JP4449314B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路に常に残留する僅かな水分によりカビやスライムが発生するのを防止する技術に関する。なお、ここでいう冷却空気通路は、蒸発器が取り付けられている部分から吹出口に至るまでの空気通路が相当する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機は、冷房運転される場合、一般的に吸込口から室内空気を吸入し、吸入された空気を蒸発器として作用する熱交換器で冷却し、冷却された空気を空気循環用ファンで搬送し、この冷却空気を吹出口から吹き出すように構成されている。また、このような空気調和機において、室内空気は、蒸発器で冷却され、室内空気中の水分が凝縮して熱交換器のフィンに付着し、蒸発器の下方に載置されるドレンパンに滴下して集められ、ドレン配管を介して外部に排出されていた。
なお、このような空気調和機としては、例えば、特許文献1に示したセパレート型空気調和機の壁掛け型室内機、或いは特許文献2に示したセパレート型空気調和機の天埋型室内機などがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002-1595595号公報
【特許文献2】
特開2001-194000号公報
【特許文献3】
特開平8-3477号公報
【特許文献4】
特開平8-3479号公報
【特許文献5】
特開昭57-34107号公報
【特許文献6】
特開昭62-7767号公報
【特許文献7】
特開昭62-174213号公報
【特許文献8】
特開平2-265979号公報
【特許文献9】
特開平2-298645号公報
【特許文献10】
特開平4-279612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような一般の空気調和機において、蒸発器で冷却された空気を室内側熱交換器から吹出口に案内する冷却空気通路の壁面は、運転中室内側熱交換器で冷却された相対湿度の高い冷却空気を通風させるように構成されている。しかし、運転停止中は室内空気が流通して乾燥されるような構成にはなっていない。このため、冷却空気通路を形成する壁面は、常に湿っぽい状態となっておりカビやスライムが発生し、衛生上好ましくないばかりか、悪臭を発生する原因ともなっていた。
また、一般の空気調和機において、冷却空気通路を形成する壁面の一部をなすドレンパンは、ドレンを排水しているので、他の冷却空気通路のない壁面に比して水分の量が多く、カビ、スライムが発生しやすい状況にある。
【0005】
更に、最近の空気調和機は、空気調和機の外形寸法をできるだけ小さくしようとすることから、ドレンを排水するためのドレンパン底面の勾配を大きくすることができず、ドレンパンの排水性が十分でないのが現状である。このようなことから、最近の空気調和機では、ドレンパンにおけるカビやスライムの発生が著しく、このようなカビやスライムによりドレン配管が詰まって水漏れを起すという問題も発生している。
また、最近の空気調和機では、上記のようにドレンパンの排水性を良くするための勾配を十分に取れないことから、ドレンパンからドレンがオーバーフローするのを防止するためにドレンパンを深く形成する傾向にある。このため、ドレンパン周辺部の立上壁部の上方に形成される空気通路の面積が小さくなりがちで、空気抵抗が大きくなっており風量確保の面で構造上の解決課題ともなっていた。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、ドレンパンをはじめとする冷却空気通路におけるカビやスライムの発生を抑制して、悪臭の発生を防止した空気調和機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の空気調和機は、蒸発器と、蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路とを備え、冷却空気通路の内壁面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、前記溶媒は有機溶媒系であり、さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部であることを特徴とする。
なお、本発明において、「蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路」というときは、循環空気を蒸発器するための壁面、例えば、ドレンパン、蒸発器の側板などにより形成された空気通路などを包含する。
【0008】
このようにすると、冷却空気通路の内壁面部に、モル熱容量が7JK −1 mol −1 〜6JK −1 mol −1 であって導電性を有する物質を主成分とする低熱容量の表面部分Aと、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子を主成分とする霜又は氷との結合性又は付着性が弱い表面部分Bとが分散配置された表面構造の塗膜が形成される。これにより、冷却空気通路の内壁面部が撥水性及び滑水性に優れたものとなる。そして、本発明者は、冷却空気通路の内壁面部にこの表面構造を形成することにより、冷却空気通路の内壁面部に付着する水分量が減少し乾燥され易くなることを発見した。したがって、本発明によれば、冷却空気通路の内壁面部でのカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0011】
また、本発明の空気調和機は、蒸発器と、蒸発器で生成されるドレンを受けるドレンパンとを備え、ドレンパンの内壁面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、前記溶媒は有機溶媒系であり、さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部であることを特徴とする。
【0012】
このようにすると、前記冷却空気通路の内壁面部に施された塗膜と同様の塗膜がドレンパンの内壁面部に施されたことになるので、ドレンパンの内壁面部が撥水性及び滑水性に優れたものとなり、ドレンパンの勾配が小さくても排水性が良好となる。
したがって、ドレンパンに付着する水分量が減少し乾燥され易くなり、冷却空気通路の内壁面部でのカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。また、ドレンパンの深さを浅くすることができるので、ドレンパン周辺部の立上壁部の高さを低くし、この立上壁部の上方の空気通路面積を大きくするという構造上の課題を解決することができる。
【0015】
また、本発明の空気調和機は、蒸発器と、蒸発器後流側に配置された空気循環用ファンとを備え、空気循環用ファンは、羽根車及びこの羽根車と協働するファンケーシングを備え、羽根車の外表面部及びファンケーシングの内表面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、前記溶媒は有機溶媒系であり、さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部であることを特徴とする。
【0016】
このようにすると、前記冷却空気通路の内壁面部に施された塗膜と同様の塗膜が羽根車の外表面部及びファンケーシングの内表面部に施されたことになるので、羽根車の外表面部及びファンケーシングの内表面部撥水性及び滑水性に優れた表面部となり、付着する水分量が減少し乾燥され易くなる。この結果、カビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0019】
また、上記空気調和機において、前記蒸発器は、内部に冷媒を流通させる熱交換チューブと、熱交換チューブと外気との間の熱交換を促進するフィンとを備え、このフィンの熱交換面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、前記溶媒は有機溶媒系であり、さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部であることを特徴とする。
【0020】
このようにすると、前記冷却空気通路の内壁面部に施された塗膜と同様の塗膜が蒸発器におけるフィンの熱交換面部に施されたことになるので、蒸発器におけるフィンの熱交換面部撥水性及び滑水性に優れた表面部となり、運転停止中に付着して残存する水分量が減少し、乾燥され易くなる。この結果、蒸発器におけるカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0024】
【発明の実施の形態】
(表面構造の説明)
以下本発明に係る実施の形態について説明するに当たり、まず、空気調和機の蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路の内壁面部に施す撥水性に優れた表面構造の特性について説明する。
この表面構造は、元々は蒸発器として作用する熱交換表面部に、撥水性及び滑水性に優れた易霜剥離性を付与する表面構造を施すために開発されたものである。本発明はこの目的で開発された表面構造を冷却空気通路に施すことにより、冷却空気通路内の内壁面部の表面の湿気を排除することができることを突き止めたものである。
【0025】
本発明において、空気調和機の冷却空気通路の内壁面部に施す表面構造は、下記特性1及び特性2を満たす表面部分A及び表面部分Bの2種類の表面部分が分散配置される。
