JP2004286726A - ガス分析装置 - Google Patents

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JP2004286726A JP2003182611A JP2003182611A JP2004286726A JP 2004286726 A JP2004286726 A JP 2004286726A JP 2003182611 A JP2003182611 A JP 2003182611A JP 2003182611 A JP2003182611 A JP 2003182611A JP 2004286726 A JP2004286726 A JP 2004286726A
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Yasushi Kuze
恭 久世
Hiroshi Kasahara
浩 笠原
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Abstract

【課題】より簡単かつ確実に試料ガス中の被検知ガス種や濃度を知ることができるガス分析装置を提供すること。
【解決手段】カラム1を備え、前記カラム1にキャリアガスとしての空気を流通させるためのガス吸引ポンプ2を設け、前記カラム1に試料ガスを流通させる供給部1aおよび排出部1bを設け、前記供給部1aから供給されて、排出部1bから排出される試料ガスの排気路5にガス検知素子6a、7aを備えたガス検知部6,7を設け、前記ガス検知部6,7からの出力に基づき、試料ガス中の被検知ガス種および被検知ガス濃度を求める演算部8を設けてある。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス分析装置に関し、試料ガスの種類や試料ガス中に含まれる被検知ガスの種類や濃度を知るための分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のガス分析装置としては、ガスクロマトグラム分離部(以下カラムと称する)を備え、前記カラムにキャリアガスとして不活性ガスを流通させるためのガス供給部を設け、前記カラムに試料ガスを流通させる供給部および排出部を設け、前記供給部から供給されて排出部から排出される試料ガスの排気路に、フィラメントを有する熱伝導度検出器を設けて、カラムから流出するガスの組成が変わったとき、その熱伝導度の変化を受けてフィラメントの温度が変化するのを電気抵抗の変化として検出し、分離されたガスを識別するものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、前記排気路に、熱伝導度検出器に代えて炎光光度検出器(FPD)や水素炎イオン化検出器(FID)等を設けて、その排気路から流出する被検知ガスの物性を知ることによって、ガス種やその濃度を知ることができるようにしたものが実用されている(特許文献2参照)。さらに、微量成分を精度良く分析するために、被検知ガスを質量分析器に導入し、きわめて低濃度の被検知ガスを分析する技術が開発されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−50943号公報
【特許文献2】
特開平11−101789号公報
【特許文献3】
特開平9−43199号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの検出器を用いた場合にも、溶離ガスとしては単一組成のガスを用いる必要があったことから、不活性ガスをキャリアガスとして用いている。そのため、キャリアガスは、ガスボンベ等から供給される必要があって、別途ガス供給源を用意しなければならないことになり、ガス分析装置の複雑化、大型化につながっていた。
また、熱伝導度検出器によると、排出される試料ガス中の被検知ガス組成の変化を知ることができても、その濃度を正確に知ることが困難であったり、FPD、FID、質量分析器等を設けた場合には、装置が大がかりである上に、高価で、試料の調整に労力を要する等の問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記実情に鑑み、より簡単かつ確実に試料ガス中の被検知ガス種や濃度を知ることができるガス分析装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明のガス分析装置の特徴構成は、
