JP2004285030A - 疎水性化合物をスルホン化する製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】疎水性化合物をスルホン化する製造方法を提供する。
【解決手段】疎水性化合物をスルホン化する製造方法において、スルホン化剤でスルホン化するスルホン化工程、反応液に塩基を添加する塩基添加工程、および少なくとも1種の有機溶媒を用いて水相からスルホン化した化合物を抽出する抽出工程を含んでなる疎水性化合物をスルホン化する製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】疎水性化合物をスルホン化する製造方法において、スルホン化剤でスルホン化するスルホン化工程、反応液に塩基を添加する塩基添加工程、および少なくとも1種の有機溶媒を用いて水相からスルホン化した化合物を抽出する抽出工程を含んでなる疎水性化合物をスルホン化する製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疎水性化合物特に疎水性染料化合物のスルホン化における製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、疎水性化合物を硫酸や発煙硫酸でスルホン化反応における取り出し処理は苛性ソーダなどの無機塩基で中和した後に大量の飽和食塩水などで塩析する方法か、もしくは非極性有機溶媒を用いて再沈殿する方法が主流であった。しかしこれらの方法ではスルホン化された染料の水に対する溶解度が高い場合、大量の飽和食塩水もしくは大量の非極性有機溶媒を要するといった水溶性による歩留りの低さが製造効率を下げているといった問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術における問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的はスルホン化の後処理の塩析や再沈殿などによる生産性の低さを打破し、生産性の高い製造方法を提案することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水に対して溶解性の高い目的化合物を高い生産性で取り出す製造方法を目指して、各種取り出し方法を詳細に検討したところ、スルホン化後の反応液を中和し、目的とする化合物成分を有機溶媒で抽出することにより上記問題点を解決可能であることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明によれば下記に示す製造方法で目的とするスルホン化化合物を簡便かつ高生産性で提供することができ、本発明の上記目的が達成される。
1.疎水性化合物をスルホン化する製造方法において、スルホン化剤でスルホン化するスルホン化工程、反応液に塩基を添加する塩基添加工程、および少なくとも1種の有機溶媒を用いて水相からスルホン化した化合物を抽出する抽出工程を含んでなることを特徴とする疎水性化合物をスルホン化する製造方法。
2.上記記載の塩基添加工程において塩基がアンモニアまたは有機アミンであることを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.上記記載の疎水性化合物が染料化合物であることを特徴とする上記1または2に記載の製造方法。
4.上記記載の疎水性化合物がアゾ染料化合物であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.上記記載の疎水性化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の製造方法。
一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
式中、AおよびBは各々置換基を表し、それらの少なくとも一方が置換されていてもよい5員環または6員環から構成された複素環基を表し、単環構造であっても、2以上の環が縮環した多環構造であってもよい。
6.上記1〜5のいずれかに記載の製造方法において、さらに、含有される無機塩を削減または除去する無機塩除去工程を含む事を特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の製造方法。上記抽出工程後に無機塩除去工程を含むことが好ましい。該無機塩の無機イオンが硫酸根、酢酸根、塩酸根である場合が好ましく、より好ましくは硫酸根である場合である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明の疎水性化合物は25℃における水(蒸留水)への溶解度が0.5モル%以下、好ましくは0.1モル%以下、より好ましくは0.05モル%以下である化合物(好ましくは有機化合物)と定義する。該有機化合物はスルホ基等が置換していないものが好ましい。
本発明のスルホン化工程において用いることのできるスルホン化剤の例としては硫酸、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄およびそのジオキサン錯体もしくはピリジン錯体などが挙げられるが、疎水性化合物がスルホン化されるものであればどのようなものでも制限はない。スルホン化剤は2種以上併用してもよい。さらに有機溶剤を併用してもよく、併用してもよい有機溶剤の例としては酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、ジオキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロフルオロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、アセトニトリル、液体二酸化硫黄、または二硫化炭素であり、好ましくはニトロベンゼン、またはスルホランである。
【0010】
本発明の塩基添加工程において用いることができる塩基としては反応液の酸成分を中和可能なものであればどのようなものでも制限はないが、この工程に続く抽出工程において、スルホン化された化合物が有機溶媒相に抽出されやすい塩基であることが好ましく、具体的には、アンモニアまたは有機アミンが好ましい。アンモニア及び有機アミンの例には、アンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。好ましくは、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンであり、さらに好ましくはアンモニア水、トリエチルアミンであり、最も好ましくはアンモニア水である。塩基は2種以上併用してもよい。塩基の添加量は特に制限はないが、好ましくはスルホン化剤に対して1当量〜1.5当量程度である。塩基添加により、pHは必ずしも中性にならなくてもよい。
【0011】
