JP2004283867A - 鋳造品の仕上げ装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳造品の仕上げ加工を単一の仕上げ装置によって一貫して行う。
【解決手段】バリ取り手段30は、ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で水平方向に位置決めされると、プレス刃36に対して垂直方向の移動量を与えてバリを剪断除去する。また、堰凝固部切断手段40は、ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で回転ユニット25によって旋回され、垂直方向に位置決めされると、堰凝固部の切断を実施する。このとき、加工具43は制御装置44に位置制御されているので、堰凝固部13を正確に切断除去することができる。さらに、バリ取り手段30がプレス刃36に加えて、エアハンマを備えることにより、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を単一の装置によって一貫して行うことが可能となる。
【選択図】 図4
【解決手段】バリ取り手段30は、ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で水平方向に位置決めされると、プレス刃36に対して垂直方向の移動量を与えてバリを剪断除去する。また、堰凝固部切断手段40は、ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で回転ユニット25によって旋回され、垂直方向に位置決めされると、堰凝固部の切断を実施する。このとき、加工具43は制御装置44に位置制御されているので、堰凝固部13を正確に切断除去することができる。さらに、バリ取り手段30がプレス刃36に加えて、エアハンマを備えることにより、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を単一の装置によって一貫して行うことが可能となる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造品の仕上げ装置及び方法、特に、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断と、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としを行う鋳造品の仕上げ装置及び方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
砂型や金型等を使用して鋳造される鋳造品の表面には、バリや堰凝固部という不要な部分が存在し、また、鋳型から取り出した状態では、その表面や内面に鋳型砂が残留付着している。そこで、従来から、砂落とし装置、バリ取り装置、堰凝固部切断装置等の仕上げ装置を工場内に設置し、各装置で鋳造品の仕上げ加工を行うことによって鋳造品の製品化を行っていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、従来の鋳造品の仕上げ装置に関する技術が示されている。すなわち、鋳造品の荒バリ取り機、砂落とし機、堰切断機、NCバリ取り機が適宜の間隔をおいて順次配置され、これら設備の中間位置に鋳造品の搬送移替装置を設けたことを特徴とする鋳造品の仕上げ装置に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−107849号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術で例示されている鋳造品の仕上げ装置には、以下のような問題がある。従来の技術で示されている一般的な鋳造品の仕上げ装置が採用している設備構成では、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断等の各工程で専用の加工設備を設置しなければならない。また、鋳造品を各設備に移動するために、上記特許文献1で示されているような搬送移替装置やローダー等の搬送装置を設けなければならない。そのため、各装置の設置自由度がなく、しかも大きな設置スペースが必要であるとともに装置も大型化し、製造コストの上昇や投資金額の増加を招いていた。また、鋳造品の搬送や移し替えに時間がかかり、鋳造品の仕上げ加工のタイムサイクル短縮による製造コストの削減も困難な状況であった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことができる鋳造品の仕上げ装置及び方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置は、鋳造品をワーククランプによって固定保持して位置決めを行うワーク受け台と、駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を備え、鋳造品にプレス刃を押圧することによって鋳造品に存在するバリを剪断除去するバリ取り手段と、制御装置によって位置制御される加工具を備え、この加工具によって鋳造品の堰凝固部を切断する堰凝固部切断手段とを有しており、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴としている。