JP2004285591A - 法面成形用網体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】網体2が、金網3と、この金網3に編み込まれた索条体4とを備える。金網3が、一方向Xに向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向Xに対する直交方向Yで互いに並設される複数本の針金材8を有し、直交方向Yで互いに隣り合う両針金材8,8の屈曲部10,10同士を互いに係合させて金網3を構成する。互いに係合した両屈曲部10,10の間を通って索条体4が延びるようにする。複数の針金材8,8を互いに別体として、これら針金材8,8と、索条体4とを直交方向Yで互いに相対移動可能とする。索条体4を保水性とする。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、金網と索条体との組み合せに係る法面成形用網体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開2002−21087公報
【0004】
上記網体には、第1の従来の技術として、金網で構成されたものがある。
【0005】
また、第2の従来の技術として、上記特許文献1で示されるものがあり、これによれば、上記網体は保水性繊維で成形された縦紐と横紐とを編むことにより構成されている。
【0006】
上記第1、第2の従来の技術における網体を用いて法面を成形するに際しては、まず、法面を成形しようとする斜面に上記網体を敷設し、この網体に向って客土を種子と共に吹き付ける。すると、上記網体により、客土がその吹き付け位置に保持されて所定形状の法面が成形される。その後、この客土とこの客土に吸水された水とにより、種子の発芽と生長とが促進され、もって、上記法面はこの法面に繁茂する植物により長期にわたり所定形状のままに保持される。
【0007】
また、特に、上記第2の従来の技術によれば、上記網体は保水性繊維を有しているため、雨天時などにこの繊維に吸水されて保水された水により、種子の発芽と生長とがより促進されることとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記第1の従来の技術における金網製の網体は、客土をその位置に保持させる上で、十分の強度を有しているが、保水性に欠け、水枯れとなりがちであるため、客土中の種子の発芽と生長とが不十分となるおそれがある。
【0009】
また、上記第2の従来の技術によれば、網体の保水性により、法面における植物の繁茂はより確実に得られるが、客土をその位置に保持させる上での強度が不足しがちである。
【0010】
そこで、上記第1、第2の従来の技術の各網体を互いに結合させて、それぞれの作用を相互補完させることが考えられるが、単に、このようにすると、上記両網体の存在に加えて、これら両網体の結合に別途の結合部材が必要になるなど構成が極めて複雑になり、また、上記両網体の結合作業のために、目的の網体の成形作業が極めて煩雑になるという問題点が生じる。
【0011】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、法面を長期にわたり所定形状に保持させることができ、かつ、構成が簡単で、成形が容易な法面成形用網体の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の法面成形用網体は、次の如くである。なお、この項において各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0013】
請求項1の発明は、金網3と、この金網3に編み込まれた索条体4とを備えたものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記金網3が、一方向Xに向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向Xに対する直交方向Yで互いに並設される複数本の針金材8を有し、上記直交方向Yで互いに隣り合う両針金材8,8の屈曲部10,10同士を互いに係合させて上記金網3を構成した法面成形用網体において、
【0015】
互いに係合した上記両屈曲部10,10の間を通って上記索条体4が延びるようにしたものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明に加えて、上記複数の針金材8,8を互いに別体として、これら針金材8,8と、上記索条体4とを上記直交方向Yで互いに相対移動可能としたものである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1から3のうちいずれか1つの発明に加えて、上記索条体4を保水性としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0019】