【0026】
ここで、特性1及び特性2とは、前記に定義される特性をいう。これに関連して更に説明する。特性1は、表面部分Aと氷との密着結合関係をまず解くことにより、霜又は氷全体の離脱を容易にするための特性である。従来は、熱交換面部に接触している界面部分の霜又は氷を、単に融解することにより熱交換面部に付着する霜又は氷を離脱させようとしていたため、熱交換面部の大きい部分で融解が生じなければ霜又は氷の離脱現象は生じなかったが、本発明に係る表面構造によれば表面部分Aに接触する界面部分の融解のみで霜又は氷全体の離脱が生ずる状態となる。
【0027】
この場合において、霜又は氷の離脱を更に容易にするためには、表面部分Bが霜又は氷との結合性又は付着性が低い特性、例えば撥水性又は粗い表面などを有していることが好ましい。この場合、表面部分Aとの界面部分で霜又は氷の融解が生ずれば表面部分Bとの界面部分の融解の有無に関係なく特性2が生じ得る。
【0028】
特性2は、表面部分Bに付着する霜又は氷が必ずしも融解しなくても表面部分Bから剥離されることを示す特性である。この場合の特徴は、表面部分Aから先に離脱した霜又は氷の結晶と一体に表面部分Bの霜又は氷の結晶が剥離する点にある。なお、従来の着霜防止塗料(例えば、特許文献3、特許文献4参照)を塗布したものでは、剥離する前に全表面部分の霜又は氷も融解させなければならない。
【0029】
上記表面構造を部材表面部に付与すると、霜又は氷が付着している部材表面部に対し少ない熱エネルギーを加えるだけで容易に霜又は氷を除去できる。
【0030】
なお、この部材表面部には、表面部分A及び表面部分B以外の表面部分を有していてもよいが、表面部分A及び表面部分Bの上記特性1及び特性2を損なうものであってはならない。
【0031】
部材表面部に付着した霜の除去は、部材そのものに熱を加えてもよいし、霜又は氷の外側から加熱してもよい(例えば熱線照射や太陽光により)。何れの加熱方法によっても時間の長短はあるが、本発明の表面構造を有する部材では霜又は氷の剥離が生ずる。
【0032】
表面部分Aと表面部分Bの面積割合や平面形状、配置、表面部分の立体形状などは、上記特性1と特性2を満たす限り限定されないが、次のようなものが好ましい。
【0033】
表面部分Aと表面部分Bとの面積割合は、1/99〜99/1の広い範囲で選択できるが、エネルギー効率面から言えば特性2を発揮させることができる範囲内で表面部分Aの割合を少なくすることが望ましい。
【0034】
表面部分A、Bの平面形状と配置は、どのような形状や配置でもよい。具体例としては、表面部分Aと表面部分Bとが縞状に並んだもの、表面部分Aと表面部分Bとが海島状に配置されているもの、表面部分Aが表面部分B中に点状又は水玉状に分散しているもの(又はその逆)、表面部分Aが表面部分B上に格子状に配置されているもの(又はその逆)、表面部分Aが表面部分B上にリング状に配置されているもの(又はその逆)などを掲げ得る。
【0035】
表面部分A、Bの立体形状は、特に限定されず、平面状でも突起状でも異形でもよい。また、一方の表面が他方の表面より高いテラス状(角台状又は円台状など)であってもよい。
【0036】
次に本発明に係る表面構造の形成方法について説明する。
形成方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、(1)塗装による方法、(2)各種成形(モールディング)による方法、(3)各種化学的表面加工による方法、(4)各種物理的表面加工による方法、(5)積層体などの複合体とする方法などが揚げられる。
【0037】
以下塗装による方法について詳述する。
次の表面処理用組成物を部材表面部に塗装し、本発明に係る表面構造を形成する。
使用する表面処理用組成物としては、例えば、
(a)撥水性のバインダー樹脂、
(b)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、
(c)分散剤、
(d)低熱容量の無機粒子
及び
(e)溶媒
からなる表面処理用組成物が好ましい。
【0038】
この表面処理用組成物で形成された塗膜の表面構造において、表面部分Aは低熱容量の無機粒子(d)が形成し、表面部分Bは撥水性バインダー樹脂(a)とPTFE粒子(b)が形成しているものと推定される。
【0039】
撥水性バインダー樹脂(a)としては、撥水性であって、かつPTFE粒子(b)と低熱容量の無機粒子(d)とを均一な分散状態で保持できるものであればよい。また、撥水性の程度としては対水接触角が大きいほうが望ましく、表面部分Bの対水接触角を140度以上とするものが好ましい。ただ、撥水性バインダー樹脂(a)の単独塗膜表面の対水接触角が140度以上である必要はないが、100度以上であるのが、目的とする撥水性を部材表面部に付与する点から好ましい。
【0040】
このような撥水性バインダー樹脂(a)としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが揚げられるが、PTFE粒子の分散性などが優れる点からフッ素樹脂が好ましい。
【0041】
フッ素樹脂としては、従来公知のフッ素樹脂の中から選択できるが、耐候性、塗料化、溶剤溶解性などに有利なことから、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を主体とする共重合体が好ましい。
【0042】
これらのフッ素樹脂としては、例えば特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10などに記載の含フッ素共重合体が好ましく揚げられ、特に特許文献10記載の
(1) 下記式Iで表されるフルオロオレフィン構造単位
−CF2−CFX− (式I)
(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、水素原子又はトリフルオロメチル基である)
(2) 下記式IIで表されるβ−メチル置換α−オレフィン構造単位
−CH2−CR(CH3)− (式II)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である)
(3) 化学的硬化性反応性基を有する単量体に基づく構造単位
(4) エステル基を側鎖に有する単量体に基づく構造単位
及び
(5) 他の共重合可能な単量体に基づく構造単位
からなり、構造単位(1)が20〜60モル%、構造単位(2)が5〜25モル%、構造単位(3)が1〜45モル%、構造単位(4)が1〜45モル%及び構造単位(5)が0〜45モル%(ただし、構造単位(1)+(2)の合計が40〜90モル%である)含まれてなる数平均分子量1000〜500000の含フッ素共重合体が有用である。
【0043】
具体例としては、CTFE/イソブチレン(IB)/HBVE/プロピオン酸ビニル(VPi)共重合体、CTFE/IB/ヒドロキシエチルアリルエーテル(HEAE)/VAc共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi共重合体、CTFE/IB/HBVE/ベオバ9(シェル化学社製。商品名)共重合体、TFE/IB/HBVE/VBz共重合体、CTFE/IB/HBVE/マレイン酸ジエチル(DEM)共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/マレイン酸ジブチル(DBM)共重合体、CTFE/IB/HBVE/フマル酸ジエチル(DEF)共重合体、CTFE/IB/HEVE/フマル酸ジブチル(DBF)共重合体、HFP/IB/HBVE/VBz共重合体、TFE/2−メチル−1−ペンテン(MP)/HBVE/VPi共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/CH2=CH(CF2pCF3(p=1〜5)共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/VBz共重合体、CTFE/IB/HBVE/VAc共重合体、TFE/IB/HBVE/t−ブチル安息香酸ビニル(VtBz)共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/DEM共重合体、CTFE/IB/HBVE/VBz/DEF共重合体、CTFE/IB/HBVE/VPi/CH2=CH(CF2pCF3(p=1〜5)共重合体、CTFE/MP/HEVE/VPi共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/ビニル酢酸(VAA)共重合体、TFE/IB/HEVE/VAc/VAA共重合体、TFE/IB/HBVE/VPi/VBz/クロトン酸(CA)共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ9/VBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/ベオバ10/VtBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/VtBz/CA共重合体、TFE/IB/HBVE/DEMTFE/IB/HBVE/DFM/CA共重合体、/CA共重合体、TFE/MP/HBVE/VPi/VAA共重合体などが揚げられる。
【0044】
以上のフッ素樹脂の市販の商品としては、例えばゼッフル(ダイキン工業(株)製、ルミフロン(旭硝子(株)製)、フルオネート(大日本インキ(株)製)、セフラルコート(セントラル硝子(株)製)などが揚げられる。