この本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるワーク受け台は、回転ユニットを備え、回転ユニットを軸中心として略90度の範囲で旋回し、鋳造品を固定保持した状態で水平方向及び垂直方向にワーク受け台を位置決めし、ワーク受け台が水平方向に位置決めされるときには、バリ取り手段によって鋳造品のバリを剪断除去し、ワーク受け台が垂直方向に位置決めされるときには、堰凝固部切断手段によって鋳造品の堰凝固部を切断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるワーク受け台は、水平方向に位置決めされるときに、バリ取り手段からの垂直方向の圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止するプレス反力受けと、垂直方向に位置決めされるときに、堰凝固部切断手段からの圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止する基準ブロックとを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるバリ取り手段は、鋳造品の砂落としを行うエアハンマを備え、駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることにより、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る鋳造品の仕上げ方法は、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、連続した仕上げ工程によって一貫して行う鋳造品の仕上げ方法であって、ワーク受け台が備えるワーククランプによって鋳造品を固定保持し、ワーク受け台を水平方向に位置決めする第1工程と、駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を水平方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品に押圧し、鋳造品のバリを剪断除去する第2工程と、ワーク受け台の備える回転ユニットがワーク受け台を略90度旋回し、ワーク受け台を垂直方向に位置決めする第3工程と、制御装置によって位置制御される加工具を移動し、垂直方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品の堰凝固部を切断する第4工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る鋳造品の仕上げ方法における第2工程は、さらに、駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることによって鋳造品の砂落としを行う工程を含み、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態について図を用いて説明する。なお、本実施の形態では、仕上げ加工の対象となる鋳造品がアルミニウム合金で鋳造されたシリンダヘッドである場合を例示している。
【0013】
まず、図1〜3を用いて、加工対象となるシリンダヘッド10について説明する。図1は、砂落とし工程においてシリンダヘッドに対して行われるエアハンマの打撃位置11を示す図である。砂型から取り出した鋳造品には、表面及び内面に鋳型砂が残留し付着している。したがって、図1で示すエアハンマ打撃位置11にエアハンマからの打撃を与えることによって、シリンダヘッド10表面及び内面に残留付着している鋳型砂が除去されることになる。
【0014】
図2は、鋳造型から取り出した状態におけるシリンダヘッド10のバリ12の発生状況を示す図である。鋳造が終了して鋳型から取り出した状態のシリンダヘッド10には、その鋳造工程で形成されるバリ12が存在している。このバリ12は、プレス刃によって剪断除去されることになる。
【0015】
図3は、鋳造型から取り出した状態におけるシリンダヘッド10の堰凝固部13の発生状況を示す図である。堰凝固部13は、シリンダヘッド10の形状を形作る主型にアルミニウム合金の溶湯を導くための流路として鋳型に設けられるものであり、鋳造方案を作成する際には、最も効率よく鋳造が実施できるよう配置されるものである。この堰凝固部13は、鋳造品には不可避的に存在するものであり、加工具によって切断除去されることになる。
【0016】
以上のように鋳造品を仕上げ加工するためには、従来、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という工程ごとに専用の装置を配置して加工を行っていた。しかし、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置によれば、単一の仕上げ装置によって一貫して仕上げ加工を実施することができる。以下、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置について詳細に説明する。
【0017】
実施の形態1
本実施の形態では、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施する鋳造品の仕上げ装置を例示している。図4は、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置は、大きく分類して、ワーク受け台20、バリ取り手段30、堰凝固部切断手段40から構成されている。
【0018】
ワーク受け台20は、加工対象となるシリンダヘッド10をワーククランプ21によって固定保持している。このワーククランプ21の作用位置15は、シリンダヘッド10の形状を考慮した上で、最も安定する位置15に実施されている(図3参照)。さらに、ワーク受け台20は、プレス受け治具22を備えており、被加工物であるシリンダヘッド10を配置し、位置決めを行うために設けられている。このプレス受け治具22は、被加工物を固定するための受け台の役割を担っている。
【0019】
次に、回転ユニット25は、ワーク受け台20を略90度の範囲で旋回させ、ワーク受け台20を水平方向及び垂直方向に位置決めするために設けられるものである。この回転ユニット25は、ワーク受け台20を正確に位置決めするために、その取付構造は自由度を持たせたものとなっている。したがって、回転ユニット25は、外部からの大きな圧力に対して耐え得る構造とはなっていない。ここで重要な役割を果たすのが、プレス反力受け23と基準ブロック24である。すなわち、プレス反力受け23と基準ブロック24は、バリ取り手段30及び堰凝固部切断手段40からワーク受け台20に加えられる圧力を全て引き受け、回転ユニット25等他の装置に圧力を及ぼすことがないので、単一の装置によって2つの工程を実施することが可能となるのである。なお、回転ユニット25は、ワーク受け台20をプレス反力受け23あるいは基準ブロック24に位置決めした後、その自由度を持たせた取付構造によってバリ取り手段30及び堰凝固部切断手段40からの圧力が及ばない位置までフローティング機構等によって退避できるようになっている。