ガスクロマトグラム分離部を備え、前記ガスクロマトグラム分離部にキャリアガスとしての空気を流通させるためのガス吸引ポンプを設け、前記ガスクロマトグラム分離部に試料ガスを流通させる供給部および排出部を設け、前記供給部から供給されて、排出部から排出される試料ガスのガス流通路にガス検知素子を備えたガス検知部を複数設け、前記ガス検知部からの出力に基づき、試料ガス中の被検知ガス種および被検知ガス濃度を求める演算部を設けてある点にある。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、カラムを備えると、試料ガス中の被検知ガスを前記カラムを通過する時間差により分離することができる。このとき、前記カラムに空気を流通させるためのガス吸引ポンプを設けてあれば、不活性ガス等をガスボンベ等により圧入することなく、前記カラムに空気を流通させることができる。
前記試料ガスのガス流通路にガス検知素子を備えたガス検知部を設けておけば、前記ガス検知部からの被検知ガス検知に基づく出力を得ることができる。前記ガス検知部が複数設けてあれば、その複数のガス検知部毎のガス検知特性から、カラムから排出されるガスの種類が特定できる。また、出力の濃度依存性に基づき、カラムから排出されるガスの濃度を知ることができる。このようなガス種およびガス濃度は、演算部により演算して求めることができる。
【0009】
このときのガス検知部の配置としては、前記ガス流通路のうち、ガス排出路に少なくとも二種のガス検知部を設けてあってもよいし、ガス供給路に少なくとも一つのガス検知部を配置してあってもよい。
前者の場合、カラムにより分離された試料ガスの成分毎にガス検知部がガス検知出力を呈し、そのガス検知部に設けられるガス検知素子のガス検知特性から、ガス種やガス濃度を分析でき、各ガス検知出力が、それぞれ夾雑ガスを含まない純粋なガス成分に対するガス出力となるために、各ガス検知素子によるガス検知特性が明確に現れやすく、かつ、出力値に基づく定量が正確に行える。
また、後者の場合、ガス供給路側のガス検知部で、カラムにより分離することなしにガス検知素子により試料ガス全体としての出力を知り、試料ガスを全体として定量することができ、ガス排出路側で溶離時間の短い画分を検出することによって、試料ガスに含まれる成分を定量する。前記溶離時間の短い画分を得ると、この画分に相当するガス種がわかり、その出力よりその画分に相当するガス量を定量することができ、試料ガス中におけるその成分ガス濃度がわかる。すると、その試料ガスの成分組成を推定することができる。そのため、たとえば、試料ガスとしての燃料ガス中に含まれるメタンガス濃度を知り、燃料ガス全体の出力およびメタンガス出力をもとに、メタンガス以外のガス種の濃度を知ることができ、その比などから、その燃料ガス種(天然ガスかLPGか、天然ガスのうち12Aか13Aか等)を識別することができる。そのため、溶離時間の長い画分が溶離されるのを待つことなく、短い溶離時間で前記試料ガスの分析が完了できることになる。そのため、分析が容易にかつ確実に行えるとともに、分析に要する時間の短縮も図れるようになる。
【0010】
尚、従来カラム分離された溶離ガス中に含まれる被検知ガスは通常酸素を含まないものとなるために、半導体式ガス検知素子の精密なガス検知に供することができないと考えられていたのに対して、前記ガス吸引ポンプによって空気を流通させるものであるから、前記カラムには単に空気を流通させる構成とすることができ、主に酸素の存在下で出力を呈する半導体式ガス検知素子を前記ガス検知素子として用いることができる。
これにより、清浄空気を用いて半導体式のガス検知素子による精密なガスの定量が行えるようになった。
【0011】
また、前記演算部が、一種のガス検知部からのガス検知出力に基づき、被検知ガス種を求めるとともに、前記ガス検知部とは異なる他のガス検知部からのガス検知出力に基づき、被検知ガス濃度を求めてもよい。