本発明における抽出工程に用いることにできる有機溶媒としては、スルホン化化合物が抽出されるものであればどのようなものでも制限はないが少なくとも1種類は親水性有機溶媒であることが好ましい。例としてアルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、その他極性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、スルホラン)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム)などが挙げられる。好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、塩化メチレン、クロロホルムであり、さらに好ましくはイソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、またはtert−ブタノールであり、最も好ましくは、イソプロパノール、またはブタノールである。また上記の抽出に用いる有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。抽出に用いる有機溶媒の量は抽出できる量であればよいが、好ましくはスルホン化後の反応液の1/10〜10/1質量倍、好ましくは1/2〜5/1質量倍の量を用いる。
【0012】
抽出工程により得られた抽出液は、抽出液中に含有する無機塩(特に硫酸塩)を削減または除去する事が望ましい。無機塩を削減または除去する方法の例としては、抽出液を塩溶液(例えば飽和食塩水)により洗浄する方法や有機溶剤を添加して析出した塩を濾別する方法等が挙げられる。これらの方法は温度やpHを調整したり、または操作を繰り返す事によりさらに効率的に無機塩を削減または除去する事が出来る。
【0013】
反応抽出液を塩溶液で洗浄した場合、抽出液中に塩溶液に用いた無機塩が混入する可能性があるが、スルホン化に由来する硫酸根については効果的に減少させる事が出来る。染料中の無機塩を除く為に電気透析装置や逆浸透膜法などを用いる場合、分子量の大きな硫酸根等は装置の負荷が大きい為、硫酸根を例えば分子量の小さな塩酸根に置換する事で装置の負荷を大幅に軽減させる事が出来る。よって無機塩を削減または除去する工程において削減または除去する事が望ましい無機イオンは硫酸根、酢酸根、塩酸根であり、より望ましくは硫酸根である。さらに塩溶液による洗浄を繰り返す事により有機相に含まれる硫酸根量を特開昭60−147483号(2頁参照)等に記載されている逆浸透膜法を用いた精製方法とほぼ同等である0.03質量%以下、もしくはそれ以下にまで減少させる事が可能である。残留硫酸根量は3質量%以下である事が好ましく、より好ましくは0.3質量%であり、さらに好ましくは0.03質量%以下であり、最も好ましくは0.003質量%以下である。
【0014】
また上記記載の無機塩削減方法を種々組み合わせる事により電気透析装置や逆浸透膜法等を用いなくともほぼ過剰の無機塩を含まない染料を得る事も可能である。
【0015】
無機塩を削減または除去する工程に用いる塩溶液の例としては、10質量%以上(飽和溶液を含む)の塩化リチウム、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウムまた塩化アンモン水溶液であり、好ましくは飽和食塩水または飽和塩化カリウム水溶液であり、最も好ましくは飽和食塩水である。これらは、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。洗浄に用いる塩水の量は洗浄するのに充分な量であればよいが、好ましくはスルホン化後の抽出液の2/1〜1/5質量倍であり、より好ましくは1/1〜1/2質量倍の量を用いる。
【0016】
無機塩を削減または除去する工程の内、塩溶液を用いて洗浄する場合、分離能を向上する為に有機溶剤を追添しても良い。追添する有機溶剤は分離能が向上するものであればどのようなものでも制限はないが例としてアルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、その他極性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、スルホラン)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム)などが挙げられる。また上記の抽出に用いる有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、塩化メチレン、クロロホルムであり、さらに好ましくはイソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールであり、最も好ましくは、イソプロパノール、ブタノールである。また上記抽出に用いる有機溶媒は単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0017】
無機塩を析出させる為に用いる有機溶剤の例としてアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、アセトニトリルが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールであり、さらに好ましくはエタノール、イソプロピルアルコールである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。無機塩を析出させる為に用いる有機溶剤の量は、無機塩が充分に析出する量であればどのような量でもよいが、好ましくはスルホン化後の抽出液に対して1/10〜10/1質量倍であり、さらに好ましくは1/5〜5/1質量倍である。
【0018】
本発明の製造方法は、疎水性化合物をスルホン化するときに用いることができるが、好ましくは染料化合物、特にアゾ染料化合物の製造に好ましく適用できる。
本発明の上記一般式(1)で表されるアゾ染料化合物について説明する。
一般式(1)中、AおよびBは各々独立して置換基であり、それらAおよびBの少なくとも一方が5員環または6員環から構成された複素環基を表し、この複素環は置換されていてもよく、単環構造であっても、2以上の環が縮環した多環構造であってもよい。AおよびBは好ましくは芳香族基または複素環基から選ばれ、その少なくとも一方が5員環または6員環から構成された複素環基であり、より好ましくはAおよびB共に上記の複素環基である。該アゾ染料化合物中にはスルホ基を含まないことが好ましい。
前記複素環基の複素環は窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む複素環が望ましい。好ましい複素環の例には、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環を挙げることができる。さらに好ましいのはピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環であり、最も好ましいのはピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、チオフェン環である。各複素環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
