JP2004278314A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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【課題】燃料タンクとキャニスタとを接続する蒸発燃料通路に燃料タンクから分離してフロートバルブを配置した蒸発燃料処理装置において、燃料タンクの傾斜時に蒸発燃料通路を介してキャニスタに燃料が流入するのを防止する。
【解決手段】満タン状態あるいは満タンに近い状態にある燃料タンクTが傾斜し、第2蒸発燃料通路33に設けたチェックバルブ34が閉弁し、かつ第1蒸発燃料通路12aの下端開口部が燃料の液面F′下に没した状態で、温度上昇により燃料タンクTの上部空間24の内圧が増加しても、燃料タンクTの傾斜状態に関わらずに上部空間24に開口する第3蒸発燃料通路25の下端開口部からフロートバルブ13および開閉弁17を経て前記内圧がキャニスタに逃がされるため、上部空間24の内圧により燃料がキャニスタに流入する事態を確実に阻止することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発燃料を吸着するキャニスタを燃料タンクに接続した蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来の自動車の燃料タンクの上部空間は蒸発燃料通路を介してキャニスタに接続されており、蒸発燃料通路が燃料タンクに接続される開口部がフロートバルブで開閉される。フィラーチューブから給油ガンで燃料を供給することで燃料タンクの液面が上昇すると、燃料によって蒸発燃料通路に押し出された蒸発燃料はキャニスタに吸着されて大気への放散が抑制される。燃料タンクの液面が満タン液面に達すると、フロートバルブが浮上して前記開口部に着座することで第1蒸発燃料通路が閉塞され、カットバルブに連なる第2蒸発燃料通路のチェックバルブの開弁圧が燃料タンク内の空間に加わる。その結果、燃料タンクの内圧分だけフィラーチューブ内の液面が上昇して給油ガンのオートストップ装置が作動する。
【0003】
かかる蒸発燃料処理装置において、フロートバルブを燃料タンクの外部上方に分離して配置したものが、特願2002−107530号により提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、満タン状態あるいは満タンに近い状態にある燃料タンクが傾斜すると、フロートバルブの下端が液没してもカットバルブは液没せず、カットバルブが第2蒸発燃料通路を開いてもチェックバルブが存在するので、この状態で温度上昇すると燃料タンクの上部空間の内圧がチェックバルブの開弁圧分だけ増加し、前記内圧で押し上げられた燃料がフロートバルブを通過してキャニスタに流入してしまう可能性がある。
【0005】
フロートバルブが燃料タンク内に設けられている場合には、フロートバルブの弁室に燃料タンクの上部空間に連通する小孔を形成しておくことで、上部空間の内圧を小孔を介してキャニスタに逃し、キャニスタへの燃料の流入を防止することができる。
【0006】
しかしながら、フロートバルブが燃料タンクの外部上方に設けられている場合には上記小孔を形成する手法が採用できないため、他の手法でキャニスタへの燃料の流入を防止する必要がある。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、燃料タンクとキャニスタとを接続する蒸発燃料通路に燃料タンクから分離してフロートバルブを配置した蒸発燃料処理装置において、燃料タンクの傾斜時に蒸発燃料通路を介してキャニスタに燃料が流入するのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、燃料タンクと、燃料タンクからの蒸発燃料を吸着するキャニスタと、一端が燃料タンクの満タン液面に開口して他端がキャニスタに連通する第1蒸発燃料通路と、燃料タンクの外部上方の第1蒸発燃料通路に配置されたフロートバルブと、フロートバルブおよびキャニスタ間の第1蒸発燃料通路に設けられて燃料タンクの内圧が所定値を超えると開弁する開閉弁と、燃料タンクをキャニスタあるいは第1蒸発燃料通路の中間部に接続する第2蒸発燃料通路と、燃料タンク内の液面が満タン液面よりも高い所定の液面になったときに第2蒸発燃料通路を閉塞するカットバルブと、第2蒸発燃料通路に配置された燃料タンク側に所定の圧力が加わると開弁するチェックバルブと、燃料タンクが傾斜しても液面下に没しない該燃料タンクの上部空間をフロートバルブの弁室に連通させる第3蒸発燃料通路とを備えたことを特徴とする蒸発燃料処理装置が提案される。
