JP2004285385A - 加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】めっき後の合金化熱処理温度を低下させて原板の機械的特性の低下を防ぐことにより、高強度でしかも加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。
【構成】C:0.04〜0.25質量%,Si:0.2〜2.0質量%,Mn:0.5〜3.0質量%を含む鋼板に、付着量3〜15g/mのFe系めっき層を形成した後、ガス還元焼鈍し、420℃以上490℃未満の溶融亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、再加熱なしに、又は溶融めっき後に530℃未満の合金化熱処理を施して鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成する。
【効果】溶融亜鉛めっきの前にFe系のめっき層を形成することにより、Mn,Siの影響をなくして、合金化のための再加熱をなくし、或いは加熱温度を低くすることができるので、原板の強度および伸びの低下を抑えることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車,建築,電気機器等の部材として有用な高強度鋼板、特に加工性に優れた高強度の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性,塗装性,塗装後密着性,溶接性に優れていることから、自動車用車体,家電製品を始めとする種々の分野で防錆鋼板として汎用されている。このような用途では、通常プレス成形により必要形状に加工して使用されることから,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要である。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっきした後、加熱合金化処理することにより製造されている。加熱合金化処理には、一般にバーナ加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者を併用する加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用されている。
【0003】
特に、自動車車体を軽量化するため多用されるようになってきた合金化溶融亜鉛めっき高強度鋼板では、延性の小さな高張力鋼をめっき原板に使用していることから、プレス成形性に及ぼすめっき層表面の摺動性の影響が大きく、多量のζ相が残存するとめっき層の剥離だけでなく、板破断が発生し、プレス成形ができなくなることがある。
そこで、本発明者等は、特開2001−279409号公報で、合金化熱処理時にζ相を残存させず、しかもΓ相の成長を抑制して加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために、めっき原板の表面に実質的にFeからなる層を形成した後、溶融亜鉛めっきを施し、その後合金化熱処理することにより、δ相,Γ相及び層厚1μm以下のΓ相からなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する方法を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の製造方法でζ相の生成・残存を防ぐためには、合金化熱処理を530℃以上の高い温度で行う必要があった。
ところで、自動車用車体,家電製品等に使用されるめっき鋼板には、加工性の他に強度も要求される。特に、近年、自動車の燃費節減の動向から、自動車ボディの軽量化が図られている。そして材料面では、肉薄化しても強度が確保できるように高強度化が進められている。一般に、低炭素鋼では、高強度化に有効な元素であるSiやMnが添加されている。そして亜鉛めっき用の原板にも多量のSi,Mnを含有させて高強度化を図っている。
多量のSi、Mnを含有させた鋼板に溶融亜鉛めっきした後、高温で合金加熱処理を施すと鋼板中にパーライトや炭化物を形成するために、鋼板自身の強度及び伸びは著しく低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、溶融亜鉛めっきを施す前のめっき原板の表面にプレFeめっき層を形成し、めっき後の合金化熱処理を省略するか、行うにしてもその処理温度を低下させて原板の機械的特性の低下を防ぐことにより、高強度でしかも加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、その目的を達成するため、C:0.04〜0.25質量%,Si:0.2〜2.0質量%,Mn:0.5〜3.0質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ鋼板に、付着量3〜15g/mのFe系めっき層を形成した後、ガス還元焼鈍し、420℃以上490℃未満の溶融亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、再加熱なしに、又は溶融めっき後に530℃未満に加熱して合金化処理を行い、鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成したことを特徴とする。
