JP2004278443A - 送風装置、セパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット及び冷却塔 - Google Patents

送風装置、セパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット及び冷却塔 Download PDF

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俊 吉岡
Kazunari Kasai
一成 笠井
Shinichiro Kobayashi
真一郎 小林
Haruo Nakada
春男 中田
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Abstract

【課題】羽根車やファンケーシングへの霜、氷及び雪の付着を抑制して送風性能の低下を予防し、騒音の増大を予防し、羽根車の損傷を予防できるようにした送風装置を提供すること。
【解決手段】送風装置の羽根車やファンケーシングの表面部に、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bとを分散配置する。また、表面部分A及び表面部分Bは下記の特性1及び特性2を充足させる。特性1;霜又は氷が付着している熱交換器を加熱した場合に、表面部分Aに接触している霜又は氷が表面部分Bに接触している霜又は氷より早く融解する。特性2;表面部分Bに付着している霜又は氷が、表面部分Aに付着している霜又は氷と少なくとも互いに部分的に連なって自重により表面部分Bから剥離する。
【選択図】 図29

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、羽根車とファンケーシングとを備えた送風装置、並びにこのような送風装置を備えたセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット及び冷却塔に関し、特に、羽根車やファンケーシングに付着する霜、氷、雪などによる送風性能の低下防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
セパレート型空気調和機の室外ユニットなどに用いられる送風装置は、一般的には羽根車と、送風機能を発揮するようにこの羽根車と協働するファンケーシングからなる。このような例として、例えば、特許文献1には、プロペラ型羽根車とファンケーシングとしてのベルマウスからなる送風装置を備えたセパレート型空気調和機の室外ユニットが記載されている。また、特許文献2には、プロペラ型羽根車、ファンケーシングとしてのベルマウス及びベルマウスの開口部に設けられた吹出グリルから形成されている送風装置を備えたセパレート型空気調和機の室外ユニットが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−257381号公報
【特許文献2】
特開2002−221341号公報
【特許文献3】
特開平8−3477号公報
【特許文献4】
特開平8−3479号公報
【特許文献5】
特開昭57−34107号公報
【特許文献6】
特開昭62−7767号公報
【特許文献7】
特開昭62−174213号公報
【特許文献8】
特開平2−265979号公報
【特許文献9】
特開平2−298645号公報
【特許文献10】
特開平4−279612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような送風装置を備えた室外ユニットがヒートポンプ式空気調和機の室外ユニットである場合には、外気中の水分が室外側熱交換器の熱交換面部で凝縮し、凝縮水として付着したり、付着した凝縮水が霜又は氷になって付着したりする。そして、この熱交換面部に付着する凝縮水、霜又は氷が後流側に飛散し、後流側に配置されている送付装置に付着することがある。さらに、送風装置に付着した凝縮水、霜又は氷が送風装置で霜又は氷となって成長することが考えられる。この場合、羽根車に付着した霜又は氷が多くなると、羽根車の回転負荷が増大して消費電力が増大し、送風性能が低下して風量が低下し、騒音が大きくなる。また、ファンケーシングに霜又は氷が付着した場合も、羽根車に霜又は氷が付着した場合と同様に、羽根車の回転負荷が増大して消費電力が増大し、送風性能が低下して風量が低下し、騒音が大きくなる。
【0005】
特に、羽根車がプロペラ型羽根車の場合は、羽根車とファンケーシングとの隙間寸法が微妙に変化し、送風性能に大きな影響を与える恐れがある。また、羽根車がプロペラ型羽根車であってファンケーシングがベルマウスである場合には、羽根車とベルマウスとの隙間が微少寸法となっているので、送風性能に影響が出るばかりでなく、羽根車やベルマウスに付着した霜又は氷によりプロペラ型羽根車が損傷を受ける恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献1及び特許文献2に記載されているように送風装置は室外ユニットの吹出グリル近傍に設置されていることが多いので、室外ユニットの運転停止中に雪が降った場合は、送風装置の羽根車(具体的には、例えばプロペラ型羽根車)やファンケーシング(具体的には、例えばベルマウス)に雪が付着する。このような場合も、前述の場合と同様に、羽根車の回転負荷が増大し、送風性能が低下して風量が低下し、消費電力が増大し、騒音が大きくなる。また、プロペラ型羽根車とベルマウスとの間が塞がれたり、著しく狭くなると、プロペラ型羽根車が損傷を受ける恐れがある。
このように、送風装置が屋外に設置されている場合には、羽根車やファンケーシングに霜、氷及び雪が付着することにより、消費電力が増加したり、送風性能が低下したり、騒音が増大したり、プロペラ型羽根車が損傷されたりすることがある。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、羽根車やファンケーシングの表面部を滑水性及び滑落成に優れた易霜氷剥離性を付与する表面構造とすることにより、羽根車やファンケーシングへの霜、氷及び雪の付着を抑制して送風性能の低下を予防し、騒音の増大を予防し、羽根車の損傷を予防することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の送風装置は、羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備えたものにおいて、羽根車を、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bとが分散配置されてなる表面構造の表面部を有するようにしたものである。更に、これら表面部分Aと表面部分Bを、次の特性1と特性2を示すものとしている。ここに、特性1は、霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が表面部分Bに接触している界面部分の霜又は氷より早く融解する特性をいい、特性2は、霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Bに付着している霜又は氷と表面部分Aに付着している霜又は氷の少なくとも一部とが連なって自重により部材表面から剥離する特性をいう。
【0009】
このように構成された送風装置によれば、羽根車の表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置されることにより、外装ケースの外表面部が撥水性及び滑落性に優れたものとなり、易霜氷剥離性が付与される。
なお、本明細書において易霜氷剥離性というときは、表面部に着霜又は氷結した霜又は氷が風圧、自重などにより容易に剥離され、かつ、剥離された後に残存する水滴又は霜の量が少なくなる性質をいう。したがって、羽根車の表面部に易霜氷剥離性が付与されると、羽根車の表面部の霜、氷及び雪が剥離された後での再氷結が行われにくくなる。
本発明による羽根車の表面部は上述のごとく撥水性及び滑落性に優れた易霜氷剥離性が付与されるため、羽根車の表面部に凝縮する凝縮水は、球形状となって容易に飛散し又は容易に下方に落下する。また、羽根車の表面部に付着した霜、氷、雪は、表面部分Aに接触している界面部分の霜、氷及び雪が融解することにより連なって剥離されるので、従来のものに比し剥離され易い。また、剥離された後には、水滴、霜、氷、雪などの残存量が少なくなるため、従来に比し再氷結し難くなっている。
したがって、本発明によれば、羽根車の表面部に付着する霜、氷、雪などの量を軽減することができ、また、付着した霜、氷、雪などを短時間で剥離することができる。これにより、送風装置の運転負荷の増大を予防し、送風性能の低下を予防し、騒音の増大を予防し、羽根車の損傷を予防することができる。
【0010】
また、本発明の送風装置では、羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備えたものにおいて、羽根車の表面部に、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜を施してもよい。
【0011】
このようにすると、羽根車の表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、かつ表面部分A及び表面部分Bが前記特性1及び特性2を満たすように構成され、易霜氷剥離性が付与される。これにより、送風装置の運転負荷の増大を予防し、送風性能の低下を予防し、騒音の増大を予防し、羽根車の損傷を予防することができる。
【0012】
また、このような送風装置において羽根車をプロペラ型羽根車とすることもできる。
【0013】
羽根車がプロペラ型羽根車である場合においては、羽根車とファンケーシングとの隙間寸法が小さいので、付着する霜又は氷や降雪による雪の付着により影響を受け易いが、この発明のようにすると、霜、氷、雪の影響を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の送風装置は、前述のように羽根車と、この羽根車と協働するファンケーシングとを備えたものにおいて、羽根車とファンケーシングの両表面部に前述の羽根車の表面部に施したと同様の表面構造を付与してもよい。
【0015】
このようにすると、羽根車のみならず、ファンケーシング側も撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性が付与された表面部となるため、霜、氷或いは雪が付着することによる送風性能の低下、騒音の増大及び羽根車の損傷をより一層確実に予防することができる。
