JP2004285999A - オイルポンプ - Google Patents
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Abstract
【目的】トロコイド式のオイルポンプにおいて、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減し、吸入室にオイルを供給するメインギャラリの脈動を低減して、安定したオイルを油圧機器等に容易に供給し、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止することにある。
【構成】インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けている。
【選択図】 図1
【構成】インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、オイルポンプに係り、特にインナロータ及びアウタロータの回転によってオイルの吐出圧力を得るトロコイド式のオイルポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されるエンジンにおいては、各運動部分や各種油圧機器等にオイルを供給するために、オイルポンプを設けている。このオイルポンプとしては、例えば、トロコイド式のオイルポンプがある。
【0003】
図10に示す如く、トロコイド式のオイルポンプ102においては、例えば、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロック(図示せず)のブロック側面に取付けられ、プレート(図示せず)と共働してオイルを吸入する吸入室(低圧室)104とオイルを各運動部分や各種油圧機器等に供給する吐出室(高圧室)106とを形成するオイルポンプケース108を設け、このオイルポンプケース108内で回転軸であるクランク軸110に固定されたインナロータ112及びこのインナロータ112に組込んだアウタロータ114を回転させてインナロータ112の外歯112Aとアウタロータ114の内歯114Aとの間に形成されるポンプ室116を吸入室106側から吐出室108側に移動させてオイルの吐出圧力を得るものであり、インナロータ112とアウタロータ114とで形成されたポンプ室116が最大の位置の閉じ切り室118を中心にして両側に吸入室106とメインギャラリに連通する吐出室108とが分離して配設されている。
【0004】
また、トロコイド式のオイルポンプには、吸入ポート(吸入室)のポンピングチャンバの容積が最大になる側に、通過するオイルの流速が略一定になるように流体通路の断面積を形成した流速一定部を形成することで、高回転でもキャビテーションの発生を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、トロコイド式のオイルポンプには、ハウジング(オイルポンプケース)に円弧状の薄溝を形成することで、吐出室からポンプ室へのオイルの逆流を阻止するものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、トロコイド式のオイルポンプには、ポンプ室を吸入ポート(吸入室)及び吐出ポート(吐出室)に対して一体に連通させる溝構造を形成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−203381号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−35053号公報(第3頁、図1)
【特許文献3】
特開1997−25809号公報(特許請求の範囲、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、トロコイド式のオイルポンプにおいて、吸入室と吐出室、及び、閉じ切り室と吐出室とでは、オイルの圧力に大きな差があり、低圧側の室と高圧側の室とが連結するタイミング(時期)で、オイルに大きな圧力変化が生じ、このため、NVH(noise vibration harshness)性能(アイドリング及び走行中に発生する不快な騒音や振動)に影響を及ぼす一因となっている。
【0007】
このオイルの圧力変化を抑制するために、例えば、低圧側の閉じ切り室と高圧側の吐出室とが連結する前に、吐出室から閉じ切り室にオイルを供給することで、閉じ切り室と吐出室との圧力差を低減している。
【0008】
このため、吐出室と閉じ切り室との間に別途の通路を設けたり、吐出室と閉じ切り室との間になだらかなテーパ状に形成して徐々にオイルの圧力差をなくする方法があるが、吸入室のオイルの供給位置が吐出室の近傍に存在し、この吸入室のオイルの供給位置自体が、既にオイルの圧力変化の影響を受け、このため、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減することができず、よって、シリンダブロックに形成したメインギャラリのオイル脈動が大きくなり、この結果、例えば、油圧機器(VVT(可変バルブタイミング装置)等)の駆動に悪影響を与えるという不都合があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、プレートと共働して吸入室と吐出室とを形成するオイルポンプケースを設け、このオイルポンプケース内で回転軸に固定されたインナロータ及びこのインナロータに組込んだアウタロータを回転させて前記インナロータの外歯と前記アウタロータの内歯との間に形成されるポンプ室を前記吸入室側から前記吐出室側に移動させてオイルの吐出圧力を得るオイルポンプにおいて、前記インナロータが摺接する前記オイルポンプケース又は前記プレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を前