【0020】
続いてバリ取り手段30について説明する。バリ取り手段30は、門型の柱31によって支えられており、プレスアクチュエータ32、プレス治具33、押し出しアクチュエータ34、押し出しピン35、プレス刃36から構成されている。プレスアクチュエータ32は、バリ取り手段30が備える押し出しピン35及びプレス刃36に対して垂直方向の昇降動作を付与しており、このプレスアクチュエータ32が加える垂直方向の圧力によって加工が行われる。なお、押し出しピン35はシリンダヘッド10を押さえて固定する役割を果たすものであり、押し出しピン35に備わる押し出しアクチュエータ34によって圧力を調整している。押し出しピン35が作用する位置14はシリンダヘッド10の形状を考慮した上で、シリンダヘッド10が最も安定する位置14となっている(図1、2参照)。
【0021】
プレス治具33は、プレスアクチュエータ32の垂直方向の変位をプレス刃36に伝達するものであり、この垂直方向の移動量を得たプレス刃36は、シリンダヘッド10に押圧され、シリンダヘッド10に存在するバリ12を剪断除去することになる。
【0022】
次に、堰凝固部切断手段40は、加工軸モータ41が備えるスピンドル42の先端に取り付けられた加工具43とこれらを位置制御するための制御装置44から構成されている。ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で回転ユニット25によって垂直方向に旋回され、基準ブロック24によって垂直方向に位置決めされると、堰凝固部切断手段40による堰凝固部13の切断が行われる。すなわち、加工軸モータ41によって回転力を得た加工具43は、制御装置44に位置制御され、シリンダヘッド10に存在する堰凝固部13を正確に切断除去することができる。堰凝固部切断手段40は、加工具43による堰凝固部13の切断時に発生する切粉の飛散を防止するために、その周囲をカバー45で覆うことが好ましい。
【0023】
なお、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置は、バリ取り手段30によって剪断除去されたバリ12と堰凝固部切断手段40によって切断された堰凝固部13及び仕上げ加工時に発生する切粉を回収するために回収装置46を備えており、メンテナンス性に優れた構造となっている。
【0024】
本実施の形態で最も特徴的なことは、上述した通り、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置が、プレス反力受け23、基準ブロック24、回転ユニット25を備えていることにある。これらを備えることによって、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施することが可能となっている。
【0025】
プレス反力受け23は、バリ取り手段30から受ける垂直方向の圧力を受け、他の装置に対してこの圧力の影響を及ぼさないようにする役割を果たしている。このプレス反力受け23には、高速度工具鋼等の高強度かつ耐摩耗性に優れた材料が採用されている。
【0026】
基準ブロック24についてもプレス反力受け23と同様に圧力を受けて他の装置に圧力の影響を及ぼさないようにするためのものである。この基準ブロック24は、堰凝固部切断手段40から堰凝固部13の切断時に加わる圧力を受けるためのものである。基準ブロック24の材質についても、プレス反力受け23と同様に、高速度工具鋼等の高強度かつ耐摩耗性に優れた材料を採用することが好ましい。
【0027】
次に、図5〜11を用いて、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する。
【0028】
(1)鋳造型から取り出したシリンダヘッド10は、ロボットアーム50によってワーク受け台20に搬送される。搬送されたシリンダヘッド10は、ワーククランプ21によってワーククランプ作用位置15で固定保持され、プレス受け治具22によって最適な位置に位置決めされる(図5)。
【0029】
(2)位置決めされたシリンダヘッド10に対してバリ取り手段30のプレス刃36が押圧され、シリンダヘッド10に存在するバリ12が剪断除去される。このとき、バリ取り手段30が備える押し出しピン35もシリンダヘッド10を押圧してシリンダヘッド10の位置変動を防止するので、安定してバリ取り加工を行うことが可能となる(図6)。
【0030】
(3)バリ取り加工を終えたプレス刃36及び押し出しピン35は、初期位置に退避する(図7)。
【0031】
(4)バリ取り加工が終了し、バリ取り手段30が初期位置に退避したことを確認すると、回転ユニット25が駆動してプレス受け治具22を略90度旋回し、ワーク受け台20を垂直方向に位置決めする(図8)。
【0032】
(5)ワーク受け台20が垂直方向に位置決めされたことを確認すると、制御装置44によって位置制御された加工具43が移動して、正確に堰凝固部13を切断する(図9)。
【0033】
(6)堰凝固部13の切断が完了すると、回転ユニット25はプレス受け治具22を先程とは逆方向に旋回し、ワーク受け台20を水平方向に位置決めする(図10)。
【0034】
(7)ワーク受け台20が水平方向に位置決めされたことを確認すると、加工具43は初期位置に退避する。この一連の動作によってシリンダヘッド10の仕上げ加工が完了する。その後、ワーククランプ21の拘束を解かれたシリンダヘッド10は、ロボットアーム50によって搬出され、次工程へと送られる(図11)。
【0035】
