JP4176262B2 - 燃料タンク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンク本体の上部空間をチャージ通路を介してキャニスタに接続するとともに、タンク本体に連なるフィラーパイプの上部空間をブリーザパイプを介してチャージ通路に接続し、かつチャージ通路がタンク本体に接続される部分に、タンク本体の燃料液面の上昇時および車両の転倒時に閉弁するフロートバルブを設けた燃料タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の燃料タンクは、タンク本体から上方に延びるフィラーパイプの上端に給油口を備えており、この給油口に設けたシール部材に給油ガンのノズルを挿入して給油を行うようになっている。給油によりタンク本体の燃料液面が上昇して満タンになると、フロートバルブが閉弁してタンク本体の燃料液面の上昇を抑制するため、給油の継続によってフィラーパイプの燃料液面が上昇する。そしてフィラーパイプの燃料液面の上昇により給油ガンのノズルが燃料液面下に没すると、給油ガンのオートストップ装置が作動して過給油が防止されるようになっている。
【0003】
また給油によりタンク本体の燃料液面が上昇するとき、蒸発燃料はタンク本体からフロートバルブを経てチャージ通路に押し出され、キャニスタに吸着されて大気への放出が防止される。またタンク本体の燃料液面の上昇によりフロートバルブが閉弁した後にフィラーパイプの燃料液面が上昇するとき、上昇する燃料によってフィラーパイプから押し出された蒸発燃料はブリーザパイプおよびチャージ通路を介してキャニスタに供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のものは、給油ガンのオートストップ装置の故障や給油者の不注意で過給油が行われると、燃料がフィラーパイプからブリーザパイプおよびチャージ通路を通ってキャニスタに流入する可能性があった。また車両の転倒時にはフロートバルブが閉弁するため、タンク本体内の燃料が直接チャージ通路を通ってキャニスタに流入することはないが、タンク本体内の燃料がフィラーパイプからブリーザパイプおよびチャージ通路を通ってキャニスタに流入する可能性があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、過給油時や車両の転倒時にフィラーパイプ内の燃料がブリーザパイプを通ってキャニスタに流入するのを確実に防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、タンク本体の上部空間をチャージ通路を介してキャニスタに接続するとともに、タンク本体に連なるフィラーパイプの上部空間をブリーザパイプを介してチャージ通路に接続し、かつチャージ通路がタンク本体に接続される部分に、タンク本体の燃料液面の上昇時および車両の転倒時に閉弁するフロートバルブを設けた燃料タンクにおいて、前記ブリーザパイプに、フィラーパイプの燃料液面の上昇時に燃料による浮力で閉弁するオーバーフローバルブと、車両の転倒時に重力で閉弁するロールオーバーバルブとを設けたことを特徴とする燃料タンクが提案される。
【0007】
上記構成によれば、フィラーパイプの上部空間をチャージ通路を介してキャニスタに接続するブリーザパイプに、フィラーパイプの燃料液面の上昇時に燃料による浮力で閉弁するオーバーフローバルブを設けたので、過給油時にフィラーパイプ内の燃料がブリーザパイプを通ってキャニスタに流入するのを、オーバーフローバルブの閉弁により確実に防止することができる。また前記ブリーザパイプに車両の転倒時に重力で閉弁するロールオーバーバルブを設けたので、車両の転倒時にフィラーパイプ内の燃料がブリーザパイプを通ってキャニスタに流入するのを、ロールオーバーバルブの閉弁により確実に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動車の燃料供給系の全体構成図、図2は給油時の状態を示す図1の要部拡大図、図3はオーバーフローバルブおよびロールオーバーバルブの作用を説明する図である。
【0010】
図1に示すように、自動車用の燃料タンクTは、燃料を貯留するタンク本体11と、このタンク本体11に給油するためのフィラーパイプ12とを備える。自動車のボディ13に形成されてリッド14で開閉される凹部15に、フィラーパイプ12の上端に接続された給油口16が設けられる。給油口16の開口端はキャップ17で閉塞可能であり、また給油口16とフィラーパイプ12との間には、給油ガンGのノズルNが液密に挿入されるシール部材18と、ノズルNに押されて開放するシャッター19とが設けられる。
