JP2004285747A - ボックスカルバートの施工装置及びボックスカルバートの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】施工地点まで掘削した設置溝の基礎コンクリート10上に敷設したレール20と、該レールに設置した複数の台車30と、該台車により前記施工地点まで移送したボックスカルバート2の底壁2Aに設置した複数のレベル調整ボルト45と、中間に潤滑性材を挟んだライナープレート50とからなるレベル位置調整手段40とを具備した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、施工地点より適宜離れた場所から施工地点まで掘削したボックスカルバートの設置溝内にレールを敷設するとゝもに、該レールに沿って複数のボックスカルバートを施工場所まで順次移送し、これらを施工場所で連結して設置溝内に埋設するためのボックスカルバートの施工装置及びボックスカルバートの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボックスカルバートは下水道,共同溝,貯水槽などの整備に広く利用されているが、このボックスカルバートの一般的な施工方法は、ボックスカルバートを埋設する場所に設置溝を掘削し、この設置溝内に設置した各ボックスカルバート同士を設置溝の中で連結し、その後に周囲スペースを埋め戻す手段が講じられている。この場合、各ボックスカルバートの設置には、路面上のクレーン車両や設置溝内に設置した門型クレーンによって行われることが多い。
【0003】
しかし、近年では製品が大型化し、都市部のように建物が密集した場所や交通量の多い場所での施工がより困難を極めるようになってきており、実際に施工する場所(施工箇所)から離れた場所で製品の荷下ろしを行い、荷下ろし場所から施工箇所まで搬送しなければならないことも多くなっている。このような背景のもとに、ボックスカルバートのような大型のコンクリート製品を設置溝の狭い空間内を施工箇所まで移送し、位置調整を行いながら連結するいくつかの施工方法が提案されている。
【0004】
移送方法に関するものでは、例えば特開2000−273938号には、基礎コンクリート上に敷設されたレールの凹溝内にベアリング等の転動部材を多数配設するとゝもに、コンクリートブロックの底壁裏面に突起を設け、該突起を前記凹溝内に挿入することにより前記コンクリートブロックをレールに沿って走行させる施工方法(いわゆるボックスベアリング横引き工法)が開示されている。
【0005】
また特開2002−115309号には、レール上に据え付けた既設のコンクリートブロックに新たなコンクリートブロックを牽引手段により付き合わせ、該新たなコンクリートブロックを昇降動作装置により上昇させた後、台車を回収してから該新たなコンクリートブロックを前記レール上に据え付ける施工方法(いわゆるリフトローラー工法)が開示されている。
【0006】
更に特許第3294186号には、ボックスカルバートの施工場所まで円滑な軌道面を形成するとゝもに、前記ボックスカルバートの底壁裏面に流体キャスターを配置し、該流体キャスターにより前記ボックスカルバートを軌道面上に沿って施工場所まで順次移動させる工法(いわゆるエアキャスター工法)が開示されている。
【0007】
そして又、特許第2726982号には、コンクリートブロックの底壁裏面に凹型鋼を埋設するとゝもに、該凹型鋼とレールの間に台車を介在させて前記コンクリートブロックを施工場所まで移送する施工方法(いわゆるレールスライド工法)が、更には特公平2−35095号には、コンクリート路床の両肩部にレールを敷設するとゝもに、該レールに前後一対の油圧ジャッキを有する縦長台車を配置し、前記油圧ジャッキを上昇させた状態で前記ボックスカルバートを施工場所まで移送した後、前記ジャッキを下降させて前記ボックスカルバートをコンクリート路床に設置する施工方法(いわゆるBCCS工法)がそれぞれ開示されている。
【0008】
一方、施工場所における製品のレベル・位置調整に関するものとしては、例えば特公平7−91859号には、コンクリート部材の底壁に穿設した貫通孔に下端を略球面状としたボルトを螺合するとゝもに、該ボルトの下端に押接されるライナープレートを基礎コンクリート上に配設し、コンクリート部材を前後左右に滑らせて水平方向に位置調整するとゝもに前記ボルトを進退させて前記コンクリート部材の垂直方向のレベル調整を行う施工方法(いわゆるマルチレベル工法)が開示されている。