記吐出室の終端部に連通して設け、前記オイル溝の他端側を前記吸入室及び前記吐出室と遮断された位置で初めて前記ポンプ室に連通して設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明は、インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けることから、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減し、シリンダブロックのメインギャラリの脈動を低減し、安定したオイルを油圧機器等に容易に供給し、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0011】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜6は、この発明の第1実施例を示すものである。図1、2において、2はオイルポンプである。このオイルポンプ2は、例えば、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロックの(図示せず)のブロック側面に取付けられるトロコイド式のオイルポンプである。
【0012】
このオイルポンプ2は、オイルポンプケース4と小形のプレート6とで共働し且つ窪んで形成されてオイルを吸入する吸入室(低圧室)8とオイルを各運動部分や油圧機器等に供給する吐出室(高圧室)10とを有するとともに、回転軸であるクランク軸12に固定されたインナロータ14とこのインナロータ14に組込まれたアウタロータ16とを有している。このインナロータ14とアウタロータ16とは、オイルポンプケース4の環状で所定幅のケース側摺接面4Bとプレート6のプレート側摺接面6Bとに摺接している。
【0013】
オイルポンプケース4とプレート6とは、ケース側接合面4Aとプレート側接合面6Aとで接合し、複数のケース側ボルト孔18とこの複数のケース側ボルト孔18に重合した複数のプレート側ボルト孔20とに挿通した取付ボルト(図示せず)により、シリンダブロックのブロック側面に取付けられる。
【0014】
また、吸入室8と吐出室10とは、図1に示す如く、オイルポンプケース4のケース側接合面4Aに形成されている。
【0015】
クランク軸12は、オイルポンプケース4のケース側挿通孔22とプレート6のプレート側挿通孔24とに挿通して設けられている。
【0016】
インナロータ14には、複数の外歯14Aが形成されている。また、アウタロータ16には、インナロータ14の外歯14Aの数よりも一つ多い数の内歯16Aが形成されている。このオイルポンプ2は、クランク軸12と伴に回転するインナロータ14の外歯14Aとアウタロータ16の内歯16Aとの間に形成されるポンプ室26を吸入室8側から吐出室10側に移動させてオイルの吐出圧力を得てポンプ作用をするものであり、また、インナロータ14とアウタロータ16とで形成されるポンプ室26が最大の位置の閉じ切り室28を中心にして両側に吸入室8と吐出室10とが分離して配設するものである。閉じ切り室28は、オイルポンプケース4インナロータ14のケース側摺接面4Bにおいて、吸入室8と吐出室10との間で高位部4Fに形成される(図1参照)。
【0017】
吸入室8は、図1に示す如く、インナロータ14及びアウタロータ16に沿って円弧形状に形成されて吸入側始端部30Aと吸入側終端部30Bとを備えた吸入側室部30と、この吸入側室部30に連通してインナロータ14及びアウタロータ16に沿わないで一定の空間を有する吸入側空間部32とで形成されている。
【0018】
吐出室10は、図1に示す如く、吸入室8に対峙して配置され、インナロータ14及びアウタロータ16に沿って円弧形状に形成されて吐出側始端部34Aと吐出側終端部34Bとを備えた吐出側室部34と、この吐出側室部34に連通してインナロータ14及びアウタロータ16に沿わないで一定の空間を有する吐出側空間部36とで形成されている。この吐出側空間部36の通路断面積は、吸入側空間部32の通路断面積よりもかなり大きく設定されている。この吐出側空間部36は、シリンダブロックに形成されたメインギャラリ(図示せず)に連通している。
【0019】
この第1実施例において、図2に示す如く、インナロータ14が摺接するオイルポンプケース4のケース側摺接面4Bには、インナロータ14の回転方向(クランク軸12の回転方向)に沿って、且つ、吸入室8側で、該吸入室8の円弧形状に形成された吸入側室部30に沿った略半円形状のオイル溝38が設けられる。
【0020】
このオイル溝38は、一端側の端面の溝入口38Aと、他端側の端面の溝出口38Bと、この溝入口38Aと溝出口38Bとを連通する略半円形状の溝中間湾曲部38Cとからなる。
【0021】
このオイル溝38の一端側の溝入口38Aは、吐出室10の吐出側室部34の吐出側終端部34Bに連通して設けられている。
【0022】
一方、このオイル溝38の他端側の溝出口38Bは、吸入室8及び吐出室10と遮断された位置で初めてポンプ室26に連通するように配設されている。
【0023】
このオイル溝38の一端側は、直線状に形成された直線部40を備えている。この直線部40は、図3に示す如く、吐出室10の中でも脈動が小さい吐出側室部34の吐出側終端部34A側の溝入口38Aの位置から長さLに形成され、この吐出側終端部34Bからインナロータ14の回転方向に向かって直線状に形成されている。
【0024】
一方、オイル溝38の他端側は、図4に示す如く、インナロータ14の中心14C(クランク軸12の中心)から径方向に延出して、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM1の直線状の放射部42を備えている。この放射部42の溝出口38Bは、ポンプ室26の中心線26Cから距離D1だけ内側の位置で、インナロータ14の中心14Cから半径R1で配置され、オイル溝38の放射部42の溝出口38Bから供給されたオイルが吸入室8に流れ込まない箇所に形成されている。なお、この放射部42の溝出口38Bは、インナロータ14やアウタロータ16の各歯数や大きさに応じて異なる箇所に配置されるものである。