【0016】
また、本発明の送風装置は、このように羽根車と、この羽根車と協働するファンケーシングとを備えたものにおいて、羽根車とファンケーシングの両表面部に、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜を施してもよい。
【0017】
このようにすると、羽根車及びファンケーシングの両表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、かつ表面部分A及び表面部分Bが前記特性1及び特性2を満たす表面構造に構成され、易霜氷剥離性が付与される。これにより、送風装置の送風性能をより一層確実に高く維持し、送風装置の騒音の増大をより一層確実に予防し、羽根車の損傷をより一層確実に予防することができる。
【0018】
また、このように羽根車と、この羽根車と協働するファンケーシングとを備えたものにおいて、羽根車をプロペラ型羽根車とし、ファンケーシングをベルマウスとすることもできる。
【0019】
羽根車がプロペラ型羽根車であって、ファンケーシングがベルマウスである場合には、両者の隙間が微少になるため、霜、氷又は雪が付着することによる影響がより一層顕著になる。しかし、前述のように羽根車としてのプロペラ型羽根車及びファンケーシングとしてのベルマウスの表面部が撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性が付与されるため、付着する霜又は氷や降雪による雪の付着がより確実に排除されるため、より一層確実に霜、氷、雪の付着による影響を減少させることができる。
【0020】
また、本発明の送風装置は、羽根車がプロペラ型羽根車と、送風機能を発揮するようにプロペラ型羽根車と協働するベルマウスと、ベルマウスの開口部に設けられる吹出グリルとを備え、プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルの表面部を、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、かつ表面部分A及び表面部分Bが前記特性1及び特性2を満たすように構成された表面構造にすることもできる。
【0021】
このようにすると、プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルの表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置されていることにより、撥水性及び滑落性に優れたものとなる。これにより、プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルの表面部に霜、氷及び雪の付着を抑制し、送風性能が高く維持することができる。また、吹出グリルが霜、氷及び雪で塞がれることを予防することができる。また、プロペラ型羽根車とベルマウスとの間、或いはプロペラ型羽根車と吹出グリルとの間に霜、氷及び雪が介在するのを予防することができ、プロペラ型羽根車の損傷を予防することができる。
【0022】
また、本発明の送風装置は、この場合において、プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルの表面部に形成する表面構造を、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜を施すことにより形成してもよい。
【0023】
このように構成すると、プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルの各表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、かつ表面部分A及び表面部分Bが前記特性1及び特性2を満たす表面構造に構成され、易霜氷剥離性が付与される。これにより、送風装置の送風性能をより一層確実に高く維持し、送風装置の騒音の増大をより一層確実に予防し、羽根車の損傷をより一層確実に予防することができる。
【0024】
以上述べた送風装置において、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜を施すことにより羽根車、ファンケーシング或いは吹出グリルの表面構造を形成する場合に、この表面処理用組成物を次のように形成することが好ましい。すなわち、前記撥水性バインダー樹脂をフッ素樹脂とし、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子を重量平均分子量500〜200,000、平均粒子径0.1μm以上とし、分散剤を、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体とし、低熱容量の粒子を、モル熱容量7Ca/JK−1mol−1〜6Ca/JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、溶媒を有機溶媒系とする。
【0025】
また、本発明に係るセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニットは、上述の送風装置を備えていることを特徴とする。
【0026】
このように構成すると、送風性能が高く維持されるので暖房性能を高く維持することができる。また、送風装置の騒音が増大しないので静粛な運転を継続することができる。また、送風装置が損傷しない安全運転を行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る冷却塔は、噴霧ノズルと、噴霧された水と熱交換させるための外気を送風する送風装置と、外気と熱交換して冷却された噴霧水を集水する集水部とを備え、送風装置として上述の送風装置を用いたことを特徴とする。
【0028】
このようにすると、送風性能が高く維持されるので、冬季における冷却塔の使用限界を拡大することができる。また、送風装置の騒音増大を抑制し静粛な運転を継続行うことができる。また、送風装置が損傷しない安全運転を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(表面構造の説明)
以下本発明に係る実施の形態について説明するに当たり、まず、セパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニットの送風装置の表面部に施す撥水性及び滑落性に優れ、易霜剥離性が付与される表面構造について説明する。
先ず、本発明に係る送風装置の表面部では、下記特性1及び特性2を満たす表面部分A及び表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置される。
【0030】
ここで、特性1及び特性2とは、前記に定義される特性をいう。これに関連して更に説明する。特性1は、表面部分Aと氷との密着結合関係をまず解くことにより、霜又は氷全体の離脱を容易にするための特性である。従来は、熱交換面部に接触している界面部分の霜又は氷を、単に融解することにより熱交換面部に付着する霜又は氷を離脱させようとしていたため、熱交換面部の大きい部分で融解が生じなければ霜又は氷の離脱現象は生じなかったが、本発明に係る表面構造によれば表面部分Aに接触する界面部分の融解のみで霜又は氷全体の離脱が生ずる状態となる。
【0031】
この場合において、霜又は氷の離脱を更に容易にするためには、表面部分Bが霜又は氷との結合性又は付着性が低い特性、例えば撥水性又は粗い表面などを有していることが好ましい。この場合、表面部分Aとの界面部分で霜又は氷の融解が生ずれば表面部分Bとの界面部分の融解の有無に関係なく特性2が生じ得る。
【0032】
特性2は、表面部分Bに付着する霜又は氷が必ずしも融解しなくても表面部分Bから剥離されることを示す特性である。この場合の特徴は、表面部分Aから先に離脱した霜又は氷の結晶と一体に表面部分Bの霜又は氷の結晶が剥離する点にある。なお、従来の着霜防止塗料(例えば、特許文献3、特許文献4参照)を塗布したものでは、剥離する前に全表面部分の霜又は氷も融解させなければならない。
【0033】
上記表面構造を部材表面部に付与すると、霜又は氷が付着している部材表面部に対し少ない熱エネルギーを加えるだけで容易に霜又は氷を除去できる。
【0034】
また、この部材表面部には、表面部分A及び表面部分B以外の表面部分を有していてもよいが、表面部分A及び表面部分Bの上記特性1及び特性2を損なうものであってはならない。
【0035】
部材表面部に付着した霜の除去は、部材そのものに熱を加えてもよいし、霜又は氷の外側から加熱してもよい(例えば熱線照射や太陽光により)。何れの加熱方法によっても時間の長短はあるが、本発明の表面構造を有する部材では霜又は氷の剥離が生ずる。
【0036】
表面部分Aと表面部分Bの面積割合や平面形状、配置、表面部分の立体形状などは、上記特性1と特性2を満たす限り限定されないが、次のようなものが好ましい。
【0037】
表面部分Aと表面部分Bとの面積割合は、1/99〜99/1の広い範囲で選択できるが、エネルギー効率面から言えば特性2を発揮させることができる範囲内で表面部分Aの割合を少なくすることが望ましい。
【0038】
表面部分A、Bの平面形状と配置は、どのような形状や配置でもよい。具体例としては、表面部分Aと表面部分Bとが縞状に並んだもの、表面部分Aと表面部分Bとが海島状に配置されているもの、表面部分Aが表面部分B中に点状又は水玉状に分散しているもの(又はその逆)、表面部分Aが表面部分B上に格子状に配置されているもの(又はその逆)、表面部分Aが表面部分B上にリング状に配置されているもの(又はその逆)などを掲げ得る。
【0039】
表面部分A、Bの立体形状は、特に限定されず、平面状でも突起状でも異形でもよい。また、一方の表面が他方の表面より高いテラス状(角台状又は円台状など)であってもよい。
【0040】
次に本発明に係る表面構造の形成方法について説明する。
形成方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、(1)塗装による方法、(2)各種成形(モールディング)による方法、(3)各種化学的表面加工による方法、(4)各種物理的表面加工による方法、(5)積層体などの複合体とする方法などが揚げられる。