【0009】
また特開平7−119164号には、表面に突起を設け、裏面を傾斜させたコンクリート板の上にコンクリート打設孔を形成したブロックを載置し、該ブロックの底壁に設けたアジャストボルトによって垂直方向のレベル調整を行う施工方法(いわゆるサンKクリア工法)が、さらに、特許第3270417号には、コンクリートブロックの底壁に穿設した貫通孔に姿勢保持ボルトを螺合するとゝもに、前記底壁裏面の姿勢保持ボルトの下端の突出位置に金属板等の支承体を仮固定し、前記姿勢保持ボルトを突出させたときその下端が前記支承体を押圧して落下させる施工方法(いわゆるSPL工法)がそれぞれ開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの提案にはそれぞれ次のような諸問題があった。すなわち、上記「ボックスベアリング横引き工法」では、ベアリング等の転動部材を多数用意する必要があるとゝもに、これら多数の転動部材はコンクリートブロックを基礎コンクリートにグラウト材で固定する際に埋められ使い捨てにされるので、リサイクルの要請に反し資源の有効利用という観点から問題があった。
【0011】
また、上記「リフトローラー工法」では昇降動作装置、上記「エアキャスター工法」では流体キャスターといった特殊な搬送・据付装置や制御装置を用意しなければならないといった問題点がある。更に上記「レールスライド工法」では、凸型レールの基礎コンクリートへの設置が煩雑であるとゝもに、コンクリートブロックを施工場所に移送した後のレベル・位置調整については全く考慮されていないといった問題点があった。
【0012】
そして又上記「BCCS工法」では、ボックスカルバートの移送路をカーブ状にせざるを得ない場合には、前記ボックスカルバートを載置した台車がカーブを通過するときに前記台車の側面がコンクリート路床の両肩部側面に圧接し、その摩擦抵抗によって前記台車が走行不能となり、ボックスカルバートの搬送ができなくなるという問題があった。
【0013】
また、上述したレベル位置調整に関する従来の施工方法である上記「マルチレベル工法」,「サンKクリア工法」,「SPL工法」では、いずれも専用の高さ調整治具や汎用のアジャストボルトを用いるが、これらもコンクリートブロック設置後に注入されるグラウト材の中にあって固定され、再利用できないといった問題があった。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、今後もより一層大型化する傾向にあるボックスカルバートの施工の簡便化及び効率化を図ることができるとゝもに、施工に供される資材をその後のボックスカルバートの施工に再利用することができるボックスカルバートの施工装置及びボックスカルバートの施工方法を提供することを目的としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、施工地点より適宜離れた場所から施工地点まで掘削した設置溝の底面にあって基礎コンクリート上に敷設した平行なレールと、該レールに設置した複数の台車と、該台車により前記施工地点まで移送したボックスカルバートのレベル・位置調整手段とを備えたボックスカルバートの施工装置であって、前記レベル・位置調整手段が、前記ボックスカルバートの底壁に設置した複数のレベル調整ボルトと、該レベル調整ボルトの先端部にあって前記基礎コンクリート上に設置したライナープレートとからなり、さらに前記ライナープレートが潤滑性材を具備する構成としたことを特徴とするボックスカルバートの施工装置である。
【0016】