たとえば、都市ガス中にはメタンガスとにおい成分の比率が、都市ガス供給会社毎に特定の値をとるように調整されていることから、メタンガスに感度の高いガス検知素子を備えた第一ガス検知部と、においに感度の高いガス検知素子を備えた第二ガス検知部とを備えた場合、その試料ガス中の都市ガスの種類および濃度を知ることができる。
具体的には、カラムから排出されるガスのうち可燃性ガスの排出されている分画を検知することにより、その出力パターン等から第一ガス検知部が都市ガス種を特定することを可能とし、そのガス中に含まれる微量におい成分を第二ガス検知部における出力から定量すれば、その可燃性ガスとともに試料ガス中に含まれていたにおい成分を定量することにより、試料ガスに含まれていた可燃性ガス量がその成分比とともに特定でき、その試料ガス中の都市ガス濃度がわかることになる。
【0012】
尚、ガス種およびガス濃度は、それぞれ別個のガス検知部で求める以外に、それぞれのガス検知出力を複合して演算処理により求めることも可能である。
このような演算処理は、演算部によって行い、あらかじめ種々の被検知ガスに対するガス検知部それぞれのガス検知特性を参照して演算可能に構成してあればよい。
【0013】
前記カラムにキャリアガスとしての空気を流通させる給気部に、夾雑ガスを吸着するガス吸着装置を設けてあれば、キャリアガスとしての空気に定量分析対象となる被検知ガスを検知する際に妨害となる夾雑ガスが含まれていたとしても、その夾雑ガスを吸着して、空気のみが溶離ガスとして働くから、精度の高いカラム分離が可能となる。
【0014】
また、一旦ガスの分析を行った後には、前記カラムには試料ガス等の雑ガスが微量残存していることがあり、このようなガスが次の測定の妨害となる場合がある。さらに、分析を行う前にガス分析装置が低温状態であると、ガス検知素子からの出力が応答性よく得られないという実情もある。そこで、ガスを分析していないときに本発明のガス分析装置を暖機運転し、その際前記カラムのクリーニングを行うことにより、迅速な分析を可能としている。
具体的には、前記ガスクロマトグラム分離部から吸引されるガスを、ガス吸着装置を介して前記供給部に返送する循環路を設けてある。これにより、暖機運転をかねて、前記カラム内に残存するガスを吸引して前記吸着装置に送り、そのガス中の妨害ガスを吸着して、清浄になったガスを、さらにカラム内に送ることができる。その清浄なガスは、カラム内に吸着されている雑ガスを溶離させ、そのカラムをクリーニングするとともに、さらに雑ガスを前記吸着装置に移動させることができる。この循環を繰り返すことにより、カラムが再生される。また、その再生作業中に前記ガス検知素子に通電しておくことによって、前記ガス検知素子を安定化するとともに、前記カラムの再生状況をモニタすることもできる。
そのため、作業開始からガス分析可能になるまでの待ち時間を省略することができるとともに、迅速なガス分析ができるようになった。
【0015】
また、空気の温度は環境ごとに大きく異なる場合があり、測定作業中における経時的な変化も観測される。このような分析環境温度に変化があると、分析データがばらつき、分析結果の信頼性が低下するという問題点がある。そのため、カラムに導入される空気の温度は一定に維持されることが好ましい、そこで、測定中に水槽を設けるとともに、前記供給部に対する給気路を形成する給気管、および、前記カラムを形成するカラムスリーブ部を前記水槽に浸漬配置してあると、前記給気路に供給された空気は、一旦前記水槽をくぐって、前記水槽の水温にコントロールされて前記カラムに入り、前記カラムも前記水温に維持された状態にあるので、分析作業が、全体として水温下で行われることになる。水は熱容量が大きいため、周囲環境の変化によっても前記水温は変化しにくい。そのため、前記分析作業は、一定温度条件下で行われていると見なせることになり、分析結果の信頼性を高めることができるようになる。
【0016】
また、前記水温を所定温度に維持するために、温度制御部を設けてあれば、たとえ前記水温が周囲環境の影響を受けるほどに分析作業中に環境条件が変化したとしても、その水温を強制的に所定温度に制御することにより、より精密に分析作業温度を一定に維持できることになる。
【0017】
