JP2004277793A - 鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法、水道用器具の鋳造脱鉛品及び水道用器具 - Google Patents

鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法、水道用器具の鋳造脱鉛品及び水道用器具 Download PDF

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Abstract

【課題】通水路の内周面からの水への鉛の溶出量を十分に少なくしつつ、優れた美観を奏する鉛含有銅合金製水道用器具を製造できるようにする。
【解決手段】切削工程S30前に鋳造品10を脱鉛液に浸漬して鋳造品10の外周面及び通水路10aの内周面の脱鉛処理を行う脱鉛工程S20を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法と、水道用器具の鋳造脱鉛品と、水道用器具とに関する。
【0002】
【従来の技術】
水栓金具や水道管等の水道用器具には耐腐食性、切削性等の観点から鉛含有銅合金である青銅や黄銅等が用いられている。このような鉛含有銅合金製の水道用器具は過去においては以下のように製造されていた。すなわち、図12に示すように、まず、鋳造工程S90において、鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路を有して水道用器具の粗形状をなす鋳造品を得る。次いで、切削工程S92において、その鋳造品の外周面を切削加工して切削品を得る。そして、めっき工程S94において、切削品の外周面に主に装飾性の観点からニッケル・クロムめっき等のめっき層を施してめっき品を得る。
【0003】
一般的なめっき工程S94は、切削品に前処理を行う前処理工程S95と、この前処理工程S95後に切削品の外周面にめっき層を施す本めっき工程S96とを備えている。より詳細には、前処理工程S95は、切削品をアルカリ液に浸漬して切削品の外周面及び通水路の内周面を脱脂する脱脂工程S95aを有している。ここで用いられるアルカリ液は、通常、水酸化ナトリウム等を水に溶解したアルカリ性の水溶液である。このアルカリ液に切削品を浸漬すれば、アルカリ液のpHに応じて脱脂が行われる。なお、アルカリ液のpHに応じて鉛のエッチングによる除去も行われている。また、前処理工程S95は、この脱脂工程S95aの他、アルカリ液中で切削品を陰極として切削品の外周面の脱脂をさらに行う陰極電解工程S95bと、切削品を酸性液で洗浄して切削品の外周面及び通水路の内周面を活性化する酸活性工程S95cと、これらの工程間に設けられる水洗工程とを有し得る。こうして得られた水道用器具は通水路内に水が通されて活用されることとなる。
【0004】
しかし、近年、水に含有されている鉛による健康阻害が危惧されつつあり、鉛含有銅合金製水道用器具の通水路の内周面からの水への鉛の溶出量を一層低減させたいという要望がある。
【0005】
このため、特許文献1には、本めっき工程S96の前、すなわち切削工程S92の後の前処理工程S95の脱脂工程S95aにおいて、pHの高いアルカリ液への浸漬を行う製造方法が提案されている。この製造方法によれば、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量をある程度低減できるようである。
【0006】
また、特許文献2には、図13に示すように、めっき工程S94の後、めっき品を活性アルカリ液に浸漬してめっき品の通水路の内周面の脱鉛処理を行う脱鉛工程S98を行う製造方法が提案されている。また、脱鉛工程S98後、水にリン酸又はリン酸塩を主として添加した処理液により、通水路の内周面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程S99を行うことも提案されている。これらの製造方法によれば、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量をより確実に低減できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−96268号公報
【特許文献2】
WO02/36856A1
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、社会的要請により水道用器具に関する鉛の溶出量を0.007(mg/l)未満とする基準値の見直しが行われようとしている。この点から言えば、上記特許文献1記載の製造方法により水道用器具を製造するとしても、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量が未だ懸念される。また、上記特許文献2記載の製造方法により水道用器具を製造するとしても、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量をより低減させることが好ましい。