このような構成とすることにより、簡便な装置や治具を用いてボックスカルバートの移送を行うことができるとゝもに、これらの装置や治具を繰り返して再利用することができる。更に、ボックスカルバートの設置時におけるレベル調整はレベル調整ボルトの先端部を支承する前記ライナープレートで、また位置調整は前記ボックスカルバートに水平方向の力を付与することで、前記ライナープレートの潤滑性材より上層部にある部材が前記潤滑性材の部分で上記力と同方向に滑動するので、レベル・位置の調整を行うことができる。このライナープレートによるレベル・位置の調整は本願の請求項3に係る発明の場合も同じである。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明は、前記請求項1記載の発明において、前記レールが、両側壁部と底壁部からなる凹型レールであって、該凹型レールの凹部内を走行する前記台車が、その両側部に前記凹型レールの両側壁部と接触して転動或いは滑動するガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1記載のボックスカルバートの施工装置である。このような構成とすることにより、レールが仮に湾曲して敷設されている場合でも台車は大きな抵抗を受けることがなく、ボックスカルバートを円滑に移送させることができる。
【0018】
更に、上記の目的を達成するため、本願の請求項4,5,6に係る発明は、前記ボックスカルバートの底壁下面にあって前記レベル調整ボルトの設置位置に、該レベル調整ボルトの底壁下面からの突出部を覆うグラウト材との付着防止手段を備えたことを特徴とする。このような構成とすることにより、連結したボックスカルバートをその底壁と基礎コンクリートとの間に注入したグラウト材により前記基礎コンクリートと一体化する場合に、前記グラウト材が固化するまでレベル・位置調整した状態を保持することができる。したがって、作業が容易であるとゝもに、グラウト材が固化した後にレベル調整ボルトを取り外すことができるので再使用が可能となる。
【0019】
特に、本願の請求項6に係る発明にあっては、上記効果に加えて、レベル調整ボルトのレベル調整時におけるボルト先端部の前記底壁下面からの突出長さに応じて収縮状態から伸長する袋状の付着防止手段であるから、この袋状の付着防止手段は常態では収縮していてボックスカルバートの底壁下面からの突出高さが小さい。したがって、ボックスカルバートの移送時において前記基礎コンクリートと接触することによる破損がないといった効果を奏するものである。
【0020】
また、本願の請求項7乃至8に係る発明はボックスカルバートの施工方法であるが、本願発明を上記請求項7に記載した構成とすることにより、今後より一層大型化傾向にあるボックスカルバートを簡便な装置や治具を用いて移送できるとゝもに、これらの装置や治具を繰り返して再利用することができる。更に、ボックスカルバートの設置時におけるレベル調整はレベル調整ボルトの先端部を支承する前記ライナープレートで、また位置調整は前記ボックスカルバートに水平方向の力を付与することで、前記ライナープレートの潤滑性材より上層部にある部材が前記潤滑性材の部分で上記力と同方向に滑動するので、レベル・位置の調整を容易に行うことができる。
【0021】
また、本願発明を上記請求項8に記載した構成とすることにより、連結したボックスカルバートをその底壁と基礎コンクリートとの間に注入したグラウト材により前記基礎コンクリートと一体化する際に、レベル調整ボルトは前記グラウト材との付着防止手段を備えているので、グラウト材が固化するまでレベル・位置調整した状態を保持することができる。したがって、作業が容易であると共に、グラウト材が固化した後にレベル調整ボルトを取り外すことができるので再使用が可能となる。
【0022】
更に、本願発明を上記請求項9に記載した構成、すなわち前記第五工程において、全てのボックスカルバートを互いに連結させた後、前記ボックスカルバートの底壁と前記基礎コンクリートとの間に楔を打ち込み、前記レベル調整ボルト,ライナープレートを回収してから前記グラウト材を注入する構成とすることにより、付着防止手段を設けない場合でもレベル・位置調整をした状態を保持することができるとゝもに、一度使用した前記レベル調整用ボルト及びライナープレートを、その後のボックスカルバートの施工におけるレベル調整及び位置調整に再利用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。先ず、本発明に係るボックスカルバートの施工装置を図1乃至図7を参照して説明すると、本発明装置は、図1及び図2に示すように、施工地点より適宜離れた場所から施工地点まで掘削したボックスカルバート2の設置溝1と、該設置溝1の底面に形成した基礎コンクリート10と、該基礎コンクリート10上に敷設した複数本(図示では二本)の平行なレール20と、各レール20にそれぞれ設置した複数個の台車30と、該各台車30に乗って前記施工地点まで移送された前記ボックスカルバート2を垂直方向及び水平方向にレベル調整及び位置調整を行うための複数個のレベル・位置調整手段40とを備えた構成としている。