【0045】
PTFE粒子(b)としては、重量平均分子量が500以上で500、000以下のものが好ましい。通常PTFEは重量平均分子量が100万〜1000万のものであるが、この範囲のPTFEは剪断力が加わるとフィブリル化するので、本発明で用いるPTFEは上記の範囲の分子量のPTFEを使用することが好ましい。好ましい重量平均分子量は600以上、特に5、000以上であり、また500、000以下、好ましくは200、000以下、更に好ましくは12、000以下である。
【0046】
また、平均粒子径としては、0.05μm以上で10μm以下の範囲のものが好ましい。平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、また好ましくは7μm以下、更には5μm以下である。
【0047】
更にPTFEはテトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、公知の変性剤で変性されている変性PTFEであってもよい。
【0048】
また、PTFE粒子は重合開始剤などに起因して分子末端に不安定基が存在するが、そうした末端基を完全にフッ素化して安定化したPTFE粒子が好ましい。特に好ましいPTFE粒子は、末端基が完全にフッ素化された重量平均分子量500〜20、000で平均粒子径が2〜10μmのものである。
【0049】
PTFE粒子(b)の市販品としては、例えばダイキン工業(株)製のルブロン、セントラル硝子(株)製のセフラルルーブなどが揚げられる。
【0050】
分散剤(c)はPTFE粒子(b)を撥水性バインダー(a)中に均一に分散させる作用を有する。ここで使用する分散剤は、例えば溶媒を使用する場合にPTFE粒子(b)を溶媒に分散させる作用だけでは足らず、塗膜中で撥水性バインダー樹脂に均一にPTFE粒子(b)を分散させる作用をもつことが必要である。したがって、好適な分散剤は、PTFE粒子(b)及び撥水性バインダー樹脂(a)の種類、更には溶媒(e)の種類を考慮して選択する。
【0051】
撥水性バインダー(a)としてフッ素樹脂を選択し、後述する溶媒(e)として有機溶媒を選択する場合、分散剤としては、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰返し単位を含む重合体(C1)が好ましい。
更に好ましくは、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーと非フッ素系ビニルモノマーとの共重合体が揚げられる。
【0052】
フルオロアルキル基を有するビニルモノマーは、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートであってもよく、更にフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートは、次の一般式で表されるものであってもよい。
Rf−A1−OC(=O)CB1=CH2
(式中、Rfは炭素数1〜21のフルオロアルキル基、B1は水素又はメチル基、A1は2価の有機基である。)
フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが例示できる。
【0053】
【化1】
Figure 0004449314
【0054】
(式中、Rfは炭素数1〜21のフルオロアルキル基、R1は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は水素又はメチル基、Arは置換基を有することもあるアリーレン基、nは1〜10の整数である。)
限定されないフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートの具体例を次に示す。
CF3(CH2)OCOCH=CH2
CF3CF2(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)3(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)4(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)5(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)6(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CH2)2OCOCH=CH2
CF3CF2(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)3(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CH2)3OCOCH=CH2
CF3CF2(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)3(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)4(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)5(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CH2)6OCOCH=CH2
CF3CF2(CH2)6OCOCH=CH2
CF3(CF2)3(CH2)6OCOCH=CH2
CF3(CF2)4(CH2)6OCOCH=CH2
CF3(CF2)5(CH2)6OCOCH=CH2
CF3(CF2)6(CH2)6OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)6OCOCH=CH2
CF3CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3CF2CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)3CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)4CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)6CH=CHCH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7CH=CHCH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)2(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)3(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2
H(CF2)(CH2)OCOCH=CH2
H(CF2)2(CH2)OCOCH=CH2
H(CF2)4(CH2)OCOCH=CH2
H(CF2)6(CH2)OCOCH=CH2
H(CF2)8(CH2)OCOCH=CH2
CF3CHFCF2(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)3(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)4(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)5(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)6(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)3(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)4(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)5(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)6(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)3(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)4(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)5(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)6(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7(CH2)3OCOC(CH3)=CH2
CF3(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)3(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)4(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)5(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)6(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7(CH2)6OCOC(CH3)=CH2