【0025】
なお、この第1実施例において、この放射部42の溝出口38Bは、図5に示す如く、ポンプ室26の中心線26Cから距離D2だけ内側で、つまり、ポンプ室26の内側の位置で、インナロータ14の中心14Cから半径R2で配置され、放射部42を、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM2で前記長さM1よりも短く形成し、開口角度を小さくして開口時間を短くすることも可能である。あるいは、図6に示す如く、放射部42の溝出口38Bは、ポンプ室26の中心線26Cから距離D3だけ内側で、インナロータ14の中心14Cから半径R3で配置され、放射部42を、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM3で前記長さM1よりも長く形成し、開口角度を大きくして開口時間を長くすることも可能である。この場合、放射部42の長さMは、図4に示す如く、許容範囲として、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gからインナロータ14の外歯14Aの歯先面(ポンプ室26の略中心線26C)までの距離Eで最大長さに設定され、また、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gからインナロータ14の外歯14Aの歯底面までの距離Fで最小長さに設定される。そして、このように、放射部42の溝出口38Bの位置や放射部42の長さMを許容範囲内で変更することにより、吐出室10から閉じ切り部28へのオイル供給量の調整が可能となるものである。
【0026】
次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0027】
オイルポンプ2においては、クランク軸12に固定されたインナロータ14及びこのインナロータ14に組込んだアウタロータ16を回転させ、インナロータ14の外歯14Aとアウタロータ16の内歯16Aとの間に形成されるポンプ室26を吸入室8側からのオイルを吐出室10側に流動する。
【0028】
このとき、吐出室10と閉じ切り室28とが連結する前に、この閉じ切り室28に十分にオイル供給が行えるように、吐出室10と閉じ切り室28との間にはオイル溝38を形成し、また、吐出室10の中でも脈動が小さな吐出側室部34の吐出側終端部34Bからのオイルを閉じ切り室36にオイル溝38によって供給し、この場合、オイル溝38がクランク軸12と共に回転するインナロータ14の回転方向に形成されていることから、オイルがこの回転するインナロータ14に引かれて、閉じ切り室28へのオイル供給を助長することができる。
【0029】
そして、閉じ切り室28へのオイル供給は、インナロータ14の中心14C(クランク軸12の中心)から径方向に延出する所定の長さMで直線状の放射部42から行われるが、この放射部42は、図1に示す如く、供給したオイルが低圧の吸入室8に流れ込まない場所で、つまり、ポンプ室26が吸入室8と遮断されてから閉じ切り室28に連通する箇所に配置されている。
【0030】
この場合、放射部42の溝出口38Bの位置や放射部42の長さMを変更することにより、閉じ切り室28へのオイル供給量の調整を可能とする。つまり、図4に示す如く、放射部42を長さM1に設定したり、又は、図5に示す如く、放射部42を長さM2に短くし、開口角度を小さくして開口時間を短くしたり、あるいは、図6に示す如く、放射部42を長さM3に長くし、開口角度を大きくして開口時間を長くすることにより、吐出室10から閉じ切り室28へのオイル供給量を調整することができる。
【0031】
この結果、インナロータ14が摺接するオイルポンプケース4にはオイル溝38を設け、このオイル溝38の一端側を吐出室10の終端部に連通して設け、オイル溝38の他端側を吸入室8と吐出室10と遮断された位置で初めてポンプ室26に連通して設けていることから、吸入室8から吐出室10に移動する際のポンプ室26のオイルの圧力変化を十分に低減し、これにより、吐出室10に連通するシリンダブロックのメインギャラリの脈動を低減し、よって、油圧機器等に安定したオイルを容易に供給することができ、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0032】
また、オイル溝38がオイルポンプケース4のインナロータ14が摺接するケース側摺接面4Bの吸入室8側に形成されていることから、このオイル溝38はシールの役目を果たし、これにより、吸入室8側が負圧になっても、空気の吸い込みを防止することができる。
【0033】
更に、オイル溝38の一端側には直線状の直線部40を備えていることから、オイル溝38の一端側が脈動の小さな場所である吐出室10の終端部に連通し且つオイル溝38の一端側の直線部40が形成されていることから、オイル流れを良好とし、閉じ切り室28へのオイル供給を容易にすることができる。
【0034】
また、オイル溝38の他端側は、インナロータ14の中心14Cから径方向に延出する放射部42を備えていることから、この放射部42の溝出口38Bの位置や長さMを変更することで、閉じ切り室28へのオイル供給量を容易に調整することができる。
【0035】
図7は、この発明の第2実施例を示すものである。
【0036】
以下の実施例にあっては、上述の第1実施例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明する。
【0037】