図2において、符号1は山や土手における法面で、この法面1を所定形状に成形可能にさせると共に、この所定形状を長期的に保持可能とさせる法面成形用網体2が設けられている。
【0020】
図1,3において、上記網体2は、その主体である金網3と、この金網3に編み込まれてこの金網3に連結される索条体4とを備え、この索条体4は、上記金網3の各網目5のほぼ中央部を横切ると共に、これら各網目5毎にその両端部が上記金網3に連結されている。
【0021】
上記金網3は、菱形金網であって、一方向Xに向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向Xに対する直交方向Yで互いに並設される複数本の針金材8を有し、この針金材8は一方向Xに対し傾斜した方向に直線的に延びる直線部9と、この直線部9の延出端に成形される屈曲部10とを互いに一体的に繰り返し備え、上記金網3は、上記直交方向Yで互いに隣り合う両針金材8,8の各屈曲部10,10同士を互いに交差状に係合させることにより構成され、上記屈曲部10の各ピッチは互いに同寸法で各針金材8,8は互いに同形同大とされている。
【0022】
上記索条体4は紐状体であって、上記一方向Xに向い直線的に延びて直交方向Yで複数本が互いに並設され、これら各索条体4は互いに別体とされている。
【0023】
上記各索条体4は、上記したように互いに係合した上記両屈曲部10,10の間を通って上記一方向Xに直線的に延び、上記両屈曲部10,10の間における上記索条体4の各部分は、上記両屈曲部10,10に挟み付けられ、この挟み付けにより加圧収縮させられた状態で上記網体2に強固に連結されている。
【0024】
特に、図4,5において、上記直交方向Yで隣り合う各針金材8は互いに別体とされており、これら針金材8と、索条体4とは図4,5で示すように上記直交方向Yで互いに相対移動可能とされている。これら針金材8と索条体4とが互いに接近する相対移動で、上記両屈曲部10,10による上記索条体4の挟み付けは自動的に解除されると共に、これら各針金材8と索条体4は互いに積み重ねられてコンパクトな形状にさせられる。
【0025】
上記各針金材8は、上記一方向Xに向っていずれも同じ旋回方向の螺旋を描くよう屈曲されており、このため、図4,5で示すように、上記各針金材8を互いに接近するよう相対移動させると、上記一方向Xに沿った視線で見て(図5)、上記両屈曲部10,10の間には空間12が成形され、これら各空間12は一方向Xに向って直線状に列設されることとなる。
【0026】
全図において、上記索条体4は、図例では紐状体であって、その材質は保水性繊維で成形されている。より具体的には、上記索条体4は、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーを原料とする繊維により成形されており、その吸水性能は自重の約80倍など、高吸水性とされている。上記索条体4は未吸水状態で、十分の強度(100〜150N/Yarn)を有するが、十分の吸水後には、強度を喪失して分解するものである。
【0027】
上記網体2の成形に際しては、通常の金網成形機により、上記金網3の直交方向Yの一端部側から各針金材8を順次エンドレスに成形するが、上記成形機で成形されて順次繰り出されてくる針金材8,8同士は図4,5のように、直交方向Yで互いに接近するよう相対移動させられた状態となっていて、上記各空間12が一方向Xに向って列設されている。そこで、上記各空間12にそれぞれ上記索条体4がシャトル機構などにより挿通され、上記各空間12と索条体4とは互いに積み重ねられた積み重ね構造のコンパクトな形状とさせられる。
【0028】
図2,3において、上記網体2を用いて法面1を所望形状に成形する場合には、まず、この法面1を成形しようとする斜面14に対し上記網体2の各索条体4と針金材8が水平方向に延びるよう上記網体2を張設し、この網体2を斜面14に対し杭で固定する。
【0029】
上記の場合、網体2は上記した積み重ね構造のコンパクトな形状とされるため、第1の工法として、まず、上記斜面14の上側に上記網体2の直交方向Yの一端部である上端部を杭で固定し、次に、上記網体2をクレーンなどで上記斜面14に沿って下降させて網体2を展開させ、図3のような本来の形状にさせる。すると、上記斜面14への網体2の張設ができる。また、第2の工法として、まず、斜面14の下側に上記網体2の直交方向Yの一端部である下端部を杭で固定し、次に、上記網体2をクレーンなどで上記斜面14に沿って上昇させて網体2を展開させ、図3のような本来の形状にさせる。すると、上記斜面14への網体2の張設ができる。この網体2の張設時、上記コンパクトな形状の網体2において、直交方向Yで互いに隣り合う針金材8,8同士は上記展開に伴い互いに相対的に離反して、上記各屈曲部10,10間に上記索条体4を挟み付け、この索条体4を網体2に連結させる。
【0030】