【0009】
また、特許文献1記載の製造方法により、脱脂工程S95aでpHの高いアルカリ液への浸漬を行うこととすれば、図12に示す本めっき工程S96前において切削品の外周面及び通水路の内周面から鉛がエッチングにより除去され、切削品の外周面及び通水路の内周面に凹凸を生じやすい。このため、その後に本めっき工程S96を行うことにより、切削品の外周面にめっき層を施したとしても、凹凸が水道用器具の外周面に残り、水道用器具の外周面は悪い面性状となりやすい。このため、その水道用器具は美観を損なうこととなってしまう。この点、切削品の外周面にめっき層を厚く施すことにより、水道用器具の美観を保つこととすれば、製造コストの高騰化を招来してしまうこととなる。
【0010】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量を十分に少なくしつつ、優れた美観を奏する鉛含有銅合金製水道用器具を製造できるようにすることを解決すべき課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法は、鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路を有して水道用器具の粗形状をなす鋳造品を得る鋳造工程と、該鋳造品の外周面を切削加工して切削品を得る切削工程と、該切削品の外周面にめっき層を施してめっき品を得るめっき工程とを備えた鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法において、
前記切削工程前に前記鋳造品を脱鉛液に浸漬して該鋳造品の前記外周面及び前記通水路の内周面の脱鉛処理を行う脱鉛工程を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法では、脱鉛工程として、鋳造後の鋳造品を切削工程前に脱鉛液に浸漬し、鋳造品の外周面及び通水路の内周面の脱鉛処理を行う。この際、鉛含有銅合金からなる鋳造品は、水を通す通水路の内周面で脱鉛が行なわれるとともに、外周面においても脱鉛が行なわれることとなる。通水路の内周面は、脱鉛により凹凸を生じつつ、製品である水道用器具になった後における水への鉛の溶出量を十分に少なくする。他方、外周面は脱鉛により凹凸を生じることになるが、その凹凸は後の切削工程により平滑にされる。このため、その後のめっき工程において、厚くめっき層を施さなくても優れた外観を呈する。よって、さほどのコストアップも生じない。
【0013】
したがって、本発明の製造方法によれば、通水路の内周面からの水への鉛の溶出量を十分に少なくしつつ、優れた美観を奏する鉛含有銅合金製水道用器具を製造することができる。
【0014】
なお、特開平11−29887号には、鉛含有銅合金製の配管器材において、酸を含有する洗浄液により水と接する部分を洗浄する製造方法が開示されている。しかし、この製造方法はその洗浄を切削品に対して行なっていることから、製品である配管器材は外周面に凹凸が残りやすく、美観において劣るものとなる。また、この製造方法は必ずしも洗浄後にめっき工程を行なうとは限らないが、仮にめっき工程を行なう場合でも、通常の厚さのめっき層では凹凸が配管器材の外周面に残り、その配管器材の外周面は悪い面性状となりやすい。このため、その配管器材は、上記特許文献1開示の製造方法によるものと同様、美観を損なうこととなってしまう。また、洗浄後の切削品の外周面にめっき層を厚く施すこととすれば、やはり製造コストの高騰化を招来してしまうこととなる。
【0015】
脱鉛液としては、鉛が両性金属であるため、酸性液やアルカリ液を用いることが考えられる。発明者らの試験結果によれば、脱鉛液として、強酸水溶液を用いることが特に好ましい。強酸水溶液としては、塩酸水溶液、硫酸水溶液、酢酸水溶液等を採用することができる。脱鉛液が塩酸水溶液である場合、鉛は次の化1に示す化学反応により溶解することとなる。
【0016】
【化1】
Pb+2HCl→PbCl+H
【0017】
強酸水溶液であれば、鋳造品において、その外周面側及び通水路の内周面側に存在している鉛だけに限らず、外周面及び内周面から深い位置に存在している鉛までも除去することができる。
【0018】
また、鋳造品の外周面や通水路の内周面には鋳造時のいわゆる黒皮若しくは酸化スケールが付着している。また、鋳造品の外周面に残る鋳砂はショットブラスト等により落とされ得るものの、鋳造品の通水路の内周面に残る鋳砂はそのようなショットブラスト等によっては落とされ難い。
【0019】
