JP2004285277A - 熱硬化性複合材料および複合材料成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱硬化性樹脂、重合性単量体、低収縮剤、硬化剤、有機充填剤および増粘剤を含む樹脂組成物を、繊維状補強材に含浸させてなる熱硬化性樹脂複合材料およびその複合材料を加熱加圧成形してなる複合材料成形品。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性複合材料、ならびにそれを用いた複合材料成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐久性、機械的強度、耐水性等の各種物性に優れるとともに、成形における形状の自由度が高く、意匠性に優れる成形品が得られるため、リアスポイラー等の各種の自動車部品または部材、浴槽等の浴室設備などの成形材料としてシートモールディングコンパウンド(以下、「SMC」という)、バルクモールディングコンパウンド等の熱硬化性複合材料が広く用いられている。
【0003】
このSMCは、重合性単量体、硬化剤、増粘剤、低収縮剤および充填剤等を含む樹脂組成物を繊維状補強材に含浸させてシート状に形成し、そのシート状物の両側を離型性フィルムで挟み、樹脂組成物を熟成して半固形化させてなる成形材料である(特許文献1、特許文献2等参照)。そして、SMCを金型に載置して加圧加熱成形することによって、所望の成形品が製造される。
【0004】
従来、このSMCには、剛性の向上、収縮の防止、ヒケ・ソリの防止等を図るとともに、嵩増しによるコストダウンを目的として、無機系充填剤および増粘剤が多いもので60質量%以上配合される。その無機系充填剤および増粘剤として、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、水酸化アルミニウム、クレー、シリカ、溶融シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、ガラスパウダー等を所定の粒度に分級したものが用いられている。中でも、炭酸カルシウムは、安価で白色度が高く品質が安定していること、樹脂の吸収量が少ないため、粘度を上げずに多量に配合できること等の長所を有するため、最も多く用いられている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−38724号公報
【特許文献2】
特開2002−167453号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無機系充填剤および増粘剤は、比重が大きいため、これを配合したSMCからなる成形品は、その軽量化が困難である。また、無機系充填剤は、SMC成形品の廃棄・焼却時に残渣として残り、廃棄物の減量化を困難にする要因となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、成形品の軽量化に有効であるとともに、廃棄物の減量化に有効な熱硬化性複合材料、ならびにそれを用いて成形されるため軽量かつ廃棄物の減量化を図ることができる複合材料成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、熱硬化性樹脂、重合性単量体、硬化剤、充填剤および増粘剤を構成成分として含む樹脂組成物を、繊維状補強材に含浸させてなる熱硬化性複合材料であって、前記充填剤および増粘剤が、有機系充填剤および増粘剤であることを特徴とする熱硬化性複合材料(以下、「本発明の複合材料」という)を発明の構成とする。
【0009】
この構成において、充填剤および増粘剤として無機系充填剤よりも比重が小さい有機系充填剤および増粘剤を用いることにより、本発明の複合材料を用いて成形される成形品の軽量化を図ることができる。また、得られる成形品は、廃棄焼却時、有機系充填剤が焼却処理によって焼失され、残渣を生成することがないため、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記有機系充填剤および増粘剤の比重が1.1〜2.0、かつ平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする。
【0011】
この構成において、充填剤および増粘剤として比重1.1〜2.0の有機系充填剤および増粘剤を用いることによって、本発明の複合材料を用いて成形される成形品の軽量化を図ることができる。また、有機系充填剤および増粘剤の平均粒径が0.1〜100μmであることによって、本発明の複合材料中により均一に分散される。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記有機系充填剤および増粘剤が、炭素粉末、樹脂粉末、炭素繊維および樹脂繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0013】
この構成を採用することによって、充填剤および増粘剤として無機系充填剤および増粘剤よりも比重が低い有機系充填剤および増粘剤を用いることにより、本発明の複合材料を用いて成形される成形品の軽量化を図ることができる。また、得られる成形品は、廃棄焼却時、有機系充填剤および増粘剤が焼却処理によって焼失され、残渣を生成することがないため、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0014】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性複合材料において、前記繊維状補強材が、炭素繊維であることを特徴とする。
【0015】