【0011】
図2を併せて参照すると明らかなように、タンク本体11の上部空間とフィラーパイプ12の上部とがフロートバルブ20およびブリーザパイプ21を介して接続され、またタンク本体11の上部空間とブリーザパイプ21とが追加給油用フロートバルブ22および絞り23を介して接続される。
【0012】
ブリーザパイプ21の中間部は逆U字状に湾曲しており、その頂点の両側位置にオーバーフローバルブ24およびロールオーバーバルブ25が設けられる。オーバーフローバルブ24の弁体24aは燃料よりも比重の小さいフロートから構成されており、ブリーザパイプ21中に燃料が存在しないときには重力で下方に落下して弁体支持部24bに支持されており、ブリーザパイプ21中に燃料が存在するときには弁体24aが浮き上がって弁座24cに着座し、ブリーザパイプ21を閉塞する。ロールオーバーバルブ25の弁体25aは燃料よりも比重の大きいウエイトから構成されており、ブリーザパイプ21中の燃料の有無に関わらず通常は重力で下方に落下して弁体支持部25bに支持されており、車両が転倒して燃料タンクTの上下が反転した場合には重力で弁体支持部25bから離反する方向に落下して弁座25cに着座し、ブリーザパイプ21を閉塞する(図3(C)参照)。
【0013】
また逆U字状に形成された第1リリーフ通路26の一端部がブリーザパイプ21の上部に接続され、他端部が大気に開放される。第1リリーフ通路26には、ブリーザパイプ21の内圧が所定値を越えると開弁する第1リリーフバルブ27が設けられる。またブリーザパイプ21の上部とシール部材18よりも上側の給油口16とが第2リリーフ通路28で接続されており、この第2リリーフ通路28にブリーザパイプ21の内圧が所定値を越えると開弁する第2リリーフバルブ29が設けられる。第1リリーフバルブ27の開弁圧および第2リリーフバルブ29の開弁圧は等しくなるように設定されており、かつ開弁時における流量は第1リリーフバルブ27が第2リリーフバルブ29よりも大幅に大きく(例えば、10倍)なるように設定される。
【0014】
タンク本体11の内部には、ストレーナ31を介して汲み上げた燃料をフィルター32、レギュレータ33およびフィードパイプ34を介してエンジンEの燃料噴射弁35に供給する燃料ポンプ36が設けられる。
【0015】
前記ブリーザパイプ21から分岐したチャージ通路37に、タンク本体11内で発生した蒸発燃料を吸着するキャニスタ38が接続される。そしてキャニスタ38はパージ通路39を介してエンジンEの吸気通路40に接続されるとともに、大気連通通路41およびフィルター42を介して大気に連通する。チャージ通路37には第1電磁バルブ43が配置され、この第1電磁バルブ43をバイパスするように第1正圧リリーフバルブ44が並列に配置される。また大気連通通路41には第2電磁バルブ45が配置され、この第2電磁バルブ45をバイパスするように第2正圧リリーフバルブ46が並列に配置される。更にパージ通路39には第3電磁バルブ47が配置される。
【0016】
タンク本体11の上部空間から延びる第1負圧防止通路48に第1負圧リリーフバルブ49およびフィルター50が設けられ、またチャージ通路37と前記フィルター42とを接続する第2負圧防止通路51に第2負圧リリーフバルブ52が設けられる。またタンク本体11の上部空間に設けたフロートバルブ53とエンジンEの吸気通路40とを接続する正圧防止通路54に第4電磁バルブ55が設けられる。
【0017】
チャージ通路37の圧力を検出する圧力センサ56と、燃料タンクT内の燃料の温度を検出する燃料温度センサ57と、リッド14の開閉を検知するリッド開閉センサ58からの信号が入力される電子制御ユニットUは、前記第1〜第4電磁バルブ43,45,47,55の開閉を制御する。
【0018】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用を説明する。
【0019】
先ず、燃料タンクTのフィラーパイプ12のキャップ17が閉じられている非給油時の作用を説明する。エンジンEの運転に伴って、タンク本体11の内部に貯留された燃料はストレーナ31、燃料ポンプ36、フィルター32、レギュレータ33およびフィードパイプ34を介して燃料噴射弁35…に供給される。燃料の消費に伴って、あるいは燃料タンクTの温度低下に伴ってタンク本体11の内圧が低下すると、その負圧でベローズが収縮して第1負圧リリーフバルブ49が開弁し、フィルター50および第1負圧リリーフバルブ49を介して大気がタンク本体11に吸入され、負圧によるタンク本体11の変形を防止する。