この第2実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、オイル溝38は、プレート6のインナロータ12が摺接するプレート側摺接面6Bに形成された。
【0038】
この第2実施例の構成によれば、小形のプレート6のプレート側摺接面6Bにオイル溝38を形成するだけなので、オイル溝38を容易に加工させ、加工作業を簡便に行わせることができる。
【0039】
図8は、この発明の特別構成であり、第3実施例を示すものである。
【0040】
この第3実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、オイル溝38の他端側には、分岐した複数(例えば3つ)の直線状の第1〜3放射部42−1〜42−3を設けた。この第1〜3放射部42−1〜42−3は、溝中間湾曲部38Cの幅よりも小さな幅に形成され、また、閉じ切り室28に順次に連通するように、長さが第1放射部42−1から第3放射部42−3側に漸次に大きく形成されている。
【0041】
この第3実施例の構成によれば、閉じ切り室28には、第1放射部42−1と第2放射部42−2と第3放射部42−3とが順次に連通し、オイル溝38から段階的にオイル供給を実施し、オイル供給による圧力変化を抑制することができる。
【0042】
なお、この第3実施例においては、第1放射部42−1と第2放射部42−2と第3放射部42−3との各長さや各幅を調整し、オイル供給量を調整することができる。
【0043】
図9は、この発明の特別構成であり、第4実施例を示すものである。
【0044】
この第4実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、インナロータ24が摺接するオイルポンプケース4のケース側摺接面4Bには、オイル溝38に連通して吐出室10の吐出側始端部34A側に至る溜り部52を形成した。このオイル溜り部52は、オイル溝38との接続部位52Aの幅に対してこの接続部位52Aから離れて吐出側始端部34Aに至る奥深部位52Bの幅が大きく形成されている。
【0045】
この第4実施例の構成によれば、オイル溝38に脈動が発生した場合に、この脈動を溜り部52で抑制することができ、溝出口38Bからのオイルを適正に供給させ、閉じ切り室28でのオイルによる圧力変化を抑制することができる。
【0046】
なお、この発明においては、オイル溝の一端側を吐出室の吐出側室部の略中央部位に連通するとともに、このオイル溝を吐出室側に形成することで、オイル溝を短くすることが可能である。
【0047】
また、オイル溝の一端側を吐出室の吐出側室部の吐出側始端部に連通するとともに、このオイル溝途中には複数のオイル溜め部を直列で且つ異なる容量で設けることで、吐出側室部の吐出側始端部からの油圧の変動を複数のオイル溜め部によって順次に抑制しつつ、閉じ切り室にオイル供給を行うことも可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けたことにより、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減し、メインギャラリの脈動を低減して、安定したオイルを油圧機器等に容易に供給し、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例においてプレートを外した状態でオイルポンプケースにオイル溝が形成されたオイルポンプの正面図である。
【図2】図1のII−II線によるオイルポンプの拡大断面図である。
【図3】図1のオイルポンプのオイル溝の一端側の拡大正面図である。
【図4】図1のオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図5】第1実施例においてオイル溝の他端側の放射部を短く形成した場合のオイルポンプケースの一部拡大正面図である。
【図6】第1実施例においてオイル溝の他端側の放射部を長く形成した場合のオイルポンプケースの一部拡大正面図である。
【図7】第2実施例においてオイルポンプの断面図である。
【図8】第3実施例においてオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図9】第4実施例においてオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図10】従来においてプレートを外したオイルポンプケースの正面図である。
【符号の説明】
2 オイルポンプ
4 オイルポンプケース
6 プレート
8 吸入室
10 吐出室
12 クランク軸
14 インナロータ
16 アウタロータ
26 ポンプ室
28 閉じ切り室
38 オイル溝
38A 溝入口
38B 溝出口
40 直線部
42 放射部
【発明の属する技術分野】
この発明は、オイルポンプに係り、特にインナロータ及びアウタロータの回転によってオイルの吐出圧力を得るトロコイド式のオイルポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されるエンジンにおいては、各運動部分や各種油圧機器等にオイルを供給するために、オイルポンプを設けている。このオイルポンプとしては、例えば、トロコイド式のオイルポンプがある。
【0003】
図10に示す如く、トロコイド式のオイルポンプ102においては、例えば、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロック(図示せず)のブロック側面に取付けられ、プレート(図示せず)と共働してオイルを吸入する吸入室(低圧室)104とオイルを各運動部分や各種油圧機器等に供給する吐出室(高圧室)106とを形成するオイルポンプケース108を設け、このオイルポンプケース108内で回転軸であるクランク軸110に固定されたインナロータ112及びこのインナロータ112に組込んだアウタロータ114を回転させてインナロータ112の外歯112Aとアウタロータ114の内歯114Aとの間に形成されるポンプ室116を吸入室106側から吐出室108側に移動させてオイルの吐出圧力を得るものであり、インナロータ112とアウタロータ114とで形成されたポンプ室116が最大の位置の閉じ切り室118を中心にして両側に吸入室106とメインギャラリに連通する吐出室108とが分離して配設されている。