【0041】
以下塗装による方法について詳述する。
次の表面処理用組成物を部材表面部に塗装し、本発明に係る表面構造を形成する。
使用する表面処理用組成物としては、例えば、
(a)撥水性のバインダー樹脂、
(b)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、
(c)分散剤、
(d)低熱容量の無機粒子
及び
(e)溶媒
からなる表面処理用組成物が好ましい。
【0042】
この表面処理用組成物で形成された塗膜の表面構造において、表面部分Aは低熱容量の無機粒子(d)が形成し、表面部分Bは撥水性バインダー樹脂(a)とPTFE粒子(b)が形成しているものと推定される。
【0043】
撥水性バインダー樹脂(a)としては、撥水性であって、かつPTFE粒子(b)と低熱容量の無機粒子(d)とを均一な分散状態で保持できるものであればよい。また、撥水性の程度としては対水接触角が大きいほうが望ましく、表面部分Bの対水接触角を140度以上とするものが好ましい。ただ、撥水性バインダー樹脂(a)の単独塗膜表面の対水接触角が140度以上である必要はないが、100度以上であるのが、目的とする撥水性を部材表面部に付与する点から好ましい。
【0044】
このような撥水性バインダー樹脂(a)としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが揚げられるが、PTFE粒子の分散性などが優れる点からフッ素樹脂が好ましい。
【0045】
フッ素樹脂としては、従来公知のフッ素樹脂の中から選択できるが、耐候性、塗料化、溶剤溶解性などに有利なことから、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を主体とする共重合体が好ましい。
【0046】
これらのフッ素樹脂としては、例えば特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10などに記載の含フッ素共重合体が好ましく揚げられ、特に特許文献10記載の
(1) 下記式Iで表されるフルオロオレフィン構造単位
−CF−CFX− (式I)
(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、水素原子又はトリフルオロメチル基である)
(2) 下記式IIで表されるβ−メチル置換α−オレフィン構造単位
−CH−CR(CH)− (式II)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である)
(3) 化学的硬化性反応性基を有する単量体に基づく構造単位
(4) エステル基を側鎖に有する単量体に基づく構造単位
及び
(5) 他の共重合可能な単量体に基づく構造単位
からなり、構造単位(1)が20〜60モル%、構造単位(2)が5〜25モル%、構造単位(3)が1〜45モル%、構造単位(4)が1〜45モル%及び構造単位(5)が0〜45モル%(ただし、構造単位(1)+(2)の合計が40〜90モル%である)含まれてなる数平均分子量1000〜500000の含フッ素共重合体が有用である。
【0047】
具体例としては、CTFE/イソブチレン(IB)/HBVE/プロピオン酸ビニル(VPi)共重合体、CTFE/IB/ヒドロキシエチルアリルエーテル(HEAE)/VAc共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi共重合体、CTFE/IB/HBVE/ベオバ9(シェル化学社製。商品名)共重合体、TFE/IB/HBVE/VBz共重合体、CTFE/IB/HBVE/マレイン酸ジエチル(DEM)共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/マレイン酸ジブチル(DBM)共重合体、CTFE/IB/HBVE/フマル酸ジエチル(DEF)共重合体、CTFE/IB/HEVE/フマル酸ジブチル(DBF)共重合体、HFP/IB/HBVE/VBz共重合体、TFE/2−メチル−1−ペンテン(MP)/HBVE/VPi共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/CH=CH(CFCF(p=1〜5)共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/VBz共重合体、CTFE/IB/HBVE/VAc共重合体、TFE/IB/HBVE/t−ブチル安息香酸ビニル(VtBz)共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/DEM共重合体、CTFE/IB/HBVE/VBz/DEF共重合体、CTFE/IB/HBVE/VPi/CH=CH(CFCF(p=1〜5)共重合体、CTFE/MP/HEVE/VPi共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/ビニル酢酸(VAA)共重合体、TFE/IB/HEVE/VAc/VAA共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/VBz/クロトン酸(CA)共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/VBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ10/VtBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/VtBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/DEMTFE/IB/HBVE/DFM/CA共重合体、/CA共重合体、TFE/MP/HBVE/VPi/VAA共重合体などが揚げられる。
【0048】
以上のフッ素樹脂の市販の商品としては、例えばゼッフル(ダイキン工業(株)製、ルミフロン(旭硝子(株)製)、フルオネート(大日本インキ(株)製)、セフラルコート(セントラル硝子(株)製)などが揚げられる。
【0049】
PTFE粒子(b)としては、重量平均分子量が500以上で500、000以下のものが好ましい。通常PTFEは重量平均分子量が100万〜1000万のものであるが、この範囲のPTFEは剪断力が加わるとフィブリル化するので、本発明で用いるPTFEは上記の範囲の分子量のPTFEを使用することが好ましい。好ましい重量平均分子量は600以上、特に5、000以上であり、また500、000以下、好ましくは200、000以下、更に好ましくは12、000以下である。
【0050】
また、平均粒子径としては、0.05μm以上で10μm以下の範囲のものが好ましい。平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、また好ましくは7μm以下、更には5μm以下である。
【0051】
更にPTFEはテトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、公知の変性剤で変性されている変性PTFEであってもよい。
【0052】
また、PTFE粒子は重合開始剤などに起因して分子末端に不安定基が存在するが、そうした末端基を完全にフッ素化して安定化したPTFE粒子が好ましい。特に好ましいPTFE粒子は、末端基が完全にフッ素化された重量平均分子量500〜20、000で平均粒子径が2〜10μmのものである。
【0053】
PTFE粒子(b)の市販品としては、例えばダイキン工業(株)製のルブロン、セントラル硝子(株)製のセフラルルーブなどが揚げられる。
【0054】
分散剤(c)はPTFE粒子(b)を撥水性バインダー(a)中に均一に分散させる作用を有する。ここで使用する分散剤は、例えば溶媒を使用する場合にPTFE粒子(b)を溶媒に分散させる作用だけでは足らず、塗膜中で撥水性バインダー樹脂に均一にPTFE粒子(b)を分散させる作用をもつことが必要である。したがって、好適な分散剤は、PTFE粒子(b)及び撥水性バインダー樹脂(a)の種類、更には溶媒(e)の種類を考慮して選択する。
【0055】
撥水性バインダー(a)としてフッ素樹脂を選択し、後述する溶媒(e)として有機溶媒を選択する場合、分散剤としては、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰返し単位を含む重合体(C1)が好ましい。
更に好ましくは、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーと非フッ素系ビニルモノマーとの共重合体が揚げられる。
【0056】
フルオロアルキル基を有するビニルモノマーは、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートであってもよく、更にフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートは、次の一般式で表されるものであってもよい。
Rf−A−OC(=O)CB=CH
(式中、Rfは炭素数1〜21のフルオロアルキル基、Bは水素又はメチル基、Aは2価の有機基である。)
フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが例示できる。
【0057】
【化1】
Figure 2004278443
【0058】
(式中、Rfは炭素数1〜21のフルオロアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基、Arは置換基を有することもあるアリーレン基、nは1〜10の整数である。)
限定されないフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートの具体例を次に示す。
CF(CH)OCOCH=CH
CFCF(CH)OCOCH=CH
CF(CF(CH)OCOCH=CH
CF(CF(CH)OCOCH=CH
CF(CF(CH)OCOCH=CH
CF(CF(CH)OCOCH=CH
CF(CF(CH)OCOCH=CH
CF(CHOCOCH=CH
CFCF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CHOCOCH=CH
CFCF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CHOCOCH=CH