【0024】
前記設置溝1は、施工地点より適宜離れた場所、すなわち、施工地点が商店街や住宅密集地などでクレーン車両等による荷下ろし作業を安全になし得る十分な広さがない場合に、前記施工地点から離れた作業スペースのある場所から前記施工地点まで連続している移送路である。この設置溝1は直線状に掘削した直線溝であることが望ましいが、立地条件によりカーブして設置せざるを得ない場合もあり、このような条件も考慮した構成としている。なお、図中、11は前記基礎コンクリート10の下部に造成した基礎砕石である。
【0025】
20は前記基礎コンクリート10上に敷設したレールで、左右両側壁部21,21と底壁部22とからなる鋼製の凹型レールであり、その全高の大部分が前記基礎コンクリート10内に埋設した状態で設置され、基礎コンクリート10に固定されている。そして、各レール20は所定の間隔をおいて前記設置溝1に沿いそれぞれ平行に延びている。したがって、上述のように、前記設置溝1をカーブさせて設置した場合や或いは敷設時において多少カーブした状態となっている場合には、各レール20も同様にカーブすることになる。
【0026】
30は前記レール20の凹部内に嵌合状態で設置した台車で、載置台31の下面側にあってその四隅にそれぞれ設置したローラ32と、前記載置台31の側部にあって前記レール20の左右両側壁部21,21と対向する両側部にそれぞれ設置した複数個のガイド部材33とから構成されている。このガイド部材33は台車30が前記レール20の凹部内を走行する際に、その左右両側壁部21,21のいずれか一方と接触した場合に転動或いは滑動して摩擦抵抗を逓減せしめるためのもので、実施形態では金属製ボールが図示してある。したがって、このガイド部材33は金属製ローラやゴムタイヤ等の転動部材でもよいが、摩擦抵抗が小さなものであれば転動部材に限定されるものではない。
【0027】
40は移送した前記ボックスカルバート2のレベル・位置調整手段で、前記ボックスカルバート2の底壁2Aにあって、ボルト取付穴3内に埋設した切頭円錐状のナット部材と、該ナット部材に螺合し先端部が前記ボルト取付穴3を通ってボックスカルバート2の底壁2A下面から突出するボルト部材とからなるレベル調整ボルト45と、該レベル調整ボルト45の先端部と当接する位置にあって、前記基礎コンクリート10上に配設するライナープレート50とで構成されている。
【0028】
このライナープレート50は潤滑性材を具備した構成のもので、図3に示す実施形態のものにあっては、中間にステンレス製又はテフロン製など潤滑性のあるプレートからなる潤滑性材51を、その上下に設置した鋼製など硬質のプレートからなる硬質材52,52を重ね合わした三層構造としたものであり、上層の硬質プレート52は中間層の潤滑性プレート51を介して小さな力で水平方向(X,Y)に自在にスライドできる構成とした。例えば鋼製の上下のプレート52,52は16×100×150mmであり、中間のステンレス製またはテフロン製のプレート51は1×100×150mmである。また、本発明において、前記潤滑性材としては、前記図3に示す実施形態の他に高粘度グリースが挙げられ、この形態のものでも本発明の上記目的を達成できること勿論である。
【0029】
ここで、本発明に係る施工装置は、上述した前記の設置溝1,基礎コンクリート10,レール20,台車30及びレベル・位置調整手段40に、図4及び図5に示すようなグラウト材との付着防止手段を追加した構成とすることもできる。すなわち、図4に示す付着防止手段はスポンジ又はゴム等で形成した弾性を有するドーナツ状の軟質パッキン55であり、その長手方向の中心には前記レベル調整用ボルト45の挿通を許す貫通穴56が形成されている。
【0030】
