる。
【0026】
また、本発明によれば、図1に示すように、検出部1はヒータ部2と一体的に形成されていることが検出部1を急速昇温する上で望ましい。ヒータ部2は、電気絶縁性を有するセラミック絶縁層7に発熱体8が埋設された構造からなり、図1の酸素センサにおいては、ヒータ部2は、検出部1とともに焼成によって一体化された構造からなり、図2の酸素センサにおいては、検出部1とヒータ部2とは、それぞれ別体で形成され、接合材10によって接合された構造からなる。
【0027】
特に、検出部1の固体電解質基板3とヒータ部2のセラミック絶縁層7との熱膨張係数膨張差が大きい場合には、図2の構造からなることが望ましい。
【0028】
なお、このヒータ部2は、図1では、保温性をヒータ部2による加熱効率を高めヒータ部2は、保温と材料間の熱膨張係数の差に起因する応力を低減するために、検出部1と接する側と反対側に固体電解質基板3と同一または類似の熱膨張係数を有するセラミック層9を形成することが望ましい。
【0029】
また、本発明の酸素センサは、図3の概略平面図に示すように、固体電解質基板3の先端部付近に検出部1やヒータ部2が形成されており、固体電解質基板3の後端部付近の表面に測定電極5や基準電極4とリード11aを介して接続された一対の電極パッド11が形成されている。そして、この電極パッド11には、適宜、発熱体8への電力の印加や、検出部1の電極4、5からの信号の外部への取り出しを行なうために金属製のコネクタが用いられるが、場合によっては電圧の印加や、信号の取り出しはNi等の金属ピンをパッド部にロウ付けして用いられることもある。
【0030】
本発明の酸素センサにおいては、センサの長手方向に対して直交する方向の幅が、後端部から先端部まで同一であるもの(a)、または連続的、または段階的に小さいもの(b)があり、(b)の場合、電極パッド11が設けられる部分の幅をセンサ先端部より広くし、検出部の小型化とともに、電極パッド11にコネクタや金属ピンなどを容易に且つ強固に取り付けることができる。
【0031】
また、本発明によれば、センサの小型化とともに優れたガス応答性を図る上で、測定電極5の電極面積が8〜18mm2であることが望ましい。一方、センサ後端部における幅Lb(mm)は、3.5〜6mm、特に4.0〜5.5mmであることが適当である。これによって、測定電極5の面積および先端部の幅を上記の範囲に制御することによって、ヒータによる急速昇温性を高め、センサによるガス応答性を改善することができる。また、本発明ではこれら電極パッド11の強度を保持する観点から、素子端面の空気導入孔の面積Voはセンサ部のそれと同一形状で、同じ大きさに設定することが望ましい。
【0032】
さらに、本発明によれば、図4に示すように、金属製のハウジングに挿入するため、酸素センサをセラミックスリーブ12の貫通穴に挿入固定される。
【0033】
本発明の酸素センサにおいて用いられる固体電解質は、ZrO2を含有するセラミックスからなり、安定化剤として、Y2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられる。さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al2O3やSiO2を5重量%以下の割合で添加含有させることができる。
【0034】
固体電解質基板3の表面に被着形成される基準電極4、測定電極5は、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。また、センサ動作時における電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる白金粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極4、5中に混合してもよい。また、電極形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極4、5の厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0035】
一方、発熱体8を埋設するセラミック絶縁層7としては、アルミナセラミックスからなる相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが高強度化を図る上で望ましい。この際、焼結性を改善する目的でMg、Ca、Siを総和で1〜10質量%含有していてもよいが、Na、K等のアルカリ金属は、マイグレーションによって一対のヒータ間の電気絶縁性を悪くするため酸化物重量換算で50ppm以下に制御することが望ましい。
【0036】