【0004】
また、トロコイド式のオイルポンプには、吸入ポート(吸入室)のポンピングチャンバの容積が最大になる側に、通過するオイルの流速が略一定になるように流体通路の断面積を形成した流速一定部を形成することで、高回転でもキャビテーションの発生を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、トロコイド式のオイルポンプには、ハウジング(オイルポンプケース)に円弧状の薄溝を形成することで、吐出室からポンプ室へのオイルの逆流を阻止するものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、トロコイド式のオイルポンプには、ポンプ室を吸入ポート(吸入室)及び吐出ポート(吐出室)に対して一体に連通させる溝構造を形成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−203381号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−35053号公報(第3頁、図1)
【特許文献3】
特開1997−25809号公報(特許請求の範囲、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、トロコイド式のオイルポンプにおいて、吸入室と吐出室、及び、閉じ切り室と吐出室とでは、オイルの圧力に大きな差があり、低圧側の室と高圧側の室とが連結するタイミング(時期)で、オイルに大きな圧力変化が生じ、このため、NVH(noise vibration harshness)性能(アイドリング及び走行中に発生する不快な騒音や振動)に影響を及ぼす一因となっている。
【0007】
このオイルの圧力変化を抑制するために、例えば、低圧側の閉じ切り室と高圧側の吐出室とが連結する前に、吐出室から閉じ切り室にオイルを供給することで、閉じ切り室と吐出室との圧力差を低減している。
【0008】
このため、吐出室と閉じ切り室との間に別途の通路を設けたり、吐出室と閉じ切り室との間になだらかなテーパ状に形成して徐々にオイルの圧力差をなくする方法があるが、吸入室のオイルの供給位置が吐出室の近傍に存在し、この吸入室のオイルの供給位置自体が、既にオイルの圧力変化の影響を受け、このため、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減することができず、よって、シリンダブロックに形成したメインギャラリのオイル脈動が大きくなり、この結果、例えば、油圧機器(VVT(可変バルブタイミング装置)等)の駆動に悪影響を与えるという不都合があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、プレートと共働して吸入室と吐出室とを形成するオイルポンプケースを設け、このオイルポンプケース内で回転軸に固定されたインナロータ及びこのインナロータに組込んだアウタロータを回転させて前記インナロータの外歯と前記アウタロータの内歯との間に形成されるポンプ室を前記吸入室側から前記吐出室側に移動させてオイルの吐出圧力を得るオイルポンプにおいて、前記インナロータが摺接する前記オイルポンプケース又は前記プレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を前記吐出室の終端部に連通して設け、前記オイル溝の他端側を前記吸入室及び前記吐出室と遮断された位置で初めて前記ポンプ室に連通して設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明は、インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けることから、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減し、シリンダブロックのメインギャラリの脈動を低減し、安定したオイルを油圧機器等に容易に供給し、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0011】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜6は、この発明の第1実施例を示すものである。図1、2において、2はオイルポンプである。このオイルポンプ2は、例えば、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロックの(図示せず)のブロック側面に取付けられるトロコイド式のオイルポンプである。
【0012】
このオイルポンプ2は、オイルポンプケース4と小形のプレート6とで共働し且つ窪んで形成されてオイルを吸入する吸入室(低圧室)8とオイルを各運動部分や油圧機器等に供給する吐出室(高圧室)10とを有するとともに、回転軸であるクランク軸12に固定されたインナロータ14とこのインナロータ14に組込まれたアウタロータ16とを有している。このインナロータ14とアウタロータ16とは、オイルポンプケース4の環状で所定幅のケース側摺接面4Bとプレート6のプレート側摺接面6Bとに摺接している。
【0013】
オイルポンプケース4とプレート6とは、ケース側接合面4Aとプレート側接合面6Aとで接合し、複数のケース側ボルト孔18とこの複数のケース側ボルト孔18に重合した複数のプレート側ボルト孔20とに挿通した取付ボルト(図示せず)により、シリンダブロックのブロック側面に取付けられる。