このドーナツ状の軟質パッキン55は、図6,図7に示すように、その上端面を前記ボックスカルバート2の底壁2A下面にあって前記ボルト取付穴3の周囲に装着したものである。したがって、前記レベル調整用ボルト45のレベル調整時における底壁2A下面からの突出部はこの軟質パッキン55の前記貫通穴56内を進退することになり、外周面がこの軟質パッキン55で覆われている前記レベル調整用ボルト45はグラウト材との付着が防止される。
【0031】
ここで、グラウト材の付着防止手段としては上記以外に、レベル調整用ボルト45に高粘度グリースを塗布し、又はマスキングテープを巻着することなどが考えられるが、上記ドーナツ状の軟質パッキン55の場合は予めボックスカルバート2の底壁2A下面に固着しておくことができるので、塗布や巻着の手間が不要である点で大幅な作業効率の向上が期待できる。
【0032】
さらに、図5は他の付着防止手段を示すもので、すり鉢型をした伸縮自在な袋状のカバー60であり、その底部には前記レベル調整ボルト45の径より小さな貫通孔61を有する構成とした。この袋状カバー60は、図8に示すように、その上方開口部に形成した外方フランジ62の部分で、前記ボックスカルバート2の底壁2A下面にあって前記ボルト取付穴3の周囲に装着したものである。
【0033】
而して、前記袋状のカバー60は、常態では縮んだ状態で前記ボルト取付穴3の下端開口部および前記レベル調整ボルト45を覆っており、該レベル調整ボルト45のレベル調整時における先端部の前記底壁2A下面からの突出長さに応じて引き伸ばされ、収縮状態から伸長する。そして、前記レベル調整ボルト45の先端部が前記ライナープレート50と当接した時点で、前記袋状カバー60によって覆われていたレベル調整ボルト45の先端部は、該袋状カバー60の底部に形成した前記貫通孔61を通って前記ライナープレート50の上面と直接接触する構成としている。
【0034】
このような構成からからなる袋状カバー60は、上述したドーナツ状の軟質パッキン55の不都合を解消するものである。すなわち、ドーナツ状の軟質パッキン55にあっては、その下端開口部分が前記基礎コンクリート10又はライナープレート50の上面と面接することにより、その中央の貫通穴56内が外部と閉塞される構成となっているので、その全長をレベル調整用ボルト45の最終的な突出長よりも長くする必要がある。
【0035】
したがって、台車30による前記ボックスカルバート2の移送時に基礎コンクリート10と接触するおそれがある。この場合、付着防止手段であるドーナツ状の軟質パッキン55が剥離・破損しなければ問題はないが、この点を考慮し、図5に示す袋状のカバー60では、図6(1)に示すように、ボックスカルバート2の移送中は縮んだ状態となって基礎コンクリート10との接触を避け、その後の、レベル調整時におけるレベル調整用ボルト45の突出とゝもに伸長してグラウト材の付着を防止する構成としている。
【0036】
また、後述するボックスカルバート2の垂直方向(Z)のレベル調整は、前記レベル調整ボルト45の先端部が前記ライナープレート50と当接しこれを押圧した状態で行われるが、上述のように、前記レベル調整ボルト45の先端部は袋状カバー60の底部に形成した前記貫通孔61を介してライナープレート50の上面と直接接触するので、袋状カバー60は当該下端部における密閉性を確保しつつ、なおかつレベル調整用ボルト45の回転による痛みや破損を防止することができる。
【0037】
次に、本発明に係る前記施工装置を用いたボックスカルバートの施工方法について以下説明する。本施工方法は、図10のフローチャートに示すS1〜S5の五つの作業工程からなっている。
【0038】
まず第一工程(S1)では、施工地点より適宜離れた場所(クレーン車両等による荷下ろしが出来る広さがある場所)から前記施工地点まで、ボックスカルバート2を埋設する設置溝1を掘削し、該設置溝1の底面に形成した基礎砕石11の上にコンクリートを打設して基礎コンクリート10を形成する。そして、前記基礎コンクリート10の表面部分に前記レール20,20を所定間隔をあけて平行に埋設し、前記基礎コンクリート10と一体化した状態で敷設する。
【0039】
次いで、第二工程(S2)では、各レール20,20の凹部内に複数個の台車30,30を設置し、各台車30の載置台31上に前記ボックスカルバート2を載置する。そして第三工程(S3)では、各台車30上に載置したボックスカルバート2にワイヤを取り付け、既設のボックスカルバート2’に固定したウインチ等により牽引し、前記ボックスカルバート2を各レール20に沿って施工地点まで移送する。