次に、上記のように張設した網体2に対しその外方から客土16を種子と共に吹き付ける。すると、上記網体2の金網3と索条体4とにより、客土16がその吹き付け位置に保持されて所定形状の法面1が成形される。その後、この客土16と、この客土16および上記索条体4に吸水されて保水されていた水とにより、上記種子や自然の種子の発芽と生長とが促進され、もって、上記法面1はこの法面1に繁茂する植物によって、長期にわたり所定形状のままに保持される。上記索条体4は、これが十分に吸水したときには分解し、法面1における土の一部となって、その後も保水機能を発揮し、新たな公害の発生は防止される。
【0031】
上記構成によれば、網体2は金網3と、この金網3に編み込まれた索条体4とを備えている。
【0032】
このため、法面1を成形しようとして、山などの斜面14に上記網体2を敷設し、この網体2に客土16を吹き付けた場合には、上記網体2における金網3と索条体4とは協同して上記客土16をその吹き付け位置に保持し、よって、上記法面1は長期にわたり所定形状に保持される。
【0033】
そして、上記網体2は、金網3に索条体4を編み込んだものであって、金網3への索条体4の結合のための別途の結合部材は不要であり、その分、上記網体2の構成を簡単にできると共に、この網体2の成形が容易にできる。
【0034】
上記索条体4は、上記金網3の各網目5のほぼ中央部を横切ると共に、これら各網目5毎でその両端部が上記金網3に連結されている。
【0035】
このため、上記のように両端部が金網3に連結された索条体4によれば、索条体4が単に各網目5を縫うようにして上記金網3に連結されている場合に比べ、上記各網目5に入り込んだ客土16をその吹き付け位置に、より確実に保持させることができ、よって、上記法面1は、より長期にわたり所定形状に保持される。
【0036】
また、前記したように、金網3が、一方向Xに向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向Xに対する直交方向Yで互いに並設される複数本の針金材8を有し、上記直交方向Yで互いに隣り合う両針金材8,8の屈曲部10,10同士を互いに係合させて上記金網3を構成した法面成形用網体において、互いに係合した上記両屈曲部10,10の間を通って上記索条体4が延びるようにしてある。
【0037】
ここで、上記したように互いに係合した両屈曲部10,10の間を通って上記索条体4が延びるようにすると、この索条体4は、上記金網3の各網目5のほぼ中央部を横切ると共に、これら各網目5毎でその両端部が上記両屈曲部10,10で挟み付けられて上記金網3に連結されることとなる。
【0038】
このため、上記網体2の索条体4によれば、上記各網目5に入り込んだ客土16をその吹き付け位置に、より確実に保持させることができ、よって、上記法面1は、より長期にわたり所定形状に保持される。
【0039】
そして、上記金網3が有する本来の形状を有効に利用して、この金網3に上記索条体4を連結させたため、上記網体2の構成はより簡単になる。
【0040】
また、前記したように、複数の針金材8,8を互いに別体として、これら針金材8,8と、上記索条体4とを上記直交方向Yで互いに相対移動可能としてある。
【0041】
このため、直交方向Yで隣り合う両針金材8,8を互いに接近するよう相対移動させれば、これら両針金材8,8の両屈曲部10,10間に空間12が成形されることから、上記金網3に索条体4を編み込む場合には、単に、上記空間12に上記索条体4を挿通させ、その後、上記両針金材8,8を互いに離反するよう相対移動させて、これら両針金材8,8の屈曲部10,10間に上記索条体4を挟み付けさせればよい。よって、金網3への索条体4の編み込みは容易にでき、つまり、網体2の成形が容易にできる。
【0042】
また、上記各針金材8と索条体4とを直交方向Yで互いに接近するよう相対移動させれば、上記網体2をコンパクトな形状にできるため、この網体2の搬送や斜面14への張設時の作業が容易にでき、つまり、法面1の成形が容易にできる。
【0043】
また、上記直交方向Yで隣り合う各索条体4,4を互いに別体としてある。
【0044】
このため、上記網体2を展開させる場合など、各針金材8と索条体4とを直交方向Yで互いに相対移動させるとき、隣り合う両索条体4,4同士が互いに干渉し合うということが防止されて、上記網体2の展開が容易にでき、よって、法面1の成形が容易にできる。
【0045】
また、前記したように、上記索条体4を保水性としてある。
【0046】
このため、上記網体2により法面1を成形したとき、上記索条体4に保水されていた水により、種子の発芽と生長とが促進され、もって、法面1はこの法面1に繁茂する植物によって、長期にわたり所定形状のままに保持される。
【0047】