また、測定電極5の表面に形成されるセラミック多孔質層6は、厚さ10〜800μmで、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ−アルミナおよびスピネルの群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましい。この多孔質層6の厚さは、電極被毒物質の影響を防止するとともにガス応答性を阻害しないように、100〜500μmの厚さが望ましい。
【0037】
ヒータ部2におけるセラミック絶縁層7内に埋設された発熱体8およびリード8aは、金属として白金単味、あるいは白金とロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種との合金を用いることができる。この場合、発熱体8とリード8aの抵抗比率は室温において、9:1〜7:3の範囲に制御することが好ましい。
【0038】
また、本発明の酸素センサは、センサ全体の厚さとしては、0.8〜2.0mm、特に1.2〜1.7mm、センサの長さとしては45〜55mm、特に45〜50mmが急速昇温性とセンサのエンジン中への取付け具合との関係から好ましい。
【0039】
また、セラミックスリーブ12は、アルミナ、ジルコニア、スピネルを主とする絶縁性のセラミックスから形成することによって金属製のハウジングへの熱の伝達を防止したり、あるいは系外からの電気的なノイズの侵入を防止し、正確な電気信号を取り出すことが出来る。排気ガスのリークを抑制する関係からスリーブ12の焼結体の密度としては、少なくとも80%以上、特に90%以上あることが望ましい。
【0040】
次に、本発明の酸素センサの製造方法について、図5の分解斜視図をもとに説明する。
【0041】
まず、固体電解質のグリーンシート13を作製する。このグリーンシート13は、例えば、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製され、さらにはパンチング等によって図7のような先端部の幅が後端部から先端部に向かって連続的、または段階的に小さいグリーンシートを作製する。
【0042】
次に、上記のグリーンシート13の両面に、それぞれ測定電極5および基準電極4となるパターン14やリードパターン15や電極パッドパターン16やスルーホール(図示せず)などを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成した後、空気導入孔17を形成したグリーンシート18およびグリーンシート19をアクリル樹脂や有機溶媒などの接着材を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することにより検出部1の積層体Aを作製する。この際、空気導入孔17の焼成後の大きさが本発明の特定する範囲になるように加工しこれを積層する。加工方法としては、パンチング、NC旋盤による切削加工、レーザー加工などが挙げられる。
【0043】
なお、この時に測定電極5となるパターン14の表面には、図1のセラミック多孔質層6を形成するための多孔質スラリーを印刷塗布形成してもよい。
【0044】
次に、図7に示すようにジルコニアグリーンシート20表面にアルミナ粉末からなるペーストをスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷し、セラミック絶縁層21aを形成する。
【0045】
次に、セラミック絶縁層21aの表面に、ヒータパターン22およびリードパターン23を印刷塗布する。そして、アルミナなどの絶縁性ペーストを塗布してセラミック絶縁層21bを形成する。そしてジルコニアグリーンシート24を積層することにより、ヒータ部2の積層体Bを作製する。
【0046】
また、ジルコニアグリーンシート20の下面には、ヒータ用電極パッドパターン25を前記導電性ペーストを用いて印刷塗布し、ヒータ用リードパターン23a、23bとは、ビア導体24と同様にして形成されたビア導体26によって電気的に接続する。
【0047】
なお、上記のヒータ部の積層体Bを作製するにあたり、セラミック絶縁層21a,21bは、上記のように絶縁性ペーストの印刷塗布によって形成する他に、アルミナなどのセラミックスラリーを用いてドクターブレード法などのシート成形方法によって絶縁性シートを形成して積層することもできる。
【0048】
この後、検出部の積層体Aとヒータ部の積層体Bをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着材を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら両者を機械的に接着することにより接着一体化した後、これらを焼成する。焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。なお、焼成時には、焼成時の検出部の反りを抑制するため、錘として平滑なアルミナ等の基板を積層体の上に置くことにより反り量を低減することができる。