【0040】
前記ボックスカルバート2の移送時において、上述のように、レール20がカーブしているところでは、該レール20の凹部内を走行する台車30がレール20の左右両側壁部21,21とのクリアランスの範囲内でカーブの外側に微少移動する。このとき、左右両側部のいずれか外側に位置するガイド部材33がレール20の左右いずれか外側に位置する側壁部21と接触する。このときの接触抵抗により前記ガイド部材33は転動或いは滑動するので過度の摩擦抵抗が発生することがない。したがって、台車30はレール20の凹部内をカーブにそって円滑に走行し、ボックスカルバート2を移送することができる。
【0041】
次いで、第四工程(S4)では、施工地点まで移送されたボックスカルバート2と既設のボックスカルバート2’とのレベル・位置調整を行う。その調整手順は、前記基礎コンクリート10上にあって、前記ボックスカルバート2の底壁2Aに設置した各レベル調整ボルト45の先端部と対峙する位置にライナープレート50をそれぞれ設置する。そして、前記各レベル調整ボルト45をそれぞれ回転してボックスカルバート2の底壁2A下面から突出せしめ、前記ライナープレート50との当接による反力によりボックスカルバート2の上下方向(Z)の調整を行う。
【0042】
レベル調整が終了した後、このボックスカルバート2に水平方向(X,Y)の力を与える。この力はボックスカルバート2を支持する前記レベル調整ボルト45の先端部に作用し、更に該先端部を支持する前記ライナープレート50に作用する。その結果、ライナープレート50の上層の硬質プレート52は中間層の潤滑性プレート51上を滑動し、前記レベル調整ボルト45の先端部に作用した力と同方向に移動するので、前記ボックスカルバート2およびレベル調整ボルト45も同方向に移動し、位置調整が終了する。
【0043】
上記のレベル・位置調整が終了することにより、施工地点まで移送されたボックスカルバート2と既設のボックスカルバート2’との端面が密着し、ボックスカルバート同士の正確な位調整が完了する。その後、ボックスカルバート2の底壁2A下面と前記基礎コンクリート10との間の空間部において、前記台車30をレール20の凹部内から取り外し、回収する。
【0044】
次いで、第五工程(S5)では、前記第一〜四工程を繰り返し行い、全てのボックスカルバート2,2,2・・を図示しないPC鋼材により互いに連結させた後、上述したグラウト材の付着防止手段55,60を設けた場合は、直ちに各ボックスカルバート2の底壁2Aに形成したグラウト注入孔4から前記底壁2Aと基礎コンクリート10の間にグラウト材5を注入し、各ボックスカルバート2を前記基礎コンクリート10と一体化する。そして、グラウト材5が硬化した後に各レベル調整用ボルト45を回収する。
【0045】
一方、前記グラウト材の付着防止手段55,60を設けない場合は、全てのボックスカルバート2,2・・を連結させた後、各ボックスカルバート2,2・・と基礎コンクリート10との間に楔6を打ち込み、各ボックスカルバート2,2のレベル・位置調整済みの状態を維持しつつ、前記各レベル調整用ボルト45及びライナープレート50をそれぞれ回収する。その後、楔6を打ち込んだまま、上記と同様に、グラウト注入孔4からグラウト材5を注入し、各ボックスカルバート2を前記基礎コンクリート10と一体化する。なお、楔6は、各ボックスカルバート2の底壁2A下面の四隅に設けるが、該ボックスカルバート2の重量に十分耐え得る剛性を有するもの、又は、その圧縮変形量が予め見込めるものを使用する必要がある。
【0046】
【発明の効果】
本発明は上記のような構成であるから、前記請求項1及び3記載の発明にあっては、簡便な装置や治具を用いてボックスカルバートの移送を行うことができるとゝもに、これらの装置や治具を繰り返して再利用することができる。更に、ボックスカルバートの設置時におけるレベル・位置調整はレベル調整ボルトとその先端部を支承する前記ライナープレートで行うことが出来るため、作業能率が一段と向上する。
【0047】