【0020】
尚、第2負圧リリーフバルブ52は前記第1負圧リリーフバルブ49の予備であって、両者の機能は同じである。またフロートバルブ20および追加給油用フロートバルブ22は車両の転倒時にも閉弁し、タンク本体11内の燃料がキャニスタ38に流出するのを防止する。
【0021】
またエンジンEの停止時に燃料タンクTの温度上昇等に伴ってタンク本体11の内圧が増加すると、チャージ通路37に設けた第1正圧リリーフバルブ44および大気連通通路41に設けた第2正圧リリーフバルブ46が開弁するため、タンク本体11の内圧は第1正圧リリーフバルブ44、キャニスタ38、第2正圧リリーフバルブ46およびフィルター42を通して大気に逃がされ、その際にタンク本体11から出た燃料蒸気はキャニスタ38に吸着されて大気への放出を防止される。
【0022】
またエンジンEの運転中は、燃料タンクTが温度上昇してもタンク本体11の内圧が大気圧以下に保持されるように、圧力センサ56および燃料温度センサ57からの信号を受けた電子制御ユニットUが第4電磁バルブ55をデューティ制御にて開弁する。これにより、タンク本体11が正圧防止通路54を介してエンジンEの吸気通路40に接続され、該吸気通路40の負圧でタンク本体11の内圧を大気圧以下に保持することができる。また車両の転倒時にはフロートバルブ53が閉弁し、タンク本体11内の燃料が正圧防止通路54を介して吸気通路40に流出するのを防止する。
【0023】
キャニスタ38に吸着された蒸発燃料をパージする場合には、電子制御ユニットUからの指令で大気連通通路41に設けた第2電磁バルブ45と、パージ通路39に設けた第3電磁バルブ47とが開弁する。その結果、エンジンEの吸気通路40の負圧でフィルター42、第2電磁バルブ45、キャニスタ38および第3電磁バルブ47を介して大気が吸気通路40に吸引され、その際にキャニスタ38に吸着されていた蒸発燃料がパージされて吸気通路40に供給される。
【0024】
次に、燃料タンクTへの給油時の作用を説明する。図1および図2に示すように、リッド14を開いてキャップ17を取り外した状態で給油ガンGのノズルNを給油口16のシール部材18に挿入し、フィラーパイプ12を介してタンク本体11に給油する。このとき、リッド14が開かれたことをリッド開閉センサ58が検出すると、電子制御ユニットUからの指令でチャージ通路37に設けた第1電磁バルブ43および大気連通通路41に設けた第2電磁バルブ45が開弁し、タンク本体11の燃料液面の上昇に伴ってチャージ通路37に押し出された蒸発燃料は、第1電磁バルブ43を通過してキャニスタ38に吸着される。そしてキャニスタ38を通過した燃料蒸気を含まぬ空気が、第2電磁バルブ45およびフィルター42を通過して大気に放出される。
【0025】
この給油によりタンク本体11の燃料液面が上昇してフロートバルブ20が閉弁すると、フィラーパイプ12の燃料液面が上昇して給油ガンGのノズルNが燃料液面下に没するため、給油ガンGのオートストップ装置が作動する。
【0026】
しかしながら、このとき追加給油用フロートバルブ22は未だ閉弁しておらず、タンク本体11の上部空間は絞り23を介してブリーザパイプ21に連通しているため、絞り23を空気が通過することによりタンク本体11の燃料液面が僅かに上昇し、それに伴ってフィラーパイプ12の燃料液面がゆっくりと下降する。従って、フィラーパイプ12の燃料液面が下降した分だけ、給油ガンGから追加の給油を行うことができ、これにより給油口16からの燃料の吹き零れを防止しながら満タン状態まで確実に給油することができる。そして追加給油用フロートバルブ22が閉弁するとフィラーパイプ12の燃料液面が下降しなくなり、これにより作業者は満タン状態になったことを確認することができる。
【0027】
フロートバルブ20が閉弁してフィラーパイプ12の燃料液面が上昇するとき、図3(A)に示すように、オーバーフローバルブ24およびロールオーバーバルブ25は共に開弁状態にあるため、フィラーパイプ12内で燃料に押し出された燃料蒸気はブリーザパイプ21からチャージ通路37を通ってキャニスタ38に吸着される。そしてフィラーパイプ12の燃料液面が充分に上昇すると、図3(B)に示すように、オーバーフローバルブ24の弁体24aが燃料に押し上げられて弁座24cに着座し、ブリーザパイプ21を閉塞する。従って、給油ガンGのオートストップ装置が作動する前後の燃料の吹き返しや、オートストップ装置の作動後の過剰な追加給油が発生しても、燃料がブリーザパイプ21からチャージ通路37を通ってキャニスタ38に流入するのを確実に防止することができる。