【0014】
また、吸入室8と吐出室10とは、図1に示す如く、オイルポンプケース4のケース側接合面4Aに形成されている。
【0015】
クランク軸12は、オイルポンプケース4のケース側挿通孔22とプレート6のプレート側挿通孔24とに挿通して設けられている。
【0016】
インナロータ14には、複数の外歯14Aが形成されている。また、アウタロータ16には、インナロータ14の外歯14Aの数よりも一つ多い数の内歯16Aが形成されている。このオイルポンプ2は、クランク軸12と伴に回転するインナロータ14の外歯14Aとアウタロータ16の内歯16Aとの間に形成されるポンプ室26を吸入室8側から吐出室10側に移動させてオイルの吐出圧力を得てポンプ作用をするものであり、また、インナロータ14とアウタロータ16とで形成されるポンプ室26が最大の位置の閉じ切り室28を中心にして両側に吸入室8と吐出室10とが分離して配設するものである。閉じ切り室28は、オイルポンプケース4インナロータ14のケース側摺接面4Bにおいて、吸入室8と吐出室10との間で高位部4Fに形成される(図1参照)。
【0017】
吸入室8は、図1に示す如く、インナロータ14及びアウタロータ16に沿って円弧形状に形成されて吸入側始端部30Aと吸入側終端部30Bとを備えた吸入側室部30と、この吸入側室部30に連通してインナロータ14及びアウタロータ16に沿わないで一定の空間を有する吸入側空間部32とで形成されている。
【0018】
吐出室10は、図1に示す如く、吸入室8に対峙して配置され、インナロータ14及びアウタロータ16に沿って円弧形状に形成されて吐出側始端部34Aと吐出側終端部34Bとを備えた吐出側室部34と、この吐出側室部34に連通してインナロータ14及びアウタロータ16に沿わないで一定の空間を有する吐出側空間部36とで形成されている。この吐出側空間部36の通路断面積は、吸入側空間部32の通路断面積よりもかなり大きく設定されている。この吐出側空間部36は、シリンダブロックに形成されたメインギャラリ(図示せず)に連通している。
【0019】
この第1実施例において、図2に示す如く、インナロータ14が摺接するオイルポンプケース4のケース側摺接面4Bには、インナロータ14の回転方向(クランク軸12の回転方向)に沿って、且つ、吸入室8側で、該吸入室8の円弧形状に形成された吸入側室部30に沿った略半円形状のオイル溝38が設けられる。
【0020】
このオイル溝38は、一端側の端面の溝入口38Aと、他端側の端面の溝出口38Bと、この溝入口38Aと溝出口38Bとを連通する略半円形状の溝中間湾曲部38Cとからなる。
【0021】
このオイル溝38の一端側の溝入口38Aは、吐出室10の吐出側室部34の吐出側終端部34Bに連通して設けられている。
【0022】
一方、このオイル溝38の他端側の溝出口38Bは、吸入室8及び吐出室10と遮断された位置で初めてポンプ室26に連通するように配設されている。
【0023】
このオイル溝38の一端側は、直線状に形成された直線部40を備えている。この直線部40は、図3に示す如く、吐出室10の中でも脈動が小さい吐出側室部34の吐出側終端部34A側の溝入口38Aの位置から長さLに形成され、この吐出側終端部34Bからインナロータ14の回転方向に向かって直線状に形成されている。
【0024】
一方、オイル溝38の他端側は、図4に示す如く、インナロータ14の中心14C(クランク軸12の中心)から径方向に延出して、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM1の直線状の放射部42を備えている。この放射部42の溝出口38Bは、ポンプ室26の中心線26Cから距離D1だけ内側の位置で、インナロータ14の中心14Cから半径R1で配置され、オイル溝38の放射部42の溝出口38Bから供給されたオイルが吸入室8に流れ込まない箇所に形成されている。なお、この放射部42の溝出口38Bは、インナロータ14やアウタロータ16の各歯数や大きさに応じて異なる箇所に配置されるものである。
【0025】
なお、この第1実施例において、この放射部42の溝出口38Bは、図5に示す如く、ポンプ室26の中心線26Cから距離D2だけ内側で、つまり、ポンプ室26の内側の位置で、インナロータ14の中心14Cから半径R2で配置され、放射部42を、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM2で前記長さM1よりも短く形成し、開口角度を小さくして開口時間を短くすることも可能である。あるいは、図6に示す如く、放射部42の溝出口38Bは、ポンプ室26の中心線26Cから距離D3だけ内側で、インナロータ14の中心14Cから半径R3で配置され、放射部42を、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gから所定の長さM3で前記長さM1よりも長く形成し、開口角度を大きくして開口時間を長くすることも可能である。この場合、放射部42の長さMは、図4に示す如く、許容範囲として、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gからインナロータ14の外歯14Aの歯先面(ポンプ室26の略中心線26C)までの距離Eで最大長さに設定され、また、ケース側摺動面4Bの幅方向の中心線(オイル溝38の溝中間湾曲部38Cの幅方向の中心と同じ)Gからインナロータ14の外歯14Aの歯底面までの距離Fで最小長さに設定される。そして、このように、放射部42の溝出口38Bの位置や放射部42の長さMを許容範囲内で変更することにより、吐出室10から閉じ切り部28へのオイル供給量の調整が可能となるものである。