かかる実情の下、一般的な製造方法により、鋳造品の外周面を直ぐに切削工程に供するとすれば、刃具は、少なくとも黒皮等を切削加工する必要があり、外周面に鋳砂が残存しているとすれば、たちまち摩耗してしまう。通水路の内周面の切削加工に至っては、黒皮等ばかりでなく、鋳砂が多く残存し、刃具の摩耗が著しい。このため、一般的な製造方法では、外周面の切削加工だけを行う場合においても、ショットブラスト等を入念に行わなければ、刃具の耐久性が極めて悪いものになってしまう。また、通水路の内周面の切削加工においても、可能な限り鋳砂を除去するようにショットブラスト等を工夫する必要が生じてしまう。
【0020】
これに対し、本発明に係る脱鉛工程の強酸水溶液は、外周面及び通水路の内周面に黒皮等とともに鋳砂が残存していたとしても、黒皮等を溶解し、これによって鋳砂も除去する。このため、外周面を切削加工する切削工程において、刃具は、黒皮等を切削加工する必要がなく、かつ鋳砂によって摩耗することもない。通水路の内周面の切削加工も同様である。なお、本発明に係る脱鉛工程の強酸水溶液は、黒皮等を溶解し、それによって鋳砂を除去した後、鉛含有銅合金からなる母材部の脱鉛処理を行う。こうして母材部の外周面側及び通水路の内周面側には、母材部と一体をなし、鉛濃度が母材部より低い低鉛含有層が形成されることとなる。この低鉛含有層は、鉛濃度が母材部より低いことから、切削性を低下させることとなるが、低鉛含有層による切削性の低下は、黒皮等、ひいては鋳砂による切削性の悪化に比べれば、ほとんど問題にならない。特に、切削工程においては、母材部まで切削工程を行うことがほとんどであるから、低鉛含有層による切削性の低下はほぼ確実に問題にならない。
【0021】
本発明の製造方法では、上記特許文献2と同様、めっき工程後にめっき品を第2脱鉛液に浸漬してめっき品の通水路の内周面の脱鉛処理を行う第2脱鉛工程を行うことが好ましい。これにより通水路の内周面から水への鉛の溶出量をさらに低減することができる。また、めっき工程後に第2脱鉛工程を行なえば、めっき品の外周面はめっき層に保護されて鉛の除去が行われず、めっき層のない通水路の内周面のみからさらに鉛が除去されることとなる。このため、めっき品の外周面には凹凸を生じず、めっき層も損なわれないことから、水道用器具の外周面は優れた面性状を保つこととなる。このため、その水道用器具は優れた美観を奏する。
【0022】
第2脱鉛液としても酸性液やアルカリ液を用いることが考えられる。しかし、銅は酸に反応するのに対し、両性金属である鉛は酸にもアルカリにも反応するので、第2脱鉛液としてはアルカリ液を用いることが好ましい。特に、活性アルカリ液を採用することが好ましい。その活性アルカリ液はpHが12〜14の範囲を示すようなアルカリ液をいう。pHがこの範囲の活性アルカリ液によれば、その活性アルカリ液は内周面の鉛と化学反応を起こしやすいので、その鉛を溶解して除去しやすい。このような活性アルカリ液は、主に炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液である。
【0023】
このような第2脱鉛液は界面活性剤を含んでも良い。第2脱鉛液が界面活性剤を含めば、その第2脱鉛液の表面張力を低下させることができるので、通水路の内周面に対する第2脱鉛液の浸透性及び湿潤性を向上させることができる。このため、その内周面に含まれる鉛と第2脱鉛液との化学反応を起こしやすい。
【0024】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼン硫酸ナトリウム、高級アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−オレフィン硫酸ナトリウム等を採用することができる。また、ノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等を採用することができる。
【0025】
また、第2脱鉛液にキレート剤を含ませることもできる。キレート剤が鉛と化学反応を起こして水溶性の錯体が形成されるので、通水路の内周面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0026】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン、チオ尿素、酒石酸、ロッシェル塩、EDTA、トリエタノールアミン等を採用することができる。
【0027】
さらに、第2脱鉛液に酸化剤を含ませることもできる。すなわち、活性アルカリ液である第2脱鉛液が水酸化ナトリウム水溶液である場合、水酸化ナトリウム水溶液だけで通水路の内周面に含まれている鉛を除去しようとすると、鉛は次の化2に示す化学反応により溶解することとなる。
【化2】
Pb+2NaOH→NaPbO+H
【0028】
これに対し、活性アルカリ液である第2脱鉛液に酸化剤を含めば、まず酸化剤が鉛と以下の化3に示す化学反応を起こし、酸化鉛が形成される。
【0029】
【化3】
2Pb+O→2PbO
【0030】