以上の一連の動作によって、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施することが可能となるのである。
【0036】
実施の形態2
本実施の形態について、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。本実施の形態では、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を1つの装置で実施する鋳造品の仕上げ装置を例示している。なお、前述した実施の形態1に示した部材と同一又は類似する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
本実施の形態で特徴的なことは、バリ取り手段30がプレス刃36に加えて、エアハンマ51を備えていることである。このエアハンマ51を備えることにより、バリ取り、堰凝固部切断という工程に加えて、シリンダヘッド10の砂落としを行う工程も、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置によって一貫して行うことが可能である。
【0038】
すなわち、図12で例示しているように、プレス刃36の設置位置にエアハンマ51を取り付け、水平方向に位置決めされたシリンダヘッド10に対して垂直方向に打撃を加えることにより、砂落としを行うことが可能となる。この工程についてもプレス刃36の場合と同様に、押し出しピン35がシリンダヘッド10の形状を考慮した最適な位置14に作用しているので、シリンダヘッド10が固定保持され、砂落としが確実に行われることになる。これにより、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を1つの装置で実施することが可能となるのである。エアハンマ51の取り付け方法については、プレス刃36とは別の取り付け装置を設けて連続して砂落としとバリ取りが実施できる方法やプレス刃36と共用の取り付け装置を用いて型替えを行う方法など、周知な技術を用いることが可能である。
【0039】
また、図13に示すように、堰凝固部切断手段40に前記加工具43に加えて、同様に別加工軸モータ47にて駆動するエンドミル等の加工具48を設け、前記プレス刃36でのバリ取りが困難なバリの除去を行わせるようにしても良い。
【0040】
さらに、図14に示すように、バリ取り手段30にインデックステーブル37を設置し、このインデックステーブル37にエンドミル等の加工具38を配してプレス刃36で除去が困難なバリ取りを行うこと等、種々の改良を加えることもできる。
【0041】
なお、エアハンマ打撃位置11、押し出しピン作用位置14、ワーククランプ作用位置15については、シリンダヘッド10の形状を考慮して決定されるものであり、図示した構成に限定されるものでないことは、当業者には明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被加工物であるシリンダヘッドとその砂落とし工程においてシリンダヘッドに対して行われるエアハンマの打撃位置を示す図である。
【図2】被加工物であるシリンダヘッドとそのシリンダヘッドを鋳造型から取り出した状態におけるバリの発生状況を示す図である。
【図3】被加工物であるシリンダヘッドとそのシリンダヘッドを鋳造型から取り出した状態における堰凝固部の発生状況を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図6】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図7】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図8】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図9】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図10】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図11】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図12】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図13】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図14】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【符号の説明】
10 シリンダヘッド、11 エアハンマ打撃位置、12 バリ、13 堰凝固部、14 押し出しピン作用位置、15 ワーククランプ作用位置、20 ワーク受け台、21 ワーククランプ、22 プレス受け治具、23 プレス反力受け、24 基準ブロック、25 回転ユニット、30 バリ取り手段、31 柱、32 プレスアクチュエータ、33 プレス治具、34 押し出しアクチュエータ、35 押し出しピン、36 プレス刃、37 インデックステーブル、38,43,48 加工具、40 堰凝固部切断手段、41 加工軸モータ、42 スピンドル、44 制御装置、45 カバー、46 回収装置、47 別加工軸モータ、50 ロボットアーム、51 エアハンマ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造品の仕上げ装置及び方法、特に、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断と、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としを行う鋳造品の仕上げ装置及び方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