これによって、成形品の廃棄・焼却時に、有機系充填剤および増粘剤とともに、炭素繊維が焼却され、残渣として残ることがなく、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0016】
さらにまた、請求項5に記載の発明は、熱硬化性樹脂、重合性単量体、硬化剤、ならびに有機系充填剤および増粘剤を構成成分として含む樹脂組成物を、繊維状補強材に含浸させてなる熱硬化性複合材料を、加圧加熱成形してなる複合材料成形品を発明の構成とする。
【0017】
この成形品によって、成形品の軽量化かつ廃棄・焼却時に残渣が少なく、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の複合材料において、繊維状補強材に含浸される樹脂組成物の構成成分である熱硬化性樹脂としては、例えば、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン、ポリアミド、ビスマレイミド、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノールアミノ樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、得られる成形品に求められる特性に応じて選択される。これらの中でも、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂およびエポキシ樹脂は、比較的入手が容易で、生産性に優れる等の点で、SMC成形品用の熱硬化性樹脂として代表的である。
【0019】
不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物を必須成分として含む多塩基酸成分と多価アルコールを反応させて得られるものである。α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、これらの無水物等のα,β−不飽和二塩基酸またはその無水物が挙げられる。
【0020】
また、不飽和ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分として、不飽和基の濃度を調節するものであり、可撓性、耐熱性などの特性を付与するために、飽和多塩基酸またはその無水物を併有していてもよい。飽和多塩基酸またはその無水物の具体例として、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。
【0021】
また、不飽和ポリエステル樹脂のもう一つの成分である多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。
【0022】
本発明において、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、その不飽和ポリエステル樹脂は、前記多塩基酸成分および前記多価アルコールをそれぞれ1種または2種以上を構成成分として含むものであってもよい。
【0023】
また、不飽和ポリエステル樹脂における多塩基酸成分と多価アルコールの含有割合は、特に限定されないが、一般に、多価アルコールの含有割合が多い不飽和ポリエステル樹脂は、酸価が小さくなって増粘剤による増粘の進行が遅くなる傾向がある。
【0024】
さらに、不飽和ポリエステル樹脂は、分子量が低過ぎると増粘剤を添加しても樹脂組成物の粘度が増加せず、樹脂組成物が柔らか過ぎて成形作業時の作業性が悪化し、また、分子量が大き過ぎると粘度が高くなり、樹脂組成物が繊維状補強材に充分に含浸せず、得られる成形品の表面光沢が低下するおそれがある。通常、数平均分子量が2000〜4500程度である。
【0025】
また、アクリル樹脂としては、メタクリロイルおよび/またはアクリロイル基を有する単量体またはそれらの混合物を重合してなる重合体を用いることができる。アクリル系単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロヘキサン環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート等のトリシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル構造を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、(メタ)アクリル酸アミド等のアクリル系単官能性単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリル酸とペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとの多価エステル、アリール(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性単量体等が挙げられる。
【0026】
また、アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体以外にも、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、トリアリールイソシアヌレート等の単量体を含有してもよい。
【0027】
本発明において、アクリル樹脂は、必要に応じて前記単量体の1種単独あるいは2種以上から形成されているものでもよい。
【0028】
また、樹脂組成物の構成成分である重合性単量体としては、例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリル酸またはアクリル酸のアルキルエステル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル等のメタクリル酸またはアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。また、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチールプロパントリメタクリレート等の多官能のメタクリル酸またはアクリル酸のエステル類を用いることもできる。