【0019】
AおよびBの複素環基でないものの環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、ペリレン環等の芳香族環が挙げられる。好ましくはベンゼン環、ナフタレン環である。各環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよく、上記の環または置換基から水素原子を取り除いて結合手に変えた基がAおよびBの置換基として用いられる。
【0020】
上記の置換基の例としてはハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ環基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、(アルキル基、アリール基または複素環基)で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、アリールアゾ基、または複素環アゾ基を表し、各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
【0021】
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0022】
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、ベンジル、2−フェネチル、ビニル、およびアリルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において、芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい
芳香族基の例には、フェニル、p−トシル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0024】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0025】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0026】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0027】
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0028】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0029】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0030】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0031】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0032】
アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0033】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0034】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0035】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノが含まれる。
【0036】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0037】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0038】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0039】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0040】
アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげることができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0041】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0042】
アリールおよび複素環アゾ基には、置換基を有するアリールおよび複素環アゾ基と無置換のアリールおよび複素環アゾ基が含まれる。アリールおよび複素環アゾ基としては炭素数2〜12のものが望ましい。アリールおよび複素環アゾ基の例には、フェニルアゾ基、5−メチル−2−ピリジルアゾ基を挙げることができる。
【0043】
以下にスルホン化するアゾ染料化合物の具体例を示すが、本発明を適用可能な疎水性化合物、染料化合物は、下記の例に限定されるものではない。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
以下にスルホン化後、中和に用いる塩基および抽出に用いた有機溶媒の具体例を示すが、本発明に適用可能な組み合わせは下記の例に限定されるものではない。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
〔実施例1〕:染料(3a)のスルホン化
【0057】
【化3】
【0058】
30%発煙硫酸240mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例3a)80.1gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて3時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30℃以下で水52mLに滴下した。次にこの反応液を、水180mL、アンモニア水400mL、イソプロピルアルコール200mLの混合溶媒中に内温45℃以下で滴下した。1晩静置後、2層に分離した内の水相を除去し、そこにさらにイソプロピルアルコール100mL、n−ブタノール100mL、飽和食塩水400mLを添加後、50〜60℃に加温した。1時間静置後、2層に分離した内の水相を除去して得られた有機層に28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いてpHを8.5〜9.5に調整し65℃に加温した。この溶液に酢酸カリウム58.8gをメタノール300mLに溶解させた溶液を滴下し、65℃で30分加温した後に水冷後、濾過し無機塩含有水溶性アゾ染料を得た。こうして得られた無機塩含有水溶性アゾ染料の無機塩を透析装置にて除き、水溶性アゾ染料(3b)を126g得た。得られた(3b)はスルホ基を3、4、5個有する化合物の混合物である。