砂型や金型等を使用して鋳造される鋳造品の表面には、バリや堰凝固部という不要な部分が存在し、また、鋳型から取り出した状態では、その表面や内面に鋳型砂が残留付着している。そこで、従来から、砂落とし装置、バリ取り装置、堰凝固部切断装置等の仕上げ装置を工場内に設置し、各装置で鋳造品の仕上げ加工を行うことによって鋳造品の製品化を行っていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、従来の鋳造品の仕上げ装置に関する技術が示されている。すなわち、鋳造品の荒バリ取り機、砂落とし機、堰切断機、NCバリ取り機が適宜の間隔をおいて順次配置され、これら設備の中間位置に鋳造品の搬送移替装置を設けたことを特徴とする鋳造品の仕上げ装置に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−107849号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術で例示されている鋳造品の仕上げ装置には、以下のような問題がある。従来の技術で示されている一般的な鋳造品の仕上げ装置が採用している設備構成では、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断等の各工程で専用の加工設備を設置しなければならない。また、鋳造品を各設備に移動するために、上記特許文献1で示されているような搬送移替装置やローダー等の搬送装置を設けなければならない。そのため、各装置の設置自由度がなく、しかも大きな設置スペースが必要であるとともに装置も大型化し、製造コストの上昇や投資金額の増加を招いていた。また、鋳造品の搬送や移し替えに時間がかかり、鋳造品の仕上げ加工のタイムサイクル短縮による製造コストの削減も困難な状況であった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことができる鋳造品の仕上げ装置及び方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置は、鋳造品をワーククランプによって固定保持して位置決めを行うワーク受け台と、駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を備え、鋳造品にプレス刃を押圧することによって鋳造品に存在するバリを剪断除去するバリ取り手段と、制御装置によって位置制御される加工具を備え、この加工具によって鋳造品の堰凝固部を切断する堰凝固部切断手段とを有しており、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴としている。この本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるワーク受け台は、回転ユニットを備え、回転ユニットを軸中心として略90度の範囲で旋回し、鋳造品を固定保持した状態で水平方向及び垂直方向にワーク受け台を位置決めし、ワーク受け台が水平方向に位置決めされるときには、バリ取り手段によって鋳造品のバリを剪断除去し、ワーク受け台が垂直方向に位置決めされるときには、堰凝固部切断手段によって鋳造品の堰凝固部を切断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるワーク受け台は、水平方向に位置決めされるときに、バリ取り手段からの垂直方向の圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止するプレス反力受けと、垂直方向に位置決めされるときに、堰凝固部切断手段からの圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止する基準ブロックとを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る鋳造品の仕上げ装置が備えるバリ取り手段は、鋳造品の砂落としを行うエアハンマを備え、駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることにより、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る鋳造品の仕上げ方法は、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、連続した仕上げ工程によって一貫して行う鋳造品の仕上げ方法であって、ワーク受け台が備えるワーククランプによって鋳造品を固定保持し、ワーク受け台を水平方向に位置決めする第1工程と、駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を水平方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品に押圧し、鋳造品のバリを剪断除去する第2工程と、ワーク受け台の備える回転ユニットがワーク受け台を略90度旋回し、ワーク受け台を垂直方向に位置決めする第3工程と、制御装置によって位置制御される加工具を移動し、垂直方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品の堰凝固部を切断する第4工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る鋳造品の仕上げ方法における第2工程は、さらに、駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることによって鋳造品の砂落としを行う工程を含み、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態について図を用いて説明する。なお、本実施の形態では、仕上げ加工の対象となる鋳造品がアルミニウム合金で鋳造されたシリンダヘッドである場合を例示している。
【0013】