【0029】
本発明において、樹脂組成物は、これらの重合性単量体の1種または2種以上を含んでいてもよい。
【0030】
本発明において、樹脂組成物の構成成分として配合される硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて配合されていてもよい。
【0031】
増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等が用いられるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられる。また、増粘剤として、前記熱硬化性樹脂を1種単独または2種以上を配合してもよい。この増粘剤は、充填剤としての役割をも有する。
【0032】
樹脂組成物の構成成分である有機系充填剤および増粘剤は、SMC成形における加熱温度に耐え得るものであれば、特に限定されず、粉末や繊維状など、すべての形状のものが含まれる。この有機系充填剤および増粘剤の具体例として、黒鉛粉末等の黒鉛質粉体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、MBS樹脂等からなる樹脂粉末、加硫ゴム粉末、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー、ウレタンパウダー、予め硬化したエポキシ樹脂の粉体、架橋アクリルポリマー微粒子、あるいはメラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、これらのアミノ樹脂を熱硬化させた後、微粉砕した、プラスチックの粉末または粒状体、さらに、レーヨン、アセテート等のエステル系化学繊維、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の合成繊維などを挙げることができる。また、樹脂への分散を考慮すると粉末状のものを使用することが好ましい。これらの中でも、炭素粉末、樹脂粉末、炭素繊維および樹脂繊維から選ばれる少なくとも1種が、安価に入手可能で、軽量、かつ廃棄焼却時に残渣が発生しないことから、好ましい。
【0033】
この有機系充填材および増粘剤は、成形品の軽量化を図る観点から、比重が1.1〜2.0、かつ充填剤および増粘剤としての効果の観点から、本発明において、有機系充填剤および増粘剤が球状または板状の形状をなすものは、その平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、0.1〜80μmがより好ましい。有機系充填剤および増粘剤が繊維状の形状をなす場合、その繊維長さは10μm〜10mmが好ましく、20μm〜3mmがより好ましい。この繊維長が10μm未満では補強効果の発現が小さくなり、10mmを超えると成形が困難になる場合がある。また、繊維状充填剤および増粘剤の繊維径は0.1〜50μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましい。
【0034】
本発明の複合材料において、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂と重合性単量体との配合割合は、熱硬化性樹脂/重合性単量体の質量割合が、25/75〜80/20であることが好ましい。熱硬化性樹脂の配合割合が少な過ぎると樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗布しにくく、また、沈降等のため他の成分と均一に混合しにくくなり、さらに、得られる複合材料を成形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック等が生じる場合がある。熱硬化性樹脂の配合割合が多過ぎると、樹脂組成物の粘度が高すぎて塗布し難くなったり、他の成分との混合が困難になる場合がある。
【0035】
さらに、硬化剤の配合量は、成形サイクルのみではなく材料の保存性、色ムラ等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から前記熱硬化性樹脂および重合性単量体の総量に対して0.2〜5質量%が好ましい。
【0036】
増粘剤の量は、成形材の作業性に応じて決定されるが、前記熱硬化性樹脂および重合性単量体の総量に対して、0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜50質量%である。増粘剤が少なすぎると樹脂組成物の粘度が上昇しない場合がある。また増粘剤が多すぎると粘度が上昇し過ぎて制御できなくなる場合がある。
【0037】
また、有機系充填剤および充填剤の配合量は、前記樹脂組成物中0.1〜80質量%程度であり、0.1〜50質量%がより好ましい。有機系充填剤および増粘剤の配合量が多すぎると繊維状補強材への含浸性、成形時の作業性、成型品外観特性等が低下し、少なすぎると成形時の作業性、成型品強度が低下するおそれがある。
【0038】
また、本発明で用いられる樹脂組成物には、前記構成成分以外に、必要に応じて、さらに、適宜、低収縮剤、離型剤、安定剤、着色剤、発泡剤、発泡助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等が配合されていてもよい。
【0039】
低収縮剤としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ブタジエンゴム等の熱可塑性樹脂およびゴムが用いられる。使用量は、成形品の収縮率や表面平滑性、表面光沢等を考慮して決定され、特に制限はない。この配合量は、通常、前記熱硬化性樹脂と重合性単量体との総量に対して1.0〜50質量%程度である。