そして、酸化鉛は活性アルカリ液である第2脱鉛液に溶け、以下の化4に示す化学反応を起こし、酸化鉛塩が形成される。
【0031】
【化4】
PbO+2NaOH→NaPbO+H
【0032】
上記化2のみの反応よりも上記化3及び化4の反応の方が迅速に行われるため、こうして活性アルカリ液である第2脱鉛液に酸化剤を含ませた方が通水路の内周面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0033】
酸化剤としては、例えば、メタニトロベンゼンズルホン酸ナトリウム、パラニトロ安息香酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、過塩素酸塩等を採用することができる。
【0034】
本発明の製造方法では、第2脱鉛工程後、水にリン酸又はリン酸塩を主として添加した処理液により、通水路の内周面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程を行うことが好ましい。皮膜形成工程で形成した皮膜が鉛の浸出をさらに防止する。この皮膜は、例えば、第一リン酸亜鉛(Zn(HPO)とリン酸(HPO)とを主成分とする処理液を用いた場合、以下のように生成されるものと考えられる。
【0035】
まず、鉛含有銅合金製のワークにそのような処理液を接触させると、化5に示すように、リン酸によって銅が処理液中に溶解して銅イオンを生じる。
【0036】
【化5】
Cu+2H→Cu2++H
【0037】
また、そのワークの表面に鉛が存在するのであれば、化6に示すように、リン酸によって鉛も処理液中に溶解して鉛イオンを生じ得る。
【0038】
【化6】
【0039】
Pb+2H→Pb2++H
【0040】
ここで、第一リン酸亜鉛は、化7に示すように、処理液中において一部が解離している。
【0041】
【化7】
【0042】
Zn(HPO→ZnPO +HPO+H
【0043】
このため、処理液中の銅イオン及び/又は鉛イオンは、以下の化8及び/又は化9に示す化学反応を起こし、ワークの表面にリンを含む皮膜を形成するものと考えられる。
【0044】
【化8】
Cu2++2ZnPO →ZnCu(PO
【0045】
【化9】
Pb2++2ZnPO →ZnPb(PO
【0046】
また、ZnCu(PO、ZnPb(PO以外にも、Zn(PO・4HO又は/及びZn(HPOの不活性な結晶からなる皮膜が形成されているものとも考えられる。発明者らの実験結果によれば、こうして形成された皮膜により、鉛の浸出を防止することができる。
【0047】
また、この鉛浸出防止方法では、処理液として水にリン酸又はリン酸塩を主として添加したものを用いており、リン酸又はリン酸塩は、クロムめっき層を形成するための六価のクロムからなるクロム酸を含むクロムめっき浴や不動態化を行うためのクロム酸を含むクロメート液に比して毒性がほとんどない。このため、処理液を接触させた後のワークを洗浄した洗浄液や廃液に対して中和や希釈を行うだけでそれら洗浄液等を処分することができる。そのため、特開2000−96269号公報や特開2000−96270号公報に開示されるようなクロム酸を含むクロメート液の処分に比して、洗浄液等の管理も簡易となる。
【0048】
本発明に係るリン酸とは、五酸化リン(P)が種々の程度に水化して生じる一連の酸(P・nHO)である。例えば、オルトリン酸(HPO(0.5P・1.5HO))、メタリン酸(HPO(0.5P・0.5HO))等である。
【0049】
また、本発明に係るリン酸塩としては、リン酸亜鉛系、リン酸マンガン系、リン酸鉄系、リン酸亜鉛・カルシウム系等を採用することができる。リン酸亜鉛系としては、第1リン酸亜鉛(Zn(HPO)を主成分とするもの等がある。その他、リン酸ナトリウム(NaHPO、NaHPO等)、リン酸アルミニウム(Al(HPO等)、リン酸アンモニウム(NHPO等)等がある。
【0050】
本発明における処理液のリン酸又はリン酸塩の濃度は0.01〜10.0質量%であることが好ましい。発明者らの実験結果によれば、リン酸又はリン酸塩の濃度が0.01〜10.0質量%であれば、ワークの表面にリンを含む皮膜が形成し易いことがわかった。
【0051】
本発明で用いるクロムめっき浴にはフッ化物を含ませることが好ましい。クロムめっき浴中で形成されたクロム酸鉛はフッ化物によって溶解されることが考えられるからである。フッ化物としては、フッ化亜鉛、フッ化アルミニウム、フッ化アンチモン、フッ化アンモニウム、フッ化イオウ、フッ化ウラン、フッ化塩素、フッ化オスミウム、フッ化カドミウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化キセノン、フッ化銀、フッ化クロム、フッ化珪素、フッ化ゲルマニウム、フッ化コバルト、フッ化酸素、フッ化シアン、フッ化臭素、フッ化ジルコニウム酸塩、フッ化スズ酸塩、フッ化ストロンチウム、フッ化タリウム、フッ化タンタル酸塩、フッ化窒素、フッ化鉄、フッ化銅、フッ化ナトリウム、フッ化ニオブ酸塩、フッ化ニッケル、フッ化バリウム、フッ化ヒ素、フッ化ホウ素、フッ化ホウ素酸、フッ化マグネシウム、フッ化マンガン、フッ化メチル、フッ化ヨウ素、フッ化ヨウ素酸塩、フッ化リチウム、フッ化リン、フッ化レリウム等を用いることができる。フッ化物としての例えばフッ化珪素は鉛と以下の化10に示す化学反応を起こし、ケイフッ化鉛を形成することも考えられる。こうして通水路の内周面に含まれる鉛を除去することができる。