まず、図1〜3を用いて、加工対象となるシリンダヘッド10について説明する。図1は、砂落とし工程においてシリンダヘッドに対して行われるエアハンマの打撃位置11を示す図である。砂型から取り出した鋳造品には、表面及び内面に鋳型砂が残留し付着している。したがって、図1で示すエアハンマ打撃位置11にエアハンマからの打撃を与えることによって、シリンダヘッド10表面及び内面に残留付着している鋳型砂が除去されることになる。
【0014】
図2は、鋳造型から取り出した状態におけるシリンダヘッド10のバリ12の発生状況を示す図である。鋳造が終了して鋳型から取り出した状態のシリンダヘッド10には、その鋳造工程で形成されるバリ12が存在している。このバリ12は、プレス刃によって剪断除去されることになる。
【0015】
図3は、鋳造型から取り出した状態におけるシリンダヘッド10の堰凝固部13の発生状況を示す図である。堰凝固部13は、シリンダヘッド10の形状を形作る主型にアルミニウム合金の溶湯を導くための流路として鋳型に設けられるものであり、鋳造方案を作成する際には、最も効率よく鋳造が実施できるよう配置されるものである。この堰凝固部13は、鋳造品には不可避的に存在するものであり、加工具によって切断除去されることになる。
【0016】
以上のように鋳造品を仕上げ加工するためには、従来、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という工程ごとに専用の装置を配置して加工を行っていた。しかし、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置によれば、単一の仕上げ装置によって一貫して仕上げ加工を実施することができる。以下、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置について詳細に説明する。
【0017】
実施の形態1
本実施の形態では、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施する鋳造品の仕上げ装置を例示している。図4は、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置は、大きく分類して、ワーク受け台20、バリ取り手段30、堰凝固部切断手段40から構成されている。
【0018】
ワーク受け台20は、加工対象となるシリンダヘッド10をワーククランプ21によって固定保持している。このワーククランプ21の作用位置15は、シリンダヘッド10の形状を考慮した上で、最も安定する位置15に実施されている(図3参照)。さらに、ワーク受け台20は、プレス受け治具22を備えており、被加工物であるシリンダヘッド10を配置し、位置決めを行うために設けられている。このプレス受け治具22は、被加工物を固定するための受け台の役割を担っている。
【0019】
次に、回転ユニット25は、ワーク受け台20を略90度の範囲で旋回させ、ワーク受け台20を水平方向及び垂直方向に位置決めするために設けられるものである。この回転ユニット25は、ワーク受け台20を正確に位置決めするために、その取付構造は自由度を持たせたものとなっている。したがって、回転ユニット25は、外部からの大きな圧力に対して耐え得る構造とはなっていない。ここで重要な役割を果たすのが、プレス反力受け23と基準ブロック24である。すなわち、プレス反力受け23と基準ブロック24は、バリ取り手段30及び堰凝固部切断手段40からワーク受け台20に加えられる圧力を全て引き受け、回転ユニット25等他の装置に圧力を及ぼすことがないので、単一の装置によって2つの工程を実施することが可能となるのである。なお、回転ユニット25は、ワーク受け台20をプレス反力受け23あるいは基準ブロック24に位置決めした後、その自由度を持たせた取付構造によってバリ取り手段30及び堰凝固部切断手段40からの圧力が及ばない位置までフローティング機構等によって退避できるようになっている。
【0020】
続いてバリ取り手段30について説明する。バリ取り手段30は、門型の柱31によって支えられており、プレスアクチュエータ32、プレス治具33、押し出しアクチュエータ34、押し出しピン35、プレス刃36から構成されている。プレスアクチュエータ32は、バリ取り手段30が備える押し出しピン35及びプレス刃36に対して垂直方向の昇降動作を付与しており、このプレスアクチュエータ32が加える垂直方向の圧力によって加工が行われる。なお、押し出しピン35はシリンダヘッド10を押さえて固定する役割を果たすものであり、押し出しピン35に備わる押し出しアクチュエータ34によって圧力を調整している。押し出しピン35が作用する位置14はシリンダヘッド10の形状を考慮した上で、シリンダヘッド10が最も安定する位置14となっている(図1、2参照)。
【0021】
プレス治具33は、プレスアクチュエータ32の垂直方向の変位をプレス刃36に伝達するものであり、この垂直方向の移動量を得たプレス刃36は、シリンダヘッド10に押圧され、シリンダヘッド10に存在するバリ12を剪断除去することになる。
【0022】
次に、堰凝固部切断手段40は、加工軸モータ41が備えるスピンドル42の先端に取り付けられた加工具43とこれらを位置制御するための制御装置44から構成されている。ワーク受け台20がシリンダヘッド10を固定保持した状態で回転ユニット25によって垂直方向に旋回され、基準ブロック24によって垂直方向に位置決めされると、堰凝固部切断手段40による堰凝固部13の切断が行われる。すなわち、加工軸モータ41によって回転力を得た加工具43は、制御装置44に位置制御され、シリンダヘッド10に存在する堰凝固部13を正確に切断除去することができる。堰凝固部切断手段40は、加工具43による堰凝固部13の切断時に発生する切粉の飛散を防止するために、その周囲をカバー45で覆うことが好ましい。
【0023】
なお、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置は、バリ取り手段30によって剪断除去されたバリ12と堰凝固部切断手段40によって切断された堰凝固部13及び仕上げ加工時に発生する切粉を回収するために回収装置46を備えており、メンテナンス性に優れた構造となっている。