【0059】
〔実施例2〕:染料(5a)のスルホン化
【0060】
【化4】
【0061】
30%発煙硫酸12mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例5a)3.7gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて3時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30℃以下で水30mLに滴下した。つぎにこの反応液に内温30℃以下でトリエチルアミンを78.4mL、塩化メチレン125mLを加えた。静置後、水相を除去し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣にメタノール300mLを加え溶解させた。この溶液に酢酸カリウム18.8gをメタノール−エタノール混合溶媒(1:1)25mLに溶解させた溶液を滴下し、65℃で30分加温した後に水冷後、濾過し無機塩含有水溶性アゾ染料を得た。こうして得られた無機塩含有水溶性アゾ染料の無機塩をセファデックスカラムLH−20にて除き、上記水溶性アゾ染料(5b)を3.24g得た。得られた(5b)はスルホ基を3、4、5個有する化合物の混合物である。
【0062】
〔実施例3〕:塩水洗浄による含有硫酸根量削減
30%発煙硫酸12mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例3a)4gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて2時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30度以下で水16.6mL滴下した。さらにこの反応液にアンモニア水20mLを加えた塩基添加液を用いて抽出・塩水洗浄を行った結果を表11、12に示す。抽出・塩水洗浄操作は以下の手順により行なった。まず、任意の種類、量の有機溶剤(表中において抽出溶媒)を用いて抽出し、その後、任意の種類、量の有機溶剤(表中において追添溶媒)を場合により加え、任意の種類、量の塩水(表中において塩水)を用いて有機相の洗浄を数回繰り返した。なお有機相と(塩)水相の分離を良くする為、約50℃に加温した。表11、12において無機陰イオン含量はイオンクロマト装置を用いて測定した。表中、「検出限界以下」は0.0005質量%以下である。
【0063】
【表11】
【0064】
【表12】
【0065】
表11、12に示すように塩水洗浄により、分子量の大きな硫酸根を分子量の小さな塩酸根に置換する事が出来るため電気透析装置や逆浸透膜法等の負荷を大幅に軽減する事が出来る。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、スルホン化の製造工程において高い生産性を与える。また、抽出溶媒を最適に選択することで、晶析工程における溶媒を兼ねることが出来、かつ条件を選択すればほぼ無機塩を含有しない染料化合物が得られるため、さらに生産性の効率を向上させることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、疎水性化合物特に疎水性染料化合物のスルホン化における製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、疎水性化合物を硫酸や発煙硫酸でスルホン化反応における取り出し処理は苛性ソーダなどの無機塩基で中和した後に大量の飽和食塩水などで塩析する方法か、もしくは非極性有機溶媒を用いて再沈殿する方法が主流であった。しかしこれらの方法ではスルホン化された染料の水に対する溶解度が高い場合、大量の飽和食塩水もしくは大量の非極性有機溶媒を要するといった水溶性による歩留りの低さが製造効率を下げているといった問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術における問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的はスルホン化の後処理の塩析や再沈殿などによる生産性の低さを打破し、生産性の高い製造方法を提案することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水に対して溶解性の高い目的化合物を高い生産性で取り出す製造方法を目指して、各種取り出し方法を詳細に検討したところ、スルホン化後の反応液を中和し、目的とする化合物成分を有機溶媒で抽出することにより上記問題点を解決可能であることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明によれば下記に示す製造方法で目的とするスルホン化化合物を簡便かつ高生産性で提供することができ、本発明の上記目的が達成される。
1.疎水性化合物をスルホン化する製造方法において、スルホン化剤でスルホン化するスルホン化工程、反応液に塩基を添加する塩基添加工程、および少なくとも1種の有機溶媒を用いて水相からスルホン化した化合物を抽出する抽出工程を含んでなることを特徴とする疎水性化合物をスルホン化する製造方法。
2.上記記載の塩基添加工程において塩基がアンモニアまたは有機アミンであることを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.上記記載の疎水性化合物が染料化合物であることを特徴とする上記1または2に記載の製造方法。
4.上記記載の疎水性化合物がアゾ染料化合物であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.上記記載の疎水性化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の製造方法。
一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
式中、AおよびBは各々置換基を表し、それらの少なくとも一方が置換されていてもよい5員環または6員環から構成された複素環基を表し、単環構造であっても、2以上の環が縮環した多環構造であってもよい。
6.上記1〜5のいずれかに記載の製造方法において、さらに、含有される無機塩を削減または除去する無機塩除去工程を含む事を特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の製造方法。上記抽出工程後に無機塩除去工程を含むことが好ましい。該無機塩の無機イオンが硫酸根、酢酸根、塩酸根である場合が好ましく、より好ましくは硫酸根である場合である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明の疎水性化合物は25℃における水(蒸留水)への溶解度が0.5モル%以下、好ましくは0.1モル%以下、より好ましくは0.05モル%以下である化合物(好ましくは有機化合物)と定義する。該有機化合物はスルホ基等が置換していないものが好ましい。