CF3CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)3CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)4CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)5CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)6CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7CH=CHCH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)2(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)3(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
H(CF2)(CH2)OCOC(CH3)=CH2
H(CF2)2(CH2)OCOC(CH3)=CH2
H(CF2)4(CH2)OCOC(CH3)=CH2
H(CF2)6(CH2)OCOC(CH3)=CH2
H(CF2)8(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3CHFCF2(CH2)OCOC(CH3)=CH2
CF3SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)2SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)3SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)4SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)6SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C25)(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3610(CF2)2SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
(CF3)2CFCH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)3CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CFCH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
【0055】
【化2】
Figure 0004449314
【0056】
上記のフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートは2種以上を混合して用いることももちろん可能である。
【0057】
非フッ素系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートエステルが挙げられる。(メタ)アクリレートエステルは、(メタ)アクリル酸と、脂肪族アルコール、例えば、一価アルコール又は多価アルコール(例えば、2価アルコール)とのエステルであってもよい。
【0058】
非フッ素系モノマーとしては、例えば以下のものを例示できる。
【0059】
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、アルコキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートグリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、グルコシルエチルメタクリレート、メタクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート等の(メタ)アクリレート類;スチレン、p−イソプロピルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類。
【0060】
更に、エチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、クロロプレン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルキルケトン、無水マレイン酸、N−ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0061】
また、非フッ素系モノマーは、ケイ素系モノマー(例えば、(メタ)アクリロイル基含有アルキルシラン、(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン)であってよい。
【0062】
含フッ素重合体(c(1))は、ラジカル重合法で製造できる。
【0063】
重合体(c(1))の重量平均分子量は比較的小さいものであり、3、000以上、更には5、000以上、特に7、000以上であり、また30、000以下、更には20、000以下、特に15、000以下であるが好ましい。
【0064】
低熱容量の無機粒子(d)としては、多くの金属単体又は非金属単体、更には一部の金属化合物の粒子が該当する。具体例としては、例えば金、銀、アルミニウム、鉄、銅などの金属;炭素、ホウ素などの非金属;その他金属化合物などを掲げることができる。
また、低熱容量の無機粒子(d)は、別の観点からは、導電性であることが望ましい。撥水性バインダーの多くは帯電性であり、塗膜表面に氷結の核となる塵を付着させやすいので、塗膜表面の帯電を防止することにより着氷(雪)を更に防止できる。
なお、耐候性を損なわないためには低熱容量の無機粒子も耐候性や耐食性、耐溶剤性に富むものが望ましい。
低熱容量の無機粒子(d)の熱容量としては、モル熱容量で7J−1mol−1以下が好ましい。下限は通常6J−1mol−1である。
低熱容量の無機粒子(d)の1次平均粒子径としては、分散性の点から2μm以上、12μm以下が好ましい。
【0065】
かかる低熱容量の無機粒子(d)としては、特に炭素の単体であるカーボンブラック、とりわけ結晶性のカーボンブラックが好ましい。
【0066】
なお、低熱容量の無機粒子(d)を配合するときは、その理由は不明であるが、撥水性の有無にかかわらず、滑落性が更に向上する。また、着霜してしまった場合の除霜を容易にする作用も期待できる。
【0067】
溶媒(e)は、表面処理組成物の各成分の均一な混合を容易にし、塗膜の形成を容易にし、更に各種成分を撥水性バインダー樹脂(a)中に均一分散させる観点から有用である。したがって、溶媒(e)は他の成分(a)、(b)、(c)及び(d)を考慮して選択される。
【0068】
溶媒(e)としては水などの無機溶媒系でもよいが、上記観点から有機溶媒系が好ましい。有機溶媒系としては単一の溶媒でも2種以上の混合溶媒系でもよい。2種以上使用する場合は、極性有機溶媒と非極性有機溶媒を含むことが他の各成分をより一層均一に分散させ得る点から望ましい。
【0069】
極性有機溶媒としては、例えば酢酸ブチル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどが揚げられる。
【0070】
非極性有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンのほか、石油スピリッツであるターペンなどが揚げられる。
【0071】
特に酢酸ブチルと石油系溶剤(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ターペンなど)とを混合使用することにより、得られる塗膜の滑水性を調節できる。混合割合は組み合わせる溶剤の種類によって異なり任意であるが、同じ重量か酢酸ブチルの多いほうが滑水性に優れ好ましい。
【0072】
本発明の表面処理組成物における好ましい配合割合は、撥水性のバインダー樹脂(a)100重量部に対して(以下、特に断らない限り同じ)、PTFE粒子(b)は100重量部以上で200重量部以下であり、分散剤(c)は5重量部以上で30重量部以下である。低熱容量の無機粒子(d)は25重量部以上で200重量部以下、また溶媒(e)は400重量部以上で2000重量部以下とすることが好ましい。
【0073】
かかる表面処理組成物は、塗膜を形成できる形態であれば種々の形態に調製できるが、塗膜の形成が容易な点から溶媒型塗料に調製するのが好ましく、塗装性や分散性の点から固形分濃度を5〜40重量%、特に15〜30重量%とするのが好ましい。また、本発明の目的を損なわない限り、顔料、他の樹脂類、流動調整剤、色分かれ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0074】
溶媒型塗料としての表面処理用組成物の調製は、溶剤(e)に各成分を投入し、充分攪拌して行う。攪拌方法としては特に限定されないが、超音波攪拌法や強制攪拌法などがPTFE粒子(b)や低熱容量の無機粒子(d)などの粒子成分を容易に均一に分散できる点から好ましい。
【0075】
塗装方法としては特に限定されず、例えばディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレー法などの方法が採用できる。塗布後、室温で乾燥するか、必要に応じて加熱乾燥させて硬化被膜を形成する。