【0024】
本実施の形態で最も特徴的なことは、上述した通り、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置が、プレス反力受け23、基準ブロック24、回転ユニット25を備えていることにある。これらを備えることによって、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施することが可能となっている。
【0025】
プレス反力受け23は、バリ取り手段30から受ける垂直方向の圧力を受け、他の装置に対してこの圧力の影響を及ぼさないようにする役割を果たしている。このプレス反力受け23には、高速度工具鋼等の高強度かつ耐摩耗性に優れた材料が採用されている。
【0026】
基準ブロック24についてもプレス反力受け23と同様に圧力を受けて他の装置に圧力の影響を及ぼさないようにするためのものである。この基準ブロック24は、堰凝固部切断手段40から堰凝固部13の切断時に加わる圧力を受けるためのものである。基準ブロック24の材質についても、プレス反力受け23と同様に、高速度工具鋼等の高強度かつ耐摩耗性に優れた材料を採用することが好ましい。
【0027】
次に、図5〜11を用いて、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する。
【0028】
(1)鋳造型から取り出したシリンダヘッド10は、ロボットアーム50によってワーク受け台20に搬送される。搬送されたシリンダヘッド10は、ワーククランプ21によってワーククランプ作用位置15で固定保持され、プレス受け治具22によって最適な位置に位置決めされる(図5)。
【0029】
(2)位置決めされたシリンダヘッド10に対してバリ取り手段30のプレス刃36が押圧され、シリンダヘッド10に存在するバリ12が剪断除去される。このとき、バリ取り手段30が備える押し出しピン35もシリンダヘッド10を押圧してシリンダヘッド10の位置変動を防止するので、安定してバリ取り加工を行うことが可能となる(図6)。
【0030】
(3)バリ取り加工を終えたプレス刃36及び押し出しピン35は、初期位置に退避する(図7)。
【0031】
(4)バリ取り加工が終了し、バリ取り手段30が初期位置に退避したことを確認すると、回転ユニット25が駆動してプレス受け治具22を略90度旋回し、ワーク受け台20を垂直方向に位置決めする(図8)。
【0032】
(5)ワーク受け台20が垂直方向に位置決めされたことを確認すると、制御装置44によって位置制御された加工具43が移動して、正確に堰凝固部13を切断する(図9)。
【0033】
(6)堰凝固部13の切断が完了すると、回転ユニット25はプレス受け治具22を先程とは逆方向に旋回し、ワーク受け台20を水平方向に位置決めする(図10)。
【0034】
(7)ワーク受け台20が水平方向に位置決めされたことを確認すると、加工具43は初期位置に退避する。この一連の動作によってシリンダヘッド10の仕上げ加工が完了する。その後、ワーククランプ21の拘束を解かれたシリンダヘッド10は、ロボットアーム50によって搬出され、次工程へと送られる(図11)。
【0035】
以上の一連の動作によって、バリ取り、堰凝固部切断という2つの工程を1つの装置で実施することが可能となるのである。
【0036】
実施の形態2
本実施の形態について、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。本実施の形態では、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を1つの装置で実施する鋳造品の仕上げ装置を例示している。なお、前述した実施の形態1に示した部材と同一又は類似する部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
本実施の形態で特徴的なことは、バリ取り手段30がプレス刃36に加えて、エアハンマ51を備えていることである。このエアハンマ51を備えることにより、バリ取り、堰凝固部切断という工程に加えて、シリンダヘッド10の砂落としを行う工程も、本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置によって一貫して行うことが可能である。
【0038】
すなわち、図12で例示しているように、プレス刃36の設置位置にエアハンマ51を取り付け、水平方向に位置決めされたシリンダヘッド10に対して垂直方向に打撃を加えることにより、砂落としを行うことが可能となる。この工程についてもプレス刃36の場合と同様に、押し出しピン35がシリンダヘッド10の形状を考慮した最適な位置14に作用しているので、シリンダヘッド10が固定保持され、砂落としが確実に行われることになる。これにより、砂落とし、バリ取り、堰凝固部切断という3つの工程を1つの装置で実施することが可能となるのである。エアハンマ51の取り付け方法については、プレス刃36とは別の取り付け装置を設けて連続して砂落としとバリ取りが実施できる方法やプレス刃36と共用の取り付け装置を用いて型替えを行う方法など、周知な技術を用いることが可能である。
【0039】
また、図13に示すように、堰凝固部切断手段40に前記加工具43に加えて、同様に別加工軸モータ47にて駆動するエンドミル等の加工具48を設け、前記プレス刃36でのバリ取りが困難なバリの除去を行わせるようにしても良い。
【0040】
さらに、図14に示すように、バリ取り手段30にインデックステーブル37を設置し、このインデックステーブル37にエンドミル等の加工具38を配してプレス刃36で除去が困難なバリ取りを行うこと等、種々の改良を加えることもできる。
【0041】
なお、エアハンマ打撃位置11、押し出しピン作用位置14、ワーククランプ作用位置15については、シリンダヘッド10の形状を考慮して決定されるものであり、図示した構成に限定されるものでないことは、当業者には明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被加工物であるシリンダヘッドとその砂落とし工程においてシリンダヘッドに対して行われるエアハンマの打撃位置を示す図である。