【0040】
離型剤としては、例えば、脂肪酸の亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛などが挙げられる。
【0041】
離型剤を配合する場合、前記熱硬化性樹脂および重合性単量体の総量に対して、離型剤の量が少なすぎると成形品が型に付き、脱型しづらく、また成形品にクラック等が入る場合がある。また、離型剤が多すぎると成形品強度が低下する傾向にある。
【0042】
本発明の複合材料において、前記樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂、重合性単量体、低収縮材、硬化剤、充填剤および増粘剤、ならびにその他必要に応じて配合される前記他の成分、さらに、必要により貯蔵安定性のために重合禁止剤などを配合して調製される。
【0043】
必要に応じて用いられる重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、ハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合禁止剤は、前記熱硬化性樹脂と重合性単量体との総量に対して1.0質量%以下で使用されることが好ましい。
【0044】
本発明の複合材料において、前記樹脂組成物が含浸される繊維状補強材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、天然の有機繊維(例えば、木綿およびサイザル麻)、またはビニロン繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維、金属繊維などが挙げられる。繊維状補強材として、炭素繊維、天然の有機繊維、合成樹脂繊維等の有機質繊維を用いると、成形品の廃棄・焼却時に廃棄物の減量化に有効であり、特に、炭素繊維が好ましい。
【0045】
この繊維状補強材は、繊維長が、通常0.64〜150mmであるものが好適である。繊維長が0.64mm未満では補強効果が不十分で成形品の強度が不足し、150mmを超えると成形時の樹脂の流動性が悪く、成形品外観が損なわれ、また、リブやボスヘの充填性も悪く、成形品の用途、形状が制限される。
【0046】
また、本発明の複合材料において、繊維状補強材の含有率は2〜55質量%が好適である。2質量%未満では、その補強効果が十分でなく、得られたSMC成形品の強度が不足するためである。また、55質量%を超えると、樹脂組成物への含浸性が低下し、成形品に繊維目、ふくれ、クラック、ピンホール等の欠陥が発生し、成形品の外観を損ねるとともに強度も低下してしまうおそれがある。また、使用する繊維状補強材の形態は、不織布、クロス、あるいはチョップド短繊維等を用いることができるが、不織布は、SMCの成形時(成形品の製造時)に、クロスよりも樹脂の流動性がよく、チョップド短繊維よりも繊維の均一分散性、樹脂含浸性がよい。
【0047】
本発明の複合材料の製造は、常用の製造装置を用いて行うことができる。例えば、前記樹脂組成物を調製した後、これを上下に配置された離型性フィルムの対向する面に均一な厚さとなるように塗布する。次に、巻き出し装置から巻き出された繊維状補強材を、前記離型性フィルムで樹脂組成物の塗布面が繊維状補強材の両面になるように挟み込み、上から離型性フィルム、樹脂組成物、繊維状補強材、樹脂組成物および離型性フィルムの順で積層された積層体を形成する。次いで、この積層体を含浸ロールの間に通して、上下から圧力を加えて樹脂組成物を繊維状補強材に含浸させた後、ロール状に巻き取るかつづら折りに畳んで複合材料を製造することができる。また、繊維状補強材として単繊維を用いる場合、離型性フィルムに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、ついで、単繊維をその上に散布する方法で製造することもできる。
【0048】
この後、必要に応じて熟成等を行う。増粘剤を配合した場合には室温〜60℃の温度に加熱して熟成することが好ましい。離型性フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
【0049】
本発明の複合材料において、繊維状補強材に含浸されている樹脂組成物の粘度は、これを用いて得られる成形品の形状、流動距離等に応じて適宜、増粘剤の配合量や熟成条件を調整することによって最適の粘度に調整される。通常、40℃において1〜100,000Pa・sとなるように調整されるのが好ましい。粘度が低すぎると、複合材料を成形して得られる成形品表面にスカミングが発生し易く、また粘度が高すぎると型締め時間が長くなって成形サイクルが長くなる傾向を示す。
【0050】
本発明の複合材料は、前記複合材料を、所望の成形に応じて形成された金型に入れ、加熱加圧成形することにより複合材料成形品とすることができる。通常、成形温度は70〜150℃程度、成形圧力は0.1〜10MPa程度である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げ、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0052】
実施例1
不飽和ポリエステル樹脂45.5kg、重合性単量体2.5kg、充填剤および増粘剤9kg、硬化剤0.5kg、および低収縮剤4.5kgを含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物62kgを、ガラス繊維(繊維長:2.54cm、繊維径:10μm)に含浸させ、熱硬化性複合材料(以下、「SMC−1」という)を製造した。
【0053】
実施例2