【0076】
塗膜の膜厚は適用部分によって適宜選定すればよいが、通常10μm以上、更には30μm以上、また0.2mm以下、更には0.1mm以下が好ましい。
【0077】
塗布する基材は特に限定されず、着霜が問題となる熱交換器によって決まる。例えばアルミニウム、ステンレススチール、銅、各種合金、セラミックスなどが揚げられる。
【0078】
かくして得られる塗膜(熱交換面部を形成する表面構造)は、熱交換面部に表面部分Aと表面部分Bを与え、易霜氷剥離性を有するものである。
更にこの塗膜は、熱交換面部の滑落角(4μリットル水滴)を10度以下、更に好ましくは5度以下にすることができ、また、塗膜表面の対水接触角を140度以上、更には145度以上、特に150度以上にし、撥水性表面に形成された微小な水滴も容易に滑落し、着霜の核を形成させず、着霜を防止する効果を向上させるものである。
【0079】
(表面構造についての試験例)
次に、上記塗膜により表面構造を形成した試験例について説明する。なお、本発明に係る塗膜形成方法は下記の試験例に用いた形成方法に限定されるものではない。
【0080】
比較試験例1
撥水性バインダー樹脂(a)としてダイキン工業(株)製のゼッフルGK−510、PTFE粒子(b)としてセントラル硝子(株)製のセフラルルーブ(商品名。平均一次粒子径5〜10μmの変性PTFE。重量平均分子量1500〜20000)、分散剤(c)としてダイキン工業(株)製のユニダインTG−656を用い、表1に記載の量を表1に示す有機溶剤(e)に投入し、超音波攪拌法により攪拌混合して表面処理用組成物を調製した。
【0081】
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板(JISH4000のA1200系。100mm×100mm)上にスプレー法で塗装し、室温で1日間放置して硬化させた後、塗膜表面を洗浄せずに乾燥して試験用の塗板(塗膜の膜厚20μm)を作製した。
【0082】
この塗板について以下の方法により、対水接触角及び滑落角(4μリットル)を調べた。結果を表1に示す。
【0083】
なお、対水接触角は次のようにして測定した。
JISR3257に準じ、協和界面科学(株)製の接触角計(CA−VP、商品名)により、温度15〜20℃、相対湿度50〜70%で測定した。対水接触角の角度は大きいほうが撥水性が高い。
【0084】
また、滑落角は次のようにして測定した。
塗板を協和界面科学(株)製の接触角計(CA−VP、商品名)に水平に固定し、温度17±1℃で相対湿度60±2%の環境下に水平に載置された試料板上に蒸留水を4μリットル滴下して水滴を形成し、次いで試料板を角度0.1度ずつ傾斜させていき、水滴が転がり始めたときの試料板の角度を測定した。表に示す測定値は初回の滑落角である。滑落角の角度は小さいほうが水滴滑落性(滑水性)がよい。
【0085】
【表1】
Figure 0004449314
【0086】
試験例1
上記の比較試験例1において、成分(a)、(b)、(c)及び(e)の配合割合を表2に示す割合とし、更に低熱容量の無機粒子(d)として表2に示す粒子を同表に示す量加えたほかは試験例1と同様にして表面処理用組成物を調製し塗装して試験用の塗板を作製した。攪拌方法は超音波攪拌法を採用した。
【0087】
この塗板について、対水接触角及び転落角を比較試験例1と同様にして調べた。結果を表2に示す。この結果から、低熱容量の無機粒子(d)を加えることにより滑落性を改善し得ることが分かる。
【0088】
なお、表2中の低熱容量の無機粒子(d)は次のものである。
CB:カーボンブラック(シグマ・アルドリッチ製。一次平均粒子径2〜12μm)
GF:天然黒鉛(一次平均粒子径約3μm)
【0089】
【表2】
Figure 0004449314
【0090】
試験例2
試験例1の実験番号2−2(カーボンブラック粒子)及び実験番号2−8(天然黒鉛粒子)において、得られた塗膜を120℃で10時間加熱硬化させ、試験用の塗板を作製した。
【0091】
この加熱硬化塗板について、対水接触角及び転落角を比較試験例1と同様に調べた。その結果を表3に示す。この試験例2においても比較試験例1のものに比し滑落性を改善し得ることが分かる。
【0092】
【表3】
Figure 0004449314
【0093】
試験例3
撥水性バインダー樹脂(a)としてダイキン工業(株)製のゼッフルGK−510を4.0g、PTFE粒子(b)としてセントラル硝子(株)製のセフラルルーブ(商品名。平均一次粒子径5〜10μmの変性PTFE。重量平均分子量1500〜20000)を4.0g、分散剤(c)としてダイキン工業(株)製のユニダインTG−656を4.0g、低熱容量の無機粒子(d)としてカーボンブラック(シグマ・アルドリッチ製。平均粒子径2〜12μm)を2.0g用い、酢酸ブチル20gとヘプタン20gの混合溶媒に投入し、超音波攪拌により攪拌混合して表面処理用組成物を調製した。
【0094】
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板(JIS H4000のA1200系。100mm×100mm)上にスプレー法で塗装し、室温で1日間放置して硬化させた後、塗膜表面を洗浄しないで乾燥して試験用の塗板(塗膜の膜厚20〜30μm)を作製した。
【0095】
この塗板をついて対水接触角及び滑落角(4μリットル)を前述の比較試験例1と同様の方法で測定したところ、対水接触角は152.1度であり、滑落角は4.6度であった。
【0096】
次に、着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験を次の要領で行った。
まず、風洞内に試料板を鉛直に固定し、試料板の表面温度を−7±2℃に維持する。この風洞内に相対湿度87±3%の湿気を含んだ空気(温度7±0.2℃)を試料板の表面に平行に風速1m/秒で流し、試料板表面に強制的に着霜させる。このフロスト運転は20分間続ける。
フロスト運転後直ちに試料板表面温度を5℃に加熱しデフロスト運転を開始する。空気はフロスト運転時と同じものを同じ条件で流す。デフロスト運転は2分間続ける。
このようなフロスト運転−デフロスト運転を1サイクルとし、これを連続して2サイクル行う。
以上が着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験の要領である。
【0097】
上記着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験により次の結果が得られた。
(1) 第1サイクルのフロスト運転開始10分後に着霜が始まった。この着霜開始時の試料板表面の状態をCCDカメラ(ELMO社製のCN401。商品名)で撮影した写真を図1(全体)及び図2(拡大。倍率1.2倍。以下同様)に示す。
また、フロスト運転開始から20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の着霜状態をCCDカメラで撮影した写真を図3(全体)及び図4(拡大)に示す。この写真から分かるように、試料板表面に形成された霜又は氷は綿状(針状結晶の集合体)であった。
【0098】
(2) 第1サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から着霜している霜又は氷が剥離し始めた。この霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図5(全体)及び図6(拡大)に示す。これら写真から分かるように、この試験例3では、氷は塊のままでずれ落ちている。なお、従来の熱交換器では、氷が略解けていた、また、氷が略解ける前に氷の塊がずれ落ちるようなことはなかった。
また、第1サイクルのデフロスト運転開始2分後のデフロスト運転終了時には完全に霜又は氷が試料板表面から剥がれ落ちてしまっていた。このデフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図7(全体)及び図8(拡大)に示す。これら写真から分かるように、デフロスト運転終了時の試料板表面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった。
【0099】
(3) 引き続く第2サイクルでは、フロスト運転開始6分後に着霜が始まった。
そして、第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図9(全体)及び図10(拡大)に示す。これら写真から分かるように、第1回目のフロスト運転の状態と比較し変化がない。
(4)次いで行った第2サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から霜又は氷が剥離し始めた。この霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図11(全体)に示す。
また、第2サイクルのデフロスト運転開始から30秒後には、試料板表面に付着した霜又は氷が略完全に剥離した。この霜又は氷が略完全に剥離したときの試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図12(全体)に示す。これら写真から分かるように、第2サイクルのデフロスト運転時においても、霜又は氷が塊のままでずれ落ちている。