また、本願の請求項2に係る発明にあっては、レールが仮に湾曲して敷設されている場合でも台車は大きな抵抗を受けることがなく、ボックスカルバートを円滑に移送させることができるとゝもに、本願の請求項4,5,6に係る発明にあっては、連結したボックスカルバートをその底壁と基礎コンクリートとの間に注入したグラウト材により前記基礎コンクリートと一体化する場合に、前記グラウト材が固化するまでレベル・位置調整した状態を保持することができる。したがって、作業が容易であるとゝもに、グラウト材が固化した後にレベル調整ボルトを取り外すことができるので再使用が可能となる。
【0048】
特に、本願の請求項6に係る発明にあっては、上記効果に加えて、レベル調整ボルトのレベル調整時におけるボルト先端部の前記底壁下面からの突出長さに応じて収縮状態から伸長する袋状の付着防止手段であるから、この袋状の付着防止手段は常態では収縮していてボックスカルバートの底壁下面からの突出高さが小さい。したがって、ボックスカルバートの移送時において前記基礎コンクリートと接触することによる破損がないといった効果を奏する。
【0049】
また、本願の請求項7乃至8に係る発明にあっては、今後より一層大型化傾向にあるボックスカルバートを簡便な装置や治具を用いて移送できるとゝもに、これらの装置や治具を繰り返して再利用することができる。更に、ボックスカルバートの設置時におけるレベル調整はレベル調整ボルトとその先端部を支承する前記ライナープレートで、また位置調整は前記ボックスカルバートに水平方向の力を付与することで、前記ライナープレートの潤滑性材より上層部にある部材が前記潤滑性材の部分で上記力と同方向に滑動するので、レベル・位置の調整を容易に行うことができる。
【0050】
また、本願の請求項8に係る発明にあっては、連結したボックスカルバートをその底壁と基礎コンクリートとの間に注入したグラウト材により前記基礎コンクリートと一体化する際に、レベル調整ボルトは前記グラウト材との付着防止手段を備えているのでグラウト材が固化するまでレベル・位置調整した状態を保持することができる。したがって、作業が容易であるとゝもに、グラウト材が固化した後にレベル調整ボルトを取り外すことができるので再使用が可能となる。
【0051】
そして更に、本願の請求項9に係る発明にあっては、前記第五工程において、全てのボックスカルバートを互いに連結させた後、前記ボックスカルバートの底壁と前記基礎コンクリートとの間に楔を打ち込み、前記レベル調整ボルト,ライナープレートを回収してから前記グラウト材を注入する構成とすることにより、付着防止手段を設けない場合でもレベル調整及び位置調整をした状態を保持することができるとゝもに、一度使用した前記レベル調整用ボルト及びライナープレートをその後のボックスカルバートの施工におけるレベル位置調整に再利用することができる、といった諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボックスカルバートの施工装置及び施工方法の第一工程及び第二工程を示す部分断面図である。
【図2】上記施工装置及び施工方法の第三工程を示す部分断面図である。
【図3】上記施工装置又は施工方法に用いられるライナープレートの側面図である。
【図4】上記施工装置又は施工方法に用いられるグラウト材の付着防止手段を示す平面図と縦断面図である。
【図5】上記施工装置又は施工方法に用いられるグラウト材の付着防止手段の他の実施形態を示す半部縦断面図である。
【図6】上記施工装置及び施工方法の第四工程を示す部分断面図である。
【図7】図6の部分拡大図であり、同図(I)(II)はボックスカルバートの垂直方向及び水平方向の位置調整過程を示す図である。
【図8】他の付着防止手段を示す部分拡大図であり、同図(I)(II)はボックスカルバートの垂直方向の調整過程を示す図である。
【図9】付着防止手段を用いた場合の上記施工装置及び施工方法の第五工程を示す部分断面図である。
【図10】付着防止手段を用いない場合の上記施工装置及び施工方法の第五工程を示す部分断面図である。
【図11】上記施工方法の第一〜五工程の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 設置溝
2 ボックスカルバート
2A 底壁
3 ボルト取付穴
4 グラウト材注入孔
5 グラウト材
6 楔
10 基礎コンクリート
20 レール
21 側壁部
22 底壁部
30 台車
31 載置台
32 ローラ