一方、前記給気管に試料ガス導入用の試料導入部を分枝して設ければ、前記給気管から、前記供給部に試料ガスを導入する位置を決めることができるが、この試料導入部からの試料ガス導入速度が異なれば、分析精度に悪影響が生じる可能性がある。そこで、前記試料導入部に、試料ガスを圧入する注入部を設けるとともに、前記給気管から前記注入部に前記試料ガスが押し戻されるのを防止する逆止弁を設けてあれば、前記注入部には、前記給気管の内圧がかからないので、前記注入部に試料ガスをシリンジ等を用いて導入する際に、前記試料ガスが前記内圧によって逆流させられるのを防止でき、試料ガスを導入する際の操作性も向上する。また、一旦前記注入部に達した試料ガスは、確実に前記給気管に徐々に試料ガスが流入することになり、前記注入部に供給された試料ガス量を一定に操作することによって、試料ガス導入速度を一定に制御することができる。そのため、分析条件を一定に維持しやすく分析精度を高く維持しやすい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1) 図1に示すように、本発明のガス分析装置は、ガスクロマトグラム分離部(カラム)1を備え、前記ガスクロマトグラム分離部にキャリアガスとしての空気を流通させるためのガス吸引ポンプ2を設ける。前記カラム1に試料ガスを流通させる供給部1aおよび排出部1bを備える。試料ガスは、前記供給部1aに対するガス流通路の給気路3に設けられた試料導入部4から供給されて、前記供給部1aに導かれ、前記供給部1aに導入された試料ガスは、排出部1bからガス流通路の排気路5に排出される。前記排気路5にガス検知部6,7を設け、前記ガス検知部6,7からの出力に基づき、試料ガス中の被検知ガス種および被検知ガス濃度を求める演算部8を設けてある。
【0019】
前記ガス検知部6,7は、前記排気路にガス検知素子6a,7aを格別に設けてなるガス検知室を形成してある。前記ガス検知素子6a,7aとしては、半導体式ガス検知素子が好適に用いられ、たとえば、以下の構成のものが用いられる。
【0020】
ガス検知素子6a:
<熱線型ガス検知素子>
図2に示すように、ガス検知素子6aは、白金を主成分とし、線径30μm、巻き数15turn、長さ550μmの導線コイル6bに、金属酸化物半導体を塗布焼成して球状に形成した感応層6cを設けてある。
尚、前記導線コイル6bとしては、白金に代えて白金ロジウム、白金パラジウム等の貴金属線コイルを用いると、熱的安定性が高いので好ましい。また、酸化スズに代えて酸化インジウム、酸化鉄、酸化亜鉛、等の金属酸化物半導体も利用可能である。さらに、感応層には、必要に応じてコーティング層6dが設けられる。
【0021】
ガス検知素子7a:
<基板型ガス検知素子>
図3に示すように、ガス検知素子7aは、アルミナ基板7b上に金属酸化物半導体を主成分とする膜層(感応層)7cを備えて構成されており、この金属酸化物半導体膜層7cに電気的に接続された検出電極としての白金薄膜電極7dを備えて構成されている。そして、この白金薄膜電極7dに対して、この電極間における抵抗値の変化を検出するように、検出端子が設けられる。さらに、アルミナ基板7bの裏面側に白金薄膜ヒーター7eが備えられ、これにセンサ温度制御装置への加熱端子7fを設けて加熱手段が構成されている。この加熱手段は、センサの動作に適する450〜550℃にガス検知素子7aを加熱維持する。さらに、感応層には、必要に応じてコーティング層7gが設けられる。
【0022】
また、前記ガス検知部において、それぞれのガス検知素子は、ブリッジ回路等からなるガス検知回路9に組み込まれ、前記ガス検知素子6a,7aの被検知ガス検知による抵抗値の変化等に基づく出力をガス検知出力として取り出すことができるよう接続される。
【0023】
得られたガス分析装置には、シリンジ等により試料ガスを前記試料導入部4より前記カラム1にチャージする。前記ガス吸引ポンプ2により、前記カラム1からガスを吸引すると、前記カラム1の供給部上流側の給気部10より前記カラム1に空気が導入され、チャージされた試料が展開される。展開された試料は、順次成分毎に分離されつつ、前記排出部11側に溶離され排出される。この溶離された各成分が順次ガス検知部6,7に誘導され、ガス検知素子6a,7aに接触する。すると、前記ガス検知素子6a,7aの見かけ抵抗値は変化するので、前記ガス検知回路9からその抵抗値の変化に対応するガス検知出力が得られる。