【0009】
上記構成によれば、満タン状態あるいは満タンに近い状態にある燃料タンクが傾斜し、カットバルブに連なる第2蒸発燃料通路に設けたチェックバルブが閉弁し、かつ第1蒸発燃料通路の下端開口部が燃料の液面下に没した状態で、温度上昇により燃料タンクの上部空間の内圧が増加しても、燃料タンクの傾斜状態に関わらずに上部空間に開口する第3蒸発燃料通路の下端開口部からフロートバルブおよび開閉弁を経て前記内圧がキャニスタに逃がされるため、上部空間の内圧により燃料がキャニスタに流入する事態を確実に阻止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1および図2は本発明の一実施例を示すもので、図1は蒸発燃料処理装置の全体構成を示す図、図2は燃料タンクの傾斜時の作用説明図である。
【0012】
図1に示すように、例えば合成樹脂でブロー成形された燃料タンクTは、上方に延びて上端に給油口11aが形成されたフィラーチューブ11を備える。燃料タンクTの内部空間と、燃料タンクTにおいて発生した蒸発燃料を吸着して大気への放散を抑制するキャニスタCとが第1蒸発燃料通路12を介して接続される。第1蒸発燃料通路12は燃料タンクTに連なる上流側部分12aと、キャニスタCに連なる下流側部分12bとを備えており、上流側部分12aは燃料タンクTの上壁を貫通して満タン液面Fの高さに開口している。
【0013】
第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aおよび下流側部分12bの間に設けられたフロートバルブ13は容器状の弁室14を備えており、弁室14に上下動自在に収納されたフロート15は、弁室14の上部に形成した弁座16に着座可能である。フロートバルブ13の上部に一体に設けられた開閉弁17は、スプリング18で下向きに付勢されたダイヤフラム19により上室20および下室21に区画されており、上室20は連通パイプ22を介してフィラーチューブ11の給油口11aに接続され、下室21にフロートバルブ13の弁座16が開口する。また第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bは下室21内に挿入され、その先端の弁座23がダイヤフラム19によって閉塞される。
【0014】
燃料タンクTの上壁の最も高い部分に設けられたカットバルブ30は、弁室31に上下動自在に収納されたフロート32を備えており、弁室31の上端が第2蒸発燃料通路33を介して第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bに接続される。カットバルブ30は、燃料タンクTが大きく傾斜したときにフロート32が浮上して第2蒸発燃料通路33の下端を閉塞することにより、燃料タンクT内の燃料が第2蒸発燃料通路33および第1蒸発燃料通路12を介してキャニスタCに流入するのを阻止する機能を有する。
【0015】
第2蒸発燃料通路33の中間部にはチェックバルブ34が設けられており、このチェックバルブ34は燃料タンクT側の圧力がキャニスタC側の圧力よりも所定圧力(例えば、約150mmの燃料柱に相当する0.8kPa)を超えて高まると開弁するようになっている。尚、燃料タンクTが満タン状態でフロートバルブ13が閉弁しているとき、温度上昇により燃料タンクTの内圧が異常に上昇した場合、チェックバルブ34が開弁して前記内圧を逃がすことで燃料タンクTの損傷を防止する。
【0016】
燃料タンクTが傾斜しても液面下に没することのない上部空間24が、第3蒸発燃料通路25を介してフロートバルブ13の弁室14に連通する。
【0017】
キャニスタCには、パージバルブ26を介してエンジンの吸気系に連通するパージ通路27と、ベントバルブ28を介して大気に連通するベント通路29とが接続される。
【0018】
しかして、燃料タンクTに給油すべくフィラーチューブ11の給油口11aを開放すると、開閉弁17の上室20が連通パイプ22を介して給油口11aに連通することで大気圧になる。この状態で給油口11aに給油ガンGを挿入して燃料を供給すると燃料タンクTの液面が次第に上昇し、燃料タンクTの内部空間に第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aおよびフロートバルブ13を介して連なる開閉弁17の下室21は、給油ガンGからの燃料供給圧力と燃料タンクT内の蒸発燃料の圧力とにより大気圧よりも高圧になり、大気圧である上室20との間の圧力差でスプリング18を圧縮しながらダイヤフラム19が上動して弁座23から離反することで、開閉弁17が開弁して第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bが開放される。