34 ガイド部材
40 レベル・位置調整手段
45 レベル調整ボルト
50 ライナープレート
51 潤滑性材
52 硬質材
55,60 付着防止手段
Claims (9)
- 施工地点より適宜離れた場所から施工地点まで掘削した設置溝の底面にあって基礎コンクリート上に敷設した平行なレールと、該レールに設置した複数の台車と、該台車により前記施工地点まで移送したボックスカルバートのレベル・位置調整手段とを備えたボックスカルバートの施工装置であって、前記レベル・位置調整手段が、前記ボックスカルバートの底壁に設置した複数のレベル調整ボルトと、該レベル調整ボルトの先端部にあって前記基礎コンクリート上に設置したライナープレートとからなり、さらに前記ライナープレートが潤滑性材を具備する構成としたことを特徴とするボックスカルバートの施工装置。
- 前記レールが、両側壁部と底壁部からなる凹型レールであって、該凹型レールの凹部内を走行する前記台車が、その両側部に前記凹型レールの両側壁部と接触して転動或いは滑動するガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1記載のボックスカルバートの施工装置。
- 前記ライナープレートの前記潤滑性材がステンレス製材又はテフロン製材であり、前記硬質材が鋼製材であることを特徴とする請求項1又は2記載のボックスカルバートの施工装置。
- 前記ボックスカルバートの底壁下面にあって前記レベル調整ボルトの設置位置に、該レベル調整ボルトの底壁下面からの突出部を覆うグラウト材との付着防止手段を備えたことを特徴とする請求項1,2又は3記載のボックスカルバートの施工装置。
- 前記付着防止手段が、ボックスカルバートの底壁下面にあって前記レベル調整ボルトの取付穴周囲に上端面を装着したドーナッツ状の軟質パッキンであることを特徴とする請求項4記載のボックスカルバートの施工装置。
- 前記付着防止手段が、ボックスカルバートの底壁下面にあって前記レベル調整ボルトの取付穴周囲に上方開口部を装着した袋状の伸縮性カバーであって、前記レベル調整ボルトのレベル調整時における先端部の前記底壁下面からの突出長さに応じて収縮状態から伸長するものであり、その先端部に前記レベル調整ボルトの径より小さな孔を有する構成としたことを特徴とする請求項4記載のボックスカルバートの施工装置。
- 施工地点より適宜離れた場所から施工地点までボックスカルバートを設置する設置溝を掘削し、該設置溝の底面に形成した基礎コンクリート上にレールを複数本平行に敷設する第一工程、該レールに複数の台車を設置し、その上に上方から降ろしたボックスカルバートを載置する第二工程、該ボックスカルバートを既設のボックスカルバートに固定したウインチ等により牽引して、前記レールに沿って施工地点まで移送する第三工程、移送された前記ボックスカルバートを、その底壁に設置した複数のレベル調整ボルトと、該レベル調整ボルトの先端部にあって前記基礎コンクリート上に設置したライナープレートを介してX,Y,Z方向にレベル・位置調整し、前記既設のボックスカルバートの端面と密着せしめる位置合わせをした後、前記台車をレールから取り外す第四工程、前記第一〜四工程を繰り返し行い、全てのボックスカルバートを互いに連結した後、各ボックスカルバートの底壁に形成したグラウト材注入孔から前記基礎コンクリートとの間にグラウト材を注入し、各ボックスカルバートを前記基礎コンクリートと一体化する第五工程を含むことを特徴とするボックスカルバートの施工方法。
- 前記ボックスカルバートの底壁下面にあって前記レベル調整ボルトの設置位置に、該レベル調整ボルトの底壁下面からの突出部を覆う前記グラウト材との付着防止手段を予め設置したボックスカルバートを使用し、前記第五工程において、グラウト材を注入した後に前記レベル調整ボルトを回収することを特徴とする請求項7記載のボックスカルバートの施工方法。
- 前記第五工程において、全てのボックスカルバートを互いに連結した後に前記ボックスカルバートの底壁と前記基礎コンクリートとの間に楔を打ち込み、前記レベル調整ボルト,ライナープレートを回収してから前記グラウト材を注入することを特徴とする請求項7記載のボックスカルバートの施工方法。
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