【0024】
前記ガス検知素子6a,7aからのガス検知出力は演算部8に入力され、前記演算部8において前記ガス検知出力を基に演算して、種々のガスを識別するとともに、検知された被検知ガスの濃度を求められる。
演算により求められたガス種および被検知ガスのガス濃度は、表示部12に表示され、分析結果を知ることができる。
【0025】
前記カラム1にキャリアガスとしての空気を流通させる給気部10に、夾雑ガスを吸着するガス吸着装置13を設け、空気中の雑ガスを吸着してキャリアガスとして好適に用いられるようにする。
【0026】
また、前記ガスクロマトグラム分離部から吸引されるガスを、ガス吸着装置を介して前記供給部1aに返送する循環路14を設けてある。これにより、ガス分析時には、前記排出部1bからのガスをガス検知部6,7を介して排気部へ排気し、ガス分析時以外の暖機運転時には、前記排出部からのガスを、前記ガス吸着装置を介して前記給気路3の循環部15に導き、前記供給部1aに返送自在に構成してある。このとき、前記排気路5を流れるガス流量は流量制御部16により調整可能に構成するとともに、ガス分析時と、暖機運転時とで流量を自動的に切り替えられるようにしてある。
【0027】
また、前記給気路3には前記試料導入部4とは別途、装置校正用の標準空気導入用の標準空気導入部17、および、現場雰囲気ガスを試料ガスとして吸引自在にする試料吸引導入部18を設けてあり、種々の態様でのガス分析を可能とするとともに、その態様に応じた装置の校正を可能にしてある。
【0028】
尚、図中AFとあるものは、導入されるガス中から塵埃等を除去するエアフィルタであり、Rとあるものは、流通するガスの流量を流量表示部R1に表示させるための流量計である。
【0029】
(2) 上述のガス分析装置を筐体A内に構成するには、たとえば、図11に示すように、前記筐体内に水槽20を設けるとともに、前記水槽20内に、前記給気路3を形成する給気管3a、および、前記カラム1を形成するカラムスリーブ部1cを水密に形成し、水槽20外から前記給気管3aを通じて空気を流通させられるように接続することができる。
【0030】
図11中ガス吸着装置13は、カートリジ状に形成し、前記ガス吸着装置13を着脱自在な着脱部13aを前記水槽20内に凹入形成しておき、前記着脱部13aに前記ガス吸着装置13を内嵌して装着する。これにより、前記ガス吸着装置13の取り付け、配管、交換等にかかる作業を、前記水槽20内の水に接することなく行え、かつ、前記ガス吸着装置13と水との熱交換を容易にできる。
【0031】
カラムスリーブ部1cには可撓管1dに充填材1eを充填したカラム本体1fを前記水槽20外から挿脱自在に設けるとともに、前記カラムスリーブ部1cに前記カラム本体1fを挿通した状態で、カラム本体1f両端部に配管して通気自在に構成する。
【0032】
また、前記水槽20は、水密容器20a内に水を充填して密封して形成するとともに、前記水槽20内の水を加熱するヒータ21を設けるとともに、撹拌装置22を設けて、前記水槽20内の水を均一に加熱して所定温度に維持可能に構成し、前記給気管3aやカラム1を流通するガスを常に前記所定温度に維持すべく調整される。前記ヒータ21および撹拌装置22を総称して温度制御部Cと称するものとし、前記温度制御部Cには前記ヒータ21に加え、さらに冷却装置等を設けてあっても良い。また、前記所定温度としては、室温よりやや高い30℃〜40℃程度が好ましく、このように設定すると、空冷可能な温度であるから、ヒータ21のみで温度制御ができ、簡単な構成で温度制御部Cを構成できる。
【0033】
前記試料導入部4には試料ガスを注入する注入部41を取り付ける。注入部41にはシリンジの先端部を受け入れる注気口42と逆止弁43とを設けた注入管44を設け、前記注入管44に試料ガスを圧入すると、前記逆止弁43により前記給気管3から前記注入管44に前記試料ガスが押し戻されるのを防止しつつ、試料ガスが前記給気管3に導入される。そのため、試料ごとの分析条件を一定に維持しやすく、分析結果の信頼性を高めることができる。前記注入部41は、ガス分析装置に固定してあるものであっても良いし、着脱可能に構成してあるものであっても良い。