【0028】
また車両の転倒時には、図3(C)に示すように、燃料よりも比重の大きいロールオーバーバルブ25の弁体25aが重力で弁座25cに着座してブリーザパイプ21を閉塞するので、燃料がブリーザパイプ21からチャージ通路37を通ってキャニスタ38に流入するのを確実に防止することができる。
【0029】
ところで、給油ガンGのオートストップ装置の故障等により満タン状態になった後に更に給油が継続されると、燃料液面がフィラーパイプ12の上端まで上昇して内圧が急激に高まり、給油ガンGのノズルNがシール部材18から押し出されて燃料が漏れる可能性がある。またタンク本体11およびフィラーパイプ12の内圧が高まるため、その内圧に耐えるだけの強度をタンク本体11およびフィラーパイプ12に与えようとすると重量増加の要因となる問題がある。
【0030】
しかしながら本実施例によれば、フィラーパイプ12の内圧が高まると、第1リリーフバルブ27が開弁してフィラーパイプ12内の燃料を外部に排出するので、給油ガンGのノズルNがシール部材18から押し出されて燃料が流出したり、タンク本体11やフィラーチューブ12が内圧で損傷したりするのを防止することができる。これにより、内圧の増加に耐えるための燃料タンクTの必要強度を低下させて重量の軽減に寄与することができる。
【0031】
また第1リリーフバルブ27の開弁と同時に第2リリーフバルブ29も開弁し、少量の燃料をフィラーパイプ12からシール部材18よりも上方の給油口16に流出させるので、異常が発生して第1、第2リリーフバルブ27,29が開弁したことを給油者に確実に報知することができ、これにより給油者に給油の停止を促すことが可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0033】
例えば、実施例ではブリーザパイプ12の給油口16側にオーバーフローバルブ24を設け、ブリーザパイプ12のフロートバルブ20側にロールオーバーバルブ25を設けているが、オーバーフローバルブ24およびロールオーバーバルブ25の位置関係を逆にすることも可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、フィラーパイプの上部空間をチャージ通路を介してキャニスタに接続するブリーザパイプに、フィラーパイプの燃料液面の上昇時に燃料による浮力で閉弁するオーバーフローバルブを設けたので、過給油時にフィラーパイプ内の燃料がブリーザパイプを通ってキャニスタに流入するのを、オーバーフローバルブの閉弁により確実に防止することができる。また前記ブリーザパイプに車両の転倒時に重力で閉弁するロールオーバーバルブを設けたので、車両の転倒時にフィラーパイプ内の燃料がブリーザパイプを通ってキャニスタに流入するのを、ロールオーバーバルブの閉弁により確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の燃料供給系の全体構成図
【図2】給油時の状態を示す図1の要部拡大図
【図3】オーバーフローバルブおよびロールオーバーバルブの作用を説明する図
【符号の説明】
11 タンク本体
12 フィラーパイプ
24 オーバーフローバルブ
25 ロールオーバーバルブ
20 フロートバルブ
21 ブリーザパイプ
37 チャージ通路
38 キャニスタ
Claims (1)
- タンク本体(11)の上部空間をチャージ通路(37)を介してキャニスタ(38)に接続するとともに、タンク本体(11)に連なるフィラーパイプ(12)の上部空間をブリーザパイプ(21)を介してチャージ通路(37)に接続し、かつチャージ通路(37)がタンク本体(11)に接続される部分に、タンク本体(11)の燃料液面の上昇時および車両の転倒時に閉弁するフロートバルブ(20)を設けた燃料タンクにおいて、
前記ブリーザパイプ(21)に、フィラーパイプ(12)の燃料液面の上昇時に燃料による浮力で閉弁するオーバーフローバルブ(24)と、車両の転倒時に重力で閉弁するロールオーバーバルブ(25)とを設けたことを特徴とする燃料タンク。
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