【0026】
次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0027】
オイルポンプ2においては、クランク軸12に固定されたインナロータ14及びこのインナロータ14に組込んだアウタロータ16を回転させ、インナロータ14の外歯14Aとアウタロータ16の内歯16Aとの間に形成されるポンプ室26を吸入室8側からのオイルを吐出室10側に流動する。
【0028】
このとき、吐出室10と閉じ切り室28とが連結する前に、この閉じ切り室28に十分にオイル供給が行えるように、吐出室10と閉じ切り室28との間にはオイル溝38を形成し、また、吐出室10の中でも脈動が小さな吐出側室部34の吐出側終端部34Bからのオイルを閉じ切り室36にオイル溝38によって供給し、この場合、オイル溝38がクランク軸12と共に回転するインナロータ14の回転方向に形成されていることから、オイルがこの回転するインナロータ14に引かれて、閉じ切り室28へのオイル供給を助長することができる。
【0029】
そして、閉じ切り室28へのオイル供給は、インナロータ14の中心14C(クランク軸12の中心)から径方向に延出する所定の長さMで直線状の放射部42から行われるが、この放射部42は、図1に示す如く、供給したオイルが低圧の吸入室8に流れ込まない場所で、つまり、ポンプ室26が吸入室8と遮断されてから閉じ切り室28に連通する箇所に配置されている。
【0030】
この場合、放射部42の溝出口38Bの位置や放射部42の長さMを変更することにより、閉じ切り室28へのオイル供給量の調整を可能とする。つまり、図4に示す如く、放射部42を長さM1に設定したり、又は、図5に示す如く、放射部42を長さM2に短くし、開口角度を小さくして開口時間を短くしたり、あるいは、図6に示す如く、放射部42を長さM3に長くし、開口角度を大きくして開口時間を長くすることにより、吐出室10から閉じ切り室28へのオイル供給量を調整することができる。
【0031】
この結果、インナロータ14が摺接するオイルポンプケース4にはオイル溝38を設け、このオイル溝38の一端側を吐出室10の終端部に連通して設け、オイル溝38の他端側を吸入室8と吐出室10と遮断された位置で初めてポンプ室26に連通して設けていることから、吸入室8から吐出室10に移動する際のポンプ室26のオイルの圧力変化を十分に低減し、これにより、吐出室10に連通するシリンダブロックのメインギャラリの脈動を低減し、よって、油圧機器等に安定したオイルを容易に供給することができ、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0032】
また、オイル溝38がオイルポンプケース4のインナロータ14が摺接するケース側摺接面4Bの吸入室8側に形成されていることから、このオイル溝38はシールの役目を果たし、これにより、吸入室8側が負圧になっても、空気の吸い込みを防止することができる。
【0033】
更に、オイル溝38の一端側には直線状の直線部40を備えていることから、オイル溝38の一端側が脈動の小さな場所である吐出室10の終端部に連通し且つオイル溝38の一端側の直線部40が形成されていることから、オイル流れを良好とし、閉じ切り室28へのオイル供給を容易にすることができる。
【0034】
また、オイル溝38の他端側は、インナロータ14の中心14Cから径方向に延出する放射部42を備えていることから、この放射部42の溝出口38Bの位置や長さMを変更することで、閉じ切り室28へのオイル供給量を容易に調整することができる。
【0035】
図7は、この発明の第2実施例を示すものである。
【0036】
以下の実施例にあっては、上述の第1実施例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明する。
【0037】
この第2実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、オイル溝38は、プレート6のインナロータ12が摺接するプレート側摺接面6Bに形成された。
【0038】
この第2実施例の構成によれば、小形のプレート6のプレート側摺接面6Bにオイル溝38を形成するだけなので、オイル溝38を容易に加工させ、加工作業を簡便に行わせることができる。
【0039】
図8は、この発明の特別構成であり、第3実施例を示すものである。
【0040】
この第3実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、オイル溝38の他端側には、分岐した複数(例えば3つ)の直線状の第1〜3放射部42−1〜42−3を設けた。この第1〜3放射部42−1〜42−3は、溝中間湾曲部38Cの幅よりも小さな幅に形成され、また、閉じ切り室28に順次に連通するように、長さが第1放射部42−1から第3放射部42−3側に漸次に大きく形成されている。
【0041】
この第3実施例の構成によれば、閉じ切り室28には、第1放射部42−1と第2放射部42−2と第3放射部42−3とが順次に連通し、オイル溝38から段階的にオイル供給を実施し、オイル供給による圧力変化を抑制することができる。
【0042】
なお、この第3実施例においては、第1放射部42−1と第2放射部42−2と第3放射部42−3との各長さや各幅を調整し、オイル供給量を調整することができる。
【0043】
図9は、この発明の特別構成であり、第4実施例を示すものである。
【0044】
この第4実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、インナロータ24が摺接するオイルポンプケース4のケース側摺接面4Bには、オイル溝38に連通して吐出室10の吐出側始端部34A側に至る溜り部52を形成した。このオイル溜り部52は、オイル溝38との接続部位52Aの幅に対してこの接続部位52Aから離れて吐出側始端部34Aに至る奥深部位52Bの幅が大きく形成されている。