【0034】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1) 上述の実施の形態におけるガス分析装置におけるカラムとして、内径4mm全長20cmのフッ素樹脂製カラム管に、粒径80〜100μmのポリフェニルエーテル(PPE)製充填材5ring Uniport−HP(GLサイエンス社製)を充填したものを用い、カラム温度25℃、キャリアガス流量60ml/minで2500ppmの12A都市ガス(メタン99.96%付臭剤としてTHT(テトラヒドロチオフェン)含有)20mlを分析したところ図4のようになった。
前記ガス検知素子6a,7aとしては、以下のものを用いた。
【0035】
ガス検知素子6a:
上述の基板型ガス検知素子において、金属酸化物半導体に酸化亜鉛を用い、バナジウム塩の水溶液を含浸させた後、焼成してあるもの(コーティング層を設けていない)。
【0036】
ガス検知素子7a:
上述の基板型ガス検知素子において、金属酸化物半導体に酸化タングステンを用い、コーティング層を設けていないもの。
【0037】
尚、参照としてメタン2500ppmを検知したときの出力を調べてある。
【0038】
図4(イ)より、ガス検知素子6aによると、都市ガス中のメタンに鋭い出力を示している。また、図4(ロ)に示すように、都市ガス中のTHTを明確に検知することができるようになっており、付臭剤の有無から自然界に存在するメタンと、都市ガス中に含まれていたメタンとを区別することができる。また、それぞれのガス濃度をガス検知素子6a,7aの出力により定量することにより、都市ガス濃度を知ることができる。
【0039】
この例では、ガス検知部6による出力をV6、ガス検知部7による出力をV7、定数Kとして、
V(補正出力)=V6+K(V7−0.1)×(V6−0.1)
を求めることにより、メタンとTHTのピークのみが特異的に増幅された補正出力が求められるので、メタン、THT以外の雑ガスによる出力の揺らぎがあったとしても、メタン、THTに該当する溶出時間差を確認するとともに、そのピーク高さが他の夾雑ガス等による揺らぎと明確に区別できることを確認することによって、都市ガス種を明確に知ることができる。
【0040】
(2) 上述の実施の形態におけるガス分析装置におけるカラムとして、内径4mm全長20cmのフッ素樹脂製カラム管に、粒径80〜100μmの(GLサイエンス社製Bentone34+SP−1200)を充填したものを用い、
前記ガス検知素子6a,7aとしては、以下のものを用いた。
【0041】
ガス検知素子6a:
(1)における6aと同等のもの。
【0042】
ガス検知素子7a:
上述の基板型ガス検知素子において、金属酸化物半導体に酸化タングステンを用い、感応層に銅をCu/W比で2.5wt%で含浸させてあるもの(コーティング層を設けていない)。
【0043】
このガス分析装置を用い、カラム温度30℃、キャリアガス流量60ml/minでトルエン、エチルベンゼン、キシレンをそれぞれ100ppb含有する混合ガス10mlを分析したところ図5のようになった。
【0044】
図5より、先の熱線型ガス検知素子によると、いずれの成分に対しても出力を示しており、その溶離時間によってガス種が判断できることがわかる。また、ニオイ検知素子によると、キシレンについては、濃度依存性の高い大きな出力が得られて、精度良く濃度を知ることができるものの、他のガスについては、際だった出力が得られず、キシレンのみを選択的に定量するのに適していることがわかる。
従って、熱線型ガス検知素子でガス種を分析し、前記基板型ガス検知素子により標準物質としてのキシレンを定量するとともに、前記メタン検知素子の出力比から他のガスの濃度を知ることができることがわかる。
【0045】
(3) 図6に示すように、上述の実施の形態におけるガス検知部を6,7に加えて、さらに別途ガス検知部20にガス検知素子20aを設けてあるガス検知部20をガス排出路5に備えたガス分析装置を用いて、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンの混合ガスを分析させた例を示す。ガス検知部6,7,20にはそれぞれガス検知素子として、6k,7k,20kを装備してある。