また、第2サイクルのデフロスト運転開始から2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図13(全体)及び図14(拡大)に示す。これら写真から分かるように、第2サイクルのデフロスト運転終了後にも試料板表面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった。
【0100】
比較試験例2
試験例3において、低熱容量の無機粒子(d)を配合しなかったほかは同様にして調製した表面処理用組成物を用いて試料板を作製し、同様にして着霜(フロスト)−除霜(デフロスト)試験を行った。その結果は次のようであった。
【0101】
(1) 第1サイクルのフロスト運転開始約5分後に着霜が始まり、第1サイクルのフロスト運転開始から約10分後にはほぼ全面が氷結した。このフロスト運転開始約10分後の、全面フロスト状態の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図15(全体)及び図16(拡大)に示す。
また、第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面における着霜状態をCCDカメラで撮影した写真を図17(全体)及び図18(拡大)に示す。
前述の試験例3と比較すると、フロスト運転終了時において着霜量の多いことが分かる。これは試験例3のものでは、試料板表面で結露した水滴が風圧で川下に流されたり、容易に下方に落下したりするため、フロスト運転により氷結する水滴が試料板表面に少ないことを示しているものと解釈できる。
【0102】
(2) 第1サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から着霜している霜又は氷が融解し始めた。この霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図19(全体)及び図20(拡大)に示す。これら写真から分かるように、氷が剥離しているところでは水玉模様の水滴が付着して霜又は氷が完全に融解した状態となっており、前述の試験例3のように氷の塊がずれ落ちる状況とは異なっている。
また、第1サイクルのデフロスト運転開始2分後のデフロスト運転終了時には完全に霜又は氷が融解した。このデフロスト運転終了時の試料板表面の状態を撮影した写真を図21(全体)及び図22(拡大)に示す。これら写真から分かるように、前述の試験例3とは異なり、デフロスト運転終了後の試料板表面には肉眼で観察できる大小の水滴が多数認められた。
【0103】
(3) 引き続く第2サイクルでは、運転開始6分後に着霜が始まった。
第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図23(全体)及び図24(拡大)に示す。これら写真から大きな水滴が氷結した状態であることが分かる。この点で第1回目のフロスト運転時の状態と比較し大きな変化のあることが分かる。これは、第1回目のデフロスト運転終了後の試料板表面に付着していた大きな水滴が氷結したものと思われる。
(4)次いで行った第2サイクルのデフロスト運転では、デフロスト運転開始直後から霜又は氷が融解し始めた。デフロスト運転開始直後の霜又は氷が融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図25(全体)に示す。また、デフロスト運転開始1分後には霜又は氷が略完全に融解した。このときの試料板表面の状態を撮影した写真を図26(全体)に示す。これら写真から分かるように、付着した霜又は氷は塊のままでずれ落ちることなく融解している。また、第2サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真を図27(全体)及び図28(拡大)に示す。これら写真から分かるように、前述の第1回目のデフロスト運転終了時より更に多くの大小の水滴が表面に残存していた。
【0104】
上記のように、本発明に係る表面構造を、蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路の内周壁面部に施した実施の形態1、及び2について説明する。
なお、このような表面構造を冷却空気通路の内周壁面に施すと、この内周壁面にカビやスライムが発生しなくなることは、下記のような実施の形態1及び実施の形態2に係る空気調和機に施すにより確認された。
【0105】
次に、上記表面構造を空気調和機の室外ユニットに搭載された空気調和機に適用した実施の形態1及び実施の形態2について説明する。
【0106】
実施の形態1
実施の形態1として、セパレート型空気調和機の壁掛け型室内ユニットにおいて蒸発器として作用する熱交換器で冷却された空気が通過する冷却空気通路の内壁面部に前述の表面構造を施した例について述べる。図29は、実施の形態1に係るセパレート型空気調和機の壁掛け型室内ユニットの側断面図である。
【0107】
この壁掛け型室内ユニット1は、機器配置、各部の形状については従来公知の壁掛け型室内ユニットと同様である。
すなわち、この室内ユニット1は、ケーシング2、ケーシング2の内部に配置されたクロスフローファン3、熱交換器4及びドレンパン5を有している。そいて、この室内ユニット1は、壁面部に取り付けて使用される。
【0108】
ケーシング2は、ケーシング本体10とケーシング本体10の前方正面に装着される前面パネル11と、後方に位置するフレーム12とを有している。
また、ケーシング本体10の上面部には多数のスリット状開口部からなる上部吸込口10aが設けられている。また、ケーシング本体10の前面下部にはクロスフローファン3から吐出される空気の吹出口10bが設けられている。
また、前面パネル11には上方及び側方に開口する前面吸込口11aが設けられている。そして、前面吸込口11aの内面及び前述の上部吸込口10aの内方にはエア-フィルター13が取り付けられている。
【0109】
また、フレーム12は、背板12aとクロスフローファン3の後部ケーシング3aとが一体に構成されている。そして、フレーム12にケーシング本体10が取り付けられ、ケーシング本体10に前面パネルが取り付けられることにより、ケーシング2が構成されている。
【0110】
クロスフローファン3は、この後部ケーシング3aと、前部ケーシング3bと、側板3cと、羽根車3dとから構成されている。なお、前部ケーシング3bは、舌部13a及び前側ガイド13bから構成されている。
【0111】
熱交換器4は、クロスフローファン3の前方、上方及び後方上部を取り囲むように設けられている。この熱交換器4はヘアピン状の熱交換パイプ4aにプレートフィン4bを取り付けたものである。また、このプレートフィン4bの熱交換面部及び熱交換器4の側板には、前述の表面構造が形成されている。なお、熱交換器4の側板は、図29には図示されていないが、プレートフィンの4bの最両側に取り付けられており、吸込口10a,11aから吸入された室内空気が全て熱交換器4を通過するように構成されている。
【0112】
ドレンパン5は、後部ドレンパン15bと後部ドレンパン15bとから構成されている。前部ドレンパン15aは、クロスフローファン3の前部ケーシング3bを利用し、前部ケーシング3bの上面側に形成されている。また、後部ドレンパン15bは、クロスフローファン3の後部ケーシング3aを利用し、前部ケーシング3bの上面側に形成されている。なお、このドレンパン15a、15b内に集められたドレンは、ドレンパン15a、15b内の1ヶ所に設けられたドレン排水口(図示せず)からドレン配管(図示せず)を介して排水される。また、排水を容易にするためにドレンパン15a、15bの内面は排水口に向かって勾配が設けられている。また、ドレンパン15a、15bの周辺部の立上壁の高さはドレンパン15a、15b内に滞留するドレンが溢れないような高さ(例えば、後部ドレンパン15bについていえば、H1である)に設定されている。したがって、ドレンパン15a、15bの排水性が良好であるとこの高さH1を小さくすることができ、この立上壁の上部に形成される空気通路の高さ(例えば、後部ドレンパン15bについていえば、H2である)を大きくすることができる。
【0113】
このように形成された空気調和機において、熱交換器4が蒸発器として作用するときに、前面吸込口11a及び上部吸込口10aから吸入された室内空気は、熱交換器4で冷却される。したがって、熱交換器4で冷却された後の空気は相対湿度の高い空気となって吹出口10bから吹き出される。このため、ドレンパン15a、15b、熱交換器4の側板、クロスフローファン3の後部ケーシング3a、前部ケーシング3b、側板3cなどから構成される冷却空気通路内には運転中湿度の高い空気が常時流通している。また、熱交換器4から排出される空気中には熱交換器4で凝縮したドレンの水滴が含まれることもあり、この水滴が冷却空気通路の内壁面部に付着することもあり得る。
【0114】
したがって、従来の空気調和機の場合は、室内ユニット1が冷房運転されているときには冷却空気通路内に水分が僅かに残存した状態となる。また、運転が停止された後においては、前面吸込口11a、上部吸込口10a及び吹出口10bなどの開口部の面積が限られていること、エアーフィルタ13、クロスフローファン3、熱交換器4などが抵抗となっていることから、室内空気が冷却空気通路内を換気する量が少ない。このため、冷却空気通路内の内壁面部は、運転停止中に乾燥されることがなく、カビやスライムが発生していた。