【0045】
この第4実施例の構成によれば、オイル溝38に脈動が発生した場合に、この脈動を溜り部52で抑制することができ、溝出口38Bからのオイルを適正に供給させ、閉じ切り室28でのオイルによる圧力変化を抑制することができる。
【0046】
なお、この発明においては、オイル溝の一端側を吐出室の吐出側室部の略中央部位に連通するとともに、このオイル溝を吐出室側に形成することで、オイル溝を短くすることが可能である。
【0047】
また、オイル溝の一端側を吐出室の吐出側室部の吐出側始端部に連通するとともに、このオイル溝途中には複数のオイル溜め部を直列で且つ異なる容量で設けることで、吐出側室部の吐出側始端部からの油圧の変動を複数のオイル溜め部によって順次に抑制しつつ、閉じ切り室にオイル供給を行うことも可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、インナロータが摺接するオイルポンプケース又はプレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を吐出室の終端部に連通して設け、オイル溝の他端側を吸入室及び吐出室と遮断された位置で初めてポンプ室に連通して設けたことにより、オイルを吸入室側から吐出室側に移動する際のオイルの圧力変化を十分に低減し、メインギャラリの脈動を低減して、安定したオイルを油圧機器等に容易に供給し、この油圧機器等の駆動に悪影響を与えるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例においてプレートを外した状態でオイルポンプケースにオイル溝が形成されたオイルポンプの正面図である。
【図2】図1のII−II線によるオイルポンプの拡大断面図である。
【図3】図1のオイルポンプのオイル溝の一端側の拡大正面図である。
【図4】図1のオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図5】第1実施例においてオイル溝の他端側の放射部を短く形成した場合のオイルポンプケースの一部拡大正面図である。
【図6】第1実施例においてオイル溝の他端側の放射部を長く形成した場合のオイルポンプケースの一部拡大正面図である。
【図7】第2実施例においてオイルポンプの断面図である。
【図8】第3実施例においてオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図9】第4実施例においてオイルポンプのオイル溝の他端側の拡大正面図である。
【図10】従来においてプレートを外したオイルポンプケースの正面図である。
【符号の説明】
2 オイルポンプ
4 オイルポンプケース
6 プレート
8 吸入室
10 吐出室
12 クランク軸
14 インナロータ
16 アウタロータ
26 ポンプ室
28 閉じ切り室
38 オイル溝
38A 溝入口
38B 溝出口
40 直線部
42 放射部
Claims (5)
- プレートと共働して吸入室と吐出室とを形成するオイルポンプケースを設け、このオイルポンプケース内で回転軸に固定されたインナロータ及びこのインナロータに組込んだアウタロータを回転させて前記インナロータの外歯と前記アウタロータの内歯との間に形成されるポンプ室を前記吸入室側から前記吐出室側に移動させてオイルの吐出圧力を得るオイルポンプにおいて、前記インナロータが摺接する前記オイルポンプケース又は前記プレートにはオイル溝を設け、このオイル溝の一端側を前記吐出室の終端部に連通して設け、前記オイル溝の他端側を前記吸入室及び前記吐出室と遮断された位置で初めて前記ポンプ室に連通して設けたことを特徴とするオイルポンプ。
- 前記オイル溝は、前記オイルポンプケースの前記インナロータが摺接するケース側摺接面の前記吸入室側に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
- 前記オイル溝の一端側は、直線状に形成された直線部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
- 前記オイル溝の他端側は、前記インナロータの中心から径方向に延出する放射部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
- 前記オイル溝は、前記プレートの前記インナロータが摺接するプレート側摺接面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
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Cited By (1)
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-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003082462A patent/JP2004285999A/ja active Pending
Cited By (2)
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KR101262559B1 (ko) | 2011-06-09 | 2013-05-08 | 현대자동차주식회사 | 엔진 오일펌프 |
US9074500B2 (en) | 2011-06-09 | 2015-07-07 | Hyundai Motor Company | Engine oil pump including plunge pool to mitigate surge noise |
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