CFCF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CF(CF(CHOCOCH=CH
CFCH=CHCHOCOCH=CH
CFCFCH=CHCHOCOCH=CH
CF(CFCH=CHCHOCOCH=CH
CF(CFCH=CHCHOCOCH=CH
CF(CFCH=CHCHOCOCH=CH
CF(CFCH=CHCHOCOCH=CH
CF(CFCH=CHCHOCOCH=CH
(CFCF(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF)(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF(CHOCOCH=CH
(CFCF(CF(CHOCOCH=CH
H(CF)(CH)OCOCH=CH
H(CF(CH)OCOCH=CH
H(CF(CH)OCOCH=CH
H(CF(CH)OCOCH=CH
H(CF(CH)OCOCH=CH
CFCHFCF(CH)OCOCH=CH
CF(CH)OCOC(CH)=CH
CFCF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CF(CH)OCOCH=CH
CF(CHOCOC(CH)=CH
CFCF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CHOCOC(CH)=CH
CFCF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CHOCOC(CH)=CH
CFCF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CFCFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CF(CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CF(CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CF(CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CF(CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
CF(CFCH=CHCHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF)(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF(CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF(CHOCOC(CH)=CH
H(CF)(CH)OCOC(CH)=CH
H(CF(CH)OCOC(CH)=CH
H(CF(CH)OCOC(CH)=CH
H(CF(CH)OCOC(CH)=CH
H(CF(CH)OCOC(CH)=CH
CFCHFCF(CH)OCOC(CH)=CH
CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CF)SON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
CF(CFSON(C)(CHOCOC(CH)=CH
CF10(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH
(CFCFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CF)CHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCF(CFCHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
(CFCFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CF)CHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH
【0059】
【化2】
Figure 2004278443
【0060】
上記のフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートは2種以上を混合して用いることももちろん可能である。
【0061】
非フッ素系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートエステルが挙げられる。(メタ)アクリレートエステルは、(メタ)アクリル酸と、脂肪族アルコール、例えば、一価アルコール又は多価アルコール(例えば、2価アルコール)とのエステルであってもよい。
【0062】
非フッ素系モノマーとしては、例えば以下のものを例示できる。
【0063】
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、アルコキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートグリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、グルコシルエチルメタクリレート、メタクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート等の(メタ)アクリレート類;スチレン、p−イソプロピルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類。
【0064】
更に、エチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、クロロプレン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルキルケトン、無水マレイン酸、N−ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0065】
また、非フッ素系モノマーは、ケイ素系モノマー(例えば、(メタ)アクリロイル基含有アルキルシラン、(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン)であってよい。
【0066】
含フッ素重合体(c(1))は、ラジカル重合法で製造できる。
【0067】
重合体(c(1))の重量平均分子量は比較的小さいものであり、3、000以上、更には5、000以上、特に7、000以上であり、また30、000以下、更には20、000以下、特に15、000以下であるが好ましい。
【0068】
低熱容量の無機粒子(d)としては、多くの金属単体又は非金属単体、更には一部の金属化合物の粒子が該当する。具体例としては、例えば金、銀、アルミニウム、鉄、銅などの金属;炭素、ホウ素などの非金属;その他金属化合物などを掲げることができる。
また、低熱容量の無機粒子(d)は、別の観点からは、導電性であることが望ましい。撥水性バインダーの多くは帯電性であり、塗膜表面に氷結の核となる塵を付着させやすいので、塗膜表面の帯電を防止することにより着氷(雪)を更に防止できる。
なお、耐候性を損なわないためには低熱容量の無機粒子も耐候性や耐食性、耐溶剤性に富むものが望ましい。
低熱容量の無機粒子(d)の熱容量としては、モル熱容量で7Ca/JK−1mol−1以下が好ましい。下限は通常6Ca/JK−1mol−1である。
低熱容量の無機粒子(d)の1次平均粒子径としては、分散性の点から2μm以上、12μm以下が好ましい。
【0069】
かかる低熱容量の無機粒子(d)としては、特に炭素の単体であるカーボンブラック、とりわけ結晶性のカーボンブラックが好ましい。
【0070】
なお、低熱容量の無機粒子(d)を配合するときは、その理由は不明であるが、撥水性の有無にかかわらず、滑落性が更に向上する。また、着霜してしまった場合の除霜を容易にする作用も期待できる。
【0071】
溶媒(e)は、表面処理組成物の各成分の均一な混合を容易にし、塗膜の形成を容易にし、更に各種成分を撥水性バインダー樹脂(a)中に均一分散させる観点から有用である。したがって、溶媒(e)は他の成分(a)、(b)、(c)及び(d)を考慮して選択される。
【0072】
溶媒(e)としては水などの無機溶媒系でもよいが、上記観点から有機溶媒系が好ましい。有機溶媒系としては単一の溶媒でも2種以上の混合溶媒系でもよい。2種以上使用する場合は、極性有機溶媒と非極性有機溶媒を含むことが他の各成分をより一層均一に分散させ得る点から望ましい。
【0073】
極性有機溶媒としては、例えば酢酸ブチル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどが揚げられる。
【0074】
非極性有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンのほか、石油スピリッツであるターペンなどが揚げられる。
【0075】
特に酢酸ブチルと石油系溶剤(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ターペンなど)とを混合使用することにより、得られる塗膜の滑水性を調節できる。混合割合は組み合わせる溶剤の種類によって異なり任意であるが、同じ重量か酢酸ブチルの多いほうが滑水性に優れ好ましい。
【0076】
本発明の表面処理組成物における好ましい配合割合は、撥水性のバインダー樹脂(a)100重量部に対して(以下、特に断らない限り同じ)、PTFE粒子(b)は100重量部以上で200重量部以下であり、分散剤(c)は5重量部以上で30重量部以下である。低熱容量の無機粒子(d)は25重量部以上で200重量部以下、また溶媒(e)は400重量部以上で2000重量部以下とすることが好ましい。
【0077】
かかる表面処理組成物は、塗膜を形成できる形態であれば種々の形態に調製できるが、塗膜の形成が容易な点から溶媒型塗料に調製するのが好ましく、塗装性や分散性の点から固形分濃度を5〜40重量%、特に15〜30重量%とするのが好ましい。また、本発明の目的を損なわない限り、顔料、他の樹脂類、流動調整剤、色分かれ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0078】