【0019】
その結果、燃料タンクTの液面の上昇によって該燃料タンクTの内部空間から押し出された蒸発燃料は、第1蒸発燃料通路12の上流側部分12a、開弁したフロートバルブ13、開弁した開閉弁17および第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bを経てキャニスタCに供給され、キャニスタCにチャージされることで大気への放散を防止される。このとき、開弁した開閉弁17を通過した蒸発燃料の一部は連通パイプ22およびフィラーチューブ11の給油口11aを経て大気に逃げようとするが、この蒸発燃料は給油ガンGからフィラーチューブ11に供給される燃料に引きずられて燃料タンクTの内部に還流するため、新気が給油口11aからフィラーチューブ11を経て燃料タンクTに吸入されるのが抑制される。その結果、新気が燃料タンクTに吸入され難くなって新たな蒸発燃料が発生し難くなるため、キャニスタCの負荷を軽減して該キャニスタCを小型化することができる。
【0020】
燃料タンクTの液面が満タン液面Fになると、閉弁状態にあるチェックバルブ34が第2蒸発燃料通路33を閉塞していることで、燃料タンクTの満タン液面Fよりも上方の上部空間24が密閉状態になるため、燃料が第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aを上昇してフロートバルブ13の弁室14に流入する。その結果、弁室14内のフロート15が浮上して弁座16に着座し、燃料タンクT内の蒸発燃料がキャニスタCに供給されなくなる。
【0021】
その間、フィラーチューブ11内の液面も第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aと同じ高さで上昇するが、フロートバルブ13が閉弁したときのフィラーチューブ11内の液面は給油ガンGのノズルに達しておらず、オートストップ装置は未だ作動しない。給油ガンGから更に燃料を供給すると、フィラーチューブ11内の液面が上昇して給油ガンGのノズルが液没することで、オートストップ装置が作動して燃料の供給が自動的に停止する。従って、チェックバルブ34の開弁圧は、フィラーチューブ11内の液面を給油ガンGのノズルの高さまで上昇させるのに充分な値に設定する必要がある。
【0022】
以上のように、フロートバルブ13の弁室14を燃料タンクTと別体に設けたので、燃料タンクTに前記弁室14を取り付けるための開口部を形成する必要がない。その結果、燃料タンクTに第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aを通過させる小径の開口部を形成するだけで済み、燃料蒸気が透過しない合成樹脂で形成した燃料タンクTに形成する開口部の面積を最小限に抑えて透過燃料の量を減少させることができる。
【0023】
またフロートバルブ13の弁室14を燃料タンクTと一体に設けた従来のものでは、弁室14の上端の弁座16の位置と満タン液面Fとの距離によってフロート15の上下方向の寸法が制約されるため、フロートバルブ13を小型化することが困難であった。それに対して本実施例では、フロートバルブ13の弁室14を燃料タンクTと別体に設けたことで、燃料タンクTの満タン液面Fとフロートバルブ13の弁座16との位置関係に制約がなくなるため、フロートバルブ13の上下方向の寸法を小型化することができる。
【0024】
また開閉弁17をフロートバルブ13と一体に設けたので、それらを別体に設ける場合に比べて小型軽量化が可能になる。
【0025】
ところで、燃料タンクTが満タン状態あるいは満タンに近い状態にあるときに、図2に示すように燃料タンクTが傾斜すると、第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aの下端開口部が燃料の液面F′下に没するため、燃料タンクTの上部空間24とフロートバルブ13の弁室14とが第1蒸発燃料通路12の上流側部分12aを介して連通しなくなる。この状態で燃料タンクTが温度上昇して上部空間24の内圧が高まった場合、閉弁状態にあるチェックバルブ34が第2蒸発燃料通路33を閉塞していることで、燃料タンクTの満タン液面Fよりも上方の上部空間24が密閉状態になるため、仮に第3蒸発燃料通路25が存在しないとすると、前記内圧によって燃料タンクT内の燃料が第1蒸発燃料通路12の上流側部分12a内を上昇してフロートバルブ13を閉弁させ、そのフロート15および弁座16の隙間から漏れ出した燃料が開閉弁17を押し開き、第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bを通ってキャニスタCに流入してしまう可能性がある。