【0049】
また、検出部の積層体Aとヒータ部の積層体Bとを同時焼成して一体化する場合には、両者の熱膨張係数差による応力の発生を低減するために、例えば、検出部を形成する固体電解質成分とヒータ部のセラミック絶縁層を形成する絶縁成分との複合材料を介在させることが望ましい。
【0050】
その後、必要に応じて、焼成後の測定電極14の表面に、プラズマ溶射法等により、アルミナ、ジルコニア、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミックスを形成することによってヒータ部が一体化された酸素センサを形成することができる。
【0051】
その後、本発明によれば、図6に示したような所定のスリーブ12を準備し、上記で作成した酸素センサを挿入し、酸素センサとスリーブ12との間にガラス粉末を充填し、大気中または不活性雰囲気中で1100〜1300℃で熱処理して、前記ガラスを溶融することで酸素センサをスリーブ12に固定することができる。
【0052】
なお、上記の方法では、ヒータ部2は検出部1と同時焼成して形成した場合について説明したが、検出部1とヒータ部2とはそれぞれ別体で焼成した後、ガラスなどの適当な無機系の接合材10で接合することによって図2に示したような酸素センサを作製することができる。
【0053】
また、本発明は、小型で、かつ空気導入孔の総断面積Voとセンサ断面Vpの比率が一定であることが重要であって、指定する数値を満足さえすれば、いかなる平板状の酸素センサも本発明に含まれることは明白である。
【0054】
【実施例】
図1に示すλセンサを、図5に従い以下のようにして作製した。
【0055】
まず、純度が99.9%アルミナ粉末と、Siを0.1重量%含む5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加してスラリーを作製し、押出成形により焼結後の厚さが約130〜800μmになるようなジルコニア固体電解質のグリーンシート13を作製した。
【0056】
その後、厚みが異なるジルコニア固体電解質のグリーンシート13の両面に、平均粒子径が0.1μmで8モル%のイットリアからなるジルコニアを30体積%結晶内に含有する白金粉末を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷して、測定電極と基準電極のパターン14、リードパターン15を印刷形成した。一方、センサの厚みを変化させるため厚みの異なるグリーンシート同士をアクリル樹脂の接着剤により積層し、空間積層体を作製した後、レーザー加工で空気導入孔17を形成し、さらにその空間部を覆うように蒸気の電極を形成したジルコニア固体電解質のグリーンシート13をアクリル樹脂の接着剤によりその積層体に接合して検出部用積層体Aを得た。この際、測定電極は焼成後17mm2となるようにした。また、空気導入孔17は、レーザー加工により表1に示すように種々の大きさになるように形成した。
【0057】
次に、ジルコニアグリーンシート20表面に上述のアルミナ粉末からなるペーストを用いてスクリーン印刷してセラミック絶縁層21aを焼成後約10μmになるように形成した後、一方のヒータパターン22およびリード部23を、アルミナ粉末を20体積%含有する含有する白金粉末を含有する導電性ペーストを用いてスクリーン印刷で印刷形成し、さらにこの表面にもう一度アルミナ粉末からなるペーストをスクリーン印刷してセラミック絶縁層21bを形成した。この後、ジルコニアグリーンシート24を積層することにより、ヒータ部用積層体Bを作製した。また、グリーンシート20の裏面に電極パターン25を形成し、リードパターン23とグリーンシート20、21a、21bに形成したビア導体26によって接続した。
【0058】
この後、前述の製造方法に従い検出部用積層体Aとヒータ部用積層体Bを接合してヒータ一体化センサの積層体を1500℃、1時間焼成してヒータ一体化センサを作製した。この際、検出部用積層体とヒータ部用積層体の幅と厚みをそれぞれ変化させて、焼成後の検出部の幅が1.8〜4.2mmで、検出部の厚みが1.5〜2mmの理論空燃比型(λ型)のヒータ一体化の酸素センサを作製した。
【0059】
この後、水素、メタン、窒素、酸素の混合ガスを用いて空燃比を12と23の混合ガスを0.5秒間隔で交互にセンサに吹き付けがら、センサのヒータに12V印加させてセンサの活性化時間の測定を行い結果を表1に示した。この際、図6に示すようにヒータに電圧を印加した時間をゼロとし、まずセンサが空燃比12で0.6Vを示し、次に空燃比12で0.3Vを示すまでの時間tをセンサの活性化時間とした。
【0060】