本発明のスルホン化工程において用いることのできるスルホン化剤の例としては硫酸、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄およびそのジオキサン錯体もしくはピリジン錯体などが挙げられるが、疎水性化合物がスルホン化されるものであればどのようなものでも制限はない。スルホン化剤は2種以上併用してもよい。さらに有機溶剤を併用してもよく、併用してもよい有機溶剤の例としては酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、ジオキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロフルオロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、アセトニトリル、液体二酸化硫黄、または二硫化炭素であり、好ましくはニトロベンゼン、またはスルホランである。
【0010】
本発明の塩基添加工程において用いることができる塩基としては反応液の酸成分を中和可能なものであればどのようなものでも制限はないが、この工程に続く抽出工程において、スルホン化された化合物が有機溶媒相に抽出されやすい塩基であることが好ましく、具体的には、アンモニアまたは有機アミンが好ましい。アンモニア及び有機アミンの例には、アンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。好ましくは、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンであり、さらに好ましくはアンモニア水、トリエチルアミンであり、最も好ましくはアンモニア水である。塩基は2種以上併用してもよい。塩基の添加量は特に制限はないが、好ましくはスルホン化剤に対して1当量〜1.5当量程度である。塩基添加により、pHは必ずしも中性にならなくてもよい。
【0011】
本発明における抽出工程に用いることにできる有機溶媒としては、スルホン化化合物が抽出されるものであればどのようなものでも制限はないが少なくとも1種類は親水性有機溶媒であることが好ましい。例としてアルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、その他極性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、スルホラン)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム)などが挙げられる。好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、塩化メチレン、クロロホルムであり、さらに好ましくはイソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、またはtert−ブタノールであり、最も好ましくは、イソプロパノール、またはブタノールである。また上記の抽出に用いる有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。抽出に用いる有機溶媒の量は抽出できる量であればよいが、好ましくはスルホン化後の反応液の1/10〜10/1質量倍、好ましくは1/2〜5/1質量倍の量を用いる。
【0012】
抽出工程により得られた抽出液は、抽出液中に含有する無機塩(特に硫酸塩)を削減または除去する事が望ましい。無機塩を削減または除去する方法の例としては、抽出液を塩溶液(例えば飽和食塩水)により洗浄する方法や有機溶剤を添加して析出した塩を濾別する方法等が挙げられる。これらの方法は温度やpHを調整したり、または操作を繰り返す事によりさらに効率的に無機塩を削減または除去する事が出来る。
【0013】
反応抽出液を塩溶液で洗浄した場合、抽出液中に塩溶液に用いた無機塩が混入する可能性があるが、スルホン化に由来する硫酸根については効果的に減少させる事が出来る。染料中の無機塩を除く為に電気透析装置や逆浸透膜法などを用いる場合、分子量の大きな硫酸根等は装置の負荷が大きい為、硫酸根を例えば分子量の小さな塩酸根に置換する事で装置の負荷を大幅に軽減させる事が出来る。よって無機塩を削減または除去する工程において削減または除去する事が望ましい無機イオンは硫酸根、酢酸根、塩酸根であり、より望ましくは硫酸根である。さらに塩溶液による洗浄を繰り返す事により有機相に含まれる硫酸根量を特開昭60−147483号(2頁参照)等に記載されている逆浸透膜法を用いた精製方法とほぼ同等である0.03質量%以下、もしくはそれ以下にまで減少させる事が可能である。残留硫酸根量は3質量%以下である事が好ましく、より好ましくは0.3質量%であり、さらに好ましくは0.03質量%以下であり、最も好ましくは0.003質量%以下である。
【0014】
また上記記載の無機塩削減方法を種々組み合わせる事により電気透析装置や逆浸透膜法等を用いなくともほぼ過剰の無機塩を含まない染料を得る事も可能である。
【0015】
無機塩を削減または除去する工程に用いる塩溶液の例としては、10質量%以上(飽和溶液を含む)の塩化リチウム、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウムまた塩化アンモン水溶液であり、好ましくは飽和食塩水または飽和塩化カリウム水溶液であり、最も好ましくは飽和食塩水である。これらは、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。洗浄に用いる塩水の量は洗浄するのに充分な量であればよいが、好ましくはスルホン化後の抽出液の2/1〜1/5質量倍であり、より好ましくは1/1〜1/2質量倍の量を用いる。
【0016】
無機塩を削減または除去する工程の内、塩溶液を用いて洗浄する場合、分離能を向上する為に有機溶剤を追添しても良い。追添する有機溶剤は分離能が向上するものであればどのようなものでも制限はないが例としてアルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、その他極性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、スルホラン)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム)などが挙げられる。また上記の抽出に用いる有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、塩化メチレン、クロロホルムであり、さらに好ましくはイソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールであり、最も好ましくは、イソプロパノール、ブタノールである。また上記抽出に用いる有機溶媒は単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0017】