不飽和ポリエステル樹脂45.5kg、重合性単量体2.5kg、充填剤および増粘剤9kg、硬化剤0.5kg、および低収縮剤4.5kgを含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物62kgを、炭素繊維(繊維長:2.54cm、繊維径:8μm)に含浸させ、熱硬化性複合材料(以下、「SMC−2」という)を製造した。
【0054】
比較例1
不飽和ポリエステル20.5kg、重合性単量体2.5kg、充填剤および増粘剤として炭酸カルシウム(平均粒径:10μm)44kg、硬化剤0.5kg、および低収縮剤4.5kgを含む樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物72kgを、ガラス繊維(繊維長:2.54cm、繊維径:10μm)に含浸させ、熱硬化性複合材料(以下、「SMC−3」という)を製造した。
【0055】
また、繊維補強材としてガラス繊維を含むSMC成形品である質量4.0kgの自動車のリアスポイラーには、充填剤として1.76kgの44質量%)の炭酸カルシウムが使用されている。
この炭酸カルシウムを炭素粉に置きかえると、充填剤重量は1.24kgとなり、成形品の質量を0.52kg軽量化することができ、また、焼却後の残渣については1.76kg減量することができる。
【0056】
さらに、以上の実施例1、実施例2および比較例1で得られたSMC−1、SMC−2およびSMC−3を用いて、縦30cm×横30cm×厚さ2mmの平板状の試験片を加圧加熱成形した。このとき、成形条件は、チャージ面積144cm2、成形温度140℃、成形圧力10MPa、保圧時間4分で行った。
得られた試験片について、下記の方法にしたがって、外観、曲げ強さ、焼却後の残渣量、および成形品の比重を測定または評価した。結果を表1に示す。
【0057】
(1)成形品の外観
得られた試験片を目視観察し、充填度合い、ふくれ、巣、ピンホール等の欠陥の有無を調べた。欠陥のないものを〇として、欠陥のあるものを×として評価した。
(2)曲げ強さ
JIS K 6911に準じ、引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフ)により測定した。
【0058】
(3)焼却後の残渣量
試験片から切り取った試料5mgを示差熱分析装置にて800℃で90分間加熱分析し、発熱量および試料の燃焼後の残渣量を測定した。
(4)成形品の比重
電子天秤式の比重計により比重を測定した。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
請求項1ないし請求項4に係る発明において、充填剤として無機系充填剤よりも比重が低い有機系充填剤および増粘剤を用いることにより、本発明の複合材料を用いて成形される成形品の軽量化を図ることができる。また、得られる成形品は、廃棄焼却時、有機系充填剤および増粘剤が焼却処理によって焼失され、残渣を生成することがないため、廃棄物の減量化を図ることができる。また、請求項2に係る発明では、平均粒径が0.1〜100μmの有機系充填剤および増粘剤を用いることによって、本発明の複合材料中により均一に分散される。
【0061】
また、請求項4に係る発明によれば、成形品の廃棄・焼却時に、有機系充填剤および増粘剤とともに、炭素繊維が焼却され、残渣として残ることがなく、廃棄物の減量化を図ることができる。また、他の構成成分に無機系・金属系材料を用いなければ、成形品を構成する材料全ての焼却処理が可能となる。
【0062】
さらに、請求項5に係る発明によれば、軽量、かつ廃棄・焼却時に残渣が少なく、廃棄物の減量化を図ることができる。
Claims (5)
- 熱硬化性樹脂、重合性単量体、硬化剤、充填剤および増粘剤を構成成分として含む樹脂組成物を、繊維状補強材に含浸させてなる熱硬化性複合材料であって、
前記充填剤および増粘剤が、有機系充填剤および増粘剤であることを特徴とする熱硬化性複合材料。 - 前記有機系充填剤および増粘剤の比重が1.1〜2.0、かつ平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性複合材料。
- 前記有機系充填剤および増粘剤が、炭素粉末、樹脂粉末、炭素繊維および樹脂繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱硬化性複合材料。
- 前記繊維状補強材が、炭素繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性複合材料。
- 熱硬化性樹脂、重合性単量体、硬化剤、ならびに有機系充填剤および増粘剤を構成成分として含む樹脂組成物を、繊維状補強材に含浸させてなる熱硬化性複合材料を、加圧加熱成形してなる複合材料成形品。
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JP2003081314A JP2004285277A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 熱硬化性複合材料および複合材料成形品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017037810A (ja) * | 2015-08-12 | 2017-02-16 | 三菱電機株式会社 | 拡散カバー、照明ランプ、照明装置及び拡散カバーの製造方法 |
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2003
- 2003-03-24 JP JP2003081314A patent/JP2004285277A/ja active Pending
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