溶媒型塗料としての表面処理用組成物の調製は、溶剤(e)に各成分を投入し、充分攪拌して行う。攪拌方法としては特に限定されないが、超音波攪拌法や強制攪拌法などがPTFE粒子(b)や低熱容量の無機粒子(d)などの粒子成分を容易に均一に分散できる点から好ましい。
【0079】
塗装方法としては特に限定されず、例えばディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法などの方法が採用できる。塗布後、室温で乾燥するか、必要に応じて加熱乾燥させて硬化被膜を形成する。
【0080】
塗膜の膜厚は適用部分によって適宜選定すればよいが、通常10μm以上、更には30μm以上、また0.2mm以下、更には0.1mm以下が好ましい。
【0081】
塗布する基材は特に限定されず、着霜が問題となる熱交換器によって決まる。例えばアルミニウム、ステンレススチール、銅、各種合金、セラミックスなどが揚げられる。
【0082】
かくして得られる塗膜(熱交換面部を形成する表面構造)は、熱交換面部に表面部分Aと表面部分Bを与え、易霜氷剥離性を有するものである。
更にこの塗膜は、熱交換面部の滑落角(4μリットル水滴)を10度以下、更に好ましくは5度以下にすることができ、また、塗膜表面の対水接触角を140度以上、更には145度以上、特に150度以上にし、撥水性表面に形成された微小な水滴も容易に滑落し、着霜の核を形成させず、着霜を防止する効果を向上させるものである。
【0083】
(表面構造についての試験例)
次に、上記塗膜により表面構造を形成した試験例について説明する。なお、本発明に係る塗膜形成方法は下記の試験例に用いた形成方法に限定されるものではない。
【0084】
比較試験例1
撥水性バインダー樹脂(a)としてダイキン工業(株)製のゼッフルGK−510、PTFE粒子(b)としてセントラル硝子(株)製のセフラルルーブ(商品名。平均一次粒子径5〜10μmの変性PTFE。重量平均分子量1500〜20000)、分散剤(c)としてダイキン工業(株)製のユニダインTG−656を用い、表1に記載の量を表1に示す有機溶剤(e)に投入し、超音波攪拌法により攪拌混合して表面処理用組成物を調製した。
【0085】
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板(JISH4000のA1200系。100mm×100mm)上にスプレー法で塗装し、室温で1日間放置して硬化させた後、塗膜表面を洗浄せずに乾燥して試験用の塗板(塗膜の膜厚20μm)を作製した。
【0086】
この塗板について以下の方法により、対水接触角及び滑落角(4μリットル)を調べた。結果を表1に示す。
【0087】
なお、対水接触角は次のようにして測定した。
JISR3257に準じ、協和界面科学(株)製の接触角計(CA−VP、商品名)により、温度15〜20℃、相対湿度50〜70%で測定した。対水接触角の角度は大きいほうが撥水性が高い。
【0088】
また、滑落角は次のようにして測定した。
塗板を協和界面科学(株)製の接触角計(CA−VP、商品名)に水平に固定し、温度17±1℃で相対湿度60±2%の環境下に水平に載置された試料板上に蒸留水を4μリットル滴下して水滴を形成し、次いで試料板を角度0.1度ずつ傾斜させていき、水滴が転がり始めたときの試料板の角度を測定した。表に示す測定値は初回の滑落角である。滑落角の角度は小さいほうが水滴滑落性(滑水性)がよい。
【0089】
【表1】
Figure 2004278443
【0090】
試験例1
上記の比較試験例1において、成分(a)、(b)、(c)及び(e)の配合割合を表2に示す割合とし、更に低熱容量の無機粒子(d)として表2に示す粒子を同表に示す量加えたほかは試験例1と同様にして表面処理用組成物を調製し塗装して試験用の塗板を作製した。攪拌方法は超音波攪拌法を採用した。
【0091】
この塗板について、対水接触角及び転落角を比較試験例1と同様にして調べた。結果を表2に示す。この結果から、低熱容量の無機粒子(d)を加えることにより滑落性を改善し得ることが分かる。
【0092】
なお、表2中の低熱容量の無機粒子(d)は次のものである。
CB:カーボンブラック(シグマ・アルドリッチ製。一次平均粒子径2〜12μm)
GF:天然黒鉛(一次平均粒子径約3μm)
【0093】
【表2】
Figure 2004278443
【0094】
試験例2
試験例1の実験番号2−2(カーボンブラック粒子)及び実験番号2−8(天然黒鉛粒子)において、得られた塗膜を120℃で10時間加熱硬化させ、試験用の塗板を作製した。
【0095】
この加熱硬化塗板について、対水接触角及び転落角を比較試験例1と同様に調べた。その結果を表3に示す。この試験例2においても比較試験例1のものに比し滑落性を改善し得ることが分かる。
【0096】
【表3】
Figure 2004278443
【0097】
試験例3
撥水性バインダー樹脂(a)としてダイキン工業(株)製のゼッフルGK−510を4.0g、PTFE粒子(b)としてセントラル硝子(株)製のセフラルルーブ(商品名。平均一次粒子径5〜10μmの変性PTFE。重量平均分子量1500〜20000)を4.0g、分散剤(c)としてダイキン工業(株)製のユニダインTG−656を4.0g、低熱容量の無機粒子(d)としてカーボンブラック(シグマ・アルドリッチ製。平均粒子径2〜12μm)を2.0g用い、酢酸ブチル20gとヘプタン20gの混合溶媒に投入し、超音波攪拌により攪拌混合して表面処理用組成物を調製した。
【0098】
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板(JIS H4000のA1200系。100mm×100mm)上にスプレー法で塗装し、室温で1日間放置して硬化させた後、塗膜表面を洗浄しないで乾燥して試験用の塗板(塗膜の膜厚20〜30μm)を作製した。
【0099】
この塗板をついて対水接触角及び滑落角(4μリットル)を前述の比較試験例1と同様の方法で測定したところ、対水接触角は152.1度であり、滑落角は4.6度であった。
【0100】
次に、着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験を次の要領で行った。
まず、風洞内に試料板を鉛直に固定し、試料板の表面温度を−7±2℃に維持する。この風洞内に相対湿度87±3%の湿気を含んだ空気(温度7±0.2℃)を試料板の表面に平行に風速1m/秒で流し、試料板表面に強制的に着霜させる。このフロスト運転は20分間続ける。
フロスト運転後直ちに試料板表面温度を5℃に加熱しデフロスト運転を開始する。空気はフロスト運転時と同じものを同じ条件で流す。デフロスト運転は2分間続ける。
このようなフロスト運転−デフロスト運転を1サイクルとし、これを連続して2サイクル行う。
以上が着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験の要領である。
【0101】
上記着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験により次の結果が得られた。
(1) 第1サイクルのフロスト運転開始10分後に着霜が始まった。この着霜開始時の試料板表面の状態をCCDカメラ(ELMO社製のCN401。商品名)で撮影した写真を図1(全体)及び図2(拡大。倍率1.2倍。以下同様)に示す。
また、フロスト運転開始から20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の着霜状態をCCDカメラで撮影した写真を図3(全体)及び図4(拡大)に示す。この写真から分かるように、試料板表面に形成された霜又は氷は綿状(針状結晶の集合体)であった。
【0102】
(2) 第1サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から着霜している霜又は氷が剥離し始めた。この霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図5(全体)及び図6(拡大)に示す。これら写真から分かるように、この試験例3では、氷は塊のままでずれ落ちている。なお、従来の熱交換器では、氷が略解けていた、また、氷が略解ける前に氷の塊がずれ落ちるようなことはなかった。
また、第1サイクルのデフロスト運転開始2分後のデフロスト運転終了時には完全に霜又は氷が試料板表面から剥がれ落ちてしまっていた。このデフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図7(全体)及び図8(拡大)に示す。これら写真から分かるように、デフロスト運転終了時の試料板表面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった。
【0103】
(3) 引き続く第2サイクルでは、フロスト運転開始6分後に着霜が始まった。
そして、第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図9(全体)及び図10(拡大)に示す。これら写真から分かるように、第1回目のフロスト運転の状態と比較し変化がない。
(4)次いで行った第2サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から霜又は氷が剥離し始めた。この霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図11(全体)に示す。
また、第2サイクルのデフロスト運転開始から30秒後には、試料板表面に付着した霜又は氷が略完全に剥離した。この霜又は氷が略完全に剥離したときの試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図12(全体)に示す。これら写真から分かるように、第2サイクルのデフロスト運転時においても、霜又は氷が塊のままでずれ落ちている。
また、第2サイクルのデフロスト運転開始から2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図13(全体)及び図14(拡大)に示す。これら写真から分かるように、第2サイクルのデフロスト運転終了後にも試料板表面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった。
【0104】
比較試験例2