【0007】
鋼板としては、鋼中にさらにTi:0.04〜0.2質量%,Nb:0.003〜0.2質量%の少なくとも1種又は2種、或いはB:0.01質量%以下,Mo:1.0質量%以下,Cr:1.0質量%以下,V:0.5質量%以下,Ni:2.0質量%以下,Co:1.0質量%以下の少なくとも1種又は2種以上を含むものでも良い。
さらに、前記鋼板は、P:0.015質量%以下,S:0.005質量%以下に規制したものが好ましい。
さらにまた、上記鋼板は、0.02〜0.15質量%のCuをCu/S≧5の範囲で含有したものでも良い。
製造条件としては、Fe系めっきを施した鋼板を、700〜900℃で焼鈍した後、2〜200℃/秒の平均冷却速度で350〜490℃まで冷却し、その温度域に1〜20分保持した後、溶融亜鉛めっきを施し、直ちに、又は430℃以上530℃未満の温度に2秒〜2分保持後、5℃/秒以上の冷却速度で250℃以下に冷却して、鋼中の残留オーステナイト量を3体積%以上にすることが好ましい。
【0008】
【作用】
本発明者等は、先に特開2001−279409号で提案した加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき高張力鋼板の製造方法では、溶融亜鉛めっき後の合金化熱処理として高い温度を必要とするため、その熱処理時に、鋼中にパーライトや炭化物が生成し、鋼板の強度及び延性が低下することを確認した。
そこで、さらに検討を重ねる過程で、溶融Znめっきを施す前のプレめっきとしてFe系のめっき層を形成しておくと、溶融亜鉛めっき後、合金化が容易に行えるので、合金化処理温度を低く、あるいは溶融亜鉛めっき時に合金化が行えて、鋼材自身の機械的特性、特に延性の低下を抑えることができることを見出したものである。
【0009】
そして、合金化処理温度を下げることができた理由を次の様に推測した。
鋼中のMn,Si濃度が高い場合、通常はMn,Siがバリアとなり、FeとZnの相互拡散を抑制するため、合金加熱処理温度を高くしないと合金化が行われない。これに対して、Feプレめっき層を形成しておくと、表層に合金化を抑制するMnやSiが存在しない層が存在することとなり、合金化温度が低くても合金化処理が可能となる。
【0010】
【実施の態様】
本発明で使用されるめっき原板としては、C:0.04〜0.25質量%,Si:0.2〜2.0質量%,Mn:0.5〜3.0質量%を含み、さらに必要に応じてTi:0.04〜0.2質量%,Nb:0.003〜0.2質量%の少なくとも1種又は2種、或いはB:0.01質量%以下,Mo:1.0質量%以下,Cr:1.0質量%以下,V:0.5質量%以下,Ni:2.0質量%以下,Co:1.0質量%以下の少なくとも1種又は2種以上を含み、さらに必要に応じてP:0.015質量%以下,S:0.005質量%以下に規制したものが使用される。
さらに必要に応じてCu:0.02〜0.15質量%をCu/S≧5の範囲で含むものでもよい。
以下にその詳細を説明する。なお、「%」表示は、特に示さない限り「質量%」を意味する。
【0011】
C:0.04〜0.25%
Cは高強度化に有効である。0.04%未満ではその効果が得られない。またCは溶接性に大きな影響を与える元素でもあり、0.25%を超えると、鋼板のスポット溶接性が著しく低下する。
Si:0.2〜2.0%
Siは高強度化に有効な他、セメンタイトの析出を抑制する作用を有しており、鋼中のパーライト等の生成を抑える効果がある元素である。0.2%未満ではその効果が発揮されない。また、2.0%を超える濃度にした場合、その効果が飽和するとともに、焼鈍時におけるSiの拡散現象が著しくなってFe−Bめっきを施しても表層にSi酸化膜層が形成してしまい、めっき密着性が低下する。
【0012】
Mn:0.5〜3.0%
Mnは焼入れ性を向上させ、高強度化に有効な元素である。0.5%未満ではその効果が発揮されない。また、3.0%を超える濃度では、多量のマルテンサイト組織となり、伸びを著しく低下させる。
Ti:0.003〜0.2%
Nb:0.003〜0.2%
Ti,Nbは組織を微細化し、高強度化に有効である他、鋼板の穴拡げ性を向上させる作用を有している。Ti,Nbいずれの場合も、0.003%未満ではその効果がされない。また、0.2%を超えると効果が飽和し、製造上のコストが高くなるだけである。
【0013】
B:0.01%以下
Mo:1.0%以下
Cr:1.0%以下
V:0.5%以下
Ni:2.0%以下
Co:1.0%以下
これらは、焼入れ性を向上させて高強度化するのに有効な元素である。しかし、B:0.01%,Mo:1.0%,Cr:1.0%,V:0.5%,Ni:2.0%,Co:1.0%を超えて添加してもかえって延性の低下が大きくなり、製造上のコストが高くなるだけである。