次に、表1に示すセンサをそれぞれ20個づつ作製して、室温から20秒で1000℃まで昇温した後、再度室温までファンで強制冷却するという温度サイクルを1サイクルとして、これを20万回行った後のセンサの破損率を測定した。結果を合わせて表1に示す。この際、最高発熱体の検出部の総断面積、空気導入孔の断面積およびジルコニア固体電解質の厚みは走査型電子顕微鏡写真から測定した。
【0061】
なお、本実施例においては、市販のセンサ(試料No.21)も比較のため、上記と同様な評価を行なった。
【0062】
【表1】
【0063】
表1より、検出部の幅が、3.5mmを越える試料No.1では、温度サイクルによるセンサの破損率が高くガス応答性が悪いことが分かる。また、検出部の幅が2mmより小さくなる場合も、試料No.2に示すようにガス応答性が悪いことが分かる。
【0064】
次に、検出部の総断面積Vpと空気導入孔の断面積Voとの比率Vo/Vpが0.008より小さい試料(No.15)ではガス応答性が悪かった。また、Vo/Vpが、0.25を越える試料(No.16)では、センサの破損率が高かった。
【0065】
それに対して、本発明のもので、検出部の幅が2〜3.5mmで、且つ検出部の総断面積Vpと空気導入孔の断面積Voとの比率Vo/Vpが0.008〜0.25の試料は全てガス応答性に優れると同時に、温度サイクルによるセンサの破損率も低かった。
【0066】
また、電極間の厚みが150〜600μmの試料は活性化時間も10(s)以下、破損率も30%以下と全て固体電解質の破壊に起因するセンサの破損率は低いことが分かる。特に、固体電解質の厚みが300〜400μmの試料No.8、9では、急激な熱サイクルを加えても固体電解質の破損は認められなかった。
【0067】
さらに、本発明品は、市販のセンサ試料No.21に較べても、急速昇温性に優れ、熱サイクルにおける素子の破損率とも低いものであった。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、空気導入孔内壁面に基準電極を設けた検出部を有する酸素センサにおいて、前記検出部の長手方向に対して直交する方向のセンサの幅が2.0〜3.5mmであるとともに、該検出部における長手方向に対して直交する方向のセンサ全体の総断面積Vpに占める前記空気導入孔の断面積Voの比率Vo/Vpが、0.008〜0.25の範囲に設計することによって、小型化によるガス応答性を高めることができるとともに、センサの強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサの一例を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の酸素センサの他の例を説明するために概略断面図である。
【図3】本発明における酸素センサの概略平面図である。
【図4】本発明の酸素センサをスリーブに固定した時の概略斜視図である。
【図5】本発明の酸素センサの製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図6】活性化時間の測定方法を説明するためのグラフである。
【図7】従来のヒータ一体型酸素センサの構造を説明するための概略断面図である。
【図8】従来の他のヒータ一体型酸素センサの構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 検出部
2 ヒータ部
3 固体電解質基板
3a 空気導入孔
4 基準電極
5 測定電極
6 セラミック多孔質層
7 セラミック絶縁層
8 発熱体
Claims (5)
- 空気を導入するための空気導入孔を有する長尺状のジルコニア固体電解質基板の先端付近の外表面に測定電極を、該測定電極と対向する空気導入孔内壁面に基準電極を設けた検出部を有する酸素センサにおいて、前記検出部の長手方向に対して直交する方向の幅が2.0〜3.5mmであるとともに、長手方向に対して直交する方向のセンサ全体の総断面積Vpに占める前記空気導入孔の断面積Voの比率Vo/Vpが、0.008〜0.25の範囲にあることを特徴とする酸素センサ。
- 前記測定電極および基準電極間のジルコニア固体電解質基板の厚みが150〜600μmであることを特徴とする請求項1記載の酸素センサ。
- セラミック絶縁層中に発熱体を埋設したヒータ部が前記検出部と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の酸素センサ。
- 前記検出部と前記ヒータ部とが同時焼成して形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の酸素センサ。
- 前記検出部と、前記ヒータ部とそれぞれ別体で形成された後、接合材によって接合し一体化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の酸素センサ。
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