【0026】
しかしながら、本実施例によれば、燃料タンクTが傾斜しても液面F′下に没することのない上部空間24とフロートバルブ13の弁室14とが第3蒸発燃料通路25を介して連通しているので、上部空間24に密封された蒸発燃料の圧力が第3蒸発燃料通路25および開弁したフロートバルブ13を介して開閉弁17を開弁させる。その結果、上部空間24に密封された蒸発燃料がキャニスタCに供給され、燃料がキャニスタCに流入する事態を回避することができる。
【0027】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0028】
例えば、実施例では開閉弁17をフロートバルブ13と一体に設けているが、開閉弁17は第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bの任意の位置に設けることができる。
【0029】
また燃料タンクTは合成樹脂製のものに限定されず、金属製のものであっても良い。
【0030】
また実施例では第2蒸発燃料通路33を第1蒸発燃料通路12の下流側部分12bに接続しているが、それをキャニスタCに直接接続しても良い。
【0031】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、満タン状態あるいは満タンに近い状態にある燃料タンクが傾斜し、カットバルブに連なる第2蒸発燃料通路に設けたチェックバルブが閉弁し、かつ第1蒸発燃料通路の下端開口部が燃料の液面下に没した状態で、温度上昇により燃料タンクの上部空間の内圧が増加しても、燃料タンクの傾斜状態に関わらずに上部空間に開口する第3蒸発燃料通路の下端開口部からフロートバルブおよび開閉弁を経て前記内圧がキャニスタに逃がされるため、上部空間の内圧により燃料がキャニスタに流入する事態を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸発燃料処理装置の全体構成を示す図
【図2】図1の2部拡大図
【符号の説明】
12 第1蒸発燃料通路
13 フロートバルブ
14 弁室
17 開閉弁
24 上部空間
25 第3蒸発燃料通路
30 カットバルブ
33 第2蒸発燃料通路
34 チェックバルブ
C キャニスタ
F 満タン液面
F′ 液面
T 燃料タンク

Claims (1)

  1. 燃料タンク(T)と、
    燃料タンク(T)からの蒸発燃料を吸着するキャニスタ(C)と、
    一端が燃料タンク(T)の満タン液面(F)に開口して他端がキャニスタ(C)に連通する第1蒸発燃料通路(12)と、
    燃料タンク(T)の外部上方の第1蒸発燃料通路(12)に配置されたフロートバルブ(13)と、
    フロートバルブ(13)およびキャニスタ(C)間の第1蒸発燃料通路(12)に設けられて燃料タンク(T)の内圧が所定値を超えると開弁する開閉弁(17)と、
    燃料タンク(T)をキャニスタ(C)あるいは第1蒸発燃料通路(12)の中間部に接続する第2蒸発燃料通路(33)と、
    燃料タンク(T)内の液面が満タン液面(F)よりも高い所定の液面になったときに第2蒸発燃料通路(33)を閉塞するカットバルブ(30)と、
    第2蒸発燃料通路(33)に配置された燃料タンク(T)側に所定の圧力が加わると開弁するチェックバルブ(34)と、
    燃料タンク(T)が傾斜しても液面(F′)下に没しない該燃料タンク(T)の上部空間(24)をフロートバルブ(13)の弁室(14)に連通させる第3蒸発燃料通路(25)と、を備えたことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
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JP2014141921A (ja) * 2013-01-23 2014-08-07 Honda Motor Co Ltd 車両における蒸発燃料処理装置
KR20160042425A (ko) * 2013-11-01 2016-04-19 야치요 고교 가부시키가이샤 증발 연료 처리 장치
CN112639267A (zh) * 2018-09-06 2021-04-09 本田技研工业株式会社 工作机械

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