【0052】
【化10】
PbCrO+HSiF→PbSiF+HCrO
【0053】
また、本発明の製造方法では、切削工程後に切削品を他の脱鉛液に浸漬して切削品の外周面及び通水路の内周面の脱鉛処理を行う他の脱鉛工程を行うことも可能である。つまり、他の脱鉛液としてpHの高いアルカリ液を採用する場合、上記特許文献1と同様、本めっき工程の前、すなわち切削工程の後の脱脂工程において、pHの高いアルカリ液への浸漬を行うことも可能である。切削工程後に他の脱鉛工程を行なえば、切削品の外周面及び通水路の内周面からさらに鉛が除去されることになると考えられる。但し、あまりにpHの高いアルカリ液への浸漬を行うこととすれば、水道用器具は美観を損なうこととなってしまうとともに、切削品の外周面にめっき層を厚く施す必要を生じ、製造コストの高騰化を招来してしまうこととなる。このため、pHの調整に留意を要する。
【0054】
本発明の製造方法において、水栓金具用の鋳造品に対して脱鉛工程、切削工程及びめっき工程を行なえば、本発明の水道用器具としての水栓金具が得られる。また、鋳造品を脱鉛工程に供すれば、本発明の水道用器具の鋳造脱鉛品が得られる。この鋳造脱鉛品は、鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路を有して水道用器具の粗形状をなす母材部と、この母材部の外周面側及び通水路の内周面側で一体をなし、鉛濃度が該母材部より低い低鉛含有層とからなることを特徴とする。低鉛含有層は鉛を含まないことが好ましい。低鉛含有層に鉛を含まなければ、水道用器具の通水路を通る水に鉛がほとんど溶出しないからである。この鋳造脱鉛品の外周面が切削加工された後、めっき層が形成されることにより、本発明の水道用器具となる。この水道用器具は、水を通す通水路をもつ鉛含有銅合金からなる母材部と、通水路の外周面側に形成されためっき層と、通水路の内周面側で母材部と一体をなし、鉛濃度が母材部より低い低鉛含有層とからなる。また、皮膜形成工程を行った水道用器具は、通水路の内周面には低鉛含有層のより内周面側にリンを含む皮膜がある。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態、試験及び変形形態を図面を参照しつつ説明する。
【0056】
(実施形態)
実施形態の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法では、図1に示す工程S10〜S60を経て水道用器具を製造している。まず、鋳造工程S10において、図2に示すように、JISCAC406(青銅6種)からなり、水を通す通水路10aを有して水栓金具本体の粗形状をなす鋳造品10を得る。この鋳造品10における外周面や通水路10aの内周面には、図3に示すように、鋳造時のいわゆる黒皮等21aが付着している。また、鋳造品10の外周面に残る鋳砂21bはショットブラスト等により落とされ得るものの、鋳造品10の通水路10aの内周面に残る鋳砂21bはそのようなショットブラスト等によっては落とされ難い。
【0057】
次に、図1に示す脱鉛工程S20において、鋳造品10を脱鉛液に浸漬して鋳造品10の外周面及び通水路10aの内周面の脱鉛処理を行う。脱鉛液としては、濃度5〜7%、温度40〜60°Cの塩酸水溶液を強酸水溶液として使用し、この塩酸水溶液に鋳造品10を2〜4分浸漬する。この際、鋳造品10は、通水路10aの内周面で脱鉛が行なわれるとともに、外周面においても脱鉛が行なわれることとなる。特に、強酸水溶液を脱鉛液として採用しているため、鋳造品10は、その通水路10aの内周面及び外周面に存在している鉛だけに限らず、その外周面及び通水路10aの内周面から深い位置に存在している鉛までも除去することができる。また、脱鉛工程S20の塩酸水溶液は、外周面及び通水路10aの内周面に黒皮等21aとともに鋳砂21bが残存していたとしても、黒皮等21aを溶解し、これによって鋳砂21bも除去する。
【0058】