試験例3において、低熱容量の無機粒子(d)を配合しなかったほかは同様にして調製した表面処理用組成物を用いて試料板を作製し、同様にして着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験を行った。その結果は次のようであった。
【0105】
(1) 第1サイクルのフロスト運転開始約5分後に着霜が始まり、第1サイクルのフロスト運転開始から約10分後にはほぼ全面が氷結した。このフロスト運転開始約10分後の、全面フロスト状態の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図15(全体)及び図16(拡大)に示す。
また、第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面における着霜状態をCCDカメラで撮影した写真を図17(全体)及び図18(拡大)に示す。
前述の試験例3と比較すると、フロスト運転終了時において着霜量の多いことが分かる。これは試験例3のものでは、試料板表面で結露した水滴が風圧で川下に流されたり、容易に下方に落下したりするため、フロスト運転により氷結する水滴が試料板表面に少ないことを示しているものと解釈できる。
【0106】
(2) 第1サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から着霜している霜又は氷が融解し始めた。この霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図19(全体)及び図20(拡大)に示す。これら写真から分かるように、氷が剥離しているところでは水玉模様の水滴が付着して霜又は氷が完全に融解した状態となっており、前述の試験例3のように氷の塊がずれ落ちる状況とは異なっている。
また、第1サイクルのデフロスト運転開始2分後のデフロスト運転終了時には完全に霜又は氷が融解した。このデフロスト運転終了時の試料板表面の状態を撮影した写真を図21(全体)及び図22(拡大)に示す。これら写真から分かるように、前述の試験例3とは異なり、デフロスト運転終了後の試料板表面には肉眼で観察できる大小の水滴が多数認められた。
【0107】
(3) 引き続く第2サイクルでは、運転開始6分後に着霜が始まった。
第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図23(全体)及び図24(拡大)に示す。これら写真から大きな水滴が氷結した状態であることが分かる。この点で第1回目のフロスト運転時の状態と比較し大きな変化のあることが分かる。これは、第1回目のデフロスト運転終了後の試料板表面に付着していた大きな水滴が氷結したものと思われる。
(4)次いで行った第2サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から霜又は氷が融解し始めた。デフロスト運転開始直後の霜又は氷が融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図25(全体)に示す。また、デフロスト運転開始1分後には霜又は氷が略完全に融解した。このときの試料板表面の状態を撮影した写真を図26(全体)に示す。これら写真から分かるように、付着した霜又は氷は塊のままでずれ落ちることなく融解している。
また、第2サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図27(全体)及び図28(拡大)に示す。これら写真から分かるように、前述の第1回目のデフロスト運転終了時より更に多くの大小の水滴が表面に残存していた。
【0108】
上記のように、本発明に係る表面構造を熱交換面部に施すと、熱交換面部が撥水性、滑水性及び易霜氷剥離性に優れたものとなる。
【0109】
次に、上記表面構造を、セパレート型空気調和機の室外ユニットに搭載される送風装置に施した実施の形態1及び実施の形態2について説明する。
【0110】
実施の形態1
実施の形態1として、トランク型のセパレート型空気調和機の室外ユニットの送風装置に前述の表面構造を形成した例について述べる。図29は、実施の形態1に係るセパレート型空気調和機のトランク型室外ユニットの側断面図である。
このトランク型室外ユニット1は、機器配置、各部の形状については従来一般のトランク型室外ユニットと同様である。すなわち、この室外ユニット1は、トランク型の外装ケース2の前面側に吹出グリル3が設けられ、その内部に送風装置4が設けられている。また、外装ケース2の背面には吸込グリル6が形成されており、この吸込グリル6に近接、かつ対面して室外側熱交換器7が配設されている。
なお、図29の室外ユニット1には圧縮機、制御盤等が搭載されているが、これら機器は図29では省略されている。
【0111】
そして、この実施の形態1に係る室外ユニット1に設けられる送風装置4は、プロペラ型羽根車4a、ファンモータ4b及びベルマウス4cからなる。そして、プロペラ型羽根車4a及びベルマウス4cの表面部に、前述の表面構造が形成されている。また、吹出グリル3の表面部にも同様の表面構造が形成されている。すなわち、これら部材の表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、表面部分A及び表面部分Bが前述の特性1及び特性2を充足している。
【0112】
また、この実施の形態のセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット1に収納されている室外側熱交換器7では、フィンの熱交換面部が、送風装置4におけるプロペラ型羽根車4aやベルマウス4cと同様に、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、表面部分A及び表面部分Bが前述の特性1及び特性2を充足する表面構造を形成するように構成されている。したがって、室外側熱交換器7の熱交換面部も撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性が付与されている。
【0113】
一般に、セパレート型空気調和機の室外ユニット1が暖房運転される場合、室外側熱交換器7は蒸発器として用いられる。このとき、室外側熱交換器7では、外気中の水分が室外側熱交換器7におけるフィンの熱交換面部で凝縮し水滴となって付着する。また、付着した水滴は外気温が低いときに霜又は氷となることがある。また、付着した水滴、霜又は氷は風圧により室外側熱交換器7の後流側通路の吹き飛ばされる。そして、吹き飛ばされた水滴、霜又は氷がプロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c、吹出グリル3などの表面部に付着する。特に、この実施の形態におけるように室外側熱交換器7におけるフィン熱交換表面に易霜氷剥離性が付与されていると、送風装置4の各部の表面部に付着する霜又は氷量が増加しやすくなる。
【0114】
また、吹出グリル3の近傍に送風装置4が取り付けられているため、降雪時、吹出グリル3を始めプロペラ型羽根車4a及びベルマウス4cの表面部に雪が付着する。
【0115】
この場合、従来の送風装置では、プロペラ型羽根車に付着した水滴、霜、氷又は雪が氷結し、その量が多くなって送風性能が低下するという虞があった。
特に、この実施の形態のように羽根車がプロペラ型羽根車4aの場合は、プロペラ型羽根車4aとファンケーシングとしてのベルマウス4cとの隙間寸法が微妙に変化し、送風性能に大きな影響を与える恐れがある。
【0116】
また、羽根車がプロペラ型羽根車4aである場合においてファンケーシングがベルマウス4cである場合には、プロペラ型羽根車4aとベルマウス4cとの隙間が微少寸法となっているので、送風性能に影響が出るばかりでなく、プロペラ型羽根車4aやベルマウス4cに氷結した霜又は氷によりプロペラ型羽根車4aの回転が阻止され、プロペラ型羽根車4aが損傷を受ける恐れがある。
【0117】
また、従来の送風装置を用いた室外ユニット1の場合では、プロペラ型羽根車4aと吹出グリル3とは位置が接近しているため、両者の間に霜、氷及び雪が介在しこれが氷結している場合には、プロペラ型羽根車4aが損傷を受ける恐れがあった。また、吹出グリル3に付着する霜、氷及び雪により、吹出グリル3が目詰まりして、風量が低下したり、騒音が増大したり、モータ消費電力が増加したりすることがあった。
【0118】
しかし、この実施の形態に係る送風装置4では、プロペラ型羽根車4a、ファンケーシングとしてのベルマウス4c及び吹出グリル3の表面部が撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性の付与された状態となっているため、このような問題が発生し難い。
【0119】
すなわち、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3の表面部に付着した水滴は、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3の表面部が撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性の付与された状態となっているため、球形状となって容易に飛散し、又は容易に下方に落下する。また、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3の表面部に付着した霜、氷、雪は、表面部分Aに接触している界面部分の霜、氷、雪が融解することにより連なって剥離されるので、従来のものに比し剥離され易い。
また、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3に付着した霜、氷、雪は、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が融解することにより連なって剥離されるので、従来のものに比し剥離され易くなる。さらに、剥離された後には、水滴、霜、氷、雪などの残存量が少なくなるため、従来に比し再氷結し難くなっている。
【0120】
このように、この実施の形態の室外ユニット1によれば、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3に付着した水滴、霜、氷又は雪は容易に脱落するように作用する。したがって、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3に水滴、霜、氷又は雪が付着することによる送風性能の低下を予防することができる。