なお、以上は図示の例によるが、上記金網3の針金材8の各端部は互いに結合してこれら針金材8を相対移動不能としてもよい。また、上記索条体4は、法面1の成形後に保水により分解することがなく永続的に残留する材質のものであってもよく、補強材を備えてもよい。また、この索条体4はロープやベルト状のものであってもよい。また、索条体4は、隣り合う両針金材8,8間に必ずしも設ける必要はなく、針金材8の複数本毎に設けてもよい。また、各索条体4を一本の索条体を屈曲させて一体成形してもよい。また、上記各針金材8と索条体4とが斜面14の傾斜方向に延びるよう上記網体2を張設してもよく、針金材8と索条体4とは直交してもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0049】
請求項1の発明は、金網と、この金網に編み込まれた索条体とを備えている。
【0050】
このため、法面を成形しようとして、山などの斜面に上記網体を敷設し、この網体に客土を吹き付けた場合には、上記網体における金網と索条体とは協同して上記客土をその吹き付け位置に保持し、よって、上記法面は長期にわたり所定形状に保持される。
【0051】
そして、上記網体は、金網に索条体を編み込んだものであって、金網への索条体の結合のための別途の結合部材は不要であり、その分、上記網体の構成を簡単にできると共に、この網体の成形が容易にできる。
【0052】
請求項2の発明は、上記金網が、一方向に向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向に対する直交方向で互いに並設される複数本の針金材を有し、上記直交方向で互いに隣り合う両針金材の屈曲部同士を互いに係合させて上記金網を構成した法面成形用網体において、
【0053】
互いに係合した上記両屈曲部の間を通って上記索条体が延びるようにしてある。
【0054】
ここで、上記したように互いに係合した両屈曲部の間を通って上記索条体が延びるようにすると、この索条体は、上記金網の各網目のほぼ中央部を横切ると共に、これら各網目毎でその両端部が上記両屈曲部で挟み付けられて上記金網に連結されることとなる。
【0055】
このため、上記網体の索条体によれば、上記各網目に入り込んだ客土をその吹き付け位置に、より確実に保持させることができ、よって、上記法面は、より長期にわたり所定形状に保持される。
【0056】
そして、上記金網が有する本来の形状を有効に利用して、この金網に上記索条体を連結させたため、上記網体の構成はより簡単になる。
【0057】
請求項3の発明は、上記複数の針金材を互いに別体として、これら針金材と、上記索条体とを上記直交方向Yで互いに相対移動可能としてある。
【0058】
このため、直交方向で隣り合う両針金材を互いに接近するよう相対移動させれば、これら両針金材の両屈曲部間に空間が成形されることから、上記金網に索条体を編み込む場合には、単に、上記空間に上記索条体を挿通させ、その後、上記両針金材を互いに離反するよう相対移動させて、これら両針金材の屈曲部間に上記索条体を挟み付けさせればよい。よって、金網への索条体の編み込みは容易にでき、つまり、網体の成形が容易にできる。
【0059】
また、上記各針金材と索条体とを直交方向で互いに接近するよう相対移動させれば、上記網体をコンパクトな形状にできるため、この網体の搬送や斜面への張設時の作業が容易にでき、つまり、法面の成形が容易にできる。
【0060】
請求項4の発明は、上記索条体を保水性としてある。
【0061】
このため、上記網体により法面を成形したとき、上記索条体に保水されていた水により、種子の発芽と生長とが促進され、もって、法面はこの法面に繁茂する植物によって、長期にわたり所定形状のままに保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3の部分拡大図である。
【図2】法面の部分断面図である。
【図3】網体の平面図である。
【図4】図1で示したものの作用説明図である。
【図5】図4の5‐5線矢視図である。
【符号の説明】
1 法面
2 網体
3 金網
4 索条体
5 網目
8 針金材
9 直線部
10 屈曲部
12 空間
14 斜面
16 客土
X 一方向
Y 直交方向
Claims (4)
- 金網と、この金網に編み込まれた索条体とを備えた法面成形用網体。
- 上記金網が、一方向に向いジグザグ状に屈曲しながら延びてこの一方向に対する直交方向で互いに並設される複数本の針金材を有し、上記直交方向で互いに隣り合う両針金材の屈曲部同士を互いに係合させて上記金網を構成した法面成形用網体において、
互いに係合した上記両屈曲部の間を通って上記索条体が延びるようにした請求項1に記載の法面成形用網体。 - 上記複数の針金材を互いに別体として、これら針金材と、上記索条体とを上記直交方向で互いに相対移動可能とした請求項2に記載の法面成形用網体。
- 上記索条体を保水性とした請求項1から3のうちいずれか1つに記載の法面成形用網体。
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