ガス検知素子6k,7k,20kおよび分析条件は以下の通りである。
【0046】
(ガス検知素子6k)
(1)における6aと同等のもの。
【0047】
(ガス検知素子7k)
(1)における7aと同等のもの。
【0048】
(ガス検知素子20k)
前記熱線型ガス検知素子において金属酸化物半導体を、酸化インジウムとし、前記被覆層としてHMDSを原料として蒸着処理して形成される緻密なシリカ薄膜を設けたもの。
【0049】
(分析条件)
カラム:30cm、内径4mm
充填剤:Bentone34+SP−1200 Uniport−HP(粒径80〜100μm)(GLサイエンス社製)
カラム温度:30℃
流量:50ml
対象ガス濃度:トルエン,キシレン,エチルベンゼン,スチレン各100ppbの混合ガス
【0050】
図7(イ)より、炭化水素ガス全般に感度を有するガス検知素子6aを備えたガス検知部6からの出力を参照すると、カラムによる分離では、エチルベンゼンとキシレンとは明確に分離されているとは言い難いが、図7(ロ)、図7(ハ)より、キシレン選択性の高いガス検知素子7aを備えたガス検知部7からの出力および、炭化水素ガスに対する雑ガス(アルコール類、水蒸気等)に選択性の高いガス検知素子20aを備えたガス検知部20からの出力を参照し、前記図7(イ)の出力からキシレンや雑ガスに対する出力を相殺させると図8(イ)、図8(ロ)のようになる。
【0051】
そのため、
V(補正出力)=V6−0.8×V20………図8(イ)
により、雑ガスの影響を排除して、各ガス成分の出力強度比がそのガス成分の濃度比に対応するように表示させられるので、ガスの成分比を視覚的に把握できるようになることがわかる。
【0052】
また、
V(補正出力)=V6−0.5×V7 ………図8(ロ)
により、たとえばエチルベンゼンとキシレンのように、ピークの重なり合うガス成分を互いに区別して表示するとともに、ノイズ成分を低減し、ブロードなピークを明確に表示させることが可能となる。雑ガスからの溶離時間差を観測することによって、ガス種もより明確に知ることができる。
従って、シックハウス等の問題になりやすい4種のガスについて簡便かつ正確に分析し、成分濃度を把握しやすくなり、さらに多種のガスにも対応して、個々の事例に即し、シックハウスの原因物質を究明するなどの用途に好適に利用されることがわかる。
【0053】
(4)
本発明のガス分析装置は、図9に示すように構成することができる。
つまり、図1に示すガス分析装置におけるガス検知部の一つをガス流通路の内ガス供給部側に設けてある。このガス分析装置を用いて13Aの天然ガスを分析したところ図10のようになった。尚、ガス検知部6,7に用いたそれぞれのガス検知素子6j、7jとしては、(3)における20kと同等のものを用い、分析条件は以下の通りである。
【0054】
(分析条件)
カラム:20cm、内径4mm
充填剤:Porapak−N(粒径80〜100μm)(GLサイエンス社製)
カラム温度:30℃
流量:20ml
対象ガス濃度:13A都市ガス(メタン88%、エタン6%、プロパン4%、ブタン2%)500ppm
【0055】
給気部に設けたガス検知部6では、図10(イ)より、試料ガスの流通とともに可燃性ガスに対する一つの出力が得られている。これに対して、排出部に設けたガス検知部7から得られるガス検知出力は、図10(ロ)に示すように、カラムによる保持時間の違いにより個々のガス成分の出力が個別に求められる。この際、プロパン成分は、カラムによる保持時間が長いため、プロパンガス成分を定量するには長時間を要することになる。しかしながら、メタンガスとエタンガスとを、排出部側のガス検知部7で個別に定量し、その比を求めることにより、検出したガスの組成(天然ガスかLPGか、天然ガスのうち12Aか13Aか等のガス種)を判別することができ、全体としての濃度は供給部側の出力をもとに定量することが可能となる。
従って、プロパンガスの溶離するのを待つことなしに、ガス組成および濃度を判別することができるようになって、きわめて短時間にガスの分析をすることができるようになった。尚、燃料ガス種がある程度予想されている場合で、排出部側のガス検知部7でメタンガスとエタンガスが検出されない場合は、プロパンガスやブタンガスを主成分とするガスであることを推定できるので、やはり、プロパンガスの溶離するのを待つことなしに、きわめて短時間にガスの分析をすることができる。