【0121】
なお、上記実施の形態においては、プロペラ型羽根車4a、ベルマウス4c及び吹出グリル3に表面処理を施していたが、いずれか一つに施すようにしても従来のものに比し送風性能の低下やプロペラ型羽根車4aの損傷を予防することについての改善を行うことができる。
【0122】
また、吹出グリル3に付着する霜、氷及び雪により、吹出グリル3が目詰まりして、風量が低下したり、騒音が増大したり、モータ消費電力が増加したりすることを予防することができる。
【0123】
また、この実施の形態のセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット1によれば、室外側熱交換器7の熱交換面部は、撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性の付与されたものとなっているため、室外側熱交換器7の表面で凝縮して付着した凝縮水は、球形状となり、過冷却状態となり凍りにくくなる。したがって、熱交換面部に付着した霜の成長速度が低下し除霜が必要となる着霜量までの暖房運転時間が延長される。
【0124】
また、除霜運転時においては、表面部分Aと接触する界面部分の霜又は氷を融解することにより、表面部分A上の霜又は氷が剥離する。さらに、この剥離した表面部分A上の霜又は氷と表面部分Bに付着する霜又は氷とが少なくとも部分的に結合し、連なって剥離される。したがって、この室外側熱交換器7では、従来のように熱交換面部に接触する界面部分の霜又は氷を全面的に融解する必要がなくなり、表面部分Aに接触する霜又は氷のみを融解すればよく、除霜運転時間が短縮される。
また、この発明による室外側熱交換器7は、熱交換面部に易霜氷剥離性が付与されるので、冷凍運転時における着霜や氷結の核が少なくなり、冷凍運転時間の延長及び除霜運転時間の短縮を繰り返し発揮させることができる。このため、除霜に要する熱エネルギーが少なくて済むとともに、除霜運転時間が短縮される。
【0125】
なお、本発明は、本実施の形態1において室外側熱交換器7のフィンの熱交換面部に前述の表面構造を施すことを必須としているのではなく、室外側熱交換器7のフィンの熱交換面部に前述の表面構造を施していないものも包含する。
【0126】
実施の形態2
実施の形態2は、上吹出型のセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニットの送風装置に前述の表面構造を施したものである。図30は実施の形態2に係るセパレート型空気調和機の上吹出型室外ユニットの側断面図である。
【0127】
この上吹出型室外ユニット11は、機器配置、各部の形状については従来一般のトランク型室外ユニットと同様である。この室外ユニット11は、水平方向の寸法に比し高さ方向の寸法が大きい上吹出型の外装ケース12を備えている。またこの上面部に送風装置14が取り付けられている。
【0128】
この実施の形態2における送風装置14は、プロペラ型羽根車14a、ファンモータ14b、ベルマウス14c及び吹出グリル14dからなる。したがって、この実施の形態2における送風装置14は、実施の形態1の場合と異なり吹出グリル14dが送風装置として一体的に形成されている。そして、プロペラ型羽根車14a、ベルマウス14c及び吹出グリル14dの表面部は、前述の表面構造に形成されている。すなわち、これら部材の表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、表面部分A及び表面部分Bが前述の特性1及び特性2を充足している。
【0129】
また、外装ケース12の側面には吸込グリル16が形成されており、この吸込グリル16に近接、かつ対面して室外側熱交換器17が配設されている。
なお、図30の室外ユニット1には圧縮機、制御盤等が搭載されているが、これら機器は図30では省略されている。
【0130】
また、この実施の形態2のセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット11に収納されている室外側熱交換器17も、フィンの熱交換面部には送風装置14におけるプロペラ型羽根車14aやベルマウス14cと同様に、撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性を付与する表面構造が形成されている。
【0131】
したがって、この実施の形態2は吹出グリル14dが送風装置14の構成部品を形成している点、及び室外ユニット11が上吹出に構成されている点を除いて、基本的に実施の形態1と同一であり、実施の形態1と同一の作用効果をもたらすことができる。
【0132】
実施の形態3
実施の形態3は、上吹出型の冷却塔の送風装置に前述の表面構造を施したものである。図31は実施の形態3に係る冷却塔の側断面図である。
この冷却塔21は、機器配置、各部の形状については従来一般の冷却塔と同様である。すなわち、この冷却塔21は、有底円筒状の外装ケース22の上部に送風装置23を配置し、下部を集水部24としている。そして、外装ケース22の内側上部かつ送風装置23の下方部には、集水部24から吸い上げた被冷却水を充填材25の上方から散水するための噴霧ノズル26が設けられている。この噴霧ノズル26は、集水部24の水を吸い上げるための配管27の上部に低速度で回転するように取り付けられている。また、外装ケース22の側部には、外気を吸い込むための吸気口28が形成されている。なお、29は水滴飛散防止材である。
【0133】
送風装置4は、プロペラ型羽根車23a、ファンモータ23b、ベルマウス23cなどから構成されている。そして、プロペラ型羽根車23aの表面部及びベルマウス23cの内表面部は、前述の表面構造が形成されている。つまり、これら部材の表面部は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置され、表面部分A及び表面部分Bが前述の特性1及び特性2を充足する表面構造を形成するように構成されている。
【0134】
近年エネルギー消費量の増大により、冬場でも冷房を必要とする場合があり、このような冷房機のために冷却塔が使用されることがある。ところが、冬場において、運転停止中に降雪があった場合、一般に、冷却塔の送風装置の羽根車(具体的には、例えばプロペラ型羽根車)やファンケーシング(具体的には、例えばベルマウス)に雪が付着することがある。このような場合、羽根車の回転負荷が増大して消費電力が増大し、送風性能が低下して風量が低下し、騒音が大きくなる。また、プロペラ型羽根車とベルマウスとの間が塞がれてしまうと、プロペラ型羽根車23aが損傷を受ける恐れがある。
【0135】
ところがこの実施の形態の場合は、プロペラ型羽根車23a及びベルマウス23cの表面部が撥水性及び滑落性に優れ、易霜氷剥離性の付与された表面構造となっているため、プロペラ型羽根車23a及びベルマウス23cの表面部に付着した霜、氷、雪は、表面部分Aに接触している界面部分の霜、氷、雪が融解することにより連なって剥離されるので、従来のものに比し剥離され易くなっている。また、プロペラ型羽根車23a及びベルマウス23cに付着した霜、氷、雪は、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が融解することにより連なって剥離されるので、従来のものに比し容易に剥離され易くなっている。さらに、剥離された後には、水滴、霜、氷、雪などの残存量が少なくなるため、従来に比し再氷結し難くなっている。
【0136】
したがって、この実施の形態にかかる冷却塔においては、運転停止中にプロペラ型羽根車23aやベルマウス23cに霜、氷及び雪が付着してしまうことが殆どなく、送風性能23が高く維持されるので、冬季における冷却塔21の使用限界を拡大することができる。また、送風装置の騒音が増大しないので静粛な運転を継続行うことができる。また、送風装置23が損傷しない安全運転を行うことができる。
【0137】
上記実施の形態1〜3に述べた送風装置4、14,23は、何れも羽根車がプロペラ型羽根車4a、14a、23aであり、ファンケーシングがベルマウス4c、14c、23cであったが、本発明はこのような送風装置に限定されるものではなく、シロッコファンなどの他の形式の送風装置であってもよい。
【0138】
【発明の効果】
本発明の送風装置によれば、羽根車の表面部又はファンケーシングが撥水性及び滑落性に優れ、かつ易霜氷剥離性を付与された表面構造に形成されているため、羽根車の表面部に付着する凝縮水は容易に飛散され、また、羽根車の表面部に付着する霜、氷、雪は容易に剥離され、さらに剥離された後では霜、氷及び雪の付着量が増加しないため、羽根車の表面部に付着する霜、氷、雪がなくなるか又は少なくなる。これにより、送風装置の運転負荷の増大が予防され、送風性能の低下を予防し、騒音の増大が予防され、羽根車の損傷が予防される。
特に、羽根車がプロペラ型羽根車であり、ファンケーシングがベルマウスである場合に霜、氷及び雪による性能低下を顕著に予防することができ、羽根車の損傷を予防することができる。
【0139】
また、本発明のセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニットによれば、送風装置の送風性能が高く維持されるので暖房性能を高く維持することができる。また、送風装置の騒音の増大が抑制されるので静粛な運転を継続することができる。また、送風装置が損傷しないので安全運転を行うことができる。
【0140】
また、本発明に係る冷却塔によれば、送風装置の送風性能が高く維持されるので冬季における使用限界を拡大することができる。また、送風装置の騒音の増大が抑制されるので静粛な運転を継続することができる。また、送風装置が損傷しないので安全運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例3における第1サイクルのフロスト運転開始10分後の、着霜開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真である。
【図2】図1の部分拡大写真である。
【図3】試験例3における第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の着霜状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図4】図3の部分拡大写真である。