無機塩を析出させる為に用いる有機溶剤の例としてアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、アセトニトリルが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールであり、さらに好ましくはエタノール、イソプロピルアルコールである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。無機塩を析出させる為に用いる有機溶剤の量は、無機塩が充分に析出する量であればどのような量でもよいが、好ましくはスルホン化後の抽出液に対して1/10〜10/1質量倍であり、さらに好ましくは1/5〜5/1質量倍である。
【0018】
本発明の製造方法は、疎水性化合物をスルホン化するときに用いることができるが、好ましくは染料化合物、特にアゾ染料化合物の製造に好ましく適用できる。
本発明の上記一般式(1)で表されるアゾ染料化合物について説明する。
一般式(1)中、AおよびBは各々独立して置換基であり、それらAおよびBの少なくとも一方が5員環または6員環から構成された複素環基を表し、この複素環は置換されていてもよく、単環構造であっても、2以上の環が縮環した多環構造であってもよい。AおよびBは好ましくは芳香族基または複素環基から選ばれ、その少なくとも一方が5員環または6員環から構成された複素環基であり、より好ましくはAおよびB共に上記の複素環基である。該アゾ染料化合物中にはスルホ基を含まないことが好ましい。
前記複素環基の複素環は窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む複素環が望ましい。好ましい複素環の例には、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環を挙げることができる。さらに好ましいのはピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環であり、最も好ましいのはピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、チオフェン環である。各複素環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
【0019】
AおよびBの複素環基でないものの環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、ペリレン環等の芳香族環が挙げられる。好ましくはベンゼン環、ナフタレン環である。各環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよく、上記の環または置換基から水素原子を取り除いて結合手に変えた基がAおよびBの置換基として用いられる。
【0020】
上記の置換基の例としてはハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ環基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、(アルキル基、アリール基または複素環基)で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、アリールアゾ基、または複素環アゾ基を表し、各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
【0021】
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0022】
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、ベンジル、2−フェネチル、ビニル、およびアリルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において、芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい
芳香族基の例には、フェニル、p−トシル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0024】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0025】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0026】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0027】
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0028】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0029】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0030】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0031】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0032】
アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0033】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0034】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0035】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノが含まれる。
【0036】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0037】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0038】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0039】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0040】
アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげることができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0041】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0042】