【0056】
上述の実施例ではガス検知部を2〜3箇所備えて混合ガスのガス種や濃度を識別する構成としたが、ガス検知部を4つ以上の複数種備えてさらに複雑な混合ガスの種類や濃度を識別可能に構成することもできる。また、ガス検知素子として同じものを用いたガス検知部を設けた場合であっても、それぞれのガス検知部において、配置箇所(カラムの前後等)、フィルタ、動作温度等により異なるガス検知特性を有する場合は、異なる種のガス検知部を設けたものとみなす。また、ガス検知素子としては、接触燃焼式のものや、定電位電解式のもの等、他の形態のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス分析装置の概略図
【図2】ガス検知素子の一部破断斜視図
【図3】ガス検知素子の一部破断斜視図
【図4】ガス分析例を示すグラフ
【図5】ガス分析例を示すグラフ
【図6】ガス分析装置の概略図
【図7】ガス分析例を示すグラフ
【図8】ガス分析データ処理例を示すグラフ
【図9】ガス分析装置の概略図
【図10】ガス分析例を示すグラフ
【図11】ガス分析装置の全体図
【符号の説明】
1 カラム
1a 供給部
1b 排出部
2 ガス吸引ポンプ
5 排気路
6,7 ガス検知部
6a,7a ガス検知素子
8 演算部

Claims (10)

  1. ガスクロマトグラム分離部を備え、前記ガスクロマトグラム分離部に空気を流通させるためのガス吸引ポンプを設け、前記ガスクロマトグラム分離部に試料ガスを流通させる供給部および排出部を設け、前記供給部から供給されて、排出部から排出される試料ガスのガス流通路にガス検知素子を備えたガス検知部を複数設け、前記ガス検知部からの出力に基づき、試料ガス中の被検知ガス種および被検知ガス濃度を求める演算部を設けてあるガス分析装置。
  2. 前記ガス流通路のうち、ガス排出路に少なくとも二種のガス検知部を設けてある請求項1記載のガス分析装置。
  3. 前記ガス流通路のうち、ガス供給路に少なくとも一つのガス検知部を配置してある請求項1又は2に記載のガス分析装置。
  4. 前記ガス検知素子が、半導体式ガス検知素子である請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分析装置。
  5. 前記演算部が、一種のガス検知部からのガス検知出力に基づき、被検知ガス種を求めるとともに、前記ガス検知部とは異なる他のガス検知部からのガス検知出力に基づき、被検知ガス濃度を求める請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス分析装置。
  6. 前記ガスクロマトグラム分離部にキャリアガスとしての空気を流通させる給気部に、夾雑ガスを吸着するガス吸着装置を設けた請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス分析装置。
  7. 前記ガスクロマトグラム分離部から吸引されるガスを、ガス吸着装置を介して前記供給部に返送する循環路を設けてある請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス分析装置。
  8. 水槽を設けるとともに、前記供給部に対する給気路を形成する給気管、および、前記ガスクロマトグラム分離部を形成するカラムスリーブ部を前記水槽に浸漬配置してある請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス分析装置。
  9. 前記水槽内の水を所定温度に維持する温度制御部を設けた請求項8に記載のガス分析装置。
  10. 前記給気管に試料ガス導入用の試料導入部を分枝して設け、前記試料導入部に、試料ガスを圧入する注入部を設けるとともに、前記給気管から前記注入部に前記試料ガスが押し戻されるのを防止する逆止弁を設けた請求項8または9に記載のガス分析装置。
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