【0014】
P:0.015%以下
S:0.005%以下
P,Sは鋼板の溶接性に有害な元素であるから、Pは0.015%以下に、Sは0.005%以下にすることが好ましい。
Cu:0.02〜0.15%,Cu/S≧5
Cuは、鋼中の固溶SをCuSの形で固定するため、スポット溶接性や耐食性を向上させる作用を有している。十分な効果を得るためには0.02%以上でCu/S≧5とする必要がある。しかし、0.15%を超えて添加してもその効果は飽和し、製造上のコストが高くなるだけである。
【0015】
Fe系のプレめっきは付着量3〜15g/mの範囲で形成しておく。メッキ付着量が3g/mに満たないとFe系プレめっき層中だけで十分に合金化が進行しないため、Mn,Siが存在する鋼中からの拡散が必要となり、530℃未満での合金加熱処理ができなくなる。逆に15g/mを超えると、Fe系めっき層を多くしても合金化に使用されないFeめっき層が生じ、製造上のコスト上昇になるだけである。5g/m以上のFe系めっきにより合金化なしでも合金層の形成が可能である。
【0016】
Fe系プレめっき層としては、純Feの他に、Fe−B,Fe−C,Fe−P,Fe−N,Fe−O等のめっき層が使用できる。Fe系プレめっき層に含まれる微量のB,C,P,N,Oは、Si,Mnの濃化を抑制する作用を呈する。
Fe系プレめっき層は、電気めっき法で形成されるが、片面当り3〜15g/mの付着量が得られる限り電気めっき液の種類,浴組成,めっき条件等に特段の制約が加わるものではない。Fe系プレめっきは、電気めっきラインで実施できるが、溶融めっきラインのガス還元焼鈍炉の前に電気めっき設備を付設してFe系プレめっき及び溶融亜鉛めっきを連続化することが生産性,コスト的に有利である。
【0017】
溶融亜鉛めっき前のプレめっき鋼板の焼鈍条件によっても、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の機械的特性は変化する。より高延性で高強度を得るための焼鈍条件について以下に説明する。
焼鈍の温度は700〜900℃の範囲にすることが好ましい。700℃未満では、再結晶が十分に行われず、初期オーステナイト量が少なくなって、最終的に残留するオーステナイト量が3体積%未満になってしまう。900℃を超えると鋼中の炭素が均一に分散し、オーステナイト中の炭素が濃化し難いことから、マルテンサイト変態が生じ、残留オーステナイトが3%未満になってしまう。
焼鈍の雰囲気は還元雰囲気とする。ガス還元雰囲気とすることが好ましい。
ガス還元雰囲気であると、プレめっきされたFe−Bが部分的に酸化されていても、ガス還元されて活性な表面状態になり、その後の溶融亜鉛めっきの際めっき層が付着しやすくなる。さらにその後の合金化反応速度も大きくなる。
【0018】
次に均熱後の平均冷却速度は2〜200℃/秒とすることが好ましい。平均冷却速度が2℃/秒に満たないと、パーライト変態が生じ強度−延性のバランスを劣化させる。逆に200℃/秒を超える平均冷却速度では、鋼板の幅方向,長手方向でのズレが大きくなり、均一な組織を得ることができなくなる。
また、冷却の終点温度は350〜490℃の範囲にすることが好ましい。冷却の終点が490℃を超える場合、その温度で保持し続けてもベイナイト変態が進行しないため、3体積%以上のオーステナイトが残留できなくなる。350℃未満では、マルテンサイトが大量に生成するため、強度は向上するものの伸びが著しく低下し、成形性等が悪くなる。また3体積%以上の残留オーステナイトが得られなくなる。
【0019】
保持時間については、短すぎるとベイナイトの生成が不十分で3体積%以上の残留オーステナイトが得られず、マルテンサイト量が多い組織となる。逆に長すぎるとセメンタイトが生成して残留オーステナイト量が少なくなる。このようなことから、保持時間は1〜20分の範囲が好ましい。
このような製法により、鋼中の残留オーステナイト量を3体積%以上にすることができ、残留オーステナイトのTRIP効果による高延性型の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることが可能となる。
【0020】
ガス還元焼鈍しためっき原板は、溶融亜鉛めっき浴に導入される。
溶融Znめっき浴としては、浴温を420以上490℃未満に設定したものを使用する。420℃はめっき浴の凝固点であり、また490℃以上になると、めっき浴を入れている槽が激しく浸食され、頻繁な交換が必要となるなど、経済的に不利である。
溶融亜鉛めっき浴から引き上げられためっき原板に付着している溶融めっき金属の片面当りめっき付着量をガスワイピングで調整することが好ましい。めっき付着量が多すぎると合金化反応の進行が遅くなって効率的でないので、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m以下にすることが好ましい。なお、めっき付着量の調整に採用されるガスワイピング法では絞れる下限が30g/mである。