これにより、図4に示す鋳造脱鉛品20が得られる。この鋳造脱鉛品20は、図5にも示すように、鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路10aを有して水栓金具本体の粗形状をなす母材部21と、この母材部21における通水路10aの内周面側で一体をなし、鉛濃度が母材部21より低い低鉛含有層22と、母材部21の外周面側で一体をなし、鉛濃度が母材部21より低い低鉛含有層23とからなる。通水路10aの内周面を形成する低鉛含有層22は、脱鉛により凹凸を生じつつ、製品である水栓金具になった後における水への鉛の溶出量を十分に少なくする。他方、外周面を形成する低鉛含有層23も脱鉛により凹凸を生じている。強酸水溶液の条件によって、低鉛含有層22、23が鉛を含まないようにすることも可能である。なお、脱鉛工程S20後、水洗工程を行なう。
【0059】
次いで、図1に示す切削工程S30において、鋳造脱鉛品20の外周面を約1mm切削加工し、図6に示す切削品30を得る。その際、弁座や吐水口等も寸法や形状が整えられる。これにより、図7にも示すように、凹凸を生じていた外周面側の低鉛含有層23は、完全に切削され、平滑にされる。また、鋳造工程S10で生じていた黒皮等21a及び鋳砂21bを脱鉛工程S20により除去しているため、切削工程S30が容易である。すなわち、外周面を切削加工する切削工程S30において、刃具は、黒皮等21aを切削加工する必要がなく、かつ鋳砂21bによって摩耗することもない。通水路10aの内周面を切削加工し、弁座等を整える場合も同様である。なお、外周面側の低鉛含有層23は、鉛濃度が母材部21より低いことから、切削性を低下させることとなるが、低鉛含有層23による切削性の低下は、黒皮等21a、ひいては鋳砂21bによる切削性の悪化に比べれば、ほとんど問題にならない。特に、切削工程S30において、母材部21まで切削工程S30を行うことから、低鉛含有層23による切削性の低下はほぼ確実に問題にならない。
【0060】
そして、図1に示すめっき工程S40において、切削品30の外周面にめっき層24を施し、図8に示すめっき品40を得る。このめっき工程S40は、図12に示す従来のめっき工程S94と同様、前処理工程S95と本めっき工程S96とからなる。
【0061】
前処理工程S95は、脱脂工程S95aと、陰極電解工程S95bと、酸活性工程S95cと、これらの工程間に設けられる水洗工程とを有している。ここで、脱脂工程S95aでは、切削品30をpH11のアルカリ液に5分間浸漬して切削品30の外周面及び通水路10aの内周面の脱脂を行う。このアルカリ液は、水酸化ナトリウムを数g/l含むとともに、界面活性剤とキレート剤とを含む水溶液であり、その温度は40°Cである。また、陰極電解工程S95bでは、同様のアルカリ液中において、脱脂工程S95a後の切削品30を陰極とすることによって、切削品30の外周面のさらなる脱脂を行う。さらに、酸活性工程S95cでは、陰極電解工程S95b後の切削品30を室温、pH2の硫酸水溶液で洗浄して切削品30の外周面及び通水路10aの内周面を活性化している。なお、これらの工程間では、水洗工程として切削品30の水洗を行う。
【0062】
本めっき工程S96も、ニッケルめっき工程と、クロムめっき工程とを有している。ニッケルめっき工程では、ニッケルめっき浴を用い、酸活性工程S95c後の切削品30の外周面にニッケルめっき層を施している。また、クロムめっき工程では、クロムめっき浴を用い、ニッケルめっき工程後の切削品30の外周面にクロムめっき層を施している。このクロムめっき浴中にはフッ化物としてのケイフッ化ナトリウムが5〜10g/l含まれている。このクロムめっき工程では、クロムめっき浴中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが化学反応を起こし、通水路10aの内周面に含まれる鉛が除去される。この際、クロムめっき浴中で形成されたクロム酸鉛がフッ化物によって溶解されると考えられる。これらの工程間でも水洗工程を行っている。
【0063】
こうして、脱鉛工程S20によって外周面に生じていた凹凸がその後の切削工程S30により平滑にされているため、めっき工程S40において、厚くめっき層24を施さなくても優れた外観を呈することとなる。よって、さほどのコストアップも生じない。
【0064】
さらに、図1に示す第2脱鉛工程S50において、めっき品40を第2脱鉛液に10分間浸漬し、めっき品40の外周面及び通水路10aの内周面の脱鉛処理を行う。第2脱鉛液としては、pH14の強アルカリ水溶液として使用する。この第2脱鉛液は、水酸化ナトリウムを50g/l含む水溶液であり、その温度は50°Cである。これにより通水路10aの内周面から水への鉛の溶出量をさらに低減することができる。また、めっき工程S40後に第2脱鉛工程S50を行なえば、めっき品40の外周面はめっき層24に保護されて鉛の除去が行われず、めっき層24のない通水路10aの内周面のみからさらに鉛が除去されることとなる。このため、めっき品40の外周面には凹凸を生じず、めっき層24も損なわれない。また、第2脱鉛液が活性アルカリ液であるため、鉛含有銅合金の銅は反応せず、鉛だけが反応する。
【0065】