【図2】被加工物であるシリンダヘッドとそのシリンダヘッドを鋳造型から取り出した状態におけるバリの発生状況を示す図である。
【図3】被加工物であるシリンダヘッドとそのシリンダヘッドを鋳造型から取り出した状態における堰凝固部の発生状況を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図6】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図7】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図8】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図9】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図10】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図11】本実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置における一連の作動状況を説明する図である。
【図12】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図13】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【図14】別の実施の形態に係る鋳造品の仕上げ装置の装置構成を説明するための図である。
【符号の説明】
10 シリンダヘッド、11 エアハンマ打撃位置、12 バリ、13 堰凝固部、14 押し出しピン作用位置、15 ワーククランプ作用位置、20 ワーク受け台、21 ワーククランプ、22 プレス受け治具、23 プレス反力受け、24 基準ブロック、25 回転ユニット、30 バリ取り手段、31 柱、32 プレスアクチュエータ、33 プレス治具、34 押し出しアクチュエータ、35 押し出しピン、36 プレス刃、37 インデックステーブル、38,43,48 加工具、40 堰凝固部切断手段、41 加工軸モータ、42 スピンドル、44 制御装置、45 カバー、46 回収装置、47 別加工軸モータ、50 ロボットアーム、51 エアハンマ。
Claims (5)
- 鋳造品をワーククランプによって固定保持して位置決めを行うワーク受け台と、
駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を備え、鋳造品にプレス刃を押圧することによって鋳造品に存在するバリを剪断除去するバリ取り手段と、
制御装置によって位置制御される加工具を備え、この加工具によって鋳造品の堰凝固部を切断する堰凝固部切断手段と、
を有し、
鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行う鋳造品の仕上げ装置であって、
前記ワーク受け台は回転ユニットを備え、回転ユニットを軸中心として略90度の範囲で旋回し、鋳造品を固定保持した状態で水平方向及び垂直方向にワーク受け台を位置決めし、
ワーク受け台が水平方向に位置決めされるときには、バリ取り手段によって鋳造品のバリを剪断除去し、
ワーク受け台が垂直方向に位置決めされるときには、堰凝固部切断手段によって鋳造品の堰凝固部を切断すること、
を特徴とする鋳造品の仕上げ装置。 - 請求項1に記載の鋳造品の仕上げ装置において、
前記ワーク受け台は、
水平方向に位置決めされるときに、バリ取り手段からの垂直方向の圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止するプレス反力受けと、
垂直方向に位置決めされるときに、堰凝固部切断手段からの圧力が加わるワーク受け台を支持してワーク受け台の位置変動を防止する基準ブロックと、
を備えることを特徴とする鋳造品の仕上げ装置。 - 請求項1又は2に記載の鋳造品の仕上げ装置において、
前記バリ取り手段は、鋳造品の砂落としを行うエアハンマを備え、
駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることにより、鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うことを特徴とする鋳造品の仕上げ装置。 - 鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、連続した仕上げ工程によって一貫して行う鋳造品の仕上げ方法であって、
ワーク受け台が備えるワーククランプによって鋳造品を固定保持し、ワーク受け台を水平方向に位置決めする第1工程と、
駆動機構によって垂直方向に昇降するプレス刃を水平方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品に押圧し、鋳造品のバリを剪断除去する第2工程と、
ワーク受け台の備える回転ユニットがワーク受け台を略90度旋回し、ワーク受け台を垂直方向に位置決めする第3工程と、
制御装置によって位置制御される加工具を移動し、垂直方向に位置決めされたワーク受け台に固定保持される鋳造品の堰凝固部を切断する第4工程と、
を備えることを特徴とする鋳造品の仕上げ方法。 - 請求項4に記載の鋳造品の仕上げ方法において、
前記第2工程は、さらに、
駆動機構によって垂直方向に昇降するエアハンマが鋳造品に打撃を与えることによって鋳造品の砂落としを行う工程を含み、
鋳造型から取り出した鋳造品に残留付着する鋳型砂の砂落としと、鋳造型から取り出した鋳造品のバリ取り及び堰凝固部の切断を、単一の仕上げ装置によって一貫して行うこと、
を特徴とする鋳造品の仕上げ方法。
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