アリールおよび複素環アゾ基には、置換基を有するアリールおよび複素環アゾ基と無置換のアリールおよび複素環アゾ基が含まれる。アリールおよび複素環アゾ基としては炭素数2〜12のものが望ましい。アリールおよび複素環アゾ基の例には、フェニルアゾ基、5−メチル−2−ピリジルアゾ基を挙げることができる。
【0043】
以下にスルホン化するアゾ染料化合物の具体例を示すが、本発明を適用可能な疎水性化合物、染料化合物は、下記の例に限定されるものではない。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
以下にスルホン化後、中和に用いる塩基および抽出に用いた有機溶媒の具体例を示すが、本発明に適用可能な組み合わせは下記の例に限定されるものではない。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
〔実施例1〕:染料(3a)のスルホン化
【0057】
【化3】
【0058】
30%発煙硫酸240mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例3a)80.1gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて3時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30℃以下で水52mLに滴下した。次にこの反応液を、水180mL、アンモニア水400mL、イソプロピルアルコール200mLの混合溶媒中に内温45℃以下で滴下した。1晩静置後、2層に分離した内の水相を除去し、そこにさらにイソプロピルアルコール100mL、n−ブタノール100mL、飽和食塩水400mLを添加後、50〜60℃に加温した。1時間静置後、2層に分離した内の水相を除去して得られた有機層に28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いてpHを8.5〜9.5に調整し65℃に加温した。この溶液に酢酸カリウム58.8gをメタノール300mLに溶解させた溶液を滴下し、65℃で30分加温した後に水冷後、濾過し無機塩含有水溶性アゾ染料を得た。こうして得られた無機塩含有水溶性アゾ染料の無機塩を透析装置にて除き、水溶性アゾ染料(3b)を126g得た。得られた(3b)はスルホ基を3、4、5個有する化合物の混合物である。
【0059】
〔実施例2〕:染料(5a)のスルホン化
【0060】
【化4】
【0061】
30%発煙硫酸12mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例5a)3.7gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて3時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30℃以下で水30mLに滴下した。つぎにこの反応液に内温30℃以下でトリエチルアミンを78.4mL、塩化メチレン125mLを加えた。静置後、水相を除去し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣にメタノール300mLを加え溶解させた。この溶液に酢酸カリウム18.8gをメタノール−エタノール混合溶媒(1:1)25mLに溶解させた溶液を滴下し、65℃で30分加温した後に水冷後、濾過し無機塩含有水溶性アゾ染料を得た。こうして得られた無機塩含有水溶性アゾ染料の無機塩をセファデックスカラムLH−20にて除き、上記水溶性アゾ染料(5b)を3.24g得た。得られた(5b)はスルホ基を3、4、5個有する化合物の混合物である。
【0062】
〔実施例3〕:塩水洗浄による含有硫酸根量削減
30%発煙硫酸12mLを15℃以下に冷却し、アゾ染料(具体例3a)4gを内温30℃以下で分割添加した後、30℃にて2時間反応させた。この反応液を5℃に冷却し、内温30度以下で水16.6mL滴下した。さらにこの反応液にアンモニア水20mLを加えた塩基添加液を用いて抽出・塩水洗浄を行った結果を表11、12に示す。抽出・塩水洗浄操作は以下の手順により行なった。まず、任意の種類、量の有機溶剤(表中において抽出溶媒)を用いて抽出し、その後、任意の種類、量の有機溶剤(表中において追添溶媒)を場合により加え、任意の種類、量の塩水(表中において塩水)を用いて有機相の洗浄を数回繰り返した。なお有機相と(塩)水相の分離を良くする為、約50℃に加温した。表11、12において無機陰イオン含量はイオンクロマト装置を用いて測定した。表中、「検出限界以下」は0.0005質量%以下である。
【0063】
【表11】
【0064】
【表12】
【0065】
表11、12に示すように塩水洗浄により、分子量の大きな硫酸根を分子量の小さな塩酸根に置換する事が出来るため電気透析装置や逆浸透膜法等の負荷を大幅に軽減する事が出来る。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、スルホン化の製造工程において高い生産性を与える。また、抽出溶媒を最適に選択することで、晶析工程における溶媒を兼ねることが出来、かつ条件を選択すればほぼ無機塩を含有しない染料化合物が得られるため、さらに生産性の効率を向上させることが出来る。
Claims (6)
- 疎水性化合物をスルホン化する製造方法において、スルホン化剤でスルホン化するスルホン化工程、反応液に塩基を添加する塩基添加工程、および少なくとも1種の有機溶媒を用いて水相からスルホン化した化合物を抽出する抽出工程を含んでなることを特徴とする疎水性化合物をスルホン化する製造方法。
- 上記記載の塩基添加工程において塩基がアンモニアまたは有機アミンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 上記記載の疎水性化合物が染料化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 上記記載の疎水性化合物がアゾ染料化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 上記記載の製造方法において、さらに、含有される無機塩を削減または除去する無機塩除去工程を含む事を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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2003
- 2003-04-23 JP JP2003118708A patent/JP2004285030A/ja active Pending
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