そして、図1に示す皮膜形成工程S60を行う。この皮膜形成工程S60では、第2脱鉛工程S50後のめっき品40を処理液に10分間浸漬している。この処理液は、リン酸(HPO)0.9質量%の水溶液であり、その温度は50°Cである。こうして、処理液が通水路10aの内周面の銅及び/又は鉛と反応を起こし、図9に示すように、通水路10aの内周面にリンを含む皮膜25を形成する。なお、この皮膜形成工程S60の前後にも水洗を行っている。こうして外周面が優れた面性状を保つ水栓金具本体50(図10参照)が得られる。
【0066】
この後、水栓金具本体50に同様に製造したハンドル51、図示しない弁体等を取付け、図10に示す水栓金具が得られる。この水栓金具は、図9に示すように、水を通す通水路10aをもつ鉛含有銅合金からなる母材部21と、母材部21の外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層24と、通水路10aの内周面側で母材部21と一体をなし、鉛濃度が母材部21より低い低鉛含有層22と、低鉛含有層22のより内周面側にあるリンを含む皮膜25とからなる。母材部21とニッケル・クロムめっき層24との間に鉛濃度が母材部21より低い低鉛含有層23(図5参照)を薄く残しても良い。この水栓金具は通水路10a内に水が通されて活用されることとなる。
【0067】
(試験)
JISS3200−7(1997年)「水道用器具−浸出性能試験方法」により、水栓金具から溶出される鉛の原液濃度(mg/l)を測定した。そして、鉛の溶出量(mg/l)を算出した。水栓金具における通水路10aの内容量は155mlと比較的大きく、基準値をクリアするために不利なものである。
【0068】
表1に示すように、試験例1では、上述した実施形態の製造方法によって製造した水栓金具を用いている。また、試験例2では、実施形態の製造方法において、第2脱鉛工程S50及び皮膜形成工程S60を連続して2回行うことによって製造した水栓金具を用いている。さらに、試験例3では、図11に示すように、実施形態の製造方法において、第2脱鉛工程S50及び皮膜形成工程S60を行わないで製造した水栓金具を用いている。
【0069】
他方、比較例1では、図12に示す一般的な製造方法によって製造した水栓金具を用いている。また、比較例2では、図13に示す特許文献2の製造方法2において、脱鉛工程S98を10分間行うことによって製造した水栓金具を用いている。その際、上記実施形態の製造方法における第2脱鉛液を用い、鉛の除去を行う。さらに、比較例3では、比較例2と同様、脱鉛工程S98を15分間行うことによって製造した水栓金具を用いている。また、比較例4では、比較例2と同様、10分間の脱鉛工程S98及び5分間の皮膜形成工程S99を連続して2回行うことによって製造した水栓金具を用いている。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 2004277793
【0071】
表1に示すように、試験例1、2では、鉛の溶出量が基準値の0.007(mg/l)未満であった。よって、基準値をクリアするために不利な大きさの内容量をもつ水栓金具であっても、試験例1、2の製造方法によれば、通水路10aの内周面からの水への鉛の溶出量を十分に少なくしつつ、優れた美観を奏するものになることがわかる。なお、試験例3では、鉛の溶出量が0.007(mg/l)以上であり、脱鉛処理単独では、鉛の溶出量を0.007(mg/l)未満にすることが困難であると考えられる。
【0072】
他方、比較例2〜4に関しては、脱鉛工程S98を長時間行ったり、複数回行うことにより、鉛の溶出量が0.007(mg/l)に近づいたものの、未だ鉛の溶出量を十分に少なくし切れていないことがわかる。時間及び回数を増やすことによって鉛の溶出量を0.007(mg/l)未満にできる可能性はあるものの、工程の増加による製造コストの懸念がある。なお、比較例1では、鉛の溶出量が全く基準値に満たない。
【0073】
したがって、実施形態の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法では、通水路10aの内周面からの水への鉛の溶出量を基準値を満たすように十分に少なくしつつ、優れた美観を奏する鉛含有銅合金製水道用器具を製造できることがわかる。
【0074】
(変形形態)
図11に示すように、切削工程S30後のめっき工程S40の脱脂工程S95a(図11参照)において、他の脱鉛液としてのpHの高いアルカリ液への浸漬を行い、これにより切削品30の外周面及び通水路10aの内周面の脱鉛処理を行うことも可能である。切削工程S30後に他の脱鉛工程を行なえば、切削品30の外周面及び通水路10aの内周面からさらに鉛が除去されることになると考えられる。但し、あまりにpHの高いアルカリ液への浸漬を行うこととすれば、水道用器具は美観を損なうこととなってしまうとともに、切削品30の外周面にめっき層24を厚く施す必要を生じ、製造コストの高騰化を招来してしまうこととなる。このため、pHの調整に留意を要する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係り、鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法の工程図である。