【0021】
ガスワイピング後、鋼板を430℃以上530℃未満の温度に2〜120秒加熱することにより合金化反応を進行させる。加熱温度が430℃未満だったり2秒に満たないと合金化が不十分でη−Zn層が残存することになる。530℃以上では、鋼中にパーライトが生成し、残留オーステナイト量が少なくなり、延性の低下につながる。また合金化温度が530℃未満であっても、その温度が高いほど残留オーステナイト量は少なくなる傾向であることから、合金化温度は490℃未満にすることが好ましい。120秒までには合金化は十分に行われ、それ以上の加熱は無意味である。また、Fe系めっきの付着量が多い場合には、めっき後の加熱なしでも合金層が可能である。
430℃以上530℃未満×2〜120秒の加熱条件が満足される限り、加熱方式は特に制約されるものではなく、バーナー加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者を併用した加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用される。
合金化処理された鋼板は、板温が250℃に到達するまで鋼板を5℃/秒以上の冷却速度で冷却する。
【0022】
【実施例】
実施例1:
表1に示した組成をもつ低炭素鋼を溶製し、熱延,酸洗,冷延工程を経て板厚1.0mm,板幅1000mmの冷延鋼板を製造した。この冷延鋼板の表面に、次の表2に示すめっき条件で、B含有量20ppmのFe−Bプレめっき層を電気めっき法により形成した。
【0023】
Figure 2004285385
【0024】
Figure 2004285385
【0025】
次いで表3に示す条件で焼鈍と溶融亜鉛めっきを施した。亜鉛付着量は45g/mに統一し、(450〜550℃)×20秒の合金化熱処理を施した。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、残留オーステナイト量を測定するとともに、引張試験とスポット溶接性の評価試験を行った。
残留オーステナイト量は、鋼板を板厚中心面まで研磨し、回折X線強度測定によって求めた。
めっき層の合金化状態は、断面観察によりめっき層中にη−Zn層がない場合を○とし、η−Zn層が認められたものを×と判定した。
引張試験は、圧延方向に垂直にJIS−5号試験片を採取し、引張試験した。
スポット溶接性については、供試鋼板を2枚重ねしてダイレクト法でスポット溶接して引張せん断試験試験片を作製し、引張せん断試験を行って、その破断形態によりスポット溶接性の良否を評価した。評価は、健全な破断形態であるボタン破断(母材破断)を○(合格),ナゲット内破断を×(不合格)とした。
なお、スポット溶接条件は、電極;ドームラジアス型,φ6mm(先端径)、加圧力;3.4kN、通電時間;10サイクル、溶接電流値;〔散りが発生する最小電流値+0.5kA〕、とした。
その評価結果を表4に示す。
【0026】
Figure 2004285385
【0027】
Figure 2004285385
【0028】
表4に示す結果から、合金化温度を530℃以上にすると、残留オーステナイト量が少なくなって、延性が低下している。
合金化温度が530℃未満であっても、その温度がより低いほど残留オーステナイト量は多くなっており、それに伴って延性も向上し、引張強度と伸びのバランスがよい合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。
【0029】
実施例2:
表5に示した組成をもつ低炭素鋼を素材として、実施例1と全く同じ方法により、B含有量20ppmのFe−Bプレめっき層を、Fe−B付着量5.5g/mで形成した溶融亜鉛めっき原板を用意した。
このプレめっき鋼板に、表6に示す条件の熱処理と溶融亜鉛めっき、並びに合金化熱処理を施した。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、実施例1と全く同じ手法で、残留オーステナイト量,引張強度,スポット溶接性を評価した。
その評価結果を表7に示す。
【0030】
Figure 2004285385
【0031】
Figure 2004285385
【0032】
Figure 2004285385
【0033】
表7に示す結果から、請求項の記載で特定した合金組成を有する鋼種a〜lを用いた試験No.11〜22では、合金化熱処理後の合金化状態はいずれも良好で、いずれも3体積%以上の残留オーステナイトを有し、引張強度と伸びのバランスがよい合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。
これに対して、C含有量の少ない鋼種mを使用した試験No.23では、所望の引張強度が得られない。逆にC含有量が多い鋼種nを使用した試験No.24では、スポット溶接性が劣っている。Si含有量が少ない鋼種oを使用した試験No.25では、残留オーステナイト量が少なくなって、延性が低下している。逆にSi含有量が多い鋼種pを使用した試験No.26では、表層にSiの酸化物が形成され合金化状態が悪くなっている。Mn含有量が少ない鋼種qを使用した試験No.27では、所望の引張強度が得られない。逆にMn含有量が多い鋼種rを用いた試験No.28では、多量のマルテンサイトが形成されて引張強度は上昇しているが、伸びが著しく低下している。