特に、ドレンパン15a、15bや、熱交換器4の側板には運転中に水滴が多く付着するため、カビやスライムの発生量が多くなっていた。また、熱交換器4のプレートフィン4bも常時水滴で覆われているため、カビやスライムが発生しやすい状態となっていた。
【0115】
そこで、この実施の形態の場合は、ドレンパン15a、15b、熱交換器4の側板、クロスフローファン3の後部ケーシング3a、前部ケーシング3b、側板3cなどから構成される冷却空気通路の内壁面部には、前述の表面構造が形成されている。また、前述のように、プレートフィン4bにも同様の表面構造が形成されている。
【0116】
したがって、この実施の形態1の空気調和機では次のような効果を奏することができる。
冷却空気通路の内壁面部の撥水性が極めて良好であり、冷却空気通路の内壁面部の水分の残存量は運転中から極めて少なくなっている。このため、運転停止中に冷却空気通路内を還流する気流が僅かであっても迅速に乾燥される。この結果、冷却空気通路の内壁面部にカビやスライムが抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0117】
また、ドレンパン15a、15bの内部でのカビやスライムの発生が抑制されるため、ドレン配管がこれらカビやスライムで詰まり、水漏れを起すようなことがない。
また、ドレンパン15a、15bの排水性が向上するため、ドレンパン15a、15bの周辺部に形成される立上壁の高さ(例えば、高さH1)を小さくすることができ、立上壁の上部に形成される空気通路面積を拡大することができる。
【0118】
また、蒸発器として作用する熱交換器4におけるフィン4bの熱交換面部が、撥水性に優れた表面部となるように形成されているので、運転停止中に付着して残存する水分量が減少し、乾燥され易くなる。この結果、熱交換器4におけるカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0119】
なお、実施の形態1及び実施の形態2において、クロスフローファン3の羽根車には前述の表面構造を適用していなかったが、この羽根車も相対湿度の高い冷却空気に晒されているので、前述の冷却空気通路及び熱交換器4と同様にカビやスライムの発生する可能性があるので、この羽根車についても前述の表面構造を形成するようにしてもよい。
【0120】
また、この実施の形態においては、ドレンパン15a、15b、熱交換器4の側板、クロスフローファン3の後部ケーシング3a、前部ケーシング3b及び側板3cなどから構成される冷却空気通路の内壁面部全てに前述の表面構造を施していたが、これらの一部に施すものも本発明に包含される。
【0121】
実施の形態2
実施の形態2は、セパレート型空気調和機の天井埋込型室内ユニットにおいて蒸発器で作用する熱交換器で冷却された空気が通過する冷却空気通路の内壁面部に前述の表面構造を施した例である。図30は実施の形態2に係るセパレート型空気調和機の天井埋込型室内ユニットの側断面図である。
【0122】
この天井埋込型室内ユニット21は、機器配置、各部の形状については従来公知の天井埋込型室内ユニットと同様である。
この実施の形態2における天井埋込型室内ユニット21は、ケーシング22、ケーシング22の内部に配置されたターボファン23、熱交換器24及びドレンパン25を有している。そして、天井板26に形成された開口部27からケーシング22の底面部が露出するように本体部分を埋め込んで設置されるものである。
【0123】
ケーシング21は、下方に向かって開口する箱状のケーシング本体31と、箱状のケーシング本体31の底面開口部を覆う化粧パネル32とにより構成されている。なお、ケーシング本体31は、図示しないが、吊り金具により上方の梁等に吊り下げられて固定されている。
【0124】
また、化粧パネル32の略中央には正方形状に開口するように吸込口33が形成されている。そして、吸込口33の4辺の直ぐ外側には、それぞれの辺に沿うように細長の吹出口34が形成されている。そして、吸込口33には全面にわたってエアーフィルタ35が取り付けられている。また、吹出口34には風向を変更するための羽根36が取り付けられている。
【0125】
ターボファン23は、ターボファン23の下方の吸込口33からから吸い込んだ空気を水平方向に噴出すように、回転軸23aを垂直にして取り付けられている。なお、41はケーシング本体31に取り付けられたファンモータである。また、ターボファン23の羽根車42と吸込口33との間には、室内空気をターボファン23に案内するための4角形の垂直仕切壁43、ベルマウス44、ベルマウス44と垂直仕切壁43との開口部を水平に仕切る水平仕切板44が設けられている。なお、前述の吹出口34はケーシング本体31とこの垂直仕切壁43との間に形成されている。
【0126】
熱交換器24は、4角形の垂直仕切壁43の上部四辺に垂直に載置されている。また、熱交換器24は、ヘアピン状の熱交換パイプ24aにプレートフィン24bを取り付けたものである。なお、ターボファン23から吹き出された空気が全てこの熱交換器24を通過するように、熱交換器24の側面には冷却空気通路を形成する側板(図示せず)が取り付けられている。また、このプレートフィン24bの熱交換面部及び熱交換器4の側板には、前述の表面構造が形成されている。
【0127】
また、ドレンパン25は、前述の垂直仕切壁43の頂部を広げるようにして形成されている。したがって、熱交換器24はより具体的にはこのドレンパン25の内面上に載置されている。また、ドレンパン25の底面は排水口(図示せず)に向かって勾配が形成されている。また、ドレンパン25の周辺部の立上壁25aの高さH3はドレンパン25内に滞留するドレンが溢れないように設定されている。したがって、ドレンパン25の排水性が良好であるとこの高さH3を小さくすることができ、立上壁25aの上部に形成される空気通路の高さH4を大きくすることができる。
【0128】
このように構成された空気調和機では、ターボファン23の駆動により吸込口33から吸入された室内空気は、熱交換器24で冷却され、ケーシング本体31と熱交換器24との間、及びケーシング本体31と垂直仕切壁43との間を通過して吹出口34から吹き出される。したがって、この場合において、ドレンパン25、熱交換器24の側板、ケーシング本体31及び垂直仕切壁43が冷却空気通路を形成している。
【0129】
また、この実施の形態2においては、実施の形態1の場合と同様に、冷却空気通路を構成する部材の内壁面部、すなわち、ドレンパン25、熱交換器24の側板、及びケーシング本体31の内壁面部及び垂直仕切壁43の外周側壁面部には、前述の表面構造が形成されている。また、前述のように、プレートフィン24bにも同様の表面構造が形成されている。
【0130】
したがって、この実施の形態2では、実施の形態1の場合と同様に、次の効果を奏することができる。
冷却空気通路の内壁面部の撥水性が極めて良好であり、冷却空気通路の内壁面部の水分の残存量は運転中から極めて少なくなっている。このため、運転停止中に冷却空気通路内を還流する気流が僅かであっても迅速に乾燥される。この結果、冷却空気通路の内壁面部にカビやスライムが抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0131】
また、ドレンパン25内部でのカビやスライムの発生が抑制されるため、排水口に接続されるドレン配管(図示せず)がこれらカビやスライムで詰まり、水漏れを起すようなこともない。
また、ドレンパン25の排水性が向上するため、ドレンパン25の周辺部に形成される立上壁25aの高さ(例えば、高さH3)を小さくすることができ、立上壁25aの上部に形成される空気通路面積を拡大することができる。
【0132】
また、蒸発器として作用する熱交換器24におけるフィンの熱交換面部が、撥水性に優れた表面部となるように形成されているので、運転停止中に付着して残存する水分量が減少し、乾燥され易くなる。この結果、熱交換器24におけるカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【0133】
なお、上記実施の形態1及び2において、吹出口34には水滴が付着され易いが、この吹出口周辺部は運転停止中も室内空気に晒されており、乾燥しやすい個所となっているので、上述の表面構造は施されていない。また、逆にこの吹出口34では室内空気が誘引されるため水滴が付着し易いので吹出口が冷却風で冷やされないようにするための植毛が施されている。
【0134】
また、この実施の形態においては、ドレンパン25、熱交換器24の側板、ケーシング本体31及び垂直仕切壁43などから構成される冷却空気通路の内壁面部全てに前述の表面構造を施していたが、これらの一部に施すものも本発明に包含される。
【0135】
【発明の効果】
本発明の空気調和機によれば、冷却空気通路の内壁面部の撥水性が極めて良好であり、冷却空気通路の内壁面部の水分の残存量は運転中から極めて少なくなっている。このため、運転停止中に冷却空気通路内を還流する気流が僅かであっても迅速に乾燥される。この結果、冷却空気通路の内壁面部にカビやスライムが抑制され、悪臭の発生が防止される。
また、ドレンパン内部でのカビやスライムの発生が抑制されるため、ドレン配管がこれらカビやスライムで詰まり、水漏れを起すようなこともない。
また、ドレンパンの排水性が向上するため、ドレンパンの周辺部に形成される立上壁の高さを小さくすることができ、立上壁の上部に形成される空気通路面積を拡大することができる。
【0136】