【図5】試験例3における第1サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の剥離状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図6】図5の部分拡大写真である。
【図7】試験例3における第1サイクルのデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図8】図7の部分拡大写真である。
【図9】試験例3における第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図10】図9の部分拡大写真である。
【図11】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図12】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始30秒後の、剥離略完了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図13】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図14】図13の部分拡大写真である。
【図15】比較試験例2における第1サイクルのフロスト運転開始約10分後の、全面フロスト状態の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図16】図15の部分拡大写真である。
【図17】比較試験例2における第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図18】図17の部分拡大写真である。
【図19】比較試験例2におけるで第1サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図20】図19の部分拡大写真である。
【図21】比較試験例2の第1サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図22】図21の部分拡大写真である。
【図23】比較試験例2の第2サイクルにおけるフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図24】図23の部分拡大写真である。
【図25】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図26】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始1分後の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図27】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真
【図28】図27の部分拡大写真である。
【図29】本発明の実施の形態1に係るセパレート型空気調和機のトランク型室外ユニットの側断面図である。
【図30】本発明の実施の形態2に係るセパレート型空気調和機の上吹出型室外ユニットの側断面図である。
【図31】本発明の実施の形態3に係る冷却塔の側断面図である。
【符号の説明】
1、11 室外ユニット
2、12 外装ケース
3、13 吸込グリル
4、14 室外ファン
4a、14a (羽根車としての)プロペラ型羽根車
4c (ファンケーシングとしての)ベルマウス
14d 吹出グリル
6、16 吸込グリル
7、17 室外側熱交換器
21 冷却塔
22 外装ケース
23 送風装置
23a プロペラ型羽根車
23c ベルマウス
24 集水部
26 噴霧ノズル

Claims (11)

  1. 羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備え、
    羽根車は、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bとが分散配置されてなる表面構造の表面部を有し、
    かつ、表面部分A及び表面部分Bは、下記の特性1及び特性2
    特性1;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が表面部分Bに接触している界面部分の霜又は氷より早く融解する特性
    特性2;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Bに付着している霜又は氷と表面部分Aに付着している霜又は氷の少なくとも一部とが連なって自重により部材表面から剥離する特性
    を充足するものであることを特徴とする送風装置。
  2. 羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備え、
    羽根車は、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施されてなる表面部を有することを特徴とする送風装置。
  3. 前記羽根車はプロペラ型羽根車であることを特徴とする請求項1又は2記載の送風装置。
  4. 羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備え、
    羽根車及びファンケーシングは、それぞれ、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bとが分散配置されてなる表面構造の表面部を有し、
    かつ、表面部分A及び表面部分Bは、下記の特性1及び特性2
    特性1;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が表面部分Bに接触している界面部分の霜又は氷より早く融解する特性
    特性2;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Bに付着している霜又は氷と表面部分Aに付着している霜又は氷の少なくとも一部とが連なって自重により部材表面から剥離する特性
    を充足するものであることを特徴とする送風装置。
  5. 羽根車と、送風機能を発揮するように羽根車と協働するファンケーシングとを備え、
    羽根車及びファンケーシングは、それぞれ、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施されてなる表面部を有することを特徴とする送風装置。
  6. 前記羽根車はプロペラ型羽根車であり、前記ファンケーシングはプロペラ型羽根車と協働するベルマウスであることを特徴とする請求項4又は5記載の送風装置。
  7. プロペラ型羽根車と、送風機能を発揮するようにプロペラ型羽根車と協働するベルマウスと、ベルマウスの開口部に設けられる吹出グリルとを備え、
    プロペラ型羽根車、ベルマウス及び吹出グリルは、それぞれ、低熱容量の表面部分Aと霜又は氷との結合性又は付着性が低い表面部分Bとが分散配置されてなる表面構造の表面部を有し、
    かつ、表面部分A及び表面部分Bは、下記の特性1及び特性2
    特性1;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Aに接触している界面部分の霜又は氷が表面部分Bに接触している界面部分の霜又は氷より早く融解する特性
    特性2;霜又は氷が付着している部材表面を加熱した場合、表面部分Bに付着している霜又は氷と表面部分Aに付着している霜又は氷の少なくとも一部とが連なって自重により部材表面から剥離する特性
    を充足するものであることを特徴とする送風装置。
  8. プロペラ型羽根車と、送風機能を発揮するようにプロペラ型羽根車と協働するベルマウスと、ベルマウスの開口部に設けられる吹出グリルとを備え、
    プロペラ型翼、ベルマウス及び吹出グリルは、それぞれ、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施されてなる表面部を有することを特徴とする送風装置。
  9. 前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、
    分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、
    低熱容量の粒子は、モル熱容量が7Ca/JK−1mol−1〜6Ca/JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、溶媒は有機溶媒系であり、
    さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の粒子が25〜200重量部、
    溶媒が400〜2,000重量部である
    ことを特徴とする請求項2、5又は8記載の送風装置。
  10. 外装ケースと、外装ケースに内蔵された室外側熱交換器及び室外ファンとを備え、
    前記室外ファンは、請求項1〜9の何れか1項に記載された送風装置であることを特徴とするセパレート型ヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット。
  11. 冷却する水を噴霧する噴霧ノズルと、噴霧された水と熱交換させるための外気を送風する送風装置と、外気と熱交換して冷却された噴霧水を集水する集水部とを備え、
    前記送風装置は、請求項1〜9の何れか1項に記載された送風装置であることを特徴とする冷却塔。
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JP2009287794A (ja) * 2008-05-27 2009-12-10 Mitsubishi Electric Corp ヒートポンプ式給湯機
JP2015209493A (ja) * 2014-04-25 2015-11-24 三菱電機株式会社 撥水性部材及びその製造方法、空気調和機の室外機、並びに換気扇
JP2016176624A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 株式会社コロナ ヒートポンプ冷温水機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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