【図2】実施形態に係り、鋳造品の縦断面図である。
【図3】実施形態に係り、図2に示す鋳造品のA部の拡大断面図である。
【図4】実施形態に係り、鋳造脱鉛品の縦断面図である。
【図5】実施形態に係り、図4に示す鋳造脱鉛品のA部の拡大断面図である。
【図6】実施形態に係り、切削品の縦断面図である。
【図7】実施形態に係り、図6に示す切削品のA部の拡大断面図である。
【図8】実施形態に係り、めっき品の縦断面図である。
【図9】実施形態に係り、図8に示すめっき品のA部の拡大断面図である。
【図10】実施形態に係り、水栓金具の全体斜視図である。
【図11】変形形態に係り、鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法の工程図である。
【図12】一般的な鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法の工程図である。
【図13】特許文献2の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法の工程図である。
【符号の説明】
10a…通水路
10…鋳造品
S10…鋳造工程
30…切削品
S30…切削工程
24…めっき層
40…めっき品
S40…めっき工程(S95…前処理工程(S95a…脱脂工程、S95b…陰極電解工程、S95c…酸活性工程)、S96…本めっき工程)
S20…脱鉛工程
S50…第2脱鉛工程
S60…皮膜形成工程
21…母材部
22、23…低鉛含有層
20…鋳造脱鉛品
25…リンを含む皮膜

Claims (11)

  1. 鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路を有して水道用器具の粗形状をなす鋳造品を得る鋳造工程と、該鋳造品の外周面を切削加工して切削品を得る切削工程と、該切削品の外周面にめっき層を施してめっき品を得るめっき工程とを備えた鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法において、
    前記切削工程前に前記鋳造品を脱鉛液に浸漬して該鋳造品の前記外周面及び前記通水路の内周面の脱鉛処理を行う脱鉛工程を行うことを特徴とする鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  2. 前記脱鉛液は強酸水溶液であることを特徴とする請求項1記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  3. 前記めっき工程後に前記めっき品を第2脱鉛液に浸漬して該めっき品の前記内周面の脱鉛処理を行う第2脱鉛工程を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  4. 前記第2脱鉛液は活性アルカリ液であることを特徴とする請求項3記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  5. 前記第2脱鉛工程後、水にリン酸又はリン酸塩を主として添加した処理液により、前記通水路の前記内周面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  6. 前記処理液におけるリン酸又はリン酸塩の濃度は0.01〜10.0質量%であることを特徴とする請求項5記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  7. 前記水道用器具は水栓金具であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の鉛含有銅合金製水道用器具の製造方法。
  8. 鉛含有銅合金からなり、水を通す通水路を有して水道用器具の粗形状をなす母材部と、該母材部の外周面側及び前記通水路の内周面側で一体をなし、鉛濃度が該母材部より低い低鉛含有層とからなることを特徴とする水道用器具の鋳造脱鉛品。
  9. 前記低鉛含有層は鉛を含まないことを特徴とする請求項8記載の水道用器具の鋳造脱鉛品。
  10. 請求項8又は9記載の水道用器具の鋳造脱鉛品の外周面が切削加工された後、めっき層が形成されていることを特徴とする水道用器具。
  11. 前記通水路の内周面には前記低鉛含有層のより内周面側にリンを含む皮膜があることを特徴とする請求項10記載の水道用器具。
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