また、蒸発器として作用する熱交換器におけるフィンの熱交換面部が、撥水性に優れた表面部となるように形成されているので、運転停止中に付着して残存する水分量が減少し、乾燥され易くなる。この結果、熱交換器におけるカビやスライムの発生が抑制され、悪臭の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例3における第1サイクルのフロスト運転開始10分後の、着霜開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した写真である。
【図2】図1の部分拡大写真である。
【図3】試験例3における第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の着霜状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図4】図3の部分拡大写真である。
【図5】試験例3における第1サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の剥離状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図6】図5の部分拡大写真である。
【図7】試験例3における第1サイクルのデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図8】図7の部分拡大写真である。
【図9】試験例3における第2サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図10】図9の部分拡大写真である。
【図11】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の剥離開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図12】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始30秒後の、剥離略完了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図13】試験例3における第2サイクルのデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図14】図13の部分拡大写真である。
【図15】比較試験例2における第1サイクルのフロスト運転開始約10分後の、全面フロスト状態の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図16】図15の部分拡大写真である。
【図17】比較試験例2における第1サイクルのフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図18】図17の部分拡大写真である。
【図19】比較試験例2におけるで第1サイクルのデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図20】図19の部分拡大写真である。
【図21】比較試験例2の第1サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図22】図21の部分拡大写真である。
【図23】比較試験例2の第2サイクルにおけるフロスト運転開始20分後の、フロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図24】図23の部分拡大写真である。
【図25】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始直後の、霜又は氷の融解開始時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図26】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始1分後の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真である。
【図27】比較試験例2の第2サイクルにおけるデフロスト運転開始2分後の、デフロスト運転終了時の試料板表面の状態をCCDカメラで撮影した全体写真
【図28】図27の部分拡大写真である。
【図29】図29は、実施の形態1に係るセパレート型空気調和機の壁掛け型室内ユニットの側断面図である
【図30】図30は実施の形態2に係るセパレート型空気調和機の天井埋込型室内ユニットの側断面図である。
【符号の説明】
3 クロスフローファン
3a 後部ケーシング
3d 羽根車
3b 前部ケーシング
3c 側板
4 熱交換器
4a 熱交換パイプ
5 ドレンパン
10b 吹出口
12a 背板
13a 舌部
13b 前側ガイド
15a 前部ドレンパン
15b 後部ドレンパン
22 ケーシング
23 ターボファン
24 熱交換器
24a 熱交換パイプ
24b プレートフィン
25 ドレンパン
25a 立上壁
31 ケーシング本体
32 化粧パネル
33 吸込口
34 吹出口

Claims (4)

  1. 蒸発器と、蒸発器で冷却された空気が通過する冷却空気通路とを備え、
    冷却空気通路の内壁面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、
    前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、
    前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、
    前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、
    前記溶媒は有機溶媒系であり、
    さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部である
    ことを特徴とする空気調和機。
  2. 蒸発器と、蒸発器で生成されるドレンを受けるドレンパンとを備え、
    ドレンパンの内壁面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、
    前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、
    前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、
    前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、
    前記溶媒は有機溶媒系であり、 さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部である
    ことを特徴とする空気調和機。
  3. 蒸発器と、蒸発器の後流側に配置された空気循環用ファンとを備え、
    空気循環用ファンは、羽根車及びこの羽根車と協働するファンケーシングを備えるとともに、羽根車の外表面部及びファンケーシングの内表面部には撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、
    前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、
    前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、
    前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり
    前記溶媒は有機溶媒系であり、
    さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部である
    ことを特徴とする空気調和機。
  4. 前記蒸発器は、内部に冷媒を流通させる熱交換チューブと、熱交換チューブと外気との間の熱交換を促進するフィンとを備え、
    このフィンの熱交換面部には、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の無機粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成された塗膜が施され、
    前記撥水性バインダー樹脂はフッ素樹脂であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子は重量平均分子量が500〜200,000、平均粒子径が0.1μm以上であり、
    前記分散剤はフルオロアルキル基を有するビニルモノマーから誘導された繰り返し単位を含む重合体であり、
    前記低熱容量の無機粒子は、モル熱容量が7JK−1mol−1〜6JK−1mol−1であって導電性を有するものであり、
    前記溶媒は有機溶媒系であり、
    さらに、これら組成物の配合割合は、撥水性バインダー樹脂100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン粒子が100〜200重量部、分散剤が5〜30重量部、低熱容量の無機粒子が25〜200重量部、溶媒が400〜2,000重量部である
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気調和機。
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