【0034】
実施例3:
表1に示した鋼種aの組成をもつ低炭素鋼を素材として、実施例1と全く同じ方法により、B含有量20ppmのFe−Bプレめっき層を、表8に示すようにFe−B付着量を種々変えて形成した溶融亜鉛めっき原板を用意した。
このプレめっき鋼板に、表8に示すような熱処理条件と溶融亜鉛めっき条件、並びに合金化熱処理条件を施した。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、実施例1と全く同じ手法で、残留オーステナイト量,引張強度,スポット溶接性を評価した。
その評価結果を表9に示す。
【0035】
Figure 2004285385
【0036】
Figure 2004285385
【0037】
表9に示す結果からわかるように、プレめっきとして施したFe−B層の付着量が少ない試験No.38では、合金化が不十分であった。
所定付着量のFe−B層を形成したものにあっても、プレめっき後の焼鈍処理条件をより適切なものとすれば、残留オーステナイト量が多くなって、引張強度と伸びのバランスが良いめっき鋼板が得られている。すなわち700〜900℃で焼鈍した後、350〜490℃まで冷却・保持した後に溶融めっきとそれに続く合金化処理を施したものは、上記焼鈍条件を外れたものよりも確実に残留オーステナイト量が多いものが得やすくなっている。引張強度と伸びのバランスが良い高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、Mn,Siを含有する鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを施す際に、予めFe系のプレめっきを施したものに溶融亜鉛めっきを施すと、めっき後の合金化熱処理を省略、または行うにしてもその温度を低下させることができる。この結果、めっき原板の機械的特性の低下を防ぐことができ、高強度でしかも加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができた。

Claims (6)

  1. C:0.04〜0.25質量%,Si:0.2〜2.0質量%,Mn:0.5〜3.0質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ鋼板に、付着量3〜15g/mのFe系めっき層を形成した後、ガス還元焼鈍し、420℃以上490℃未満の溶融亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、再加熱なしに、又は溶融めっき後に530℃未満に加熱して合金化処理を行い、鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成することを特徴とする加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 鋼板が、さらにTi:0.04〜0.2質量%,Nb:0.003〜0.2質量%の少なくとも1種又は2種を含むものである請求項1に記載の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 鋼板が、さらにB:0.01質量%以下,Mo:1.0質量%以下,Cr:1.0質量%以下,V:0.5質量%以下,Ni:2.0質量%以下,Co:1.0質量%以下の少なくとも1種又は2種以上を含むものである請求項1又は2に記載の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 鋼板が、P:0.015質量%以下,S:0.005質量%以下に規制したものである請求項1〜3のいずれか1に記載の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 鋼板が、さらにCu:0.02〜0.15質量%を、Cu/S≧5の範囲で含有したものである請求項4に記載の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. Fe系めっきを施した鋼板を、700〜900℃で焼鈍した後、2〜200℃/秒の平均冷却速度で350〜490℃まで冷却し、その温度域に1〜20分保持した後、溶融亜鉛めっきを施し、直ちに、又は430℃以上530℃未満の温度に2秒〜2分保持後、5℃/秒以上の冷却速度で250℃以下に冷却して、鋼中の残留オーステナイト量を3体積%以上にする請求項1〜5のいずれか1に記載の加工性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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